幻想郷を一方通行に   作:ポスター

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最近読み始めたよというお方、どうも!!前回から待ってたよー!っというお方、本当に本当に本当に大変お待たせしました!!!!
ポスターです。

さあ、前回の予告にあった四章も始まりました。
…………ですが、この四章の前半は日常編が続きます。
そしてその日常編が終わると、あの予告にちょっと出た人も登場するストーリーが始まります!!


でも、なー…………
どうせどんなストーリー展開か皆様分かってらっしゃるんでょ?
だって第三章の予告した時にコメントで『次回からは学園都市……楽しみです』って言われたんだぜ!?
って、章の題名がネタバレすぎんだよ!!おまけに次回予告もなぁ!!
っと言う私の独り言は無視して良いので第四章、第一話をどうぞ。


多分、誤字や脱字があります
ですから、発見した場合は私に報告してくれると助かります


第四章 純黒に生きる侵略者
1話


宴会の日から時は経った。

人里の破壊された場所は直りつつある。

これは里の人間全員の力を集めた結果だ。

決して万能な人が何人居ようが成せない事。

そんな里にいち早く家の修理を終わらせたとこがあった。

そこに住んでるのは白い髪に白い肌、赤い瞳の両性的な容姿の人物。

その者は今日行く所があった。

 

その場所とは、

 

一方通行「……よォ」

 

寺子屋。

里の子供達が通う所。

しかし今の時間はお昼時だ。

だから子供達は昼飯を食べため一旦帰宅している。

そのためその寺子屋の一つの教室に人影はない。

 

一人を除けば、だが。

 

慧音「おや、来てくれたか。っと言うことは……」

 

一方通行「あァ。やってやるよ、教師ってやつを」

 

慧音「そうか……、そうか……。それは嬉しいな」

 

普通の人間とは違う半人半獣の彼女は一方通行の言葉を聞くと凄く嬉しそうに微笑んでいた。

 

一方通行「チッ……、そンなに俺にやらしたかったのかァ?」

 

慧音「君は才能がある。超人から見てもずば抜けた才能がね。そんな君が教師をしたら多分、あの子達は普通の人間のようにまともになれるかもしれない。それに私は思うんだ、あの子達には君が一番合っているってね」

 

一方通行「………ガキ達のために、か。オマエは骨の髄まで教師って訳か。で?その困ったガキどもが居る場所はどこだ」

 

慧音「あ、待ってくれ。今地図を書くよ」

 

そう言って並んでいる机の上に紙を置き片手に鉛筆を持つ。

そしてすらすらと書き始めた。

 

慧音「_____良し、書き終わった。ここだよ」

 

ピラッと、渡された紙には線が細かく書かれていたし、ちゃんとその場所の名前も書いてあった。

これなら、迷う心配は無いだろう。

 

一方通行「ここか……」

 

一度紙を見てからそう呟き歩き出す。

目的地はもちろんこの紙に書かれている場所だ。

 

行動が早かった。

そのため慧音がなにか言おうとした時には彼の姿はなかった。

 

慧音「はははっ……やっぱり。彼を選んで正解だったな」

 

あの子達はもう大丈夫。

安心した慧音は、今日も一日子供に学業などを教える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まあ、そんな事があったのだが

それは前の話である。

今は、一方通行は教師が板に付き、あの子供達とも上手く接している。

 

そして、今日。子供達の授業が終わった。

時間は午後の二時。

この時刻が一日の授業を終わらす平均の時間だ。

 

チルノ「…………ねえ!!」

 

なんとも自然に溢れた教室にある、全木製の教卓の上で教科書をまとめていると、一人だけ帰らなかった妖精の少女が強気な口調で話しかけてきた。

 

一方通行「………あン?」

 

チルノ「いつになったら、あたいを強くしてくれるの!!」

 

一方通行「あァ、そォいやそンな約束したなァ俺」

 

チルノ「まさか忘れてたんじゃ……!?」

 

一方通行「じゃあ……今日からやるか?」

 

チルノ「うん!!やるよ!!やるやる!!」

 

一方通行「なら移動するぞ」

 

カッカッタン。と、教科書を纏めて教卓の上に置いた。

そして人などが居なさそうな場所へ歩いて行く、その後をスタスタとチルノが追いかけて行った。

 

途中まで、歩いて行っていたが時間が結構かかると気付くと空を飛んで移動した。

そうすると、すぐに草木が生えている開けた場所にたどり着く。

そこは風が優しく吹いていて、サンドイッチを片手にピクニック気分に浸るには最適な場所だろう。

しかし、一方通行達はそんな事をするためにこの場所に来たのではない。

 

一方通行「……ここでイイか」

 

チルノ「さて、初めようか!!」

 

一方通行「待てバカ。身構えてなにを初めようっつゥンだ?」

 

チルノ「強くなるにはやっぱ修行でしょ?だからお前と戦えばあたいはもっと強くなる!」

 

一方通行はその言葉を聞くと大きく息を吸い込むと、一気に吸った息を吐く。

これは今までに無い、思いっきり全力のため息だ。

 

チルノ「ん?どうしたの?」

 

一方通行「いやァ、オマエがバカだと知ってはいたが俺が思ってる以上のバカだから、普通に進められると思っていた俺がバカと思っただけだ」

 

チルノ「???」

 

一方通行「……チッ、戦えば戦うほど強くなるってのは違うと言い切れねェが。オマエが強くなるためには頭を鍛える。そのためにこのだだっ広い所に来た」

 

チルノ「頭を鍛える?」

 

一方通行「オマエの能力はなンだ?」

 

チルノ「冷気を操る能力」

 

一方通行「それは前まで『程度』ってのが付いてたろ?」

 

チルノ「うん、それが?」

 

一方通行「能力名の『程度』が無くなったのは、決して能力の威力が上がっただけじゃねェ。前まで出来なかった事が出来るようになった訳だ」

 

