祝福と目の覚めない悪夢   作:タラバ554

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更新めっちゃ遅くなりましたが一段落する所までは書けたので投稿


15話 歓迎

徐々に細く、小さくなっていく光の柱は直径2m程にまでなるとその姿を唐突に消した。そして柱の後に残ったのはあの男が倒れているのみ。

間桐桜が居ないかと視線だけを辺りに彷徨わせるが見当たらない。どう対応するか思案していると金属を打ち合わせた様な音が響いた。

直観に従い反射でその場から上空へ跳ぶと私が居た場所にはあの男が剣と盾を捨てて突っ込んできていた。ちらりと男が倒れていた場所を見ると剣と盾が放り出されている。直ぐに男へ視線を戻すと目の前にオレンジ色の半透明な壁が迫ってきていた。

当たる寸前で回避に成功するが避けた先にも壁が……まるで城壁の様に複数の壁が迫ってくる。迫りくる壁の隙間を縦横無尽に避けていき回避ついでに壁が斬れないか試すが弾かれてしまった。

 

「むっ……」

 

弾かれた事には驚きはしたものの対応自体は出来ているので良しと頭を切り替える。壁を掻い潜り男に剣を振り下ろすと壁に阻まれた。

剣を弾く硬度とノーモーションで生成可能な事に舌を巻く。即座に横へスライドからの方向転換で男の背後へ回るが今度は男の背後に壁、そしてその壁を自分の背中から前へ飛ばすことで男が前方へ吹き飛んで行く。

接近を嫌がったのを見て直ぐに距離を詰めにかかる。壁の防御力にあの移動方法はある意味理に適っている、だが私は先ほどの移動で傷を負った事を見逃さなかった。あの移動方法で自身に掛かる負荷に耐えれていない所を見ると緊急用と察しが付く。

 

(あの壁を飛ばす事が攻撃法であると同時に防御になっている……加えて直ぐに距離を取ろうとした事から中距離がアレの持ち味を生かせる闘い方に向いているのでしょう)

(武具を手放したのは解せないが、尚の事離れずに白兵戦を仕掛けるのが得策。しかし……)

 

あの男が私へ挑んた時は明らかに人としての闘い様を見せていた、武器を手に取り盾を構えて。だというのに今のあの男の動きはまるで獣の様だ。

弾かれたように前へ跳んだあの男は吹き飛んだ先で地面に手足を付き、四足で地を走り、大地を跳ね、空中で翻りながら赤い目でこちらを観察している。

背筋を駆けあがってくる怖気を振り切るために男よりも速く地を跳ねて上空へ、上空から木の上、木の上から地面、其処から更に上空。速度を上げて上げて上げて、あの目から逃れるようにもっと速く。

男の視界から外れる度に3度奇襲をしかけた。上から、横から、背中から。だが私の剣が届きそうになると決まって甲高い金属音と共に此方の攻撃をすべてあの壁が阻む。

赤と黒の瞳が私を見ている。まるで観察するかの様なその目が堪らなく嫌だ。自分を鼓舞する為に叫びながら更に魔力絞り出す。心臓がまるで早鐘を打つ様に煩い。

渾身の力を込めて壁へぶつかると、まるで硝子にヒビが入るかの様に壁にヒビが入り硬質な音を立てながら壁が崩れる。壁を破壊した勢いのまま男へ向かい聖剣を跳ね上げる事で男が身に着けた鎧の隙間から右腕を斬り飛ばす。

逃さず追撃をかける為に魔力放出により男の背後へ跳んだ直後に聖剣を逆手に持ち替え背中合わせになる形で男の右側へ突撃を仕掛ける。速度は先ほどよりも尚上り確実に入った――――――はずだった。

