祝福と目の覚めない悪夢   作:タラバ554

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2話 胎動

「おはようございます、中真先生。体調大丈夫なんですか?」

「おはようございます。 えっと……」

 

勤務先の学校は分かった。ネットで検索が出来る事に感動を覚えた。だが学校に入る前に原付から降りてきた女性に声をかけられて思わず返事をしたが名前が出てこない。

俺はこの世界の記憶が薄い。

この世界に元々居た俺、中真有香の記憶を持っては居るがそれをしっかり受け止めている訳では無いからか記憶が凄くあやふやになっている。

その所為か目の前に居る話しかけて来た女性の名前が出てこない。

学校前、そして私服で話しかけてくる所を見ると恐らく女性の教員……つまり同僚だろうという事は推測出来るが……。 ここは素直に言うか。

 

「すいません。お名前伺っても宜しいでしょうか?」

「へ?」

 

何言ってんだって顔をされたが先日倒れてから色々と物忘れが酷いという事で納得してもらった。

自分で言っておいてなんだが、そんなので納得するのかよ。

 

「そんな事もあるんですねぇ。まあいいか、藤村ですよ。藤村大河。思い出せました?」

「ん……藤村さん……藤村先生ですね。OKです。覚えました」

「何か思い出せないってより忘れたみたいな言い方ですね。 それで倒れたって言いましたけど最近ちょいちょい起きてるガス漏れにでも巻き込まれたんですか?」

「あー、どうなんでしょう。 実は気が付いたら病院に居たんですよ」

 

軽く事情を説明しながら一緒に中へ、薄っすらと記憶にはあるがやっぱ案内役が居るならそれに越した事はない。

藤村さんが駐輪場に原付を停めるのを待ってから共に職員室へ入ると此方を見た数人から声を掛けられた。

やれ大丈夫か、体調はどうだと問われ記憶が混乱してるから咄嗟に人の名前が出てこなくなったと言うと『初期更年期障害か?』とからかわれてしまった。

精神年齢だけで言えば完全に老人……というか棺桶に入ってても可笑しくない年齢だが身体は若いので『まだ若いわ』と言い返すと驚いた顔をした後、酒に誘われた。意味分からんが取り合えず飲みにいく事には了承した。

後で分かったがどうやら倒れる前、この世界の元々の俺はどうやら物静か……というよりも暗い感じの性格だったらしい。 なので俺の反応がまるで人が変わった様だと言われた。

まぁ実際中身が違うからな。

 

 

 

そんな感じでギクシャクしながらも教師としての生活が1年が過ぎようとする頃、なんとも奇妙な生徒を見つけた……というより絡まれた。

目の前で悪態をついてる天然パーマの男子生徒。 名前は知らん。

言ってる事を要約すると、俺が話していた相手が彼の交際相手で人の女に手を出してんじゃねーぞ。と言いたいらしい。

成る程……俺が相談を受けたアノ子の彼氏は君だったか。

 

「あー、君の名前は?」

「は?」

「だから名前。 俺は君の名前さえ知らんのだが」

「……間桐慎二だよ」

「すっげー苦虫噛み潰したみたいな顔しとる慎二君や、君ちょっと俺と一緒に生徒指導室へ行こうか」

「ハァ!? 何で僕が!」

 

ハイハイ、悪態付くのは良いから来いっつーの。 ちょっと話す事があるんだよ。 大人として。

 

「で? 態々こんな所にまで連れて来て。 何言いたい訳?」

 

ソファーにふんぞり返ってこちらを見下している慎二君だが、非常に重大な事を教えてやろう。

とりあえず長くなりそうなのでコーヒーでも入れながら軽いジャブ程度の質問を放り込む。

 

「君さ。 アノ子とヤッタの?」

「はぁ? 何だあんた? 溜まってんのか? 風俗にでも行ってきたらどうなの? おっと童貞のあんたにゃハードル高かったかな?」

 

自分のセリフが面白かったのか盛大に腹抱えて笑ってる天パを横目で見ながらコーヒーを持ってソファーに座る。

 

