幻想郷を一方通行に   作:ポスター

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【絶対禁忌】(後編)

※誤字脱字などのミスが多々あると思います。
それをご了承のうえ読んでいただけると幸いです。
しかし、そういったミスが多いのをご不快に思う方にはブラウザバックをオススメします。



12話

 

博麗神社。その一室にて、、、

 

一方通行「魔理沙。探しに行かなくても霊夢を救ける方法はこの俺の頭の中にある」

 

魔理沙「でもその方法でやったとしても結局、霊夢を殺すことに変わりはないんだろ?」

 

白と黒の魔女・霧雨魔理沙は明らかに不機嫌だった。

部屋から勢いよく飛び出し、箒に跨り空を猛スピードで翔けていたら首根っこ掴まれスキマ妖怪と呼ばれている八雲紫に彼女の能力で開かれた空間の裂け目の中へと引っ張られ博麗神社へと強引に戻されたのだ。

 

魔理沙は不機嫌でもあり、落ち着きもなかった。

こうやって話をしていても時間は当然だが進んでいく。時間との勝負に焦りは増すばかりだ。

 

このままだと霊夢が理性もない破壊と殺戮を繰り広げる『暴走者』へと変化してしまう。

そうなってしまったら何もかもがおしまいだ。

『暴走者』と変貌してしまったら倒すしか解決策は残っていない……。

魔理沙はどうしてもそれだけは絶対に避けたいと考えている。

もしも、だ。

 

もしもそうなってしまったら“霊夢の死が確定”してしまうからだ。

 

一方通行「あァ、これから霊夢の体から贈り物(イヴ)を取り除く。そンなことをすれば贈り物(イヴ)の影響でこれまで生きてこれた霊夢は確実に死ぬだろォな。だがその後、“霊夢を生き返らせる”」

 

魔理沙「………………………………はい???」

 

困惑するのも無理はない。

考えても為す術がないから頭がおかしくなってしまったのかとも思った。

しかし。一方通行は真剣な眼差しをしながら話を続けるのだ。

 

真っ暗な闇の中にある光を掴み取れる“希望”を。

 

邪悪でクソったれな敵を一泡吹かせる“方法”を。

 

一方通行「俺が幻想郷に来てからそこまで時間が経ってない頃の話だ。俺はこの幻想郷にしか存在しない知識や技術を得ようと闇雲に紅魔館の図書館で本を読みまくっていたら、死者の蘇生について書かれていた本を見つけた。その本は手に持って読むなンかできねェくらい分厚かったが、俺はその本を半信半疑ではあったが読ンだことがある。これからその本に書かれていたことを実践する。今その本は手元にはないが一度読ンだ本の内容は一字一句全てこの頭に記憶している」

 

紫「一方通行、その本には本当に死んだ者を蘇生できる方法が書いてあったの?」

 

一方通行「いいや、600ページも無駄に長ったらしく書かれていたがその本は“未完成”で終わっていた」

 

そして。

紫の問いに答えてから一方通行は読んだという死者蘇生の本の内容を話した。

 

死者蘇生の本の著者は一人の男性。その男はなんの特徴もない一般人。

なにか他者より秀でた特技もなければ特殊な能力もなく、魔法も使えない絵に書いたような凡人の中の凡人。

物語の主人公になんか到底なれないような人間だ。

 

だが。その者にはある大きな夢があった。

それは『死んでしまった妻にもう一度会いたい』というもの。

最初の30ページは本を書いた著者の最愛の妻との思い出やどれだけ妻を愛していたか書かれていた。

しかしそれから著者がどうすれば死んだ者を生き返らすことが出来るのかと研究結果や考察が綴られる。

 

そして。何十年も未踏の答えを探し彷徨い続けた結果辿り着いた……。

死んだ者の肉体を魔法などで復元して生命を宿らせても肉体に“魂”が無ければ意味がない。

器だけ用意したとしても無駄ということだ。

 

人や生き物の魂は死んだ瞬間に冥府へ(いざな)われ現世にはもう存在していない。

そもそもどうすれば現世に魂を降ろせるかとか、肉体にどうやって魂を入れ定着させるのかとか、その方法は不明。

凡人の頭では全く検討もつかなかったのだ。

 

著者の男性の妻は何十年も前に亡くなっている。

もう男の妻の魂は冥府へ行き、そしてもしかしたら全く違う人として生まれ変わったのかもしれない。

これは輪廻転生というものが実際にあるのなら、の話だが。

とにかく、だ。

一応は死者蘇生の仕組みを分かった。

しかし、仕組みは分かっても実行できる力が妻を亡くし生き返らせたいと願望を抱いている男には悲しいことになかった。

 

 

この本を書いた男は夢半ば死んでしまった。

 

 

本の最後のページに書かれた言葉はただ一つ、、、

 

 

 

『無念』。

 

 

 

魔理沙「成功例はない。未完成。なのにお前は霊夢を生き返らせることが可能ってか?」

 

一方通行「できる。俺の持てる全ての力を使えば可能だ。あの本の著者は凡人なりに真実に近付いていた。でも死ンだ妻を生き返らせることができなかったのはそいつに力がなかっただけだったンだ。だが俺は違う。俺には力がある。俺だけにしかない圧倒的な力がな」

 

紫「そうね、一方通行。貴方には他の者と比べて飛び抜けた(さい)と力があるわ。けど……それで、死んだ者を生き返らせるのにはどのぐらいのリスクがあるの?」

 

一方通行「………………………」

 

八雲紫が放ったたった一言。

それで一方通行の口は閉じた。

 

大妖怪は続けて、

 

