幻想郷を一方通行に   作:ポスター

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どうも、ポスターです。

今回で第四章・日常編、ラストになります。

では、どうぞ!!



絶対、誤字があります。
ですが発見した場合、面倒だったら無視してくれて構いません。
お暇なお方や心優しいお方は出来たらで良いので誤字やそれ以外のミスを見つけたらこんなダメな私に報告してくれると非常に助かります。


5話

一方通行は今日は朝から森の教室で授業だ。

 

そして妖精の子供達が集う森の教室では?

 

一方通行「よォし、これで今日の授業は終了だ」

 

スマホを配ったお陰で連絡が取れるようになり、妖精の子供達を集めやすくなった。

前まではこの森の教室に子供達を集める方法は空へ向かって空気を圧縮して作った高電離気体(プラズマ)を放ちその光と音で子供達を集めていた。

 

しかしそんな面倒なこともしないで、現代のハイテクを利用できる世界に変化しつつある幻想郷のその小さな森の教室の全授業が終わった。

 

ここは元々一方通行の気紛れで開き気紛れで終わらせる。

今日は副担任に就任した授業中でも堂々とマイ酒をかっ食らう萃香の紹介が目的だっため午前で終わる。

 

チルノ「よっしー、終わった終わった。じゃあ勝負だ一方通行!!」

 

大妖精「止めなよチルノちゃん。何度も挑戦するその精神の強さは凄いと思うけど、全て負けで終わってるじゃん」

 

ルーミア「そーなのかー…………」

 

いつもの仲良し三人の少女。

それとプラス二人の少女

 

リグル「良いじゃん良いじゃん。あの勝負を見なきゃ授業が終わったって思えなくなってきたし…………」

 

ミスティア「あ、それは私もー」

 

一方通行「チッ……………………」

 

このクソガキども………………

 

そう心の中で吐き捨てた。

大妖精は唯一の優等生だがその他の生徒は問題児である

 

一方通行「オイ、チルノの相手を頼む萃香」

 

萃香「うん任された」

 

やる気満々のチルノの前に立ちはだかったのは今日からこの森の教室の副担任に就任した鬼の少女の姿をした萃香だった。

 

チルノ「一方通行の前にお前か。良いよ秒であたいの力で土の一部にしてやるっ!!」

 

萃香「悪いけどお子様じゃ私に、指一本触れること出来ないよ?」

 

チルノ「言ったなーっ!!」

 

ッッズバンッ!!!

 

この小さな森の教室で鬼と氷の妖精が力と力を衝突させた。

 

…………しかし?

 

チルノ「キュー……………………っ」

 

萃香「片付いたよー」

 

チルノは秒で倒された。

その光景を見た問題児達は『ヒエッ』と声を上げる。

 

一方通行「ご苦労。今日は午前で終わったが今後は午後まで授業がある日もある。そン時はヨロシクな」

 

萃香「良いよ良いよー、授業がある日はいつでもスマホで呼んでよ。何だかんだこの仕事楽しいし、それにこの後の私だけのお楽しみ特別授業があるし…………ねっ♪」

 

そう一方通行へ頬を染めて微笑む。

 

だがであった

 

その『特別授業』という単語を聞いた生徒達は

 

ミスティア「なになに特別授業って!?聞いてないんだけど!!」

 

リグル「先生それは(まこと)ですか!?」

 

大妖精「先生達だけなんてお楽しみなんてずるいです。私たちも…………その…………うぅ……」

 

ルーミア「……………私も特別授業したいー」

 

一方通行「オイ何だ急に?俺に纏わり付くな!!」

 

気絶した地に倒れるチルノの以外の生徒が一方通行の周りを囲み彼の腕や服を掴む。

が、しかし

 

チルノ「特別授業だと?あたいも参加するーっ!!」

 

気絶していたと思っていたがどうやら意識があったらしい。

鬼の一撃を頭部に受けたのにピンピンしているとは

 

耐久力は本当に最強なのかも知れない?

 

 

わらわらとチルノも一緒に囲み身動き出来ない先生を助かるためもう一人の年中酔いどれ先生が

 

 

萃香「コラコラー。一方通行が困ってるだろ離れなよ。それに特別授業は私の報酬なんだよ、だからゴメンだけど皆は参加出来ないの。まあこっから先は大人の授業だからお子様が参加するにはまだ早いかな?」

 

白い先生から生徒を振り払いそして一方通行の腕を抱き締める

 

それはこれからは一方通行は自分一人のモノと見せびらかしてるように見えた

 

リグル「大人だってお子様だって関係ない、私だって私達だって先生のことを!!」

 

ミスティア「そ、そうよそうよ!!!!」

 

大妖精「なんか勢いでとんでもないこと口走ってるけど……………………でも私だって…………」

 

ルーミア「うー!うー!うーーーっ!!」

 

チルノ「一方通行はあたいのししょーだ、だから一方通行はあたいのだー!!」

 

萃香「ほー……これは驚いた、こんな所にもライバルが。でも悪いけど私はどんな勝負でも負けないよ?」

 

一方通行「………………チッ、俺の周りで暴れるなよオマエらァ」

 

 

深いため息を吐く。

一人副担任が増えただけで更に更に賑やかになった森の教室。

 

しかしそこはある激戦区なってしまっていた。

 

ああ、君は罪なお方だな…………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから揉めに揉めたがなんとか収まり

一方通行と萃香の二人っきりの特別授業が始まる。

 

所変わってここは山の中である。

 

ここなら少し暴れた程度じゃ地形は変化しないし、丁度良い場所だ。

 

 

 

一方通行「……………………さて、報酬の時間だ」

 

萃香「待ってましたー!!私がこれ以上の強さを手に入れる手伝いヨロシク!!」

 

距離を取って向かい合う両者。

その光景はまるで今から組手をする格闘家のようであった。

 

萃香「……………………………………で?なにするの?」

 

前に約束をしてくれて更なる強さの高見に昇らせてやる

そう言ってくれたが具体的なにをするのか不明であった。

萃香は幻想郷の中でも結構な実力者

今の力でどんな敵とでも互角または圧倒していた

 

しかしそんな時はとうに通り過ぎ、今の力では互角に戦えるか疑問に思うレベルと彼女自身考えている。

 

一方通行「オマエは単純な力で言ったらそれ以上はレベルアップしねェしそうする必要がねェ。萃香の能力も研究すればチルノのように新たなる可能性を発見して強く成長できるかもしれねェがそれよりも前にやる事がある」

 

萃香「ん………?」

 

『修行かも』と思った萃香。

マイ瓢箪は近場の木の影に置いて来たし問題ない。

 

 

一方通行は続けて

 

 

一方通行「オマエは間違いなく強者だ。しかしオマエには一つ強者に必要不可欠なモノを失っている」

 

萃香「それ…………は?」

 

一方通行「"自信"だ。自分の力を信じ、誰が相手でも自分の力で勝利を必ず掴める。オマエはそンな自信を失っている」

 

萃香「………………、」

 

一方通行「自信を失ったのは俺のせいだろ?俺がオマエを………………オマエ達を頼らねェで勝手にひとりで解決しようとしたあの事件以降。オマエは、目の前にある戦いに自分は力不足と思うようになっちまった」

 

萃香「……………そう、だな。そうだよ、あの日私は自分の無力感を強く憎んだ。霊夢が酷い目に合ったと聞かされてもあの時、私は何も出来なかったっ!!何をすれば良いか分からなかったっ!!」

 

 

そこは俺のせいしろよ…………

舌打ちをして誰にも聞こえない聞こえる筈がない、心の中でそう呟く。

 

一方通行「…………………自信ってのはすぐに取り戻せるものじゃねェ。薄っぺらい言葉を並べて『ハイ、自信持って』なンて言われて、そンなので自信を取り戻せるヤツなンて最初から自信は失っていねェ。本当に自信を失ったヤツってのは自分の全てを呪い、目の前が真っ黒な闇しか広がってねェ世界を虚無感に襲われながらもただただ歩み続けるしか出来ねェヤツだ」

 

だから、と

 

一方通行「………………自信を取り戻すのは時間が掛かる。だがな、オマエの場合早く自信の取り戻せる方法があるってのは幸運だな」

 

萃香「それは?」

 

一方通行「簡単だ。要は自分の力がどれ程のものなのか再確認すれば良い。その為にはオマエが思う強者と戦えば手っ取り早いって訳だ。居るか?オマエはオマエに強者と思わせた相手は?」

 

その言葉を聞いてだった。

鬼の少女は随分とご機嫌な様子で笑った

そして

 

萃香「うん♪居るよ、私の目の前にッ!!」

 

一方通行「あァ、知ってる」

 

刹那!!