「ま、俺が童貞かどうかは置いとくとしてさ。 割りとまじめな話なのよ。 お前さんアノ子と真面目に付き合ってるの?」

「はぁ? そんな訳無いじゃん。 あれは遊びだよ遊び。 それにまだ高校生なんだよ? そんなに自分の先なんて決めれないよ」

 

そうか。と呟いて自分の入れたコーヒーに口を付ける。 まいったなこりゃ。

どう切り出したものか悩みながら視線をさ迷わせる、それが気に食わなかったのか天パは飲み終わったコーヒーカップをテーブルに強く置きながら語尾を粗くしながら聞いてきた。

 

「で? センセーは生徒の遊びに口挟んで何したかった訳? もしかして女でも紹介して欲しかったの?」

「いいや、別に子供なんか紹介されてもね。 ……まあ、仕方ないか」

 

一呼吸、息を吸ってから真面目に彼を見る。

 

「君、彼女と性行為を行ったよね? しかも避妊せず」

「……だからさぁ……それがどうしたんだって言ってるんだよ! あぁ!? そんなにガキの事情を知って何がしたいってのさ?!」

「君の彼女、妊娠してるぞ」

 

 

「は?」

 

慎二君は今自分が何を言われたのか、もしくは全く予想していなかった事を言われて目が点状態になっている。

やる事やってりゃ結果として行為の代償が付いてくるのは当然で、避妊してなきゃ出来て当然。若さ故の万能感で突っ走った結果なのだろうけどその代償としちゃ正直割に合わんと思うが……。

無言の慎二君を前にしながらコーヒーを啜る。それにしても自分もこの一年で大分変わった。前の世界の最後じゃモンスターを殺す事……正確にはレベルを上げる事に躍起になってたが、気が付けばこの世界でネット生活エンジョイしてる。

 

(もう一度家族と会いたいな……)

 

最近若くなった所為か薄れてた過去を良く思い出す。勿論この世界には自分の家族は居ないし、結婚して子供を設けたなんて記録は無い。

暫く無言だった慎二君だったが呟くように声を絞り出した。

 

「何だよそれ……」

 

そこからは知らないだとか、どうでもいいとか言い始めたが、大人としては流石に見過ごせない。

既に腹の中に新しい命が宿っている。どうするかは別として結論は出さなければ。

放置しておけばその分だけしんどい話題なのだ。

 

「落ち着きなって、別に今すぐ結論を出さなきゃいけない訳じゃない。 確かに良い話題じゃないだろうけど、手遅れになって知らされるよりよっぽどマシだろ? 男としちゃさ」

 

忌々しいと言った顔をして暫くすると急に思考に没頭し始めた。

 

「あー、年長者としてアドバイスを一つ出すなら……だけどさ」

「……」

「子供がどうとかじゃなく、その相手とこの先の人生を歩いていきたいかどうかで考えたほうがいいぞ」

「………………無いな」

「じゃあ話は簡単だ。 子供は堕胎してもらう。 費用に関しては親御さんと話すかしてどうにか工面しな」

 

おい、何で素の顔に戻るよ。

 

「おーい、金が無いとか言うなよ?」

「違うよ、何か凄くまともっつーか、普通の大人な反応されたから戸惑っただけさ」

「何だそりゃ。 まあいいや、取り合えず彼女に子供は降ろして貰う様に伝えて、費用に関しては最悪お前の方で持ってやれ。 あっちは体の中を弄くるリスク背負ってるんだ、それ位は……な」

「ふーん……あんたフェミニストな訳?」

「俺が? 無い無い。 単純に問題を片付けるための道筋を教えただけだぞ?」

「……っそ、何にせよわかったよ。 その問題に対しては直ぐに片付くさ」

「そうか? まぁ当人同士が話し合いで解決するならそれでいいし、最悪親御さんが出てくるのは覚悟するのをオススメするよ」

 

入れたコーヒーを全部飲み干して会話を切り上げる。ついでに慎二君のカップも流し台へ。

もう帰ってもいいぞと言うと彼はそそくさと出て行った。帰って家族会議かねぇ……。

 

 

 

とか思ってた時もありました……。数日後に問題発言をかましてくれたはとてもしたり顔で言い放ってくれた。

 

