幻想郷を一方通行に   作:ポスター

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偶には一番底に沈み絶望するのも悪くない。
だって一番底の絶望を味わったらそれ以上の絶望は無いのだ。

後は、沈んだら上るだけ、
思う存分落ち込め、だが決して屈するな。
希望は地面に転がってなんかいない、
前を見ろ、拳を握れ、前進せよ。
勝負は心から敗けを認めない限り続く。

さあ、闘え。
闘わなければ勝利を掴み取ることは出来ない。
心から屈した敗者になるな、
自分の道は自分で作れ。
笑って生き、最後は笑って死ね。

誰かの思い通りになンてされたくねェだろ?

純白の身に純白の翼が生え、
そして純白の怪物が月でその力を暴れさせる…………、


絶対誤字脱字ミスがあります。
ですが発見した場合、面倒だったら無視してくれて構いません。
お暇なお方や心優しいお方は出来たらで良いので誤字やそれ以外のミスを見つけたらこんなダメな私に報告してくれると非常に助かります。


9話

地上で闘いが繰り広げられた。

そして、それは月面でも、、、

 

「…………とりあえず半分、って言ったところか」

 

月に来て最初からエンジン全開で暴走者を倒し続け黒い玉を取り除いていた彼こそ、幻想郷最強の超能力者・一方通行(アクセラレータ)である。

 

地面から離れた場所。

つまり、宙に立つ一方通行の隣に一人居た。

"彼女"は純白の隻翼を持つ銀髪の女性。

いつも口元を手で被う彼女の名は稀神サグメ。

 

一方通行はサグメを横目で見て、

 

一方通行「サグメ、オマエはまだいけるか?まだまだ暴走してるヤツは居る。限界だっつゥなら後は俺に任せて横になっても良いンだぜ。オマエはいま体に無理をさせて動いてる、これ以上無理をすると明日明後日にその反動が来て下手したら何ヵ月も寝たきりになるって可能性もあるぞ」

 

サグメ『大丈夫。まだまだ貴方の力になれる』

 

一方通行「…………………悪りィな、助かる」

 

今日の一方通行は素直だった。

しかしそれは珍しいと言うだろうか?

いいや違う。誰だって今から大量の人間が死ぬかもしれないという瀬戸際だったら素直になるものだ。

今、白い怪物の隣に隻翼をバサバサ羽ばたかせ飛んで隣に居る彼女も最初は暴走者だった。

だがこの月に来てからまず最初に一方通行が無力化させ、黒い玉を取り除いてから傷を癒す効果と体力を回復させる効果がある薬を飲ませ動けるまで回復させた。

そしてできる範囲で良いから暴走者となり月へ破壊攻撃を続けるヤツらの沈静化の手伝いを頼んだ。

断る訳はないと思ってはいた。

自分が住んでる場所が今まさに跡形も無く消えてしまうかも知れないのだ。

もしも自分がそんな状況になったら間違いなく嫌なヤツとでも良いヤツとでも力を合わせて立ち向かう。

 

皆一丸とならなくてはこの事態は集束できないのだ。

 

サグメ『このスマホというやつ使ってるだけで楽しい。月でもこういうの売ってくれないかな』

 

サグメは滅多に言葉を口にしない。

それは彼女の能力のせいである。

『口に出すと事態を逆転させる能力』。

これは一応使用条件など複雑な部分が色々あるのだが、この能力は一度発動してしまうとサグメ自身でも思ってもない力を発揮してしまう。

“こんな風に事態をひっくり返したい”っと思っても願った通りには発動してくれない。

コントロールというものができないのだ。

 

余りにも強力だが、余りにも扱いが難しい力。

もしも口に出すだけで願うように能力発動できるなら間違いなく彼女は全世界で最強の一角に数えられるだろう。

まあ、能力が上手く扱えなくてもサグメはそこらの奴らと比べれば比較にならないほど強い。

能力だけではなく弾幕の力も他のヤツらより格段に上の存在なので味方としてはとても心強い存在だ。

 

サグメの能力を知ってる一方通行はスマホを渡し使い方を教えて思ったこと、言いたいことをメールして伝えるようにした。

だがスマホはとても便利だしそれに未知の機械とはここまで心を踊らせてくれるのか、

ポチポチ画面を押すだけで楽しい。

 

今、月も幻想郷も、人間も月の民も、神も人間も、万人万物大変なことになってるというのに、、、

サグメはスマホを弄ってる時とても楽しそうであった。

 

一方通行「そろそろ月の民達を安心して寝かせられる場所を確保しなくちゃなァ。今屋根のある場所で寝かせてられてねェ。そこらの地べたで適当に寝かせてたら適切な手当ても出来てねェし傷が悪化するかもしれねェ………、それに一箇所に人を集めた方がこちらもことが楽に運べるしな」

 

サグメ『それだったら月の都が良いかも』

 

一方通行「あァ……、だろォな。だがあそこだけやけに暴走者が多いし他の暴走者より狂暴だった。まるで月の都には近付けたくないよォな…………」

 

この月での一方通行の目的は三つ。

まず一つ。暴走者となってしまった月の民全員を正気に戻すこと。

二つ目は幻想郷へ向かって発射される核ミサイルの停止、もしくは排除。

そして、一方通行個人の目的が一つ…………、

っと言ったところだ。

 

一方通行「俺達二人でも月の都を制圧できる。だが、人が多いに越したことはねェ。藍達と合流するか」

 

ズボンのポケットからスマホを取り出しメールを打つ。

藍達も月の都を見たと報告が来た。

だが余りにも暴走者が多いので後回しにしたらしい。

しかし、もう傷付いた月の民を硬い地面に寝かせ続けるわけにもいかない。

だから布団と医薬品を確保したい。

 

今回の事件で誰一人死なせない。死なせてたまるか。

ならば、やるしかない。

合流地点を送り一方通行はサグメに「付いて来い」っと行って藍達との合流地点へ向かう。

 

もう最初から全力の全力だった。

藍、橙、一方通行、サグメ。

この四人達のお陰で月の暴走者数は半分になった。

 

暴走者から正気に戻り傷を負ってはいるが動ける者は居た。だが闘う力はない。

そういうヤツには今の月の状況を伝え酷い怪我を負い動けない者の看病を頼んだ。

その中には医学の心得がある者が居たりしたのでそういう者には助けられている。

 

一方通行達は地上から来た。

月の民はあまり地上を良く思っていない。

しかし、助けてくれたのは事実。

だから今回ばかりは素直に信じて一方通行の頼みを聞くものが多く居た。

中には一方通行を怪しいヤツだと言って信じない者も居た。

だが一方通行の隣に居たサグメを見てその心が変わる。

 

『あのサグメ様が信じているのなら我々も……』と。

 

 

古風な日本の雰囲気を醸し出す建物が並び立つ月の都からそこまで離れた場所ではなかったので早く月の都付近に到着する。

 

一方通行「藍達はまだ来てねェか………」

 

まだ周りに藍や橙の姿は見えない。

一方通行とサグメは二人を待つ間月の都を少し離れた空から眺める。

建物は崩壊し、燃え盛る炎、立ち込める黒煙。

 

以前見た時より一層酷くなっていた。

 

サグメ『あの長閑で平和だった月の都が……、どうしてこんな地獄に……』

 

一方通行「………………大丈夫だ。月の都もそして月の民達も前の状態に戻してやる。この俺が戻してみせる。約束する、オマエらの平和は俺が取り戻す」

 

真っ直ぐな紅色の瞳で地獄と化した見つめる。

しかしその瞳には強い覚悟があった。力があった。

そして一方通行は、ぽん…とサグメの頭の上に手を乗せる。

 

サグメ『……………………』/////

 

許してくれ月の民達よ………。

今、"こんな気持ち"になってる場合ではない。ぽっ…と頬を赤く染めてる場合じゃない。

しかし、しかしだ。

少しだけこのぽかぽかと、ふわふわとした日溜まりのような気持ちに浸らせて欲しい。

 

そして。

 

橙「御待たせしましたー」

 

藍「申し訳ありません、少し手こずる数を相手にしていて遅れてしまいました。しかし御安心を。もうその者らは片付けて_______」

 

___おきました。

っと、頭の中では最後まで言えていた。

しかし藍の口は止まる。

 

そして。

 

藍「あ……、あのー、一方通行さん。その人は……?」

 

一方通行「メールで伝えたはずだぞ?こいつはサグメ、色々あってサグメが地上に来ちまった時に知り合ったンだ。今は月の沈静化の手伝いをしてもらってる。安心しろ俺達の協力者だ」

 

藍「そっ、そうではなくてッ!!!」

 

いつの間にかサグメは一方通行を腕を抱いて体を寄せていた。

まるで、親睦の仲だと見せつけるように……。

だがそれが藍の怒りに火を注ぐ、

 

藍「随分と仲がよろしいことだな。だがくっ付き過ぎだ」

 

橙(そうは言ってるけど藍様だって人のこと言えないじゃん………)

 

負けじと藍は藍で一方通行の空いている方の腕を抱き体を寄せていた。

白い彼の両腕には柔らかい感触があった。

女性の女性らしい部分に触れているのだ。だがこれは自分から当てていっていない。

彼女達が勝手に当ててるのだ。

腕もげろ。

 

サグメ「…………」

 

藍「…………」

 

一方通行を挟んでサグメと藍の間に火花が散り稲妻が走る。

『両者一歩も譲らない』っという感じだった。

二人に挟まれてる一方通行は思った、「またかよ……」と。

彼はこういうのに良く巻き込まれる。

自分を使って遊んでるのだと思っているらしい。

だからそういうのは下手に触れるから面倒になるので、無視をして収まるのを待つのが正しい対処方法だと考えている。

 

ホント、ここまで鈍感だとそろそろ刺されるよ?

 

橙「あのー、すみません。盛り上がってるとこ悪いのですが今は"そんな事"をしてる時ではないのでは……?」

 

体を小さくして顔の真横に手を上げる橙。

しかし、横槍を入れた橙へサグメと藍は鋭い眼を向けた。

『邪魔をするな』っとその瞳が語っていた。

 

橙「ヒィィィィィィ!!!!」

 

全身の毛が逆立つほど、

ただただ…………、怖かった。

まともなことを言ったはずなのに、

正しいことを伝えたはずなのに、

 

何故か睨み付けられた。

しかも殺気がバチバチした眼で。

 

橙(誰か……助けて……)

 

一方通行「はァ……、確かにな。ここまでオマエらは良く頑張った。息抜きに遊びてェってのも分かる。だがそれはこの異変が解決してからだ」

 

二人の手を振り払い、そして離れる。

遊び道具の自分が離れれば終わると思っての行動だった。

 

一方通行「……それにしてもオマエらって仲が良いンだな」

 

橙「一方通行様も一方通行様で問題があるからあんなことになったと言うのに……」

 

一方通行「俺がなンだ?」

 

橙は小声で呟いたので橙がなにを言ったのか全部聞こえなかった。

ただ、自分の名を呼ばれたのは確かだった。

 

橙「いいえ、何でもありません」

 

そして橙の口から溜め息が溢れた。

確かにこんな事態だというのに藍様も女神様も一方通行を取り合ってる場合ではない。

しかし、しかし。

一方通行がここまで鈍感なのも悪いと橙は思った。

 

そして。

サグメに橙と藍を紹介した後、話はどうやって月の都を制圧するかになった。

 

橙「………それで、月で一番の危険地帯となった都へどう攻め込むおつもりですか?」

 

一方通行「あァ?どうもこうもねェよ。正面から乗り込む。そして暴走者を見付け次第片っ端にぶっ倒す」

 

橙「え~………」

 

ここでも橙は溜め息を吐いた。

一方通行の噂話など聞いて橙は一方通行のことを知的な人だと思っていた。

が、どうだ?

