変身空母 赤城   作:作者アアアア

14 / 26
今回から一行の戦いは更に過酷な方向へと進んでいきますが大丈夫でしょう


十四話 翔鶴、叫ぶ

「瑞鶴!瑞鶴!」

 

 飛龍は必至に呼びかけるも加賀への攻撃を止めず、加賀も攻撃を塞いでいる。

 

「ああもう!」

 

 飛龍もまた呼びかけを止め瑞鶴に殴りかかった。加賀は胴体を大きく動かし、避けれないものは手刀で塞いでいた。

 

「瑞鶴。これ以上するなら貴方への攻撃を始めます」

 

 加賀なりに警告を出すが、それでも襲い掛かる瑞鶴。

 

「……分かりました」

 

 加賀は早速、守りに使っていた手刀で瑞鶴を思い切り切り付けた。

 

「!?」

 

 凄まじいスピードで切り付けたからか、彼女の片腕に小さな切り傷が出来る。一瞬、動揺したが、瑞鶴はひるまず加賀の足に蹴りを入れる。

 

「ぐっ!」

 

 重い蹴りに思わず、片膝をついてしまう加賀。そこへ、瑞鶴は加賀の顎目掛けてアッパーを打ち込んだ。しかし、それを両腕で塞ぐ。だがアッパーの威力は凄まじかった。それは、加賀の体が衝撃で飛び上がり廃工場の二階にまで吹っ飛ばされるほどに。加賀が飛んで行ったのを確認すると瑞鶴は両足に力を込めだした。

 

「瑞鶴!この!落ち着けって!」

 

 後ろから飛龍が羽交い絞めにするが、それを振りほどく。更に、みぞおちに肘を打ち込んだ。

 

「ごっ……!」

 

 瑞鶴の一撃に悶える飛龍、その隙に瑞鶴は加賀の方へと飛んで行ってしまう。

 

「飛龍!」

「飛龍さん!」

 

 入り口の方から蒼龍、翔鶴の声が聞こえる、振り向くと赤城ら三人が走ってきていた。蒼龍は悶えている飛龍の背中をさすりつつ言う。

 

「飛龍!大丈夫!?何があったの!?」

「ず、瑞鶴が上に……」

 

 赤城は辺りを見渡す。そして、二階への階段が目に入る。

 

「あれで行きましょう!」

 

 蒼龍は飛龍を肩に抱え、四人は階段を登って行った。辿り着いた先では加賀が一人奮闘していた。

 

「飛龍、ここで待ってて」

「瑞鶴!もう止めて!」

 

 翔鶴は叫びながら彼女に向って走る、その後を追う様に走る赤城と蒼龍。すかさず、翔鶴と追いついた蒼龍が押さえつける。しかし、それでも抵抗し続け、二人はまた叫ぶ。

 

「瑞鶴!お願いだから言う事を聞いて!」

「私達が分からないの!?」

 

 彼女らの声は届かず、二人を振りほどく。

 

「えっ!?」

 

 更に、瑞鶴は蒼龍の胸倉を掴み一階へと投げ飛ばした。

 

「わああああああ!」

 

 蒼龍は一階まで落とされ全身を打った衝撃で変身が解けてしまう。

 

「そ……蒼龍!」

 

 みぞおちの痛みを堪えて、叫ぶ飛龍。

 

「あぁ!」

 

 加賀もついに限界が来たのか、壁まで吹き飛ばされてしまった。壁にもたれてうめき声を上げる加賀にゆっくり近づく瑞鶴。しかし、ここで赤城が何かを思いついた。翔鶴の両肩を掴み言う。

 

「翔鶴!ごめんなさい……!歯を食いしばって!」

「……!はい……!」

「瑞鶴!」

 

 赤城の考えを信じ、歯を食いしばって目を瞑る翔鶴。瑞鶴に向けて叫ぶ赤城。それに対して振り向く瑞鶴。次の瞬間、赤城は、翔鶴の頬にビンタを撃った。

 

「!」

 

 それを見た瞬間、瑞鶴は赤城に飛び掛かってきた。

 

「瑞鶴……」

 

 赤城は腰を落として、左手を瑞鶴の方へ突き出し、拳を作った右手を腰に近づける。

 

「いい加減にしなさい!」

 

 左手を腰へ引きつつ右手を瑞鶴の腹に向けて放った。

 

「がっ……!?」

 

 強烈な一撃により意識を失う、それと同時に変身が解けた。

 

「赤城さん……瑞鶴は……?」

「大丈夫です。気絶させただけです」

「すいません、憲兵の方々を呼んでもらえませんか?」

「分かりました」

 

 そう言いつつ赤城は地面に倒れた彼女の腕に巻かれた艤装を外す。翔鶴もまた艤装の通信機能で憲兵を呼び出した。

 

「翔鶴……先ほどはすみませんでした……」

「いえ、瑞鶴を止められるなら……なんだってします……!」

「翔鶴……」

 

 

 

 少しして、駆け付けてきた憲兵により簡易的な治療の後、四人は鎮守府に担ぎ込まれる。三人は大事には至らなかったが瑞鶴は、目を覚まさず治療室で眠り続けていた。

 

「加賀さん、もう大丈夫ですか?」

「まだ、腕が痛むわ」

 

 鎮守府の一室に集まった五人、加賀は腕をさすりつつ言う。飛龍も顔に絆創膏や湿布貼っていた。

 

「瑞鶴……」

「翔鶴、心配するのは分かるけど……」

「今はリエちゃんから話を聞かないとね……」

 

 本調子になれない二人と終始俯いている翔鶴。そこへ、リエが血相を抱えて入ってくる。

 

「皆さん!お待たせしました!」

「リエさん!何かわかったのですか!?」

「はい!まずはこれを見てください!」

 

