提督が鎮守府に着任···あれ?   作:征嵐

7 / 39
7

 国連という組織は、多数の国が集まって形成されている。故に、良く言えば視点が多く、多様な考えが出来る。悪く言えば、組織として一枚岩でないが故に分裂しやすい。今回は、『悪い面』が仕事をしてしまった。

 

 国連本部第二会議室。『アンノウン』指揮官を含む各勢力代表が対話をしていた部屋の向かいで、『ユニオン』と『東煌』──国連でもトップクラスの大規模勢力が対話を行っていた。いや、対話というより打ち合わせか。二人の男が円卓に着き、数人の腹心に脇を固めさせ、手元の端末を凝視している。高速でスクロールされる画面には、航路図や爆撃機の性能が映っている。

 

 「では、決行する方向で。」

 「あぁ。セイレーンもどきなんぞと共同戦線など、ふざけた事はさせん。」

 

 『セイレーン』に深い憎悪を持つ二人の男が憎々しげに見る端末の航路図。赤線で示されたルートの折り返し地点であり()()()であるそこには、『トラック泊地』と記されていた。

 

 

 

  ◇  ◇  ◇

 

 

 「づかれだぁぁぁぁ···。」

 

 スーツのままベッドに倒れ込み、背後のPoWに苦笑されつつ枕に顔を埋める。魔境から脱出した直後だというのもあって、身体中の筋肉が弛緩していた。

 

 「指揮官、せめてスーツを脱いで防弾チョッキを外してから寝ましょう。」

 「あーい···。」

 

 ところで、ここは一応軍事基地であり、駐留しているのは全て軍艦。つまり、対空監視に関してはなんの心配もいらないと言うことだ。

 

 「おじゃましまーす、指揮官!!」

 「お、1:10:00か。」

 「?」

 「?」

 

 入ってきたのは3d5···失礼、サンディエゴだ。やたら建造から出てくることもあってネタ要員扱いされているが、これでも最高レアリティの軽巡洋艦で、対空攻撃に高い適性を持っている。

 

 「あ、ごめんごめん。で、サンディエゴ、どうした?」

 「爆撃機編隊が接近中だよ、指揮官。どうしよっか?」

 

 うわぁ面倒くせぇ···。セイレーンめ、俺の気が緩んだ隙を狙うとは卑怯ナリ···。

 

 「サンディエゴ、何人か連れて出撃。基地に着く前に海上で撃墜しろ。プリンスオブウェールズは、三笠を旗艦、扶桑と山城を中核としてカウンター部隊を編成。敵航空基地か航空母艦──どちらかは不明だが、敵ホームを破壊しろ。」

 

 まぁセイレーンが航空基地を持つとは思えないし、空母だろうけどね。

 

 

  ◇  ◇  ◇

 

 

 「爆撃機隊からの通信、途絶しました···。」

 「そんなバカな事があるか!! 第六世代相当の高性能ステルス爆撃機に戦闘機部隊まで合わせたんだぞ!?」

 「スペア部隊の離陸まで60秒···っ、ミクロネシア空軍基地からの通信、途絶!?」

 「繋ぎ直せ!!」

 

 通常、陸上基地が何の前触れもなく通信途絶した場合は、機器の動作不良やジャミングの可能性が高い。基地そのものの耐久力がそれなりに高く、無線が一個しかない、無線兵が殺されて通信できないという事が無いからだ。。ゆえに、彼らは考えない。()()()()()()()()()()()などとは。

 

 「最寄りの陸軍基地から増援を出せ!! ミクロネシアの海軍を総動員し、トラック泊地への攻撃を続けろ!!」

 

 

  ◇  ◇  ◇ 

 

 

 「···との事です。」

 「マジかよなんだよ味方じゃないのかよ···。」

 

 トラック泊地、執務室。ベルファストが傍受した敵の無線を聞いていると、どうも敵はセイレーンではなく国連らしい。ので。

 

 「ベルファスト、国連に「どういうつもりか」って聞いといてくれ。」

 「畏まりました。ご主人様は──」

 「俺は──うん。ちょっと行って、滅ぼしてくるわ。」

 

 端的に言って面倒になった。だって、ねぇ? 政治的判断とかできないし、敵なら殺せばええやん?

 

 「はい、と言う訳でね。」

 

 執務室に設置された基地内放送用のマイクを取り、スイッチを入れる。

 

 「これから呼ぶ艦は、武装を整えて出撃ゲートまで来てくださーい。えー···」

 

 

  ◇  ◇  ◇

 

 

 「···ちくしょう。」

 

 俺も出撃するつもりではいた。が、それは高速艇か何かに乗って後ろからこっそり着いていくぐらいのつもりで、決してこんなつもりではなかった。

 

 「下ろして?」

 「ダメです。」

 

 迎撃艦隊前衛、プリンツ、愛宕、高雄。旗艦、グラーフ。後衛、フッド、俺onイラストリアス。──はい。またお姫様抱っこです。

 

 「下ろして?」

 「ダメです。」

 

 「下ろし──」

 「ダメです。」

 

 ぐぬぬ。

 

 かなり恥ずかしいが、この状況は結構重要だったりする。考えてみよう。1艦隊につき、編成出来るのは6隻まで。でも、今は俺を含めて7人が編成されている。これは端末の編成画面で『後衛:指揮官』となっていることから、「プレイヤーなのでキャラクター扱いにはならない」という事ではないと判断できる。つまり、「アズールレーン」の時のように、6隻対 た く さ ん 等という史実なら諦めて投了モノの戦いを強いられることがないと言うことだ。

 

 戦いの原則、「偵察」「計画」「圧倒的火力」を守れるって、素晴らしいね。

 

 『ご主人様、よろしいでしょうか?』

 「どうした?」

 

 耳に着けたインカムからベルファストの声が流れてくる。

 

 『はい、今回の襲撃の首謀者を捕縛したので、どうか基地への攻撃は止めて欲しいと。』

 「えー? ごめーん、なんだってー?」

 

 よく聞こえない。きっと波の音のせいだろう。

 

 「あ、ごめんベルファスト。そろそろ作戦開始だから、切るぞ。」

 『畏まりました。御堪能下さいませ、ご主人様。』

 

 はい。ではね。蹂躙です。

 

 




 戦闘描写、いる? いらないよね?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。