まさかの超脳筋思考なヤツだったのだ。

 

そしてそして。

橙の溜め息にはもう一つ理由があった。

それは、、、

 

藍「…………………なに睨み付けている鳥風情が」

 

サグメ「翼は生えているが鳥ではない、私は女神だ。そこを正しく覚えておけクソ狐」

 

橙「……………………」

 

まだ藍とサグメは喧嘩中だった。

 

一方通行「チッ、戯れ合うのはその辺にしろ。そろそろ_____」

 

?????????。

なにか……、

なにか無視していけないことが起きた気がする。

それに逸早く気付いたのは一方通行だった。

 

一方通行「______はっ?サグメ、オマエ今喋ったのか?」

 

サグメ「……、うん」

 

一方通行「大丈夫なのか?」

 

サグメ「能力は使おうと思わなければ発動しない。ごく稀に無意識で使っちゃう時があるけど充分意識してれば大丈夫」

 

一方通行「それは知ってる。だからメールで会話だなンて回りくどいことしてなくても良いだろって言ったらオマエは『それは出来ない』って抜かしただろ。何でか理由を聞いても黙り決め込むしよォ」

 

サグメ「そっ、それは……まだあの時は貴方と声を出して話すのは緊張してて……」

 

一方通行「あン?良く聴こえねェぞ」

 

サグメはごにょごにょとハッキリとは口にしておらず何を言ったのか良く聴こえなかった。

一方通行は手を胸の前で弄り恥ずかしそうな顔をして俯くサグメに首を傾げる。

 

一方通行「……あの時はなにか理由があってダメだったが今は大丈夫ってことで良いのか?」

 

サグメ「うん、そうしといて」

 

一方通行「…………分かった」

 

野暮な詮索は止めよう。

女性の内面に関してあれやこれや聞くのは失礼だ。

そのぐらい一方通行でも分かっている。

そして、、、

 

一方通行「しっかし意外だった。オマエはそォいう声をしてたンだな。俺の予想とはちょっと違ったな」

 

サグメ「変…………、かな?」

 

一方通行「いいや全然、サグメらしい声だと思うぜ。だが、だからこそオマエの能力は厄介だよな。勿体ねェよ、良い声してンのに気軽に話すことが出来ねェなンて」

 

サグメ「良い……声?」

 

刹那。

カーッ!!っとサグメの頬は熱くなり赤く染まる。

心臓がうるさい。

全く、目の前に居る白い彼と居るも多くの"初めて"を覚える。

しかし、しかし。

これからも彼と共に居る限りもっと"初めて"を経験していくだろう。

 

サグメ「一方通行的には私の声は好き、なの?」

 

一方通行「あァ?まァ嫌いじゃねェし好きなンじゃねェの?」

 

サグメの声は語りかけるような落ち着いた涼しさがあった。

しかしだからこそサグメらしいと思った。

 

別に、一方通行はこういう声が嫌いとかこういう声は好きだとかはなかった。

だが「良い声だ」っと思ったりはする。

自分のことを怪物だのバケモノだの言っているが、彼自身ですら知らない“人間らしい”部分もあるのだ。

 

サグメ「そっか……。えへへっ」

 

一方通行「?」

 

褒められれば嬉しい。

神も仏も妖怪も人間も変わらない。

『舌禍をもたらす女神』様もそうであった。

そして、サグメは嬉しそうに一方通行へ微笑んだ。

 

しかし一方では…………、

 

藍(あんの鳥がァァァァァァァッ!!!!)

 

橙「凄いッ!!溢れんばかりの闘気だ!!では、その闘気を味方にではなく敵に打つけましょう!!ねっ!ねっ!!」

 

藍「………そうだな。今からこの怒りを都の暴走してるバカどもに打つけられると思うと悪いとは考えているがそれでも楽しくて楽しくて自然と口角が上がってしまうよ」

 

橙(全身に力が入ってるから首筋や手や顔に血管が浮かび上がってる………………怖っ)

 

藍が今の状態で里の中を歩いたらいくら人間で混雑してる道でもモーゼの十戒みたいに人々の群れは二つに別れ、一本の道が出来るだろう…………。

 

そして、都へ全身突撃をかます時が来た。

作戦はあった方が良いと思い一応ではあるが作戦を立てた。

 

まず最初に一方通行が攻めに入る。その次にサグメ、最後に橙と藍だ。

一方通行が派手に大暴れして多くの暴走者を集める。

 

そう、ここで最後なのだ。

月の都を最後の決戦場所に決めた。

月全体で暴れている暴走者全員を月の都に誘い寄せる。

誘い出された暴走者の相手は全て藍も橙に任せる。

一方通行は派手に大暴れした後、月の都に詳しいサグメと共にアレイスターが仕掛けた核兵器を見付ける。

それは早く終わらせるつもりだ。

暴走者を全員を藍と橙に任せるのだが、全て倒しきれるとは一方通行は思ってない。

藍と橙は強い。確かに強い、そんなのは分かってはいる。しかし、しかしだ。

体力の限界が来ている。

藍、橙、それにサグメや一方通行ですら万全な状態でない。

所々傷を負っているし、体力だってかなり消耗している。

月人は地上の人間より遥かに強かった。

そんなこと月に来る前から分かりきってはいたが想定していた以上の力を有していたのだ。

 

だから、一方通行とサグメに求められるのは早さだ。

素早く核兵器を発見すること。そして核兵器を停止、もしくは排除すること。

藍と橙に求められるのは一方通行とサグメを邪魔しようとする暴走者の輩を少しでも減らすこと。

 

たった四人。

しかし、その四人がこの月では最後の希望だ。

 

さあ、さあ。

誰も望んでないのに広がり続ける地獄を壊せ。悲劇を吹き飛ばせ。

月にあの頃のような平穏な平和を取り戻せ。

悪夢から覚まさせてやれ、

覚めない夢などありはしないのだから。

 

ボッ!!っと一方通行の背中から噴射に近い黒い翼が噴き出す。

 

一方通行「___オマエ達は俺の合図があるまでここで待機していろ。味方の攻撃で死にたかねェだろ?」

 

橙「一方通行様……。ご武運をお祈りします」

 

一方通行「……心配は要らねェよ橙。オマエらの帰りを地上で待つ紫のところに無事帰すまで俺は何が起きたって倒れねェ」

 

 

心配ではあった。

だがそんな橙にいつもの調子で返事をして、そして橙の頭の上に手を乗せた。

そして、次の瞬間には一方通行は真っ直ぐに月の都へと向かって飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方通行「今日限りのクソったれなパーティーだァ、とことン楽しもうぜクソ野郎どもォォォォォォォォーッ!!!!!」

 

地響きと共に月の都の中心に降り立つ。

そして、空間を震わせる咆哮のなか黒い翼を大きく広げる。その数は百、二百と増えていった。

 

ここまで大きな音を立てて目立つ黒い翼を広げれば当然のごとく暴走者は一方通行の元へと集まる。

しかしそれが白い怪物の計画だ。

 

一方通行「ォォォォォォォォォォォァァァァァァあああああああああああああああああああーっ!!!」

 

二百以上の数となった大きな黒い翼で空気全体を凪ぎ払い台風と同等の風を巻き起こす。

その風は月の都の炎を拐うように消し飛ばし、一方通行を襲い掛かろうとした暴走者達は吹き飛ばされた。

その吹き飛ばされた暴走者の中には倒れた者もいたがそうでは無い者も居た。

倒されなかった暴走者は再び月の都へ攻撃を仕掛けようと動き出す。

 

一方通行「何一つアレイスターの思い通りにはさせねェ。あいつの幻想を砕いてやる……ッ!!」

 

天まで伸びた黒い翼は粉々に砕け、空から黒い粒子が降り注ぐ。

だがしかしそれはただの現象であってそれ以外の意味はなさない。

黒い翼の中から出てきたものに本当の意味がある。

 

純白。

『黒い翼』とは全く異なる一点の穢れもない『白い翼』が一方通行の背中にあった。

そして彼の頭上には天使のような輪が存在していた。

 

一方通行「…………来たか」

 

黒い粒子を降らすという合図を出してからポツリと呟いた。

 

空から自分の元へ向かってくる一つの影。

それは隻翼を持つ女神であった。

サグメは一方通行の立つ付近へ降りる。

 

サグメ「……………………」

 

一方通行「時間がねェ、さっさと行くぞ。とりあえず最初は地下だ。くそデケェモンでも余裕で入れれそォな広い地下室を探す。心当たりがある場所から片っ端に行け、俺はその後を付いて行く」

 

そして。

サグメは無言で翔けていき、一方通行は先程言った通りその後を追う。

 

だがだが……。

 

サグメ(確かスマホにはカメラ機能ってのがあるんだよね。一方通行の今の姿撮りたいなー、かっこいいし)

 

舌禍をもたらす女神様の頭の中は今の一方通行の姿でいっぱいだった。

自分の役目は分かっている。

案内だ。余計なことは考えるな。

そう……、思ってもちらっと自分の後ろを付いて来ている一方通行を見る。

 

サグメ(うん……、やっぱり何度見てもかっこいい。後で写真撮らしてもらおう、そうしよう)

 

一方通行「…………?」

 

チラチラ後ろを振り返るサグメが分からなかった。

ちゃんと遅れずに付いていってる。

なのに、どうしてそこまで後ろを確認する?

 

二人が都の中を翔ける速度は暴走者がとても追い付けるものではなかった。

だから暴走者が二人に仕掛けることは出来ない。

 

なのに、なのに、だ。

 

どォしてなンだァ?

っと、一方通行は考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月の都の外れ。

建物の建っていない所にあった大きな岩を一方通行が蹴ると散乱するように岩は砕けた。

そして、岩も無くなった所には、、、

 

一方通行「______ビンゴだ」

 

サグメ「こんなところ知らない、一体いつから……?」

 

そこは何もなかったはずだった。

だが、地下深く続く底が見えない穴があったのだ。

 

サグメが考えた核兵器が隠せそうな場所は隅々探した。しかし、どこを行ってもそんなものはなかったのだ。

そのことから次に一方通行はアレイスターは核兵器を隠せそうな場所を作ったのではないかと考えた。

 

そして、、、月の都をもう一度空から見渡し怪しい場所を隈無く探して探して、

 

当たりを引いたのだ。

 

一方通行「気を引き締めて行くぞ。どンな罠が仕掛けられてるか分かンねェからな」

 

サグメはコクりと頷いた。

そして二人は穴の中へと入っていった。

長く長く落下してようやく底に着地する。

 

一方通行「…………あれか」

 

とても大きなどこまでも奥に続いてそうな空洞の中に全長四十メートルの核ロケットとその発射台があった。

しかし制御コンピューターと思われるものも発見。

今からそれに向かおうと思った次の瞬間、

 

サグメ「一方通行っ!!」

 

一方通行「________チッ!」

 

地上にはこれ以上の熱が無い業火の斬激波が一方通行に向かって飛んで来た。

一方通行は地面を蹴って後方へ跳躍してサグメの隣に着地する。

 

一方通行「やっぱり、"誰か"居たよォだな」

 

先程自分が居た場所は抉れていて赤オレンジ色に焼け焦げ、

そして溶岩のように溶けていっていた。

いくら反射があるにしろ、さっきの攻撃はまともに受けたら白い怪物といえど一溜まりもない。

それに、もしも核にさっきの攻撃が反射されしまったら起爆してしまう。

 