紫「一方通行。貴方がその本の内容を信じるなら私も信じましょう。だけどこれだけは言わせてほしい。大それたことを実現させようとすればそれだけのリスクを背負うことになる。この世は優しさだけで成形されてない。避けようとしても避けられないとても厳しい残酷な現実というものが必ず我々の前に立ちはだかるわ。魔法を使えばそれだけの魔力を消費する。なにかを手にする為にはなにかしらそれに見合うものを支払う。等価交換ってやつね。一方通行、質問するわ。絶対に答えて頂戴(ちょうだい)。死者を蘇生するにもなにかしらの代価が求められるでしょう。それは一体なんなのかしら?霊夢の蘇生が完了したとして“貴方は無事でいられるの”?」

 

一方通行「失敗したら……俺も霊夢と一緒にお陀仏だ。成功したとしても俺がまともに言葉を交わせる状態でいるか怪しいとだけ言っておく」

 

霊夢「ッ!!!」

 

小さく吐き捨てた。だがしかし、ハッキリとこの場に居る皆の耳に一方通行の声は届いた。

 

八雲紫だけ『やっぱりね……』とだけ呟き瞳を閉じる。

が、しかしスキマ妖怪以外は驚いた様子だった。

でも霊夢は更にもう一つの感情があった。

驚愕もしていたが、それ以上に彼女が抱いた感情は“怒り”。

 

霊夢「なんで私なんかの為にアンタはそこまで命を張るのよ!?」

 

一方通行「…………オマエに、生きていてほしいからだ。俺が死ぬリスクを背負ってでも」

 

こんなこと言うのは似合わないと自覚している。

だけど、もう止められない。

口に出した言葉は戻らない。

 

一方通行「霊夢だけじゃねェ。当然オマエらもぞ?魔理沙、紫、藍、橙。それにここには居ねェ、俺のスマホの中に連絡先を登録しているやつら皆………生きていてほしいンだ。オマエらが居ねェ日々なンて考えられねェンだ、考えたくねェンだ!死ぬとしても、誰かに殺されるとかじゃなく寿命で死ね。静かに……安らかに……そして、事切れる瞬間イイ人生だったとなンの後悔もなく死ンでいってほしい」

 

月でアレイスターから送られたボイスレコーダーを聴いた時から覚悟を決めていた。

 

学園都市に居た頃から比べれば驚くほど一方通行は変わっただろう。

だが変わらなかったところもあった。

本当に思っていることを素直に言葉に出せなかったのだ。

幻想郷に来てから本当に本当に騒がしい毎日だった。

人の事情もお構いなしにズカズカと踏み込んでくるやつらだらけ。

幻想郷の女どもには振り回されて振り回されて振り回されまくった。

 

しかし“それが楽しかった”と一方通行が言ったら彼女達はどんな反応をするのだろうか?

 

そうだ。気付いた。知ったのだ。

白い怪物は幻想郷(ここ)に自分が求め続けていたものがあると。

 

学園都市最強の超能力者は“あの日”に本当に消えた。

 

“幻想郷最強の超能力者”は胸の内を曝け出す。

 

一方通行「俺はどォしようもねェほど悪一色に塗りたくられたバケモノで……クソったれな悪党だ。人を殺してもなにも罪悪感なンてなかった。これまで恨まれて当然のことをしてきた。いつ誰に殺されてもおかしくねェ。学園都市では闇に埋もれて闇の一部に溶け込ンでいき生きている意味も自分の存在も見失うだけだった。光も届かねェ底なしの闇……そこにしか俺の居場所はなかったンだ………」

 

舌打ちをしてから一方通行は頭を乱暴に掻きむしっていた。

 

一方通行「……クソったれ、クソったれがよォ。どうしてこンなにも多く失いたくねェモンができちまったンだよ俺はよォ。考えなくても嫌ってぐらい知ってンだよ、俺のようなクソ野郎が幸せってモンを求めちゃならねェってぐらい。………ったく、オマエらのせいだからな俺がこうなっちまったのは。オマエらが俺をこンな風に変えたンだ。今まで柄にもねェことをアホみてェにやりまくった。チッ、超能力者(レベル5)第一位のこの俺様が誰かと居て安心するなンて……、誰かと居て楽しいって思ってるなンて笑える話だぜ。俺ァたった一人で約一万の命を奪った張本人だぜ?バケモノだ。怪物だ。なのに有ろう事か大切なものを持ち、自分以外どうなろうがどォでも良かったのに自分以外の命を守ろうとしている」

 

顔が段々熱くなっていく。

普段は涼しい顔をしている彼が珍しく頬の部分に薄っすらとだが赤色が見えた。

感情が高まってきたというのもあるが『恥ずかしさ』というのもあったのだろう。

 

一方通行「____俺は、俺は……ッ。俺はずっとオマエらが幻想郷で楽しく生きていく姿を見ていたい!別にその輪の中に入りたいなンて考えてねェ。輪の外からで良いから眺めていたいンだ。もしも俺のずっと眺めていたい光景をぶち壊そうとするクソ野郎が居るのなら俺はそいつを本気でぶちのめす!!厳しく残酷な現実?不可能?上等じゃねェか。かかってこいよクソったれェ!!なにもかも薙ぎ払ってオマエらを連れて行ってやるよォ!夢のような甘ったるい世界に!!笑顔と平和が溢れた日の光に照らさている世界にだァ!!そこがオマエらの“本当の幻想郷”だ!!これは俺が決めた!決定した!今ここでだァ!!ガキ臭ェバカな話をしているのは自覚している。だがなァ俺ァ本気だぜ!?だから命を張ンだよ!!だから体を張るンだよ!!だから、だから柄にもねェことだと、面倒なことだと心の中では吐きながらも今まで柄にもないことをしてきたンじゃねェかバカ野郎ォッ!!」