大地が、天が、この山が小刻みに震えた。

強大な力と力の打つかり合い。

その衝撃は世界を震わせる。

 

しかし二人はまだ衝突していない

 

なのにこの世界は震えてしまったのだ

 

一方通行「こちらも全力でいくぜ。俺は伊吹萃香という鬼を一度たりとも見下したことはねェ。俺の『反射』をその拳だけで突破したその戦闘能力。この一方通行(アクセラレータ)が認めてやるよ、オマエは俺が戦ってきた中でトップに入る俺の強敵だッ!!」

 

萃香「私のなかじゃ一方通行が一番の強敵であり、戦って一番楽しい相手だっ!!!だから、全力で。息の根を止めるぐらい出し惜しみ無しで、全力で戦わせてもらうっ!!!」

 

 

 

普段は可愛い少女の伊吹萃香。

しかし、戦闘時にはその鬼の顔を見せる

 

戦いの高揚感、あの胸の高鳴り

 

それだけしか考える事が出来なくなった彼女は戦闘狂のように表情を歪ませる。

 

 

そんなヤツと対しているのは最強の称号を持つ怪物、一方通行。

 

彼は面倒臭がりではあるが、でも戦っている時は違う。

能力をフル活用して相手を捻り潰すあの感覚

 

一発一発、倒すためだけに放つ攻撃の数々

 

その戦闘の中で怪物は思う、『面倒』じゃなく『タノシイ』と。

 

 

 

 

そうこの二人は戦闘狂

 

 

これは戦闘狂と戦闘狂の戦闘だ。

 

 

さあ、もう我慢できない今すぐにでも始めよう

 

 

そして

 

そして

 

そして。

 

二つの強大な力が真っ正面から打つかる。

その衝撃音は幻想郷中に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人の戦いは地上だけでは留まらない

 

地を蹴って跳躍したり

 

木を上手く利用して戦ったり、と。

 

周りのもの全て躊躇なく薙ぎ払いながら、地上、空中で見せた激しい攻防。

 

 

しかし、それは既に終わっていた。

 

大きな滝の岩壁の下に倒れた小さな鬼の少女。

その近くに白い怪物が空中から着地する

 

 

空で強烈な一撃を受け岩壁に打ち付けられ力なく倒れた萃香に

 

一方通行「……………………どンな気分だ?」

 

ズボンのポケットに手を突っ込みながらそう質問する。

すると

 

萃香「うわ~!!負けた負けたーっ!!悔しいぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいッッ!!!」

 

その傷の数々はまさかメイクか?

そう思わせるほど傷ついた体になんとも思わず岩の地に背をつけて、まるでスーパーで欲しいお菓子を買ってと強請る子供のように手足をバタバタ暴れさせる。

 

そんな萃香にため息一つ吐いて

 

一方通行「チッ………傷を癒す。じっとしてろ」

 

萃香「え…………?あ、う、うん…………………………」

 

優しく抱きかかえられ岩壁に背に座らせられる。

そして自宅に繋がったスキマを開きその中から包帯や薬を取り出す。

 

一方通行「にしてもアレだな。良くこンな小せェ手で、あの威力の攻撃を打てるな」

 

萃香「私を子供扱いしないでよ。こんなんでも立派な大人だよ」

 

一方通行「そンなこと知ってるっつの。ただこうも小さくてやらけェ手なモンで不思議と思っただけだ」

 

萃香「やっぱり~……………………」

 

手当ては続いた。

さっきまでの戦闘の空気は何処に行ったのだろか

 

今は自然の中で水の流れる音に心を落ち着かせ、のんびりと穏やか時間を二人は過ごしていた。

 

萃香「ねえ…………そんなに丁寧に手当てしなくても良いよ?」

 

一方通行「あ?」

 

萃香「私、ほら鬼だし。ある程度の傷は自然に治るし、もし傷跡が残ったって勲章だと思えば___________」

 

一方通行「ふざけるな。嫁入り前の女に傷を残してたまるか。ったく、オマエは鬼の前に女だ。ちっとは自分の体を大事にしやがれ」

 

萃香「は……………………はいぃ」////

 

珍しく敬語なんて使った萃香は頬が染まっていた。

それを見て

 

一方通行「…………熱か?」

 

見える限りの傷に薬を塗り、大事をとって両手には包帯を巻いた。

それが終わり、萃香の顔を見たら赤くなっていて体温を図るため手を彼女の頬に伸ばす。

 

一方通行「脈拍がやけに早いが熱って訳じゃねェな。川が近ェしこの場所は涼しいはず…………どォしてだ?」

 

オイ気付けや鈍感。

 

まあそんな言葉は置いといて、理解が出来てない彼の手を退かし

 

萃香「なんでもっ…………なんでもないっ!!大丈夫大丈夫っ!!」////

 

 

アルコールが抜けて素が出て来そうだ。

酒を飲んで酔っぱらいたい所だが瓢箪は遠くにある

 

どうにかしてこの状態を切り抜けようと試行錯誤してると

 

 

一方通行「チッ、体痛ェ。次は俺自身を回復するか」

 

実は一方通行は先程の戦いに勝利したが無傷とはいかなかった。

反射を力ずくで突破されたのを教訓に反射するタイミングをずらしたりなどしていたが悉く失敗。

最終的には反射なんて最初から無かったように戦い、あの黒い翼を駆使して勝利をもぎ取ったのだ。

 

一方通行「腕、足。所々骨にヒビがいってる。やっぱりオマエは大したヤツだな」

 

萃香「負かされた相手に言われと嫌みに聞こえるー」

 

一方通行「褒めてンだバカ。オマエは本当にスゲェンだぜ?この俺を単純にその身のみで攻撃なンざオマエ以外出来ねェ芸当だ」

 

確かに前、里防衛戦の時に萃香よりパワーがある暴走者と戦った。

しかしソイツと萃香は全然違う。

 

萃香は人間が想像も出来ない程長い年月を生き、その人生の中で多くの戦いにより積み重ねた経験、そして生まれ待った戦闘時に働く勘と鬼としての才能。

ただのパワー自慢のバカとは違う、それらを兼ね備えた彼女は単純なチカラばかと評価するのは愚かなことだ。

 

実際、『反射』のタイミングをズラした時、萃香は戦いを好む鬼の勘と才能が発揮して一方通行の策を打ち砕いてみせた。

 

それは一方通行にとっては結構衝撃的な事だった

だから表情には出てなかったが珍しく動揺して焦ったりした。

 

萃香「でも一方通行の周りの壁を突破するの結構手が痛いよ?」

 

一方通行「痛ェだけで済ンでるだけで十分オマエも怪物だ。普通なら俺を殴ろうとしたその腕が弾けて、クズはその痛みに哀れに転がって泣き叫ぶ」

 

それで?

そう続けて

 

一方通行「自信はどのぐらい取り戻せた?」

 

萃香「…………全然っ。やっぱりどこか前の事を引きずってる」

 

一方通行「そォか。ならまた今度ヤロォぜ?時間はあるンだ、オマエが完全に自信を取り戻せまでずっと俺が付き合ってやるよ」

 

萃香「……………………えっ?ずっと?」

 

一方通行「あァ、不満か?」

 

不満だって?