チルノ「それで何で頭を鍛えるの?」

 

一方通行「………、少しは考えろ。想像力は武器であり力だ。オマエは能力を使って氷の剣を作ったりしてた、そのように能力で出来る事を頭を使って考えろ」

 

チルノ「つまり、ここであたいの出来る事を探せってこと?」

 

一方通行「あァ、分かったならさっさと初めろ」

 

腰を下ろし胡座をかく。

だがチルノは立ったままだ。

 

チルノ「えっ!?ヒントとかくれないの?」

 

一方通行「最初は自分の力だけでやれ。限界になったら俺がヒントをくれてやる」

 

それから、チルノは能力を使い続け、可能性を探る。

しかしどんなに工夫してもそれは『程度』が付いていた時にでも出来た事ばかりだった。

 

チルノ「………………」

 

一方通行「それが、オマエの限界か」

 

続け、続け、続け、続けた。

だが動きを止め立ち尽くす。

これは、『もう限界』と伝えるには充分過ぎる。

 

一方通行「まァ、知ってたンだけどな」

 

そんな台詞を吐いて立ち上がる。

そしてチルノの元へ行った。

 

チルノ「…………えっ」

 

地面の草や木は凍りつき、生えてる草を踏めばザクザクと音がする。

しかし、一方通行の周りだけは凍ってなかった。

それはチルノの制御技術もあるが、一方通行の反射も機能している。

だが一方通行はもうその場所には居ない。

今はチルノの前に立っている。

 

一方通行「オマエは自分の能力を知らなすぎる。だからこの程度なンだよ」

 

チルノ「……だったらどうすれば良いの?」

 

一方通行「最初に言ったろ。頭を鍛えると」

 

ブワン!!と一方通行は熱気を模倣して、それを全体に放つ。

すると周りの氷全てが溶けていった。

 

一方通行「良し、じゃあ教室に帰るぞ。次は楽しい楽しい勉強の時間だ」

 

チルノ「……え、…………えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

それから、一方通行とチルノはさっきまで居た森の教室に帰った。

そして、辛くて泣きだすぐらいではないが、厳しい特別授業が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………数時間後。

 

チルノ「うぇ~……もう無理。頭痛い~…………」

 

ぐて~と、上体を机の上に倒す。

チルノの頭からは、煙が空へ上るように出ていた。

頭をいつも以上に使ったから、オーバーヒートしたのだろう。

 

一方通行「……今日はここまでにしとくか」

 

空は暗く時刻は夜になっていた。

 

一方通行「つゥことだ。もォ帰れ」

 

チルノ「…………明日、明後日は休みだよね?」

 

上体は机に預けたままだが顔だけ上げて呟いた。

 

一方通行「……あァ」

 

チルノ「その二日間って一方通行暇?」

 

一方通行「特に用はねェ」

 

チルノ「だったらあたいに付き合ってくれない?」

 

言葉を聞いた後、少しの間があったが彼は答える。

 

一方通行「……イイぜ。俺の二日間をくれてやる」

 

チルノ「あたいはその二日間で今と比べものにならないほど強くなってみせるよ!!」

 

一方通行「………イイ意気込みだが、最後までその気持ちを持たせろよ」

 

チルノ「うん。ってな訳でお前の家に泊まるね、二日間」

 

一方通行「………………はァ?」

 

こうして、了承してもいないのにチルノが一方通行の家に泊まる事が決定した。

 

正面からチルノは里に入れないため、一方通行は自分の家にスキマを開き、そこからチルノと二人で帰宅する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝。

空は青く、鳥が元気良く鳴く。

そして森の教室には

 

チルノ「今日一日、よろしくね!」

 

一方通行「…………チッ」

 

朝、自分の部屋で寝ていたら上に乗っかられ大声でチルノに起こされた一方通行は今日も一日、一人の生徒のため特別授業である。

そして、授業が始まるが教卓に一方通行の姿は無い。

チルノの隣の席に座り、足を組んでいるのだ。

一方、チルノはというと自分の能力関連の本を開き、紙に書いて勉強中。

読んで覚えるより、書いて覚えるを実行中だ。

 

途中途中、チルノが分からない所があれば一方通行はヒントを教える。

しかし、質問全部を答え、教える訳ではない。所々『自分で考えろ』と一言吐き捨てる場面もあった。

 

チルノ「………………」

 

一方通行「……………………」

 

体勢を変え、肘をつき、集中して勉強中のチルノを見る。

この時、一方通行は疑問が頭に浮かんだ。

 

一方通行「なァ。オマエはなンでそこまで強くなりてェンだ?」

 

チルノ「え……?」

 

ピタッ、と手が止まる。

そして声を掛けられた方へ向く。

 

一方通行「やっぱり最強ってヤツになりてェのか?」

 

チルノ「うん___」

 

持っていた鉛筆を机に転がして答える。

が、続けて

 

チルノ「___最初はね。でも、今は違うんだ。最近、幻想郷は危険なことばかりでしょ。だからその危険から守りたいの、大ちゃんやルーミアやそれに他の皆やこの幻想郷も。初めて本気で何かを失う恐怖を感じてからこの事ばかり考えてあたいは強くなろうと思っていたんだ…………」

 

一方通行「…………」

 

普段のチルノの態度を見ていたらなにも考えてなさそうな癖にその口からは見る目が変わらずにはいられないチルノの心境を表した言葉が出てきた。

 

一方通行「もし………だ」

 

チルノの心境を聞いて一方通行は質問する。

力を求めて過ちを犯した自分の過去を思い出しながら、

 

一方通行「オマエは二万人ぶっ殺せば最強を手に入れられると言われたらやるか?」

 

力を欲している、最強を欲している、子供には難しい質問だ。

この世は何かを手に入れる為に何かを失わなければいけない。そういう現実を子供には突きつけるのは早すぎる。なのに、、、

 

