幻想郷を一方通行に   作:ポスター

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完全氷結(パーフェクトフリーズ)VS未元物質(ダークマター)


※誤字脱字などのミスが多々あると思います。
それをご了承のうえ読んでいただけると幸いです。
しかし、そういったミスが多いのをご不快に思う方にはブラウザバックをオススメします。



13話

 

これは……、一方通行が霊夢を生き返らせている最中に起きた話。

 

 

「ここが『幻想郷』………か」

 

顔がとても整っているせいかよりホストのような格好に見える服を着た茶髪の青年。

彼は学園都市・超能力者(レベル5)序列“第二位”の垣根帝督。

 

垣根「チッ。アレイスターのクソ野郎からある程度この世界の情報は提供されているがここまでとは。学園都市と比べると随分文明が遅れてるな『幻想郷』は。クソっ、こんな電話も車もないところで目的の人1人探すのは苦労させられる。地道にこの世界の住人を探して、手当たり次第聞いて情報を集めていくしかねえのか?」

 

学園都市統括理事長・アレイスター=クロウリーが学園都市から幻想郷に送り込んだ最後の暗部組織。名は『スクール』。

第二位の彼はその暗部組織のリーダー。

『スクール』には彼以外の構成委員も居るのだが今回の仕事には垣根帝督は同じ暗部組織のやつらは連れてこなかった。

それは今回の仕事では足手纏いになると考えてだった。

 

垣根「それにしてもアレイスターのクソ野郎、暗部の人間や他の学園都市の上層部のやつですら知り得てなかった秘密をどれほど隠し持ってやがんだ?別世界に空間移動(テレポート)できるこの俺でもどんなもんで製造されてるか分からねぇものまで持っていやがった。第一位をぶっ殺し、俺が第一位の座に君臨すれば今以上にアレイスターのクソ野郎がまだ隠している機密情報を得れる。あともう少しだ、あともう少しで俺は『第一候補(メインプラン)』になれる。『直接交渉権』まであともう少し」

 

超能力者(レベル5)だけ序列が存在している。

その序列は表からもそして裏からも学園都市全体の流れを操っている学園都市統括理事長により明確に決められている。

この序列はただ“能力の強さ”だけを重視して決められたものではない。

だが、第一位や第二位の他者を寄せ付けない圧倒的な強さは学園都市で暮らしている誰もが認知していることだった。

そして。こんな話があった。

第二位と第三位の間には絶対に埋められない差があるが、第一位と第二位の差はそれ以上だと。

これには学園都市の上層部の大人達も同意見だろう。きっと、学園都市統括理事長も………。

しかし。しかし、である。第二位の垣根帝督は第一位の一方通行に挑んだとしても“勝てるという自信”があった。

『勝算』というものが第二位の彼の頭の中にあるのだ。

 

垣根帝督はニヤリと口元を歪ませる。

アクシデントとは起きない。自分の能力と自分の優秀な頭脳をもってすればこれから行うことは全て完璧に、そしてうまくいくと確信しているから出た笑みであった。

 

垣根「にしても、歩いても歩いても鬱陶しい草木ばかり。俺の能力、未元物質(ダークマター)を使って人が多く居そうな場所に移動したほうが時短になるか。いいや、やめておこう。“あの姿”は目立つ。アレイスターのクソ野郎は俺達に敵対しているやつが居ると言っていたしな。できることなら、一方通行の野郎以外の戦闘は避けてぇしやっぱり地道に歩いて移動するしかねえか。面倒くせぇことはゴメンだ」

 

学園都市には車や電車があるので遠い場所にも楽に、そして疲れることなく移動できる。

が、しかし。

この幻想郷とやらには車や電車など移動手段として使えそうなものはあるように見えない。

 

ここは不本意だが、自分の足で歩いていくしかなさそうだ。

垣根帝督。超能力者(レベル5)第二位の能力の名は未元物質(ダークマター)

彼の能力を使えば歩いて移動なんて面倒なことしなくても済むのだが、あまり目立つことは避けたいのと“あの姿”は垣根帝督自身、できることならなりたくないので能力を使っての移動はやめることにした。