そんな訳ない。

もし、ずっと彼と手合わせできるのから一生自信を取り戻せなくてもいい。

そのぐらい、だ。

 

そのぐらい嬉しい、一方通行とまたこうやって戦う事がてきるのが。

 

だから、萃香はひょいひょいと手で招く。

近くに座る一方通行は訳が分からないが顔を近付ける

 

すると

 

萃香「…………これが約束の証だよ☆」///

 

 

 

 

 

勇気を振り絞り、可愛い鬼の少女は白い怪物の頬に一つ口付けをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午前は終わり午後の時間。

一方通行は人里の中を歩いていた

 

家に帰っている途中なのだ

 

 

そして店の建物が並ぶその道を歩いている時だった

 

急に自分の前に出て、立つ少女の姿が

 

その少女の容姿は

濃い青色の瞳を持ち、髪は緑色で、王冠のようなデザインの帽子に紅白のリボンを着けていた。

服装は上は白い長い袖で濃い青色のどこか気品感じる、下はやはり少女か男性が絶対に着ない黒色のミニスカートでそのスカート下の部分には半分赤半分白のリボンが縫うように通されていた。

 

そして、その少女は片手で握って持てるぐらいのサイズの金色の尖端が三角形のお位牌のような、なにかを意味する黒色の文字が刻まれた薄い板棒で一方通行を差して

 

「ちょうど良いところで出会(でくわ)しましたね。前々から貴方を説教したやりたいと思ってましたが、それはまたの機会にしましょう。今日は私の不真面目な部下が職場からこの里に逃げましてね、その者を探す手伝いをして下さい」

 

頼んでいる癖にやけに大きな態度の少女を一方通行は

 

「………………………………あれっ?」

 

全力で無視するのであった。

 

見向きもされず横を通り過ぎられたその少女は

 

「ちょちょ、ちょっと!!この私を無視なんていい度胸ですね。良いでしょう貴方は地獄行き、地獄行きしてやります!!!」

 

しつこく彼の後ろについて大声て話す

しかしそれも無視だ。

 

聞こえてないのだ、全ての音が

 

余計な音を全て『反射』してる一方通行には全ての声が届かない。

それを知らない態度がデカイ少女は

 

「は、話聞いてますか!?はーなーしーをーきーいーてーまーすーかーっ!?」

 

諦めず何度も何度も大声で声を掛ける。

しかし無視であった

 

「もう聞いてよっ!?聞いて下さいお願いしますぅっ!!ホントに困ってるんです!!うわぁぁぁぁぁぁあああああッッ!!!!」

 

流石にこうも『誰か居る?』ぐらい無視されたのは初めてなので本来の姿がぶっ壊れ、泣き出してしまう。

 

それでも一方通行は気付かなかったが、周りの目を見て自分の方になにか視線が向けられてると感じる。

 

そして周りのヤツらが見るなにかに視線を向けた

 

 

すると地面に膝を付けて泣きじゃくる少女の姿が目に映る。

 

一方通行「…………………………誰だ?」

 

やっと音の反射を解除した。

 

すると

 

「やっと私の存在に気付きましたかバカーッ!!!」

 

 

何故か怒られたのであった。

 

 

 

 

それからその少女の嗚咽も収まり、地に足の裏をつけて涙を手で拭いながら

 

「ひぐっ…………っんぅ。この私に涙を流させるなんて、酷いです。絶対に地獄に落としてやります…………」

 

一方通行「あァ?誰だって聞いただけだが?」

 

「結構前から貴方に話し掛けていたのに無視したでしょぉ!?」

 

一方通行「………………余計な音を反射してて聞こえなかった」

 

「あー……そう言えば貴方の能力はベクトル操作でしたっけ。それで音を反射なんて…………絶対友達居ない人がやりそうなことですね」

 

一方通行「…………オマエ、ナニ?何の用だ?」

 

「やっと自己紹介ができますよ。私は四季映姫(しきえいき)・ヤマザナドゥ、呼び方は四季で結構です。実は私は閻魔なんですがね、その仕事の部下が今日"も"逃げましてそのおバカさんを探すのを手伝って欲しいんです」

 

一方通行「閻魔サマねェ、随分とご立派な御方だァ。だが断る。他ァ当たれクソガキ」

 

映姫「ク、クソ!?私をクソガキ呼び!?ええ確かに貴方は全ての頂点に君臨しているのは存じてますが、それでも歳は私の方が上なのですよ!!そこんとこ御理解してますか!?」

 

一方通行「歳は関係ねェ。その容姿とオマエの中身を見てガキだと言ったンだよ、ク、ソ、ガ、キィ」

 

映姫「貴方失礼をとことん極めてますね。分かりました、私の説教を全部聞き部下を探す手伝いをすると首を縦に振るまでずっとずっと付きまとってやります!!」

 

それからであった。

 

一方通行の後ろを映姫は歩き続けた。

いつかは諦めて何処かいくだろう

 

そう思っていたのにもう気付けば家に前に着いてしまう。

 

映姫「ほー…、ここが貴方のお家ですか。神々の頂点に立つのにこのような普通の一軒家なんて、意外です」

 

一方通行「………………………はァ」

 

このまま、だ。

勢い良く家に入り鍵を閉めたってこの閻魔様はドアを叩き続けるだろう。

 

別にうるさくされても音を反射すれば問題ない。

だがここは里であり住宅街だ。

他の人間の目がある。

 

もしも少女が永遠とドアを叩き続けるのを見られたら間違いなく面倒事になる

 

諦めた

 

諦めさせようとしていた白い怪物は諦めてしまった。

 

ため息と舌打ちのダブル技だった、

 

 

一方通行「チッ………………おい、クソガキ。部下の特徴を教えやがれ」

 

映姫「ふふっ………良いでしょう。頼まれたのならお教えてあげますよ」

 

してやったり!!

 

そんな顔であった。

 

それから閻魔様から逃げ出した不真面目バカの特徴を聞く。

 

その者は性別は女性で容姿は赤い癖のある髪でツインテール、そして髪の色と同色の瞳を持つ。

服装は半袖でロングスカートの着物ようなのを着用しており、腰巻をしている。

そんな服装はこの幻想郷では珍しくない

 

だがその彼女の一番の特徴は、先端部分がぐんにゃり歪んだ大きな刃の鎌を持ってるのだそうだ。

 

一方通行「デケェ鎌ねェ。良くそンなモン持ってンのに逃げ回ってンなァ、そいつ」

 

映姫「先程言いましたが、今日"も"逃げたのです。"も"ですよ。つまり彼女は常習犯なんです」

 

一方通行「クビにしろよ、そのバカ」

 

映姫「えぇ、私もそうしてやりたいですよ。実際、クビにしかけた時もあります。が、あの世の仕事は人手が足りないので、そんなおサボりさんでも雇っていかなくてはいけないんです」

 

一方通行「………あの世って案外忙しいンだなァ」

 

気にも思わなかったが、この世はこの世で忙しいがあの世はあの世で忙しいらしい。

一方通行は映姫の、その仕事疲れからでるその深いため息を見て呟いた。

 

 

 

それから二人はそのおサボりさんを探しに里の中を回る。

 

まずは情報収集だ。

結構特徴があるから、誰にでも目に止まり記憶に残っているかもしれない

 

慣れないがそこら辺の人間達に声を掛ける

 

だがだが?