サグメ「…………嘘。どこを探しても居ないと思ったらこんな所に居たの…………」

 

白い怪物に先制攻撃を仕掛けた者と、もう一人の者が核ロケットの後ろから二人の前に現れた。

しかしその二人を見たサグメは口元に添えていた手を震わせていた。

 

サグメ「依姫(よりひめ)……豊姫(とよひめ)……」

 

一方通行「知り合いか?」

 

サグメ「……うん。私の大切な人だ」

 

一方通行「……そォか。なら早くぶっ倒して正気に戻してやるぞ」

 

片方は、

日本刀を一刀構える薄紫色の長い髪を黄色のリボンを用いてポニーテールにして纏めていて、紫がかった赤い瞳の女性。

服装は半袖で襟の広い白シャツのようなものの上に右肩側だけ肩紐のある赤いサロペットスカートのような物を着ている。

ボタンが前面中央にあり膝上くらいからそのボタンを開けていた。

彼女は綿月依姫(わたつきのよりひめ)という。

そしてもう片方、

腰ぐらいまで伸びた亜麻色の髪に金色の瞳を持つ女性。

手には閉じた扇子を持っていた。

そして服装は長袖の襟の広い白いシャツのようなものの上に左肩側だけ肩紐のある青いサロペットスカートのような物を着ている。

その服も全面中央にボタンがあり膝上くらいからボタンを開けていた。

彼女は綿月豊姫(わたつきのとよひめ)

サグメは前方に立つ"姉妹"を見つめる。

決して視界から外しはしない。

もしも視界からこの姉妹が消えたらそれは自分達が危ないと分かっているのだ。

二人とも可愛い顔をしているがその姉妹の能力はとても恐ろしい。

一瞬の油断が死に繋がるのだ。

 

そんな相手が目の前に立っているというのに一方通行は冷静だった。

そして。

穴から落ちて来て着地する多くの音が自分達の後ろからした。

アサルトライフルやカービン銃など、現代的な武装をした月人が持っている武器を一方通行とサグメに向ける。

 

もちろん、一方通行達の前にも後ろにも居る者達は暴走者である。

 

サグメ「『挟み撃ち』……か______」

 

だが、と続ける

 

サグメ「今確かに私は口に出したぞ?その意味が分かるか?」

 

前にはあの霊夢や魔理沙では手に追えない力を有する二人。そして後ろには強力な銃を構える約二十人の武装した月人が、

 

だがしかし、サグメはニヤリと口角を引き上げる。

そして、そして。

 

サグメ「封は解かれ、時は満ち、機は熟した、______事態は逆転する……ッ!!」

 

口元を覆う手を離した時にはもう彼女の能力は発動していて、サグメの言った通り事態は逆転した。

挟み撃ちを逆転。

それをするとどうなるのか?

答えは簡単。挟み撃ちを仕掛けた者が挟み撃ちを仕掛けられる側に立たされるのだ。

 

この月の地下の空洞に居る者全員の立っている場所が変わった。

 

前方奥にはサグメが、中央には暴走者達が、

そして後方奥には純白の翼を生やす白い怪物が、、、

 

一方通行「ナイス判断だ、やるじゃねェかサグメ!!」

 

ボゴンッ!!!!!!

地割れが発生するほどの力量で地面を殴り付ける。

するとサグメと一方通行に挟まれている暴走達の足元が弾けた。

爆弾なんて物より強力な衝撃だった。

だがしかし吹っ飛びはしなかった。

暴走達全員が体を小刻みに震わせ白眼を向いて唾液を吐き出し糸の切れた人形のように地面に倒れ込む。

 

一網打尽とはまさにその事だった。

 

倒れた者どもから出てきた黒い玉は一方通行が背中の純白の翼を振るうと一斉に破壊された。

 

サグメ「…………………居ない」

 

倒れる月の民達。

全員さっきので仕留めれたと思っていた。

しかし、その中にあの姉妹の二人の姿がなかった。

 

サグメ「_______ッ!?」

 

刹那。

背後から背筋が凍り付く殺気を感じた。

サグメは反射的に前方へ飛ぶことにより『攻撃』を回避した。

 

サグメ「……………やっぱり、貴方達はそう簡単に仕留めることは出来ないわよね」

 

地面を滑り一方通行の隣まで移動する。

そして、

さっき自分に向かって刀を振るった者と、その者の奥に立つもう一人の女へ視線を向ける。

 

サグメ「協力して一方通行。貴方の力が無くてはあの子達を倒すことはできない。依姫と豊姫はこの月で5本の指に入る実力者よ」

 

一方通行「言われなくても端から協力する気だっつの」

 

ここから本番だ。

さっきの雑魚達は比べ物になら無い強敵。

それが一方通行達の前に居る姉妹なのだ。

 

サグメと一方通行は気を引き締め直した。

そして。

 

一方通行「教えろ。あの二人はどンな能力を持ってる?あいつらもどォせ能力者だろ」

 

サグメ「豊姫、帽子を被ってる子の能力は『山と海を繋げる程度の能力』。量子論を応用して月や地球、表の月と裏の月を繋ぐ事ができる。絶対に注意を怠ってはいけない能力よ、遠距離にあるものすらも瞬時に繋げて自分や物体、さらに他人すらも自分の望む場所に転送することができるわ」

 

一方通行「別空間と別空間を繋げる力か、紫の能力に似てるな。チッ、クソったれが。厄介な能力だな。で?もう片方は?」

 

サグメ「依姫、刀を持ってる子ね。あの子の能力は『神霊を呼ぶことができる程度の能力』。神降ろしの力、その身に神を降ろしその神の力を自分の力として攻撃も防御も高速移動もできる。恐ろしいことに降ろせる神は一人二人なんて少ない数じゃないわ、数百万の神の力を降ろしその神の力を使うことができる」

 

一方通行「あのチャンバラ娘を相手にするのは約数百万の神を相手にするのと等しいって訳か…………、はァー_____」

 

額に手を当ててため息を吐いた。

今日一番面倒臭いと思った瞬間だった。

 

一方通行「____どっちも一人だけで厄介だってのに二人同時に相手しなきゃいけねェってのかよ………。あいつらコンビを組むには能力も相性が良い、最高の組み合わせと言っても良いぐらいだ。だが誰を敵にしてるのかその体に教えてやるぜ……ッ!!」

 

サグメ「あの二人に対して打つ手はあるみたいだね。私は何をすれば良い?貴方に従うわ」

 

一方通行「サグメ、オマエは下がってろ。俺は荒らすのが専門だ。俺が前に出てあの二人の意識を俺一人に集中させる。そしたらそこでオマエの出番だ。あいつらの隙を俺がつくる、そしてあいつらの僅かな隙にオマエの全力を込めて攻撃しろ。分かったか」

 

サグメ「あの二人の隙が見えるまで私は待機ってこと?」

 

一方通行「オマエの能力は確かに強力だ。だが欠点もある。口に出せば事態を逆転できる。だがこうも言える、口に出せなければ能力を発動できない能力だと。オマエの力は口に出せなければ無意味だ。だから下げさせたンだ。あいつらはオマエが口に出すより先にオマエに攻撃を命中させることができる。だったら前に出て危険に晒されながら力を使うより安全な場所で力を使ったほうが良いに決まってる。______頼むぞ、オマエが切り札だ。最後を決めるのはオマエなンだ」

 

サグメ「……………………分かった」

 

責任重大だった。

だが、サグメは臆することはなかった。

隻翼を羽ばたかせ後方へ移動した。

そして一方通行は倒れる月の民達を遠くの場所へ『空間移動(テレポート)』する。

ただ遠くにやったのではない。

暴走から正気に戻った他の月の民達が居る場所へ送ったのだ。

 

一方通行「……………………いくぜ」

 

一瞬にして瞳が変わり、白い怪物は地面を蹴りつける。

空気は重くなった。

闘争の空気だ。

 

ならば繰り広げられるのは闘争ただ一つ。

 

 

 

一方通行「オアァ!!」

 

先に仕掛けたのは一方通行だ。

真っ正面からの突進、

まずは小手調べだ。

 

こんな単純な攻撃にどう対抗してくるか、、、

 

だが。

一方通行はこの瞬間に知った。

今敵にしているのは自分の命を絶つことができる存在だということを……………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方通行(__________ッ!?)

 

白い怪物の視界が一瞬にして変わる。

口の中にはしょっぱい味が嫌ってほど送り込まれる。

 

塩水の底の底の底の底。

深海の中に一方通行は一瞬にして転送された。

あの豊姫とかいうやつの能力だろう。

『反射』は常に機能している。しかし、あのほわほわお姫様の能力は一方通行の反射を突破した。

それだけのことだ。

別にそのことに白い怪物は驚きはしなかった。

 

一方通行(初見の能力には俺の"反射"は効きやしなかったか。チッ……あのクソ女、能力紹介のつもりかよクソったれ。海なンて場所に送り込みやがって)

 

だが、とニヤっと唇を歪める。

 

一方通行(あの一発で反射の計算式は手に入れた。あいつのベクトルの情報さえ手に入りゃあこっちのモンだ)

 

ほんの一瞬の能力をかけられただけで一方通行は豊姫の能力を掌握した。

もちろん豊姫の能力のコピーを作れたのだ。

 

一方通行(後はここからあいつらの元へ戻るだけだな)

 

寒さは感じなかった。

逆に海なのに熱さを感じていた。

 

だがそれと同じく気掛かりな事があった。ここはどこかの海だ。

しかも深海、太陽の光が届かないほどの……だ。

しかし、明るかった。

それはしかも光が下からあったのだ。

何故なのか、それを確かめるために一方通行は下の方へ首を向ける。

 

一方通行「ッ!?」

 

暴走しているというのに頭が良いらしい。

一方通行が転送された場所は海底火山がある深海だった。

 

しかも………、

 

一方通行(海底火山ッ!?しかも噴火直前じゃねェか!?)

 

ボコボコボコボコッ!!!!っと下から熱い泡が噴き出す。

赤みがかったオレンジ色の光が見える。マグマだ。

 

一方通行(クソったれが……ッ!!)

 

白い怪物には焦りが見えていた。

ここに長居は危険だ。

一刻も早く一方通行は新しく手に入れた力

『山と海を繋げる程度の能力』を使い、自分を先程居た場所へ送った。

 

 

その直後海底火山は噴火した。

そして新しい土地を作るだろう。

そこはどこなのか知らない。

しかし、新たな島が誕生した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方通行「……はァッ……はァッ……はァッ……!!」

 

息が吸える場所へ戻ってきた。

だが、、、

一方通行は豊姫へ視線を向けた。

しかもそれは怒りを込めた瞳だった。

 

一方通行「あのクソったれ、俺の移動場所を変更しやがった。相手の移動先を上書きできるのか……、つくづく厄介なヤツだなクソったれがァァァァッ!!!」

 

両腕を広げ、爪を立てるように手を開く。

そしてその手には風の砲弾が出来ていた。

螺旋の風。それをチャンバラ娘とほわほわお姫様に投げた。

 

バゴンッッ!!