「もう一回聞くけど何でそうなったの?」

「知らないよ。ウチのじじいが裏から手を回したんだろ」

 

この慎二君、よりにもよって親の権力にモノを言わせたのか? いや……ちゃんと聞かないとダメだな。

 

「つまり彼女との問題は解決したけど解決方法までは知らない、そして解決方法を知っているのは君の祖父がやったと」

「そうなるね」

 

頭が痛い。どこのヤクザだよ畜生め。

……ん? ヤクザ?? 何か凄く大事な事を思い出しそうな……。

 

 

「あ!!!!」

「っ! ……ビックリさせないでくれよ」

「あ、あぁ……ちょっと唐突に忘れ物を思い出してね」

「ふーん、まぁいいや。 兎に角、アレの件は解決したって事は伝えたからね」

「ん……まぁ思う所が無い訳じゃないけど、一先ずは片付いたって事にしとくか」

「じゃ、そういう事だから」

 

そう言って慎二君はソファーから立ち上がり出て行った。しかし良く事後報告してくれたな……さっき思い出した原作だと相当なひねくれモノだと思ったけど。

そう、この世界もまたサブカルチャーが基本となった世界。確か『Fate』、運命って意味だっけ。

副題が幾つかあって余り詳しくは知らんがFGOってソシャゲが出てたのは知ってる。後アニメ位か。

しかし気づかないもんだな。まぁアニメ顔が当たり前の世界に10年以上居て、更には家族まで設けた。

挙句そこから更に別世界に行って70年以上生活してりゃ多少の髪色が奇抜程度も『普通』の範疇になるから当然か。

 

あれ? この学校もしかして超危険地帯じゃね?

 

■ ■ ■ ■ ■

 

「で? ライダー、アレで良かったのか?」

(えぇ慎二、後はあの男を私が捕獲します)

「しっかしアイツがねぇ……」

 

今僕は一人で街を歩きながら考えをめぐらす。

僕が使ってる英霊ライダー事『メドゥーサ』 コイツ曰く、あの教師は非常に良い魔力の塊らしい。遊び相手に子供が出来てるなんて忠告してくる教師との会話中に念話飛ばしてきた時はぶん殴ろうかと思ったけど。

でもアイツを捕食すりゃ『霊核を上げてもお釣りが来る』と言われちゃ仕方ない。コイツのパワーアップが出来るなら教師一人位なら安いもんだ。

 

「でも何であんな普通の奴が餌として優秀な訳? 全然意味が分からないんだけど」

(説明は難しいですが……解りやすく言えば持ってるエネルギー量が絶対的に違います。 普通の人間をロウソクの火とするならアレは太陽に近い)

「でもソレって魔力回路とかじゃないんだろ?」

(違います。アレはそういう類のモノじゃない。学校に仕掛けている『魂喰』で言えばあの男一人で数百万を超える人間分のエネルギーが見込めます)

「数百……万?」

 

出てきた単位に思わず足を止め、口からこぼれる。今までチマチマやって来たのがアホらしくなる数値だ。

遠坂に魂喰の邪魔をされてイライラしてたけど、やっと僕に運が回ってきたか。 思わず口元が歪むのを止められない。

 

「ちょっと信じられない数字だけどお前がパワーアップ出来るなら何でもいいさ。そうすりゃ毎度こうやって街に出て獲物探す手間も省けるし」

 

僕は魔術師の家計に生まれながら魔術回路が無い。その所為で自分の家に伝わる魔術すら引き継げない。

お情けで参加した戦争。 お情けで渡された英霊。 そしてイヤイヤ付き従う英霊。

全部気に食わない。 でもソレ等全てをひっくり返したとき……僕は……。

 

「やるぞライダー。 あの男を捕まえてお前の糧にしろ」

(分かりました)

 

