幻想郷を一方通行に   作:ポスター

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暗部『アイテム』。
その構成員の中には一方通行と同じ超能力者(レベル5)が居た。
だが、だからと言ってそのままにしとく訳にもいかない。
そいつらが敵と言うのなら倒すまでだ。



絶対、誤字があります。
ですが発見した場合、面倒だったら無視してくれて構いません。
お暇なお方や心優しいお方は出来たらで良いので誤字やそれ以外のミスを見つけたらこんなダメな私に報告してくれると非常に助かります。


7話

一方通行達が月に向かってから時は経ち、

 

侵略者が幻想郷に来る時間まで時が進んだ。

 

 

 

 

そしてそして、

 

幻想郷のとある場所にある自然が生い茂る緑の中を進む五つの影が

 

 

「いやー、にしても『異世界』へ行ける道具なんて説明されて送られた物でマジに異世界とやらに行けるなんて、この腕輪みたいな物を学園都市の科学者達は超努力して開発したんでしょうね」

 

五つの影の、その中の一人。

中学生ぐらいの身長だというのに丈がかなりギリギリな下が結構大胆なふわふわしたニットのワンピースを着た首もとまで伸びた明るい茶髪の絹旗最愛という名の少女が右手首に巻いたシルバーバングルを見てそう呟いた。

 

周りに居る他の仲間も全く同じものを右手首に巻いているが誰一人その"機械"がどんな仕組みだとかどんな風に作動しているとか理解していない。

 

ただ依頼した仕事に必要だからとその仕事の依頼主から特に説明されず顔を合わせず送られた物なのだ。

 

「そんな無駄なこと考えなくていいのよ絹旗。私達は依頼された仕事をこなす。それだけよ」

 

次に口を開いたのは暗いオレンジ色の胸まで伸びた髪で薄いベージュ色の半袖コートを着た、五人の中で一層大人な容姿の他の『アイテム』という学園都市に存在する暗部のメンバーを束ねるリーダー、麦野沈利という名の能力者はあの一方通行(アクセラレータ)と同じ超能力者(レベル5)で、序列は第四位である。

性別は女性だ。

 

目標(ターゲット)は学園都市の上層部が大事に大事にしていた"第一位"。その大事な第一位を捕獲じゃなく殺害って………………。まあ、どっちにしても結局、今までで一番面倒なお仕事って訳よ」

 

そして、ため息を吐いた後に口を開いたのは腰まで伸びた綺麗な金髪で黒いレディースのベレー帽を被り女子高生の制服を着た青い瞳の少女、フレンダ=セイヴェルンであった。

彼女は絹旗や麦野と同じく暗部『アイテム』のメンバーである。

 

「………………ここ、変。今までに感じたことがない感覚がする。気持ち悪い…………」

 

「それは滝壺の能力が原因なのか、それともまた違う理由なのか?…………だが、まあ__________」

 

先頭の三人から少し後ろに付いて歩いて居る二人。

片方は性別は女性で上下どちらもピンク色のジャージを着た少女で、もう片方は髪は金髪で耳にピアスを開けていて、下はジーパンで秋物の茶色の上着を着た不良少年だった。

その不良少年の名は浜面仕上。

 

彼は隣を歩く年中ジャージ少女こと滝壺理后を横目で見た後に前を歩くの三人に視線を向けた。

滝壺はこのまるで漫画やアニメで出てきそうな『異世界』とやらに来てから体の調子が悪いようだ。

浜面は暗部『アイテム』でただの下っ端として酷い扱いをされている。

無能力者(レベル0)集団・『スキルアウト』の元リーダーだったのだが暗部という汚い仕事しかしない、その身を血に染めるしかない暗黒まで堕ちてしまい今やこの様である。

しかし、

 

しかし、だ。

それでも酷い扱いをされていても、例え自分が彼女達を庇って死んだとしてもなんとも思われないとしても、

 

『仲間』なのだから心配はするのだ。

 

だが、今回の仕事は大きな仕事らしく先頭の三人は滝壺 が使い物にならないと知ると具合を悪そうにしていても『アイテム』のリーダー麦野は「付いてきて」の一言だけで済ませ、体調を気遣ったり肩を貸すなどを一切しなかった。

そしてリーダーの麦野がそんな態度をとれば他の二人もそれに従った。

 

これが暗黒に住まう『暗部』の"普通"の光景なのだ。

 

でも暗黒に染まりきってない浜面はそうやって『仲間』を、『人間』をぞんざいに扱うなんてできない。

 

だから、滝壺の手を握りできるだけ歩くペースに合わせて歩く。

 

 

浜面(殺すターゲットはあの第一位だ。しかもその仕事の依頼主は学園都市統括理事長………………。だから意識しなくても力が入るのは分かる。だけどこんなのってねえだろ……ッ!!!)

 

息遣いが荒く、表情をとても辛そうに歪ませていても歩いて三人に付いて行かなくては"いけない"滝壺の姿を見てひとり心の中で叫んだ

 

 

この世界の残酷さに。

 

 

滝壺「…………大丈夫?はまづら、辛そう…………」

 

でも、

 

でもその残酷な世界で生きてきた彼女は浜面を心配する。

 

感情が無意識的に表情に出てしまったのだろうか、

 

 

いいや、今はそんなのどうでもいい。

 

ただこんな自分にでも優しい滝壺に、

 

浜面「ん?なに言ってんだよ、無能力者(レベル0)な俺だが体力だけは自信があるから大丈夫大丈夫。 だからさ、滝壺。歩けないぐらい辛くなったらいつでも俺に言ってくれ、おぶっていってやるからさ」

 

 

『辛いのはお前の方だろっ!!』と、本当に彼女にかけたい言葉が言えなかった。

そしてその直後になんにもできない自分を恨んだ。

 

 

 

彼女に救いの手を差し伸ばしたくても、

 

もしも手を伸ばしてもその手は無力………………

 

 

 

 

力があれば、

 

能力とやらがあれば変われるのだろうか?

 

 

 

そんなことを考えると決まってこんな答えが返ってくる。

 

『お前はクズだ、他人も自分も守れないクズだろうが。力があったってなくたって、"変われるかも"としか思えないなら"変わる"なんて大層なことできない』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗部『アイテム』が自然が広大に広がる林の中にある、

人が通れる道と呼べる場所を歩いていたら、

 

 

「あーらよっと!!」

 

スタッ!!っと、

五人の前に突如空から見事着地したのは一人の金髪の少女。

 

その金髪少女は、片手に箒を持ち魔法を扱う白と黒の魔女のような格好をしていた。

 

「えーっと。お前らがアレイスターとやらが送り込んだ刺客ってことで間違いないな?」

 

彼女の名は霧雨魔理沙。

正真正銘、この不思議な幻想郷に住む本物の魔女である。

 

 

浜面「…………おいおいおい、情報が漏れてるじゃねぇか!?隠密任務じゃなかったのかよ!?」

 

麦野「アホ面晒してんじゃないわよ浜面。それにしてもあの統括理事長が情報を漏らすなんてへまをする筈がない。っと言うことは統括理事長が自ら情報を漏らしたと考えるのが妥当ね。はあ……、色々考えるよりも先に今はっ!!____________」

 

 

暗部『アイテム』のリーダー、麦野は能力を発動した。

すると、彼女の周りに一つの薄緑色の光の球体が発生する。

 

そして次の瞬間、、、、

 

その光の球体が一筋の光線となり、霧雨魔理沙を襲う。

 

が、しかし。

 

しかしであった。

その一筋の光線を魔理沙はその手に握る箒に魔力という名の白く輝く光を纏い麦野が放った光線を打ち返す。

 

本当は彼女目掛けて跳ね返したつもりだったが余りにも光線の威力が高かったのか、

暗部『アイテム』の連中の斜め上へ光線は飛んでいった。

 

麦野「チッ、さっきので終わってくれれば良かったのになー。まあ、私達の存在を知ってて堂々とバカ正直に前に出てきたってことはなにか能力を持ってて当たり前か。私はとりあえずこの脳内愉快そうなクソガキをぶっ倒す。フレンダ、アンタはその援護。残りの絹旗、浜面、滝壺は私達と別行動で第一位の野郎を探しなさい」

 

そう言われると、彼女の後ろに居る者達の行動は早かった。

それは正に一切迷い無しの行動。

 

 

そして、暗部『アイテム』絹旗、浜面、滝壺の三人は言われた通り自分達の後方に向かって進んでいった。

 

 

魔理沙「お前が言っている第一位って一方通行のことだよな?ってことはお前らの目的は一方通行か。でも、アイツを見つけて『ハイ終了』ってそんな誰も血を流さない、平和に終わらせる目をしてないな。と、いうことはだ。一方通行を探したらやっぱり殺すのが目的なのか?」

 

麦野「…………ふっ。情報にあった通り。あの怪物の周りに多くの人が居ると聞いてまさかと思ってたけど、本当に居たとはね。じゃあお前を半殺しすれば吐いてくれるかな?第一位の居場所」

 

魔理沙「別にお前らごとき一方通行に会わせてもどうせ返り討ちに遭うだろうし、心配ないから教えてやっても良いんだけどな。でもな、知人に対して殺意をギラギラさせてるヤツにそいつの居場所を親切に教えるバカはこの世に居ないんだよ」

 

麦野「あのクソったれを庇う価値なんてないのによくやるわ。あいつがここでどんな顔をしてたか知らないけど、私達の世界で第一位は約一万人殺したただの狂気に満ちた怪物なのよ」

 

魔理沙「ああ、知ってるぜ。たった一人で一万人も殺したなんて初めて聞いた時は驚いた。だがな、アイツは、一方通行はそれだけじゃないんだよ。一方通行はな、口では言ってなかったが自分はやってはいけない事をしたと悔いていたぞ。私は、お前達の世界で一方通行がどんな評価をされてようが知ったこっちゃない。私は、私のこの耳と目で見て聞いて、信用できると確信してるから一方通行がいくら多くの命を奪った殺人狂だとしても全力で信じてる。ただそれだけさ」

 

麦野「けっ、気持ち悪い友情ごっこね。それより_____________」

 

あの三人は即座に行動した。

しかし、しかしである。

 

自分の援護を頼んだ筈の金髪ロングの制服少女は、なんの緊張感もなくただただ麦野沈利の隣で突っ立っていた。

そんなフレンダを横目で見る。

 

 

麦野「______フレンダ。アンタなぁに呑気に突っ立ってんの?私がクソ下らない話して時間稼いでやってんのにさー」

 

フレンダ「えー?あんなヤツ麦野一人で十分でしょ?結局、私は不要って訳」

 

麦野「二人でやれば時短になるし、楽だからって考えは浮かばないの?ねえ。フ、レ、ン、ダ?」

 

フレンダ「………………、分かった」

 

さっきまで、面倒だから超能力者(レベル5)の彼女に全て任せようとしていたのに何故、こんなにも素直に従ったのか?

その理由は簡単だ。

それは、フレンダが見た麦野の目であった。

 

使えないと判断したら、いくら苦楽を共にした『仲間』といえど容赦なく殺す。

そういう彼女だと理解しているフレンダは、麦野の冷たく鋭い恐怖の眼光を目にしたから素直に従ったのだ。

 

 

そしてそして。

フレンダは、トラップを仕掛けたり爆発物を用いた戦闘スタイルである。

爆発物をただ敵目掛けてぶん投げるだけで、倒せる敵なんてたかが知れている。

だからこそ、

 

相手を仕掛けたトラップまで追い詰めてとことん戦意を喪失させる。

そんな風に戦うフレンダには、トラップを仕掛ける時間が必要なのだ。

それを考えていた麦野は、時間稼ぎをしていたのだ。

 

 

そして。

トラップを仕掛けようとフレンダが行動した次の瞬間

 

 

それを許さない白と黒の魔女が、

 

魔理沙「させるかよっ!!」

 

片手に持っていた箒をフレンダに目掛けてサイドスローで投げた。

が、しかし。

投げる体勢を崩してしまったのだ。

 

それは、薄緑色の一筋の光が無数に魔理沙に飛んできたのだ。

それを躱わしつつ投げたその箒の先端が見事フレンダの背中に突き当たる。

 

そして、その投げた勢いのまま金髪ロングの制服少女は奥へ奥へ飛んで行ったと思ったらその箒はフレンダの体を空へ持ち上げた。

 

高い高い空へ背中に箒に先端が突き当たったまま持ち上げたと思ったら次の瞬間だ。

 

急に。そう、急に箒はフレンダの体を次は地面目掛けて打ち落としたのだ。

 

 

すると、だった。

 

高い場所から落とされたフレンダは地面に激突した。

 

 

魔理沙「さあ、まず一人はダウンみたいだぜ」

 

麦野「チッ。役立たずが」

 

轟音と砂煙と共に魔理沙と麦野の間に落とされたフレンダはピクリとも動かない。

確実に意識を失っているし、最低でも骨の二本か三本は折れているだろう。

 

そして、数々の殺傷能力が高い光線を全て避けた白と黒の魔女の手に空から降ってきた箒が握られていた。

 

そしてその箒の先端を麦野に向けて、

 

魔理沙「お前もこうなりたくなかったら大人しく投降しろ。お前は私に天が引っくり返ったとしても勝てないっ!!」

 

麦野「………………………………、」

 

 

なんにも、、、、

 

なんにも言わなかった。

ただ黙ったまま『アイテム』のリーダーの麦野は倒れているフレンダに近づく。

 

そして、

 

 

強烈な蹴りをフレンダに浴びせた。

すると、軽々数メートルもフレンダの体は吹っ飛び周りに生えていた木に激突した。

 

魔理沙「______なっ!?なにやってんだアイツはお前の仲間だろっ!!!」

 

とても信じれなかった。

投降する気は無いのだと、彼女の瞳を見て分かっていた。

 

一応言ったが無駄だったと思っていて、だからこれから戦闘になるだろう………………。

そう覚悟していた魔理沙は、麦野は倒れている金髪ロングの制服の少女をどこか闘いの巻き添えを食わない場所へ移動させると思いきや、そんな気もない蹴りを浴びせて追い討ちを与えたのだ。

 

さっきので、余計な骨を折ったフレンダは口から血を流していた。

 

口から血を吐き気を失っている少女なんか見向きもしないで

 

麦野「あー?使えないゴミを片付けただけよ、なに騒いでんの?」

 