チルノ「やらないよ」

 

真っ直ぐな瞳で間もなく答える。

そして続けて

 

チルノ「あたいが欲しい最強は大切なものを守る最強。奪ったり破壊して手にする最強なんて要らない。それにもしそんな事をして手に入れた最強で、誰かを守るなんて絶対に出来ないと思うな」

 

一方通行「…………そォか」

 

一言呟く。

別にこの質問に意味は無い。

最強、力を欲しているチルノを見てふと思ったから質問しただけだ。

だが、この時一方通行は確信を得た。

もしこの小さな氷の妖精・チルノが最強の力を手にしたとしても、間違った道には行かず正しい光に溢れた道を歩むと。

 

自分とは違い、正しい力の使い方をするのだと……。

 

一方通行「なら、楽な道を選ばずもっと勉強しろ。じゃねェとオマエが欲しい最強にはたどり着けねェぞ」

 

ドスンッッ!!と辞書レベルに分厚い本を何冊もチルノの机に出現させる。

 

チルノ「………………………」

 

自分の机の上に真っ黒なスキマが開いたと思ったら、分厚い本が何冊も重なって落ちてきてその光景に言葉を失う。

一方通行の方を見たら、これら全ても目を通せとなにも言葉を発さず表情にも出さず訴えていた。

それを、察すると……、、、

 

チルノ「うひゃァァァァァァァァッ!!!?コレ全部ゥゥゥゥゥゥッッッ!!??」

 

大きな声で驚かずにはいられなかった。

しかし、だ。チルノは投げ出さない。諦めない。

腹を括って再び勉強に取り掛かる。

昨日、今日と来てこの集中力は凄いと褒めてもバチは当たらないだろう。

 

そして集中力を切らさず午後四時の時刻まで勉強を続けた。

 

チルノ「………………」

 

一方通行「おい」

 

もう、終わりの時間なのにそれに気付かず、机に齧り付くチルノに一方通行は声をかける。

そしたら

 

チルノ「…………ん?」

 

隣に座る、一方通行へ視線を向けた。

 

チルノ「どうしたの?」

 

一方通行「もう、今日はここまでだ」

 

椅子から立ち上がり、チルノの座る机の前に移動する。

そしてノートや本を纏め、黒い自宅に繋げたスキマを開き、そこに適当に投げ入れた。

だが、それでは終わらない。

 

一方通行「俺と一回。手合わせしたらな」

 

開いたスキマを閉じ、そう話す。

 

チルノ「手合わせ?」

 

一方通行「あァ。オマエが今日と昨日で自分の能力がどォいうものか、どンな事が出来るのか大抵は分かったはずだ。だが、それだけじゃダメだ。次は実際に能力を使って理解しろ」

 

チルノ「その為に手合わせ?」

 

一方通行「そォだ。場所はもォ決まってる。このスキマの向こうだ」

 

手を横に向け、また新たなスキマを開く。

 

一方通行「俺は先に行ってる。オマエは少し休ンでから来い」

 

そして開いたスキマの中に一方通行は消えて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方通行「俺は少し休めと言ったが?」

 

チルノ「あたい休むほど疲れて無いよ?」

 

二人は昨日来た、あの草木が生えてる開けた場所に立っていた。

 

一方通行「まァ、イイ。なら始めるが、一つ言っとく」

 

チルノに背中を向けて距離を取ってから、またチルノに向き直り

 

一方通行「俺はオマエの能力のコピー。冷気を操る『程度』の能力しか使わない」

 

チルノ「なんで?」

 

一方通行「そこは自分で考えろ。良し、初めンぞ」

 

次に両手を広げて

 

一方通行「ほら、どっからでもかかってこい」

 

挑発するかのように、手合わせ開始を宣言した。

 

考えても分からないチルノは

 

チルノ「うん。とりあえず…………そうする!!!」

 

体を宙に浮かせ、周りに無数の氷の刃を出現させて、それを放つ。

だが、それは自分と同じ能力に防がれる。

 

チルノ「__ッ!?」

 

一方通行「なに驚いてやがる?最初に言っただろ、俺はオマエと同じ能力を使うって。だったらオマエと同じ事が出来ねェ訳ねェだろォが」

 

氷で出来た壁の向こうに、立ちながら彼は言った。

そして

 

一方通行「それに手合わせだからって気を抜くなよ?大怪我しても知らねェぞ」

 

チルノ「…………。上ッ!!」

 

気付いた時は、もう遅かった。

高速で上空から地面に真っ直ぐに飛んできた、約十メートルの氷の塊は、チルノの手前に激しい音と共に落下した。

すると、衝撃波が発生しチルノは吹き飛ばされる。

だが、それは問題ではなかった。

大した距離に吹き飛ばされなかったのだ。

そう、問題は一つ。

 

あの一瞬の隙を作り、一方通行は姿を消していたのだ。

 

チルノ「居ない…………?」

 

この時、これがどういう意味か分からなかったが次の瞬間には理解する。

 

チルノ「わっ!?」

 

そう、どっから来たか分からない尖った氷の塊が、チルノに向かって飛んできたのだ。

それに一回驚くが、自分も尖った氷の塊を飛ばし、攻撃を粉砕する。

しかし、チルノは冷や汗をかく。

 

チルノ(次はどっから攻撃がくる!?)