現界したライダーが障害者のフリをし、男の前で転ぶ。 暗がりでプロポーションの良い女、オマケにサングラスを掛けて杖を持っている。

察しの良い奴ならアイツを盲目だと思い手を差し出すだろう。 その裏に……男の方に悪意があろうと、善意だろうと関係ない。

その後はライダーのお気に召すまま。 物理的に食事してるのか、それとも性的に捕食してるかは興味がない。 ただただコイツが自分の食い扶持を稼いでるだけ。

それに付き合わされるのは癪だが、必要な事と割り切ってる。 器械にメンテナンスが必要な様に、この英霊には魔力が必要だ。

だが自分はその魔力がない。 なら他から持ってくるまでだ。 アノ男、中真だっけか。 精々僕の為に良い燃料になってくれよ。

 

■ ■ ■ ■ ■

 

やばい、ヤバイ、YA BA I。

色々と自覚した俺は自分が今紛争地帯の真っ只中に居るんだと解ってしまった。前の世界で色々とやばい橋を渡る事には慣れたが何でこう危ない所に居るんだ俺は。

待て待て、落ち着け。落ち着く落ち着く、落ち着くんだ俺……。

まずどうすれば良い? 現状の把握だ。

えーっと……主人公のしろう?(漢字は忘れた)と慎二君が同じ学年で、且つ彼らが高校……何年の時の話だっけ?

3……いや、2年か? 正に今じゃね? ……ふー、何か一周回って落ち着いてきた。

一旦紙にザックリとした関係図書いて頭の中整理してみるか。

 

 

 

よし。うろ覚えの部分もあるけど大体思い出せたな。

教会に槍兵と弓兵、ヒロイン姉に弓兵、ヒロイン妹+慎二君に騎兵、義理の妹に狂戦士、主人公に剣士……あとは何だっけ。

出てないのは……暗殺者と呪術師? 確かコレってセットになってたような気が……。

取り合えず……だ。仕事辞めてしまうか? 後腐れも無いしある意味良い気がするけど。

別世界とはいえ幸いにもココは九州。土地勘はあるから辞めても職探しには困らないだろうし。

自分が前の世界の能力を抱えてるのは間違いないんだがソレが通用するかが分からない。確か色々トンデモ設定のはずだから出力とか違い過ぎるんじゃないかな……あっ、おなか痛くなってきた。

……結局またハロワに通うのか……命の代償としては軽いか。幸い職歴はまともだから再就職も別の学校と受ければいけるやろ。

とか考えながら気分を落ち着かせる為に缶ビールを数本飲んでから横になった。明日は土曜だし良いよね……。

 

 

 

『どうにかなる』そう考えてた時期が俺にもありました。何この状況。

寝て起きたらパンイチでベッドに縛り付けられてるとかどこのドッキリ企画だよ。そういうのは80年代のTV番組とかだけにしてくれ。

そして目の前には紫長髪の全裸の女性。そのくせ眼帯してるってかなりニッチだな……下の毛も紫なのか……ってそうじゃなくて!

 

「やぁセンセ、気分はどうだい?」

「……色々と混乱してるけどさ、取り合えずこのベットに貼り付け状態から開放して欲しいかな」

 

すっごいイイ顔、生き生きとした顔で俺に話しかけてきたのは案の定、慎二君だった。

 

「んで? この状況ってどゆこと?」

「へぇ……意外に冷静なんだね。もっと喚くかと思ったけど」

「あー、その……友人に似たような事やられた事あるからさ。酒飲んでホテルで起きたらコールガールが二人一緒のベットに入ってたり」

 

まぁ本当はコールガールじゃなくてミスラとエルヴァーンのコンビだけどさ。懐かしいなぁ、あの二人とはあの後も何度かお世話になったし。

あ、すごい真顔。いや、全裸のねーちゃんまで驚く事無くね?

