変身空母 赤城   作:作者アアアア

9 / 26
新年あけましておめでとうございます。
本年も本作をよろしくお願い致します。


九話 加賀、調査を始める

「提督、少し相談があるのだけど」

 

 加賀は今、執務室で提督と個人的な相談をしていた。

 

「どうした、今の環境に不満があるとか?」

「いいえ、唯、気になることがありまして」

「気になる事……艤装か?博士か?人間関係か?」

「今は……博士ね。あの人について何か知らない?」

 

 椅子にもたれ掛かり、自身の知っている全てを語る提督。

 

「博士か……俺が聞いた話だと艤装の開発に配属される前には、別の班にいたらしいが、それが調べても見つからないんだ」

「不明の経歴……ですか……ありがとうございます」

「俺からも質問いいか?」

「……答えられる範囲でしたら」

 

 顔色一つ変えない加賀に、提督は背もたれから背を離し、神妙な顔で聞いた。

 

「なぜ、博士を調べる?信用か?好意か?それ以外か?」

 

 顎に手を当て少し考えると加賀は、口を開いた。

 

「そうですね。はっきり言って、艤装に一個人の趣味を導入するような方は信用が出来ません」

「良くも悪くも、生真面目な加賀らしいな」

「悪くも、と言うのはどういう事なのかしら?」

 

 それに対して、提督は一息置き、話す。

 

「加賀、お前はあと少しだけ馬鹿になれ。あの赤城も実は馬鹿な所があるんだぞ」

「ど、堂々と貶したわね……」

「俺は赤城のそこを好きになったからな」

 

 提督は笑いながら、両手を頭の後ろに回した。

 

 

 

 もはや、彼女達の拠点になった工蔽に戻っても、加賀は、神妙な顔をしていた。

 椅子に座り、艤装を見つめつつ提督の言葉を思い返す彼女に一声。

 

「あれ、加賀さんいたんだ」

 

 声の主は瑞鶴で赤城はその後ろで小さくお辞儀をした。

 

「瑞鶴、あなたこそ赤城さんと何をしているの?」

「あ、それは、私が」

 

 赤城は二人に説明を始める。

 

「先日、鎮守府付近にも深海棲艦が現れたでしょう。町中にも現れた事もありますし……しかし、瑞鶴も翔鶴も結構力をつけてくれたので、今後は、三人二組、二人三組といった様に、二人以上で組を作って行動する方針に決めました」

「加賀さん、もしかして忘れてた?」

 ニヤつきながら話す瑞鶴に加賀も負けじと返す。

「いいえ、憶えています。しかし赤城さん、瑞鶴はまだまだなので、鎮守府付近の警戒だけで良いではないでしょうか?」

「まだ、私が弱いって言いたいの!?」

「ええ」

 

 加賀の煽りに怒りを露にする瑞鶴に対し、赤城が仲裁する。

 

「まぁまぁ。あの加賀さん、私、これからこの子の訓練をさせるから、何かあったら、教えてくれませんか?」

「え、あの、瑞鶴は私が担当だったのでは……」

「今回は特別です」

「そ、そうですか……分かりました」

「では、訓練場にいるのでよろしくお願いします……」

 

 少し寂しそうにしている加賀を他所に二人は出て行った。

 そこへ、一人の少女、もとい博士の助手のリエが近づき、笑顔で話す。

 

「振られちゃいましたねぇ」

「いいえ」

 

 その時、加賀は、彼女なら何かを知っているのではないかと思い、質問をした。

 

「突然、すいません」

「はい!何でしょうか!」

「博士の過去ついて何か知らないかしら?」

 

 リエは笑顔で元気よく答えた。

 

「博士は、今は艤装の研究、開発をしています!昔は人の精神を変えてしまうとても恐ろしい研究をしていました!」

「何ですって……!」

「ごめんなさい……博士には黙っている様に言われましたが我慢できなくて……」

「いえ、ありがとう」

 

 そう感謝していた加賀だったが、どうしても違和感が拭えなかった。

 

 

 

 

「変身!」

 

 艤装を起動させ姿を変える、赤城、瑞鶴。

 訓練場にやって来ていた二人は、早速鍛錬を始めた。

 開始と同時に瑞鶴は赤城目掛けて飛び蹴りを放つ。

 

「はぁ!」

 

 瑞鶴の先制キックを横転で避けると、直ぐに立ち上がり、赤城は瑞鶴の動向を伺いだした。

 

「せい!せい!ふっ!オラオラ!はぁ!」

 

 パンチ、キックを連続で撃つが全てを受け止める赤城。

 

「ぐっ……らぁ!」

 

 力を込めて撃ったであろう大ぶりのパンチも止め、赤城は少し距離を取った。

 

「ふっ!」

 

 そこから、赤城は小さいキックを瑞鶴の弁慶の泣き所に当てた。

 

「いっ?!」

 

 瑞鶴が顔を歪めつつ、赤城にパンチを撃つが、それも止められてしまった。

 

「……瑞鶴って」

「えっ?」

 

 瑞鶴の拳を握りつつ赤城が口を開く。

 

「この戦い方は我流?」

「まぁ……はい……」

 

 それぞれ拳をぶつけあいながら、語り合う二人。

 

「確かに力は皆の中では一番かもしれませんね」

「鍛えてますから!」

「……これが終わったら話でもしませんか?」

「分かりました」

 

 

 

 鍛錬が終わり変身を解いた二人は早速、話を始めた。

 

「本当に力がありますね、手がまだ痺れています」

「ありがとうございます」

「それに態度、瑞鶴ってもしかしてかなりの自信家?」

「ええ……そうですか?」

 

 頬を掻いて満更でもなさそうな瑞鶴。

 それに対して赤城は呟く。

 

「……強くなりなさい」

「勿論!いっそのこと、最強でも目指そうかな?」

「……この後はどうしますか?」

「んー、素振りでもしますよ」

「ああ、それでは、私はこれで……」

 

 瑞鶴の姿に何も言わない赤城だったが、去り際に突然言い出した。

 

「瑞鶴」

「はい!」

 

 瑞鶴、赤城の方を向く。

 

「実は、加賀さんに貴方の指導をするようにお願いしたのは私なんです」

「えぇ!?」

 

 驚く彼女を無視し、話し続ける赤城。

 

「なぜ私が加賀さんを担当に回したのか、それをよく考えてください」

「教えてはくれないですね……」

「はい、これは自分で見つける事に意味がありますから」

 

 そう言うと、赤城は訓練場から去って行った。

 

「鉄仮面と組まされた理由……?」

 

 瑞鶴は一人腕を組み、まだ分からぬ答えに頭を抱えるのだった。




年明けに平成ジェネレーションズ、見てきました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。