斬り落としたはずの右腕は極彩色の腕へと変容して私の剣を握っている。男の両目が赤く染まり私を見ている。

赤い目に見据えられ聖剣を持つ手に力が入る。ストライク・エアを開放すると風の刃は男の躰を傷つけるが男は構わず聖剣を握り続け離さない。

ストライク・エアの出力を上げて男からの離脱を試みるもそんなものは関係ないとばかりに男は緩慢な動きで足を上げ、私の腹目掛けて蹴りを放った。その蹴りを受けた瞬間、腹の目の前で爆発が起きたかのような衝撃と共に後ろへと吹き飛ばされた。

 

 

 

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 

 

エヴァ世界の人類以外にも使徒まで俺の中に居るというゲンドウさんのびっくり発言をどうにか咀嚼してぐったりしているとさらなる爆弾が投下された。

 

「君の体に関して君の意識が無い間は操れるという事を手紙で伝えたと思うが、私達……いやそれ以上に君の体を心配している存在がいる」

「誰?」

「使徒だ」

「……はいぃ?」

 

ゲンドウさん曰く、彼等はエヴァ世界で他者との繋がりを求めたが人類とは別の可能性を選んだ生物、群体ではなく個で完結した生物。その特性から同類が他に居ない彼等は人類に繋がりを求めた。

そしてその結果、人類に倒された。彼らは孤独の中で死んだ……はずだった。

彼等の魂が何処に保管されていたか謎だが、全人類がLCLへと還った時に結果として一つになる事の無かった魂は海の中を漂った。そして使徒もその中を漂っていた。

そこに俺という入れ物が放り込まれた。漂っていた魂は流れ込む水の様に俺の中へ吸い込まれ、その際に使徒達も同様に流れ込んだそうだ。

 

「じゃあ俺の体に使徒が入り込んだ結果、使徒は目的を達成出来たって事?」

「そうなる」

 

思わず頭を抱え込んだ。本当なら自分の家族に危害を加えた原因になるんだろうが、ソレを言えば目の前の碇夫婦も同じだ。何といえばいいか分からずテーブルに肘をついて項垂れている間にも話は進む。

俺の実家であるこの場所はガフの扉から肉体へ繋がる道でアダムとリリス、両方のガフの部屋がつながる場所でもある。この場所では人類と使徒の両方が意思の疎通が出来る。勿論使徒が言葉を発する訳ではないが思念での意思疎通が出来るらしい。

 

「ここは使徒からすれば望んだモノが与えられる場所……彼らにとってのエデンという訳だ」

「知らん間に使徒から楽園認定かぁ……」

「さて、そんな場所を害するモノが現れたら彼等はどうするかしら?」

 

ユイさんがそう言い両の掌を上へと向けると、ソコへ唐突に空中ディスプレイが表示される。急なSF要素に思わず呆然とした後に問いただしてみるとコレがこの場所の特性だと教えられた。

この場所の主(つまり俺)が拒まない限り望む物の具現化が出来る。原理を知らないものでもイメージさえ出来ればソレが具現されるらしい。

なまじ魔法だとかファンタジーを見て、触って、知った今では大体の事は『そんな事もあるよなぁ』と思うので拒否感は無いが行き成りはちょっとビビる。

自分の実家がいつの間にかびっくり仰天なパワースポットに変わっている事に驚きながらユイさんが出したディスプレイを覗くとセイバーが映ってる。

 

「これは?」

「今貴方の体使ってる子がセイバーと戦ってるのよ」

「えぇ……うっわ、めっちゃ視点グルグル動き回って凄いなコレ……見てるだけで酔いそう。因みに誰が?」

「第9使徒のマトリエルね」

「ぱっと言われても正直わからん……」

「蜘蛛の様な見た目をしてるわね」

「あぁ~(確か目から溶解液出してジオフロントへ入ろうとした奴だっけ)……まてまてまて、え? 使徒が居るのも驚きだけどあいつら俺の体を動かせるの?」

「そうだ、彼等の意識が浮上した以上我々では彼等を止めるすべを持たん」

 

何か驚き疲れて感覚が麻痺してきてると感じながらディスプレイを見る。自分の体が意味わからん動きして視界がグルグル変わるって傍から見ると視点がめちゃくちゃなゲームプレイ画面みたいだなと思いながらボケっと眺める。

暫く眺めて気づく、何故セイバーと戦ってる?