 

垣根帝督は静かに舌打ちをした。

 

と、次の瞬間だった。

 

第二位に向かって空から一つの氷の刃が降ってきた。

 

垣根「…………………誰だ?」

 

その氷の刃は自然現象で出来たものではない。

誰かが能力を使って攻撃を仕掛けてきたのだと第二位は分かっていた。

 

垣根帝督は自分に攻撃を仕掛けられたといち早く気付くと未元物質(ダークマター)によって生み出された第二位の彼の背中から伸びる光を帯びた白い6枚の翼でその氷の刃を防いだ。

この翼は垣根帝督の意思とは無関係に未元物質(ダークマター)を使用すると発現してしまうらしい。

 

「分かる、分かるぞ。ぱっと見ただけでもお前は学園都市からの『刺客』だとな!!つまりお前はあたいの敵ッ!!」

 

垣根「探す手間が省けたな」

 

奇襲を仕掛けた少女の背中には氷の羽が6枚あった。

垣根帝督は空に浮いているおかしな姿をした少女に目を向ける。

 

垣根「お嬢ちゃん。一方通行(アクセラレータ)って野郎知ってるか?いや、知っているはずだ。アレイスターが幻想郷サイドにあえて流した情報を知ってるってことはお前は一方通行の近くに居るやつってことになる。もしも正直に一方通行の居場所を教えるならさっきの攻撃はなかったことにしてやるが?どうするお嬢ちゃん?」

 

チルノ「い、や、だ☆一方通行はお前みたいな三下に構ってる暇はないんだ。あたいがボロ雑巾にして学園都市に送り返してやるよ」

 

垣根「そうか……。じゃあ力尽くで一方通行の居場所を吐かせることにするか、ガキを痛めつけるのは趣味じゃねえんだけどな。だが俺の大いなる目的のためだ。口が利けるぐらいには手加減してやるが、それでもこれからお嬢ちゃんには数年は寝たきりの生活になってもらう。もしかしたらもう二度と立って歩けなくなるかもしれねえ。俺と戦うってことはそういうことって、まず最初に理解してほしいな。それでもか?」

 

チルノ「あーあーハイハイハイ、自分の強さに自信があるんだろ?分かった分かったって。じゃあさっさとかかってこいよ、その自信を粉々に砕いてやるから」

 

垣根「なめるなよ、クソガキがァァァッッ!!!」

 

今日始めて会った少女だ。

しかもここは幻想郷。学園都市ではない。

だから自分が超能力者(レベル5)であり、しかもその第二位と言ってもなにがなんだか分からないだろう。

ここがもし学園都市だったら第二位の自分に挑むというのがどれだけ愚かなことだと説明するのは容易いのだが……。

しかし、もう一度確認するがここは幻想郷。超能力者(レベル5)第二位、垣根帝督と今から戦うのだと幻想郷で生きてきた少女は知る由もない。

だから仕方がないのだろう、あのむかつく態度と第二位の彼に取るのは。

でも。だが、だ。そうだと知っていても氷の妖精の人をバカにするような態度は垣根帝督を腹立たせるのに十分(じゅうぶん)すぎた。

 

激怒した第二位はその背にある白い6枚の翼から烈風をチルノに放つ。

しかし、氷の妖精は更に上空へ飛ぶことによりその烈風を避けた。

 

チルノ「さて、やるかーッ!出て来いあたいの分身ッッ!!!!」

 

そう言い放つと上空に浮いているチルノ自身を含めると氷の妖精の数が100となった。

 

チルノ「この森にはあたいとあいつ以外の生き物は居ない。ならば!!あたいは安心して戦える!!」

 

そして。

100人のチルノは大地に向けて全長5メートルはある氷の塊を無数に放つ。

 

垣根(あのガキなにやってんだ?あの攻撃は端から俺に向けてじゃねえ、なにか狙いがあるのか?)

