提督が鎮守府に着任···あれ?   作:征嵐

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 みんな、主がオフニャやら続々と来るイベントやら新要素やらに苦しめられているのは更新速度で察してくれていると思うんだ。
 加えて、この小説のタグには『気まぐれ更新』のタグがある。

 そして、極めつけは今回のお茶濁し回。先伸ばしとも言う。

 ···あとは、分かるな?


13

 視界に映る、敵と敵と敵。海の上を戦場とし、海の上に生きる彼女たちで埋め尽くされた碧海は、その色を失っていた。汚染といえば汚染なのだろうが、別に海水に何かが混じった訳ではない。血もオイルも、涙でさえも、流れてはいない。

 

 視界に映る、敵と敵と敵。黒色の鋼が折り重なるように作り上げた陣形の隙間から、辛うじて海面の碧が見える。

 

 海面だけが黒く染まったその海域で、無数の「敵」に囲まれる純白。紺色と共に存在しているその色は、俗にメイド服と呼ばれる装いのものだった。

 

 

 ◇

 

 

 「···これは、少し不味いですね。」

 

 誰にともなく呟いた声は、わたし自身が纏う艤装の駆動音と、膨大な数の船が立てる波の音に紛れて消えた。微かに口元を歪め、わたしは自嘲した。

 

 「まさか、道に迷うなんて···あぁいえ、海路に迷う、と言うべきですか?」

 

 いついかなる時も優雅たれ。どこぞのうっかり家系のような訓戒を叩き込まれ、そして後続の後輩たちに叩き込んできた。余裕を装うため、そしてその余裕を虚勢にしないために、わたしは笑顔を作る。

 

 巡洋艦クラスが数十、戦艦クラスが数十、正規空母クラスが数十、軽空母クラスが数十、駆逐艦クラスが数十。海面下には潜水艦も潜んでいそうだ。艦隊という区分に納めるべきではないほどの物量が押し寄せている。二倍では利かない数の砲がこちらに狙いを付けている。一度に複数の砲弾を放つことが──個人で集団を相手取ることが可能な擬人兵器とはいえ、流石に気圧された。

 

 そもそも、わたしのもつ小口径の砲では、重巡洋艦クラス以上の装甲には効き目が薄い。本物の艦砲を人間スケールで行使して、脅威となるのは人間までだ。相手が自分を上回る軍艦であれば、その「上回るもの」に下されて終わる。

 

 ──自らを嘲るわたしを守護して立つ、白銀のような例外を除けば。

 

 

 「お久しぶりですね、ニューカッスル元メイド長。覚えていらっしゃいますか?」

 

 揃いの色と、少し異なるデザインの装い。流れる銀髪を風に靡かせ、わたしを背に庇いながら、彼女は名乗りを上げた。

 

 「私はベルファスト。貴女の後任として、ロイヤルメイド隊のメイド長をさせて頂いております。」

 

 

 ──彼女には、勝てない。直感的にそう思った。

 

 わたしたち艦船に、単純に「どちらが強いか」という指標はない。砲の威力や装甲の厚さの差から生じる有利不利、エンジンの馬力や旋回性能といった差異は生じるが、それも決定打とはなり得ない。

 

 戦術兵器である艦船の優劣は、戦術以外では測れない。それが、わたしたち擬人兵器にとっての常識だった。戦術クラス以下の攻撃を無効化するわたしたちの、特権だった。

 

 だが──()()()()()

 

 性能も、搭載する武装も、装甲も、最大速度でも、大した差異はないはずの彼女が、とても強大な、同じ軽巡洋艦──否、同じ艦船ではないナニカに見えるほど、彼女は、『違った』。

 

 「さぁ──敵の皆様。次は、少々痛くなりますよ?」

 

 砲塔が回転し、それぞれが別の方向を指向する。一撃にどれだけの威力を期待しているのか、超広角に、正面180°を覆い尽くす敵の悉くを捉えている。

 

 無茶だと思った。

 

 軽巡洋艦クラス──わたしたちが搭載している15.2センチの砲で、戦艦クラスの装甲を一撃で貫くのは不可能だ。まして、彼女がいま目の前で装填したのは、装甲貫徹能力に乏しい榴弾。

 

 だが──どうしてだろうか。常識でそう捉えたはずなのに、加勢も諫言も、能動的な行動の一切を取れない。それは、死への恐怖からでも諦念から生じた無気力からでもなく、もっとポジティブな感情から。

 

 わたしは、安堵していた。確信したのだ。

 

 ──勝った、と。

 

 

 

 ◇ 

 

 

 

 「それで、指揮官。これからどうするのかしら?」

 

 とりあえず執務室へ連行され、拳銃を没収されました。どうも指揮官です。

 

 同じ擬人化した兵器──特に、同じ重桜陣営ということで(理由がそれだけとは思えないが)意気投合したらしい愛宕の執り成しで、大鳳を拘束したりとか、そういう風にはならなかった。だがそれは、「彼女はどこから来たのか」という重要極まる問題を先送りにするという事でもある。

 

 神による悪戯という真実を、まさか露見させる訳にもいかない。人外の存在である彼女たちに正気度の概念があるのかは知らないが、発狂されても困るし。というか最悪のケースとして邪神艦隊が出来上がる可能性ががが···。閑話休題。

 

 そんな俺の延命が認められたのは、より重大な問題が発生したからだ。···いやまぁ、これも俺のせいなんだけど。

 

 愛宕とイラストリアスは、いきなり指揮用のネットワーク接続型端末に『任務』が届いたことに驚愕していた。もともと俺──『アズールレーン』のプレイヤーは、ゲームタイトルにもなっている『アズールレーン』という陣営に所属していた。その上層部から送られてくる『任務』のことは、彼女たちも把握しているだろう。だが、『アズールレーン』という陣営はおろか、敵対組織である『レッドアクシズ』すらも存在せず、ただ『国連』という一つの組織しかない。

 

 その国連も俺たち『アンノウン』の上部組織ではない。『任務』などという上から目線のオーダーを出せる立場ではないのだ。

 

 国連からの『任務』だと判断した愛宕は無言で笑い、ウイルスの類いかと判断したイラストリアスは、おもむろにロング·アイランドを呼びに行った。

 

 無言でニコニコ笑いながら艤装を出す愛宕は、正直、クソ怖かったです(小並)

 

 

 

 ◇

 

 

 

 「貴女は···」

 

 わたしの目には、もはや彼女しか映っていなかった。こう言えばロマンチックだが、これはそのままの意味であり、まぁ、つまり。

 

 ベルファストと名乗ったわたしの後任は、一撃──厳密には、一度の全砲斉射で、視界を埋める敵の悉くを撃滅した。榴弾が戦艦を()()貫いた時は本気で失神しかけたが、わたしはどうにか窮地を脱したらしい。

 

 「お怪我はありませんか、ニューカッスル···さん?」

 

 今の立場は彼女が上だが、わたしは彼女にとって『先輩』にあたる。どう呼び接するべきか、どう扱うべきなのか、決めかねているようだった。

 

 「えぇ、大丈夫よメイド長。敬語は要らないわ、わたしは貴女の···いえ、わたしは···」

 

 

 ──わたしは、だれ?

 

 

 

 








 でもなんだかんだ評価バーの色に支えられて更新すると思うよ(単純)
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