提督が鎮守府に着任···あれ?   作:征嵐

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 圧倒的繋ぎ回


29

 ベルを抱き締めよう。

 

 いや、まずプリンツをぶん殴ろう。

 

 殴るのは可哀想だな、二時間くらい正座させよう。

 

 エルドリッジとベルファストを労うのが先かな。

 

 明石とヴェスタルはベルと俺の恩人だな。

 

 ユニコーンも、全体回復ですごく貢献してくれた。

 

 大鳳とジャンバールは、出会ったばかりで信用の薄かった俺に従ってくれた。

 

 グラーフとフッドは、ケッコン済艦ゆえの信頼を基に動いて、負傷した。

 

 ···じゃあ、まずは土下座して謝るべきかな。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 結論から言って、ドックに着くまでの思考は全部無駄になった。

 

 何があったのか? バカお前、そんな不名誉なこと明言する訳ないだろ。

 

 

 そんなこんなで翌日、俺は秘書艦に復帰したベルファストと一緒に、大量の抗議文書を処理していた。

 

 「東煌、重桜、鉄血、ユニオンより正式な抗議文書が二通づつ、それぞれ自国と程近い場所への核攻撃に対する重大な抗議と、放射能汚染への賠償要求です。国連加盟国連名で、過剰報復と事前通告無しかつ軽々な核攻撃に対する抗議と懸念が届いております。」

 「め、メンドクセェ···」

 

 おてがみがきた。ので(順接) へんじをかこう。

 

 では済まないというのが辛いのだ。

 

 「それから、北連大統領·首相より抗議声明が。」

 「北連は国家群じゃなくてただの武装した無法集団だからスルーで。」

 「畏まりました。」

 

 ヴィシアとアイリスは事実上俺達の傀儡政権なのでスルーするとして、ユニオン、ロイヤル、東煌、鉄血、重桜の五ヶ国。今なお物量と火力で国家群最強を掲げ、セイレーンの猛攻を生き延びたユニオンと、島国であり海軍が精強で知られるロイヤルと重桜。ここ三つとの戦闘は避けたい。俺の艦船たちが負けるとは思わないが、物量や奇策に弱いというのは昨日の戦闘で証明された。

 

 鉄血はちょっと微妙で、半世紀前のセイレーンの大攻勢を、なんと陸軍と空軍がゴリ押しで耐え凌いだという。海軍も勿論貢献していたのだが、他国が陸空海1:3:6くらいの比率だったのに対し、鉄血は3:3:4という『リアル鉄人集団』の名に負けない奮闘ぶりを見せていたらしい。爆撃機で戦闘機落とすやベー奴がいたとかなんとか···。

 

 東煌は、保有する海軍を極限まで温存し、重桜まで含む周辺諸国を盾とし時に矛として使い、最後には「付き合いきれんね」と手を引いた重桜に恨み言をぶつけながらセイレーンの猛攻に屈した。···が、いかんせん人口が多い。大量破壊兵器を持たない海上勢力であるセイレーンの殲滅力を、東煌の繁殖力···生命力が上回った。

 

 物量のやべー奴ことユニオン。

 

 精鋭海軍のやベー奴ことロイヤル。

 

 精鋭海軍と奇策のやベー奴重桜。

 

 セイレーンに片足突っ込んでる疑惑のある鉄人集団こと鉄血。

 

 耐久力のやベー奴こと東煌。

 

 「残り全部で五正面···は、無理だよなぁ······」

 「はい。今回の戦闘で、私たちは自身の限界を把握出来ました。それに照らし合わせると、彼らの最終手段──私たちが行ったような、核兵器の釣瓶撃ちには対抗出来ません。」

 「いや、範囲攻撃回避が出来るなら可能だけど···燃料が尽きたら終わりな以上、ジリ貧だな。」

 「はい。ですから、ここは──」

 「妙案が?」

 

 

 ◇

 

 

 またその翌日。食堂にて。

 

 「それではこれより、第一回専属艦会議を開催いたしまぁす!! いえー。どんどんぱふぱふー。」

 「ご主人様、他の艦船の迷惑になりますので声を抑えてください。」

 「はい」

 

 長テーブルを幾つか寄せあい、資料やらおやつやら酸素コーラやらを並べ、専属艦──ケッコン済み艦と物流の要たる明石──を呼び、今後の方針決定をしようという試みである。一応、ここでの決定を全員に通して多数決をする予定だが。ビバ、民主主義。

 

 「指揮官様、もう少し机を寄せて下さいます? 後ろと当たってしまいます。」

 「あ、おっけ。みんな机持ってー、はい、いっせーの。」

 

 薬指に白銀の輝きを纏わせ、この場の末席に加わった大鳳が言う。確かに他の子も食堂を使っているし、無理やり誂えた会議スペースでは些か手狭だった。

 

 「まさか執務室に入りきらないとはなぁ···?」

 

 い、一応艦船たちだけなら入った。机を置くとキツかったので食堂に来たのだが···というかなんで会議室ないん? 大講堂とかいういつ使うのか分からん謎施設よりは要るでしょ。あそこ入ったことないし。

 

 「よいしょっと···指揮官さま、大講堂の方がよろしかったのでは?」

 「タイムリーな···イラストリアス、お前エスパーか?」

 

 或いは俺の表情筋がアレすぎるか。どっちか。多分後者。

 

 「っていうか大講堂ってどんな感じなんだ? 入ったことないんだが。」

 

 イメージ的には、大学の大講堂···おいそのままじゃねぇか。

 もっと言うと、女子大の大講堂っていうイメージがあるので、いち男子たる俺が軽々に踏み込めないって感じ。

 

 「小規模な教室などもありますから、ここよりはこうした会議に向いているかと。」

 「なるほどな? ···先に言ってね、今度から。今回はここでいいや。」

 

 折角だし。というかめんどい。

 

 「それで、何故私まで呼ばれたのか?」

 

 並み居る最高レベル、ケッコン済みの艦船──俺の配下であり、『幸運』の下に集うモノ。世界に祝福された存在たちに紛れて、一人だけどの条件にも当てはまらない者が居た。

 自由アイリスの国家元首にして最高戦力、戦艦リシュリューである。

 

 「あー、うん。その説明も込みで、今から計画を話すよ。」

 

 一拍置いて、全員の顔を順繰りに見つめる。全員の意識がこちらに集中するのを見計らって、俺はこの世界に来て以来初めて、能動的な行動を提案した。

 

 

 




 センター試験初日お疲れ様でした。本日も頑張ってください。
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