っと音が響き振動する。

しかしその攻撃は命中しなかった。

あの豊姫とかいうやつ、思っていた以上に相手にするには面倒なヤツだ。

 

自分と依姫を瞬時にさっき一方通行が放った攻撃の被害が無い安全な場所へ転送していたのだ。

 

サグメ「急に消えたからビックリしちゃったよ。それにしてもびしょびしょだね、どこに飛ばされたの?」

 

一方通行「海だ、しかも海底火山付近の深海。あいつ、俺を窒息死させるつもりだったらしい。しかもそれに加えて海底火山の噴火で死体を宇宙の果てまで吹っ飛ばす気だった」

 

スタッ、と着地を決める。

するとサグメがその隣に立った。

どうやら一方通行を海底に飛ばしたら、あの二人でサグメに攻撃を仕掛けていたらしい。

 

一方通行が消えてから戻ってくるのはほんの一二分のこと。

なのに、サグメの左肩には切り傷があった。

 

一方通行「次はこンなへまはしねェ。って言ったらオマエは信じてくれるか?」

 

サグメ「もちろん」

 

一方通行「なら下がれ、さっきのでもォ俺は目が覚めた」

 

安心したようにサグメは後ろへ下がる。

並び立つ姉妹に細めた眼を向け、

白い怪物の背中の純白の翼。それに力が込められた。

一方通行を中心に湧き出る風圧。

飛び散る水滴。

彼が立っている地面には一方通行を中心に音を立てて亀裂が入る。

 

一方通行「___効かねェよ」

 

約三太刀。

それで発生した衝撃波。

その衝撃波は如何なる鎧も貫き切り裂くだろう。

 

だが、冷たい息を吐いて白い怪物は片手で防いだ。

そして衝撃波は大気となって消えた。

 

一方通行「これからオマエらに御返しをする、受け取れよ?流石の俺もプレゼントを受け取って貰えなかったら悲しいからよォ!!!!」

 

裂いたような笑みで純白の翼を羽ばたかせる。

そして一瞬にして姉妹二人に接近する。

 

一方通行「もォオマエの空間を繋げる力は俺には効かねェよ。一度通じたからってもう一度通じるとは限らねェッてここで学ンどけェ!!」

 

急接近している途中に豊姫の能力が一方通行に放たれた。

しかしそれは無駄になった。

ほわほわお姫様の力のベクトルは既に掌握済みだ。

 

白い怪物は姉妹二人の腕を掴む。

そしてそのまま跳躍すると、なんと姉妹二人を地面に目掛けて投げ付けたのだ。

 

依姫と豊姫は重なるように地面へ打ち付けられた。

クレーターのようなべっこりとした穴に倒れている。

当然のごとく白い怪物はそこに追撃を仕掛けるつもりだ。

だが、一方通行は核ミサイルの上に立っていたのだ。

 

そして、コンコンっと乗っているミサイルを二回踏む。

 

一方通行「これ、邪魔だよな。あァ邪魔でしょうがねェ。ならこいつを消して綺麗さっぱりさせよォぜェェェェッ!!!!」

 

ガゴンッ!!!

一方通行の脚は核兵器を突き刺した。

それを意味するのは、、、

 

サグメ「一方通行一体なにをする気なの!?そんなことしたら……ッ!!」

 

ああ、そうだ。

始まる。

我々はその兵器のとてつもない破壊力の恐ろしさを知っている。

第二次世界大戦で起きた悲劇。原子爆弾。

一つの都市を更地の地獄と化した爆発。

 

『核爆発』だ。

島や山などを跡形もなく破壊する威力がある核爆発が一方通行の足元で始まる。

壊れる機械音、煙とオレンジ色の熱という名の光。

だが。だが。

 

一方通行「核を撃っても大丈夫っていうのはこォいう時に使うンだよ!!」

 

広がらない。

爆発は逆に小さく球体の形に変化する。

爆音はする。

凄い衝撃を感じる。

しかし、広がらない。広がりはさせない。

それを一方通行が許さない。

 

稲光を放つオレンジ色の球体。

それは核爆発の威力を残した光弾だった。それに数センチ浮いた場所に立つ、白い怪物。

 

一方通行「最初から核は俺の手で処理するつもりだった。だが事が変わった、核を利用させてもらうぜ」

 

サグメ(_____まさか……ッ!?)

 

一方通行「とっておきのプレゼントだ。受け取れ」

 

そして、そして。

白い怪物は蹴り放つ、核光弾を。

 

だがしかし。

それはこの空間から消えた。

豊姫の力だろう。

 

サグメ(やはり、遠距離攻撃はダメか。豊姫がどこかに転送してしまう…………)

 

遠くから見ているサグメは無敵と思わせる姉妹の対抗策は思い浮かばなかった。

一点に見つめていた。

多分、ここで能力を使っても無駄だ。

相手にダメージを与えることはおろか、一方通行の邪魔をしてしまう。

だからサグメはただ遠くから見ることしかできない。

 

だがだが、だ。

 

一方通行「少しでも俺から目ェ逸らしたろ?」

 

窪みに居る姉妹の上に白い影があった。白い翼があった。

重力を無視して天井にしゃがみ付く逆さの一方通行。

そして、冷たく呟いた。

 

一方通行「_______チェックメイトだ」

 

足裏を付けている天井を思いっきり蹴り頭から急降下する。

綿月姉妹は一方通行の姿を見失っていた。

だから避けることは出来なかった。

 

一方通行「サグメェェェェェェェェッ!!!!」

 

豊姫と依姫を頭を掴んで地面に押さえ込むことに成功すると彼女の名を叫ぶ。

そうだ、ここで出番だ。

『舌禍をもたらす女神』様の、

 

サグメ「今ここで私は口に出すわ、『貴方達は私達に敗北する運命から逃れることは出来ない』と……ッ!!」

 

宙に浮く彼女の隻翼が光を放つ。

そして、サグメの体から赤い稲妻が放出された。

だがそれは変化して形となる。

大きな大きな一本の光の矢。

 

その矢は綿月姉妹へ放たれた。

するとその矢は何十、何百と小さい矢へと分裂していった。

 

大量の黄金色に輝く矢。

それが綿月姉妹へ降り注ぐ。

 

一方通行「______っ!?」

 

白い怪物はギリギリまで綿月姉妹を押さえつけ、そしてそれを終えたら後は安全な場所へ移動すれば良いだけだった。

一方通行はどんな弾幕でも避けれる速度がある。

 

大丈夫だ。

そう、思っていた。

しかしここで不慮の出来事が起きた。

 

一方通行「こいつ____クソっ!!」

 

悪足掻きだ。

刀がひとりでに浮き、そしてサグメ目掛けて飛んでいった。

これも神の力だ。

依姫の力だった。

 

一方通行は綿月姉妹から手を離しサグメの方へ弾幕を掻い潜って飛んで行った。

 

そして、、、

 

一方通行「……………怪我はねェか?」

 

サグメ「う……、うん。お陰様で…………」

 

全心全力の一撃を放った時、サグメはあの刀を避けるもしくは防御する力はなかった。

全ての力をあの一撃に乗せたのだ。

そもそも自分に向かって刀が飛ばされたことも分かっていなかった……、が、最後の最後に刀が飛んできていると気付いた瞬間にはサグメは一方通行と地下の空洞の端の方で壁を背にしていた。

そして、白い彼の腕の中に居るサグメは一方通行と肌と肌が密着するぐらい近い距離に居るのだと分かると頬を染めていた。

だが、、、

 

サグメ「______一方通行ッ!?」

 

一方通行「掠り傷だ、気にするな」

 

サグメは無傷だった。

だが、一方通行の右腕には刀が突き刺さっていた。

その傷からは大量の血が流れ出る。

 

一方通行「まさか、な。押さえていたつもりだったが、刀を飛ばす力は使えたなンてな…………」

 

本来の一方通行ならそんなこと許さない。

しかし、何度も説明するがもうここ数時間闘いっぱなしだ。

息も上がっている。

生きているのだったら誰だってそうだろ?

動けば腹は減るし喉だって乾くし疲れたりする。

神を超越した存在たる一方通行だってそれは変わらない。

 

サグメ(一方通行は前線で闘える体じゃない。後は私が前に出るしかない……ッ!!)

 

前方奥に聳え立つ姉妹。

サグメの攻撃は全て防がれてしまった。

無傷で立っている姿を見て厄介極まりない相手だと再確認させられる。

 

白い彼は腕に刺さった刀を抜いて投げ捨てる。

するとその刀が消えた。

そして次に刀が現れた場所は依姫の手元だった。

 

その時だった、、、、

 

「もォ……無理だ」

 

サグメ「えっ?」

 

俯いて壁を背にして座る。

白い怪物から翼も輪も消えた。

覇気すらも、、、、

 

一方通行「止めだ止め、もォ諦めた」

 

サグメ「何を言ってるの!?確かに私達は限界に近いわ、だけど私と貴方二人でじゃなきゃあの姉妹には勝てないの!!だから諦めないで!!お願い、お願い立ってヒーローっ!!」

 

一方通行の両肩を掴む。

珍しくサグメの頬には雫があった。

ここまで絶望を感じたのは初めてかもしれない。

 

こんな初めて味わいたくなかった。

声を荒らげ、涙を(こぼ)す隻翼の女神。

こちらの手は打ち尽くした。

全身全霊の一撃は失敗に終わった。

 

だが、だが、

ここで諦めてしまったらその瞬間、この月は終焉に満ちる。

それはなにがなんでも阻止しなくてはならない。

その為に必要になるのはヒーローだ。

今、私の前に居るヒーローの力だ。

 

なのに、なのに、なのに、、、

どうして貴方は…………、

 

一方通行「_____あァ?なにか勘違いしてねェか?」

 

サグメ「……えっ?」

 

一方通行「俺ァ別にあいつらをぶっ倒すことは諦めてねェぞ?」

 

そっと手を隻翼の彼女に伸ばしその頬に流れる涙を手で拭う。

そして、きょとんとした顔のサグメに

 

一方通行「俺が諦めたのは本気を出さねェようにしてることを諦めたンだ」

 

サグメ「本気を出さないようにしてることを、諦める?」

 

一方通行「俺が全力を出すことは許されねェ。もしも全力を出したらその瞬間、俺の力に耐えきれずこの世界は消滅する」

 

サグメ「???」

 

一方通行「だからそれを知ってから加減を覚えた。"本気を自在に扱える"よォになっても本気は出さねェように体に覚えさせた。だがもォそれもここまでだ_____」

 

『ヒーロー』は立ち上がった。

白い怪物は立ち上がった。

一方通行は立ち上がった。

 

そして、サグメの頭の上に左手を乗せていつもの調子で息を吐く。

 

一方通行「____ありがとォなサグメ。ここまで手伝ってくれたことに感謝してる。その礼をオマエの大事なあの二人を正気に戻すことで返させてもらうぜ」

 

右腕はもう使えない。

再生能力は疲労により低下してしまっている。

だから今は傷を癒やすことが出来ない。

だか白い怪物は言うだろう、

『だからどォした?あンな雑魚二人片腕が使えれば十分だ』と。

 

ボッ!!っとまた彼の背中から白い翼が噴き出る。

そして頭上には輪が、

 

だが、しかし。

 

一方通行「俺は考えた。俺の全力にこの世が耐えきれねェならどォするか、って。そこで浮かンだ答えはこの世が俺の全力に耐えきれねェなら俺の全力に耐えれるよォにすれば良いってなァ______」

 

古代文字のような小さな光が無数に一方通行の周りを舞い、彼の左手には赤黒い魔方陣らしいものが展開される。

そしてそして。

 

一方通行「_____そォだなァ"これ"を命名するとしたら『隔離結界』ってやつだ。これでもォここは俺の全力に耐えきれる空間となった」

 

この空間だけを覆うように赤黒い結界が張られた。

そして、

ビキビキビキビキビキ!!!

ギシギシギシギシギシギシ!!!