 

どこから来るか分からない攻撃とは怖いものだ。

次は後ろか次は前か次は下か次は上か、いや、まさか次は非常識的な所から…………かも。

相手は、あの"一方通行"だ。

他の者が言うように彼は頭が良く回る。

だからこそ、この状況に追い込まれてしまったことに、非常に危険と感じたのだ。

 

一切の気を抜かず、集中して周りを警戒する。

そしたら

 

チルノ「…………え」

 

ここら一帯の地面が凍り付いた。

 

チルノ「………なんで地面なんかを…?」

 

ピシッ。

一度、地面に足を付け一方通行の考えてることを探る。

 

が、直後、真下の地面から巨大な氷柱伸びてきた。

それを横に飛び間一髪、避ける。

ピシッ。

 

だがもう一度チルノの真下から巨大な氷柱が伸びる。

だから横に飛んで避け

 

 

ピシッ。

またまた巨大な氷柱がチルノの真下から伸びたから、宙に浮いて避ける。

 

チルノ「……………はぁ、はぁ。危なかった」

 

もう少し上に上がった所で宙で静止する。

しかし、一方通行の姿は見えない。

 

チルノ(にしてもなんで隠れて攻撃してくるんだろう?そんな事しなくても一方通行なら正面からだって普通に勝て……………………はっ!!)

 

そこで思い出した最初に言っていた言葉を。

『俺はオマエの能力のコピー。冷気を操る"程度"の能力しか使わない』

 

"程度"。

たかが程度、されど程度だ。

能力名にこの『程度』があるか無いかで力は大きく変わる。この事からある考えがチルノの頭に浮かんだ。

それは現在"一方通行は正面から戦うほどの力を持っていない"。

 

少し考えれはすぐ分かるでしょ。っとチルノは自分を責める。

一方通行が使ってる力はあくまで前までの自分の力だ。

しかし、今の自分はあの時とは比べられない程強くなっている。

ならば…………と。チルノは口角を上げて、

 

チルノ(この勝負。一方通行を見つければあたいの勝ちだ!!)

 

今居る場所を見える所を予測して宙に浮きながら移動する。

もし、一方通行を見つけても一発目の攻撃のように防がれてしまうという心配は無い。

一方通行が作り出す氷の壁を貫くことができる強力な一撃を繰り出せば良いだけの話だ。

 

そしてチルノは先程居た所を中心に、円を描くように飛ぶ。

すると

 

チルノ(……、見つけたっ!!!)

 

木の影に隠れている一方通行を発見すると直ぐ様

 

チルノ「凍り付けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!」

 

一方通行に向かって、急接近する冷気を放つ。

そしたらその冷気は、通った場所を問答無用で冷却させながら一直線に進み続け

 

「__ッ!?」

 

気付くのが遅れた一方通行に直撃した。

 

彼の体は勿論、近場の木や地面も一緒に凍り三角形の巨大な氷の塊となっていた。

 

チルノ「ふふーん。今回はあたいの方が一枚上手だったみたいだね」

 

凍り付いた一方通行の前にドヤ顔で着地する。

 

チルノ「さーて、____が……っ!?」

 

勝った。勝利した。

勝負は終わったと思い気を抜いて能力を解除しようとした瞬間だ。

 

パリーン!!と目の前の三角形の氷は砕け、チルノの腹部には三センチぐらいの、小さな物体が直撃する。

 

チルノは両膝を地面に付け、分からぬ物が当たった腹部に手を当てる。

しかし、手で触れてみても当たった何かは無く、何が当たったか正体不明だった。

と、その時

 

「俺は確かに言った筈だ、気を抜くなって」

 

奥の方から声がした。

 

チルノ「えっ、アクセラ…レータ!?何で………じゃ、じゃあさっき居たのは一体……っ!?」

 

一方通行「偽物だ。まァ、人形とも言えるがな」

 

チルノ「人、形………?」

 

ザクザクと氷を踏みつけながら歩き、チルノの前に一方通行は立ち止まった。

 

チルノ「なに、それ……。もしかして最初言ってた事は嘘だったの!?他の能力は使わないって……!!」

 

一方通行「はァ?他の能力ゥ?使ってねェよ。俺はオマエの能力しか使ってねェ」

 

チルノ「そんな……。あたいの能力じゃあんなの…………」

 

一方通行「作れる。ただオマエがその考えにたどり着けなかっただけだ」

 

次に一方通行は自分に瓜二つな氷で出来た人形を作り出す。

 

一方通行「どォだ?こンぐらい誰でも思いつけると思うンだが?」

 

チルノ「………それって……………」

 

一方通行「あァ。ただ氷で作った人形だ。だがこれは俺の思い通りに動くしちゃンと表情も変化する。それにやろうと思えばこの人形は戦うことも出来るぞ」

 

そして、ギャシャンッ!!と隣の氷人形を足裏で蹴り砕く。

 

一方通行「で、だ。チルノ、オマエに質問だ。俺は何処に居たと思う?」

 

チルノ「ここよりもっと奥?」

 

一方通行「そォだ。このことを聞いてなにか疑問はないか?」

 

チルノ「何でそんな遠い場所からあんな正確にあたいに攻撃出来たんだろう……って」

 

一方通行の氷人形を見つけた地点は、この草木が生い茂る林ではチルノの居た場所をギリギリ見えるかどうかだ。

だがしかし、一方通行はそんな場所よりもっと奥に居たというのにチルノの居る所を正確に捉えていた。

 

一方通行「答え合わせをしてやるよ、どォして俺が遠い場所からでもオマエの位置を分かったか。それは音だ」

 

チルノ「音?」

 

木を背にして座る一方通行の隣にチルノは腰を下ろす。

 

一方通行「まず最初俺は地面に氷を張った。それは氷を踏ンで割れる音を聞くためだったンだ。俺とオマエ以外この辺りに生物は居ない。だからもし、氷を踏んで割れる音がしたらオマエが居る位置が分かるって仕組みだ」

 

チルノ「へぇ~……」

 

一方通行「これで分かっただろ。オマエの能力は敵の位置を確認することも出来るし、ダミーも作り出せる。それに________」

 

説明を続けながら手の平に氷で出来た一丁の拳銃を造った。

 

一方通行「作れる武器は剣だけじゃねェンだぜ」

 

チルノ「ん?なにコレ?」

 

一方通行「銃。まァ、俺の前まで居た世界に存在する武器の一つだ」

 

