多分、誤字や脱字があります。
ですから、発見した場合は私に報告してくれると助かります。
1話
突然に起きた大異変。『狂乱の里防戦』と今後語り継がれる事が終えてから一ヶ月が経った。
時が過ぎゆくなかで色々な事が起きていた。
まずひとつ。それは人里に妖怪が一人も居なくなった。
あの妖怪が暴走してから人間は妖怪が任意的に里を襲ったと勘違いして妖怪を恐れ、受け入れるのを止めた。
だから前、にとりが言った『人間と妖怪の間に見えない線が引いてある』が現実に出来てしまう。
しかし、慧音は半人半獣と人間にバレて居ないため里にまだ住んでいる。まだまだ慧音の他にも人間に正体がバレていない者も居るがその説明はまだ先の話。
二つめ。
一方通行は自分の家を持つと、祝い品を持った知り合いが凄い数、押し入ってきた。
一応、フランとの約束もあり家の鍵を開けていたからこの結果はしょうがないとため息を吐くしかない。
一方通行の家の内装は結構シンプルであり、学園都市に居たときの家に大分近付けて作った。
そう…………色々あったのだ。やっと落ち着きを取り戻しつつある幻想郷は前より変わってはいるが
けど
『幻想郷になんか………、行きたくないっ!!』
と、誰かが口にしただけなのに。
幻想郷に異変が起きてしまった
誰も望まぬ異変が
人里。
人間が通る道を一人の白い華奢な少年が歩いていた。
その白い華奢な少年の本名は多分、知っている者は数少ないだろう。
しかし、本名とは別に違う呼び名をその少年は持っている。その名は
一方通行は里に住んで、月日は経ったため結構ここの暮らしに慣れていた。
金は霊夢や魔理沙と一緒に妖怪退治をして稼いでる。
まあ、金を稼がなくともクズ野郎達から奪って大量に持ってるが、暇だし頼まれたりするから気分的に妖怪退治をしている。
魔理沙は最近、やたら手料理を一方通行に食べさしてる。
どうやら一方通行の不健康でバランスの悪い食事を気にしての事らいし。
前までの彼女ならこんな事はしないだろう。と言うか絶対にしない。
しかし、一方通行のためを想ってやっている。が、こんなこと恥ずかしくて言えないし言わない。
一方通行(さァて……。買い物は済ンだし、帰るかァ)
そんな事をされても気持ちに気付けぬ一方通行は、両手にコーヒー豆が入った袋を大量に入れた買い物袋を持って歩いていた。
一方通行は一週間に一回爆買いをして食品やコーヒーを補充する。それが今日だったらしい。
いつものように歩き、いつものように帰りそして癒しのシャワーを浴びてコーヒーをグッと飲む。
そこまでのプランを頭に浮かべてる時だ。一方通行は周りの人々の視線や表現の異変を感じる。
一方通行(あァ?……。こいつら俺を見てやがるのか?)
いや違う。と次に一方通行は思った。
そう人々の視線が自分の後ろだ、と気付いたのだ。
一方通行(チッ……、誰か俺の後ろに居るってのか________)
足を止め後ろを振り向いた瞬間、思わず「は?」と言葉が出てしまった。
見えたのは銀髪でショートの髪をしていて、髪と同じ色をした片翼を持ち、口を手で塞いでる少女の姿。
「…………」
一方通行「オマエ、なに人にくっついてやがる……?」
少々、容姿に驚き言葉を洩らしてしまったが落ち着いて質問する。
が
「…………」
____沈黙。そのことに一方通行は眉間にシワを寄せる。
一方通行「なに?なンなのオマエ?俺に喧嘩売ってンのかァ?」
イラついた態度で相手の沈黙に言葉を返す。
すると片翼の少女は左右に首を振って一方通行の言葉に態度で答えた。
一方通行「じゃあなンだ?どうして俺について来る?」
「………………………………」
片翼の少女は何も答えないし微動たにしない。
話しても埒が明かない。だから一方通行は空間を自分の家に繋げそのスキマに両手に持つ買い物袋を投げ入れ、片翼の少女の手を掴む。そしてどよめく人達を無視して、人気の少ない所に向かって一直線に走った。
息を荒げる事も無く走り人気の無い細い道にたどり着いた。
一方通行は掴んでいた手を離し壁に寄りかかり片翼の少女を見る。
やはり、彼の行動に驚いていたらしい。
片翼の少女は声は出さぬものの、驚愕の表情を浮かべ此方を見ていた。