 

「マトリエルだっけ? 何でセイバーとやりあってるの?」

「あぁ、それなんだけど……その……」

「八つ当たりだそうだ」

「は??」

「ちょっと巻き戻すわね」

 

ユイさんがそう言うと宙に浮いていたディスプレイの映像がどんどん巻き戻りながら主観から俯瞰に視点が切り替わり光の柱が映し出された。内蔵を握られるような感覚。じわりと掌に汗をかく。

手を握り締めて息を吸い込み、改めて映像を見るとあの光の柱は自分を起点に発生しているのが分かる。さらに映像は巻き戻され帯で拘束された俺が映し出された。

 

「ここね、貴方がこの……ナニみたいな奴に拘束された後、帯を通して君の体を食べた事が使徒達の逆鱗に触れたみたい」

「ヴァナディールに居た時から食われかけた事は何度かあったと思うけど……」

「その頃から私達も見ていたけれど周りに貴方の仲間が居て蘇生手段が整っていたから何もしなかったわ……けれどこの世界では蘇生手段は貴方しか持っていないし蘇生薬も服用してないでしょう?」

 

言われてみれば確かに俺はリレイザーを呑んでない。俺が死んだらどうなるかは分からないが紆余曲折あって他人と繋がる事が出来た使徒にとっては不確定要素でもソレは度し難い事だったと。

 

「まあ彼等の内、第12使徒であるレリエルは君がヴァナディール世界居る時から君に力を貸していたが本来の使徒の能力からは大きく減衰しているし君の中にあるエネルギーで使える範囲に収まっていたがね」

 

ゲンドウさんの一言に今まで使ってた影の収納が使徒の力と初めて気づく。まじか……まじでアレって使徒の能力なのか。

 

「そして君の体が本当の意味で死に向かった事で他の使徒も我慢が出来ずに表に出てしまった。これを見ると良い」

 

精神的オーバーキルされているがゲンドウさんが畳みかける様にディスプレイを見せてくる。画面には両の目が赤く染まり右手が斬り飛ばされる俺。

 

「う、腕~~~?!!? お? え? ちょっ、ちょっ、右手チョン斬られてるんだけど……えぇ……」

 

思わず斬られた箇所を摩るが間違いなく腕はある。そりゃケアル使えばどうにかなるかも知れないけど絵面が嫌すぎる。

映像はどんどん進み斬られた右手が新劇場版:序みたいになってる……セイバーから放たれた風の刃をものともせずヤクザキックがセイバーの腹に刺さり剣ごと寺へ叩きつけられる。ゆっくりと、体を揺らしながら俺inマトリエルがセイバーへと近づいていく。

 

「えっと、コレ止めないとマズイよね? どうやったら止めれるの?」

「君が体へ戻ると思うだけだ」

「戻る?」

「例えば私やユイはエヴァに乗るのをイメージしている。エントリープラグに乗り、それが君の体に入るイメージでいると体を動かせる様になる」

 

そう言いながらゲンドウが湯飲みの淵を指でなぞると中身のお茶が浮かび上がり形を変えて掌サイズの水でできたエヴァンゲリオンが宙に浮かぶ。さらにユイさんが持つ湯飲みからお茶が宙に浮かんだと思うとてエントリープラグへと形を変える。

お茶でできたエントリープラグはユイさんの湯飲みの上からゆっくりとエヴァンゲリオンの首筋、エントリープラグが挿入される個所まで移動するとスルリとエヴァの中に入った。

 

