本年も本作をよろしくお願い致します。
「提督、少し相談があるのだけど」
加賀は今、執務室で提督と個人的な相談をしていた。
「どうした、今の環境に不満があるとか?」
「いいえ、唯、気になることがありまして」
「気になる事……艤装か?博士か?人間関係か?」
「今は……博士ね。あの人について何か知らない?」
椅子にもたれ掛かり、自身の知っている全てを語る提督。
「博士か……俺が聞いた話だと艤装の開発に配属される前には、別の班にいたらしいが、それが調べても見つからないんだ」
「不明の経歴……ですか……ありがとうございます」
「俺からも質問いいか?」
「……答えられる範囲でしたら」
顔色一つ変えない加賀に、提督は背もたれから背を離し、神妙な顔で聞いた。
「なぜ、博士を調べる?信用か?好意か?それ以外か?」
顎に手を当て少し考えると加賀は、口を開いた。
「そうですね。はっきり言って、艤装に一個人の趣味を導入するような方は信用が出来ません」
「良くも悪くも、生真面目な加賀らしいな」
「悪くも、と言うのはどういう事なのかしら?」
それに対して、提督は一息置き、話す。
「加賀、お前はあと少しだけ馬鹿になれ。あの赤城も実は馬鹿な所があるんだぞ」
「ど、堂々と貶したわね……」
「俺は赤城のそこを好きになったからな」
提督は笑いながら、両手を頭の後ろに回した。
もはや、彼女達の拠点になった工蔽に戻っても、加賀は、神妙な顔をしていた。
椅子に座り、艤装を見つめつつ提督の言葉を思い返す彼女に一声。
「あれ、加賀さんいたんだ」
声の主は瑞鶴で赤城はその後ろで小さくお辞儀をした。
「瑞鶴、あなたこそ赤城さんと何をしているの?」
「あ、それは、私が」
赤城は二人に説明を始める。
「先日、鎮守府付近にも深海棲艦が現れたでしょう。町中にも現れた事もありますし……しかし、瑞鶴も翔鶴も結構力をつけてくれたので、今後は、三人二組、二人三組といった様に、二人以上で組を作って行動する方針に決めました」
「加賀さん、もしかして忘れてた?」
ニヤつきながら話す瑞鶴に加賀も負けじと返す。
「いいえ、憶えています。しかし赤城さん、瑞鶴はまだまだなので、鎮守府付近の警戒だけで良いではないでしょうか?」
「まだ、私が弱いって言いたいの!?」
「ええ」
加賀の煽りに怒りを露にする瑞鶴に対し、赤城が仲裁する。
「まぁまぁ。あの加賀さん、私、これからこの子の訓練をさせるから、何かあったら、教えてくれませんか?」
「え、あの、瑞鶴は私が担当だったのでは……」
「今回は特別です」
「そ、そうですか……分かりました」
「では、訓練場にいるのでよろしくお願いします……」
少し寂しそうにしている加賀を他所に二人は出て行った。
そこへ、一人の少女、もとい博士の助手のリエが近づき、笑顔で話す。
「振られちゃいましたねぇ」
「いいえ」
その時、加賀は、彼女なら何かを知っているのではないかと思い、質問をした。
「突然、すいません」
「はい!何でしょうか!」
「博士の過去ついて何か知らないかしら?」
リエは笑顔で元気よく答えた。
「博士は、今は艤装の研究、開発をしています!昔は人の精神を変えてしまうとても恐ろしい研究をしていました!」
「何ですって……!」
「ごめんなさい……博士には黙っている様に言われましたが我慢できなくて……」
「いえ、ありがとう」
そう感謝していた加賀だったが、どうしても違和感が拭えなかった。
「変身!」
艤装を起動させ姿を変える、赤城、瑞鶴。
訓練場にやって来ていた二人は、早速鍛錬を始めた。
開始と同時に瑞鶴は赤城目掛けて飛び蹴りを放つ。
「はぁ!」
瑞鶴の先制キックを横転で避けると、直ぐに立ち上がり、赤城は瑞鶴の動向を伺いだした。
「せい!せい!ふっ!オラオラ!はぁ!」
パンチ、キックを連続で撃つが全てを受け止める赤城。
「ぐっ……らぁ!」
力を込めて撃ったであろう大ぶりのパンチも止め、赤城は少し距離を取った。
「ふっ!」
そこから、赤城は小さいキックを瑞鶴の弁慶の泣き所に当てた。
「いっ?!」
瑞鶴が顔を歪めつつ、赤城にパンチを撃つが、それも止められてしまった。
「……瑞鶴って」
「えっ?」
瑞鶴の拳を握りつつ赤城が口を開く。
「この戦い方は我流?」
「まぁ……はい……」
それぞれ拳をぶつけあいながら、語り合う二人。
「確かに力は皆の中では一番かもしれませんね」
「鍛えてますから!」
「……これが終わったら話でもしませんか?」
「分かりました」
鍛錬が終わり変身を解いた二人は早速、話を始めた。
「本当に力がありますね、手がまだ痺れています」
「ありがとうございます」
「それに態度、瑞鶴ってもしかしてかなりの自信家?」
「ええ……そうですか?」
頬を掻いて満更でもなさそうな瑞鶴。
それに対して赤城は呟く。
「……強くなりなさい」
「勿論!いっそのこと、最強でも目指そうかな?」
「……この後はどうしますか?」
「んー、素振りでもしますよ」
「ああ、それでは、私はこれで……」
瑞鶴の姿に何も言わない赤城だったが、去り際に突然言い出した。
「瑞鶴」
「はい!」
瑞鶴、赤城の方を向く。
「実は、加賀さんに貴方の指導をするようにお願いしたのは私なんです」
「えぇ!?」
驚く彼女を無視し、話し続ける赤城。
「なぜ私が加賀さんを担当に回したのか、それをよく考えてください」
「教えてはくれないですね……」
「はい、これは自分で見つける事に意味がありますから」
そう言うと、赤城は訓練場から去って行った。
「鉄仮面と組まされた理由……?」
瑞鶴は一人腕を組み、まだ分からぬ答えに頭を抱えるのだった。
年明けに平成ジェネレーションズ、見てきました。