大気に亀裂が入り、一方通行の翼に光が集まっていき、

そしてその集まった光が一気に放出された。

一瞬この場は白い光に覆われなにも見ることが出来なくなる。

だか、その光も消える。

 

すると、、、

 

サグメ「……………………、」

 

その姿を見て言葉を失う。

 

頭上には白く輝く大中とサイズがそれぞれ違う二つの輪に、輪と同色の十字が融合し、その輪の周りには十二個の逆さ十字がゆっくりと回りながら円を描いていた。

そしてそして、純白の翼は白銀の輝きを帯びていた。

 

全力。本気。白い怪物の全ての力を一つに纏めた完成形。

 

ただ見た目が変わっただけではないとサグメは瞬時に理解する。

近くに居るだけで体が震える。

余りにももの凄い重圧で心臓が今にでも潰れてしまいそうだ。

言葉は出ないっというよりは言葉が出せないが正解だった。

 

そして。

 

一方通行「…………こォなっちまったら俺も加減できるか不安だがなるべく傷は負わせねェよ。さて_____」

 

_____決着の時だ、一瞬で終わらせる

 

刹那。

サグメの目に映ったのは壁や天井や地に何度も何度も打ち付けられる綿月姉妹の姿だった。

それ以外は見えなかった。

一方的過ぎる力。一方的過ぎる戦闘。

相手の動きを全て封じて、自分の攻撃全てを相手に叩き込む。

反撃は不可能。

圧倒的、絶対的遥か上の力で捩じ伏せる。

 

サグメ「見えない……、私の目ですら一方通行の動きを追うことが出来ない」

 

散らばる月岩。

荒ぶる風。

連続で響く打撃音。

そしてそしてそして。

 

一方通行「今度こそチェックメイトだ」

 

姉妹を重ねて踏みつけて地響きと共に地面に着地する。

すると二人からは黒い玉が出てきてそれを蹴って破壊する。

 

サグメ(滅茶苦茶な力だわ…………だけど強い。誰よりも圧倒的に……)

 

一方通行「終わったぜ」

 

その背中からも頭上からも輪も翼も消えていた。

そして結界も解除された。

 

すとん、と後ろに二三歩歩いた後一方通行は地面に座る。

サグメは急いだ様子で綿月姉妹に駆けて近寄った。

 

サグメ「息はある……、だけどやり過ぎじゃないの?」

 

一方通行「……………………、」

 

サグメ「?」

 

地面に座り、俯いて何も話さない一方通行に首をかしげる。

だが次の瞬間には理解した、なぜ何も言わないのか。

それは彼の顔を見れば分かるのだ。

 

大量の汗、とても荒い息。

 

サグメ(アレは普通じゃなかった。この世にあんな力あるとは考えられないほど異質で異常な力。あの力を使うと相当体に負荷が掛かるみたいね……………)

 

その数分して息を整えた一方通行は、

 

一方通行「…………これを、飲ませろ。そうすればその傷は癒えるし体力だって回復する」

 

サグメ「ありがとう。でもそれはまず最初に貴方が飲むべきでは?」

 

一方通行「俺ァ飲めねェ。これは軟弱な人間用に作られた薬じゃねェ。これはオマエ達みたいなモンしか飲むことができねェ」

 

サグメ「???……そう、なら___」

 

二粒、紫色のビー玉みたいな錠剤を受け取りそれをサグメは姉妹二人に飲ませた。

 

一方通行「時期に目も覚める。そン時その二人は元気にピンピンしてンだろォぜ、自分が暴走してたなンて知らずにな」

 

サグメ「世の中には知らない方が良いことだってあるわ」

 

一方通行「だが俺は話すぜ。そいつらに暴走していた事実もこの月の都の有り様も」

 

サグメ「…………………辛い現実だけど、そうね、月の民達の上に立つ者としてどうして月がこうなったかを知っていなきゃダメだものね」

 

一方通行「やっぱりそいつらがこの月のお偉いサンか」

 

『運が良い』。

ここで一方通行はそう心の中で呟いた。

 

サグメ「にしても先の戦いには違和感あったわ。この姉妹二人、そして私達がここに来た時に現れた月の民達。理性も無くし暴走しているというのに核に一歩も近付けまいと守ろうとしていた。まるで____」

 

一方通行「____『どっかの誰かに操られてるみたい』だろ?合ってるぜ、その考え」

 

ドサッ、と背中から地面に倒れた。

そして左腕を後頭部に回し灰色の天井を見つめる。

 

一方通行「前に紫が言っていた、『あんなので私を操れるも思ってるの?』ってな。あン時はその言葉になンとも思わなかった。だが今なら分かる、あの時紫の体に埋められたのは埋め込められた者を暴走させ、そしてアレイスターの思い通りに操ることができるやつだってな。チッ、今になってもあいつ埋め込められた対象を操ることができる黒い玉があるって黙っていやがったとはな。紫らしいぜ、ったく。ヒントを与えたンだからそンぐらい自分で考えろおバカさンとでも思ってンだろ。やっぱり俺はあいつ嫌いだ」

 

サグメ「八雲紫はそういうヤツよ。私もどちらかというと嫌いだし」

 

女性らしく楽な姿勢で座るサグメ。

その近くにはまだ目が覚めない綿月姉妹、

 

一方通行「紫のこと知ってるのか?」

 

サグメ「当然。"月面戦争"で色々あってね」

 

一方通行「前に地上と月で戦争があったってのは知ってるが、それでか」

 

月面戦争。

そんなのが前に起きたらしい。

それには誤解があったらしく、その誤解も解け今は終戦しているらしい。

だが未だに月の民は地上は穢れに満ちていると考えていて、その穢れた場所に住む者どもも穢れていると考えている。

だが、そんなヤツしか居ないという訳ではない。

月の民の中には地上も地上で良いところでは?

っと興味を持っている者も居る。

 

サグメ「八雲紫は嫌いだ。そしてその式神も……」

 

一方通行「あン?戯れ合ってたしオマエと藍は随分仲よさそォだったけどな」

 

サグメ「どこをどう見たらそう思えるの?」

 

一方通行「?」

 

今まで人と深い交流がなかったのでやはりまだ人の分からない所はあるみたいだ。

だが、彼も成長途中。いずれ分かる時もくるだろう。

そうすれば女心だって…………、

 

そして。ため息を吐いた後、隻翼の彼女の視線は一方通行の右腕に移った。

 

サグメ「包帯とか持ってない?貴方の腕手当てした方が良いんじゃないの?」

 

一方通行「そォだな。このままにしとく訳にもいかねェか」

 

再生の能力で傷を治す事が出来ない。

ならば、っと。ベクトル操作で傷は一応ではあるが塞いだ。

しかしそれは応急措置であっていつまた傷が開くか分からない。

だったら包帯ぐらい巻いていた方が良いだろう。

 

上体を起こす。

そして、創造の力を使って包帯を創った。

だが、、、

 

一方通行に「上手く巻けねェ……」

 

利き手では無いので余りにも不器用だった。

それを見かねて、

 

サグメ「貸して、私が巻いてあげる」

 

それからはサグメは黙って怪我した一方通行の右腕に包帯を巻いていた。

 

一方通行「上手いもンだなァ」

 

サグメ「昔教えてもらったのよ、八意様に…………。懐かしいわ、あのお方より懸命で優しくて、ものを教えることが上手な人は居なかった」

 

一方通行「そォか、そォいや永琳は昔月に居たンだっけか。なぜ地上に居るのか知らねェが他人の事情を無神経に探るのは三下のすることだ。その事には一切触れねェよ」

 

サグメ「……………それが一番よ、あの時もそして今もどれもこれもクソったれな事ばかり起きた。どうして皆もっと上手く接して生きようと思えないのかしら_____」

 

そう、私も……。っと心の中で呟く。

 

一方通行「そりゃあどいつもこいつもテメェの幸せしか眼中にねェからだろ。他人の心配をするよりまずは自分の心配をする。それが普通の考えだ、自分さえ良けりゃあ何だってイイ。自分が幸せなら他人が不幸になろォが知ったこっちゃねェ。だが中には居るンだよ、自分が幸せになるより誰かの幸せを願う者が……。そォいうバカなヤツも稀に居る。だからこの世界に、人に絶望するな、希望をなくすな。そして自分なりに人生を楽しむ方法を考えろ。せっかくこの世に生まれたンだ、楽しまなきゃ損だぜ」

 

サグメ「それが貴方が人生を楽しむ為に導き出した答え?」

 

一方通行「俺だって何度も世界に絶望した。何度も人間を皆殺しにして全ての町を火の海に変えてやろォと思ったさ。どいつもこいつもクソったれだらけ。だが最近その考えが変わった、あのバカどもと出逢ってからな…………。こンな俺でも変われたンだ、オマエも変われるさ。こいつと一緒に居たら楽しい、この世もまだまだ捨てたモンじゃねェって」

 

サグメ「それなら既に私は変われている。出逢えたのよ、クソったれなヤツらなんてどうでも良くなるような一緒に居たら楽しい人と」

 

一方通行「良かったじゃねェか。ならそいつを大切にしろよ。そォいうヤツは滅多に会えるモンじゃねェ」

 

サグメ「…………うんっ」/////

 

隻翼の彼女は下を向いていた。

赤く染まった顔を見られたくないのだ。

だが、その表情は嬉しそうだった。

そして包帯も巻き終わった。

 

自分に巻かれた包帯を見て、

 

一方通行「上出来だ。さて、俺は都の様子を見てくる。オマエ達は少しここでゆっくりしてろ、疲れも溜まってるだろ?」

 

サグメ「それは一方通行、貴方もでしょ?都はあの二人の式神に任せた。二人ならなんとかしてくれるはずよ」

 

一方通行「あァ、もォ俺ァへとへとだ。だから様子を見てくるだけだって言っただろ。大丈夫だ、藍と橙はどちらも優秀なヤツだ。きっともォ制圧し終わってるだろ」

 

呼吸をするように一方通行は"嘘を吐いた"。

そんな訳がない。

いくら藍と橙が優秀なヤツだとしてもあれだけの数倒しきれる訳がないのだ。

確かに体力も無い、体を動かせば全身に痛みが走る。

しかし。だが。

この惨劇は元はと言えば"自分のせい"なのだ。

怪物、バケモノと恐れられていた彼にだって責任感だってある。

当たり前だ。怪物、バケモノといえど心がある。感情があるのだ。

 

一方通行は立ち上がるとこの地下の空間に結界を張る。

それはこの空洞が崩れないようにするためだ。

 

この地下の空洞は利用できる。

そう考えて結界を張った。

そして次の瞬間には一方通行は月の都へ着いていた。

 

音も無く姿を消した一方通行に、サグメはやはり一方通行はただ者ではないと思った。

彼が居ればどんな問題も解決するだろう。

頼もしい存在だ。

 

だが、脳裏にはこんな考えがあった。

味方とすれば頼もしいが敵となったらこれ以上恐ろしい人は居ない…………、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所々に穴が開き、今にも崩れて壊れてしまいそうな二十メートル程の建物の天辺に立っている白い影。

彼はいろんなところで銃の発砲音が響き爆発している月の都を眺めたいた。

 

一方通行「酷いことになってンなァ。せっかく俺が火を消してやったってのにまァた火が上がってンじゃねェか。どこの愉快なバカだクソったれ、火を付けるの大好きマンでも居るってのか……?」

 

一方通行が火を消した時より前よりは火はそこまで広がってなかった。

が、しかし。火は火だ。

そのままにしていたらいずれこの都全体を炭に変えてしまう。

 

一方通行「________あァ?」

 

額に赤い光のレーザーサイトが向けられた。

どこのヤツが向けてるのか、視線を向けてみると、、、

 

一方通行「ロケットランチャーか。そりゃあそンなモンバカバカ撃ってりゃ都がここまでぶっ壊れて当然だな。チッ、ロケットランチャーがあンなら火炎放射器とかもありそォだな____」