「私やユイがイメージするのはコレだ。そして目を開けると君の体の操作権を得る。といっても主導権は君にある」

「主導権?」

「多重人格障害の話を聞いた事はあるか? 多数の人格が一人の体に存在し、ソレ等を統括する人格が居る。この人格を『統括人格』と呼ぶが、君はこの統括人格というポジションに当てはまる」

「つまり私達がいくら貴方の体を乗っ取ろうと試みても、貴方の意識が表に出ている間は私達がどれだけ体を動かそうとも出来ないの」

「さらっと乗っ取りって言いましたか……」

「あら、何事も検証は必要よ?」

 

にこにこ顔のユイさんにちょっとした狂気を感じながらもスルーしてゲンドウさんへ話を振る。

 

「つまり俺の意識が表……現実に戻れば使徒が動くのを止めれる?」

「使徒と言えどこの場のルールには逆らえない。この場所の根幹……所謂ルールを決定するのは君なのだから」

 

そう、コレも君が拒まないから出来るんだとお茶で形作られたエヴァを指さしながら指で押す様な仕草をするとお茶エヴァが此方へ滑る様にやってくる。

そんな掌サイズのエヴァを見てると頭の中で一杯になってた色々な疑問がスコンと抜け落ちた。結局優先順位の問題なのだ。

女々しくも初めての家族の事が未だに忘れられず頭の片隅に常に残っている事も。ヴァナディールで自分を助けてくれた彼の転生が上手くいったかを知りたい事も。初めての妻の面影があるライダーの事も。

全部目の前の事を片付けてからで良いじゃないか。そう思えたら何故か涙が出て笑えて来た。

突然泣き笑いを始めた俺に碇夫婦が驚いた顔をしているが気にしない。とても気分が良い。

きっと俺の中に妻と娘は居ない。居るかもしれないという期待は持っていたが此処に来て居ない事が何となく分かる。

感覚的なものだから本当は居るのかもしれないが、多分居ないと思う。自分が抱えていた一番重たい物が自分の手から離れた様な喪失感と爽快感がある。

今の世界の事を色々と考えるのももう止めよう。ヴァナディールの様に日々命を懸けた冒険を共にし苦楽を共有した相手じゃないんだ。

もっと単純に考えていいじゃないか。

 

「突然泣いたり笑ったりしてすいません。お二人と話せて良かった。そろそろ現実に戻ります」

「その……大丈夫?」

「はい。とても気分が良いので、ちょっと使徒止めてきます」

 

ユイさんへそう言って目をつぶり深呼吸をする。暗闇の中で深く深呼吸をする度に体の感覚が薄れいくと共に先ほどまで全く感じられなかった自分の鼓動が脈打つのが分かる。

ほんの数秒の間に中真の体は透けていき遂には全て消えて彼が使っていた椅子と湯飲みだけが残った。

 

 

 

「……行ったか」

「この世界に来てから抱えてたもやもや。どうにか吹っ切れたみたいですね」

「そうだな……(本当は赤城君に任せたかったが……)」

「ゲンドウさん……私はまだ許してませんからね?」

「………………はい」

 

 

 

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 

 

自分の中に流れる血液を感じる。体に当たる夜風に土の匂い。目を開けると、大きな穴が壁に開いた寺が視界に飛び込んできた。

右手を見ると感覚の鈍い極彩色の腕があった。継ぎ目の部分を見ればわずかな出血があるが擦り傷程度の痛みがあるだけで、ヴァナディールでアントリオン初遭遇時に奇襲の噛みつきで片腕食いちぎられた時に比べたら腕を切断した程の痛みは無い。

拳を開閉してから問題なく動く事を確認して辺りを見回す。ナイトのアーティファクト鎧は全身白なので夜でも直ぐに斬り飛ばされた腕を見つけることが出来た。

さてどうするかと思案していると頭の中へ響く音がある。金属音……音叉から出る音の様なソレはどうやら使徒マトリエルからの謝罪の意図が乗せられた声らしい。

実際に声を聴いてる訳じゃないが何となく謝罪したいってのは分かる。過ぎてしまったことだから構わないと思いながら右腕を【マイバック】へ放り込む。後でポーションを使って繋げるかアビリティで再生してしまえばいい。