チルノ「ふーん。そうなんだ~」

 

その氷の銃を手に取り不思議そうに見ていた。

が。触っている最中チルノの指がトリガーを引き、、、

バンッ!!と氷の弾丸が放たれた。

しかし運が良かった。

銃口は下を向いていてどちらも怪我はない。

 

チルノ「……………………」

 

一方通行「言い忘れたがそれをさっきオマエに撃った」

 

チルノ「え、えぇ!?良くあたい無事だったな………」

 

一方通行「そンなモンを俺が考え無しに撃つと思ってンのか。ちゃンと計算してオマエが作った氷で銃弾の勢いを殺したっつの」

 

そう。最初から一方通行はここまで計算していたのだ。

そして全て計画通り事を進ませ、勝利した。この手合わせを。

 

 

そして手合わせが完全に終了した時には、もう空はオレンジ色に染まっていた。

だから今日はここまでにして、二人は一方通行の家に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

守りたい。失いたくない。

大事に、大事にしているもの。

もしもそれが無くなってしまったら今の自分は完全に崩壊する確信がある。

 

だから。あたいは、努力というものがどんなにカッコ悪くても、ダサくても、女々しくても、全部の危機から守れるほど強くなりたい。

 

 

だけどね…………そのあたいの守りたいものの中にお前が居るんだよ、一方通行。

 

たった一人で、多くのものを守ってきた。

そして毎度事件を無事に終わらせ、あたい達の元に帰ってくるお前が、一方通行があたいは___________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝の5時。

 

 

チルノ「…………………」

 

そっと一方通行の居る、部屋に忍び込み顔が良く見える場所に座る。

そして熟睡する彼の表情を見て、チルノは小さく笑ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この楽しくて、嬉しくて、苦しくて、熱い気持ちは一方通行

お前に出会わなければ、一生あたいは抱かなかったと思う。

 

そう……思うの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方通行が目を覚ました時には、チルノは家に居なかった。

だが、何処に行ったのか一枚の紙で分かった。

 

一方通行(『先に行ってる』…………か)

 

この一人で住むには大きすぎる家の、リビングの机の上にお握りが二つ乗っかってる皿の横に置いてあった紙を手に取り、読んだ。

そして次に小さなお握りを見る。

この家に居たのは自分とチルノだけだ。

 

つまり、この家で朝早く起きて、小さなお握りを作れるのは一人しか居ない。

 

一方通行「…………」

 

手紙を置き小さなお握りを手に取る。

そしてパクっとお握りを頬張った。

 

一方通行「…………………………チッ、塩気が多すぎだクソったれ。どンだけ多くの塩使って握ったンだあのバカ」

 

顔を顰めながらそんなことを言っているが、一つ食べ終わるともう一つのお握りへ手を伸ばし、その塩気が多すぎるお握りを頬張る。

 

一方通行「………………。俺も行くか」

 

お握りを全て平らげ真っ黒いスキマを開く。

そしてあの自然に溢れた場所にある教室に行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チルノ「……お。やっと来た」

 

一方通行「待ってたのか?」

 

チルノ「うんっ、自習しながらね。で、今日は何をすれば良いの?」

 

一方通行「なンもねェよ」

 

チルノの隣の机に足を組んで座りそう言った。

 

チルノ「…………えっ?」

 

一方通行「オマエは昨日一昨日で知恵は充分身につけられただろう。そうなると後はオマエ自身でどォにかするしかねェ。俺がオマエにしてやれるのは能力についてヒントやアドバイスをすることだ。だからもう俺の役目は終了だ」

 

チルノ「………結局あたいは本を読んで書いて覚えてしかしてないよ。それで強くなれたのかな?」

 

一方通行「頭を鍛えると言っただろォが。それで良いンだよ。後はオマエが手に入れた知識をどンな風に工夫するか確かめて全て終わりだな」

 

チルノ「確かめるって前の時みたいに見せれば良いの?」

 

一方通行「違う。今からオマエは今までの知識を元に試行錯誤しろ。そして、ある程度の自信を持ったら昨日手合わせした場所に来い。そこで俺は待ってる」

 

スッと腰を上げスキマを開く。

 

チルノ「…………試行錯誤しろって言われても」

 

今にでも、行ってしまう彼の背中に弱音を溢す。

だがしかし一方通行は振り返りもせず、立ち止まることもせず黙ってスキマの向こうへ行ってしまった。

 

 

そして、一人残ったチルノは

 

 

チルノ「……………………………………。ふー。やるか!!それしかあたいに道はないんだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チルノ「…………お待たせ」

 

あのままスキマは繋げたままであり、そこからチルノが待ち合わせ場所に来た。

 

一方通行がチルノの前から去って、二時間。

たった二時間でチルノはこの場に来た。

 

チルノ「じゃあ始めよう」

 

一方通行「あァ。その前に今回は前回と違うところがある。それは今回俺は普通に自分の能力を使わせてもらう」

 

チルノ「構わないよ。全然」

 

一方通行「そォか」

 

呟いた次に一方通行は首の関節を鳴らす。

そして、

 

一方通行「チルノ、今から見せて貰うぞ。オマエの集大成」

 

チルノ「うん。一方通行をガッカリさせないように頑張る」

 

その言葉に思わず、少し口角が上がってしまった。

でも、だからと言って負けてやる理由にはならない。

 

一方通行「手合わせ、開始だ」

 

ズンッッ!!!!