 

 

声を掛けた瞬間、人間達はそそくさと逃げていった。

 

 

 

一方通行「……………………オイ、オマエを見た瞬間表情変えて逃げてくぞ。オマエなにかアイツらにしたのか?」

 

映姫「いいえ別に?ただ頻繁にこの里に来てありがたいお説教を手当たり次第してるだけです」

 

一方通行「そりゃ血相変えて逃げてくわけだ」

 

映姫は別に悪いことをしてると思っていない。

いやお説教とは元々悪い行為ではない

逆に閻魔様自らこの里に足を運びお説教だなんて、人間からしたらありがたいことだったのだろう。

 

しかし頻繁に、なのだ

 

頻繁にお説教をされれば『またかよ…………』っと思い映姫に声を掛けられたら長いお説教が始まる

そう脳に刻まれた者達は逃げる選択をするのが当たり前なのだ

 

閻魔の少女自身、お説教が好きらしいので少し楽しそうに説教をする。

 

その姿を見た者達は人に不快感を与えるのが好きな悪い神様と勘違いしてしまうものだ。

 

 

 

情報収集は失敗か。っとは、諦めきれない。

里の中だから派手に能力を使えないから、地道におサボりさんを見つけるしかないのだ。

 

だから一方通行はまた次に声を掛ける相手を探している時だった。

 

ある建物を発見する。

 

そこは……………………

 

一方通行「クソガキ。あそこに行くぞ」

 

映姫「ですからクソガキと呼ぶのを止めて下さい。自己紹介の時に言いましたよね、四季と呼んでくださいと」

 

一方通行「チッ…………、四季。あそこに行くぞ」

 

映姫「はいっ、良くできました。それであそことは?」

 

彼が指を差す方向へ視線を向ける。

するとそこはうどん屋さんであった

食事でもと思ったのだろうか

 

映姫「………お腹空いたんですか?」

 

一方通行「そォいや朝から何も食ってねェから、何でも良いから食いモンを腹に入れてェ気分なンだ。つか、ああいう所なら大抵の人は逃げねェし店のヤツには金を払うから情報提供してくれるかもしれねェぞ?」

 

映姫「成る程、それは名案ですね。私も朝から食事してませんでしたし、小町(こまち)を探し歩き回る前にご飯を食べて行きましょうか」

 

そうして二人はうどん屋さんに入った。

睨んだ通り、人は逃げなかった。

 

一方通行と映姫はカウンター前の椅子に座る。

 

そしてかけうどんを二つ頼んだ。

で、そのうどんを待っている時二席離れた場所に座る一人の男性に話を掛ける

 

一方通行「…………食事中少しイイか。今日、デケェ鎌を持った赤髪の女を見かけなかったか?」

 

「鎌を持った赤髪の女?悪いね、見かけてないよ。なんだい?その子を探しているのか?」

 

一方通行「あァ。そォだが見かけてねェならイイ」

 

映姫「ではここら辺に人が多い居酒屋はありますか?」

 

「おわっ、貴方様はっ!?い、いい居酒屋ですかっ………人が多いかは分かりませんが自分の知ってる居酒屋はですね________________________」

 

映姫の姿を見ると慌てて質問に答えていた。

そして全て答え終わると急いでうどんを口に流し込み、

男性は金を払ってこの店から出て行く。

 

映姫「やっと情報ゲットです」

 

一方通行「……………オマエ相当嫌われてるなァ。いや、恐れられてるのか?」

 

映姫「んぅ??」

 

丁度、だった。

ガラガラガラガラッ、バタンッッ!!!と慌てて扉を開かれた雑音で、彼の言っていることが聞こえなかった閻魔の少女は首を傾げる。

その時であった

 

「はいお二人さん。当店御自慢のうどんだよ!!」

 

店主のオッサンが何年も何年も研究して完成されたかけうどんが二人の前に出された。

 

モチモチのうどんの麺に、キラキラ光るつゆ。

そして上にはカリカリと天カスに蒲鉾が二切れ。

細切れのネギが少々。

 

そしてそして?

 

一方通行「あン?オッサン、天ぷらは頼ンでねェぞ?」

 

「サービスサービスゥ☆うちはカップルにはえび天をサービスしてるんだよ」

 

一方通行「カップルじゃねェ………」

 

「ハハハッ!!照れちゃってー、いいねぇ若いねぇ。おじさんにもそんな青い時代があったなぁ………」

 

なんか勝手に勘違いされて勝手に過去の思い出に行ってしまった店主。

全然話を聞かないが、まあえび天を貰えてラッキーって思っておこう。

 

一方通行「チッ…………まァイイ。食うか」

 

映姫「え、えぇ。そうしましょう……………………」

 

そして二人はうどんを食べ始めた。

他の客は一方通行と映姫を店主の話を聞いてカップルと勘違いしてなにか気味悪くニヤニヤして見てくる。

 

だがそんなのを気にしないのが最強の怪物様だ。

しかし閻魔の少女は違うみたいで?

 

映姫(うぅ…………恥ずかしい。絶対私達を勘違いして見てる…………………今日は変な事ばかり起きるなぁ)

 

温かいうどんを食べて体温が上がるが、それとは違う意味でも体が暖かくなっていた。

 

一方通行「…………ズズーッ。…………っン。そうだオッサン、オマエは今日赤髪のデケェ鎌を持った女を見なかったか?」

 

「んー?赤い髪の毛の鎌を持った女性ねー。あー、小町ちゃんか。俺は見ていないが俺の知り合いは一緒に酒を呑んだと言っていたなー」

 

一方通行「その知り合いが居る場所はどこだ?」

 

「南の方にね__________________」

 

まさかまさかであった。

適当に入ったうどん屋で重要な情報を収集した。

 

 

「____________________________って行ったらつくよ。そう言えばさっきのお客さんにも聞いてたね。なんだまたあの子は逃げてるのか」

 

一方通行「あァ、そうらしィ。そして俺はソイツを探す手伝いをさせられてるってことだ」

 

「四季様の彼氏さんだからだろー?」

 

一方通行「だから…………なァ」

 

映姫「もう違うんですッッ!!勝手に決め付けないで下さい!!」

 

「いやー、若い!!若いね!!おじさんあの頃のようにドキドキしちゃう☆」

 

映姫「だーかーらーっ!!違うんですって!!もう、貴方はお説教が必要みたいですね!!良いでしょう。してあげますよありがたーい、お説教をねッ!!」

 

 

いつも賑やかな店主が居るうどん屋は普段以上に外まで大きな声が届いていた。

 

他の客も店主のオッサンも笑い

映姫は全然話を聞かない人達に顔を赤くして怒鳴る

 

そんな光景に一方通行は、

絶対に関わらないようにと、黙々とうどんを食べていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてそしてだ。

うどん屋の扉を開き暖簾をくぐり、外に出た。

 

映姫「はぁ………ごちそうさまでした…………」

 

一方通行「おう」

 

食事代は一方通行が全て払った。

飯を奢ってもらって今日はついてる、ピースピースゥッ☆

 

とはならかった四季映姫。

これから変な噂が里に流れたらどうしよう…………

やっぱり一人で探した方が良かったのか…………

 

そんな考えが頭に浮かぶ。

 

 

一方通行「しっかしオマエらは人間の里に居てもなンも言われねェのな。里は人外全てを受け入れてねェと思っていたが……………………」

 

映姫「ああ………そのことでしたら心配なく。私達は他の人達より信頼が里の人間との間にありますから。それに私は閻魔様です、なにかあったら地獄に落とされると思ってぞんざいにされませんよ。そして小町は私の部下ですから、彼女も人間達は上手く接してくれてるみたいです」

 

一方通行「…………………………、」

 

いつか、

 

そうだいつか戻してみせる。

幻想郷を本来の幻想郷の姿に

 

妖怪も人間も神も関係ない。

種族を越えた絆がある幻想郷という世界。

 

 

自分のせいで種族の線を引かれてしまった

 

それを全て消してやる

 

 

あのクソ野郎をぶっ殺し人間達の誤解を解けば

 

絶対に、

絶対に戻るはずだ。

 

 

映姫「さて……行きますよ」

 

一方通行「あァ……さっさとそのバカを探して俺は帰って寝てェ」

 

 

それから二人は里の居酒屋を中心に探し続けた。

小野塚小町(おのづかこまち)は人当たりが良く、酒が好きらしい。

だから里に多くの飲み仲間が居るらしく、大体昼間からでも居酒屋に居るらしい

 