 

背中に氷の羽がある変な姿の少女が大きな氷の塊を地面に向かって落とし続ける。

攻撃は攻撃なのだろうが、その攻撃からは敵意や殺気を感じれなかった。

 

垣根帝督はチルノや周りの様子を観察していた。

 

そして。

あるものに注目する。

 

それは、、、

 

垣根「冷えてきたな、あのデケェ氷そのものから“冷気”が発せられているのか。…………チッ、あのガキの狙いが分かった!!」

 

すると、垣根帝督はチルノの居る上空へ6枚の白い翼を大きく広げてから羽ばたかせ飛翔する。

 

垣根「“まさか”と一回疑ったがこれほどのパワー。不可能じゃねぇ______」

 

_____“一帯の大気温度を下げることが”。

 

垣根帝督の読みは正しかった。

 

チルノ(誰がクソったれな悪人と真正面から正々堂々戦ってやるものか。あたいは氷の妖精。冷たい場所で戦うのは大の得意!だけど、相手は能力者だという部分を除けばただの人間。人間は極端な猛暑の中や極寒の中では頭の回転が鈍くなる。学園都市の能力者は能力を使用するためにはどうしても演算が必要。思考能力が低下すれば能力の発生が遅れたり能力の威力が少しは低下すると考えられる。もしもそうならなくてもここまで寒くさせれば体の動きは鈍る。我ながら完璧な作戦ッ!!)

 

氷の妖精が放った氷の塊は半分地面に埋まっていた。

その氷の塊から冷気が発せられている。

静かにじわじわと、だが確実に森は凍っていき三分も経たずに森全体が凍りついてしまった。

 

チルノは自分の下に広がる森を凍らせた。

気温はマイナスにまで到達していた。

北極とほぼ同じ気温まで冷えきっていた。

 

チルノ「………にしても寒っ。ちょっとやり過ぎちゃったな。能力が強くなりすぎちゃってまだ力の制御がむずかしいんだよな〜。あたいが強くなれるよう修業してくれている時に、一方通行も力の制御の特訓をしていたけどすぐに全力を出した状態の能力の制御が完璧になってた。『どンなもンもコツさえ掴めば後は楽なモンだ』とか言って。天才肌の人間と一緒にするなっての。あたいのようなやつはコツコツ努力を重ねなきゃ無理なんだよ」

 

ゆっくり腕を上げた。

そして、一回指を鳴らす。

するとチルノが創り出した分身は粉々に砕け、小さな氷の粒になって凍った森にゆったりと降っていく。

 

チルノ「さて……、じゃあ気を取り直してあのクソほど似合わない羽を生やす悪人を料理してやるか」

 

そう言ってチルノは垣根帝督に視線を向ける。

しかし第二位の彼は6枚の翼に包まった状態で動かない。

 

チルノ「地上からこの空中に昇ってきたのは褒めてやる。お前の読みは正しい、正解だよ。あたいの能力により作り出された氷から冷気が発せられていて、その冷気によりこの極寒の現象が起こっている。なら、その現象の(みなもと)となっているところから離れれば、まぁ寒くないんじゃない?と言っても地上と空中の気温の差なんて少しぐらいしか変わらないと思うけどねッ☆」

 

次にチルノは白い翼で出来た球体に片手を向ける。

 

チルノ「そのままでいいの?身を守ってばかりじゃあたいには勝てないよ」

 

氷の妖精の背後には8つの氷の塊があった。

それは音を立てて割れていき、氷の塊から氷の棘と形成されていった。

そして、チルノはその8つの氷の棘を白い翼の球体に放つ。

 

だが、、、、

 

チルノ「…………硬いな。けど残念♪あたいの力にはそんな守りは無意味だよ。そんな状態じゃあたいの声が届くか分からないけどもしかしたら聞こえてるかもしれないし一応言っておくね。さっきも言ったけだあたいが作り出した氷は冷気を発している。その冷気は周りの気温をマイナスにまで下げるほどのものだ。じゃあその氷が直接当たってしまったら?答えは下を見れば分かるよ。そう、有無を言わさず凍り付いてしまうんだよ」

 

その言葉通りだった。

氷の棘から垣根帝督は身を守れた。

しかし氷の棘が刺さっていた白い翼は段々を凍っていく。

 