一方通行から、全体に烈風が吹き荒れる。

チルノは宙に体を浮かせ、空を自由に舞い、一方通行から距離を取る。

 

そして、離れた空からチルノは余りにも巨大過ぎる氷の塊を飛ばす。

しかし、それだけで終わらない。

更にその後ろから、無数の氷柱を放っていたのだ。

 

後ろから放たれた氷柱は巨大過ぎる氷の塊を砕く。

だが砕けた氷の塊の破片達の勢いはそのまま。っということは氷の塊の破片と無数の氷柱。

その両方がチルノが見渡す地上全体に降り注ぐ。

 

勿論、一方通行の居る場所にも降り注いでいる。

 

一方通行は迫る氷柱と氷の塊の破片を地面を強く殴り、その衝撃でチルノの全ての攻撃を粉砕した。

別に衝撃が出来ればどこを殴ろうが蹴ろうが変わらない。

一方通行はたた衝撃を欲していた。

そして、その衝撃を空全体に向け氷を砕く。

それがしたかっただけなのだ。

 

だから、思いっきり殴られた地面は何も変化はない。

これは殴って生まれた衝撃を全て、空へ向けた証拠でもある。

 

一方通行「チッ。これじゃ前と変わンねェぞ」

 

空に居るチルノへ片手を伸ばす。

すると、大気のベクトルを操り、自分の元へ集める。

そしたらまるでブラックホールのように、周りの物全てが一方通行に吸い込まれる。

だが心配はない。

普通ならこれは自殺行為に近いが、物体が彼に近付いた瞬間、反射が発動して粉砕される。

 

 

空に居るチルノは

 

チルノ「……う、ぐぐぐぐぐ、体が引っ張られる……!!!」

 

大気の流れと葛藤していた。

この状況は非常に不味い。

 

もし、このまま体が引っ張られ一方通行の元へ吹っ飛ばされたら、彼の反射を食らいゲームオーバー。

だがこれの他にチルノはもう一つ、考えが浮かぶ。

それは

 

チルノ(今、全ての物が一方通行の元へ引っ張られてる。なら、どんな攻撃でも一方通行の所に飛んでいく!?)

 

そう、今。どんなに適当な場所に攻撃を放とうが良い。

そうどうでも良い。だって勝手に一方通行の場所へ行ってくれるのだから。

その事実を発見すると

 

チルノ「それそれー!!いけいけぇぇぇえええええ!!!!」

 

どんな形をしてようが関係ない。

氷を豪速球で当たれば怪我は確定。

なら、と。

チルノは空に氷の粒を撒き散らした。

 

すると、その氷の粒は一直線に一方通行の所へ

 

 

だが

 

一方通行はその行動を見て笑う。

まるで罠にかかった獲物を見るが如く

 

そして大量の氷の粒は一方通行に向かって飛び、当たる…………と思った瞬間反射が機能する。

そしてだ。解除した。

自分の元へ全ての物を引き寄せてたベクトル操作を

 

結果

今まで通り、反射された物体は飛んでいく。

もしも、さっきのままだったら反射された物体は吹っ飛ばされる力と引き寄せられる力、その両方が一気に襲い粉々になる。

だが今はそれが、無い。

 

チルノ「う、うわっ!?」

 

無数の氷の粒が反射され、自分の所へ飛んできた。

だからチルノは慌てて目の前に氷の盾を生成する。

しかし、遅かった。わずか数秒程度だが……

 

チルノ「…………っ…………くっ」

 

ほんの少しの数は防げなかった。

身体中に切り傷が出来た。が、一ヵ所。

大きな傷が右肩に、、、

 

チルノは右肩を押さえて地面に立つ一方通行へ視線を向ける。

 

 

 

 

一方。

 

 

一方通行「さっきのように適当に作った氷なら、注意する必要はねェ。だが、もし考えて作った氷なら注意してぶち壊す」

 

背中から、四つの竜巻の翼を伸ばす。

そして自分も空へ舞う。

 

両者、空を飛ぶ。

が、しかし一方通行とチルノは結構離れた距離に居る。

 

間があった

 

そして最初に行動したのはチルノだった。

一瞬で背後に円上に水色の弾幕を設置する。

そして両手に氷で造形された剣を持ち、スカートに飾るように同じく氷の剣が何本も。

 

そして、雄叫びがあった。

その声の主はチルノだ。

 

チルノは雄叫びと共に一方通行に突撃する。

次に両手の剣を振り下ろした。と同時に弾幕が一斉射撃。

しかし、一方通行はチルノが振り下ろした剣を片腕を払っただけで破壊し、弾幕を反射する。

反射された弾幕はチルノに直撃して、爆発音が轟き、灰色の煙が立った。

 

突撃をし、吹き飛ばされた………のだが。

チルノは笑っていた。

それに一方通行が気付いた時に、チルノは吹き飛ぶ勢いを殺し、体勢を立て直し宙に立つ。

 

 

チルノ「……………………ダメだね」

 

一方通行「?」

 

チルノは笑っていた。一方通行に一発も攻撃を当てられていないのに、劣勢と呼ぶべき状況に立っているというのに、だ。

 

チルノ「どんな事をしてもあたいの攻撃は当たらない。一方通行を相手に工夫してどうこうなるとは思えないよ__________」

 

ただし、と続ける。

その時その瞬間。チルノのは全身に力が一段と入っていた。

 

チルノ「それは前までのあたいだったらの話だっ!!!!!!」

 

片手を空へ伸ばしスカートに纏っていた氷の剣がチルノの背後で円を作りまるで時計の針のように円を描く。

そして、冷気を全力全開で放ち

 

チルノ「いくよ一方通行!!これがあたいの努力の集大成だ!!!!!」

 

パキーン!!!!!!