 

ロケットランチャーを構える月の民が引き金を引いた。

すると、先端のロケットは一方通行目掛けて一直線に飛んで行く。

 

一方通行「_____だが、どンな兵器があったって俺には傷一つ付けることはできねェよ」

 

発射されたロケットは一方通行に当たる前に爆発した。

そして当然のごとく白い怪物は無傷でズボンのポケットに手を突っ込んで立っていた。

 

一方通行「体が動く限り暴れてやるか……。時期に俺も倒れる……、その前に何とか月の暴走者どもを正気に戻す。地上は大丈夫だ、きっとあいつらが何とかしてくれている」

 

少し。

そう、少しの不安があった。

あいつらを信じている、心から信じているとも。

だがそれでも地上は大丈夫かと心配してしまう。

相手は暗部組織だ。アレイスターが送り込んできたやつらだ。

生き残る為に汚い手を平気で行う外道どもだ。

もう、余裕はない。

全力を使ってしまってもしも次倒れてしまったら起き上がれない自信がある。

その前に、何とか、何とかしなくては。

 

あの姉妹。

綿月姉妹が目を覚ますのを待って、あの二人が目を覚ましたら残っている暴走者を倒してもらう。

それが一番良い。一番安全だ。

そんなこと分かっている。

綿月姉妹は強い。多分今の一方通行より役に立つだろう。

だから残りの暴走者なんて、顔色一つ変えずに一匹残らず片付けることができる。

しかし、ここでも説明しよう。

この惨劇は元はと言えば自分のせいだ。

一方通行は責任の一つも取れない三下になんかなりたくないと思っている。

それにもしも後の事を月の民達で解決されてしまったら"一方通行の計画が狂う"。

 

 

だからやるしかない。

体にムチを打ってでも、それでも動かなくてはいけない。

闘わなくてはいけないのだ。

 

そして。

白い怪物は制圧を始めた。

しかし驚きの光景だった。

手負いのはずなのに、体力も底を突きそうなのに、だ。

 

一方通行は圧倒的な力を見せつける。

流石は、幻想郷最強といったところだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍「………っ………くっ!!」

 

手強い相手と出会した。

藍は空中で身を捻り体勢を整える。

そして、穴だらけの建物の屋根の上に着地した。

 

藍「地上で全然話を聞かないと思ったらこんな所に居たのか………、あの氷の妖精が知ったらビックリするな」

 

金髪のロングヘアーで赤みがかった紫色の瞳で松明を持ち、アメリカの国旗を服に仕立てたような全体的にピエロと思わせるような格好をした"少女"。

彼女を藍は知っている。

彼女は幻想郷で有名だし、月の民達から忌み嫌われる存在。

それだけではない。

敵に回すととても面倒臭い相手なのだ。

 

特にあの松明は注意しなくては………。

 

松明を絶対に視界に入れないようにピエロのような少女へ視線を向ける。

すると藍の隣に白い影が空から降ってきた。

 

一方通行「よォ。手こずってるみてェだな、藍」

 

藍「一方通行さん……、ここに来られたということは幻想郷に撃たれる核はどうにかなったのですね。それなのに…………、お見苦しいところ見せてしまい申し訳ありません。しかし_____」

 

一方通行「分かってる分かってる。あのクソガキ強ェだろ、しかも相当」

 

藍「地獄の妖精。実力主義の地獄で上位に君臨する程の実力を持っています。そして能力は『人を狂わせる程度の能力』。あの松明を見たら最後、その者は狂気に陥りまともな判断を失いあの妖精のオモチャにされてしまいます」

 

一方通行「へェ……人様にそンなことするガキがまだ居たとはな、そいつァ感心しねェなァ。ハッ、あのガキには少し躾が必要みたいだ」

 

藍「…………はい?」

 

隣に立つ一方通行は何か楽しそうな表情になっていた。

 

一方通行「良し。あいつは俺がやる、オマエは他の暴走者を相手しろ。俺はあいつを教師として責任を持ってボコボコに打ちのめしてやる」

 

藍「きょ、教師として……、ですか?」

 

一方通行「副担任もできたことだし丁度考えてたンだ、生徒を増やしても良いかなってな。あいつは合格だ、文句なしの満点だ。人外、しかも人様に迷惑をかける力。どォせ妖精だしあのクソガキもイタズラ好きなンだろ?」

 

藍「えぇ、まあそうですが。お気をつけて下さい。あの妖精の能力は危険です」

 

一方通行「人を狂わせる、ねェ。俺とは相性が最悪だな。俺ァ狂気の塊みたいなヤツだぜ?そンなヤツに狂気に陥りさせるなンざ、腹痛いから胃薬飲ンでまた胃薬飲むみたいなモンだ。同じことを何度繰り返したって結果は変わらねェ、目新しい変化なンざ起きねェンだよ。それともなにか、狂気ってのは重複するのか?そいつは愉快な話だ、笑いが込み上げてくるぜ」

 

藍(離れた方が良さそうだ。巻き添えを食らう前に……)

 

既に赤い瞳をギラギラさせている一方通行を見て藍の第六感は危険と告げていた。

そして、式神・八雲藍はその場から離れた。

出来る限り遠く、遠くへ。

 

残った地獄の妖精と白い怪物は、、、

 

一方通行「これがオマエの狂気か。弱ェ弱ェ、弱ェよクソガキ。もっとだ、こンぐらいの狂気じゃこの俺を狂わせることは出来ねェぜ!!あはギャハ!!アハハハハハハハハハハっ!!!」

 

地獄の妖精が持つ松明を見ても狂いはしなかった。

いいや、元々彼は狂っている。

 

裂いたような笑み、悪魔のような笑い声。

怪しく輝く赤い瞳。

どこまでも白い髪と肌。

まさにこの世のものとは思えない存在、怪物だった。

 

確かに一方通行に『人を狂わせる程度の能力』はかかっている。

放って置けば段々狂気に陥っていき、最終的には暴走者とさして変わらないまでになってしまうだろう。

だが、もうここは地獄の妖精と白い怪物、二人だけの世界だった。

 

一方通行「今からオマエは俺の生徒だ。それは今決めた、俺が決めた。さァ、俺が優ァしく可愛がってやンよォッ!!」

 

そして、屋根の蹴り飛び上がる。

すると地獄の妖精は無数に弾幕を放つ。

それは避けきれる数ではなかった。

 

しかし、

 

一方通行「_____遅ェよ」

 

地獄の妖精は彼の姿を見失う。

それはそうだろう。彼女は後頭部にも目があるわけではない。

 

一方通行「敵に背後を取られるな。まずこれがオマエに最初教えることだ_____ンま、つっても分かンねェか。あはぎゃはははははははハハハハッ!!!」

 

暴走者となった少女が振り向いた瞬間、一方通行は拳を飛ばす。

だが地獄の妖精はその腕で白い怪物の攻撃を防ごうとしていた。

しかし、その防ごうとした腕はへし折れ勢いは止まらずそのまま拳は顔面へ届く。

 

そして、ぶっ飛んで行く方向に地獄の妖精より先に一方通行が居た。

そして地獄の妖精が飛んで来ると、、、

 

一方通行「ここは月だ。ならクレーターが一つ二つあったって不思議じゃねェよなァ?増えたっておかしくねェよなァッ!!!」

 

右手をズボンのポケットに突っ込んだまま白い怪物の前方から来た地獄の妖精の足を左手で掴む。

そして足を掴んだまま次は地面に向かって落ちていき、その勢いを乗せて思いっきり地獄の妖精を地面に叩き付ける。

顔面から叩き付けれた地獄の妖精

しかしそれは一回だけで終わらなかった。

何度も何度も数十メートル跳躍しては落下して地響きと共に地面に叩き付けるを繰り返し、

そして。

 

一方通行「…………あぶねェ、勢い余って殺すとこだった。ハッ、少しは俺にも正気があったらしい、じゃなきゃ狂気に陥るなンてしやしねェモンなァ」

 

ここで自覚した。

やっぱり能力にかかってしまっていたのだと。

しかし、勝てたのでそんなことどうでも良いことだ。

一方通行はやっと頭部から血を大量に流す地獄の妖精の脚を離す。

すると、黒い玉が胸奥から出て来たので蹴り壊した。

 

一方通行「さて、次だ次」

 

次に一方通行は彼女の腕や頭の怪我をベクトル操作によって手当てする。

完全に治せる訳ではないがしないよりかはマシだ。

そして一粒、紫色のビー玉みたいな錠剤を飲ました。

これでもう大丈夫だ。

あともう少ししたら傷も癒え、元気に目が覚めるだろう。

 

まだまだ暴走者は居る。

右腕はまだ使えない。左腕は気を失っている妖精を脇に抱えいるので使えない。

だが、問題ない。

後残ってるのは多彩な銃を扱えるだけの雑魚どもだ。

両腕が使えなく、体力も僅かで傷を負うっていても問題なく余裕で倒せる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白い影は空を翔ける。

そして。

 

「………………っ、…………んぁ……?」

 

地獄の妖精・"クラウンピース"。

怪物が脇に抱えている少女が目を覚ました。

 

クラウンピース「………えっ?なになにッ!?」

 

しかし、彼女が目を覚ました時に空から見た光景は崩壊ギリギリの月の都だった。

そして。

 

クラウンピース「お前誰だ!?」

 

一方通行「あン?目ェ覚ましたクソガキ」

 

襲い掛かってくる暴走者を踵落としで地面に蹴り落とし、脇に居る少女へ首を向ける。

下に俯せで打ち付けられた月人から出た黒い玉に一方通行は風の向きを操って発生した烈風を全方位から打つけた。

すると、黒い玉は音を立てて粉砕した。

 

クラウンピース「あたいに向かってクソガキだと!?人間風情が今すぐ_______」

 

___八つ裂きにしてくれるっ!!

っと、言おうとした。

だが…………、

体が動かなかった。指一本すらも、、、

 

一方通行「大人しくしてろ。まだ傷は癒えてねェだろ」

 

クラウンピース「まっ、まっ、まさか……っ!?」

 

地獄の妖精は焦り、そして恐怖を感じていた。

『"ご主人様"』の話を思い出したのだ。

 

クラウンピース「まさかお前、あたいに乱暴する気だろ!?」

 

一方通行「………………………………はァ?」

 

クラウンピース「"ヘカーティア"様が言っていた、男は性欲の獣だって。女に抵抗する力が無いと知るとその性欲を満たそうと………、嫌だァァァァァァッ!!!乱暴に犯されるーッ!!!」

 

一方通行「ウルセェ……。誰がすっかよ、ンな下らねェこと。っつゥかテメェの体ァ見てからそォいうこと言いやがれ、色気も無ェガキに欲情なンてすっかよ」

 

クラウンピース「中には幼い少女の体だからこそ欲情するヤツも居ると聞いた……、確かロリコンとかいうヤツ…………、うわァァァァァァァ!!!!助けてェェェご主人様ァァァァァァッ!!!」

 

一方通行「…………チッ」

 

舌打ちを打つ。

そして、体を落下させた。

見事着地に成功すると、、、、

 

クラウンピース「___ふぎゃぁ!!」

 

地獄の妖精を投げ捨てた。

そこは影に覆われた場所。ここなら暴走者に見付かることも無いだろう。

一方通行は心底面倒そうな表情で、崩れかけの建物を背にして座る。

 

一方通行「ほら、離してやった、自由にしてやったぞ。だから俺の話を聞け、これは命令だ」

 

クラウンピース「誰が大人しく聴くもんか怪しいヤツめ!!こんな暗い所に連れて来るなんてやっぱりオマエは___」

 

一方通行「___黙れ」

 

クラウンピース「____ッ!!!」

 

低い声、鋭い眼光。

紅の目に睨まれたクラウンピースは一瞬、全身に力が入らなかった。

威圧されたのだ。言葉に出来ない恐怖を感じた。

 

地獄の妖精といえど、白い怪物ひと睨みには臆したのだ。

そして。クラウンピースは息を吐いた後、一方通行と向かい合うように壁を背にして座った。

 

クラウンピース「……いくつか質問がある。それに答えたらお前の話を聴いてやる」

 

一方通行「分かった。こっちは面倒なことが立て込んでンだ、並べく早くスピーディーに質問しやがれ」

 

クラウンピース「まず一つ、あたいの松明はどこにある?」

 

一方通行「俺が持ってる」

 

クラウンピース「???」

 

何言ってるんだこいつ……?