チルノ(こいつはもう終わりだな……。凍って動かなくなったら永遠亭のやつらのところまで持っていってやるか。面倒だけど、一方通行からの頼みだしね。あいつにはあたいが強くなれる助けをしてくれた恩があるし、しょうがないから頼みを聞きてやるか)

 

チルノは静かに白い6枚の翼で出来た球体が凍っていくのを眺めていた。

 

このまま決着がつくと思っていた。

 

が、である。

 

チルノ「……………光?」

 

白い6枚の翼の球体全体が凍る前に、その翼の球体は発光し始めた。

 

チルノ「眩しいな、しかもこの光から熱を感じる。…………熱ッ!?」

 

あまりにも眩しいため手で目を遮る。

しかしその光に当たった場所が熱くなっていた。

 

チルノはこのまま危険だと思いその発光する翼の球体から距離を取ると。

光はまだまだ強くなり、、、

 

そして。

 

地上の氷を全て溶かした。

一帯の気温も元通りである。

 

垣根「あー、寒すぎて死ぬかと思ったわ。クソっ、俺に死ぬかもと思わせるやつがこの世界に居たとはな、面白ぇところじゃねぇか幻想郷」

 

チルノ「あれー?思ったよりピンピンしてるな。まっ、さっきのは“試し目的”でやっただけだ。これは全然強がりじゃないよ、本当だもん」

 

氷の妖精の言葉は本当である。

もしも他の暗部組織の『アイテム』『グループ』がチルノと遭遇していたら先程の森の全体をも凍らせる攻撃だけで全滅していただろう。

 

チルノ(あたいの氷を溶かすほどの熱も操る、か。風を放つこともできてたしあいつの能力はどんな能力なんだ?できることが多過ぎてどういう能力か分からないな。まずは相手がどういう能力なのか、それから探った方がよさそうだな。あいつはちょっと……ヤバそうな感じがするし)

 

言葉にはできないが肌でチルノは感じ取っていた。

あの翼を背中から生やす青年は危険だと。

 

チルノ「じゃあこっから本当の勝負といこうか……ッ!!」

 

またしても氷の塊を無数に背後に設置する。

そしてそれは氷の棘の形を変えた。

やってることはさっきと同じこと。

 

しかし違うのは数である。

さっきより氷の棘の数が10倍以上もあった。

 

チルノ「さぁ、これだけの数捌ききれるかーッ!?」

 

今度は一斉にではなく連続で放つ。

氷の棘が飛んでくる速度は弾丸と大差なかった。

だが言ってしまえばそれは無造作な攻撃だった。

 

しかし、一つでも当たってしまったり掠ってしまったらアウト。

だから垣根帝督は自分に向かって飛んでくる氷の棘を全て空翔けて回避する。

 

チルノ「ッ!?あいつ避けながら攻撃を……!?」

 

大きな竜巻が迫ってきていた。

チルノがそれに気づいたときにはもうあと1メートルのところまで来ていた。

チルノはそれを右に大きく移動して躱す。

 

チルノ「まだ足りないか。ならァッ!!」

 

氷の妖精の氷の羽が一回り大きくなった。

彼女の周りの気温は下がっていく。

もしも今、チルノの近くに行けば嫌でも白い息が出てしまうだろう。

 

ババババババババババッッッ!!!!

遠くからでもハッキリ見えるくらい大きな氷の結晶が30近く展開する。

 

チルノ「特別に本物の弾幕ってのを拝ませてやるッッ!!!!」

 

氷の妖精が自身の後方に展開した氷の結晶からは青い光弾が数え切れないほど撃たれた。

その光弾も全て冷気を有している。

そうだ。避けるなんて不可能と思わせるほど撃たれた光弾に一発でも当たってしまっただけで全身が凍りついてしまうのだ。

 

垣根「風も……凍らせるか」

 

弾幕を押し返そうと烈風を放つが、その烈風は凍り砕けてしまった。

 

垣根「全部避けきるのは無理か、全て正面から撃ち落とすしかねぇな」

 

そして。

垣根帝督は背中の翼が浴びる太陽光を人を殺めることが可能になるまで引き上げ、そしてその太陽光を元に作られた白く光る光弾を青い光弾に打つけるように放った。

 

