応援して貰えた分だけこの小説が早くなる……はず。
平成も終わりついに令和ですね。
もっと小分けというかサクサク投稿した方が良いんじゃなかろうかと思いながらも何となくキリの良さげな所まで書いてしまう。
ネット小説ならもっとサクサク上げるべきかも。
8/10 追記
葛木を葛城と表記していたので修正
中真が葛木、キャスターの二人と対談をする少し前、役所に勤める女性は電話による呼び出しを受けていた。
彼女の上司が言うにはソコソコに厄介な案件らしい。
というのも対象の家がこの市役所に対して少なくない額の寄付金を毎年支払い、市長に対してもそれなりの発言力を持っているのだと言う。だからこそ然るべき手段と手法に基づいて事を進めるべきと打ち合わせの為に彼女は呼び出された。
そこで聞かされたのは家庭内DV、それも性的なDVを義祖父と義理の兄から受けている子供が居るという内容。
彼女は直ぐに動くべきと主張したが先立って伝えられた寄付金や発言力といった部分が邪魔をする。
上司としても素早く動けるものなら動きたいという意思はあるが、言い逃れをさせないための準備時間が必要だと訴えてくる。
彼女もそれが必要であるという事は分かっているが、自分の娘と変わらない年齢の子供が実の家族に対して暴行を加えられているという事実に生理的嫌悪と道徳心が訴えかけてくる。
『本当に直ぐに動かなくてもいいのか』
彼女は善人で正義感が強かった。そして幸か不幸かそれなりのツテと行動力も有った。
これが今回の場合は被害者である少女には救いになり……彼女に対しては不幸となった。
彼女は直ぐに知り合いの自衛隊員と警察官である夫、さらには親戚の政治に通じる人物に対して連絡を入れ、子供を救う為の計画に助力を頼んだ。
皆快く助力を約束し彼女は動き出した。まさに電撃戦と呼ぶに相応しい速度。上司から伝えられて約半日で社会的に必要な力を集めた。
この時彼女が上司に報告、あるいはツテを集めたことを伝えていたのならこの後に彼女に降りかかる不幸ももっと違う形になっていたのかもしれない。
もうすぐ夕方になる頃、彼女は職場の同僚数人と件の少女の元へと赴いた。荒事担当の男性二名と彼女の計三名。
本来ならもう少し人を増やして動きたかったが最速で動く場合に彼女が直ぐに動かせる人数は少なかった。件の少女は直ぐに見つかった。
見るからに内気な少女。こんな子供が義理とはいえ家族に凌辱されているという事を考えると吐き気がこみあげてくる。
「失礼、間桐桜さん……で、間違いないでしょうか?」
「えっと……そうですが何か?」
彼女と話をしてみて間違いないという確信を得る。といっても経験則から来るものだ。
オドオドとした常に周りの目を気にしているにも拘らず相手の目を見る事を拒む伏目の上、相手の挙動一つ一つに過剰に反応する。そして目の活力の無さ。
どれもこれもDV被害者の共通点と合致する。間違いなくこの少女は虐待にあっていたのだろう。
件の少女「間桐桜」さんを無事に保護し役所の管理している施設に送り届けてから彼女が暮らしていた「間桐家」へ向かう。
健康及び精神診断の手配なども済ませた。彼女が所謂普通の生活に戻れるかどうかはこれからの彼女次第だが、少なくともその一助は出来るだろうと考えながら車は冬木の町並みを進む。
そしてソレが役所に勤めていた彼女の最後に見る町並みになった。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
中真は葛木、キャスター組との話し合いを終えた後、寺の外壁に手持ちの道具で延々と模様を掘り続けている。この手の仕事はヴァナディールに居た頃、冒険者という名の何でも屋を行っていた際に回りの冒険者が引き受けないような事までやっていた為に出来るようになった。
あの世界の建築技術だったり、チョコボの育成から埋葬。クリスタルを使用した調合も勿論だがクリスタルを使わない手法こそ彼は率先して覚えていった。