そして、口を塞ぐ少女へ一方通行は口を開く。
一方通行「オマエここまでのされても無口なンだな。もしかして喋れねェのか?」
片翼の少女は首を左右に振る。
一方通行「じゃあなンで喋らねェ。っつゥか何で俺に着いて来てた」
「…………」
また返ってきたのは沈黙。
全っっっっ然、反応もしないしジェスチャー的な事もしない。
「…………………………………………………………………………………………………………はァ」
あの幻想郷最強すら困らせる片翼の謎の少女。
相手の意思を読み取る能力何て一方通行は持っていない。だからとりあえず、ため息を吐いた。
もうため息が癖に成りそうだ。
一方通行(こいつは困ったなァ____________)
一方通行「__________っつゥ事でここに来た」
霊夢「いや何で???」
博麗神社に移動して、縁側に座る霊夢の隣に一方通行は座っている。
一応、飛ぶ際に片翼の少女も着いてきていて一緒だ。
一方通行「さっきの説明で話してたあのクソったれに俺は困ってンだ」
木に寄りかかってる片翼の少女に指を差す。
霊夢「ん?」
指の差された方向へ視線を向けるとそこに居たのは、自分の知り合いと言うか言わないか。まあ、知り合い(?)が居た。
片翼の少女の名を霊夢は知っている。
霊夢「あれってサグメじゃない。なんで幻想郷に?アンタ月に居たはずじゃ……」
一方通行「月だと?まさかあいつ月の民なのかァ?」
霊夢「ふ~ん。少しはこの世界以外のことも勉強してたの」
一方通行「俺の質問に答えろ」
霊夢「えぇそうよ。あいつは
一方通行「どうしてそンなやつが幻想郷に居る?ってか俺につき纏う?」
霊夢「わたしがそんなこと知ってるはずないじゃない。サグメ本人に聞きなさいよ」
一方通行「あァ?あいつずっと無口で会話にすらなンねェンだよ。そンなヤツとどォ会話するってンだ」
霊夢「紙にでも字書かして擬似会話なさい」
そう言うと霊夢は一方通行にメモ帳と鉛筆を渡す。そして部屋に入り襖を顔が出るくらいに閉めて
霊夢「じゃ。面倒そうだし私はここまでって事で」
一方通行「ふざけンじゃねェオマエが________」
霊夢「頑張ってねー。あっ、あとサグメを喋らせないでね面倒な事が増えるから。私は面倒なことに巻き込まれたくないしこれから昼寝するわ」
バタン!と襖が閉まった。
どうやら霊夢は情報を教えるだけ教えて後は一方通行に任せるらしい。と言うか、押し付けた。
静寂な空間に取り残された一方通行はただ、怒りを抑えて黙って座っていた。
しかし、立ち上がり片翼の少女、いやサグメに近付く。
一方通行「オマエ、これに俺がした質問の返答を書け」
メモ帳と鉛筆をサグメに渡した。そしたらカキカキの書き始めた。
そして書き終え、メモ帳を一方通行に見せた。
書いてあったのは
サグメ『月に帰りたいけど帰り方がわからない』
一方通行「それでどうして俺につき纏う?」
またカキカキと書き始め
サグメ『あなたから他の人と違う異質なものを感じた。だからあなたなら私の悩みを解決してくれると思った』
メモ帳に書かれてる文を見てまた、ため息を吐きたくなったが何となく堪えた。何の意味もなく。
一方通行「………オマエ、俺がどこの誰でも助ける様なヤツに見えンのか?悪りィが俺は俺の目的以外は動かねェ。だからオマエを助けねェし助けるつもりもねェ」
サグメ『お願いします』
書かれていた字で分かる。彼女は今、必死なんだ。
だからどうした。一方通行はそんな事を知ったとしても助けの手を差し伸べない、救わない。
彼には彼の
彼はヒーローでは無い、彼は善人では無い。
しかし、彼は。一方通行は
一方通行「………チッ、しょうがねェな。断ってもどォせ着いて来そうだし、手伝ってやるよオマエを月に返すの」
柄にもねェ。と頭を掻いて心の中で呟く。
サグメ『ありがとう』
一方通行「クソったれ。それはオマエが帰れてから言えっつの」
ここでは何かと面倒だし場所を変えたい。
一方通行は背中に竜巻を四つ生成、そしてその竜巻を利用して博麗神社から飛び立つ。
するとサグメも着いてきた。
そんな長時間飛ばず、直ぐに目的地に着いた。
そこは何の変哲もない森。
一方通行「さってと………ここなら問題ねェな」
サグメ(???)