 

「まあいいや、取り合えず僕からのプレゼントって事にしとくよ。センセーが童貞だと思ったから筆卸をコイツに頼んだのさ」

「気持ちはありがたいけどさ、流石に拉致してまでやる事じゃなくね? 普通に申し出てくれりゃこんだけの美人なんだから受け入れるっつーの。眼帯してるから顔は分からんけどさ……」

「ふぅん……だってさ、ライダー。リクエストに答えてソレ取ってやれよ」

「しかしシンジ……」

「いやいや、そうじゃなくて開放してくれって言ってんの」

 

慎二君が盛大に舌打ちをしながら呆れ顔でライダーさんを押しのけながらこっちに近づいて来る。

 

「あのさ、五月蝿くないのは良いけど、この状況わかってる? 少しは喚いたりとかは無い訳?」

「んー、ヤルのは良いけどせめて自分の部屋が良いかな。知らん場所でコトに至れる程神経図太くないからさ」

 

あ、慎二君がすっげー嫌そうな顔してる。

 

「何かアンタに付き合うのがあほらしくなって来た。ライダー、後は任せるぞ」

 

そう言うと慎二君はさっさと石階段を登って上へ上がってしまった。……なんかスゲー見られてる気がする。目の前の人は兎も角、周りからの視線が凄くキモチワルイ。

 

「そこの……ライダーさん? 出来ればコレ外してくれます? 色々と面倒だし。ヤルにしてもここは簡便して欲しい」

「……拒まないのですか?」

「? 何で?」

「え?」

「見た目が好みじゃない訳じゃないし……つーか美人だし、アンタとヤル事自体はイヤじゃないけどさ。流石に教え子が用意した場所ではヤりたくはないかな」

 

紫髪の美人はくすりと笑いながら顔を覆っていた眼帯を外してこちらを見つめる、まるで子供の悪戯を見つけた母の様な笑みを浮かべたかと思うと途端に妖艶な笑みを浮かべながら近づいて来た。

 

■ ■ ■ ■ ■

 

蝋燭の火が照らす中、水気のある肉を打つ音が響く。

荒い呼吸音と寝床の軋む音が混ざり合い、正に今男女のまぐわいが行われている事を主張していた。

文字通り若返った体は目の前の美人に対して過剰な程に欲情してしまっている。いくら身動きが取れないように拘束されてるとはいえここまで無抵抗になる事などありえない。

本来なら多少なりと抵抗するべきなのだろうがそんな気が微塵も湧いてこない。あるのはもっと触れたい。もっと抱きたいという思い。

 

「うあっ……また射る…………」

「ふぅ、これでもう何回目か分かりませんね」

 

ライダーと呼ばれた女の中へ何度目かの精を放つ。以前であれば連続なら精々3回も出来ればいい方だったはずなのに射した回数が二桁を超えて尚、自分の分身は硬度を保ったままライダーの中を貫いていた。

余りの快楽に目の奥がチカチカして分身が辛い……にも関わらず体はライダーを求めてしまい、まるで拷問にすら感じ始めていた。

既に全身汗だくで呼吸もまともに出来て居ない。なのに自分の分身が女の胎に納まり快楽を貪っているのだけははっきりわかる。

前の世界の嫁とすらここまで強い快楽を味わった事がない。その快感に脳がいかれたのではないかとさえ思えてしまう。

 

「ハァー、ハァー。……頼む……せめて水」

 

その言葉を受けてライダーは俺の逸物を一度抜き、近くに置いてあった水差しから水を口に含み、口移しで水を飲ませる。

まるで水を飲むのはおまけのようにライダーの唇に吸い付き舌を差し出し、絡めあう。

粘膜の音が呼吸音と共に漏れ出る。ライダーが覆いかぶさりながら貪るようなキスをし、そのまま俺の逸物を自分の胎へと収める。

何度目か分からない挿入、そして襲ってくる快楽。普段ならとっくの果てに萎えてしまっているのに未だ女の胎を貫いている自分の分身に違和感を感じながらも成すすべなく精を放つと同時に意識が飛んだ。

 

「ふぅ……漸くですか」

 

意識の飛んだ男を見てそう一人呟く。既にまぐわいを始めて7時間は経過している。

軽いチャームを使ったとはいえ驚異的な精力、体力で私と交わり続けた男。そのお陰で私の霊核が上がり魔力も充実。おまけに肉体的にも満足が出来た。

シンジの命令とは言え思わぬ拾い物であり、本当の主であるサクラを守る事にも繋がる。ついでに自分も満足が出来る。

そして何よりもあの目。

獣慾の裏に時折見え隠れする情愛の目。今まで向けられた事の無い目。それが何故か心地良い。

 