何せクリスタルなんて物は元の世界にはなかったもの。魔力だって本来無いもの……もしかしたら自覚が無いだけであったのかもしれないが、中真はそういう不可思議が無くても行える手段をあの世界で没年するまで只管手に入れていた。
今やっている事もそのうちの一つで彫り込んでいるモノの名を【シアリングワード】と言う。
元々はとある地方で防壁として使われていた文様で、一定量の魔力を流し込む事で起動。外敵の侵入を一定期間阻み、入ってきた場合はダメージを与える結界。
今回の件を実行するにあたり、この技術をメドゥーサに見せて彼女の知識を合わせて改善・改良を施した。1時間もしない内に外周を一通り掘り終わり正面の門に戻るとキャスターがアサシンを連れてこちらを見ている。
「何て言うか……聞いていた以上に出鱈目ね、貴方」
「ふむ、この模様が先ほどキャスターが言っていた『なんちゃらわーど』と言う奴か……興味深い」
「『シアリングワード』な。元々の効果とは離れてしまってるからもう別物って感じだけど」
「だがソレのお蔭で拙者も寺の中へ入れるのだろう? 此処からの眺めも悪くないが自由の幅が広がるのは行幸。せめて茶位は自由に呑みたいものだ」
「アサシン……入るのは自由ですが基本門番だという事には変わりは無いのよ? 本来の役目を忘れないようにしなさい」
「うむ、ソレに関しては心得ている」
キャスター組の拠点を強化してキャスター、アサシンの二人と喋っているとライダーから電話がかかってきた。
「もしもーし、ライダー? そっちはどうなん?」
「こちらは予定通りサクラを確保しました。先ほど貴方から渡された服を着て貰って、今は薬で寝かせてます」
「服を着てからどうだった?」
「取り合えず上下を着て貰いましたがソレだけで動くのも厳しい様だったので指輪は私が付けました。その後は殆ど動く事も出来ないとの事だったので直ぐに渡された薬で……」
「そっか、割と思いつきな所あったけど意外と上手くいったな」
「ええ、今はサクラを背負ってビルの上を移動しています」
「ほいほい、じゃあこっちも摘出と封印の準備をしてるから無理せず合流してくれ」
レベル制限ありの装備を無理やり着込むとあらゆる行動に阻害が出る事を利用した拘束具。ヴァナではちょいちょい利用してたけどこっちの世界でも効くんだなぁ……レベル70装備(ヴァンパイアクローク)だしどうかとは思ったけど上手くいって良かった。
ライダーと通話をしながらキャスターと共に文様に魔力を注ぐ。アサシンが中に入れる事を確認したら電話を切ってキャスターの魔術工房の最奥へ向かう。
工房で【マイバック】と【影】から色々と道具を取り出すとキャスターが頭抱えてたが「慣れろ」の一言で押し通した。
俺だってマイバックを取った時の衝撃は凄かったが慣れたんだ。魔術師ならそーいうものとして受け入れてくれ。
ともあれ、キャスターが行うのはライダーの本当のマスターである間桐桜の心臓に巣食う『間桐臓硯』の摘出。ライダーは勿論だが俺自身も彼女から説明されてる時に思い出した。
間桐桜、この世界の不幸キャラと言ったらいいか……人として雑な扱いをされる事が多く、義理の祖父には道具として見られ、義理の兄には性処理の道具として見られる。
絵に描いたような日本での不幸キャラ。本来はなんか良く分からんままに可哀そうな結末に辿り着くんだろうが……まぁ、ライダーの頼みだし救うよね。手段あるし。
キャスターから手法やどういった手順で事を行う等を聞きながら、ソレをサポート出来そうな道具やら素材やら俺の作った薬なんかをアレコレ出してみる。
だが効果や使い方を説明しても結局の所キャスター自身が持つ技術で摘出を行う事になった。有益な道具等も存在したがうまく扱えるか、キャスターが行う魔術に作用しないか等を調べ上げる時間が無い為だ。
一応ポーションの類とリレイザーは渡しておいた。
さて、スケジュールを前倒しという形になったが、これでライダーの願いに向けて一歩前進した訳だ。
次にやる事は……精神疾患の子供対策と俺を目の敵にしてるお嬢ちゃん……あ、槍の正規マスターもまだ生きてるんじゃなかったか?