 

氷の妖精と超能力者(レベル5)第二位の間では青い光弾と白い光弾が打つかり合い爆発音が鳴り響いた。

 

2人の放つそれぞれ光弾の衝突。それは10分ほど続いた。

 

チルノ「へへっ、ちょっと本気でやったんだけどな。あたいの弾幕全て撃ち落とすか………」

 

垣根「次はこっちの番だ」

 

白い6枚の翼を大きく広げるとその翼は発光し、次は浴びる太陽光をレーザーのようにして放つ。

 

垣根「お前の能力は冷気を操る能力。広範囲の気温を下げるだけじゃ留まらず森全体も凍らせるほどの強力な冷気。能力は間違いなくレベル5クラス。だがそれでも俺には勝てねえよ」

 

チルノ「弾幕ごっこを多くやってきたあたいにそんなのが_____」

 

正面から飛んできたレーザーを避けたと思ったが避けたはずのレーザーがチルノの顔を掠めた。

 

チルノ「____なんで後ろから……?」

 

垣根「この俺に……『未元物質(ダークマター)』に常識は通用しねぇ」

 

チルノ「あたいに当たるまで誘導するビームか!?」

 

レーザーが掠った部分からは血が頬から顎へ流れていた。

痛みはある。

しかし痛いからといってその場で止まってしまっていたらあの背中に白い翼があるやつが放ったレーザーに体を撃ち抜かれてしまう。

 

空を高速で飛行して氷の妖精はレーザーを避けていく。

 

チルノ(この数、どうする!?)

 

チラッと後ろを見ると自分を追いかけてくるレーザーの数が増えていた。

 

チルノ「このまま逃げていても埒が明かないか。こうなったら!!」

 

追いかけてくるレーザーの数だけ攻撃を防ぐ盾として今までのより更に強固な氷の結晶を展開した。

 

が、しかし。

 

チルノ「が……ッ!?」

 

レーザーは防げた。

反撃に氷の槍を生成しそれを投げ飛ばしてやろうとしたが、チルノの腹部に垣根帝督が鞭のように撓らせて大きく振るった1枚の白い翼が直撃していた。

 

チルノ「う……あぁ……っ!?」

 

攻撃が直撃してしまったチルノはどこかに吹き飛ぶことはなく、その場で動きが止まってしまう。

普通ならあれ程の物量で殴りつけられなら吹っ飛ぶのは当然。

しかしそれが起こらないということはこの現象はやつが起こしているのだろう。

 

そして、だ、追撃がきた。

垣根帝督は高速でチルノに接近すると次は2枚の翼を束にしてそれで氷の妖精を上から殴りつける。

 

が、しかし。

その攻撃も氷の結晶の形をした氷壁で防ごうとするも、その氷の結晶の氷壁はガラスのように砕けてしまいまたしても白い翼の攻撃が体に直撃してしまう。

 

チルノ(完全に戦闘状態となった今のあたいの体から冷気が放出している。その冷気の影響でどんな攻撃であろうと五感のどれかであたいが認識すれば当たる前に凍り止まるはずなのにやつのあの天使みたいな白い羽は凍らなかった。あいつ羽も撃ってきたビームと同じく、あたいの冷気を突破できるだけの熱を纏ってやがるのか……ッ!)

 

斜め下に体が落下していくが、チルノは地面に激突する前に空中で体を静止することに成功させた。

 

垣根「ほら、さっさと一方通行の居場所を吐けよ。これ以上痛い思いはしたくねぇだろ?もうお前の能力の弱点は完全に掴めた。これ以上やったって負けは目に見えている。大体、なんで多くやつから死を望まれてるあのクソ野郎なんて庇うんだ?理解できねぇ」

 

チルノ「お前あたいよりバカだな!!答えはすっごく単純(シンプル)さ!!お前達は一方通行に死んでほしいって思ってるかもしれないけどな、あたい達は一方通行に生きてほしいって思ってる。だからだよバーカ!!」

 