一方通行の言葉にサグメは困惑した。しかし一方通行はそんなサグメを無視して、作業に取り掛かる。
一方通行「実はオマエを月に返す方法なンて、もォ俺はとっくに知ってたンだぜ?」
手を何も変わらぬ空間に伸ばす。そして紫の能力、『境界を操る程度の能力』を使用する。
何を隠そう、もう彼はコピーした能力ほとんどを完璧に操作できる。
だからここの空間と月に空間を繋げる事なんて朝飯前だ。っと言っても今はお昼の時間だが。
一方通行の第二の能力、『全てを本物に限りなく近く模倣する能力』それは能力すら模倣できる。
しかし、この能力は模倣するものを完璧に解析、理解する必要があるが、もうそんなのは戦いの中で済んでいた。
第二の能力のオマケ能力。『自動解析能力』がこの幻想郷に来てからずっと発動してたから。
第二の能力は一方通行が幻想郷に来てからもう既に持っていたのだ。だが、それに気付けず時が過ぎていってた。
まあ、『自動解析能力』じゃなく、彼の元々持っていた能力で敵として出てきた幻想郷の住人の能力を解析していたから二度手間と言えるが。
そして、一方通行はこの場の空間を月の空間に繋げて見せた。
一方通行「ホラよ。これを通れば月だ」
サグメ(!?)
まさかの直ぐにお悩み解決となった。
サグメが紫のスキマとデザインが違う、ただ真っ黒いスキマを通れば
一方通行「早く行け。帰りてェンだろ」
サグメはコクっと頷く。
ゆっくりとスキマに歩くサグメ。
面倒だったが、もう悩み解決。
そう、、、、思っていた。
この時は
あと一歩で、サグメがスキマを通る瞬間だ。
サグメ(!?)
急にスキマが崩壊し黒紫の稲妻がスキマから放出され、空間が閉じ大爆発が起きた。
一方通行「……チッ、一体何が起きた……?」
サグメがスキマを通ろうとしてた時、もう一方通行は背を向け帰ろうとしていて大爆発が起きた所から少しだけ離れていた。
しかし、普通なら大爆発に巻き込まれ死んでいただろう。
だが、彼の『反射』が機能したようだ。
一方通行は煙を振り払い視界を確保した。
そしたら見えたのは
一方通行「なンだ…………こりゃ……………」
木は燃え折れ、炎が燃え広がっていた景色だった。
一方通行「………っ!?アイツは!?」
サグメの事が頭によぎった。そして一方通行は周りを見渡しサグメを探す。
すると居た。荒れ、燃える大地に傷だらけで倒れるサグメが
一方通行はサグメの所へ駆け寄り、
一方通行「オイ!!一体何が起きたァ!!話せ!!」
上体を少し起こさせて大きな声で質問する。
サグメ「………………………………っ、…………」
目をゆっくり開けたサグメは、地面に落ちてる燃えかけのメモ帳に書き始めた。
が、手の力が抜け気絶して、書ききる事は出来なかった。
そして、メモ帳は灰となった。
一方通行「クソッ何が起きたンだ!!いや、それは後……か。とりあえずこいつをここから運ぶ」
一方通行はサグメを横抱きして、背中から竜巻を四つ伸ばし、上空へ飛び上がる。
一方通行「チッ…………。くそったれが」
そんな台詞を燃える森を見て吐き捨てた。
しかし、風のベクトルを操作して火を鎮火させ、この場から去った。
周りが石や岩の川の近くに降り、サグメを寝かせる。
次に一方通行は模倣能力で、永遠亭で見た傷薬や包帯を模倣し、適切な手当てをした。
一方通行「………一体何が起きたンだ…………」
ため息を吐いて座り込む。
背を向けていてあの現場を作った元凶を見ていなかった。
だから何が起きたか分からない。何でサグメが大怪我をしたのか分からない。
一方通行「まさか、俺の創ったスキマが原因か…?」
頭に手を当て、冷たい地面の石を見つめる。
その時だ。自分の腕が掴まれた。
一方通行「あン?…………目ェ覚めたか…」
自分の腕を掴んだ者の正体はサグメだった。
サグメは自分の腕を掴むと首を左右に振る。
『貴方のせいじゃない』とでも言いたいのか。
一方通行「……なァ、あの時何が起きた?」
メモ帳と鉛筆を模倣して、サグメに手渡す。