 赤城に聞かれて、リエは六枚の紙を机の上に広げた。内容は艤装を使い変身した際の六人のコンディションについて書かれている。

 

「これは?」

「皆さんが変身した時の体調を記録したものです!」

「いつの間にこんなものを……?」

「最初から入っていましたよ?こんな形で役に立つとは思いませんでしたが……」

 

 加賀の疑問に答えるリエ、そのまま続けて言った。

 

「まず、これを見てください。これは心拍数や波長をグラフにしたものです。とりあえずこの赤城さんのものは特に問題はありませんが、瑞鶴さんのを見てください」

 

 リエは瑞鶴のものに指を指した。

 

「見ての通りおかしくなっています。それで……その……」

「どうしたの?」

 

 彼女の歯切れの悪さに口を開く飛龍。リエは一呼吸置き、意を決したように言った。

 

「深海棲艦と同じものでした……」

「……つまり?」

「瑞鶴さんは……深海棲艦になってしまったんです……」

「嘘……」

 

 蒼龍の台詞答えると、翔鶴が呟く。

 

「そんなの嘘よ!」

 

 翔鶴が声を荒げる。

 

「でも、本当にこの結果になったんです!だから……あの人はもう……」

 

 そう言って顔を見られたくないのか一行に背を向けるリエ。その時、赤城がふと窓を見ると一瞬だけ見慣れたツインテールが見えた。

 

「瑞鶴……?」

「赤城さん?」

「翔鶴は治療室へ!後の人は私、リエさんと一緒に工蔽へ!」

「り、了解!」

 

 赤城の唐突な指示戸惑いつつも四人はそれに従った。

 

 

 

 工蔽に辿り着いた五人、しかし、部屋は特に荒れていなかったが窓が開いていた。

 

「艤装は何処に!?」

「確か、机の上に……」

 

 そう言って、長机に指を指した所で叫ぶ。

 

「あ!」

 

 机を見た三人、蒼龍が真っ先に近づき言った。

 

「艤装が五個しかない!」

 

 それと同時に、息を切らしつつ翔鶴が工蔽に入ってくる。

 

「ず、瑞鶴がいません!」

「リエさんはここで、艤装がないか探して下さい!私達は、探しに行ってきます!」

「はい!」

 

 飛龍は翔鶴に艤装を投げ渡し、それぞれの艤装を手に取ると、工蔽を出た。

 最後尾にいた加賀が出ようとした時、リエが呼び止める。

 

「加賀さん!」

「なにかしら?」

「よろしくお願いします!これ以上被害が及ぶ前に瑞鶴さんを……!」

「……」

 

 彼女は何も言わず出て行った。

 

 

 

 瑞鶴を探して近辺の森にやって来た加賀と翔鶴。その時、翔鶴の艤装の通信機能が作動する。

 

「!瑞鶴!?」

『加賀はいる?』

「ねぇ!瑞鶴なの!?」

『加賀はいるって聞いているの!』

 

 彼女はの怒鳴り声に怯む翔鶴。しかし、加賀はそれに答えた。

 

「ええ、ここに」

『ちょうどいいや。そこから近いし今から行くよ』

「ちょっと、瑞鶴!どういう事なの!?答えて!」

 

 結局、翔鶴の事は何も答えず通信が切れる。一方、加賀は何故、交信だけで自分達の場所が分かったのか考えていた。

 

「久しぶり」

 

 宣言通り、瑞鶴が二人の前に現れる。

 

「瑞鶴……」

 

 二人が同時に言う。

 

「翔鶴。皆さんに連絡を」

「はい!」

「さて……瑞鶴」

 

 瑞鶴を睨みつけた。

 

「瑞鶴……貴方にそんな歪んだ力を得て欲しくなかった……」

「今更上司顔しないでよ。散々馬鹿にしたくせに」

「そ、それは。いえ……」

 

 少し考えて言った。

 

「確かに貴方をこうしてしまったのは私の責任です。だから、私が処理します」

「加賀さん……?」

「やる気?いいよ来なよ」

 

 そう言って二人は艤装を腕に巻き、電源上げると構えをとる。

 

「変身」

 

 姿を変える加賀。瑞鶴は左腕を起点に全身が青白い炎に包まれたかと思うと姿を変えた。

 

「加賀さん!止めて下さい!」

「瑞鶴も止めて!」

 

 翔鶴は二人に必死に呼びかけるが、戦いを始めてしまった彼女らを止めることはできない。そこへ、赤城らが駆け付ける。

 

「翔鶴!加賀さん!一体何が!?」

「ああ、赤城さん!二人を!」

 

 悲痛に叫ぶ翔鶴。一方、加賀は高く飛び二本の足でキックを瑞鶴はパンチを打とうとしていた。

 

「もう止めてぇぇぇぇ!」

「翔鶴!」

 

 翔鶴は叫びながら、二人の間に入った。加賀は軌道を変えようとしていたが変えられず翔鶴に当たりそうになる。そこへ、赤城が翔鶴を抱きかかえ飛んだ。それと同時に瑞鶴のパンチが加賀に直撃する。

 

「ぐっ……あぁ」

 

 吹き飛び、木の幹に体を打ち付けると意識を失った。瑞鶴は勝ち誇った顔をすると、去ろうとする。

 

「ちょ、ちょっと待ってよ!」

 

 飛龍はすかさず瑞鶴の腕を掴むが突然、彼女は黒いもやをだしつつ霞のように消えてしまった。驚きのあまり自分の手を見る飛龍。

 

「瑞鶴……どうして……」

 

 両膝を地面に落とし俯き項垂れる翔鶴、そして。

 

「どうしてええええええええ!」

 

 彼女の叫び泣きが響いた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。