 

そして。

一方通行は博麗の巫女に指を差した。

 

一方通行「霊夢!!オマエは俺をあのクソったれな場所から救ってくれた!!感謝してンだよ。形はどうあれ、幻想郷に召喚した理由はどうあれ、真っ黒な悪に堕ち腐っていくだけだった俺を日の光がある世界に連れ出してくれたことを。オマエは絶対死なせねェ。次は俺の番だ!必ずオマエを闇の中から救ってやる……ッ!!この俺の命を賭けてェッ!!」

 

霊夢「大人しく黙って聞いていたら大声で恥ずかしいことを長ったらしくペラペラペラペラとォッ!!アンタそんなキャラだったっけ!?急に変わらないでくれる!?ビックリするわ!!」

 

一方通行「あァ!?なンで命を張るのかオマエが聞いたからだろォがクソ霊夢ゥ!!」

 

霊夢「だからって口に出して胸の内を赤裸々に曝け出さないでよ!?聞いてるこっちが恥ずかしいじゃない!!皆の顔を見てみなさいよ!!アンタのせいで全員顔真っ赤よ!?」

 

一方通行「………………………」

 

霊夢「まっ、アンタが一番顔真っ赤だけどねぇ!!!!」

 

紫「落ち着きなさい霊夢。んーと、あのー、そーね。時には仲間(うち)でもぶつかることも必要だと私は思うわ。そうしなければ伝わないことだってあるからね。だからさっきのは決して無駄な時間じゃなかったと考えるべきよ。それに一方通行がこうやって胸の内を明かすとは思ってなかったからそれだけ一方通行には覚悟があるということでしょう。みんな、一方通行に賭けてみない?いいや、私はそれしか道はないと思うわ」

 

霊夢「紫……でもあまりにもリスクがありすぎる。私は自分のせいで誰かを死なせたくない。だったら私はひとりで死にたい」

 

一方通行「誰が死ぬって?失敗はしねェよ、必ず成功させてみせる。心配すンな俺は端から死ぬつもりはねェしオマエをあのクソったれの思惑通りに死なせてたまるかよ」

 

紫「霊夢。お願いよ、一方通行を信じて」 

 

霊夢「……………………………………一方通行」

 

一方通行「なンだ?」

 

静かに俯いた霊夢。

だが急に鼻水をすする音が聞こえてきた。

 

霊夢は嗚咽してしまうほど泣いていたのだ。

畳の床にはぽとぽとと巫女の少女が流した涙が落ちていく。

 

そして。次に霊夢が顔を上げたとき、くしゃくしゃな泣き顔がそこにはあった。

 

一方通行は本音を語ってくれた。

ならば私も、と霊夢は本音を口にする。

 

霊夢「わたし……、死にたくない。もっとみんなと一緒に居たい……ッ!!」

 

一方通行「その言葉を俺は聞きたかった。任せろ、オマエは絶対死なせない。こンなところで終わらせねェよ。今日もまたこの異変を解決したら宴会でも開いて皆で酒でも飲もうぜ。俺も付き合って酒を乗ンでやるよ、まァ、オマエ達が飲ンでるやつと比べるとアルコール度数が低いやつだが、それでも構わねェか?」

 

霊夢「ダメ、私達が飲んでるのと同じやつ………」

 

一方通行「調子に乗るなよクソ巫女」

 

霊夢「ふふっ」

 

一方通行「フン………」

 

 

紫「はいはい決まりーッ!じゃあ一方通行の出した案でいいわね魔理沙?」

 

魔理沙「あぁ……、もう私はこの件にはなにも口出ししないぜ。私も一方通行の言った方法でしか霊夢を救える方法はないと思ったからな。ここは大人しく一方通行にすべて任せて無事に成功することを心から祈ることしか、これから私にできることはないぜ。でもどうやってやるのか確認くらいはさせてほしいぜ」

 

紫「それもそうね。私も最初から聞くつもりだったし、一方通行、説明頼める?」

 

一方通行「まずは霊夢を俺の能力、ベクトル操作で傷一つ付けずに殺す。その後、次は俺が仮死状態になる。これで、死者の世界と生者の世界の間の空間に俺が魂だけの状態に行く。まァ、平たく言うと幽体離脱ってやつだ」

 

霊夢「驚いた。アンタそんなこともできんの?もうなんでもありね、逆になにができないか気になるわ」

 

一方通行「できるにはできンだがこれは俺の能力だけじゃあ不可能だ。だから科学(オレ)とは反対の魔法(オカルト)の力を使用する」

 

紫「オカルトの力とは魔法のことね。一方通行、貴方のような私達とは違う特別な系統で生まれた超能力者が魔法を使えばどうなるか、もうその身で体験して分かっているわよね?」

 

一方通行「当然だ。だがこれしかねェ。俺は霊夢の蘇生だけに集中したい。だからオマエらは博麗神社周辺で学園都市側からなにか邪魔が入らないかどうか警戒を頼まれてくれ」

 

魔理沙「すまないが私は無理だぜ。理由は見ての通りだ」

 

一方通行「……藍、橙。オマエらどちらか俺の渡した薬持ってねェか?あったら魔理沙に渡してくれ。そいつならあの薬を飲ましても問題ねェだろからなァ」

 

橙「はいはーい!わたし一粒だけだっら残ってまーす!!」

 

藍「私は全て月の民に飲ませたので残ってありません。橙、魔理沙にあの薬を渡してやってくれ」

 