すると寝転がりながら字を書き始めた。
サグメ『あなたの創った扉が閉じ大爆発した。私はどうやら幻想郷から出れないみたい』
一方通行「……は…………?」
返ってきた返答は理解しがたかった。
自分が創ったスキマが閉じ、大爆発したのは無理に理解する事は可能ちゃぁ可能。
だが幻想郷から出られないとはどういうことだろう。
一方通行は最後の文に疑問を感じ
一方通行「何で、スキマが爆発しただけでオマエが幻想郷から出れねェっっつゥ答えがでンだよ」
サグメ『実は……心当たりがある』
一方通行「?」
話はサグメが今日、幻想郷に来てしまった前の話になる。
稀神サグメは月に。
いや詳しく話すと月の都に住んでいた、数々の仲間達と共に。
そんなある日のことだ。
サグメは月の都を歩きながら幻想郷が記された本を暇潰しに読んでいた。
サグメ「…………(へぇ~…)」
口を手で塞ぐことが癖になってしまったため、口を無意識に塞いで読書していた。
その時だ
「サグメ様、地上の本を読んでたわよ」
「へえー…」
女の月の民の話声が聞こえた。
サグメ「…………(なに?悪いのかな?前、一度行ったから少し興味あるだけなのに……)」
ちょっと足を止めてしまった。
別に不愉快に思ったとかイラっとした訳ではない。
ただ何となく。女の月の民があの話のあと、何を話すか気になるだけだ。
「もしかして地上に行きたいのかしら?」
「あ~……多分ね。ほら、地上に堕ちた月の裏切り者達が居るじゃない?そいつらに毒されたのかも……」
「なるほど。どうしてそんなに地上に行きたくなるのかね?お偉い人たちは……?」
「さあ?私達じゃ分かんないことよ」
あはははは、と。
こそこそ話ながら地上(幻想郷)をバカにする話で盛りやがる二人の女の月の民をサグメは無視をして、本を閉じスタスタと自分が住まう屋敷に帰って行った。
そして急ぎ足で自室に入る。
サグメ(別に……行きたい訳じゃないのに)
モヤモヤする。
あの女の月の民の会話が頭の中をグルグル回る。
サグメ(私は………別に………別に…………)
『もしかして地上に行きたいのかしら?』
サグメ「!?」
あの言葉が頭に響いた。
そしたらサグメは
遂に
サグメ「幻想郷になんか………行きたくないっ!!」
我慢しきれず、声に出してしまった。
その時、サグメは『はっ!!』と口を押さえたがもう、遅い。
発動してしまった。
その強力で、自分では操作出来ない恐るべき能力が
その恐るべき能力とは
『口に出すと事態を逆転させる程度の能力』
サグメ『___________って、事があった』
長文でこれまでの事を書き、それを一方通行に見せた。
一方通行「『口に出すと事態を逆転させる程度の能力』ねェ。随分とぶっ飛ンだ能力だ。もしかしたら世界を百八十度ひっくり返せる力じゃねェか」
傷の痛みが和らぎ岩に座るサグメに一方通行は少しのニヤ付いて話す。
一方通行「……もし。オマエの言った能力が本当で、発動しちまったっっつゥならオマエが幻想郷から出れねェて答えを出したのも納得だなァ」
口に出すと事態を逆転させる程度の能力とは。
そのままの意味である。
だからサグメが『幻想郷に行きたくない』と言えば逆の事が起こり幻想郷に強制的に行かされる。
そしてサグメの能力は自分ですら制御出来ないので、『幻想郷に行きたくない』を『幻想郷から出たくない』意味にして能力効果を増やしてしまう。
つまり、あのたった一言で。
サグメを幻想郷に行かせ、幻想郷から出させなくさせてしまったのだ。サグメの持つ恐るべき能力は。
サグメ『だから、私はもう幻想郷から出れない。もう月に帰れない』
一方通行「………、」
無表情で、紙に書き、それを一方通行に見せる。
サグメ『……ごめんなさい、もう大丈夫。この後は私、一人でやる。あの時私の頼みを聞いてくれてありがとう』
ビリビリと文を書いた紙を丁寧に破り、投げ渡す。
そして一方通行が紙をキャッチした時にはもうサグメの姿は無かった。