「折角です。暫くこのまま…………」

 

そう言ってライダーは男の上に覆いかぶさり寝息を立て始める。霊体化せずともこの男の傍に居ればそのあふれ出る魔力だけで現界が叶うと分かっているから。

 

■ ■ ■ ■ ■

 

目が覚めるとそこは自分の知らない部屋だった。体を起こして辺りを見回す。

部屋の持ち主は几帳面な性格なのか、部屋は綺麗に掃除されており余り物を置いていない。ただ匂いから女性の部屋だろうという事は推察出来る。

一応ジャージが着せられているので全裸では無いが、自分の服を着たい。そして猛烈に喉が渇いている。

 

(あれだけヤって汗かいたんだから当たり前か……)

 

喉が張り付いて気持ち悪い。幸い拘束されてはいなかったのでベッドから降りて部屋を出ようとドアノブに手をかけた所で扉が開いた。

目の前には慎二と同じ髪の色をした少女が立っていた。少し驚いた顔をしてから彼女は直ぐに頭を下げた。

 

「ウチの兄がすみません先生」

「は?」

 

(兄? 慎二君のことか? というか妹?)

「あ」

(そうか、ライダーってのは騎兵だ。そして目の前の子があのライダーの本当の主……って事は俺って英霊とヤったって事か?)

 

突然目の前で考え事を始めた男に対して桜は若干の戸惑いを感じながらも声をかける。

 

「あの……先生、ベッドへ戻ってください。まだ疲れてるでしょうし」

「ん? いや、申し訳無いけど帰らないと。迷惑かけたみたいだし……」

「いえ、こちらこそ兄が迷惑をかけたみたいで……、それにライダーも」

「知り合いなんだ? まぁ……女の子に言うのはアレだけど別に嫌じゃなかったし。平気だよ。それよりさ、俺の服ってどうなってる? 着替えて帰りたいんだけど」

「すみません、服は汚れてしまっていたので洗濯中です。食事を用意するので食べていって下さい。その間に乾燥機にかけますから」

 

申し訳無さそうにする妹さんを見て流石に強く言えずにその提案を受け入れる。リビングへ案内されて待っているとしわくちゃの爺さんが出てきて挨拶をしてきた。

 

「桜、この御仁は?」

「学校の先生です、お祖父様」

 

どうやら兄妹の祖父らしい。何かこの爺さんに見られてると凄く嫌な気分になる。具体的にはゴキブリ見つけた時みたいな感じ。確か慎二君が言ってたやべぇじーさん。

取り合えず世間話をして気を紛らわせる。無言でこの爺さんと向かい合ったら全身鳥肌が立ちそうでイヤだ。

 

「では最近こちらへ引っ越してきたと?」

「えぇ、と言っても生まれもこの辺なので仕事の為に引っ越しただけなんですけどね」

「では何かと物が入用では? 型の古い家電でよければ譲る事も出来るがどうかな?」

「いやいや、生徒さんの家族から物を貰ってしまうと賄賂だと言われかねないので……ご好意だけありがたく受け取っておきます」

「ふむ、時代の流れかの。昔ならそんな事も無かったが……」

 

背中に嫌な汗をかきながら話をしていると妹さんから食事が出来たと呼ばれ料理を振舞われた。祖父も一緒かと思っていたら彼は直ぐに何処かへ行ってしまった。

大人しく振舞われた料理を腹に収めて自分の服を受け取り着替える。着ていたジャージに関しては洗ってから返すと言って自分の家へ持ち帰えり、ついでに買い物を済ませてから帰宅する。

マンションに帰り着いて携帯を開いたら既に土曜の21時を回っていた。美人とヤれたのはプラスだけど後の事を考えるとプラマイ0。

盛大にため息を付きながら持って帰ったジャージを洗濯機へ放り込んで回し、その間に風呂に入って体を解す。アレがどれ位やってたか解らないが凄く疲れた。ヤった後に半日以上気を失ってたんだから体力も相当使ったと思う。

風呂上りに買って冷蔵庫で冷やしておいたスポーツ飲料水を飲んで寝た。多分泥の様に眠ったと思う。

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