魔理沙「使えないゴミだと!?お前人を……、人間をなんだと思ってやがる!!」

 

麦野「ピーピー騒ぐなよクソガキ。私達は一度のミスで死に繋がる闇の世界に立ってんのよ。生温い光しか浴びてこなかったガキが一々吠えるな。それより___________」

 

そこからだった。

この場の空気がどっしりと感じるぐらい重くなる。

 

緊張感が嫌でも肌に伝わる。

 

そして、一番変化したのは魔理沙の前に立つ女の超能力者(レベル5)だった。

 

眼が一段と細くなったと思ったら、口角は限界まで引き上げていた。

そんな彼女は、

 

麦野「_________さっき、面白い台詞をこの私に吐きやがったわね。『お前は私に天が引っくり返ったとしても勝てない』だっけ?………………っく、はははっ。あはははははははははははははははははははははハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

 

 

ゲラゲラと上を向いて笑う異世界からの侵入者。

 

その姿を見た魔理沙は何故か背筋が凍る冷たさと不気味さを味わう。

 

麦野「私に舐めた台詞を吐きやがって!!!」

 

笑みは憤怒へ変化した。

 

そして、

 

 

麦野「ブ・チ・コ・ロ・シ・か・く・て・い・ね」

 

 

一方通行と同様怪物として学園都市の皆から恐れられてる彼女が魔理沙に全力で能力を振るう。

 

 

先程から同じの薄緑色の光線。

だが、さっきから向けられていたのとは比べものにならない数と精密な狙いだった。

 

魔理沙「っ…………く!!アイツさっきから本気じゃなかったのかっ!!」

 

身軽に光線を避けていたが、彼女の能力。

原子崩し(メルトダウナー)』が魔理沙の頬を掠める。

 

このまま地面に居ればいずれ蜂の巣にされるのは時間の問題。

そう考えた魔理沙は地面より高速に移動できる空へ避難した。

 

魔理沙(…………チッ。これをまともに受けるとヤバイな………………)

 

攻撃を受けた頬を触れてからその手を見る。

すると手には赤い液体が付いていた。

 

いや、それよりも気になるのは熱である。

あの薄緑色の光線が掠った場所が異様に熱いのだ。

 

魔理沙「弾幕に似ている…………、いや、弾幕に似てるようで似つかないな。これは油断していると一瞬で殺されちまうぜ」

 

頬に汗が見えた。

その雫は先程受けた傷に触れて染みる。

 

が、しかし。しかしだ。

今はそんなちょっとした痛みを気にしている場合ではない。

視界に入っている限り、あの薄緑色の光線を放つあの女をどうにかしなくては傷がどうこうと言っている暇はないのだ。

 

魔理沙も負けじと光弾と光線。

その二つを同時に空からビーム女へ撃つ。

 

そして、

 

超能力『原子崩し』と魔法。

その相反する二つが彼女達の間で激しく衝突した。

 

 

魔理沙「威力はほぼ互角か。まあ、本気を出せばあんなヤツ消し炭にするのは容易いが今回の作戦はそうじゃないからな。…………はあ、"手加減"って案外難しいなー」

 

幻想郷の魔女・霧雨魔理沙の切り札と言うべき技

『マスタースパーク』。

あれを放てばいくら学園都市の超能力者(レベル5)と言えど一瞬で勝負をつける事が可能だ。

だが、今回幻想郷側の狙いは単なる敵の撃破だけではない。

 

魔理沙「だが、こんな派手な勝負ができるとはな。ハハッ、楽しくなって来やがったぜっ!!」

 

再度、光と光が衝突する音が炸裂した。

 

まるで花火でも打ち上げたのかと勘違いするぐらい輝く空。

そんな中で戦う白と黒の魔女はどこか楽しそうに口角を歪ませていた。

 

そして次の行動に移る。

 

魔理沙「能力は遠距離系。ならば接近戦は不得意な筈…………。よしっ!思いっきりぶん殴って気持ち良く眠らせてやるか!!」

 

ぐうんっ!!!

っと、魔理沙は箒の進行方向を学園都市からの『刺客』麦野に変えた。

 

風を切り直線に進みまずは地面に近付く。

そして、そして、

 

そこからはゴールしか見えてないフルスロットルのF1カーのように直進あるのみだった。

 

麦野「正面から突っ込んで来る気かよ、舐めんなよガキがァァァァァッッ!!!!」

 

怒号と共に放たれた"原子崩し"。

だがそれを魔理沙は避けると同時に箒から降りて勢いはそのままで麦野沈利に駆けて行く。

 

二人の間の距離は約三メートル。

その時だった。

 

魔理沙は隣を並走する箒をあの時、フレンダに投げたようにサイドスローで正面に居る麦野へ投げた。

 

だがしかし。

それは惜しくも躱わされてしまった。

 

だが、しかし。

だがしかしだった。

 

避けるという行動でできてしまうその隙を見逃さないのが、幻想郷の白と黒の魔女・霧雨魔理沙という少女なのだ。

 

箒を躱わして少し体勢を崩した麦野目掛けて放たれた魔理沙の渾身の右ストレート。

それを、

 

 

麦野沈利はまるで蚊でも叩き落とすかのように体勢を崩した状態で左手で薙ぎ払う。

そして、肉弾戦を仕掛けてきた魔理沙の腹部を思いっきり足の裏で蹴り飛ばした。

 

魔理沙は、くの字で背後にノーバウンドで数メートル吹っ飛んだ後、地面を転がり倒れる。

 

魔理沙「……う、っ……ごは……っ!?クソっ…………なんだよ話が違うぜっ!?ああいう能力者は能力に頼りきったせいで肉弾戦不得意じゃねぇのかよ!?逆だぜ、逆。逆に思いっきり蹴られてこっちが一発貰っちまったぜ!?チッ、読みが外れ_____________あ、ヤバッ!?」

 

腹部から伝わる強烈な痛み。

しかし、それを痛がってる暇はなかった。

『原子崩し』の追撃だ。

 

その追撃を倒れている状態でもなんとか回避して、魔理沙は立ち上がった。

 

そして、

 

魔理沙「ちくしょう、やっぱりアイツとは離れて戦う方が良さそうだ。戻ってこい!!」

 

手を翳してある物を呼ぶ。

それは、箒であった。

 

自由に宙を舞う箒は魔理沙が居る場所へ進む。

そしてとりあえず麦野のから距離を取りたい魔理沙は後方へ走って行った。

箒はその隣を並走する。

 

魔理沙「まずは作戦だ。まずは明確な作戦を立ててから仕掛けなきゃ絶対に勝てない………っ!!」

 

後ろからは何発も何発も原子崩しが飛んでくる。

それが頬、肩、腰、足に数ヶ所掠めてしまっても痛がりもせず緑の自然の中を駆けて行った。

 

 

 

魔理沙「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はー………………ふーっ。なんとか隠れる事に成功したな」

 

あの薄緑色の光線が飛んでこない。

どうやら自分を見失ったようだ。

 

木の影に隠れる魔理沙は肩で呼吸しているが、可能な限り静寂を意識して気配を消していた。

 

魔理沙(………………痛てて。それにしてもアイツの足は丸太でできるのかよ!?人間の生足で蹴られた感覚じゃなかったぜアレ!?あっ……そう言えば仲間を数メートル蹴り飛ばしてたな。………チッ、ちゃんと観察してから仕掛けるべきだった。油断して負けたなんて知られたら良い笑い者にされちまうぜ………………)

 

とりあえず、スマートフォンを取り出して他の仲間に連絡をした。

たった一人であの一つの暗部の連中を仕留める筈だったがバラバラに行動されてしまって一人では仕留められないと考えたのだ。

 

応援連絡を済ました魔理沙はまだ痛む腹部へ掌を当てて摩りながら、息をひとつ吐いてスマートフォンをポケットにしまう。

 

魔理沙(これで良し。応援なんてカッコ悪いがそんな事に拘ってる訳にもいかないしな……………………)

 

ああ、そうだ。

そうなのだ。

 

これは生き死にを互いに賭けた戦争。

私はこうしたいからとか、

こうじゃなきゃ嫌だとか、

 

そんな糞程どうでもいいことに拘るなど愚の骨頂。

 

魔理沙(作戦だ作戦。殺さないで、出来る限り傷付けないでどうやって無力化するか。頭を使え霧雨魔理沙っ!!私にはそれが出来るはずだ。考えろ、考えるんだ…………っ!!)

 

口を手で覆い、瞬きもしないぐらい一点を見つめて集中する。

脳は今まで以上にフル回転する。

 

色んな情報から立てた無数の作戦。

それを合わせて合わせて合わせて、

 

百パーセント成功する作戦を思考する。

 

 

そして、魔理沙はある事に気付いた。

 

 

魔理沙「…………アレ?私いつから頭を使って戦うようになったんだ?」

 

彼女は異変が起きたならその犯人にとりあえず言葉を交わす前に魔法を一発ブチかます。

頭?そんなのは使わない。

うだうだ考えたって勝手に問題は解決してくれない。

 

ならばすることは一つだ。

自分の出来ること、自分が最も得意なことをしてその問題とやらを解決する。

そうやって得意な魔法をとにかく打っ放し続けたのが魔理沙だ。

どこでそれが変わった?

どこで変えようとした?

 

いや違う。

変わりたかったのだ……………………、

 

"彼"のように。

冷静に物事を判断して他とは比べられないほど優秀な頭脳を駆使して何もかもを綺麗に解決してみせる彼がとても眩しく輝いて見えた。

『羨ましい』

そんな素直な感情もあっただろう。

才能にも恵まれ、自分が努力に努力を重ねてやっと手に入れた力を遥かに凌ぐ能力を持つ。

 

"彼"は、、、、、

 

一方通行(アクセラレータ)はどこか霊夢に似ている。

才能に恵まれ何でもかんでも難なくこなす。

 

そんなのを間近で見て『羨ましいな……』と、嫉妬していたのだろうか。

それで慣れない頭を使って一方通行みたいに戦おうとしていたのだろうか。

 

だか、それは______

 

 

魔理沙「__________私らしくないぜ。私はうだうだ考えない。魔法を打っ放し、敵を倒す。それだけだ、それだけなんだよ……………………」

 

才能に恵まれなかった。

魔法に手を伸ばさなかったらもしかしたらこんな世界を知らないどこにでも居る普通のか弱い少女だったかもしれない。

しかし普通の少女として生きる人生を拒み、

 

知られればそのまま心が折れてしまう努力もして、

霧雨魔理沙は手に入れた、『力』を。

幻想郷最強の『技』を。

 

それを否定して今更才能に恵まれている者と同じ戦い方をしようとしていた。

だが、

 

魔理沙「私は魔法を打っ放すしか能がない。それ以外出来ない不器用な女の子だ………………、だがそれで良いんだよ。だってそれが私、霧雨魔理沙だっ!!」

 

短所と長所は表裏一体。

ただの短所と笑うも良し、短所を個性と捉え長所と言うも良し。

 

そうだ。

ただの短所と笑わず、それを褒めてくれたのは誰でもない一方通行だ。

 

魔理沙「あはっ、はははははっ!!アハハハハハははははははははははははははっっ!!!さーて、さーて、さーてとっ!!私は私らしくやるか!!頭を使わず本能と勘のみで戦い、高威力のゴリ押しで敵が才能マンだろうが小難しい戦略を立ててようが悉くぶっ潰す。それが私らしい戦い方だ。なあ、そうだろ一方通行ァ!!」

 

ブワッ!!!

と、風が上へ昇る。

 

勢い良く上空へ箒に乗って魔理沙は飛んだ。

そんな事をすれば敵のいい的だ。

 

しかし、

 

魔理沙「さあ、派手にやろうぜ!!勝つか負けるか。勝負にはそのどちらかしかないからなーッ!!」

 

笑っていた。

楽しそうに、愉快に。

なんのストレスも感じてない笑顔で魔理沙は上空で箒の上に立っていた。

 

 

麦野「現れたと思ったら逃げて隠れてまた現れて、って。どちらかにハッキリしろやァッ!!」

 

一応、麦野は麦野で自分なりに魔理沙がどの辺りで隠れているか計算して探していた。

そしたら、急に空から大きな声で叫ぶ阿呆を発見。

 

木の隙間隙間から見えた白と黒の魔女に、御自慢の能力『原子崩し』を撃った。

 

それを魔理沙はそれと同威力の光線を撃つことによって打ち消す。

 

そして、

それからは一息吐く暇も無いほどの激しい撃ち合いが始まった。

どちらも考えることはただ一つ。

 

『敵を倒す』。

 

ただそれだけだ。

 

 

自由に空を舞う魔女に対して超能力者(レベル5)麦野沈利はそんなに動いていなかった。

もしも、自分の元まであの光弾や光線が届こうとしても彼女の能力によって防ぐ事ができるのだ。

 

学園都市、超能力者(レベル5)・序列第四位、麦野沈利。

彼女の能力名は原子崩し(メルトダウナー)

だが、その能力の正式な名称は粒機波形高速砲だ。

そしてその力は本来『粒子』又は『波形』のどちらかの性質を状況に応じて示す電子をその二つの中間である『曖昧なまま』の状態に固定し強制的に操ることができる。

 

『曖昧なまま固定された電子』は『粒子』にも『波形』にもなれないため、その場に「留まる」性質を持つようになる。

この「留まる」性質により質量を持たない電子が擬似的な「壁」となり、

『曖昧なまま固定された電子』を強制的に動かし放たれた速度のまま対象に叩きつけることで絶大な破壊力を生み出すことが出来るのだ。

まあ、だがアレだ。

簡単に説明するとなれば、

とにかく全身からビームが撃てるよ(☆)。

…………っと、いうことだ。

 

しかし、しかしなのだ。

原子崩しというその力はただビームを撃つだけではない。

その場に原子崩しを展開して強力な防壁を張る事も可能。

光線を撃つのと防壁の展開を同時には出来ないが、それでも超能力者(レベル5)クラスの力ともなれば十分過ぎる戦闘力になる。

 

そう、だから、

彼女は俊敏に動く必要はない。

そんなに動かなくても精密な狙いで強力な攻撃を放てる。

相手の攻撃が来たのなら防壁を展開して防げばいい。

これが超能力者、これが麦野沈利という学園都市に存在する一人の怪物の戦闘方法なのだ。

 