垣根帝督は徐々にチルノに距離を詰めてきた。

『また新たな攻撃を仕掛けてくるつもりなのかもしれない』そう警戒してチルノは氷の剣を2本生成して、そしてその氷の剣を両手に1本ずつ握る。

 

チルノ「それに、大切な仲間を誰が敵に売るかァ!!」

 

垣根「まだ俺が優しくしてやってる間に吐いた方が身の為だ。俺は敵と判断し殺すと決めたら相手がどんなやつだろうと確実に殺す」

 

第二位はつまらなさそうな顔をして手で髪を風に靡かせる。

 

チルノ「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!ははははははははははははははははははははははははははっ!!!」

 

垣根「?」

 

チルノ「全然効くかそんな脅し文句!!それになんだなんだその余裕の態度は!?もう勝った気か!?トドメも刺せてないのに!?」

 

垣根「記憶力ゼロか。お前は一方通行と繋がりがあり、俺が探している一方通行の居場所を知っている。あのクソ野郎の居場所を吐くまでは殺さねぇように手加減してやってんだよ」

 

チルノ「ははっ!!本気が出せなかったから負けたとか言い訳されるのも癪だ。こうしよう、あたいを心の底からお前には勝てないと思わせろ。そうしたら教えてやるよ一方通行の居場所を!!」

 

垣根「まだこっから俺に勝てると思ってんのかよ?こっちはお前の弱点を完璧に把握しちまってんだぞ?」

 

チルノ「余裕余裕♪超余裕♪だってまだあたい全然本気出してないもん」

 

垣根「チッ、これだからガキは嫌いなんだ。負けず嫌いで目の前の現実もまともに見えちゃいねえ。わかった、お前は俺に絶対に勝てないと絶望させてやる」

 

チルノ「あたいを絶望させる?お前ごときができるかよ」

 

垣根(消え_____)

 

氷の妖精の姿が消えた。

それに驚いた時には垣根帝督の背中に衝撃が走る。

なんとチルノに背中を思いっきり足裏で蹴り飛ばされたのだ。

 

垣根「ガキがァッ!!」

 

すぐに振り返り翼を鋭くして放つ。

しかしまた、そこには氷の妖精の姿がなかった。

 

垣根「ッ!?」

 

ギャシャン!!!

垣根帝督の背中にある6枚の翼。

それが全て一瞬で切り刻まれていた。

氷の剣で斬られたのだ。

 

少女の能力によって作り出されたもの全てに冷気が宿っている。

氷の剣はチルノの能力によって作られたもの。

つまり、氷の剣も冷気が宿っている。

 

斬る。凍らせる。砕き、そして破壊する。

これらを同時にチルノはやってのけたのだ。

 

チルノ「落ちろ。そして、潰れろ」

 

一度の攻撃にしか使えないだけではなく、その氷の剣は特別製のため一度に何本も生成することは難しい。

チルノにとってそれは“切り札”の一つだった。

役目を終えた氷の剣は細かくなって砕け散る。

 

しかし。追撃はあった。

チルノは天へ腕を伸ばすと手のひらには数センチ浮いた状態の巨大な氷の塊があった。

その氷の塊の尖っている部分があり、そこから翼が無くなって体が重力に従い落下していってる垣根帝督に向かって巨大な氷の塊に纏われている冷気を操り投げ落とす。 

 

一見。これは絶体絶命に見えるだろう。

が、第二位の顔には余裕が見えていた。

また6枚の翼を背中から生やすとその場で静止して硬化させた6枚の翼を氷の塊へ打つける。

 

チルノ「へー、また生えてくるんだそれ。あははははっ!!まるでトカゲの尻尾みたいだ!だけど無駄だよ。さっきまでの氷とはその氷は強度も発する冷気も段違いだからね」

 

触れた部分から白い翼は凍っていく。

しかし。しかしだ。

 

垣根「ウオオオオオオあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああーッッッ!!!!!