だが、だった。

何件目かの居酒屋の扉を開き質問する

 

「あー、あの子ねぇ。なんだか急に用があるって出て行っちゃったよ。もっと話したかったんだけどねー」

 

一方通行「クソ……………またか」

 

映姫「また一歩遅れましたね」

 

昼間から酔っぱらってるオッサンに聞いたが、やはり" また"だ。

 

 

どうやら子町は此方の動きを知っているらしい。

じゃなきゃおかしい。

 

毎回毎回酔っぱらいに聞くたび言うのだ『今さっき出ていった』と。

 

一方通行と映姫はその居酒屋を後にする。

そしてまた次の居酒屋へと歩き始めた

 

 

 

映姫「うーんこのままだと鼬ごっこですね。そろそろ決着をつけなくては………………」

 

一方通行「……………………」

 

映姫「…………私の話聞いてますか?全く大体貴方はですね_________________」

 

それからである。

映姫の話は小町から一方通行の話になっていた。

 

そしてそしてそれはお説教となっていたのだ。

 

ペラペラその口からは淡々とお言葉が出るに出る。

 

映姫「_____________言動は荒いし、目付きが悪すぎます。それになんですかあの普通の家は。貴方は神々の頂点、私の上に立たれる方なのですよ?もっと立派なところに住んで下さい。私達が恥を掻くじゃないですか。貴方は凄い偉大な神を越えた存在なのです、神社や神殿を建てられ崇め讃えられるのが普通なんですよ。それなのにこの多くの人間が住む里でポツリと生きているなんて。しかも、人間や妖怪にいいように使われ何か思わないんですか?貴方が下に見られれば、一緒に私達の価値も下がるんですよ。それを十分理解できてます?」

 

一方通行「…………………………」

 

映姫「ふぅ、まだまだありますからね。言いたいことは…………………」

 

道を歩くなか通り過ぎる人達は

口うるさくお説教が続き、それをただ聞くことしか出来ないように見える白が特徴の中性的な人物。

その光景を見て顔を顰め、一歩二歩と下がる。

そして可能な限り距離を取り、巻き込まれないようにしていた。

 

 

ざわめき始めた里の住人達を見て

 

映姫「………………………………知ってますよ、私だって。お説教をされるのが好きな人間なんて居ないことなんて。みーんな私の顔を見たら反射的に逃げて行くんです。そりゃそうですよ、当たり前です。貴方もそうでしょう?口うるさい私なんて大っ嫌いですよね。生憎この性格は変えられないし、私はこのまま永遠に嫌われ続けるんです」

 

説教が好きな自分。

しかし説教が嫌いなのが人間。

いや、妖怪も悪魔も、同じ神すらも説教が嫌いだろう。

 

知っているさ、その事実を嫌ってほど。

 

 

誰もだ。

この世で誰も、表情一つ変えずただ黙って話を全部聞いた者は誰も居ない。

 

 

別にストレス発散に当たってるのではない。

 

他者を思い、善意でやっている。

 

それなのに受け入れてくれないなんて………………

 

空回りしてるのか、根本的に間違っているのか

考えてしまうのさ。

 

私がやっていることは黒

 

悪なのかと。

 

 

映姫「…………すいません。小町探しと関係ない話をしてしまいました」

 

反省、反省だ。

いけない、今は頭を使うのはおサボりさん探しにだ。

下らないお説教になんて、使っていられない。

 

しかし

 

一方通行「あン?なンだ、もう終わりか?随分オマエの説教は短いな。こンなンで人は血相変えて逃げてくのか。覚悟を決めてた割には拍子抜けだ」

 

映姫「…………えっ?き、聞いてくれていたのですか?」

 

一方通行「オマエの説教全部聞かなきゃ俺から離れねェンだろ?だったら聞くしかねェだろォが。あンだけしつこく喋ってたのに自分で言ったこと忘れたのか?」

 

映姫「あ………………そうでした」

 

一方通行「チッ、マジで忘れてたのかよ。だったら黙ってりゃ良かったァ。そォしたらバカ見付けたらすぐ帰れたのによォ」

 

失敗したなァ………。

一方通行はいつもの様子でそう呟いてた。

その時、映姫は衝撃を受けていた。

 

だって、だ。だってだって

彼は全部聞いていたのだ口うるさく説教を。

それでしかも、自分ですら忘れた約束を覚えていた。

 

ああ…………………………と、閻魔の少女は悟った。

確かに隣に居る一方通行は言動は荒いし、目付きが悪い。

正義か悪と問われれば悪の側に立っているだろう

 

しかし、じゃあその心に優しさ持っていないのかと問われれば違うと答えれる。

今日、初めて会った自分が一方的にした約束を守る気だし、なんだかんだおサボり部下を探す手伝いにも出来る限り力を尽くしてくれている。

そんな、

 

そんな彼に、だ

 

映姫「貴方は説教されて、不快に思わないんですか?」

 

一方通行「あン?そりゃあウゼェし早く話終われよとか思うぜ。だが説教なンてそンなモンだろォが、いくらそン中に愛情があったってガキも大人もそう思う。もし、説教されるのが好きなヤツがいるとしたらソイツは、猿轡を咥えてブヒブヒ鳴く根っからのマゾヒストだ」

 

映姫「じゃあ……何故、私の話を聞いてくれるんですか?」

 

一方通行「さっきも言っただろ。全部説教聞かなきゃオマエが俺から離れねェからだって」

 

ため息を吐いて

『その耳は飾りか?それとも記憶が三秒で消える愉快な頭をしているのか?』

そんな顔をしていた。

 

映姫「貴方なら、そんな面倒に付き合わなくでも私から簡単に逃げることができるでしょう?」

 

一方通行「まァな、だが……あれだ。勘違いするなよ、別に俺はマゾじゃねェ。変態と勘違いしたら殺すからな」

 

映姫「…………???」

 

何を言っているのだ。

困惑する映姫に一方通行は頭を掻いて

 

一方通行「チッ……、俺に説教するヤツなンざ居なかったンだよ。だから一度はありがたいお説教ってヤツをされてやって良いかなって思ったンだ。それに、説教するヤツが閻魔サマだ。断るに断れねェだろ……?」

 

閻魔の少女はその言葉を聞いてあっけらかんとした。

間があったが、その後だ。

 

映姫「ンフフフッ…………」

 

一方通行「……くそっ」

 

映姫「………あ、ごめんなさい。別に貴方を笑った訳ではありません。素直な方だな、と。お可愛い方だなと思っただけです」

 

一方通行「それはそれで腹が立つが?」

 

映姫「…………なんだ、なんだ。私はどうやら勘違いをしていたらしいです。貴方は話で聞いたような方じゃないのですね」

 

一方通行「………………オイオイ、閻魔サマ。俺がどンなヤツか見抜けねェのか。だったらその目ン玉取り替えて来い、こンな悪党すら見抜けねェンなら仕事でミスすンぞ」

 

映姫「そうやって、自分を"悪"と言うですね。そうやって自分を責めてるのですね。私は閻魔です、その者の過去に重ねた罪を見抜くのは得意ですし、貴方のその背中に背負う罪は他の者から聞きました。しかしやっぱり話を聞いて実際に貴方に会い、こうやって会話をしてもどうも私は貴方を"悪"とは思えないんです。その逆、正義を強く持つ者だと思うのです」

 

一方通行「ハッ………、この俺に正義ィ?笑えた話だな」

 

映姫「真っ黒な闇のなかで生きていたからこそ、何が悪で何が正しいと誰より理解している。だから貴方は人一倍の正義を持っているのですね」

 

なんて明るい笑顔なのだろうか。

眩しくて、思わず目を瞑ってしまいそうだ。

 

一方通行「話の聞かねェガキだな。チッ、勝手にそう思ってろ。実際は違うがな」

 

 

 

 

どいつもこいつもホントにホントに話の聞かない連中だ。

この俺のどこに正義がある?

どこに優しさがある?

