提督が鎮守府に着任···あれ?   作:征嵐

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 あぁ神よ。···いや、神だっけ? DIO? 存在X? まぁなんでもいいが、ここはとりあえず存在DIOということにしておいて、だ。貴方がくれた恩恵は確か、『超弩級の幸運』だったはずだ。なら、どうして。どうして、こんなことに? ···いや、そんな大層なモノローグが必要なことでもないのだが、とりあえず一言。

 

 「なんで転生先を間違えるかねぇ···。」

 

 アズールレーンも、俺が嵌まっているゲームのひとつだ。艦これに通じる『艦船を擬人化する』というコンセプトのそのゲームには、艦これにはいないキャラも多数いる。その中でもお気に入りのキャラであるベルファストに出会えたのは、幸運なのか···。

 

 「あぁ、神よ···。」

 

 呟いた瞬間だった。以前に経験した感覚が訪れ──世界が停止した。俺の腕も脚も停止しているというのに、体が沈む気配が一向にない。ファンタジーだね。

 

 『私は、神だ···。』

 「出たな。おい、これはどういうことだ!!」

 

 胸に過った嫌な予感を振り払うように声を荒げる。だが、相手はまがりなりにも神を自称する者。俺程度の恫喝にはビビりもせず、俺の一番恐れる言葉を言い放ってしまった。 

 

 『何でも教えてやろう···。』

 

 あぁ、クソ。この台詞を言われてしまったら···もう、この質問を返すしかないじゃないか!!

 

 「俺のことどのくらい好きかおしえて?」

 

 最悪だ。顔も見えない奴に、男か女かも分からない奴に、この俺が誘導されるだと!? 悔しい!! でも(ry

 

 『···え? ホントにそんな事が聞きたいの?』

 「ノれよバカ野郎。」

 

 流れってモノがあるだろう。

 

 『怒った?』

 

 ···この野郎、分かってやがる。分かっててやってやがる。

 

 「···怒ってないよ。」

 

 語尾にハートマークでも付きそうな声色で返すと、満足そうに頷く気配が漂ってくる。もう帰れよお前···。

 

 「それで、質問いいか?」

 『ん? なんぞ?』

 「なんで転生先がアズールレーンなの?」

 『いや、メンテしてたから。』

 

 おのれDMM···。

 

 『DMMとKADOKAWAは許しちゃいけない。はっきりわかんだね。』

 「たつきを返して!! ···なんでKONAMIにはみんな何も言わなかったんだろうね?」

 『メタルギアの知名度が···ね?』

 

 ふぁっきゅー。

 

 『世知辛いのじゃー···って、言ってる場合じゃないんだけど? 僕、結構忙しいんだけど?』

 「あ、いや、うん···メンテなら仕方ないから···詫び石よこせ。」

 

 アズールレーンの運営はそのへん寛大だぞ? 神なら度量の大きいところ見せろよ。 はい、神様のぉーちょっといいトコ見てみたいー。

 

 『ぐぬぬぬ···なら、前に言っていたロンギヌスでも上げようか?』

 「いや、アズレン世界でロンギヌスとか、何の役にも立たないっしょ。」

 

 艦これ世界なら轟沈防止に役立つけど。

 

 『···いつから轟沈がないと錯覚していた?』

 「は? あんの?」

 『いや、無いけど?』

 「もう帰れよ!! なんか要望見つかったら呼ぶから!!」

 

 叫ぶと、いきなり世界が動き出す。慌てて手足を動かして浮力を確保すると、ベルファストとプリンツが腕を持って引き上げてくれた。そのままベルファストにお姫様抱っこされ──えぇ···。

 

 「あのー、ベルファストさん?」

 「何でしょうか?」

 

 悪戯っぽい笑み···ではなく、真顔で返される。え? 冗談だよね? このまま帰投とかないよね?