 

魔理沙「…………にしてもアイツ凄いな。いやー、素直にそう思えるぜ。こんだけ弾幕を撃っても当たりもしない。それに比べて私は直撃とはいかないが掠りはしてるしな。これならもう少し本気を出しても大丈夫そうだな…………………ん?」

 

やっと、

 

やっと一息吐く暇ができた。

っというよりは余りにも魔理沙が上空で激しく自由に舞うものたがらまた見失ってしまったのだろう。

麦野は、林の中から上を向いて光線を放っている。

 

しかし、周りの木に邪魔をされて空全部を見れる訳ではないのだ。

木と木、枝と枝、

その間から目に留まった白と黒の魔女目掛けて原子崩しを撃っていたのだ。

 

そして、麦野が魔理沙を少し見失っていた時にだった。

 

魔理沙「あーっやっぱり!!おーいっ、妖夢こっちだこっち!!」

 

上空では応援に駆けつけた魂魄妖夢の姿を発見した。

流石にこの林の中で一人は寂しかったのだろうか、魔理沙は妖夢を見つけると大きな声で手を振って彼女を呼ぶ。

 

だが、それは敵に自分の位置を教えたも同然。

そのため、麦野は声のした方向へ原子崩しを放つ。

 

妖夢「____________もうあの人は……ッ!!」

 

 

魔理沙に向かって攻撃を放たれたといち早く気付いた妖夢は飛翔速度を爆発的に上げた。

すると、薄緑色の光線が魔理沙の体に直撃する前に彼女と原子崩しの間の宙に立つ。

そして腰に吊るした二本の刀を抜刀して、見事その動作のみで薄緑色の光線を弾いてみせた。

 

妖夢「今の感覚的に………下の上、いいや中の下と言った所でしょうか。アレが全力ではなかったにしろ、もう相手の実力は大体理解できました。なるほど、紫様が仰った事は間違いじゃないようですね。あのお方ぐらいの実力者から見て大したことないと言ったのかと思っていましたが、これなら私達でも余裕で屠る事が可能です________________ですが」

 

チラッ、というよりはギラッ!!であった。

ある方向へ妖夢は視線を向ける。

 

それは、魔理沙の居る場所であった。

 

妖夢「___________いくら力の差があるとしても油断しすぎですよ。弾幕ごっこのようなお遊びでは無いのです、こちらには命を奪う意識はありませんがあちらには命を奪う意識はあると十分御理解した上で行動して下さい」

 

魔理沙「怖い怖いよ、妖夢。分かった分かったからその目は止めてくれ。背中を預けた瞬間刺されるかもって不安になるだろ……………」

 

 

そう空で二人が会話をしてる時、地面に立つ麦野は自身が放った能力が弾かれた感覚はしたが、まだ敵の確かな居場所は分からずにいた。

 

妖夢「……それで、応援に駆けつけた私は何をすれば良いんですか?今回は貴方の命に従うよう幽々子様から申し付け受けましたので」

 

魔理沙「ああ、えーと、実は私が見つけた一つの暗部の人数は五人なんだけどさ。一人は私が今戦ってるヤツで、もう一人は倒したんだよ。妖夢には後三人を見つけてもらって無力化したのち捕まえてほしいなー……って。多分まだこの近くに居ると思うから」

 

妖夢「この広大な林の中からたった三人を見つけてくれって、なんですかそのハチャメチャに難しい人探しのお願いは」

 

魔理沙「いやいやいや、考えなしには言ってないぜ?あっち側の方角に行ったってのは確かなんだよ」

 

魔理沙はあの三人が行った方角を指差した。

 

妖夢「はあ……、そうですか。分かりましたバカみたいに少ない情報提供ありがとうございます。それでは私はその三人を探してきますので貴方は貴方で自分の役目を全うしてください」

 

魔理沙「なあ、何かお前の言葉一々刺がないか?私達仲間だろ?友好的にいこうぜ」

 

妖夢「一度負かされた相手に友好的になんてするわけないじゃないですか」

 

魔理沙「まだ根に持ってたのかよッ!?もう忘れろよ大分前の話じゃねぇか!!」

 

妖夢「忘れる?それは無理ですよ。負かされたとしてもその相手なら仕方ない、そう諦められれば良いのですが貴方に負かされたなんて今でも認めたくないです」

 

ふん…………、と鼻で息を吐き二本の刀を鞘に納める。

 

魔理沙「うわー…………、私ってお前の中じゃ評価相当低そうだな………」

 

魔理沙は肩を下げてため息を吐いた。

今まで、白と黒の魔女の少女は紅白の巫女より幻想郷の異変解決を率先して来たのに妖夢からは酷い評価であった。

だが、それには理由があるのだ。

 

それが、

 

妖夢「それはそうでしょう。本業が泥棒の魔法使い(笑)なのですから貴方は」

 

魔理沙「なんだよ魔法使い(笑)って!?しかも本業が泥棒っ!?待て待て、誤解も誤解だぜそれは!!」

 

妖夢「でしたら今回少しは頑張って誤解を解き評価が上がるよう努力して下さい。では、私はそろそろ残りの三人とやらを探しに行きますよ」

 

魔理沙「あ、ああ…………、行ってくれ___________あっ!!言い忘れたことがあった!!」

 

妖夢「なんですか?」

 

もう背中を向けてしまっていた妖夢を呼び止める。

そして、

 

魔理沙「その三人の特徴だよ特徴。金髪の男が一人、全身ピンク色の服を着た黒髪の女が一人、茶髪の白い服を着たちょっと幼い女の子が一人だぜ」

 

妖夢「…………とんでもない事を言い忘れてるじゃないですか。それで良く_______________」

 

魔理沙「___________はいはいはいハイッ!!後でいっぱい文句聞くから早く行ってくれ!!お前とこれ以上話してると胃に穴が空きそうだ!!」

 

もう限界も限界だったのだ。

流石にこれだけぐちぐち言われるとストレスがヤバイ。

 

多分残りの三人がいる場所を指差した。

そして、妖夢はその指差された方向へ飛んで行った。

 

 

空中に浮く箒の上に立つ魔理沙は、

 

魔理沙「うぅ……、もー……っ」

 

テンションが下がる下がる。

額に手を当てて下を向く。

 

妖夢とは余り話をしなかったが、久し振りに話をしたらこの様である。

『泥棒じゃない借りてるだけだぜ』とか、

『魔法使い(笑)ってバカにしてるだろ』とか、

あの時、そんな言葉が頭に浮かんでいた。

だがやはり、もうこれ以上言われたくなかったから早く探しに行くように言ったのだ。

 

 

だが、

 

だか。

 

 

もう、この事は忘れよう。

戦いの邪魔になるから、、、、、

 

 

 

っと、考えた瞬間。

 

地面から空へ多くの光が昇る。

その光を、魔理沙は見覚えがあった。

 

そうだ、あの"女"が自分に何度も何度も撃ってきた光だ。

 

薄緑色の光線。

それが何キロメートルも伸びたレーザーカッターのように下の木を切断して薙ぎ倒していた。

 

魔理沙は、箒に跨がり飛翔して絶大の切断力が隠しきれない閃光のレーザーを避け続ける。

右から、

左から、

下から、

正面から、

後ろから、

 

何度も何度も何度も襲いかかる光。

 

しかし、その光が収まったのだ。

それを不思議と思うだろうか、

 

いいや、違う。

 

あの光は自分を狙っていなかった。

 

 

麦野沈利の狙いは魔理沙ではない。

周りの大木であったのだ。

 

大木を片っ端から薙ぎ倒した彼女の周りにはもう、空を見ても邪魔になる自然の目隠しがない。

 

 

麦野「………みぃーつけたぁ……」

 

魔理沙「_____________ッ!!!!!」

 

ドクンッ!!!!

肉体が生きている限り動き続ける心臓。

 

その鼓動音がたった一度だけ、他の人に聞こえるのではないかと思ってしまうぐらい大きく響く。

その現象が起きたのは、薄緑色の光により壊された自然の中心に立つあの"怪物"と目が合った瞬間だ。

 

 

カエルは蛇に睨まれると動けなくなると言う。

『もう、ダメだ……………』とか、

自分の終わり悟った者は死に忠実になるのだ。

生にしがみつこうと向かい来る死に抗わない。

 

その感覚を麦野の目を合わした魔理沙は感じた。

 

そう、そして。

その一瞬に殺傷能力が高い『原子崩し』は白と黒の魔女の向かって発射された。

 

その数、約七。

数秒気迫に圧倒された魔理沙は判断と行動が一歩遅れる。

だがしかし、直撃はなんとか回避した。

 

 

魔理沙「はああああああああああーッ!!!」

 

 

本格的な戦いが始まる。

叫び声を上げたと共に魔理沙は魔道具を使用した。

 

特大サービスだ。

巨大な魔法陣が背後に展開される。

その中からは星の形をした数百もの光弾が地面に降り注ぐ。

 

だげではない。

魔道具だ。

 

一見、ただの割り箸のような物に魔力を注入することによって自在に操作する事が可能になる。

それは、何かに打つかると爆発を起こすのだ。

 

爆発する魔道具、正真正銘本物の魔法。

それが反撃の隙が無いほど麦野の身に降り注いだのだ。

 

攻撃と防御。

それを同時にこなせない学園都市の"怪物"として君臨していた彼女は、『原子崩し』を光の壁として展開して防御に徹底していた。

 

そして、そして、

 

魔理沙「これは防げるかァッ!!!!」

 

服の中からアレを取り出す。

 

魔理沙の切り札。

ミニ八卦炉だ。

この魔道具の使い道は幻想郷最強の技と謳われる彼女の代名詞『マスタースパーク』を放つ為には必要不可欠の物だ。

 

そのミニ八卦炉を天へ向ける。

そして、

 

魔理沙「マスタースパァァァァァクッッ!!!」

 

山を一瞬で塵に変える極太の白く輝く光線。

それが天へ昇る。

 

魔理沙(マスタースパークを当ててしまえば軽く人間の命を奪ってしまう。だから敢えてマスタースパークを弱めて放つ方法を見出だした。_______それがコレだっ!!)

 

ぐんぐんと昇るマスタースパーク。

だがしかし、それは宇宙空間に飛び出すほどの勢いはなかった。

すると、どうなるか。

 

答えは一つ。

重力に従って地面に落下するのだ。

 

しかし、その落下してる時に一つの極太の光線のマスタースパークが分裂していった。

 

一つの『光線』が無数の『光弾』へ変化する。

魔理沙は威力は落ちるがマスタースパークを光線から光弾に変えるため、態と空へ撃ったのだ。

 

だが、

 

だが、だ。

威力は落ちたとしても、元は幻想郷最強クラスのマスタースパーク。

さっきから放っていた光弾とは比べ物にならない威力だ。

 

魔理沙「さあっ!!流星となって降り注げマスタースパークッ!!」

 

両手を大きく広げ、宙に浮く箒の上に立つ。

 

その上からは、

無数に地面に降り注ぐ光弾となったマスタースパーク。

もう、麦野が自然を破壊していた。

だから、だろうか。

もうこれ以上荒らしてしまっても問題ないと思ったのか、

周りのことなんか考えないで、使用したのだ。

 

 

麦野「クソッ!!」

 

一方。

地面に居る麦野は『原子崩し』の防壁を解除する。

 

そして、『防』から『攻』へ転じた。

『原子崩し』の乱れ撃ちだ。

 

ただ防御しているだけではいつになっても勝ちの目がない。

ならば、攻めに転じるのが一番だ。

 

矢だろうが、隕石だろうが、なんだろうが、

この身に降り注ぐ危険を全て打ち落とす。

 

狙いなんてしない。

可能な限り、

全力で『原子崩し』を乱れ撃った。

 

だが、、、、、

 

麦野「_______________なにっ!?」

 

空中で『原子崩し』と光弾型『マスタースパーク』が衝突する。

が、しかし。

光弾型の、

 

敢えて弱く撃ったマスタースパークに『原子崩し』は押し負けた。

 

結果。

 

麦野「クソがァァァァァァァァああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああーッ!!!!!」

 

ニヤリ、と勝ちを確信して笑う白と黒の魔女に吠えた。

その次の瞬間。

 

魔理沙の下にある自然が爆発爆音、爆風、轟、轟、轟、轟、轟に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、マスタースパークが降り注がれた林の中では、、、、

 

 

浜面「…………、は、はっ、はあ、くっ、あ…………。だ……大丈夫か滝壺、絹旗!?」

 

団体で林の中を歩いていたら急に爆撃にあった暗部『アイテム』の下っ端、浜面仕上。

 

砂煙が酷いが、ギリギリ周りの景色が見える。

口を手で押さえながら、時に咳をしながらもさっきまで一緒に居た二人の少女を探す。

 

浜面「クソッ、なにが起きてんだよくそったれ!!」

 

アレスター=クロウリーから依頼を受けてから訳が分からないことだらけだ。

だが、今を全力で"生きる"。

それしか知らない浜面はとにかくあの二人を探すことを止めなかった。

 

すると、

 

 

「浜面、こっちに超居ます」

 

浜面「絹旗!?」

 

声のした方向を向く。

すると、無傷とは言えなかったが、なんとか無事であった絹旗と滝壺を発見する。

浜面は慌てて、二人が居る方へ走っていった。

 

 

浜面「良かった、無事だったか…………」

 

絹旗「ええ、なんとか。ですが、滝壺さんが…………」

 

浜面「……………まさか足を!?」

 

絹旗の肩を掴み立っていた滝壺はさっきので、足を負傷してしまったのだ。

この『異世界』に来てから体調を悪くしていたのに更に足を怪我してしまうとは………………、

 

浜面「滝壺。俺がおぶってやる、さあ」

 

滝壺の前で背中を向けてしゃがむ。

すると、それを見て、

 

滝壺「でも、それじゃあ浜面が…………」

 

浜面「気にするな、今は自分のことだけを考えろ」

 

絹旗「滝壺さん。私もそうした方が良いと思います」

 

滝壺「分かった………………」

 

二人に従った滝壺は大人しくその身を浜面の背中に預けた。

 

浜面(_______うおっ!?背中に柔らかい感触が!?)