 

血に染めたこの身に

死体の山をいくつも築いたこのくそったれの怪物に、どンな所にあるってンだ。

 

こういう勘違いバカは、いくら最強の超能力者でも手に負えない。

だから諦めるのだ。

それが正しい対処方法だと知っているから。

 

 

しかし、この胸の奥に刺さってる違和感のようなモノはいつになったら抜けるのだろうか。

薬でも能力でも何度寝ても消えない。

 

これは………、なんだろうか?

 

 

 

一方通行は、それと今日もまた葛藤する。

そして今日も"ソレ"に手の打ちようが無いのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてそれからもおサボリ部下、小町との追いかけっこが続いていた。

 

 

映姫「また、また、またですよ。なんで彼女は仕事をしてる時は脳をフル活用してないのに、こういう下らない逃げてる時には全力を出すのでしょう………。捕まえたら一時間二時間じゃ収まりません、一日二日ぶっ続けで説教してやりますよ。キッヒッヒッヒッヒッ……」

 

 

またもや一足遅れ、居酒屋から出る二つの影。

 

ため息を吐いて、このまま地面に寝転がってギブアップと宣言したらどれ程楽になれるだろうか。

そんな考えが絶対に浮かばない閻魔の少女、四季映姫は捕まえた後の事を想像して極悪人のように笑う。

そんな彼女の隣に居る白が特徴の影は、

 

一方通行「………次の、次だ。あと二手でチェックメイトだ」

 

映姫「え?なんでそんなことが分かるんですか?」

 

一方通行「今までの行動パターンを解析、そして次にどの行動をするか計算した」

 

映姫「そ、そんなことできるんですね貴方は……。もし貴方が死んだら私の右腕として仕事を手伝って欲しいです」

 

一方通行「閻魔サマの仕事の手伝いか。ハッ、死後にそンな大役が待ってると思うと死ぬのが楽しみになっちまうだろォが」

 

ぽん……と、だ。

その細く白い手が四季映姫の帽子を被る頭の上に置かれた。

閻魔の少女はどうしてそんなことをするのか、不思議そうな表情をして彼の顔を見た。

 

そしたら、

 

 

笑っていたのだ。

子供が見せる純粋無垢な笑顔とは程遠い

友に見せる楽しいという感情一つで見せる笑顔と違うが

 

嘘偽りを言ったとは思えない、

確実に楽しみにしてそうな、そんな笑みであった。

 

 

映姫「ぁぅ……………………はうはうぅぅ……っ」/////

 

ぽっ、と。

なにかの導火線に火がつけられ、自分の知らぬもの爆発してしまったのか。

キリッとしていたお堅い少女の顔は緩くなり熱くなって頬が染まる。

 

だが、一方通行はそんな彼女の顔を見ずに

 

 

一方通行「さァて。じゃあこっから先、走り続けるがついて来れるか?」

 

映姫「っ、はいっ!!」

 

元気に敬礼の構えをして答える。

 

一方通行「イイ返事じゃねェか、四季。あっちも能力を使わず逃げてンだ、こっちだって能力を使わねェ。使ってたまるか。この俺に頭脳戦を仕掛けやがって、絶対後悔させてやる。なァ、捕まえたらたっっっっぷりお仕置きしてやろォぜ?」

 

映姫「はい、良いですね。それにしても最初の頃と比べると随分と乗り気ですね?」

 

一方通行「あァ、嫌々習い事をさせられたがそれが趣味になっちまった気分だ」

 

 

さァ、覚悟をしやがれ

 

それがよーいドンの合図となった。

 

そして、

タッ!!タッ!!タッ!!タッ!!タッ!!タッ!!

っと一方通行を先頭に里の中を走り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ………はあ……はあ………はあ…………はあ……………はぁ」

 

大きな大きな、とても大きな

もし、その物を人に振り下ろしたのなら、するりと刃が体を通り真っ二つできる大きな鎌を持つ赤髪の女性の姿があった。

彼女は今、上司から逃走中のため走っているのだ。

 

そして、休憩場所である場所につく。

そこは日が出るこの時刻より、日が沈んだ時刻の方がやっていた方が似合うところ、

そんな所だが、ここなら安全なのだ

 

「よォ」

 

「ッ!!」

 

そう、思っていたのに

 

「この俺を出し抜こォだなンて考えた瞬間、オマエは敗北の道に転がり落ちた」

 

「小町、覚悟ーッ!!」

 

 

安全だと踏んだ場所が、この逃走劇の終わりを告げる場所になっていた。

 

 

昼間からでもやっている居酒屋の中から二人の影が出てきた。

片方は白が特徴的な容姿で、悪人ズラをしていた。

片方はこの世で自分以外の顔で一番見た顔であった。

 

 

「ど、どうしてここに……ッ!?」

 

戸惑いの顔を見せたのは前に立つ二人を困らせた張本人、小野塚小町だった。

 

小町「ここなら、ここならまだ………ッ!!_____」

 

一方通行「_______"到着するのに時間がかかる"。だろォ?」

 

小町「ッ!?」

 

ニヤリと笑いながら自分の考えを言い放たれて動揺の顔を見せる。

 

一方通行「オマエはこの場所に自分しか使えねェ最短で行ける道を使い来た。その最短の道とは民家だ。飲み仲間の家を通り道として利用して今までの逃げ回っていた、そうだろ?」

 

小町「何故、それを……?」

 

一方通行「考えればすぐに分かる。俺達が利用する道とオマエが利用する道での到着時間が明らかに違う。まるで敷かれた道をゲームのズル技のように無視してりゃ気付く。だが、だ。オマエは便利な道を使い続けた結果大事なことを見落とした」

 

ぴっ、と小野塚小町へ指を立ててなにかを差す。

その指が差したものは大きな鎌だった。

 

一方通行「オマエはそのデケェ鎌を持っていたせいで、自分が使えねェ細い道は俺達も使わない勝手に思い込み本当のここまでの最短距離を図り間違えた」

 

小町「………そうか。そうだった、あの道を使えばここにあたいより早くつける……ッ!!」

 

一方通行「やっと自分のミスに気付いたか?」

 

小町「でも……、待てよ。あたいが細道を勝手に使えないと思い込んでると気付いてもなんであたいが次に来る場所が分かったんだ?」

 

難しい顔をして質問する彼女に一方通行はため息を吐いて、

 

一方通行「フェイントにフェイントを重ねて自分の次の目的地予測を狂わせようとしても、だ。それをこの俺に何度も通じると図に乗ったことが大きな誤算だったな。俺の頭はオマエ達とは出来が違くてなァ、オマエ程度の三下の行動パターンなンざ数分もありゃあ把握するのは訳ねェぞ?」

 

映姫「ふふん♪どうだ参ったかァッ!?」

 

小町「いや何で四季様がドヤ顔決めてんですか…………。まぁ、参りましたよ。降参です」

 

鎌を持っているため両手でとはいかなかったが、

兵士や騎士が白旗を振るように、

ボクシング中継で見るセコンドがタオルをリングに投げ入れるように、だ。

空いた手を挙げて降参を態度でも示す。

 

その時、ハイタッチの音が聞こえた。

 

映姫「やりました、やりましたよ!!貴方のお陰で予想以上早く小町を捕まえることができました!!」

 

一方通行「そいつァ光栄だ。良かったな四季」

 

映姫「あの………。それで、ですね………」

 

もじもじと顔の前で手を弄りながら、

 

映姫「もし、良ければですね。貴方に、一方通行さんには私は映姫と呼んでほしい………、です」

 

一方通行「構わねェぞ?だったらオマエも俺のことを呼び捨てにしろよ。さンなンて呼ばれると背中が痒くなる」

 

映姫「それは出来ませんっ!!一方通行さんは誰よりも偉大な御方。呼び捨てなんて滅相もないっ!!」

 

一方通行「………どォせそれについて違うだの言ったって無駄、か。チッ」

 

なんだかんだ、だ。

今日この閻魔の少女を多く会話をして彼女がどんな性格なのか理解している。

だから、無駄が嫌いな彼は最初から舌打ちをして否定するのを諦めたのだった。

 

そして、そしてそして?

