「退院、おめでとう」
執務室で提督が声を掛けるのは姫との戦いで負傷した三人。
「治療で暫く勤務が出来なくて、本当に申し訳ありませんでした」
深々と頭を下げる翔鶴。それに対して提督は優しく返す。
「いや、謝る必要はない。それよりも、傷は完全に治ったのか?」
「もちろん! 見ての通りです!」
「ふふん。どーよ!」
自信ありげにポーズをとる蒼龍と飛龍。
「なら良いんだが、何かあったらすぐに言うんだぞ」
「はい!」
「はい! 艤装、直りましたよ!」
そう言って、リエは新品の様に光る艤装を瑞鶴に差し出した。
「ありがとう! それにこんなに綺麗にしてくれて……」
「いえいえ、サービスです!」
「今度こそ、やって見せる!」
「頑張って!」
瑞鶴は直った艤装を片手に工蔽から出て行った。
地上棲艦が現れたと言う通信を受けた六人は、早速、現場に向かう。
そこには、六体の戦艦レ級がいた。
既に、変身していた六人はそれぞれ、レ級に挑む。
戦況は、大きく変わらず進んでいるように思われた。
「うぐっ……!?」
病み上がりによる、腕の痛みと視界の歪みに顔をしかめる飛龍。
それを見た相手は一気に飛龍を攻める。
その結果、飛龍は変身が解けてしまった。
人数が減った事により、一行は一気に劣勢に追い込まれていき、遂に戦える者が瑞鶴だけになってしまう。
その時、不思議なことが起こった。
「うおおおおおおああああああああっ!」
突然の雄叫びに動きを止め声の主である瑞鶴を見つめる。
瑞鶴は咆哮を上げると、彼女の白と赤のドレスが黒と灰色に染まっていく。
「……瑞鶴?」
翔鶴は恐る恐る様子を伺う。
「ふぅぅぅ……」
彼女が呼吸を整えたその時、全員の視界から瑞鶴が消えた。
そして、次に見たのは宙へと吹き飛ばされるレ級の姿だった。
思わぬ攻撃に悶えるレ級、困惑する空母達、驚きを隠せない五体のレ級。
「だあああああああ!」
瑞鶴の怒涛はまだ終わらない。近くの一体の胸倉を掴み頭突きを撃った。
更に後ろにいるもう一体にみぞおちを肘で撃つ。
胸倉を掴んだまま吹き飛んだレ級の方へ、投げ飛ばした。
今度は赤城達の前に現れ、二体の頭をそれぞれの手で掴むとレ級の頭と頭を激しくぶつけ合わせるとた。
怯えて動けなくなっている、最後の一体に早歩きで近づくと、顔面を殴り気絶させ、レ級の山に投げ飛ばす。
六体を一ヶ所に纏めたのを見ると瑞鶴は高く飛び、空中で右手で拳を作り、左手で右手首を掴むと相手に向かって落ちていった。
「あああああああああ!」
大槌を撃つように右手を振り下ろすと、地面にひび割れを作り、その衝撃でレ級達を2メートルほど打ち上げる。
さらに瑞鶴は、この内の一体の足を掴むとレ級を振り回し、周りの五体を薙ぎ払う、手にした一体は少し離れた場所に蹴り飛ばした。
「ギャアアアアアア……」
全員が断末魔を上げると大爆発を起こし消滅した。
激しい爆風に目を瞑り、腕で顔を塞ぐ五人。
巻きあがった煙が払われると瑞鶴が一人、立っていた。
「これが……新しい力……」
自身の両手を見て呟く瑞鶴。そこへ翔鶴、蒼龍、飛龍の三人が立ち上がり、それぞれの体の痛みを押さえて彼女に近づくと、口を開く。
「ず、瑞鶴……大丈夫なの?」
「す、すごいよ! 大活躍じゃん!」
「やるじゃん! 私も早く怪我、直さないとなー……瑞鶴ばっか活躍しそうだし!」
真っ先に体の心配をする翔鶴、二航戦は瑞鶴を称賛していた。
それに対して、瑞鶴は得意げに胸を張りながら言う。
「大丈夫大丈夫! 全部、私がやっちゃうから!」
「瑞鶴……本当に?」
心配そうに見つめる翔鶴。そこへ、赤城、加賀もまた寄ってきた。
「どうですか? 赤城さん、加賀さん?」
「貴方……それは一体?」
「さぁ……何か叫んだら出たというか……」
「瑞鶴……翔鶴の言う通り本当に……」
「兎に角! これで、問題はないはずです!」
赤城の反論を遮り、得意げになっている瑞鶴。
赤城と加賀はそれを不安そうに見ていた。