すると。

橙は魔理沙に一方通行から与えられていた薬を手渡しで渡そうとするも

 

魔理沙「腕動かすと痛いから飲ませてくれ」

 

橙「え〜、面倒くさ〜い。さっきはあんなに勢い良く部屋から飛び出せたんだから薬ぐらい自分一人の力で飲めるんじゃないんですか〜?」

 

魔理沙「あれはすっごく我慢して体を動かしてたの!!」

 

橙「はいはいそうですか〜」

 

そして。

橙はビー玉サイズの球体の薬剤を魔理沙に飲ませた。

 

魔理沙「………………ん?ん??ん???うっっっそだろ!?あんだけ重症だったのに一瞬で傷が治っちまったぜ!?しかも傷跡すら消えてやがるときたもんだ!!」

 

正直な感想、橙が薬を袋から取り出した瞬間不安を感じていた。

見た目からして如何にも怪しい薬だったからだ。

しかし、薬を飲んだ瞬間である。体に異変が生じたのだ。

悪い意味にではなく良い意味で、であった。

あれだけ悩まされていた痛みが最初から無かったみたいに消えたのだ。

そして、腕や足に巻かれていた包帯を取るとなに一つ傷もない自分の肌が見えた。

 

魔理沙「すげーッ!すげーよ!!なんなんだあの薬は!?なぁ一方通行!」

 

一方通行「自然治癒力を瞬時に上げる薬だ。だが、難点がいくつかある。それはそいつの肉体の治癒力瞬時に上げる代償として一週間分の体力を消費することと貧弱なやつには使えないということだ。あの薬を飲ンでからは平気だと思うが後々疲れが出てくるぞ。そうなっちまったらしばらく寝たきりになるだろォからそれは覚悟しておけよ。あと、あの薬を飲ンでも平気ってことは魔理沙、オマエは人間だが普通の人間と区別するのは間違いだな。オマエは人間ひとりでじゃ扱えない魔力量を体に秘め、そしてその膨大な魔力をいとも容易く平気に操る。もうそれはただの人間という生物としての次元を逸脱しちまってる」

 

魔理沙「私は人間を辞めちまった、ってか?まぁ、それは確かに正解と言えば正解……かな。私もお前らバケモノの仲間入りしちまってるからなぁ……」

 

一方通行「はァ?」 

 

紫「気になるだろうけどその話は後でにしておきなさい。魔理沙が薬のおかけで重症だった傷が癒えた、これによりここを守る者が増えたわ。さて、一方通行。続きを聞かせてちょうだい」

 

一方通行「……あァ。生者の世界と死者の世界の間の空間に行くことに成功したら後は俺が現世にある霊夢の体に霊夢の魂を戻す。これで蘇生は完了する」

 

紫「魂が抜けた間、霊夢の肉体はどうするの?」

 

一方通行「俺の能力、ベクトル操作で血流の流れは維持しとく。これで体の心配はねェだろう。死後硬直が起こる前には蘇生を成功させるつもりだが、それでも一度死ぬってことには変わりねェンだ。血流の流れを維持させていたとしても、しばらく体を動かすのは無理だな。でも筋肉のマッサージとかすれば早く動けるよう回復するからそこについて問題はない」

 

紫「……………了解。大体は分かったもう十分よ。藍、橙。私と外に出て一緒に周囲の警戒に行くわよ」

 

藍・橙「「はいっ!!」」

 

そして。

八雲紫は八雲藍と橙を連れて博麗神社周辺で警備へと向かう為、部屋から退室する。

 

魔理沙「さて……じゃあ私も紫達に続いて外に出て周囲の警戒に行くとするか。一方通行。霊夢を、私の“親友”を頼んぜ」

 

一方通行「任された」

 

魔理沙「いい顔だな、そして強い決意を宿した眼をしてるぜ。ハハっ、ホントお前は頼りになるやつだよ一方通行。外は任せてくれ、私達が学園都市から横槍が入らないよう全力で警戒しておくからさ」

 

白と黒の魔女・霧雨魔理沙も外へ行ってしまった。

博麗神社の中に残っているのは博麗霊夢と一方通行だ。

 

一方通行「時間がねェからさっさと始めンぞ。霊夢、その場で仰向けになって横たわれ」

 

霊夢「え?なに?私に変なことするつもり?」

 

一方通行「……………………………………」

 

霊夢「ごめんごめん。そんなに睨まないでよ本気で怒ってるみたいじゃない。冗談だって、そのぐらい気付いてよ」

 

一方通行「オマエ……、今、自分がどンな状況に陥ってるか理解してンのかよ?」

 

霊夢「だから……よ。鈍感」

 

一方通行「あァ?」

 

死なずに済むという希望と失敗したら自分のせいで“好きな人”を道連れにしてしまうという不安。

その2つが博麗の巫女の中で衝突している。

 

暗い顔をしながらも霊夢は無理して笑うと、、、

 

霊夢「どうせならアンタの記憶の中に残る私を、笑っている私にしたいの………」

 

一方通行「ナーバスになるなって言っても無理な話か。俺にはオマエが今どンな精神状態なのか計り知れねェ。元気づける言葉すら見つからねェよ_____」

 

突然人は死を宣告されたらどんな気持ちになるのだろうか。

一方通行は数え切れないほど殺意、敵意、憎悪を向けられてきた。

しかしどんなに多い人数で襲われても怪我一つしないで、雑魚どもを蹴散らしてきた。

刃物を向けられても、拳銃を突きつけられても恐怖などしなかった。

重い病気もしてこなかった。

 

分からない。全く分からないのだ。

霊夢がなにを考えなにを思っているのか。

 