右腕は兎も角、アーサー王が吹き飛ばされた方を見ると瓦礫を退けて彼女が出て来た。蹴られた鎧部分が若干凹んで頭から血が出てるが油断なく剣を構えてる。

溜息を一つ吐き出してからエクスカリバーとイージスを探す。怒ってるだろうなと思いながら見渡しているとライダー、アサシン、キャスターが拾ってくれた様で抱えて此方へもってきてくれた。というかキャスターが凄く焦ってるのは何で?

 

「ほれ、剣士が戦場で剣を捨ててどうする。剣以外を使うのか?」

 

そう言いながらアサシンがエクスカリバーを寄こしてくれたので手に取る。

 

「あんがとさん。まぁこいつ等以外にも武器はあるけど、そうそう手放す事は無いかな」

「あの……この盾は……」

「ん? あー、そっか。ライダー的にはソレって持ちたい物じゃないよな。すまん」

「いえ……、驚きはしましたが私の知る物とはまた別物の様です」

 

微笑むライダーからイージスを受け取って左手に備え付ける。そうしているとキャスターが怒り顔で詰め寄ってきた。

 

「色々聞きたい事もあるけれど! それよりも蘇生薬を頂戴! 総一郎様がっ!!」

「い”?! えぇっと……(今から戦いますよーみたいな雰囲気だしてるアーサー王をほっぽいて行くっつーのも気が引けるし)じゃあ、コレを貸すわ。キャスターなら使い方分かるっしょ」

 

そういって【マイバック】から手元に取り出したのは『レイズロッド』

アイテムに魔法効果を付与した物で使用者に左右されずに画一の効果を齎す道具。この片手昆には文字通り『レイズ』……蘇生の効果が付与されている。

渡された杖の効果を直ぐに理解したのだろう、怒りの表情は消え驚きへと変わっている。

 

「これって……」

「それなら葛木を助けられるだろ?」

 

キャスターは返事をすることも無く寺に向かって駆けていく。そんなキャスターを見ながら剣と盾を改めて手に持ちアーサー王へと対峙する。

壁から離れ俺との距離数メートルの所で立ち止まってる。アーサー王も少しキャスターを見ていたが直ぐ此方へと向き直った。

 

「お待たせ。それで、まだ続きやるの?」

「ああ」

「あのさ、お宅らの目的は何よ? 因みに俺はライダーに乞われて彼女のマスターの救済をやってた。アサシンとキャスターにはその手伝い」

「救済だと?」

「そうそう、彼女って寄生虫に寄生されてたからそれを治療するのに協力して貰ってた訳。治療も終わったから後は療養するだけって所で虫の最後のあがきに対応してたらあんた等が来た」

「……」

 

凄い気まずそうな顔してるし……そういや間桐桜はどうなったんだ? 虫爺に取り込まれて俺も捕まって……あれ? 爺はアーサー王に首ちょんぱされてたよね?

 

「つかぬ事をお聞きしますが王様よ。あんた、あのチ〇コ擬きの首(?)を斬り落として倒したよね?」

「? ええ、そうです」

「間桐桜は見つけた?」

「?? 言ってる意味は分かりませんが桜は見つけてません」

 

思わず頭を抱え込むとまた音叉の様な音が響く。今度は使徒レリエルからで虫爺が間桐桜を操って俺を食おうとした時、逆に間桐桜を影に取り込んだらしい。

そのことに安堵の溜息を吐くが問題になるのはアーサー王、雰囲気で流されて戦う気はあったが間桐桜が無事で確保できてるなら無理に戦う事も無い。

どうやって王様との戦闘フラグを叩き折るか……。

 