クラウンピースの頭の中ではそんな言葉が浮かんだ。

だって持ってないのだ松明を。

両手はズボンのポケットに突っ込んだまま、体のどこかに隠し持ってるようにも見えない。

なのに、彼は言う『持ってる』と。

 

クラウンピース「どこに持ってるって言うのさ」

 

一方通行「なンだ、返して欲しいのか?」

 

クラウンピース「当たり前だ、アレはあたいのだ。あたいが持ってて当然じゃん。お前だって自分の物を誰かが持ってたら嫌だろ?」

 

一方通行「………確かに嫌だが、無闇に能力を使うな。これが約束できるなら返してやる」

 

クラウンピースの能力は松明を持って始めて発動する。

だから松明が無くては能力を使えないのだ。

だがしかし、能力が無くても問題ない。

クラウンピース。すごく強い、めっちゃ強く、バカ強いのだ。

素で強いのだから能力はほぼオマケと言っても良いぐらい。

 

だがやはり、松明は持ってる方が彼女は良いらしい。

気持ちの問題なのだろうか?

そんなことも考えず、返せと言われたから一方通行は松明を返す。

 

クラウピースの前に真っ黒なデザインのスキマが開かれた。

そして突如そのスキマから松明の棒が落ちてきたのだ。それを拾うと、

 

クラウンピース「……、どうやって?って言うよりどこに隠し持ってたの?」

 

一方通行「こことは違う空間。世界の狭間と狭間に置いていた。オマエと闘ったときにオマエが持ってたモンだし一応取っておいたンだよ」

 

クラウンピース「あたいと闘った?お前が?いつ?どこで?」

 

一方通行「この月の都で、さっき」

 

クラウンピース「じゃあ今あたいスゴイぼろぼろなんだけどまさかこれやったのお前?」

 

一方通行「あァ」

 

クラウンピース「やっぱりオマエあたいの体目当てなんだろ!?抵抗する力を奪った後にあたいの体をめちゃめちゃにするために……っ!!」

 

一方通行「………………………………はァー」

 

クラウンピース「キ……ッ!!!」

 

心底下らない。っと言いたげな顔でため息を吐いていた。

だが、それはクラウンピースの逆鱗に触れるには充分過ぎた。

怒りに燃える地獄の妖精は足音を立てて一方通行に駆け寄り、手を振りかぶる

そして______

 

バシンッ!!!っと向かっ腹が立つ白い彼の頬を叩いた。

平手打ちだ。

 

クラウンピース「人が真面目に話をしてんだぞ!!なのになんだその態度は!?あたいを嘗めてるのかバカにしてるのか!!」

 

向いてる方向が強制的に横に向かせられるほどの威力だった。

口の端からはツーッ、っと血が垂れる。

しかし。

ギロリ、と真っ赤な眼だけを動かしクラウンピースの方を見る。

 

一方通行「気は……、済ンだかよ?」

 

クラウンピース「っ!?」

 

地獄の妖精は震えていた。

分からない、解らない。が、震えるのだ。

心拍数が早くなる。変な汗も背中に滲み出る。

どうしてなのか、体がこんな反応をするのは………。

 

クラウンピース(こいつ……。人間なのか……ッ!?)

 

そんな疑問が浮かんだ。

根拠は無い、しかし確信に似たものがあった。

こいつは普通では無い……と。

考えてみれば確かにおかしい。自分と闘い傷を負わせる程の実力を持ち、そして予想ではあるが闘った記憶が無いということは自分は意識が無かったのだろう。

だが負けたのだ多分、目の前の白い人間に

 

それをどこかで理解してるから震えている……かもしれない。

 

白い怪物は、先程のビンタで口の中まで切れてしまった。

これなら口内炎にもなってしまうだろう。

だがしかし、血の味がする赤い唾液を吐き、

 

一方通行「まだ気が済まねェって言うなら殴ったってかまわねェ。だがそうしたら次は俺の話を黙って聞きやがれ、緊急事態なンだ」

 

クラウンピース「…………本当に、あたいと話がしたいだけなんだよな?乱暴する気は無いんだな?」

 

一方通行「信じられねェって言うなら俺を拘束でもするか?」

 

クラウンピース「……いや、良い。信じる、嘘を言ってるようには見えないからな。それより悪かった殴ったりして……、熱くなりすぎてしまった」

 

一方通行「構わねェほっとけば治る。それに貞操観念がちゃンとあるってのは良いことだ」

 

地獄の妖精は白い彼の隣に腰を下ろす。

 

クラウンピース「ねえ、もう一つ質問して良い?」

 

一方通行「あァ」

 

クラウンピース「さっきから月人が暴れてるのがちらほら見えるけど……。あんな姿見たこと無いよ、何がどうなってるの月は?」

 

一方通行「それが俺の話したかった事だ。良く聴け____」

 

そして。一方通行は全てを話した。

学園都市のこと、幻想郷で起きたこと、月の現在の状況。何一つ隠しもしないで、

 

クラウンピース「なんか、あたいが知らない間にスゴイことが起きてたみたいだね」

 

一方通行「あァ、全く面倒で下らねェことがな。そこでオマエにこの月の騒動を静める協力をして貰いたい。この月の都で暴れてるヤツを片付ければそれももう終わる。報酬とかが欲しいなら地上に戻ったらくれてやるが?」

 

クラウンピース「………………………………」

 

今、さっき、今日会ったばかりの人間だ。

だが彼女は分かっていた。

多分、こいつは普段こういうことを言わない人間だと。

必死なのだろう、誰かの力を借りてでもこの月の騒動を静めたいのだ。

 

でも、それが何?

知ったこっちゃない話だ。

自ら危険地に飛び込めと言うのか?ふざけるな、そんなの御免蒙る。

しかし。彼に協力するというのなら月で派手に暴れられる、

闘える(遊べる)のだ。

ならば答えは一つだった。

 

クラウンピース「良いよ、協力してやる。報酬なんてものは要らない。楽しそうな事に仲間に入れてくれるならね」

 

一方通行「安心しろ退屈なンてここにはねェ。勝つか負けるか、倒すか倒されるか。その選択が毎分毎秒迫ってきやがる」

 

クラウンピース「それはそれは、最高だ……っ!!」

 

心の底から出た楽しいという気持ちで作られた笑みだった。

地獄の妖精だ。地獄は好きだ、大好きだ。

だが、"悲劇"は嫌いだ。

クソ野郎は大嫌いだ。

 

誰にも言ったりしないが自分をいいように利用したそのクソ野郎は必ずブチ殺す。

どんなことしたって絶対に、だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これであらかた片付いたな」

 

ふぅ……。っと息と吐いたのは黄金色の髪に、それと同色の九つのふんわりとした狐のような尻尾と耳を持つ女性。

彼女は、己の手で倒し山のように積んだ月人の頂点に腰を下ろしていた。

月人、彼ら彼女らは元は暴走者だった。

だがやはり、大妖怪・八雲紫の式だ。

どんなに多くの人数で襲い掛かって来ようが容易く打ちのめした。

黒い玉は既に破壊済み。

生きているし、一応助ける側なんだから山のように積むなという意見があるが藍は地上側に属している。

少しぐらい月人に苦をさせてもなにも感じない。それにこの程度じゃ月人は死なない。

 

すると、そこに

空からやって来た二人。

白が特徴の怪物。そしてもう一人の一本の枝を持ったピエロのような格好をした少女。

 

一方通行「…………おい、藍……。少し丁寧に扱ってやれよ」

 

クラウンピース「きゃははははははっ!!!これは愉快なオブジェだな!!」

 

藍「一方通行さん、それに_____」

 

もう一人の少女へ視線を向ける。

見る限り正気には戻っている。

しかし暴走者でも、そうでなくても地獄の妖精は注意すべき存在だ。

藍は二人の前に降りた。

 

藍「さすがですね。こうも簡単に地獄の妖精を打ち負かし従わせるなんて」

 

一方通行「こいつが人の言うこと聞くと思うか?どちらも利害が一致したから協力関係にあるだけだ」

 

クラウンピース「そういうことだ。決してあたいを下に見るなよ式風情が」

 

藍「あ……?」

 

ピクリ、と耳が反応した。

眉間にはしわが寄り、その顔は藍の怒りを表していた。

だが…………。

 

一方通行「チッ、ケンカすンなバカども。藍、橙はどこに居る?」

 

藍「…………、橙はあちらの方角に」

 

一方通行が言うのだから今回だけは見逃した。

だが次は容赦しない、協力関係であろうがなかろうが絶対にボコボコのボコにしてやる。

 

藍は次の都に来てから橙が向かって行った方法へ指を差す。

すると、、、

 

一方通行「解った。今から俺は橙と、そして藍は______」

 

首を隣に向ける。

そして地獄の妖精の肩に手を乗せた。

 

一方通行「__こいつと共に行動しろ。もう暴走者は少ない数になった。だが、だからと言って油断はするな。最初にも言ったはずだ『死ぬな』ってな。それを破ることは許さねェ」

 

藍「承知しました。おい、一方通行さん(めい)だ。共に都の制圧を開始するぞ」

 

クラウンピース「『おい』とか『こいつ』とかであたいを呼ぶな。あたいはクラウンピース、ちゃんとした名前があるんだぞ」

 

一方通行「藍、クラピー。そっちは任せたぜ」

 

クラウンピース「クッ、クラピー!?おい待てヒョロもやし!!あたいのこと完っ全にナメてるだろ!?」

 

そうは言ったものの彼は止まることは無かった。

背を向け銃声や爆音が響く場所へ四つの竜巻を背中から伸ばして飛んで行ってしまった。

 

藍「クラピー、行くぞー」

 

クラウンピース「チッ……、どいつもこいつもあたいをバカにしやがって。身長が小さいのは認めるが、だからと言って中身まで幼い訳じゃないんだぞコノヤロー」

 

いじけたように足元の小石を蹴ってブツブツ呟く。

どうやって言えば自分を見る目を変えられるか、とか考えてみたが今は無駄だと一瞬で悟る。

しかし、諦めた訳ではない。

この異変が解決したら後でゆっくりじっくり話をしてやるつもりだ。

 

藍「そう言えば気になったのだが、なぜお前はこの月に居たのだ?」

 

クラウンピース「ん?ああ、一人で遊びに来てたんだよ」

 

藍「幻想郷が一度アレイスターにより、崩壊した時には居なかった。つまりその前から月に居たのか」

 

クラウンピース「うん。その時地上に居なくてラッキーだった……、って言いたかったがその後月でお前らと同じ目に遭ったんだ。不幸が遅れてやってきたってな、全くそのアレイスターってやつ人に悲劇不幸を贈るの大好きなんだな」

 

藍「幻想郷を一度壊した後、そこに新しく世界を創造するのが目的らしい」

 

クラウンピース「そうらしいね、そこまでのことを仕出かそうとは……そいつかなりの狂人だ」

 

藍「だが、あれから月日は経っている。なんで幻想郷に帰って来なかったんだ?相当幻想郷を気に入っていただろ?」

 

クラウンピース「……そ、それはねー…………」

 

藍「………………まさか、月に行けたのは良いけど帰れなくなったなんて間抜けなこと言わないよな?」

 

クラウンピース「っ!?ま、まっさかー!そんな事ないじゃん。あたいは地獄の妖精だよ?超強いんだよ?頭凄く良いんだよ?そんな間抜けする訳ないじゃん」

 

藍「そうだよな、あははははっ!」

 

っと言って笑っておるが心の中では『こいつ嘘吐くの下手だなー』っと思っていた。

 

クラウンピース「おい、勘違いするなよ?敢えて幻想郷に戻らなかっただけだからな」

 

藍「はいはい、分かった分かった」

 

まるで子供でもあやすかのように宥められたことに舌打ちをするクラウンピース。

だが、これ以上お喋りをしてる訳にもいかなかった。

 

ボンッ!!っと地獄の妖精が持つ木の枝に火が灯り、ニヤッと笑う。

 

クラウンピース「ヨシ、あたいに付いて来い!!イーッツ!!ルナティックターイム!!」

 

藍「さあ、最後の仕上げだ……ッ!!!」

 

二人は地面を思いっきり蹴って飛躍する。

そして、残りの暴走者が居る場所へ飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わって、月の都のとある地区。

そこでは銃声が酷く鳴り響いていた。

 

ババババババババババババババババババっ!!!!!!