だから一方通行は、、、

 

一方通行「____だが、これだけ言わせてくれ。俺を信じろ。いや、俺を信じてくれ、頼む!」

 

霊夢「………バカね、そんなに真剣な顔で言われなくても信じてるわよ。アンタを、ずっと前から。そう、魔理沙を正気に戻してくれたあの時からずっと」

 

そして。

 

霊夢「___アンタに託すわ、私の運命を」

 

一方通行「始めるぞ。あのクソ野郎の計画を全てぶっ壊す」

 

霊夢は仰向けに寝る。

そして、その近くで座る一方通行は深く呼吸した。

 

霊夢「…………前にも見たけど、なんて綺麗な姿」

 

一方通行「チッ、どこがだ。はァ……目は閉じてろ」

 

霊夢「はーい」

 

壁や床に魔法陣が展開される。その数、二桁になるまであった。

一方通行の頭には天使の輪のようなものがあり、背中には白い翼があった。

その姿が恥ずかしかったのか白い彼は顔を合わしてくれなかった。

そして。

霊夢は一方通行の言う通り目を閉じる。

 

一方通行「…………………黒い玉、贈り物(イヴ)は心臓付近にある。それを取り出すに為にはその近くに触れなきゃならねェ。だから、その、なァ。オマエの胸を触ることになるが………我慢してくれ」

 

霊夢「別に気にしなきわ。さっさとやってちょうだい」

 

一方通行「………嫌だとか、思わねェのか?」

 

霊夢「あっ、勘違いしないでよ?どこ誰にだって触られていいって訳じゃないから。信頼してるアンタだからいいって話よ?それにそれは必要なことだって分かってるし、アンタは私の胸を(よこしま)な気持ちで触ろうとしてるわけじゃないってことも分かってるから」

 

一方通行「すまねェ」

 

霊夢「なに謝ってんのよバカ。この話にアンタが謝る理由はどこにもないわ」

 

小さく笑みを浮かべると霊夢は、、、

 

霊夢「____ねぇ、一つ聞きたいんだけど女性の胸を触るのは初めて?」

 

一方通行「当たり前だろォが」

 

霊夢「そう」

 

一方通行「?」

 

どこか博麗の巫女は嬉しそうな顔をしていたが、多分これは気のせいだろう。

 

そして、だ。

一方通行は霊夢の胸の辺りに手を置いた。

その後、ベクトル操作により彼女の体から黒い玉が重力を無視して浮いて出てきた。

それを一方通行は握り潰す形で破壊する。

 

実は一方通行は霊夢に触れた時、驚愕していた。

なんと霊夢の体内に心臓が無かったのだ。

心臓が無くてどうやって生きてこれたか?それはあの黒い玉のお陰なのだろう。

 

心臓がなくては全身に血液が流れるのは不可能。

しかし、一方通行にはベクトル操作がある。

彼は心臓がなくても血管を通して血液が流れるよう血流操作していた。

 

想像していた以上にこれは労力を要することになるだろう。

 

だがしかし。そんなことは関係ない。

 

一方通行はたった1人少女の未来のため全力を尽くすのだ。

 

 

一方通行「…………………“発動”」

 

展開されていた全ての魔法陣を発動させた。

 

 

さぁ、始めよう。

 

 

さぁ、歴史に刻もう。

 

 

前代未聞の大逆転を!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方通行『これがあの世と現世の狭間かァ。なンにもねェな。まァ当然か。こンなところに住人なンか居るわけもねェし、建物とか建っていたら変だモンなァ』

 

そこはどこまでも遠く果てしなく無限に続いていそうな空間だった。

どうやら幽体離脱の魔法は成功したらしい。

今の状態は魂だけの状態。

しかし能力は使える。と言ってもベクトル操作だけだが……。

 

一方通行『長居は危険か。早く霊夢を見つけてあいつの魂を現世に持って帰らなきゃな。霊夢の体内に心臓はなかったが、そこは俺の模倣能力で新たに心臓を作ってやりゃあどォにかなるだろ』

 

それは地面……、と言っていいのだろうか?

足が付いている感覚があるのは確かたのだが。

 

足元は白い煙で見えないが地面っぽいものはあるらしい。

 

足元の白い煙は周囲にも充満していた。

しかし周囲に広がる白い煙は薄く、なにも見えないってことにはならなかった。

が、しかし。これでは霊夢を探すのは大変そうなのは確かだが、あの面倒臭がりで自堕落巫女が見つかるまで探すしかないのだ。

 

一方通行『そォいや魂だけの状態だってのに手や足とかあンだな。てっきり妖夢の周りをウロウロしているあの雲みてェな状態になるかと思っていたンだが……。まァ、これは好都合だしラッキーってことにしておくか』

 

自分の体に目を向ければ現世の姿形をしていた。

もしも自分がこの状態になっているのなら、霊夢も現世の状態でこの場所に居るのかもしれない。 

 

方向感覚が狂いそうな場所をただただ歩いてく。

あの紅白の巫女が見つかるまで。

 

 

 

そして。そして。

 

そして、だ。

 

一方通行『………見つけた』

 

この色味がない空間では彼女の格好は目立つ。

博麗の巫女の服。特に赤色は。

 

一方通行『探したぞ霊夢。さァ、俺の手に掴まれ。早く現世に帰るぞ。こンなとこ長居していたら気が狂いそォだ』

 

思った通り、彼女も現世と同じ姿形していた。 

一方通行は茫然と立っている霊夢に後ろから手を差し伸べる。

 

が、しかし。

 

一方通行『あン?霊夢……?』

 