「改めて聞くけど、目的は何? こっちは話したんだから出来れば教えてほしいんだけど。そうすりゃ折衷案も考えられるからさ」

「それは……」

「こっちとしちゃあんた等と戦いたくないし、戦わんで済むならソレに越したことはないんよ」

 

暫く考えていたアーサー王は大きな溜息を吐いてから観念したように言葉を絞り出した。

 

「間桐桜の救出です」

 

俺も含めてアサシン、ライダーが黙り込む。

 

「「「はぁ??」」」

 

思わず出た言葉が三人でシンクロしてしまった。

 

「つまり俺たちが間桐桜の治療をしていたのを王様とアーチャーは何かよからん事をしてると思って間桐桜を取り戻し(?)に来たって事?」

「私達の目的は元々キャスター陣営への奇襲でした。ですが準備段階でキャスター陣営の魔力の流れが変わりつつあるとアーチャーのマスターから報告があり最初は様子見に徹していました。

 そうすると途中で桜を抱えたライダーがキャスターの元を訪れた。その時の桜の様子が衰弱している様だったのを見たマスター達が桜を取り戻そうと……」

「要するに指針は同じ方向を見ていたが互いの目的を知らなかったから阻害し合って今に至るって感じか……」

 

頭の痛くなる話だ。思わず夜空を見上げながらポロっと口から零れたのは

 

「アホくさっ」

「んなっ……!」

 

その言葉に即座にアーサー王が怒りで顔を赤くして反応したが一度力が抜けた為かまともに相手を出来ん。何せ対立しても実は旨味が何もないのだから。

 

「あのさ、俺はライダーに頼まれて間桐桜を助けに来た。これはライダーにちょっとした縁を俺が感じているから受けただけで、あんた等と戦ったのはアンタ達の目的や行動理由が分からないまま襲い掛かってきたからどちらかと言えば自衛に近い。

 今少なからず話して互いの目的が同じ方向に向いてるのが分かった以上、戦う理由も無いし治療の済んだ間桐桜を抱えて帰ればいいだろ」

「それは……そうですが……」

 

歯切れの悪いアーサー王に肩と両手を上げて何故のポーズをして見せる。

 

「何だよ、こっちはライダーへの義理は果たしたしあんた等は彼女の無事が確保できるんだから文句は無いだろ?」

「……では一つ質問を」

 

どうぞと右手をアーサー王へ向ける。

 

「そもそも何故桜はライダーと一緒に居るのでしょう? ライダーは桜の兄、間桐信二のサーヴァントだったと記憶しているのですが」

「え? ライダー、どうなん?」

「桜が本当のマスターです。シンジはサクラから令呪の1画を譲って貰っていたに過ぎません」

 

細々とした説明をライダーがアーサー王へしている間に俺は影から肝心の間桐桜を出そうとしたら何故かレリエルが拒否反応を示してきたので、頭の中でレリエルに何故かと問うと『同族』だという答えが返ってきた。何ぞ?

質疑応答を繰り返すことで何となく見えて来たのが間桐桜の魔術とレリエルの能力が似通ったものであり、俺を通して人間を知った事で人が自身と似たような能力を持つ事に興味が出たらしい。

『つまり友人になりたい?』と聞けば、回答は『YES』であり、桜本人とも話せているらしい。頭の許容量をオーバーした俺は『そっかー』で間桐桜を出すのを後に回した。

その気になればレリエルの方から連絡するという事なので問題は無いだろう。

 

……あれ? これをセイバー陣営に説明するの俺?

『YES』の意味を込めた音叉の音が頭に鳴り響いた、俺は盛大に溜息を吐いて肩を落としたのは仕方ないと思う。




約2か月に渡って更新が滞りましたが……いつも通りだな!
という訳(?)で更新です。

色んな事情で遅れましたが、読み手には関係ないので事情は割愛!
とりあえず私は健康ではないけど生きてるので執筆頑張ります。
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