 

こんな状況だというのに、やはり思春期か。

滝壺の胸の膨らみの感触にどこか気を引いてしまう女性の甘い匂い。

それが今の浜面の脳内をいっぱいにする。

 

浜面「……よ、よーし。行くぞ絹旗」

 

絹旗「浜面、今やらしいこと超考えてませんでしたか?」

 

浜面「バッカ!!そ、そ、そんな訳ないだろ………ッ!?」

 

動揺が隠しきれてない。

顔が赤くなり、どこか目に元気がある浜面を横目で見るが仕事が先だ。

早く一方通行の殺害を実行しなくては、

 

 

砂煙もなくなり、歩く場所がギリギリある林を進む。

 

「運が良いですね。魔理沙さんの空から地面全方位に放った攻撃の中に居たというのに歩けるぐらい傷が浅かったようで…………」

 

浜面「絹旗!!」

 

絹旗「言われなくても超分かってます!!」

 

どこから現れたとか、

そんな疑問を抱かなかった。

 

彼ら、彼女らの前に音もなく気配を感じさせず突然現れた二本の刀を腰に吊るした銀髪の少女。

その少女の目が語っていた。

 

『貴方達を斬りに来た』と。

 

絹旗「浜面、貴方は滝壺さんをとにかくここではないどこかへ、安全な場所へ運んで下さい。滝壺さんはこの何も知らない世界で唯一第一位を最速で見つけることができる能力者です。私はコイツを片付けたのち二人に合流します」

 

浜面「…………、信じてるからな。絶対無事に終わらせて帰ってこいよ」

 

絹旗「下っ端のくせに生意気に超言いますね。…………さあ、早く」

 

滝壺「絹旗………………」

 

背中を向けてとにかくその場から逃げた無能力者、浜面仕上。

彼におぶられている滝壺は、自分達を逃がす為に敢えてあの刀少女の相手を引き受けた絹旗最愛の背中を見る。

 

が、しかし。

二人には戦う力はない。

怪物と怪物が生き死にを賭けた戦争の中に飛び込める力がないから、取るべき行動は逃走であった。

 

 

妖夢「あの人達とはとても良い関係のようですね。敵ながら仲間の為に私の前に立つ貴方が美しいと思えます」

 

絹旗「さっさと終わらしてあの二人に合流したいので、申し訳ありませんがここで遺言を聞く前に殺しますよ」

 

 

臨戦態勢の二人。

すーっ、と緩やかに人に振るうには余りにも危険な刀を抜く妖夢。

しかし、抜いた刀は一本だ。

 

対する絹旗最愛は能力を発動する。

彼女の能力、それは窒素装甲(オフェンスアーマー)

窒素を自在に操る能力である。

その能力を使うことにより、その能力名通り強力な装甲を自分の周りに張ることができるのと、拳に纏うことにより一撃で人間の頭を吹っ飛ばす威力を引き出せる。

 

 

 

そして、そして、

 

妖夢は絹旗に接近して刀を振り下ろす。

しかし、

 

絹旗「先に超言っておきますが、そんな古い武器を使ってるようじゃ私には傷一つ付けられませんよ。私は接近戦なら超無敵ですっ!!」

 

ガキンッッ!!!

と、絹旗の体に当たる直前に横に振るわれた刃が宙で止まる。

そう、これが彼女の窒素装甲の力である。

 

そして、お返しだと言わんばかりに絹旗は能力を纏った拳を放つ。

それを妖夢は刀を盾にするようにして防御する。

 

だが、あの細い腕から放たれたとは思えない程妖夢の体は背後に振っ飛んだ。

 

絹旗「…………まともに受けたのに壊れないとは、見たところ随分頑丈な(なまくら)ですね」

 

妖夢「ええ、まあ。私の自慢の刀です」

 

あの一振り。

それで彼女の大体の力を把握した。

 

ダメだ、ダメなのだ。

"弱すぎる"。

もしも、全力じゃなくてもあの周りの防壁を突破するのは容易い。

が、しかし。だがしかし。

今回の目的は殺害ではない、捕獲だ。

 

刀は命を奪うにもってこいの武器である。

料理に使う包丁ですら人間の命を奪うことができるのに、包丁より長くそして鋭く研がれた刀。

しかも妖夢の持つ刀は妖怪でも十人以上の敵が居ても一度に全て下半身上半身へと、真っ二つにできる恐ろしくなんでも斬れる刀なのだ。

その力を全て引き出せる妖夢でも、加減して刀を振ることができるが目の前の彼女は余りにも"弱すぎる"。

『加減して振るっても、命を奪ってしまうかもしれない』

 

そう心配した直後だ、

 

接近戦が得意な彼女が仕掛ける。

妖夢の元へ駆けて、そして拳を振るう。

 

それを、

 

妖夢(動きが単調で無駄な動きが多すぎる。能力に頼りきった戦闘をしてきた証拠だな…………)

 

余裕で避ける事ができる。

なんなら隙を見付けて反撃もできてしまう。

しかし、

 

妖夢(………………、刀を使うなら峰打ちの方が良さそうか)

 

殺す訳にはいかない。

腰にあるもう一本の刀を坂手で抜く。

 

逆手で持つ、刀。

順手で持つ、刀。

 

逆手と順手。

片方片方持ち方が違うがこれも列記とした二刀流の持ち方である。

そして、峰打ちを意識して刀を振るった。

反撃のチャンスは何度もあったから、その反撃のチャンスがあったときに刀を振るったのだ。

 

だが

 

ガキンッッ!!ガキンッッ!!

刀は当たることはなく弾かれてしまった。

 

 

妖夢「ふー…………っ」

 

絹旗「最初に言ったはずですよ、そんな古臭い武器では私を覆う装甲を破れないと」

 

妖夢「……そう………、ですか__________」

 

 

_________刹那。

 

瞬きすら遅いと感じるその一瞬であった。

超人ですら反応できるかどうか分からない一刀があった。

そしてその動作により刀の切先から発生した鋭い斬撃波。

それが絹旗最愛に"届いた"。

 

 

妖夢「貴方は接近戦なら超無敵なんですよね。古臭い武器である刀で傷を負った今でもその台詞を吐けますか?」

 

絹旗「_________この…………ッ!!!!」

 

どんなバカでも分かる挑発であった。

 

首にある切り傷。

傷は浅いがそれは先程の斬激波によって切られた傷から垂れる血液を触れ、

手に付着した赤い液体を見て絹旗最愛は知った。

 

『今、目の前に居る奴は"いつでも"自分の首を切断することが可能』だと。

目に見えなかった。

自動防衛の窒素装甲が反応出来なかった斬激波でこの傷である。

ならばその斬激波を発生させる程の神速の刃がもし、

 

そう、もしも直接この身に振り下ろされたら……………

 

 

間違いなく、右と左

左右に肉体は真っ二つになるだろう…………。

 

妖夢「これでもうお気付きになりましたか?死にたくなかったら降参して下さい。そうすればこれ以上傷を負うことはありません」

 

絹旗「生憎ですが、そう易々と降参するほど素直に生きてきてないんですよ私は…………ッ!!!」

 

 

ガキンッ!!!!!

と、鋼と鋼。鉄と鉄が打つかったような音を二人は響かせる。

どちらもやらねばいけない事がある。

 

 

だからここで譲るわけにはいかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、一方である。

不調子のピンクジャージを着た滝壺をおぶってとにかく進むことを止めない浜面仕上は

 

浜面「……………………、ッ!?」

 

あるものを発見して慌てて少女を背中に担ぎながら倒れた木の草影に姿を隠す。

息もできるだけ小さくした。

 

浜面(早く通り過ぎてくれ…………っ!!)

 

草と枝の間から空を見る。

今、彼が視線を向けてるのは

 

翼もなく、なにかの特殊能力で浮いているであろう紅白の巫女の服を着た茶色が少し入った黒髪の少女である。

浜面はその少女見た瞬間理解したのだ。

『アイツも自分達の敵だ』と。

 

それを直ぐ様察知した力もない無能力者は隠れるしか選択肢はないのだ。

 

 

浜面(…………滝壺の様子がさっきから酷くなってく一方だ。この世界にも医師が居るだろうからソイツに見せるしか助ける方法はない。だが、どうする。どうやってこの訳の分からない広い世界で携帯も使えない状態で医者を探すってんだ)

 

息を殺しながら、自分の背中でぐったりしてる滝壺を見る。

病気かなんなのか分からないが苦しんでいる。

そんな彼女を助けたいと思っている浜面は時が進むにつれ焦る一方であった。

 

そして、その時、

 

浜面「_____________う………ッ!?」

 

もう一度、空に目を向ける。

瞬間。

 

紅白の巫女の少女と目と目が合った。

あのまま上を通り過ぎたのかと、思っていたが宙に立ち止まっていたのだ。

 

浜面(ヤバイヤバイヤバイッ!!どうする、どうすれば良い!?)

 

今日一番の大パニックだった。

特別な力なんてない、

持っている武器は袖腕に隠してある拳銃が一丁。

そんなのが通用するかしないのかは分かっていた。

 

 

間違いなく通用しない。

 

この世界の連中は強い。

あの怪物麦野やフレンダ、それに絹旗があれから自分達の所に戻って来ない。

いつもなら、悪態のひとつやふたつ吐いて早く帰ってくるのに今回は全然帰ってくる気配がない。

思いの外手こずっているのだろう。

 

そんな連中なのに、だ。

彼女らより遥かに弱い自分になにができるのか、

 

 

だが、それでも、と。

ここですんなり諦めることは出来なかった。

 

浜面「…………クソッ!!やってやる、来るなら来い!!」

 

袖の中に隠していた拳銃を取り出して握る。

 

 

が、しかし。

 

浜面「…………………………え?」

 

宙に居た巫女の少女はどこかへ行ってしまった。

 

浜面「もしかして、目が合ったと思ったけどひょっとして俺の勘違い……?」

 

 

まあ、

 

危機を回避したと思っておこう。

そして、浜面はまた滝壺を背中に担ぎかながら林の中を進むのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わって、、、、、

 

鋭く、長い普通の人間が扱うのが難しい刀を巧みに振るう少女とそれを躱わすのがやっとの少女が居る場所では、

 

妖夢「________フッ!!!」

 

絹旗「う……く……ッ!!」

 

暗部『アイテム』絹旗が劣勢であった。

命を奪う気はないと言われても、

だからと言ってあの刀に当たっても大丈夫ということではない。

 

一太刀一太刀確実に躱わす絹旗に、

 

妖夢「はあ………さっきから無駄な足掻きに必死ですね。どんなバカでももう気付けますよ?貴方と私の間には何年経っても埋めれない差があると」

 

妖夢は疲れたような、

呆れたような表情でひとつため息を吐き動きを止める。

それに、だ。

 

絹旗「ええそうですね。悔しいですが私と貴方とじゃ歴然たる差があるそうです。『世界は広い』とか『上には上が居る』という言葉はこういう場面で頭に浮かんでしまいますね。ですが_____________」

 

そして、絹旗は腕に巻かれたシルバーのアクセサリーを取る。

それはこの異世界にこれた道具でもあるのだ。

その大事なシルバーアクセサリーを、

 

思いっきり目の前の銀髪刀娘に投げつけた。

だが、それをバカ正直に受けるほど優しくない妖夢は投げつけられた物を刀で真っ二つに切断した。

左右に割れて飛んで行った学園都市の上層部に飼われてる科学者の努力の結晶と言える白物。

 

そして、

 

絹旗「____________絶対に勝ち目がないと言うわけではないですよ」

 

妖夢「何故その自信に溢れた顔ができるのか、訪ねても?」

 

絹旗「貴方の一つ一つの攻撃に殺気が込もってない。つまり、貴方は私を殺す気はない。それと先程からしつこく降参を進めること。この二つを掛け合わせての憶測ですが、貴方は私を……、いや"私達"を捕らえに来たのでは?」

 

妖夢「もし、それが仮にあっていたとしても私に勝てる見込みはないと思われますが?」

 

絹旗「殺さないように、並べく傷付けないようにと甘ったれた考えで戦ってる相手に対してこちらは遠慮なく全力で戦える。それは大きな差と言えるのでは?」

 

妖夢「………………、手加減してる相手に全力で挑めるから力の差があっても勝てると…………。まあ、確かに貴方の仰ってることは正しい。正解ですよ。私はあるお人からの命により貴方達を捕らえに来ました。しかし___________」

 

手に持つ二本の刀を鞘に納める。

そして、

 

妖夢「私はその人の期待を裏切るつもりはありませんよ………?」

 

 

刹那、

一本の刀を高速で抜いた。

 

絹旗「ッ…………………………、」

 

絹旗最愛は言葉を失う。

それは驚愕のあまりであったからである。

 

抜刀。

下から縦に抜かれた刀で発生した斬激波。

それは自分の真横の大地を綺麗に抉るように切断していた。

明らかにさっきから自分に振られていた攻撃より強力だった。

 

ゆっくり、ゆっくりと眼球を動かして斬激で抉られた大地を見る。

頬からは冷たい汗が垂れる。

手も足も今はピクリとも動かない。

 

金縛りにかけられたような気分だった。

 

何故、絹旗最愛はそうなってしまったのか。

妖夢の放った攻撃に込められた『殺気』が原因だ。

 

あれは確実に殺すため、命の灯火を消すために放たれた攻撃。

それが自分の真横を通り過ぎただけでも怯えてしまうのは無理もない。

 

そして妖夢はまた刀を鞘に納め、

 

妖夢「とても良い情報をご提供してあげます。この幻想郷にはとびきり優秀な腕をお持ちの薬師がおりまして、その人にかかれば腕や足が消えようが、上半身下半身と二つに別れようが元の体に完璧に治すことができるのです______」

 

______だから、と。

そう続けて、

 

妖夢「________どうかご安心下さい。貴方は決して死ぬことはありません。しかし死ぬほど痛い痛覚を味わうだけです」

 

刀に手を添えて構えた。

妖夢の瞳の緑色の中に深紅の色が混じる。

その眼光には殺気が込められていた。

 

そして、、、

 

ダッ!!と強く大地を蹴る。

その瞬間、刀を持つ少女を中心に地面が沈む。

 

そして、

殺気を強く打つけられたからか知らないが体が固まってしまった絹旗の前に瞬時に移動、

 

 

絹旗(あっ、死___________)

 