 

チルノが放つ冷気は凍らした、

 

 

 

絶対に不可能と思われた『時間』をも。

 

 

 

チルノは自分を中心に半径200メートル必要な酸素以外全てを凍らせた。

 

だが凍らなかった化け物が一人、

 

一方通行「………………こりゃァ」

 

チルノ「うーん、一方通行は反射だっけ?それがあるからやっぱり凍らなかったかー」

 

失敗。

しかし、表情や声などは全然落ち込んだ様子ではなかった。

 

一方通行「冷気で時さえも凍らしたのか」

 

周りを見渡す。

世界は止まっていた。

音は無い。動きも無い。ただ、静かで冷たい全く別の世界。

 

一方通行「すげェな。コレがオマエの成果か……」

 

素直に褒めた。

まさか、冷気を操り能力で時を凍らせるとは思ってはいなく、意外過ぎて口角が上がってしまう。

 

チルノ「うん。前から『止める』と『凍らす』ってのがどこか似てると思っててやってみたら出来たんだ。でも……"この真完全凍結(パーフェクトフリーズ)はこっからが本番なんだよ?"」

 

そう言うとチルノは弾幕をいくつも背後に設置、そして放つ。

が、時間が止まってるため宙で制止する。

なのに次は円の形を作っていた氷の剣も一方通行へ飛ばす。しかしこれもさっきの弾幕と同様宙で制止する。

 

すると、弾幕と氷の剣に一方通行は囲まれ逃げ場など無くなる。

 

一方通行「………………」

 

宙で自分に向かって来るものが制止しているというのに冷静に、一歩も動かず空に立っていた。

 

一方、

 

チルノ「解除!!!!」

 

それは能力の解除を意味していた。

つまり、凍っていた時が動き出すという事だ。

で、だ。

一方通行を囲むように飛ばされた弾幕や氷の剣も動きだした、が。

それら全ての攻撃が直撃することはなく、反射された。

 

反射された弾幕や氷の剣はチルノに向かって飛んでいく。

チルノは弾幕や氷の剣から逃げるように遠く遠くへ飛んで行った。

 

そして一方通行から結構離れると、急に止まり氷の壁を作り反射された弾幕と氷の剣を受け止める。

だが追撃をするかのように一方通行が背中の四つの竜巻を利用して突っ込んで来る。

物凄いスピードだ。

 

しかしチルノはそれを間一髪で避ける。

 

一方通行「でェ?次はどンな技を見せてくれンだァ?」

 

チルノ「ふ、…………フフフ。真完全氷結(パーフェクトフリーズ)の効果はこっからだ!!」

 

振り返り手を後ろに伸ばし、その手の中で氷を作るが、それは小さかった。

しかし、

 

チルノ「くらえぇぇぇぇえええええええええええええええええええ!!!!」

 

手の中でも出来た氷を投げた瞬間、投げられた氷は手の中で作られた氷とは思えない程、巨大で強固な氷柱となっていた。

 

一方通行はそれを両手で受け止める。

だが

 

一方通行(ッ!?なンだこりゃ、あの一瞬で作られた氷か!?)

 

反射してそのベクトルで氷柱を砕こうとした。のに、巨大な氷柱にはヒビが入る程度しかダメージはなかったのだ。

仕方がない。

一方通行は巨大な氷柱を地面へ投げ捨てる。

 

チルノ「どう?凄いでしょ。コレが真完全氷結(パーフェクトフリーズ)の効果」

 

一方通行「…………………………そォいうことか」

 

チルノは言う。

これが真完全氷結(パーフェクトフリーズ)の"効果"だと。

それを聞き、考えれば分かる事だったのだ。

 

一方通行「オマエの真完全氷結(パーフェクトフリーズ)とやらは咲夜の時間停止と違い時間停止する場所が半径200メートルと限られている。だから時を止めた半径200メートルとそれ以外の空間には時間のズレが生じる。オマエはそれを利用してさっきの攻撃を___」

 

チルノ「___正解!!さっき止めた時間は約30秒。そしてあたいが居る場所は半径200メートルにギリギリ入っている位置。面白いカラクリでしょ?この半径200メートル以内ではどんな小さな氷を作ろうが、この半径200メートル以外の場所に出せば約30秒の時が一瞬で経ち氷は変化する。だから一瞬であんなに巨大で強固な氷になったんだよ」

 

そして、

 

チルノ「さて。あたいはこっからバンバン氷を投げて攻撃するけど大丈夫?」

 

一方通行「はっ、舐めンなよ。平気だっつの。それに弱点も見つけたしな。オマエのその半径200メートル以内から投げ、その半径以外の場所に出たら氷はその後の姿になる。だったら簡単だ、俺がオマエの領域の中に入ればイイ」

 

チルノ「あたいがそれを黙って許すと思う?」

 

一方通行「………関係ねェよ」

 

後方へ後方へと一方通行は距離を取る。

 

一方通行「オマエが許す許さないとか関係ねェ。俺がやるかやらねェかだ」

 

チルノ「……ねぇ、一方通行。あたい本気を出した一方通行と戦いたい」

 

一方通行「………急になンだよ。なぜそンな事言う?」

 

チルノ「見て、みたいんだ。あたいが目指す場所に立ってる人の全力を」

 

一方通行「………………はァ」

 

ため息を吐いた後だった。

一方通行の背中にある四つの竜巻は消え、別のものへ変化していた。

色は黒。

噴射に近い、真っ黒な翼。

それが彼の背中にあったのだ。

 

一方通行「悪りィが、もう一つの方はオマエには使えねェ。だから全力っつゥか、全力の一歩手前って感じだ」

 

チルノ「……そう、ありがとう」

 

一瞬表情が暗くなったが直ぐに明るくなり笑っていた。

 

チルノ「良いんだ、別に。だってどっちにしたってあたい勝てなさそうだし」

 

でも、と続ける。

そして両手を後ろに伸ばしその手の中で球体の氷を作る。

 

チルノ「勝てないからって、諦める訳じゃないけどね!!」

 

一方通行「イイな。イイ台詞を吐くじゃねェか!!チルノォォォォ!!!!!」

 

黒き翼。投げられた巨大で強固な二つ氷柱。

その二つが激突。

 