 

「さァて」

と、 ぐりんと赤い瞳をおサボリさんに向ける。

 

 

一方通行「とりあえずオマエ逮捕な」

 

小町「________へ?」

 

ガチャリと彼の能力で創られた手錠が小町の腕にかけられた。

 

一方通行「あとは紐だな。よォし、これで完成だ」

 

小町「へ?うぇ!?な、ななななななんだいこれはぁぁぁぁぁアアアアアアアアアッッッ!?!?」

 

そして手錠の間の鎖に丈夫な紐の先を結ぶ。

 

で、だ。

その紐を

 

一方通行「ほらよ。こォすればコイツは逃げれねェぞ」

 

映姫「わーっ☆ありがとうございます!!」

 

自分にかけられた手錠に結ばれた紐をニッコニコに笑って掴む映姫に、

 

小町「えぇぇぇえええええええッ!?!?どうしちゃったんですか四季様!?今までの四季様ならこんなあたいの姿を見たら助けてくれたはずなのに!!」

 

映姫「貴方が悪いんです。何度も逃げるから。私だって時には鬼になります」

 

一方通行「あ、コレ鍵。世界に一つしかねェからもしも紛失したらそのバカ一生そのままな」

 

映姫「なにからなにまで………。感謝しかありません」

 

二人はなにかを発散するように悪い顔をして生き生きしていた。

そんな一方通行と四季映姫を見て死神・小野塚小町は恐怖を覚え今までの行いを悔い頬から冷たい滴を垂らすのであった。

 

一方通行「ついでに首輪もつけるか?猿轡でもムチでも何でもあるぜ?」

 

映姫「なんでもですか?悩みますねえ………」

 

小町「変なこと教えないで!!悩まないで!?あたいが悪かった!!大人しく、大人しく帰りますからこれから真面目に仕事するからコレ以上はどうか勘弁して下さいーっ!!!!」

 

まさかこんなことになろうとは考えてもなかった小町は涙を浮かべてドSスイッチ全開の二人に許しを乞う。

 

小町「…………ぐすっ…………ン…………ひぐぅ………あ、たい。あたい今日から良い子になるからぁ………」

 

映姫「言いましたね?私はちゃんと聞きましたよ。もし、嘘吐いたら知ってると思いますが針千本の刑です」

 

小町「はぃ…………ぐすっ」

 

映姫「ん、まっ☆今日はコレは絶対外しませんよッ☆」

 

小町「せめてお手洗いの時とお風呂の時は外してぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」

 

神様。仏様。閻魔様の四季映姫に大量の涙を流して抱き付く。

そんな小町にどっかの怪物に毒された彼女はまだまだ黒い笑顔であった。

 

 

一方通行「さて。じゃあ、説教も聞いたしバカも探したし。俺は帰るぜ」

 

そう言うとだ。一方通行はスキマを開いて二つのスマートフォンを取り出す。

そしてそれを四季映姫に渡した。

 

一方通行「それの使い方は多分オマエ達の知り合いのどいつかが知ってるから教えてもらえ。俺はもう帰る気力しか残ってねェから今からは教えられねェ」

 

映姫「おお、これが話に聞いたスマホというヤツですか。大変便利の代物をいただき感謝します。ほら、小町も」

 

小町「ありが、とう、ございます……」

 

普段の彼女を知っているのなら今の小町を見たらどのぐらい驚くのだろうか。

一方通行に恐怖心を抱き、一時的に内心幼児化してる彼女は四季映姫の後ろに隠れて小さな声で礼を延べた。

 

一方通行「あァ。あばよ映姫、サボリ魔ァ」

 

映姫「ハイ、私は貴方に今日出会えて良かったです。もしも会えなかったら一生誤解したままでしたからね」

 

一方通行「けっ。俺もオマエに会えて考えが変わったぜ。閻魔サマってのは、思っていたより可愛い女の子なンだってなァ」

 

映姫「んなッッ!?!?」////

 

一方通行「本物を見たこと無い人間が描いた閻魔サマは髭が立派な威厳のあるジジイなンだぜ?俺もそンな野郎だと想像してたが、蓋を開けたらどォだ?まさかのくそ生意気なクソガキでしたってなァ」

 

映姫「ッ~~~~~~!!!!!ちょっといい人って思っていたのに!!やっぱり貴方は酷い人です死んだら地獄に叩き落としてやりますからねーっ!!!!」

 

そんな全力で叫んでやっても一方通行は振り返ることなく、その背中を向けたまま消えていった。

 

ただ、だ。

 

映姫「………………ふふ、もうっ」////

 

もしも、彼が振り返ったのなら四季映姫の微笑んだ姿を目にしていただろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一日の終わりは、やはり風呂に限る。

しかも今日も今日とて、疲れた一日であった。

 

幻想郷に来てからは、人々との付き合いが増え周りに学園都市に居たときには想像も出来ない程人が増えた。

こんな生活など自分は縁がないと思っていたが、まあ嫌な気分では無いし

 

このままでもイイか。

いや、このままが良い。

そう思考するほど、満足のいく生活だ。

ただ、この表の光の世界の裏、

どうしようもない闇しか広がらない、くそったれの世界。

その世界の魔の手が何時如何なる時でも、あいつらに向けられる。

だから、その問題を解決すれば

 

真の、

更なる幸福が、真なる平和がこの幻想郷に訪れる。

そうするため、彼は。怪物は。

幻想郷の第一位・最強の超能力者一方通行(アクセラレータ)は戦い続ける。

 

 

だがであった。

そんな彼が一日の疲れを癒すように、家の風呂に浸かってる時だ。

 

 

浴槽の底に人ひとりがすっぽり落ちるぐらいの大きさの"スキマ"が開かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バシャーンッッ!!!!

とある場所に存在するとても大きな温泉。

そんな所に一つの白い影が落ちてきた。

 

 

一方通行「__________ふざっけンじゃねェェッッ!!!風呂の時ぐらいゆっくりさせろやァァァァァァッッッ!!!」

 

不格好に湯の中に叩き付けられたが水飛沫を上げて勢い良く立ち上がった。

その時の一方通行は説明するまでもないが、表情は怒りに染まっていた。

 

紫「まあまあ、そう怒らない怒らない。せっかくの温泉よ?楽しくスマイルなさい。それより座ったら?藍が落ち着かない様子だし__________」

 

一方通行「……あ?」

 

こんな事をだ。

何度かされれば自分にふざけた真似をした犯人など嫌でも分かる。

 

最強と言われる怪物を問答無用で知らない温泉に叩き落としやがったのは大妖怪・八雲紫だ。

彼女は湯に浸かっているのだから勿論布一枚纏わない姿であった。

しかし、彼女は湯にプカプカ浮かせた熱燗を乗せたお盆から愛用の扇子を取ってそれを開き怪しく微笑む。

そして紫が目が見てる方向に、だ

 

藍「ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~!!?!?!!」//////

 

顔も体も全部真っ赤にして片手で大事な部分を隠しもう片手で目を覆う、

 

彼女は八雲藍。

八雲の名がつくように、八雲紫に身内のような存在。

大妖怪様の式神だ。

 

そんな彼女は説明不要だろうがここは風呂、温泉だ。

布など纏ってる訳がない。

そもそも湯にタオルなどをつけるのはマナー違反。

例えここが自分達専用の場所だとしてもやってはならない。

 

一方通行「………………………………………………」

 

すーっ、と。

無言で一方通行は座る。

そして

 

一方通行「どォいうことだ。この状態は…………」

 

紫「何一つ隠さない会話をしたいからこの温泉に貴方を呼んだのよ。裸の付き合いってやつよ、一方通行」

 