突然目に見えない速度で距離を詰められ鞘から抜かれた刀を左斜め上からの振り下ろす銀髪剣士の少女の姿をその瞳に映した絹旗。

彼女はその時に一番最初に思ったことは"回避"でも"反撃"でもなかった。

『死』である。

 

いくら峰打ちと言えど、だ。

刀は刀。鋼の塊だ。

そんなので神速と呼べる速度で殴りつけられたら怪我で済まないだろう。

 

 

でも。ここで予想だにしなかった事が起きた。

 

振り下ろされた刀が宙で止まったのだ。

 

 

絹旗「…………ッ!?」

 

あの振られた刀で発生した風圧だけが顔面を襲う。

が、しかし。

それだけで済んだのは幸運と言えるだろう。

 

一方。

自分の左後方側から手を伸ばし刀を"素手"で止めたその巫女を確認した妖夢は、

 

妖夢「__________なんのつもりですか霊夢さん………」

 

霊夢「なんのつもりはこっちの台詞よ。もしもこの刀がその子に届いたら間違いなく内部の骨は粉々に砕け最悪命を落とすかも知れなかったのよ。忘れないで、私達の目的はあくまで捕獲よ。殺害じゃないの」

 

妖夢「………………、」

 

ぱっ、と。

刀から手を離した霊夢を横目で見た後に鞘に刀を納める。

 

霊夢「アンタは真面目過ぎるのよ。少しは気を楽にしなさい。だからすぐに熱くなっちゃうの、本来の目的を忘れるぐらいにね」

 

とりあえず敵の目の前で悠長に会話をする訳もいかないので妖夢と霊夢は同じ方向へ跳躍して移動してから地に立った。

そして、

 

霊夢「ねえ、あの子が一方通行が言っていた…………、えーと、あんこだっけ?」

 

妖夢「暗部です。そんな甘そうな敵が居るとは聞いてません」

 

霊夢「そうそう暗部ね。その暗部ってのはあの子だけ?」

 

妖夢「魔理沙さんが言うには見つけた一つの集団は合計五人と聞いてます。そして魔理沙さんは一人は倒しもう一人は現在戦闘中。私も見ての通り一人と戦闘中ですが、後二人。男女二人がどこへ逃げています」

 

霊夢「ふーん。大体状況は分かったわ。妖夢、アンタその逃げてる二人を追ってちょうだい。ここは私が引き受けるから。実はここに来る途中に見かけてるのよね、その残り二人を」

 

妖夢「………………、なんか面倒事を私に押し付けてません?」

 

霊夢「違う違う。ほら、アンタこういう捕まえるって苦手そうだから追う方をさせようかなって。じゃあ、ここからあっち側にそこまで遠くない場所に居ると思うからよろしく☆」

 

妖夢「はあ……。今回はこんな役ばっかりだ…………」

 

霊夢の指差す方向へため息を吐いた後に飛んで行った。

まあ、確かにある程度傷付けないように捕まえるのは得意ではないと今日分かったし、

ならば、ただ人を探すだけの方が自分にあっているかもしれない。

 

霊夢「さて____________」

 

そして、

妖夢を見送った霊夢はふわふわニットの茶髪少女へ視線を向けた。

 

霊夢「____________そういうことだから。今からは私がアンタの相手よお嬢ちゃん」

 

絹旗「……………………」

 

霊夢「まあ、そう気張んなくて良いわよ。直ぐに終わらせてあげるから」

 

絹旗「ここの人達は誰も上から目線なんですね」

 

霊夢「だってアンタごとき、私の敵じゃあないもの」

 

絹旗「っ__________」

 

限界の限界だ。

さっきの銀髪の剣士娘にバカにされまくり、次は変な巫女に見下される。

分かってはいる。

確かに自分はさっきの女剣士にも、この巫女よりも弱いだろう。

が、しかし。しかしである。

だからと言って見下されるのは気持ち良くない。

 

絹旗は地面を蹴り直線に突っ込む。

その時、窒素装甲(オフェンスアーマー)を器用に使い移動速度を加速させる。

まるで大砲から発射されたように突っ込むと次は力一杯握った拳を繰り出した。

 

霊夢はその拳を片手で受け止める。

 

しかし、

 

霊夢「……、っ!?」

 

全然威力はないと思いきや衝撃が背中まで伝わった。

そして霊夢の体は背後に吹っ飛ぶ。

 

霊夢「…………、あら。なかなか____________」

 

着地して視線を正面に向ける。

すると見えたのは、あと数ミリで顔面に直撃する拳であった。

 

そして、

 

避ける暇もなかった霊夢は思いっきり顔面を殴りつけられ背が地に埋まる形で倒れた。

 

絹旗「格下と舐めたからこうなるんですよッ!!」

 

倒れている巫女の顔面に絹旗は拳を振り下ろした。

彼女のか細い腕から放たれているとは思えない威力の拳。

それがもしも真下に振り下ろし、殴られる場所が顔面だとするの間違いなくぐちゃぐちゃに潰されてしまうだろう。

 

しかし。しかし。

 

絹旗「____________なっ!?」

 

自分の拳は間違いなくあの生意気な巫女の顔面をぐちゃぐちゃに潰してる。

そう思っていたのに、

 

自分が殴ったのは地面であった。

視界には自分の拳を中心に亀裂が入った地面。

そのことに口を開けて驚愕した。

すると、自分の背後から声がした。

 

霊夢「いやー、ビックリした。すごい能力ね、久々に鼻血なんて出したわ」

 

絹旗「こ_____________ぐ……ふァ………ッ!!」

 

完全に振り返ることは出来なかった。

絹旗は背中から蹴られたのだ。

しかし。彼女には自動防御の窒素装甲(オフェンスアーマー)がある。

 

だがしかし。

その能力は発動しなかった。

 

絹旗「な、…………なんでっ!?」

 

顔面から地面を滑るように吹っ飛んだ絹旗は鮮血に染まる顔をあげる。

すると鼻から垂れた血を腕で拭い紅白の巫女は、

 

霊夢「自分の防御能力が機能しなくて驚いた?その答えを教えてあげるわ。それはね、アンタの周りの体を守るようにある壁のようなものを私の能力で浮かしたのよ」

 

絹旗「オアァッ!!」

 

霊夢「そしてもうアンタは私に指一本触れられない」

 

立ち上がり拳を握り駆けてきた絹旗に対して霊夢は棒立ちであった。

そんなことをしてればあの強力な拳が直撃する。

 

だが、、、

 

絹旗「_______っ!?」

 

巫女目掛けて放たれた拳は彼女の周りに到達すると、何故か空へ逸れてしまった。

 

そして拳が思わぬ所へ逸れてしまい体勢を崩した絹旗の腹部へ強烈な巫女の右拳が突き刺さる。

 

絹旗「う……ご………はっ……!!」

 

今まで受けたことがないほど強烈な拳。

絹旗は膝から崩れ落ち胃から込み上げてきたものを必死に口を押さえて堪えようとしたが、、、、

 

絹旗「ぅぅ…………うっおぁぁぁ………ッ!!」

 

目尻に涙を浮かべて地面に嘔吐した。

 

その姿を見ながら、

 

霊夢「あっははは!ごめんなさい。狙いが外れちゃった☆ちゃんと狙った場所に届いていたら一瞬で眠らせてあげられたのに、大丈夫?」

 

絹旗「…………くっ!!」

 

顔が鮮血に染まろうが、

みっともなく嘔吐した姿を晒そうが、

 

少女は諦める訳にはいかなかった。

今の体勢で繰り出せる攻撃。

立ってる相手に有効な蹴り技。

 

絹旗は水面蹴りを繰り出した。

 

だが、、、

 

軽くジャンプすることで楽々躱わされ

そして顔面を横から蹴りつけられて地面に頭を激突させる。

 

絹旗「……ま、けれ…………ない……っ」

 

もうフラフラだった。

気を抜けば一気に意識を失いそうだった。

 

視界が真っ赤に染まりぐにゃぐにゃに歪む。

だが、絹旗は立ち上がる。

 

彼女の姿は痛々しかった。

両目は頭から流れる血で真っ赤になり、頬は受けた蹴りにより膨れていた。

 

絹旗「…………た……き…………つぼ……さ、んを_______________」

 

彼女は分かっていた。

自分達にはもう"帰る方法がない"と。

 

学園都市統括理事長に"捨て駒"にされたのだと。

だがそれでも、、、

 

この事はきっと他のメンバーは知らないだろう。

だがなにか、

自分一人でも希望があると信じてこの名も知らない世界で必死に使命を果たそうとしたのだ。

 

そう。

あの銀髪剣士の少女が言った腕の良い医師。

ソイツに見せればきっと滝壺理后は回復するであろう。

だからその医師の居場所を敵を倒し聞き出す。

 

それまではいくら自分より遥かに強い相手だろうと倒されるわけにはいかない。

 

 

だか………………、

 

 

前から力無く倒れたふわふわニットの茶髪少女

 

 

 

霊夢「…………ああ、そうだったの。アンタは自分のためじゃなく誰かの為に戦っていたのね」

 

意識を完全に失った少女をそっと抱きかかえた。

 

霊夢「胸を張っていいわよ。アンタは立派だった。だから、もう安心して眠りなさい」

 

 

そして、霊夢は絹旗という少女を抱いて妖夢が向かったあの残りの男女二人がいるであろう場所へ飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「ちくしょう!!なんだよアイツ化け物かっ!?」

 

 

所変わって魔理沙はというと低く飛行しながら倒れた木を上手く利用して薄緑色の攻撃的な閃光を避けていた。

 

そうだ。

あの攻撃を耐えたのだ。

 

"ヤツ"は。

 

魔理沙「ン…………く…………ッ!!」

 

光を避けると箒から地面に転がり落ちてしまった魔理沙。

 

魔理沙「クソ…………、私としたことが……」

 

肩を使って呼吸をしている。

正直な話、体力にもう余裕がないのだ。

 

 

そして、地面に片膝を付けて休んでいると

 

 

パキ……、パキ……、スタ……、スタ……、

 

 

誰かがこちらへ歩く音がした。

その方向へ顔を向けると、

 

服は所々破け汚れている、

頭からは血が流れている、

超能力者の怪物が立っていた。

 

麦野「はあ……………はあ………はあ…………」

 

怪物も肩で息をしていた。

相手も体力がなくなってきたのだろう。

 

 

麦野「………………………」

 

魔理沙「……………………」

 

顔を合わせた両者。

だが。

 

指一本も動かさず静寂だけがそこにはあった。

 

そして、

『怪物』麦野沈利、

『魔法使い』霧雨魔理沙、

 

両者同時に動く。

 

 

麦野「ォォォァァァああああああああああああああああああああああアアアアアアアァァァッッ!!!!!」

 

魔理沙「『威力軽減型』ミニマスタァァァァァァァァァスパァァァァァァァクッッッ!!!!!!」

 

麦野の周りにある小さな薄緑色の球体が一ヶ所に集まり、それを全力で前方に放つと一つの極太の光線となった。

それに対して魔理沙は切り札と呼べるミニ八卦炉を取り出し殺さない程度に威力を軽減した『マスタースパーク』を放つ。

 

光線と光線。

光と光。

その二つが二人の間で激突する。

 

魔理沙「…………く、……っ……!!」

 

後ろへ後ろへと体が押される。

だがガッチリと地面に足を付けて堪えていた。

 

だが、、、

 

麦野「死ねやクソガキがァァァァァァァッ!!!」

 

自分に迫り来る『原子崩し』の威力が跳ね上がり………、

 

魔理沙「___________ぅぁ…………ッ!?」

 

マスタースパークは押され負けてしまい白と黒の魔女は薄緑色の光線の中へ消えた。

そして、、、、、

 

『原子崩し』は大気を一直線に飛んで行った。

 

 

麦野「ん…………ククッ、アハハはははははははははははッ!!!」

 

まるで宝くじにでも当たったように、

高揚感が溢れたように清々しくゲラゲラ笑っていた。

 

居ない。

もう怪物女の前に誰も居ない、

何もない。

だが、

 

「あーららー、スゴイわねぇアンタ。魔理沙を吹っ飛ばすなんて中々よ」

 

拍手音と誰か第三者の声がこの場に現れた。

 

麦野「____________________あ?」

 

声が聞こえた方へを首を向ける。

そこには微笑んだ様子で手を叩く、倒れている木をまるで公園に置かれているベンチのようにして座る紅白の巫女が居た。

 

麦野「お前、あいつの仲間か…………」

 

霊夢「まあそんなところよ。つまりアンタの敵って訳」

 

麦野「__________チッ!!」

 

舌打ちがあった。

そして『原子崩し』を放つ。

しかし、霊夢はその光を座った体勢でしかも素手で軽々と弾いて見せた。

 

麦野「クソがァッ!!!!」

 

霊夢「ハイハイ、焦らない焦らない。そんなに慌てなくても相手してあげるわよ。だけどその前にあのバカと決着をつけて来てね。そう、だから"今は"アンタの相手は私じゃない」

 

自分に向かって放たれた無数の光線を掻い潜り点と点が移動したみたいに、

霊夢は麦野の目の前に急接近した。

先程まで座っていた木は穴だらけだった。

だがしかし、あんな単純な真っ直ぐに飛ぶだけの光線。避けれないほどでもない速度。

幻想郷を護るという大義がある紅白の巫女にとっては今まで闘ってきたヤツらの弾幕に比べれば止まって見えるほど遅かった。

だから座っていた状態だとしても能力攻撃を避け、怪物麦野の目の前に立つなど造作もないことなのだ。

 

そして最強の巫女、霊夢は

 

霊夢「______________フッ……、次に魔理沙と戦う場所は空よ。それじゃあ行ってらっしゃーいっ☆」

 

彼女の両肩に手を乗せたと同時に能力を発動。

そして麦野沈利は重力の向きを無視して上へ体が浮いて行った。

 

だが、相手の思うがままにされるほど超能力者(レベル5)は甘くない。

原子崩し(メルトダウナー)』を紅白の巫女に向けて撃った。

が、しかし。

その能力は反動が思ってる以上に凄く大きい。

麦野沈利だから立ちながら放つ事ができると言っても過言ではない力。

もしもこの能力を他の誰かが手にして考え無しに使うと余りにも大きな反動により自分の体が背後に吹っ飛ぶ。

 

しかしだ。

今、彼女は無重力。

その状態で上へと強力な反動が来るとどうなるのか?