だが、呆気なかった。実に呆気ない結末だった。

二本の黒い翼は二つの氷柱を嘲笑うように意図も容易く貫き砕く。

そしてチルノが次の攻撃を繰り出そうとした時にはもう見えぬ一撃を食らい、高速で地面へ叩き落とされていた。

 

 

 

こうして、最後は余りにも差があったが決着がついたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チルノ「…………………………っ、んん……」

 

一方通行「目ェ覚ましたか」

 

チルノ「…………あ」

 

今、多分自分達はあの戦った場所より離れた場所に居るのだろう。

しかし、それに気付くよりチルノは違う事に目を丸くして驚く。

それは木を背にし足を伸ばして座る一方通行のその伸ばされた足を自分は枕変わりにして寝ていたのだと

 

だから

彼の、一方通行の顔を下から覗くことにチルノはなっていていつもより顔が近く感じる

 

チルノ「……え、えーと……?」

 

一方通行「俺の能力で模倣した傷薬をオマエに塗った。だがその薬にはデメリットがあってなァ、しばらく動けなくなっちまうンだ。だからこのまま安静にして寝てろ」

 

チルノ「……うん」

 

寝返りすらうてないほど、体の自由がきかないのでずっとこのまま一方通行の顔を見つめることになる。

だが意識してしまって正直なはなし、凄く恥ずかしい。でも、でもだ。

どうにもできないから、もう諦めた。

 

チルノ「ねえ、一方通行」

 

一方通行「あン?」

 

顔が熱く頬が薄く染まる。

が、しかし話す。

 

チルノ「あの時、黒い翼を出したときこれは全力じゃないけど全力の一歩手前の力だって言ってたけど……。あれ、嘘でしょ?」

 

一方通行「………………」

 

チルノ「気付かないと思った?そのぐらいあたいでも分かるよ。だって……一方通行があの程度で全力の一歩手前ってみんな首を横に降って否定するよ」

 

一方通行「……騙して悪かった」

 

チルノ「ん?ううん、責めてる訳じゃないよ。知ってるよ全力を、いいやある程度以上の力を使えないって」

 

一方通行「それもあるが。全力をもし出したら加減ができねェンだ」

 

あの天才と称される一方通行ですら、コントールが難しいチカラ。

ベクトル操作や激似模倣能力、黒い翼、白い翼。

これらは完璧に掌握している。

 

違うのだ、また別の"なにか"が自分の底の底に眠っている。それはある程度、強力な力を振るうと勝手に目覚めそして暴走して全てを破壊するだろう。

それが分かっているから、本気というものを簡単には出さないと決めている。

 

チルノ「へぇ~、だったら力を完璧に制御できるように努力しなきゃだね」

 

一方通行「……まさか、それをオマエに言われるとはな」

 

 

そしてこの後、20分経つとチルノは動けるようになった。

そうすればここで休んでる理由はない。

一方通行、チルノは並んで歩いて行った

 

山が近くに見える林の中を歩いている最中

 

 

チルノ「そういえばあの時間を止めた半径200メートルの場所時間がズレたままだけど大丈夫かな?」

 

一方通行「それはもう直しておいたぜ」

 

チルノ「あぁそうか、皆のチカラを使えるんだもんね。時間操作もできて当たり前か」

 

一方通行「オマエの真完全氷結(パーフェクトフリーズ)とやらはそンな乱用すンなよ。あちこちの時間をズラしたら幻想郷の空間が捻じ曲がるぞ」

 

チルノ「そうなんだよねー。時間を止めることができるようになってもそこ以外の時間とでズレが生じちゃうから新技なんだけど自分自身で後始末出来ないからそんなに使えないんだよなー」

 

一方通行「……だがピンチになったら誰がなンと言おうと問答無用で使用しろ。そのあとはそン時になったら考えろ」

 

チルノ「うん!そうする!」

 

師匠が、あの一方通行が言うんだ。

チルノは笑って答えた。

 

チルノ「…………。ねぇ、手を出して?」

 

一方通行「?」

 

立ち止まって訳の分からないことを言われたが断る理由もないため片手を出して立ち止まる。

すると、チルノはその手を掴んだ。

 

チルノ「さっ、帰ろう一方通行。あたいに付き合ってくれたお礼に今日の晩御飯はあたいが作ってあげるよ!!」

 

一方通行「…………チッ。朝の時みてェに調味料の分量間違えンなよ?」

 

チルノ「え………、もしかしてしょっぱかった?」

 

一方通行「岩塩を直接口に放り込まれたかと思うぐらいな」

 

チルノ「あっ、あはははははっ!!」

 

一方通行「つゥことで次は料理を教えてやるよ」

 

チルノ「は~いっ!!ちゃんと学んで一方通行に美味しいご飯を作ってみせるよ!」

 

 

こうして二人は手を繋いで帰った。

その時、チルノは楽しそうに微笑んでいた。




どうでしたか?チルノのお話は?

もう、ね。
私はこの話を一方通行がチルノと出会った時から書きたくて書きたくて仕方がなかった!!
っと言う事で次回もただ私が書きたいだけでこの『幻想郷を一方通行に』のストーリーにそんな関係ないお話が投稿されます。

一応次回予告をさせて頂くと次は紅魔館でのお話となっております












ポスター「よーし!次の話を書くぞーー!!!」

霊夢「勝手にやってなさい。私達はこの下の余った場所で自由にしてるから。ね、魔理沙?」

魔理沙「おう!新メンバーも加えてな!」

一方通行「チッ。またうるせェのが一人増えンのかよ。つか何で俺はここに居ンだァ?」

霊夢・魔理沙「「強制参加」」

一方通行「…………クソッたれが。で、一人増えるっつってたが誰だよ?」

霊夢「私。魔理沙。一方通行。といったら決まってるでしょ?」

魔理沙「そうそう、この面々が揃ってアイツが居ないのはおかしいぜ」

一方通行「…………まさか、アイツか」


















紫「私、ここに呼ばれたけどなにすれば良いの?」

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