一方通行「チッ……なに勝手に一人で納得して勝手に諦めてンだ。まァ、俺には関係ねェ。家に帰ってコーヒー飲むかァ…………」
くしゃくしゃに渡された紙を丸め、ポイっと投げ捨てた。そして背中に竜巻を四つ生成してこの場から飛び去った。
サグメ「…………」
何の存在も感じぬ森の場所に飛び降りた。
するとサグメは近場の木にズルズルと寄りかかるように座り込む。
ハッキリ言って今、自分の状況は絶望的だ。
自分の能力はON・OFFが出来る訳では無いので能力が発動してしまうと永遠と能力効果は続く。
だからもう二度と幻想郷から出れない。
もう泣き出したいぐらいだ。
サグメ「…………!?」
瞳から涙が流れ出そうになった時だ。
ガンガンゴンガン!!と鉄を叩く様な音がそんな遠くない所から聞こえてきた。
そんな興味もないが、体がそこへ勝手に動いてしまった。
音のした所に近付き木の影から顔を少し出して覗くと
中年男性が巨大な鉄の塊をハンマーで叩いてるを目撃する。
が、ガサガサと葉を踏んで音がなってしまう。
すると中年男性は音のした方へ驚いた様子で向く。
「何だ!!…………ッ!?…………」
サグメ「……?」
中年男性はサグメの顔を見るなりもっと驚愕した表情を浮かべた。
「も、も、もしかして…………サグメ……様……?」
サグメ(何で私の名前を……?)
「おやおや?その表情。私をお忘れですか…………」
持っていたハンマーで捨て両腕を広げて近付いて来た。
まるで私は敵ではありませんと言いたげに、
しかし、サグメは余りにも中年男性が不気味で後ろへ下がる。
「私は……ですね。"前まで月で暮らしてた者ですよ"」
サグメ「!?」
「あはははははははははっ!!だから貴方の事を知ってるんですよ!!詳しくねえ!!!」
下卑た大きな笑い声で笑うと、急にサグメ目掛けて走りだしそしてサグメを押し倒した。
「はははは、ははははは!!!何て俺はついてるんだ!!あの時。クソカスどもに月から追放されて今後俺の人生はくっっそくそだと思ったが…………、今日!!今日から俺は最高の人生が歩めるぞッ!!!!」
サグメ(……!?)
「おやぁ?『動けない』って顔ですね。それはですね、俺が貴方を押し倒すときにこの麻酔薬を打ったからですよ」
サグメ(ッ!!)
中年男性は注射器を見せびらかしてから、投げ捨てた。
「それじゃあ早速だが貴方の持つ能力でこの俺を最高の人生の勝者にして貰おうか」
ぐへへへと、口からヨダレを垂らしサグメの顔に中年男性は顔を近付ける。
「大丈夫ですよぉ……全ては"正義"の為ですから」
サグメ「…………」
「チッ……、何だよ。言うこと聞けねえってか!?あははははははは!!!だったら屈辱を味わせて無理矢理にでも従わしてやる!!!」
下半身からナニか気持ち悪い突起物のような感触がする。
多分、これはこの下衆な中年男性の"ソレ"だろう。
サグメは今から自分がなにをされるか理解出来た。
いかにも人らしい最低で心底軽蔑した行為だ。
心の中でそう蔑む事は簡単だ。
しかし現実はそう簡単ではない。
何度も心の中で軽蔑しようが何を言っても、この下品な中年男性に犯されるのはどうやっても避けれない。
嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ………………。
恐怖が。絶望が。サグメの心を苦しめる。
そしてその恐怖と絶望が表情に出てしまい涙が流れてしまう。
すると中年男性は、
「うひゃはははははははははっははははは!!!!泣いて絶望して恐怖してる女を犯せるってのは最高だぜぇぇ!!!!」
何十年も寝かせたワインの栓を開ける時のような心の底からの笑みを浮かべた。
サグメの体をやらしい手付きで触り服を破ろうとした、
その時だった。
中年男性は横からの砲弾のような暴風に吹き飛ばされ木に激突した。その瞬間、口から血を吹いていた。
サグメが呆気に取られてると、
「随分と積まンねェ遊びではしゃいでンなァゴミクズ」
「…………ぐっ!!だ、誰だ!!お前!!」
サグメ(あ……、あの人は…………ッ!!)