っとアサルトライフルを構え連射する月の民達。

その者共は暴走者だった。

 

そして暴走者達の目的、それは猫耳が頭にあり二本の尻尾を生やす少女だった。

妖獣の彼女は背丈は低い。

だが、その幼い容姿に騙されてはいけない。

 

『橙』。式神・藍の式神。

そう、普通の少女ではないのだ。

橙は自分に向かって乱射される弾丸の雨を地面を駆けて、宙を跳び、建物の屋根から屋根へ跳び移り軽々と避けていた。

 

だが、だが。

銃を構える暴走者達の死角となる場所に着地したその時だった。

さっきまで相手にしていた暴走者とはまた別の女子高校生の制服のような軍服を着た三名の新たな暴走者が橙へ銃攻撃を仕掛ける。

橙のことをそこで待ち構えていたのだ。

 

ダダダダダダダダダダダダダダッ!!!!

なんの躊躇いもなく銃を撃つ。

しかし、橙はしゃがんだ状態だった。

着地したその刹那だったのだ。

反応できない、一瞬でその体に無数の風穴が空く。

っと思われたがなんと橙はニヤリと笑ったのだった。

そしてそして。

後方へ連続でバク転することで銃弾の躱わす。

 

が、、、

 

その先には屋根上にロケットランチャー構えるに一人の暴走者が居たのだ。

そして、火花を散らし白煙を撒いてロケットが橙目掛けて発射された。

だが橙は自身の体に直撃する前にそのロケットを掴み取り、さっきまで相手していた暴走者と軍服を着た暴走者、そいつらが丁度合流して集まり自分の所へ向かって来ていたのでそいつらに掴んだロケットを流すようにぶん投げた。

 

ボーンッ!!!っと空中で爆発する。

見事橙が投げたロケットが暴走者達に命中したのだ。

 

その衝撃でバラバラに吹っ飛んでいく月人。

体から黒い玉が出ていくのが見えたので、

ナイフのように鋭く伸びた爪を立て閃光の如く宙を翔けて移動して月人から出た黒い玉を粉々に切り裂き破壊する。

そして、、、

 

橙「貴方でラストーッ!!」

 

薄い赤と青色の弾幕をあのロケットランチャーを撃った暴走者に放つ。

 

橙「わたしって出来る子だなー、なんちゃって☆」

 

自分の弾幕が当たった屋根上の暴走者は倒れていた。

そこに橙は降りた。

バリーンッ!!っと月人から出た黒い玉を握り砕く。

これで、、、ひとまずこの地区の暴走者を片付けた。

後は最後の地区。

そこの暴走者を片付ければ橙が任された場所の暴走者は全て倒したことになる。

 

橙「一応安全な場所に寝かせておいてあげよー」

 

倒した月人を流石にそこら辺で適当に寝かせておくわけにもいかないので、そこまで破損が酷くない屋根のある建物の中に運ぼうと動いた時だった…………。

橙はなにか違和感を覚えてた。

 

橙「……、いち、にぃ、さん、よん______」

 

数えていたのはさっき倒した元暴走者だった月人だ。

 

橙「___五、六、七、八……あれっ?はち?」

 

先程闘っていたのは途中加わったやつらも含めると合計"九名"。

なのに、さっき破壊した黒い玉の数は八。

ちゃんと覚えている。数え間違える筈がない…………、

 

_____まさか。

そう口が動いた時に、だった。

 

橙「___ッ!?」

 

紅の目を光らせ、屋根から屋根へ移動し空中に眼光で一線一線描くボロボロの"暴走者"。なんとこいつはさっきのロケットを受けても倒されていなかったのだ。

そして、その暴走者は橙の懐に入り腰にあった刃渡り七センチのサバイバルナイフを抜く、、、

 

橙(___不味いこのままだと……っ!!)

 

その時、なにもかもが遅く見えた。

だが確かなのは自分に向かって突き刺すように抜かれたサバイバルナイフを回避する手段が無いということだった。

一瞬の油断。気を緩めたその刹那。

反応出来なかったのだ。

 

そしてそして、、、、

大量の血が空中に撒かれた。

 

だがその血は橙の血ではなかった。

 

「悪りィな、こいつは無事地上に返すって決めてンだ。俺の手が届く位置に居るならどンな事があろォがこいつに傷を付けることは許さねェぞクソったれ」

 

橙「一方通行様ッ!?」

 

二人の間に立つ白い影。

一方通行はなんとナイフが橙を突き刺す前に己の手で受け止めたのだ。

そして暴走者の腹部目掛けて蹴りを放つ。

足裏が見事暴走者に突き刺さり後方へ吹っ飛ぶ事なく前に力無く倒れる。

そして、それから黒い玉が出て来てそれを一方通行は蹴って破壊する。

 

一方通行「ここまで一人で良く頑張った、橙。核の心配はもう要らねェ、俺が排除した。後は残りの暴走者を倒すだけだ。それでこの異変は解決する。藍はクラウンピースと共に行動して暴走者を倒している。オマエは俺と共に行動して残りの暴走者を倒すぞ」

 

橙「……ひっ、ん……ぐすっ…………んっ……」

 

一方通行「……あン?どこか痛ェところでもあンのか?」

 

何故か涙を流す橙に一方通行は首をかしげる。

すると、、、

 

膝から崩れ落ち……橙は、

 

橙「すみません……、私の、私のせいで……っ!!」

 

一方通行「そンな事かよ……、なァに心配いらねェよ時が経てば勝手に治る」

 

そうは言ってるがナイフが刺さった手から大量の血が流れ出ていた。

もう、『反射』は時々しか機能しないほど能力は低下している。

そのぐらい一方通行は疲弊していたのだ。

だが、刺さったナイフを口で咥えて抜くと、、、

 

一方通行「立て、橙。さっきも言ったが俺と共に残りの暴走者を片付けに行くぞ」

 

橙「そんな!?ダメですっもう一方通行様は戦える体に見えません!!横になって楽になられた方が良いです!!」

 

右腕には血で赤く滲んだ包帯、所々見える傷。

もうボロボロだったのだ。

しかし、、、

 

一方通行「大丈夫だ、まだこの通り動ける。それにこの月に来てから最初から俺は倒れるまで戦い続けるつもりだった」

 

橙「そんなっ…………、でしたら____」

 

橙は立ち、予備のため持っていた包帯と傷薬を服の中から取り出し、薬を塗った後包帯を一方通行の左手に巻いた。

 

橙「___応急措置はしました。ですが、完璧に治せた訳ではありません。激しく動けば傷は広がってしまい更に酷くなる可能性があります」

 

涙が止まらない。

嗚咽は続いていた。

 

可能なら、出来るのなら本当は止めたい。

橙は知っている、彼は決めたらそれを達成するまで決して止まらない。

だからここで何を言っても、例え両手を広げて立ち塞がったとしても一方通行は暴れる暴走者の所へ傷を負った体を引き摺ってでも行くだろう。

 

橙「………………………、」

 

包帯を巻かれた手をその小さな手で包んでいた。

俯き、暗い表情の少女の頭にある耳に一方通行は息を吹き掛ける。

 

すると、、、

 

橙「うひゃあーっ!!一方通行様っ一体何を!?」////

 

驚いて手を離し声を上げる橙。

 

一方通行「あン?まるでイタズラして下さいみたいに耳を差し出されたらそれに応えるしかねェだろ?」

 

橙「そんなこと思ってませんよ!!私は一方通行様の体を心配していただけです!!」

 

一方通行「へっ、だが元気は出たな?」

 

橙「………………意地悪」

 

いつの間にか橙の涙は止まっていた。

 

一方通行「…………悪かったな」

 

橙「いえ、別にそこまで怒ってませんよ?」

 

一方通行「違う、月の都に残りの暴走者を集めた事だ。俺だって分かっている、そンな大人数相手にするような面倒事を増やす方法じゃなく一匹一匹確実に探して倒した方が安全だってな。だがもォ月で暴走者を捜索する体力は残ってねェ。だからは俺は残りの暴走者をここに集めて無理やり最後の決戦場所にした」

 

橙「そのことでしたら私はとても良い判断だと思っています。我々にはもう長期戦をする体力は残ってません、だったら短期決戦を仕掛けるしかもう手はありませんからね」

 

そして、それに……と続け、

 

橙「___ここに暴走者を集めた事により他の場所に居る正気に戻った月人は危険が無くなりました。別に悪いことばかり起きた訳ではありません。一方通行様は正しい判断をしたんです。____なのに私のせいで一方通行様の左手を負傷させてしまいました。だから私が全力で一方通行様の左手分援護します!!絶対足を引っ張ったりしません!!」

 

一方通行「……………………そォか。ならその言葉を信じて頼りにさせてもらうぜ橙」

 

能力で止血したが、動かせば傷が開き血が流れ出てしまう。

もう今日は血を流しすぎたためもう血を流すと失血死してしまう。

その為、両腕は使えない。

ズボンのポケットに両手を突っ込み封印する。

 

そこら辺で倒れている気を失っている月人はサグメ達が居る場所へ送った。

 

そして、

猫耳少女と共に暴走者がまだ暴れている次の場所に向かって白い怪物は飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

そして……、そして……、

それから数十分の時が経ち________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここに報告する。

月、制圧完了。

 

無事、誰一人も死なず任務完了。

 

以上。




次回予告

月の騒動も収まった
後は、思惑通りに事を進めるだけだ

次回、第四章・第十話『交渉』

笑いあり!?涙あり!?
ハプニングはあるッ!!
さあさあ、月では何が起こるのかな……?

惨劇は終わり極悪非道な悪意を跳ね除けたことに月人は喜び月の都は歓喜の渦に包まれていた

しかし、一方通行達は知る。
それは束の間の喜びだったと言うことに……、

そして再度認識することになった。
自分達はどんなやつと闘っているのかを…………


覚えておくと良い、
幸せって近いようで果てしなく遠い所にあるんだよ……
だが、絶望はすぐ『そこにある』


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