答えは簡単だ。

いくら馬鹿力の持ち主でも反動を堪えようと地に足を付けることができないなら関係ない。

そのまま上空へ一直線に飛んで行くのだ。

 

そして、

 

霊夢「魔理沙は誰よりも負けず嫌いだし、一度目をつけられたらしつこいったらありゃしない。けど私は魔理沙以上に努力できる人間を知らない。努力を否定する私に見せてよ、努力の天才にして"幻想郷(いち)"の魔法使いさん。努力は才能を凌駕するのだということを」

 

霊夢は風へ流すようにそう呟いた。

その時、眼を瞑っていたが笑っていたのだ。

 

そして背を向ける。

今後どんな展開になるかまるで知ってるように………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「_______________くっ!!」

 

これ以上、体が上へ持ってかれないように空へ『原子崩し』を放ち上への勢いを殺すことができた。

 

麦野「……………………、生きていやがったか」

 

「霊夢の仕業か。チッ、余計なことしやがって。…………っと、言ってやりたいが今回ばかりはナイスと褒めておくか」

 

上空では原子崩しの光の中へと消えた筈の白と黒の魔女と出会った。

箒に跨がっていたが、麦野の姿を確認すると魔理沙はその上に立った。

そんな魔女に麦野は、

 

麦野「あの一撃で完璧に捉えたはずだ。ちゃんと手応えもあった。なのに、どうやってあの状態から生還することができた?」

 

魔理沙「へへっ、簡単な話だよ。押し負けると分かるや否や私は瞬時にお前に撃っていた光を自分の体を守る鎧のように展開したんだ」

 

戦いの中でも進化する。強くなる。成長をするのが霧雨魔理沙なのだ。

実は自分の撃っていた『マスタースパーク』を光というエネルギー物質を体を守る壁として纏ったのは、麦野が『原子崩し』を防壁にしてるのを思い出し、瞬時に頭の中の考えを現実したのだ。

魔女の彼女は言うだろう『これはパクリじゃない、オマージュだっ!!』と。

 

麦野「…………、」

 

魔理沙「お前の能力を箒で弾いた時に見ただろ?私は光を放つこともできるし何かに纏わせることもできる」

 

麦野「だけど……、私の攻撃を全部防げたって訳じゃなさそうね」

 

くいっ、と麦野が顎で差したのは腕である。

詳しく説明するならば右腕だ。

 

特殊な力により宙に浮く箒の上に立つ白と黒の魔女。

しかし彼女の右腕は指先から肘まで皮膚が焼け焦げていたのだ。

 

魔理沙「ハハハっ、まーな。攻撃から身を守るために光を自分に纏うなんて初めてだったんだ。けど初めてにしては上出来だったんだぜ?これでも」

 

麦野「………………、」

 

初めて会ったときからそうだった。

魔女みたいな格好をする目の前の少女は良く笑う。

それは緊張感が無いからと麦野は感じていた。

 

初めての経験。

学園都市の最高位に君臨している超能力者(レベル5)の自分に手加減でもされてるような感覚。

 

それは麦野の逆鱗に触れるには充分過ぎた。

 

だから、爆発した。

炸裂した。

噴火した。

 

能力を全解放する。

 

光が輝く。

熱が籠る。

血流が加速する。

 

 

麦野「じゃあ次こそお前を塵も残さず跡形なくこの世から消っ去ってやるよ」

 

魔理沙「正真正銘最終ラウンドって訳か。さあ、美しく、可憐に、魅了する闘争を繰り広げようぜ」

 

幻想郷の荒れてしまった一帯の自然。

その空が昼間にしては眩しく光を放った

 

それは太陽が生み出した光ではない。

能力によって生まれた光だ。

 

光線と星の形をした光弾を放つ、霧雨魔理沙。

原子崩し(メルトダウナー)』と呼ばれる能力で放つ光線。

 

麦野はもう空で戦うのに慣れていた。

光の攻撃を放てばその反動で後ろに体が飛んでしまう。

しかしそれを上手く利用することにより、宙を自由に移動する。

霊夢の力があるからだが、

無重力状態なのに自分の意思で思う場所に動けるように短時間で出来なのは流石と言えるだろう。

そして魔理沙は元から空を自由に飛ぶことが可能だが今まで受けたダメージにより少し動きが鈍っていた。

反応も遅れている。

 

魔理沙(最後の……、次が今の私が繰り出せる最強にして最後の一撃だ。これでもしダメだったら私は負ける。…………確実にな)

 

距離を取りながら箒の高度を高くした。

そして周りに赤色の星形をした光を五つ、五角形の点のように設置する。

 

次の瞬間。

ぐいっ、と。箒の先端の方向を変えた。

狙いは別の世界から来た"怪物"。

魔理沙はその怪物目掛けて勢いよく突っ込む。

その時に赤色の星から光線が射出。

 

だがこれで終わりではない。

魔理沙は言った『最後の一撃』だと。

こういう時はもしも失敗しても自分が一番誇れる一撃で負けても悔いはない。

そう思える一撃に全てを賭けるのだ。

 

魔理沙の一番誇れる一撃。

それは、、、、

 

ミニ八卦炉をまだ感覚が残っている左手に持つ。

そして、その手に持つ魔理沙の宝物を言える物を、

なんと自分の後方へ向けたのだ。

 

そして、宣言する。

 

魔理沙「一気に飛ばすぜッ!!『威力最大』マスターァァァァスパァァァァァクッ!!!」

 

箒を飛ばす力と、

マスタースパークの撃つときに生じる反動。

その二つの力を融合させ、銃弾よりも、

砲弾よりも、弾幕よりも、

はやく、早く、速く、飛翔速度は加速して魔理沙は流星の如く空を翔ける。

 

しかし。

ただその行動に黙っている訳がないのが麦野沈利。

もうこの空でも戦い方のコツは掴めた。

 

原子崩し(メルトダウナー)』の反動を上手く利用してなんと、

怪物は魔理沙が突っ込んでくるのなら迎え撃つのではなく、距離を取ったのだ。

 

麦野(お前のやりたいことは分かってる。特攻。突撃だろ。能無しのガキが良くやる事だ。なら、充分誘き寄せて確実に体をブチ抜いてやるっ!!)

 

彼女は能力も強力だが頭も回る。

天才とは、そのような者に相応しい称号だ。

 

麦野は赤い光線を避け、絶対に背を向けずに後方へ移動する。

そして、魔理沙は最後の力も振り絞る。

 

光のように、

星のように、曲がりもせず、揺らぎもせず、

ただ真っ直ぐに……、直進あるのみ。

 

もの凄い速度で突っ込んでくる魔理沙に麦野は光の攻撃を放つ。

発射された光線は全部で六発。

だがそれは端から当てる気が無かった。

 

魔理沙の逃げ場を無くすために撃ったのだ。

 

麦野「さあこれで逃げ場は失った!!良かったなーッ!!穴を増やしてやるから精々それを上手く利用して新しいプレイでも探してるんだなァ!!まあ、生きてたらの話だがなァ!!!」

 

上、左、右、下。

斜め下。斜め上。計、六発。

全方向に当たると火傷じゃ済まないの光線がまるでボクシングのリングロープのように逃げることを許さない。

しかし、魔理沙に逃げるなんて選択肢は最初から無い。

 

『敵を倒す』そして、『無事生きて帰り、また皆で酒を飲んでバカ騒ぎをする』。

それだけしか考えていない。

 

魔理沙「逃げ場なんて必要ない。私はこの最後の一撃でお前に勝つッ!!!」

 

麦野「今度こそ死ねェェェェェェええええええええええええええええええええええええええええッ!!」

 

そして、そしてそして。

二人の距離は縮まる。

もう、魔理沙は『マスタースパーク』に残り全ての力を使ったので他の光の飛び道具は使えない。

それを見抜いている麦野は二本の光線を撃った。

 

急に曲がれない。身を捩り避けることも出来ない。回避不可。

全方向へ移動できないのだ。

しかし、詰みではない。

 

なんと霧雨魔理沙は、、、、、、

 

魔理沙「ハァァァァァァァァッ!!!!!」

 

そのまま突っ込んだのだ。

そして、撃たれた『原子崩し(メルトダウナー)』は魔理沙の両肩を貫く。

だが、、、、、、、魔理沙は止まらない。

今までに感じたことのない痛みが肩から走ろうが、ミニ八卦炉を手放さない。

そう。逆に思いっきり前に箒から飛んだのだ。

 

そして、そして。

鈍い音が炸裂した。

 

それは魔理沙の繰り出した跳び蹴りが、麦野の顔面に直撃したのを意味した。

狙い通りに両足裏が顎に当たった。

蹴った本人の足の骨にヒビが入るほどの威力だ。

ならば、当然その蹴りを受けた者はただでは済まない。

麦野は脳震盪により一瞬にして意識を失った。

 

魔理沙「へっ………、力の優劣よりどちらの覚悟が上か、その差で勝敗が決するんだぜ。覚えておけ小娘」

 

向こうの彼方へ吹っ飛んでいく麦野に囁くように、

風のように呟いた。

ぽっかり空いた肩の傷口から大量の出血。

体力は無い。出しきった。スッカラカンだ。

しかし最後に勝利を手にすることが出来たならどれもこれも安い代償だ。

……………………、が?

 

魔理沙「__________って。カッコつけてる場合じゃねェ!!着地どうしよーッ!?そこまで考えて無かったァァァァァァァァあああああああああああッッ!!??」

 

今になって気付いた。

辛くも勝利しだが『倒す』しか考えていたかった魔理沙は重力に従い地面に急降下。

どうりで自分の肩の傷穴から流れる血が空へ上っていく訳だ。

だがしかしここで重要な話なのだが魔理沙は魔力、体力どちらもない。

箒は先程乗り捨てたので、どこか知らない場所へ行ってしまっただろう。

と、いうか魔力もないし飛んでいるかどうかも不明。

分かりやすい絶体絶命のピンチだった。

 

魔理沙「うわぁぁぁぁあああああああああああああッ!!!勝ったのに地面に激突してあら不思議、私は愉快なミートソースに☆なんて嫌だァァァァァァァァあああああああああッッ!!!」

 

流石に流石にこんな時に笑ってられない。

珍しくその目から雫が流れていた。涙だ。

それほど、危機に陥っていたのだ。

 

魔理沙「______________わっ!?」

 

しかし、しかし。

体が空中で止まった。地面が近付かなくなったのだ。

それに腰には誰かに腕を回されている感覚。

ゆっくり自分を脇に抱えている誰かさんに首を向けた。

 

「お疲れ、魔理沙。カッコ良かったわよ、最後の所以外はね」

 

魔理沙「一言余計だっつの。でも、ま。ありがとう助かったよ"霊夢"」

 

霊夢「礼金はちゃんと貰うからね?」

 

魔理沙「金取んのかよ!?」

 

ちゃんと霊夢は魔理沙が倒した全身ビーム女こと、麦野沈利も脇に抱えていた。

遠い場所へ飛んでいく前に気絶した彼女を回収してから、自分が地面に落ちる前に空中でキャッチしてくれたのだ。

本当に本当に感謝の言葉しか出ない。

 

魔理沙「はははっ、っ痛てて…………」

 

霊夢「酷い傷ね、早く永琳に見せないと。紫には連絡しておいたからもうアンタが倒したヤツは紫が一足先に永遠亭に送ってくれたと思う。私が倒したヤツも永遠亭に送ったし、魔理沙とあと私が脇に抱えてるこいつも永遠亭に運ばせてもらうわよ。大丈夫安心して、後は私と妖夢でやっとくから」

 

魔理沙「二つの理由でゴメンと言わせてもらうぜ。一つは私の血で霊夢の服を汚しちまったことだ。もう一つは私の我が儘を聞いてくれ」

 

霊夢「服のことは気にしないで、こんな時に血が付いた程度で文句を言うバカは居ないわよ。それより我が儘って?」

 

魔理沙「たった一人で送り込まれた暗部とやらの三つの中の一つの集団を叩こうと始めたのは私だ。だから、最後まで私は居たい。勝手におっ始めたのに後は誰かに任せるなんてそんな無責任はしたくないんだ。頼むよ、酷い怪我だってのは自分で理解してる。…………、だけど一人の友人として、幻想郷を守ろうと全力を尽くした一人の魔法使いとして我が儘を言わせてくれ。この件を最後まで私に見送らせてくれ」

 

霊夢「…………………………。はあ……、良いわよ。魔理沙には我が儘を言う権利がある。だけど本当にヤバイと思ったらアンタの意思なんて関係ない。問答無用で紫のスキマにブチ込んで永遠亭のベットに直行させるからね」

 

魔理沙「ありがとう霊夢。私はいい友人を持って幸せだ」

 

霊夢「ちょっ!なによ急に……、恥ずかしいじゃない………っ!」////

 

魔理沙「おーっ?なんだ照れてんのかよ可愛いヤツめ。もしもお前の貰い手が居なかったら私が嫁に貰ってやるよ。なんて、冗だだだだだだだだダダッ!!腰っ!!腰を強く締めるな骨が折れるーッ!!今朝食ったモンが口から出ちまうだろーがコラーッ!!」

 

 

 

 

 

それから、八雲紫の能力により気絶している麦野沈利は永遠亭に運ばれた。

魔理沙は薬草で作った塗り薬や包帯など

医療道具を入れたポーチを持ってきていたらしく、それを樹木が広範囲に並び立つ林の中に置いてきたと言った。

まあ……、もう木々は倒れ果て地面は割れに割れていたが…………。

魔理沙が放った空からの強力な弾幕を降り注がせるという攻撃で医療道具が入ったポーチが塵と化してないことを祈りながら霊夢と魔理沙は下へ降りた。

そして魔理沙はほんの少ししたら飛べる程度の力は回復した。

どうやら霊夢は箒も回収してくれていたらしくそれに感謝しながら魔理沙は箒に横に座って移動していた。

まず、目的の場所は医療道具を入れたポーチがある場所。

次はあの"残り"の二人が居る場所だ。

妖夢から送られたメールによるともう捕らえているらしい。

『刀を向けたら大人しくなりましたー』って。

いやいや、そりゃそうだろ。

 

まっ…………まあ、だ。

 

 