その白い怪物は裂いたような笑みで言った。
「ただの悪党だ」
「は?悪党だと?ふざけるなぁぁぁぁああああああああ!!!」
一方通行「うるせェな。黙れ」
「うっ!!……………………っ!!」
激怒する中年男性を一方通行は能力全開で地面に顔面が埋まる程伏せさせた。
そして涙を浮かばせてるサグメを発見した。
一方通行「そォか、そォかよ。オマエを殺すことに確定したわ」
顔面が埋まる程伏せさせた中年男性の頭を踏みつけた。
中年男性はジタバタ苦しそうだがそんなの知ったこっちゃない。
一方通行「でェ……。さっきの話声聞こえてたンだけどよ、オマエ。"正義"っつってたけどよォ、ナニ?オマエ正義のヒーロー気取りかァ?」
ズボっ!!と頭を乱暴に片手で掴み地面から抜き取り気を失いかけてる男性に質問する。
ちょっとした間があったが
「…………正義の……ヒーロー…気取りなんかではない。俺は正義のヒーロー、だ」
一方通行「……へェ………」
「俺は……そう、ヒーロー。そうあの時、若い女を殺したのも無理やり少女を襲ったのも野郎を拉致してサンドバッグにしたのも全て。全て正義のため……ッ!!」
一方通行「それで…、オマエは誰を救えた?」
「あは……ははは、それはな…………世界…さ」
一方通行「…………、」
「正義。その正体は力。何をしてもいいということ。それで世界は________」
中年男性が話してる途中。
一方通行は次は殺す気で顔面を地面に埋め込ました。
一方通行「あァ……悪ィ悪ィ。オマエの話長くて聞いてらンねェわ。だからよォ___________」
ぐぐぐ…………、っと頭を掴む力が益々強くなっていく。
一方通行「____________とりあえず、ここで死ね」
トマトでも握り潰すようにいとも簡単に人の頭を潰した。
ブシャッ!!と大量の血が飛び散ったが一方通行には一滴も付いて無かった。
サグメ「………」
今、この瞬間。
人の命が奪われた。
その事は理解できる。しかし、その命を奪った白い少年は、いつものように。この事が当たり前のような態度でただ立っていた。
が、サグメは思った。
「自分のせいでこの人の手を汚させてしまった」と。
だから此方に歩いて来てる一方通行に
サグメ『ごめんなさい』
と紙に書いて見せた。
すると
一方通行「はァ?なに謝ってやがる。悪ィと思ってンならさっさと立てよ」
サグメ『麻酔を打たれて動けない』
一方通行「そンなモン俺にかかればすぐに治る」
頭に手を置き。
麻酔の効果。脳の電気信号を一時的にブロックする事をベクトル操作を使うことで麻酔を打ち消した。
一方通行「これで腕だけじゃなく、全身動かせンだろ」
サグメ(ッ!?………あれ、立てた?)