 

 

 

 

 

 

 

 基地に到着し、硬い地面に足をついた俺は、案内された執務室のすみっこで体育座りをしていた。

 

 「もう、お嫁にいけない···ぐすっ。」

 

 出撃していたのはベルファストとプリンツだけだったらしく、その二人以外は何があったのか知らない。だが、プリンツにバッチリと俺の貴重な(被)お姫様抱っこシーン

を撮られてしまった。うう···。恥ずかしい。感想は? とか色々聞かれたけど、もう柔らかいとか良い匂いとか口走ったような口走っていないような、そんな感じだった。

 

 「恥じらっているご主人様も、大変可愛くていらっしゃいましたよ?」

 「煽らないで···泣くぞ? もう泣くぞ?」

 

 脅しのようで脅しじゃない台詞を吐いていると、扉がノックされた。どうぞ、と、ベルファストが許可を出し···ちょっと? この部屋の主は俺ですよ? なに勝手に入室させてくれちゃってんの? こっちはまだ地べたに体育座りなんだけど?

 

 「はぁ、指揮官。いつまでやっているの?」

 「なんだ、プリンツか。」

 「なんだとは、酷い言い方ね。傷付くわ。」

 「あ、ごめん···。」

 

 目を伏せ、心なしか萎縮したように見えるプリンツに、心が痛む。

 

 「あ、あの、プリンツ···? こ、今度王家グルメ奢るから···。」

 「追い討ちですか? ご主人様。」

 

 おい。そんなコト言っていいのかイギリス艦。お国料理だろ、王家グルメ(スターゲイジーパイ)。まぁ確かに、食えたもんじゃないと思うけどね。食べたこと無いから食わず嫌いなんだけど。だって···ねぇ?

 

 「···海軍カレー。」

 「···で、いいの?」

 「えぇ。一緒に食べに行きましょう。勿論、ビールも付けてね。」

 

 なんでもビールで流し込むのか。流石ドイツ。偏見120%だけど。

 

 だってドイツだよ? ドイツと言えば···「私は戦争が好きだ!」とか言っちゃうやべーやつと、「私は総てを愛している」とか言っちゃうやべーやつの故郷だよ? やばい国に違いない(偏見)

 

 「物凄く失礼なコトを考えている目ね。指揮官。」

 「はい。私の故郷を『対戦車ロケット推進式自爆兵器(但し爆発時期不明)を作るやばい国』と愚弄なさっているお顔をされています。」

 

 その通りじゃん。

 

 「なんら間違っておりませんが。」

 

 認めちゃうのかよ。

 

 と、またドアがノックされる。例によってベルファストが許可を出すと、入ってきたのは当然だが俺の知るキャラクターだった。

 

 のだが。

 

 「ぶっ···なんて格好してんの!?」

 

 入ってきたのは、イギリスの装甲空母イラストリアス。 なのだが、装いが余りに扇情的だった。豊満な胸元が晒され、所々に白いレースがあしらわれたそのドレスに、俺は見覚えがあり──。

 

 「え? でも、これは指揮官様が「この服装がいい」と···。」

 「うん。そうだね、うん。その通りです。はい。」

 

 好感度が100の状態で、アイテム『結婚指輪』を使い、好感度を『愛』から『ケッコン』に昇華させたときにのみ解放される、いくら積もうとショップでは売られないアバター。ウエディングドレス。確かに、アズールレーンをゲームとしてプレイしていたときには、「は? エッロ。こんなんこの衣装一択やろ。」と、ケッコン時からずっとそのままだったが···。

 

 「大変申し訳ないんだけど、着替えて来てもらえる?」

 「指揮官様がそう仰るのであれば、イラストリアスに否も応もありませんわ。」

 

 イラストリアスは、俺にぺこりと頭を下げると、そのまま部屋を出ていった。ホントに申し訳ないと思っています···。だって、ね。立つし。何がとは言わないけど。胸か尻かで言えば胸派の俺にはちょっと厳しい。

 

 「ご主人様、そろそろお時間です。ご準備を。」

 「ん? なんの?」

 

 時間? 時間···あぁ。

 

 「軍事委託、教練、ショップの商品入れ替え、及び演習権の回復です。」

 

 ──この時間か。

 

 

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