たしか金持ちの…………男だっけ? 女だっけ? ……忘れた。とりあえずまだ助けられるはずだからコレが終わったらキャスターに頼んで人探しをしてみよう。
後は本当にこの世界に探し人が居るかどうかだな。今回のごたごたの関係者の中に『アオ……なんちゃらトーコ』(だっけ?)と繋がりがある人が居たような気がするから大丈夫とは思うけど、念には念を入れてだ。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
ライダーのマスターである間桐桜はライダーの手によって無事にこちらへ届けられた。今からキャスターの手で彼女の心臓に文字通り巣食う寄生虫を取り除く。
その間俺が何をするかと言えば、手術が行われる部屋の隅で待機。俺が見てる世界と魔術師が見てる世界では視点が違う。
視点が違えば見ているものは同じでも見えているものは違うなんて事は往々にしてある。故に見る。
今、この瞬間もキャスターは間桐桜の上半身を露出させて魔術的に胸部を切開、心臓目掛けて少しずつ切り開く。
多少血が溢れているが出血は驚く程に少ない。ヴァナディールに居た頃にアレと同じくらいの傷を亀のや豚の亜人に与えた時はもっとドバドバと血が溢れて死んでいったのを考えるとキャスターの腕前が凄いのが窺い知れる。
そうやって術式が進んでいると遂に彼女の心臓が露出した。
『どくん、どくん』と脈打つ心臓が彼女の生を主張している。
キャスターが心臓に対して手をかざし、心臓と手の間に魔法陣が浮かび上がる。彼女の術式が佳境に入ったのだろうと思案したと同時に寺の周囲に施した結界から異常が伝わってくる。
小さな群れが大量に……数百という単位で寺への侵入を試みている。いや……いくつかは無理やり結界に入り込んだらしい。
「キャスター、恐らく『ソコ』に居る奴の援軍が来てる。多分虫」
「あら、予想通りなのね。それで結界の方は?」
「8~9割は押し留めてるけど少し通過した。アサシンが頑張ってるだろうけど葛木の方も気になるから少し席を外す」
「そう。なら手早く済ませなさい。と言っても、貴方以外はココへの立ち入りを禁止している以上、誰も入ってくる事は出来ないのだけどね」
「ま、葛木の居る所もアンタの結界があるから大丈夫だとは思うけど万が一があったら面倒だしな」
「どちらにしろ、もうすぐ寄生虫は排除出来るわ。こんな女を弄ぶような虫は……存在しない方が世の為ね」
「……多少思う所もあるが長生きしすぎるといい事なんて何もない。本当……嫌だねぇ」
頭を掻きながら部屋から出ていく有香を術式を進めながらもチラリと見てキャスターは少しだけ意識を彼の言葉に向けた。過去の亡霊たる自分もその範疇に入るのだろうか。
気落ちしかけた心を深呼吸する事で落ち着かせる。ソレを考えるのは後でも出来ると。
葛木と意識の無い坊主達が居る部屋の扉の前で葛木へ声をかける。
「葛木ー、そっちは変な虫とか湧いてないか?」
「中真か……いや、特にこれと言って変化は無い」
「そっか、虫が敵として入り込んでると思うから注意しといてくれ」
「承知した」
返事と共に扉から葛木の声が遠ざかったのは恐らく部屋の中心へ移動したのだろう。部屋の前から軽く境内を見回して備え付けられているサンダルを履く。
「おーい、アサシン居るかー?」
「ここに居るぞ」
その一言と共にアサシンが直ぐ近くに実体化する。少し消耗して見えるって事は霊体化して動き回ってたらしい。
「虫が入ってきてるとおもうけどどう?」
「門の方から入ってきた虫は全て斬り捨てておいたが、反対の方までは流石に手が回らなんだ。一応門側を終わらせてから残りを片付けたがある程度は斬り漏らしがある」
「って事は想定より大分数は減らせた訳か」
「何にせよ門に縛り付けられてなくて良かったぞ。門の外にいたらアノ虫共に貪り食われてたかもしれん」
そう言ってアサシンが門の方へ視線を投げるのにならって俺も門の方を見ると、門を潜り抜けようとする虫の大群が見える。
ぱっと見で足の踏み場もない無い程に体長10~20センチ程の虫達が地面いっぱいに犇めいている。
思わず鳥肌が立つのを摩る事でどうにか抑える。
「うへぇ……あんなところで立ちぼうけとか罰ゲームでしかないな」
「なんにせよ助かったぞ」
「んじゃ、一先ず外を掃除しますか『朱と生命の泉』『対価と世界の法則の歪』『エーテルの輝きを此処へ』【エアロガ】!!!!」
呪文の宣言と共に寺全体を覆う竜巻が形成される。時間にしておよそ10~20秒程だろうか。
境内は全くの無風だが外から聞こえてくる風の音は猛烈な台風と呼ばれる54m/sのソレが経過する時の音と比べても遥かに大きく、周囲の木々を巻き込み圧し折り、何かを潰す音が聞こえてくる。
それに合わせて虫達の断末魔の叫びもソコ彼処から聞こえてくる。まるでこの寺全体が蠱毒の入れ物になったのではないかと錯覚するような音。
竜巻が消える頃には周りからの音は止み、辺り一帯は無風になっていた。
「よし、一旦はこれでいいかな。それじゃアサシンは引き続き境内で見張り宜しく。俺は戻ってキャスターのサポートに回るわ」
「うむ、任された」
キャスターの工房へ向かう中真の背中を見ながらアサシンは言葉には出さないものの、アレが何者かを考える。
身の丈に似合わない技術と魔術。女狐の夫程破綻しておらず日常の中に居る……だがソレこそが異常であると元農夫は知っている。
まるで自分が生きた時代の侍によく似たありかた。そしてその内に宿している数えきれないナニか。
「虫とまではいかんが……アレも大概よな……」
とりあえず久しぶりに時間が取れてコレを書いてますが書くまでに湧いたネタを消費出来ないモヤモヤ。
短編で適当にオレツエーでネタ消費したい。
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今のままで良い(ボリューム速度据え置き
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速度を優先してボリューム半分
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何より速度(リアル忙しい時は別