一方通行が頭から手を離すと、さっきまで立ち上がれ無かったのが嘘みたいに。すんなりと立てた。
サグメ「うっ………………んっ……ぐすっ…………」
今日、絶望して恐怖して、諦めて麻酔を打たれ。と色々な事があった。
そして麻酔が消えたと同時に恐怖も消えた。
すると我慢して我慢して我慢してた。涙が流れた。
彼が助けてくれたから、ここ最近一番の安心を感じてサグメは幼い少女の様に
一方通行「……あン?……チッ………」
薄く頼りなくて、暖かい彼の胸を借りて泣いた。
一方通行は避けることもせず、反射もせず。ただ自分の胸で泣くサグメを慰め撫でることもせず、頭を掻き、舌打ちをしただけだった。
そして数分。
森に少女の泣き声が響いた。
一方通行「………そろそろ。動きてェンだが…………」
サグメ「…………」///
何分も無意識に彼にくっ付いて泣いてた事を一方通行の声を聞き、自分の状況を見て。恥ずかしく思い、頬を染めながら離れた。
一方通行「オマエ神霊なンだろ。だからアホみてェに長生きしてると思うンだが、中身は結構ガキなンだな」
サグメ「…………」
彼の一ミリも気を使わない言葉を聞き、流石にあのサグメでもキレそうになった。
しかし
一方通行「ハッ……。暗くなったり泣いたりキレそォになったり。最初会ったころより随分表情が変化するようになったなァオマエ」
サグメ「………!!」
気付いてしまった。
最初の頃は不安で一杯だったが彼と一緒に居てからどうやら自分は不安が安心に変化してたそうだ。
それは多分。彼の雰囲気がそうさしたのだろう。
なんか、ちょっと………
彼を見ると今まで感じたことのない感情が溢れる。
サグメ「…………」///
一方通行「………あっ、そォだ。オマエを月に返す方法思いついた」
知らんが、もじもじしてるサグメを横目に一方通行は彼女に言った。
一方通行「まァ、っつっても。結構な荒業だけどな」
サグメ「……?」
一方通行「どォする?やるかァ?」
……………………ない。
絶対にない。
あの絶望的な状況を助けてくれた、誰も助けに来てくれ無かったのに救ってくれた彼の提案を『断る』理由がない。
サグメはコクっと頷いて、
サグメ『勿論』
一方通行「……オマエ、どォやら思っていた以上に面白ェヤツらしィな」
少年の普通の笑顔とは言えない、裂いたような笑みを浮かべて一方通行はサグメに近付いた。
一方通行「じゃあ行くぜ。掴まれ」
何色にも汚されてない真っ白な、噴射に近い翼を背中に出現させた。
その時、勿論頭上には天使のような輪っかも一緒に。
サグメ「!?…………」
その美しく素晴らしい光景をサグメは一度見てから、絶対に忘れないと思った。
ただ、真っ白な翼に。神々しい見た目に。
呆気を取られてしまったが。
一方通行「オイ、早く掴まれ」
サグメ(…………あ)
ちょっとキレ気味なトーンで言われて、サグメは慌てて一方通行の右腕にしがみつく。
すると
一方通行「ある程度、オマエに不可がかからねェようにするが。一応、全身に力入れとけ」
サグメはコクっと頷いた。
そして一方通行は昼間なのに見える月を見てから、背中の翼を大きく羽ばたかせ、月に向かって一直線に飛んだ。
移動速度が速すぎるせいで全てのものが、原型もなく見えた。
途中、バギーン!!!と何か砕ける音がしたと感じた時にはもうサグメは月の都に足を付けて立って居た。
まあ、月の都に居るといっても都の外れだが。
一方通行「………ここが月の都か。幻想郷とは違ェなァ」
サグメ「………」
一方通行「あァ?何故行けたと思ってンな。答えはシンプルだ。幻想郷は同じかそれ以上の威力の力を打つけると力は消えンだよ。だから俺はオマエの能力以上の威力で、幻想郷から飛び出したっつゥことだ」
信じられない。
自分の能力は、もしかしたら世界を百八十度ひっくり返せる程の力だというのに。
それを意図も簡単に突破して、自分を月に返してくれた。
一方通行「じゃ、あばよ。二度と面倒なこと起こすなよ_________あ?」
固まってるサグメを無視してスキマを開け、地上に帰ろうとしたとき。
優しく服を引っ張られた。
一方通行「_____なンだよ。俺は帰ってコーヒー飲ンで寝てェンだが…………」
一方通行が振り返ると引っ張った手を離し、メモ帳にサグメは文を書き始めた。
サグメ『一言で伝えられない程感謝してる。ありがとう』
一方通行「…………、そォか。だったら俺がさっき言ったことを守れ、いいな?」
サグメ『分かった』
口を塞いでなかったから、見えた。サグメの笑顔が。
一方通行は自分の目の前に家の空間に繋げたスキマを創る。そして何も言わず、黙ってそのスキマを潜った。
サグメも家に帰ろうと、足を動かした。
いつもどうり口を塞ぎ歩く。
が、何故か彼のことを思い出すと、じんわり暖かくなる。
サグメ(あの人の名前聞いて無かった。何て言うんだろう…………。また、会えるかな?________)
サグメ(また会いたいな)
白銀の片翼の少女は頬を染めて、軽く心の中で呟いた。
しかし、その呟きは同時に願いにもなっていた。