これから"一方通行"の作戦が本格的に始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、来ました来ました。ここですよー」

 

倒れた木を背にして座る金髪の外来人。

"彼"はとても大事そうに一人のぐったりとした上下どちらもピンク色のジャージを着た少女を抱えていた。

 

金髪の外来人。

その者の名は浜面仕上。

学園都市の闇に関わってしまい二度と出れない漆黒に両足を突っ込んでしまった哀れな不良少年と言った所だろうか。

そんな浜面に無表情で刀の尖った先端部分を向けている銀髪の少女、魂魄妖夢は空いている手を振った。

その彼女が見ている方向から二人の少女が来た。

霊夢と魔理沙だ。

 

その二人は妖夢の隣まで来て、

 

霊夢「ご苦労様。捕らえた上にこうやって話を出来るように大人しくさせてくれて」

 

魔理沙「おーおー、ホントに捕まえてやがるよ。良くあんな少ない情報量でしかもこんな広い場所で人を探せたな。スゲー助かったぜ、ありがとうな妖夢」

 

妖夢「あー、その件はちゃんと自覚あったんですね……。まあ、私にかかればこのぐらい当然です。っと、今回ばかりは胸を張ってもバチは当たりませんか」

 

魔理沙「はははっ!!妖夢には張る胸は無いがな、なんつって☆」

 

妖夢「喧嘩を売りに来たんですか?良いですよ。斬る、刺す、殺すッ!!」

 

霊夢「ハイハイ、ストップストップ。真面目な話をするんだからふざけないで。それに張る胸が無いのは魔理沙も一緒でしょ?」

 

魔理沙「___________ぐ、はっ!?」

 

浜面「………………、、、」

 

どうしたら良いんだ。

現在自分の人生の中で一番絶体絶命だと理解してる浜面は声が出なかった。

目の前には三人の少女。彼女達は多分自分と滝壺を捕まえたいのだろう。

しかし、相手は少女だ。だが自分は男。しかも喧嘩慣れしている。

だから余裕で三人をぶっ飛ばし逃げれる。

…………とは一ミリも考えなかった。

 

今、目の前に三人が居るということはフレンダや絹旗やそれにバケモノだった麦野も敗れたということだ。

それを瞬時に理解した浜面には絶望しかなかった。

あんなバケモノ連中を屠った相手に対して自分は何が出来る?

答えは一つ。しかもそれは明確で簡単だった。

『完全敗北』だ。

降参である。

 

自分が敵だと言うのにキャッキャッ楽しそうに会話を弾ませている彼女達の言いなりになるしかない。

『煮るなり焼くなり好きにしろ』っというやつだ。

 

だから浜面はただ黙って滝壺を抱えて座ってることしかすることが無かった。

 

霊夢「さて、お話をする前に名前を聞いておきたいわ。私は博麗霊夢。そこの箒に乗ってる金髪が霧雨魔理沙、そしてアンタに刀を向けてた銀髪の子が魂魄妖夢よ。一応頭に入れておいてね。それで、こちらが名乗ったからそちらも名乗って欲しいの。アンタ名は?」

 

浜面「……浜面仕上、そしてコイツは滝壺。あんた達が倒したヤツの名も言った方が良いか?」

 

霊夢「いえ、"今"はアンタの名前さえ聞ければ十分よ。それで、今自分がどんな状況かちゃんと頭で理解出来てる?」

 

浜面「可愛い女の子に囲まれてハーレム状態。なんて冗談を吐けば俺はどうなる?」

 

霊夢「……フッ。自分がヤバイ時だってのに冗談を吐けるなんてね。良いわ、アンタ凄く良い。アンタみたいなのが"私達の側"に立ってくれたら心強いわ」

 

浜面「私達の側……?それはどういうことだ?」

 

霊夢「単刀直入に言わせてもらうとね。私達の仲間に加わって欲しいの」

 

浜面「…………は?仲間だと?」

 

霊夢「そう。この世界を、幻想郷をアンタ達の親玉……アレイスターの魔の手から守るため、そしてアレイスターを倒すため協力して欲しい。これが私達の狙いでありアンタにする頼みよ」

 

浜面「…………、」

 

紅白の巫女の表情や声に嘘は見えなかった。

それがより一層浜面を混乱させる。

 

浜面「アレイスターの野郎がこの世界。幻想郷?だっけか。その幻想郷とやらに何かしてこようがお前らの力なら俺のような雑魚の手を借りるまでもなく返り討ちに出来るだろ……?」

 

魔理沙「それが、なんだよなーこれが」

 

金髪の白と黒の魔女、魔理沙が口を開いた。

そして、続いて

 

魔理沙「自分で言うのもなんだが確かに私達は強い。そりゃあお前の仲間を手加減しても尚勝てる位にな。だが、アレイスターたった一人に私達全員……、なんなら幻想郷というこの世界も敗北した。実はな、この幻想郷は一度滅んだんだ。だが一方通行のお陰でまた息を吹き返した」

 

浜面「一方通行、が?アイツがそんなこと……っ!?」

 

妖夢「あなた方の世界での彼の行動からは想像できない。っと言いたいでしょうが事実なのです」

 

霊夢「私達が貴方のような学園都市と呼ばれる場所で自由に動ける人を仲間として欲してる理由は学園都市の内側からアレイスターが企てる幻想郷への攻撃を妨害出来る人が欲しいからなの。私達だってねやろうと思えば学園都市に殴り込みできるのよ?だけど、学園都市がどんな場所でどんな地形なのか全く分からない。だからアンタのような学園都市に詳しい人間を仲間に引き入れたいの」

 

浜面はまた黙った。

考えているのだ。

どちらに荷担するか、どちらも切り捨てるか、っと。

もう自分は学園都市と幻想郷の戦争に足を踏み入れてしまった人間。

どちらもどうなろうと構わない、好きにすれば?

……とはいかないのだ。

 

そう。すると、ここで急に魔理沙は先程から気になってたことを口にした。

 

魔理沙「なあ、さっきからずっと気になってたんだがその子は具合でも悪いのか?」

 

腕は上がらないが魔理沙が指を差したのはピンク色のジャージを着た滝壺である。

 

浜面「あ、ああ。詳しくは分からねぇがここに来てから調子が悪いみたいなんだ。今朝は絶好調だったんだが……」

 

それを聞いても、だ。

霊夢と妖夢はなにも思わなかった。

しかし、しかし。魔理沙は違った。

 

魔理沙「今朝は元気だったのに幻想郷に来た途端調子を崩したのか。ここに来てその子に変化はなかったか?」

 

浜面「見たところなんもなかったよ。ただなんかここは変な感覚がする、気持ち悪いと言ってた」

 

この幻想郷に来てそういうことを言う大抵の者が"ある共通"のことがある。

魔理沙はもしかして、と思い違う質問をした。

 

魔理沙「その子は能力者か?」

 

浜面「能力者だ。確か……AIMストーカーって呼ばれてる超能力を有してる」

 

魔理沙「AIMストーカー?どんな能力なんだ?」

 

浜面「俺はろくに勉強もせず、悪いことしてばっかで無能力者のバカだから原理は詳しくは分からないが、他の超能力者の位置などが分かる力だ」

 

魔理沙「いわゆる探知系の能力か……、なるほどな。分かったぜ、なぜその子が急に幻想郷に来た途端調子を崩したのか」

 

浜面「……本当か!?教えてくれなんで滝壺はこうなったんだ!?」

 

気になって気になって仕方がなかった浜面は、魔理沙にがっつくように聞く。

すると、魔理沙は落ち着いた様子で話始めた。

 

魔理沙「この世界……、幻想郷にはありとあらゆる力が存在している。結界なんてものあって、当然それにも力はある。しかし、そういった力は幻想郷で暮らしたとしても普通の人には分からないんだ。だがある一部の人はその力を感じ取ってしまう。それは探知系や察知系の能力者だ。探知系や察知系の能力で、しかもその能力が無意識で発動してしまうものならもっとヤバイんだ。力を情報として感じ取り、その者のキャパシティーを越えてしまう程力の情報を取り入れると最悪の場合人格は崩壊……、植物状態になったその後そんな時を経たずに…………死に至る。情報ってのは人は脳に取り入れ保管する。でもどんな物を一緒でさ、その器に限界以上にものを流し込まれれば爆発するだろ。それが察知系や探知系の能力者の場合は脳に体を蝕むほとの情報量が入ると人格化崩壊、そして死んでしまうんだ」

 

浜面「……嘘……だろ……」

 

衝撃な事実を告げられた。

このままだと滝壺は死んでしまう。

しかし、どうやって助ければいいか分からない。

 

だが、である。

白と黒の魔女は「だが___」っと続けて、

 

魔理沙「____その子をその苦しみから解放できる方法はある。簡単な話さ、この幻想郷に居るから体調を崩した。なら幻想郷から出れば良いんだ」

 

浜面「それが無理なんだ…………」

 

絹旗が分かっていたように、

浜面も分かっていた。

彼は腕に着けた銀の腕輪に視線を向けたあと、

 

浜面「俺達は高いビルに居るにお偉いさんに捨て駒として扱われた文字通りのゴミだ。ゴミはごみ箱。それはどこも当たり前のことだ。ゴミは、どこにも帰る場所も方法もない。どっかの掃き溜めに放り込まれて皆仲良くスクラップだ」

 

行きと帰りが可能と説明されて渡された銀の腕輪。

しかし、使った後に気付いた。

『これは片道しか使えないのだと』。

それはこの幻想郷に来た瞬間分かった。

この地に着いた瞬間、銀の腕輪機能するかどうか試してみたのだ。

すると、どうだ。うんともすんともしなかったのだ。

なにか操作方法を間違えたのかと、何度も何度も試した。しかし、現実は残酷だった。

試しに気付かれないように他の銀の腕輪も起動させたが自分のと同じ、しーん……とした静寂だけがあった。

 

この事から浜面仕上はクソったれな事実を知ることになる。

片道しか使えない銀の腕輪。

第一位・一方通行を殺害に成功したところで学園都市に帰る手段がない自分達は訳も分からない世界で死に果てるのだと…………。

 

魔理沙「つまり帰る手段が無いってことか」

 

だが、と魔理沙は続けて、

 

魔理沙「お前は運が良い。なんとだな、その子を元の世界に返すことが出来る人物がお前の目の前に居るんだぜ」

 

浜面「えっ?そんなことが出来るヤツが居るのか!?しかも俺も目の前に!?」

 

魔理沙「おう、そいつは__________」

 

「_______ちょっと待って」

 

口を挟んだのは博麗の巫女であった。

 

霊夢「少しアンタ達の会話を聞いて自分でもクソったれでゲスな考えが浮かんでしまったの。だけど今はどんなことをしてでも幻想郷を守りたい。だから今から私が話すことに割り込まないでね魔理沙。多分、アンタが嫌いな"方法"だから」

 

そして、霊夢は浜面の方を向いた。

そしてそして。

 

霊夢「見る限りその子はアンタにとってとても大事な人みたいね。助けたい?この私の力をもってすれば助けることができるわ」

 

浜面「助けたい」

 

即答。そう、しかし霊夢は自分の問いに対して浜面が即答するのは分かっていた。

だから…………、

 

霊夢「じゃあその子を助ける条件として、アンタは私達の側に立ってもらう。その子の為に裏切るの、学園都市を。もしも拒むならその子はここで見殺しにする。アンタにとってはこれは悩む必要がある選択肢?」

 

魔理沙「おいっ霊夢!!それはまるで脅迫みたいじゃねえか!!」

 

次に、霊夢は「やっぱり……」と呟いた。

あれだけ最初に魔理沙に言ってもこんな話を聞いたら我慢できる訳がない。

妖夢は少し、酷く残酷な手段でもある程度のことはこの世界の為ならと目を瞑る。

しかし、魔理沙は違った。

友だから知ること。

白と黒の魔女。泥棒。などなど…………。

そう言われている彼女は、実は自分のことよりも他者のことを思える優しい子だと霊夢は知っている。

例え、自分達の生活の為、幻想郷の為と言い訳をしてもそれで誰かが犠牲になるのは許せなかった。

 

だが、ここで

 

「いいんだ、その巫女さんを責めないでやってくれ」

 

魔理沙「え?」

 

浜面「もしも俺があんた達の立場だったら間違いなくそうしてる。なんならおまけに武器を突き付けて、な」

 

弁護したのは、まさかの敵であった浜面だったのだ。

 

浜面「良かったよ。俺はいい人に出会えたみたいだ。脅迫曲がりのことをしてもなんとも思わない人じゃないみたいだなあんた達は。『本当は嫌な方法』。そう思ってるのはなんとなく分かる」

 

そして、ここで覚悟を決めた。

 

浜面「頼む、滝壺を救ってくれ。もしもこいつを救えるなら俺は悪魔にだろうが神にだろうが魂でも心臓でもくれてやる。なんでこんなに誰かを助けたいなんて思ってるのか自分でも分からないが……、滝壺をこの苦しみから解放したいんだ。それだけは確かなんだよ!だから頼むよ。その為ならお前達と共にアレイスターに立ち向かってやるから!!」

 

霊夢「百点満点の回答ね。歓迎するわ浜面仕上、ようこそ幻想郷へ。この世で最も困難で険しい地獄の道を選んだ者よ、私はアンタのような勇敢な人を尊敬する」

 

これで、浜面仕上は今日から学園都市の『敵』となった。

ただ一人の少女を助けるため。

その為なら彼は、強大な敵なんて気にせず気合いと根性だけで突っ込める勇敢(バカ)者なのだ。

 

「……ま、っ…………て……はまづら」

 

浜面「滝壺!?」

 

霊夢「意識は一応あったのね」

 

ゆっくり瞳を開く滝壺。

しかし、変わらない。体調は絶不調。

息は荒く呼吸するだけで大変そうであった。

そんな彼女を見て霊夢はまだ意識はあることに、助けれる範囲な状態だと思った。

 

浜面「大丈夫だ。安心してくれ、喜んでくれ。お前は助かるんだ!!」

 

霊夢「話を聞いていたなら理解できてる筈よ今の自分の現状を。浜面の願いを叶えるためアンタだけは先に学園都市に戻してあげる。他の人は治療してから戻すから少し遅れるかもしれない。浜面は私達の作戦を伝えた後、直ぐに行動してもらうことになるからアンタ達の元に戻ってくるのは先の話になるわ。あー、そうそう。もしも私達の情報をアレイスターに流した場合その瞬間私達の敵と見なして次は手加減なしでぶっ倒すことになるからそこんとこよろしくね」