博麗の巫女は一方通行の手を掴まず、そのまま前に進み始める。

 

一方通行『オイ、ここに出口なンてねェぞ。俺の力以外じゃここから抜け出すのは無理だ』

 

『………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………』

 

ボソボソと、一方通行には聞こえない声でなにか呟いていた。

 

一方通行『オイ!霊______』

 

追いかけて彼女の肩を掴もうとした瞬間、一方通行の体は後ろに吹き飛ばされ濃い白い煙が充満する地面を転がる。

 

それはまるで“反射”されたみたいだった。

 

一方通行『…………まさか。遅かったって言うのか?』

 

もう既に霊夢の中からもしかすると『前世』として今までの記憶が無くなっているのかもしれない。

一方通行は生者のままこの空間に来れたが霊夢は死者としてこの空間に来た。

その違いで一方通行は記憶はなくなっていない。が、まだ確信はないが霊夢はもしかするとなにか大切な記憶がなくなっているのかもしれない………。

 

最悪な事態。

 

もしも本当に記憶が消失していたら霊夢はそのまま死者となり去ってしまうことになる。

例え命を与えても、その者は霊夢であって霊夢では全く別の誰かさんだ。

 

表情に焦りを見せる一方通行は起き上がると走り出し霊夢の前に立つと幻想郷最強の超能力者は見た。

霊夢の目は虚ろで、博麗の巫女の彼女からまるで生気を感じなかったのだ。

 

一方通行『チッ、オイ!オイッ!!俺が分かるか!?自分が誰だか分かるか!?』

 

『………………うるさい、“あなた”誰よ?』

 

一方通行『____ッ!!』

 

どうやら本当に始まっていた。

記憶の消去。

 

新たな存在として、生まれ変わりの進行が………。

 

一方通行『バカ野郎!!思い出せオマエは博麗霊夢!!昼間からだらだら部屋で寝てたり、宴の場では未成年だってのに酒豪のように酒を何升も飲む!!毎日ダラダラとして面倒くさがりで怠け者なオマエだが博麗の巫女として異変解決に率先していただろ!?』

 

『うるさい』

 

一方通行『ぐ、が……は…ッ!?』

 

紅白の巫女は手を大きく振るう。

すると彼女の背後には御札の形をした赤色の弾幕が出現する。

それを紅白の巫女は一方通行に向かって一斉に放つ。

 

白い彼は後方へ跳躍することで、まず最初の攻撃は回避できたが次に飛んできた弾幕は回避できなかった。

 

一方通行『……………………チッ』

 

自分から『反射』が消えていた。

いや、浮いていると言った方が正しいだろう。

きっと彼女の仕業だろう。

 

まともに弾幕を体に受けてしまった一方通行はダメージを負った。

魂の状態でも傷は負うらしい。

そして、本能的に魂の状態で傷を負えば現世にある肉体も傷を負うことになると理解していた。

 

一方通行(こっちの話は全部無視か。どォする?力で押さえつけるか?だが、それだと…………)

 

腕や頬の傷から血が垂れていた。

痛覚もちゃんとあった。

 

『ここがどこだか分からない。自分がどういった存在なのかも分からない。けど、このまま前に進んでいけばそこに幸せが待っているのは分かるの。邪魔しないでよ』

 

一方通行『…………本当にそこにオマエの幸せかあるなら邪魔しねェよ。けど、俺にはこの先にオマエの幸せがあるとは到底思えねェな』

 

『“あなた”本当にさっきからうるさいわ。これ以上私を不快な気持ちにさせるなら、さっき以上の攻撃を食らわせるわよ』

 

一方通行『…………やってみろよ。俺はなにをされてもここを退かねェ』

 

『うっざ。キモすぎてゲロが出そうだわ。いいわ、上等よ。自分から私の前から消えるよう痛めつけてあげる!!』

 

白い髪の彼は両腕を広げる。

紅白の巫女の攻撃を全て、その身で受けるつもりらしい。

 

一方通行(能力(ちから)に頼っての解決方法だと霊夢を傷付ることになる。それはダメだ。絶対にノーだ。俺は能力を使わず霊夢の記憶を蘇らせる!!)

 

大切な人達は傷付けない。

その誓いは絶対に守る。

 

『消えろ消えろ消えろーッ!!』

 

虹色の光弾。虹色の御札。 

その全ての弾幕は先程の弾幕より威力は桁違い。

 

それぞれ数は50づつ。

もしも全て、その身に受けたら重症なのは確実。

下手したら死んでしまうかもしれない。

 

なのに。

 

一方通行はその場で微動だにしない。

 

そして。

虹色の光弾と御札の弾幕は一歩も動こうとしない白い彼に放たれた。

自分の周りにはいつも身を守ってくれた反射はない。

ベクトル操作を使えば攻撃を防げるというのに、一方通行はあえて全ての弾幕をその身で受けた。

 

爆発。爆発。爆発。

 

弾幕が体に直撃するたび爆発が発生した。

 

魂の状態で傷を負いすぎれば死んでしまうのに、、、、

 

『うそ………、でしょ………ッ!?』

 

一方通行『ここは通さねェ。オマエが行くべき場所は幻想郷だ!幻想郷以外、どこにもオマエを行かせねェ……ッ!!』

 

『なにを勝手に!!“あなた”が私のこと決めないでよ!!“あなた”何なのよ!!私の何だって言うのよ!?』

 

一方通行『それはオマエしか答えられねェよ…………』

 

足がガタガタ震える。

立ってるのだけて一苦労だ。

呼吸だってしづらくなってきた。

視界もぼやけたりハッキリしたりの繰り返し。

あれだけの弾幕を浴びれば立っていられるだけで奇跡だろう。

 