 

本気を出した時に出る雄叫び。

それは遠くまで木霊する。

 

氷の塊に押され地面に落ちて行っていく第二位。

だが、地面に打つかるよりも前になんとか垣根帝督は巨大な氷を受け止めることに成功した。

垣根帝督はこの戦闘の中で初めて安堵した息を漏らすと受け止めた巨大な氷を背中から生えた白い翼で砕こうと力を入れる。

と、その時である。

 

チルノ「言っただろ“無駄”だって_____」

 

_____こっちが本命だ。

 

氷の妖精は小さな少女から出た声とは思えない低い声で呟く。

 

無慈悲の攻撃。

まず最初に止めた氷の影に居るため“次”が見えていなかった。

 

更に、更に大きな氷の塊を垣根帝督に落とされた。

離れた位置から見れば(のろ)く見えるが氷の落下速度はとても速かった。

その速度。時速二百三十Km。

気づいたときには既に遅かった、というやつだった。

 

時速二百三十Km。

そんな速度で落ちてきたら、まず最初に垣根帝督が止めた氷の塊を衝撃で砕いてしまうかと思いきや次に落ちてきた氷の塊はなんと最初に落とした氷の塊とまるで磁石のようにピッタリくっついたのだった。

では、衝撃はどこにいった?

 

それは氷から氷に伝わり、、、

 

何一つの言葉も発せられず、氷から放たれた冷気により6枚の白い翼はその瞬間うまく機能せず垣根帝督は巨大な氷の塊を上にして地面に激突する。

 

チルノ「決まった……。しかも完璧に。普通の相手ならここで終わってる。けど、やつは“普通じゃない”」

 

警戒はまだしていた。

敵は格下だと思っているが、それでも一瞬の油断でこっちが劣勢に立たされる可能性は十分にあるとチルノは考えていた。

 

チルノ「はっ、やっぱりまだ意識はあるか。しぶとい相手だな」

 

風を切り凍りながらでも槍のように飛んできた白い翼。

もうこれが誰のものなのかとか考察してなくても分かる。

 

氷の妖精はその翼を回避すると空一面に小さな氷の粒を作る。

 

チルノ「これに当たれば怪我だけじゃ済まないぞ!!体に風穴開けたくなきゃ必死に防御してみなァァァッ!!」

 

そして。

一斉に大地に降り注ぐ氷の粒。

それは地面に生えている木を貫き、地面に無数の穴を作る。

チルノが作った氷の粒の硬さは鉄よりもあった。

 

銃弾よりも硬い小さな物体が恐ろしい速度で無数に落ちてきていると想像すればいい。

 

チルノ「あたいが上でお前が下。どっちが有利でどっちが不利なのかこれは一目瞭然ッ!!上であることを活かして遠慮なく、一方的に仕掛けさせてもらうッ!!」

 

敵の位置はハッキリと分かる。

例え草木の影に隠れようと、透明化しようとチルノは相手の正確な位置が分かるのだ。

 

垣根帝督の位置が分かるチルノは超能力者(レベル5)・第二位の真下から巨大な氷の棘を出す。

それはやつの体に傷を負わせるため。

 

チルノ「はははははははっ!!無駄無駄ァ!!遠くからでもお前の居場所は分かるぞ!!」

 

空からうっすらとだが見えた。

垣根帝督はチルノの攻撃を避けるため木を薙ぎ倒しながら地上スレスレの低空飛行で高速に移動していた。

 

チルノ「とった!!」

 

進行方向を読んでチルノは垣根帝督の前全てに冷気の烈風を吹かせる。

ぐわっ!!と翼を大きく広げると第二位の彼は急停止した。 

もしも危険を察知できずそのまま進んでいたら今頃氷漬けの世界の住人となっていただろう。

が、しかし。チルノの攻撃は二段構えだった。

 

垣根帝督が冷気を込めた烈風の攻撃を察知してその場で止まると予想していたチルノは第二位の彼の下から何十キロ離れてもしっかり視界に捉えられるほど巨大な氷の棘を天へと昇らせる。

 

チルノ「ここだ!『完全氷結(パーフェクトフリーズ)』!!!!」

 

打ち上げられた第二位に向かって100を超える数の弾幕を撃ってから瀕死状態にまで追い詰めたところで冷気を放ち凍らせた。

 

空には、白い翼が6枚生えた人間が入った氷が浮いていた……。

 