 

滝壺「そんなのどうでもいい。私は貴方達が何をしようがどうでもいいの。今は浜面と二人っきりで話をしたい」

 

霊夢「別に二人っきりで話したいのは勝手だけどそれは________」

 

滝壺「_________オイ、もしも邪魔をするというのなら私はお前たちを殺す」

 

言葉を割って入った声はとても低くいつもの滝壺という少女を知る浜面はただただ驚愕した。

そして、恐怖した。

彼女の目がとても鋭く、その一睨みでそこら辺の不良でも失禁してしまうぐらい威圧力があったのだ。

 

霊夢「……………」

 

滝壺「……………」

 

お互いが黙って睨み合う。

霊夢と、滝壺以外その他の者達は何も言葉が出なかった。

が、しかし。

 

霊夢「………………分かった。三分あげる、その時間内で話を終わらしなさい。でも悪いんだけど私達はここから下がった場所でアンタ達を見張んなくちゃいけないから完全に二人っきりてのは叶えられないけれど、それでも良い?」

 

滝壺「構わない」

 

そうすると霊夢は後ろへ振り返り、

 

霊夢「そういうことよ。妖夢、魔理沙。下がるわよ二人の邪魔になるわ」

 

スマートフォンを服の内側ポケットから取り出しタイマーをセットする。もちろんセットした時間は言った通り三分ジャストだ。

 

魔理沙「おいおい良いのかよ?私達が離れた瞬間にダッシュ……なんてされて逃げられたら紫から雷が落ちるぜ?」

 

妖夢「御安心を。そんな事にはなりませんよ」

 

魔理沙「なんか根拠でもあんのかよ?妖夢」

 

霊夢「分からないの?今あの二人の邪魔をしたら馬に蹴られて地獄に堕とされるから私は引いたの」

 

魔理沙「…………あー、なるほどな。そういうことだったのか!!」

 

妖夢「やっと御理解されましたか鈍ちん」

 

魔理沙「ほんっっっっと今日の妖夢は私に対して当たりが強いなこの野郎ォ!!」

 

妖夢「野郎ではありません」

 

そして、三人は滝壺と浜面がしっかり見える範囲で二人から離れた。

 

魔理沙「なあなあ、霊夢。なんか今日の妖夢私に対して当たりが強いんだ。どうしてだと思う?」

 

霊夢「アンタの日頃の行いが悪いからだと思うけど?」

 

魔理沙「お前もかよ…………ったく、アリスが恋しいぜ。あいつならこんなグサグサ言ってこないのに、なんでこの二人は人を平気で傷付ける台詞を軽々吐くかなー」

 

霊夢「アリスだって言うときは言うわよ?アンタに対してだけ優しいのよ、魔理沙のことアリスは相当気に入ってるみたいだからね。でもそうね、確かに今日の妖夢はやけに魔理沙に言うわね」

 

妖夢「まあ、自分自身。今日は魔理沙さんに対して特別強く当たってしまってる実感はあります」

 

腕を組み、背中の木に寄り掛かる妖夢。

 

魔理沙「だろだろ?だったら少しは_________」

 

妖夢「_______ですが。それには理由がちゃんと存在しています」

 

人が話している途中だと言うのに口を挟んだ妖夢は、ピシッ!と魔理沙に指を差した。

そして、

 

妖夢「結果よければ全て良し。私はそう思っているのであの無理面倒を押し付けたことは別に責める気はありません。しかしその後なんですよ問題は。なんですかその大怪我は!それほど酷い傷を負ったのならばこんな所に居ないで早く永遠亭のお方達に見せてより良い治療を受けるべきです!!後のことは私や霊夢さんに任せてね!!見たところ応急手当はしたそうですがやはり専門の知識と腕を持ったお人に見せるのが一番!それは貴方でも考え付くことでしょ!?」

 

魔理沙「……わ、悪かった。心配してくれてたんだな」

 

妖夢「当たり前です。確かに魔理沙さんは悪いところは沢山あります。ええ、それは数えきれないほどにね。しかしそれ以上に良いところもあると私は知っています。私は別に魔理沙さんのことを嫌ってません、逆に大好きなんですよ!!」

 

魔理沙「妖夢……。良し、帰ったら結婚するか!」

 

妖夢「お断りします。好きと言ってもそういう意味での好きではありません。全く、こんなに言ってもふざけるとは…………」

 

霊夢「ここまで魔理沙がバカにテンションが高いのには理由があるのよ」

 

妖夢「なんです理由って?」

 

霊夢「見て分かる通り魔理沙、結構な大怪我なんだけど一番酷いのが肩なのよ。まあ見事に肩に奥の景色が見えるぐらい穴がぽっかり空いちゃってね、そこに持参した塗り薬を塗ったんだけど相当痛かったらしく応急手当が終わった頃にはテンションがバカになってたわ。まっ、でも、意識が飛びかけるほど痛がってたしタガが外れてハイになっちゃうのも無理はないでしょ」

 

妖夢「あー……、なんかすんごい叫び声が聞こえてましたがあれは魔理沙さんのでしたか……」

 

霊夢「そうそう、最終的にはハンカチを噛んで我慢してたけどね」

 

妖夢「_____それで、霊夢さんの方は大丈夫なんですか?相当出血したように見れますが」

 

そう言いながら妖夢は霊夢の巫女服に付着した真っ赤な血を見ていた。

しかし、それに答える時霊夢は軽く笑って、

 

霊夢「あー、これは違うわ。魔理沙を抱えたときに着いたのよ。私も血を流したと言っても鼻血ぐらいだし」

 

妖夢「霊夢さんが鼻血!?そ、そんなにあの子は強かったんですか?」

 

霊夢「いや、ただ私が相手を軽く見て油断した結果一発もらっただけ」

 

妖夢「霊夢さん、自宅に帰ったさえには『油断大敵』と十回唱えたあとに紙に唱えた言葉を百回書いてください」

 

霊夢「アンタ私の性格知ってるでしょ?そんな面倒なことすると思って?」

 

妖夢「こういう時欲しくなるんですよね、力ってやつを」

 

魔理沙「なんだなんだ霊夢に嫌がらせか?なら協力してやるぞ」

 

霊夢「アンタ達良い性格してるわ」

 

「「お前が言うな」」

 

皮肉を込めた言葉をそのまま魔理沙と妖夢は返した。

 

 

そして、そして。

一方の話である。

 

滝壺と浜面は……、

おバカ三人組の声など届いていなかった。

 

浜面「なあ滝壺、話って?」

 

滝壺「はまづら……、死ぬ気でしょ?」

 

浜面「…………は?何を______」

 

滝壺「___________誤魔化せると思ってるの?私ははまづらより先に暗部へと堕ちた。だから分かるの、己の命を捨てようとしてる人の雰囲気とかを」

 

やはり隠し事は俺に向いてないか……。

っと、浜面は小さく呟いた。

そして

 

浜面「…………俺さ、今まで誰にも誉められない生き方をしてきた。自分がこんなんなのは取って付けた理由とかのせいにしたりして目を背け、耳を塞ぎ、言い訳ばかりしてきた。だけど俺と同じ一人の無能力者がさ、俺の下らねぇ"幻想"を打ち砕いた。まあ、負けたことは悔しかったけどそれ以上に悔しかったのは俺と同じ無能力者なのにそいつは自分のやりたいことを無能力者だからって言い訳しないで己を貫き通していたことだ。だから俺はそれから考えた。もしも次に自分が本当にやりたいことが出来たらそれに全力を注ごう、って」

 

滝壺「……でも、だからと言って…………」

 

浜面「俺はお前だけには辛い思いをしてほしくないんだ。どこに行ったって同じだった。クズはクズらしくぞんざいに扱われ、利用するだけ利用されて後は捨てられる。だけどお前は、滝壺は違った。初めてだった、誰かに優しくされたことが、優しくされたらこんな暖かい気持ちになるんだって。そんな気持ちを気付かせてくれた滝壺が苦しんでるなら俺はそれから解放したい。その為なら俺の命なんて欲しくねぇ」

 

滝壺「はまづらは勝手だよ。はまづらが死んだら悲しむ人だって居るんだよ」

 

浜面「……ははっ。そんなヤツは居ないさ、もう俺の周りには誰も居ない。こんなクズどこで野垂れ死んだって別に………」

 

どうせ、と。そう心の中でも呟いた。

自分は無意味な存在。無価値な人間。

それでも、そんなんでも確かな自分の心というものがあるのだ。

だから、ただ周りに流されて死に絶えるのは我慢ならない。

どうせなら自分のやりたいこと、やるべきことをやってから(くたば)ってやる。

 

しかし、だ。

アイテムという暗部へ放り込まれ散々な扱いを受けたが、たった一人。

自分を無能力者のクズではなく、ただの一人の人間として接してくれた彼女は言った。

 

滝壺「私は、はまづらが死んだら悲しいよ」

 

浜面「滝壺……」

 

滝壺「一人でなんて行かせない。私も一緒に行く、私は大能力者(レベル4)だからはまづらを守れる。そうすればはまづらは死なないし私も悲しまないで済む」

 

浜面「なに言ってんだよ、お前はずっと暗闇に居るべき人間じゃない。この件で少し身を隠すことになるだろうが全てが終わったら滝壺は日の光が当たる場所で普通に生活するべきだ。死ぬ死なないなんて命のやり取りをしないで普通に、平穏に……ッ!!」

 

滝壺「浜面が居ないなら平穏なんて要らない。普通の生活をしたとしても意味もなく平穏を恨む」

 

もう大分無理をした。

気分はとても悪い、呼吸も乱れる。今にでも嘔吐してしまいそうだ。

しかし、それでも滝壺は口を閉じて浜面をただ一人で行かせられなかった。

そんなこと許せなかった。

 

今にでも自分から離れて、もう手の届かない場所へ行こうとしてる浜面を止めたい。

いいや、止めるのではない。

浜面の手を掴み一緒に行きたい。

 

滝壺は残り微かな力と勇気を振り絞り浜面の首元に腕を回し自分の顔を彼の顔へ近付ける。

そして、、、、

 

浜面「……滝、壺?」

 

そっと彼の唇へ口付けをした。

 

一方、外野の三人達は、

 

魔理沙「うおおおおォォォ!!やったよやりやがったよ!!いやー、良いもん見たな。アレをおかずに私は白米三杯いけるぜ」

 

霊夢「魔理沙五月蝿い。静かにしてよ今良いところなんだから」

 

妖夢「魔理沙さんも霊夢さんもどっちもどっちですね。ああいうのはジロジロ見るものでは無いと思いますが…………、まあ監視しなくてはいけませんし、仕方なく、仕方なくです」

 

 

そしてそして、そんな三人の視線の奥に居る滝壺と浜面は、

 

浜面「……え、…………えっと……」

 

滝壺「ここまでしたら分かった?」

 

浜面「…………あ」

 

なんで自分が今目の前に居る高位の能力者の彼女を守りたいと、死んでほしくないと思っていたのか浜面仕上はやっと気付いた。

ついでにその滝壺の気持ちも…………。

 

そして、、、

 

浜面「知らねぇぞ、こっからは今までにない過酷が待ち構えてる。それでも付いて来るのか?」

 

滝壺「うん」

 

想いが爆発した浜面は滝壺の体を抱き締めた。

だが滝壺は苦しそうな顔なんてせず、逆に頬を染めて柔らかく微笑んだ。

 

今確かに大切なもの、守るべきもの、失いなくないものを浜面は抱いている。

彼女と未来を生きたい。

ならば、やるべきことはただ一つ。

 

 

 

…………そして、アラーム音が鳴り響いた。

画面をスライドしてタイマーを消した霊夢は二人を見て、

 

霊夢「さて、二人で話し合った結果納得ができる答えは出た?」

 

浜面「"俺達"は学園都市を裏切り、幻想郷の味方になる」

 

浜面と滝壺のがっちり繋がれた手を見て、霊夢は小さく笑った。

そして、

 

霊夢「改めて言わせてもらうわね。ようこそ幻想郷へ、"こっから先は一方通行よ"。進路変更はできないわ、ただその一本道を突き進むだけよ」

 

浜面「覚悟のうえだ」

 

魔理沙「よーし話は終わったな?じゃあ今すぐ永遠亭に行くぞ、お前達の仲間はそこで傷の手当てを受けてる。それにそこの女の子は早く永琳に見せた方が良い」

 

妖夢「それは貴方もねッ!!」

 

鞘に納めた刀を妖夢は思いっきり魔理沙へ振った。

紫の開いたスキマがあった。

だからそこへ向かって打ったのだ。

 

妖夢「さあ、急ぎますよ」

 

霊夢「安心して、アンタ達にはこんなことしないから」

 

浜面「……お、おう」

 

怪我人なんだからもっと優しくしてやれよ……、

っとか思ったがなんだかこれが当たり前みたいな雰囲気だったからその言葉は胸の中にしまっておいた。

 

滝壺「麦野達にもこの話をしてみようよ、多分なんだけど協力してくれると思うよ?」

 

浜面「そうだな、共に行動してくれたならアイツらの力は頼りになる。でもその話は滝壺が元気になってからだ」

 

霊夢「アンタ達を元の世界に戻す前にとりあえず滝壺ちゃんは永琳に見せるわよ。もしかしたら体の内部にそのままにしてら大変な腫瘍のようなものができてる、って可能性があるかもしれないしね。それに永琳なら滝壺ちゃんの症状を打ち消す薬を作れるかも。もしもそれが作れたらアンタの仲間にこの幻想郷で私も一緒に話をできるかもしれない」

 

 

そして、

彼ら彼女らは空間に開いた沢山の目がある不気味なスキマの中へと消えていった。

 

ここで報告する。

暗部組織『アイテム』。

撃退成功。交渉成立。

 

以上。




次回予告

アイテムとはまた別の暗部組織が"紅の館"へ誘われた。
「ようこそお客様。ここは紅魔館、貴方達の終わりを告げる館でございます」

次回・第四章、第八話『グループ』

赤好き?夜は好き?
私は貴方で甚振る(遊ぶ)のが好き


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