一方通行『俺はオマエじゃねェ。オマエの気持ちなンて分かれるはずがないだろォが』

 

『私の気持ちが分からないなら邪魔しないでよ!!』

 

一方通行『オマエの……、オマエ達の気持ちは分からない。そォだ、分かろうとしなかった、これまでオマエ達の気持ちから俺はずっと逃げてきた。オマエ達が本当は俺のことをどう思ってるか、知ろうとするのが怖かったから……。もしも、本当は俺を恐れていたらって思うと恐怖で体が震えてくる。嫌だ、嫌なンだ。オマエ達に恐れられンのが、嫌われるのが、()けられるのが。誰かといて心が安らぐなンて、初めてだった。オマエ達と過ごす毎日が無くなったらって思うのが俺は怖いンだァ!!』

 

『はぁ?なにそれ???』

 

一方通行『…………これはワガママだ。もしも本当にこの先にオマエの幸せがあったとしても俺はオマエやあいつらの居ない幻想郷は嫌だ。だからこの先は行かせない。オマエの気持ちなンて知らない。これは全部俺の為、オマエの前に立ち塞がるのは俺の為だ!!』

 

『さっきこの先に私の幸せがあるのな邪魔しないって言ったじゃない!!』

 

一方通行『けど、幸せがあるとは思えないとも言った』

 

『……………なんで、“あなた”と話していると胸が締め付けられたように苦しくなるのよ。なんで、“アンタ”を傷付けたら私も痛くなるのよ!?』

 

一方通行『…………それはオマエだからだ、霊夢』

 

『くっ、うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああァァァァァーッッッ!!!!』

 

絶叫を上げながら紅白の巫女は荒々しく一方通行に向かって走り出した。

そして、そのまま体当たりしてきて一方通行に馬乗りする形となった。

 

すると。

 

『分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からないの!!!!黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れーッ!!!!お前は不愉快なやつだ!!私の前から消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろーッ!!!!』

 

紅白の巫女は一方通行の顔面を殴りつける。

力任せの殴打に続く殴打。

それを何度も、何度も。

 

何度も。

 

固く握られた拳で殴られるたび、周りに血が飛び散る。

鈍い音が周りへ響き渡る。

 

『はぁ、はぁ、はぁ。痛い、痛いよ………、なんで殴ってる私の方が痛い思いをしてるのよ。こんなの変でしょ、普通逆でしょッ!?』

 

一方通行『……………………れ、い……………む____』

 

『ッッ!!!』

 

一方通行『_____か………え、ろ…………う。あい………つ、らの……………ところ…………に………』

 

『う、う、う、う、うるさいッッッ!!!』

 

腕を上げ、振り下ろし白い彼の顔面を殴りつけようとしたが、、、

 

『腕が、動かない!?どうして!?』

 

紅白の巫女の拳は一方通行の血で真っ赤に染まっていた。

 

ぽと、ぽと、と。

雫が一方通行の顔に落ちていく。

それは赤くない。

“透明”だった。

 

『“アンタ”の傷付いた姿を見ていたら不思議と涙が出てきた………。なんで、なのよ。どうしてなのよ!?ねぇ、ねぇ答えてよ“一方通行(アクセラレータ)”!!』

 

はっ?なんてわたしは言った?

一方通行(アクセラレータ)

一方通行(アクセラレータ)とは、なんだ?

それは名前だ。いったい誰の名前?

分からない。分からない。

きっと答えはわたしの頭の中にある。

聞いたことないが、聞いたことがある気がする。

その名をした人間とは会った事がある気がする。

 

『う、うが、がが、ぃぃぃぃぃぃぃぃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!』

 

今までに感じたことがないほどの激痛。

その痛みが頭を襲う。

 

紅白の巫女は頭を抱え激痛に悶える。

 

一方通行『霊夢…………』

 

優しく。包むように一方通行は霊夢を抱き寄せる。

 

 

 

霊夢『わた、し。なんてことを………アンタをいっぱい傷付けて……………』

 

一方通行『オマエは、悪くない………、オマエはなにも悪くない……。気にするな』

 

霊夢『ごめんなさい、ごめんなさい一方通行……ッ!!』

 

嗚咽するほど霊夢は泣いていた。

そんな彼女の頭を優しく撫で、、、

 

一方通行『あァ、良かった。ちくしょう、本当に良かった………』

 

学園都市では怪物と呼ばれていたとは思えない、安心したように柔らかい笑みを浮かべていた。

一方通行の優しい言葉に霊夢は更に涙が溢れてしまった。

 

一方通行『落ち着いたか?』

 

霊夢『うん………』

 

一方通行『別に顔を逸らさなくてもいいンじゃねェ?オマエの泣き顔ならここに来る前に見たし、今更恥ずかしがっても遅いと思うぞ?』

 

霊夢『ッ!?アンタねぇ!!人が気にしてることをそうやってハッキリと口に出して言うのは人としてどうかと思うけど!?』

 

一方通行『はっ、いつもの調子に戻ったな』

 

霊夢『……………はぁ。そう言えば、アンタってそういうヤツだったっけ』

 

弾幕による爆発で二人の周囲の白煙はなくなっていた。

そのお陰で地面を見ることができたが、その地面はまるで鏡のように一方通行と霊夢の姿を映していた。

 

一方通行と霊夢はその鏡の地面に座っていた。

 

一方通行『そろそろ、戻らなきゃな』

 

霊夢『そうね。あまり長いと皆が心配しちゃうからね』

 

一方通行『まずはオマエからだ。気を楽にしろ』

 