一方通行「ふざけた野郎だな、チッ。ただ一つ言わせてもらう。藍は俺がここに来た事に動揺してやがる。そいつに相談もしないで実行しやがったなクソ女。俺ァ泣きたいぐらいオマエにこンな扱いをされても慣れちまったから、面倒だが話に付き合ってやるよ。が、藍の居ねェ場所にしろ。女は特に異性に裸を見られるのが嫌ってのはこの俺でも知ってる」

 

紫「大丈夫よ。この子も大人なんだから。ねー、平気よね藍?」

 

藍「いえ……、あの、むりぃです。恥ずかしくて体が溶けてしまいそうです………っ!!」/////

 

紫「へ、い、き、よ、ね?」

 

藍「紫様ぁ、いじわるしないで下さい!!」/////

 

それは、主からの圧力であった。

頬を赤く染めて自分の尻尾に(くる)まって、体を隠す藍の腕を掴み黒い笑顔の紫。

その光景を見て一方通行は珍しく藍に同情の感情を向けた。

 

紫「さて、じゃ。お酒でも飲みながらゆっくりお喋りしましょ?」

 

藍「橙がのぼせた時に、私も出ればよかった………………」

 

そして、不本意ながら参加させられた藍はできるだけ体をその複数の尻尾で隠して、白い彼の華奢な体を見ないように見ないようにと努力していた。

対する紫はお猪口を手に取り呑気に飲んでいた。

 

一方通行「酒は飲まねェよ。さっさと話を済ませて俺を家に帰らせてくれ」

 

ここはどこだろうか。

上を見れば星星が夜空に輝いてる。

幻想郷のどこか、なのだろうが見慣れない周りの風景。

元々八雲紫はどこに居て、どの場所に住んでるか不明だ。

多分ここは八雲紫が所有する数ある家の一つ、なのかもしれない。

たが、そんなことはどうでも良いと吐き捨てるであろう一方通行はプカプカ浮かしてあるお盆を手で押して返す。

 

紫「はあ……、つれないわね。まあいいわ。私が貴方とお話したいことはね、一方通行。今、貴方はどんなことを考えているのか聞かしてほしいのよ」

 

一方通行「ハッ…………、どォした大妖怪サマ?オマエは俺のことなンか何でも知ってンじゃねェのかよ?」

 

紫「そうよ。けど、貴方自身の口から聞きたいじゃない。本心ってやつを」

 

一方通行「…………………………………チッ」

 

舌打ちを一つ打つ。

それからこの温泉の水面に映る自分の顔を見た。

別にその行動に意味はない。

 

電車に揺られるスーツを着た社会人が、目の前の窓の奥に聳え立つ数々のビルを眺めるように

ワンちゃんの散歩途中に、たまたま視界に入った地面に転がる小枝を見るように、

なんの意味の無い行動なのだ。

だが、その無意識の行動の途中に考えることは可能だ。

 

 

一方通行「俺が考えることなンか下らねェぞ?それでも聞きたいか?」

 

紫「ええ。こんな機会は滅多にないし何でも良いから話てちょうだい」

 

そんな笑みを浮かべることができたのか。

酒が回ってると理由があるかも知れないが八雲紫は普段見せないであろう、やさしく優しく

まるでそれは太陽か、星か

 

そのぐらいの明るい表情で頬を少し染めて微笑んでいた。

 

一方通行「………。次に学園都市が攻めて来た時はどォするか、どうオマエ達の幻想郷を守るか。そればっかりだ。チッ、分かってる。俺のようなどうしようもねェバケモノがこンなことを思ってるなンて似合わねェってことぐらい。だが、それでも俺がそうしたいと思ってンならやるしかねェだろォが。もう自分を殺して、命を奪うなンざしたかねェンだよ」

 

 

過去に大きな過ちを繰り返しても、彼はそれらを全て投げ捨てずに、とても一人じゃ持てない程重いその罪を背負い歩き続ける。

誰かのせいだ、とか

ホントはしたくなかったとか、言ったって。だ。

 

では、誰が過ちを犯したか。

 

それは自分だ。

この一つの体が、命を奪い、罪があっても無くても関係なく多くの人を傷付け続けていた。

 

後ろからのしかかる、どす黒いものから逃げる気はない。

彼は一方通行(アクセラレータ)

最強を手にし、その先の"絶対"にこの世で最も近い存在なのだ。

 

自分が信頼する守るべき者にしか背を預けない。

絶対に、敵という存在には正面しか見せないのだ。

 

 

藍「別に………似合わないとは思いませんよ。悪人だろうが聖人君子だろうが誰にだって大切なものがあります。その大切なものを守る為に行動してるのを笑える者は居ません。でも………、貴方の周りには、貴方の幻想郷には私たちも居るんです。貴方に助けられた私たちはずっと貴方の力になりたいと、次は私達が一方通行さんを守りたいと思っています。だから自分一人で背負わないで。私達にもその荷物を一緒に背負わせて下さい。貴方は、もう一方通行さんは孤独じゃ…………独りじゃないんです」

 

 

温かい、優しく柔らかいその手は白い怪物が罪を重ね続けた手を優しく包んでいた。

 

一方通行は怪物だ。

たった一撃で、小さな行動で勝負を終わらせる能力を持つ。

過去にたった一人で約一万の命を奪ってきた。

 

それを知っていても、

その恐ろしい事実を知っていても藍は彼の手を取る。

 

誰にだって黒い部分はある。

誰にだって消してしまいたい過去がある。

だから、と。彼女は受け入れる。白い彼を、どす黒い過去を持つ怪物を

 

いいや、自分の。幻想郷の主人公(ヒーロー)を。

 

 

一方通行「……………………見えてるぞ?」

 

藍「ん………?_______きゃぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!?!??!!」/////

 

『はぁ~……』と紫のため息が聞こえたが、

八雲藍は体が無意識に動いてしまって自分がどんな姿をしているか忘れて一方通行の正面に居たのだ。

 

が、気付くとだ。

水飛沫を上げて高い声で叫んだ。

 

一方通行「………………………………………おい」

 

藍「えとえと、あのっ…………、すいませんっ!!」////

 

紫「いい加減慣れなさい☆ら~んランッ♪」

 

思いっきり湯を顔面に浴びて少し怒りの表情を見せる一方通行。

それを無視して八雲紫は藍に体重を預けるように抱き付いた。

 

藍「なんですかその子供みたいな呼び方!!普通に藍とお呼びしてほしいです!!」

 

紫「あー、私の式神が可愛いすぎて辛い……………」

 

 

なにをやっているのやら。

ただの戯れを見たくもないのに見せられた一方通行は、舌打ちを打った。

 

 

紫「それにしても。私が言いたいことは全部言われちゃったわ。でも良いわ。貴方に私達の存在を再確認してもらえれば別に」

 

一方通行「…………………………くそったれ」

 

もう御満足したのだろう。

藍から離れていた。

 

そして一口酒を飲んだ後、

 

紫「…………一方通行」

 

一方通行「あン?」

 

紫「この下らない状況が終われば良いわね……」

 

一方通行「あァ、そォだな。早く終わらせるためにも柄にもねェことをするしかねェだろ。特に俺とオマエは、な」

 

紫「…………………………ええ、そうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

終わりはいつ来るのだろうか。

普通はいつ、戻ってくるのだろうか。

 

 

 

 

大妖怪と怪物は、

全てを元に戻すため今日も頭を動かす。

 

 

 

 

 

 

 

その時どこかに居る逆さの『人間』は不気味に笑った。

 

 

 

そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『絶望』の弾丸の引き金を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

計画名『目覚め(リバース)

 

 

それが今、始動した。

 

 

 

 

 

 

そして幻想郷に『悲劇』が迫る。

 

 

 




次回・第四章、6話。


その日で平和が終わった。
そして、戦いの幕が切って落とされたのであった。





さあ、時間は与えたぞ。
そろそろ、動き始めても良いだろう。

行くぞ、幻想郷。

今まで続いたこの戦いを………………終らせる。
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