霊夢『ちょっと待って。アンタは?一緒じゃないの?』

 

一方通行『こンな興味深いところにせっかく来たンだ。俺は少しこの空間を調べてから現世に戻ることした。大丈夫だ、直ぐに済ませてオマエの後を追う』

 

霊夢『………ほどほどにね』

 

一方通行『あァ』

 

ぽん、と博麗の巫女の彼女の頭の上に手を乗せ撫でてから霊夢の魂を現世に戻した。

 

一方通行『死者の蘇生は“絶対禁忌”。それを行った者は代償として天罰が下される……………だっけか_____』

 

あの死者の蘇生について書いてあった本のなかに書いてあった。

本の著者は気付いていたのだ。

死者の蘇生は絶対にやってならないことだと。

もしも死者の蘇生なんてことをすれば、それを行った者はタダでは済まないと。

でもそんなことはどうでもいい。

この身、この命がどうなったって死んだ妻にもう一度会う。

それだけが“願い”なのだから。

 

一方通行『________さァ、来いよクソったれ。俺は天罰の一つや二つ受けた程度じゃ死なねェぞ』

 

白い頭の彼は立ち上がると両腕を広げて顔は上に向けていた。

 

回避なんてしない。逃げもしない。反射もしない。

これからこの身に降りかかるものはありのまま受ける覚悟だ。

今の状態でも立っているだけで辛いというのに、だ。

 

そして。そして。

 

一方通行に天罰が、、、

 

眩しすぎて周囲が見えなくなるほどの白く輝く十字架の形をした巨大な光が落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ん。う、あ……あぁ」

 

霊夢は目覚めた。

復活に成功したのだ。

ドクン、ドクンと。自身の心臓の鼓動音が聞こえる。

 

一度は死んでいた肉体。

そのためか。目を開いたところで見えるのは白い景色のみだった。

しかし、段々視界に色がついてきた。

 

………………見えた、色は、、、

 

霊夢「____ッ!!きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああッッ!!??」

 

全面赤一色の部屋。

天井からはポトポトと赤い雫が落ちていた。

 

その色の正体を霊夢はすぐに理解した。

 

霊夢「一方通行ッ!一方通行ッ!!しっかりして一方通行ッ!!」

 

体は満足に動かせない。

起き上がることはまだ難しい。

霊夢はどうにか首だけは動かし自身の体に上体を乗せて倒れる一方通行を心配していた。

 

それから何度も彼の名を呼ぶが返事はなかった。

呼吸しているのかどうかは不明。

 

しかし、確かに分かっているのは彼は全身血塗れだということだ。

誰が見ても分かるぐらいの重症。

 

魔理沙「どうしたんだ霊夢ッ!?」

 

霊夢の叫び声を聞いて慌てた様子で魔理沙が部屋へと入ってきた。

 

橙「……………こ、これは」

 

藍「この部屋の中でいったいなにが起きたというんだ?」

 

次に、橙、藍。

そして、、、

 

紫「一方通行ッ!!一方通行ーッ!!」

 

大妖怪・八雲紫も霊夢のところへ駆けつけてきたのだが、

 

紫「あっ、あぁ。一方通行の体温が、体が冷たくなってる……………」

 

その瞳から溢れる涙を拭うこともしないで紫は一方通行のところへ駆けつけ、普段ある白色がほぼ見えなくなるほど血塗れの彼のことを抱き寄せた。

そして、紫の言葉を聞いた橙は涙を流し膝から崩れ落ち、藍はただ茫然と立ち尽くすのみ。

 

霊夢、魔理沙もあまりの衝撃になにも言葉が出てこなかった………。

 

紫「………一方通行ッ!?」

 

「…………悪りィ……な……部屋ァ…汚しちまった……」

 

彼女達の声に反応したのか、一方通行は閉じていた目が開くが眼球まで鮮血に染まっていた。

そんな真っ赤になった目じゃ視界は赤いカーテンに遮られなにもかもが赤く見え、正確に視界にとらえてはないだろう。

しかし、声だけでも誰が近くに居るのは分かっているのか血だらけになりながら、一方通行は小さくそう彼女らに呟いた。

 

 

 





次回予告

一方通行が霊夢の蘇生に全力を尽くしていた時に、一つの戦いがあった。

その戦いは周囲のものが片っ端から吹き飛んでしまうくらい激しく、天変地異(てんぺんちい)すら引き起こすほどの強大な力と強大な力の衝突。

次回・第四章・第十三話

完全氷結(パーフェクトフリーズ)VS未元物質(ダークマター)


マイナスの真髄!!真なる覚醒!!才能開花!!

刮目せよ!!

これが少女が試行錯誤の末に出した答え!!

氷の妖精の進化した姿ッ!!辿り着いた“最終形態”!!

氷の妖精は超能力者(レベル5)第二位と熾烈な戦いを繰り広げる。

少女の体は戦闘の中で傷を負っていく。
しかし、全ては大切な皆が居る幻想郷を守るため。

不撓不屈。鋼の心。鉄の魂。
自身の底に眠る力を引き出し、全力を持って氷の妖精は屈することなく第二位に挑戦する。

「万物は我が下にある。跪け!怯ろ!あたいの世界の中で凍え死ねェ!!」

「俺の未元物質(ダークマター)が混ざったこの世界の中で死んでいけ」

暗部組織『スクール』のリーダー。

学園都市から送り込まれた最後の刺客。

学園都市に7人しかいない超能力者(レベル5)、その第二位。未元物質(ダークマター)。始動ッ!!















幻想郷が崩壊するまで、、、、、『3』
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