チルノ「くくく、あはっ。アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッッ!!!!完!全!勝!利ッ!!」

 

全力の笑顔でしっかりと決めポーズまでとっていた。

 

チルノ「あたいにかかればこの程度、超超超、超楽勝ってねッ☆苦戦してるように見えたけど、あれは全部演技!ギリギリの戦いのほうが盛り上がるじゃん?真の実力を最初から出してたら一瞬で勝負はついてた。これは断言できるね、だってあたいすっっっっっごく強いもん♪」

 

特別、誰に話してるのでもなくそれは大きな独り言。

 

それは続くが笑顔は消えていた。

 

チルノ「………でも。まさか。ここまでとはちょっと予想外だったな。正直、倒せてほっとしてる自分がいる」

 

自分の能力の冷気で凍らされ、身動きを封じられた学園都市から送り込まれた刺客を見つめる。

これだけは言える。『やつは強かった』と。

 

チルノ「刺客をなに一つ問題も起きず倒せたってスキマ妖怪に連絡するか。こいつ運ぶの面倒だし、あたいの能力で氷漬けにした白い羽を生やす変なやつを永遠亭に送ってもらっちゃお♪」

 

服の中にしまってあったスマートフォンを取出そうとしたその時である。

 

チルノ「………これは………白い…………羽根?」

 

上から何枚もの白い羽根がパラパラと降ってくるのだ。

 

チルノ「ぐぅ、あぁ……ッ!!」

 

その白い羽は空を羽ばたく鳥から抜け出た羽根なんかじゃなかった。

それは“やつ”の能力から生み出されたものだったのだ。

 

チルノの居る位置に降ってきた何枚もの白い羽根は突如爆発する。

 

「さっきまであんなに楽しそうだったのにどうしたお嬢ちゃん?そんな顔して、予想外のことでも起きたか?」

 

チルノ「なんで、お前が……ッ!?」

 

倒したはずのやつが。

氷漬けにしたはずのやつがチルノより高い位置からゆっくりと降下して来て、氷の妖精の前に姿を現す。

 

垣根「まっ、驚くか。俺の体温の反応はないんだもんな」

 

チルノ「ッ!?」

 

垣根「この程度のタネはすぐに見抜ける。超能力者(レベル5)を舐めるな。ここら一帯にはお前の冷気が充満している。そして、お前が冷気を充満させた理由は自身の冷気が充満している場所では敵の体温の感じることが可能で、敵の正確な位置を把握すること。そうだろ?」

 

チルノ「気づいていたのか……?」

 

垣根「死角に逃れたのにあんだけ正確に攻撃を仕掛けてきたら誰でも気づけるわクソボケ」

 

チルノ「一帯に撒かれた冷気。それと全く同じ体温に調整して、あたいの探知から逃れたのか」

 

垣根「そういうことだ」

 

チルノ「お前………。創造系の能力者だな」

 

垣根「へぇ、なぜそう思った?」

 

チルノ「お前の能力はやれることが多過ぎるんだよ。敵の一手一手にそこまで対応できる能力はあたいが知る限り創造系の能力だけだ」

 

垣根「御名答。そうだ、俺の能力は創造の能力。だがただ創るだけの能力じゃねえ。知ってるか?この世は全て素粒子によって構成されている。だが俺の未元物質(ダークマター)にその常識は通用しねえ。俺の生み出す未元物質(ダークマター)は存在しない物質だ。まだ見つかってないだの、理論上は存在するだのって話じゃない。本当に存在しないんだよ」

 

チルノ「それで?」

 

垣根「わからないか?いくらテメェが能力でどんな超常現象を起こそうと俺はそれに対応するだけじゃなく、物理法則を無視した予測不可能な攻撃で捻り潰すことが可能ってわけだ。お嬢ちゃんの能力は冷気を操る能力。なら、弱点となるのは熱。どれほど強力な冷気を俺に向けようが俺はその冷気を無効化する熱を生成するだけの話だ。その競争の最後、勝つのは俺だ。俺の能力に上限はない、やろうと思えばどこまでもやれる。アレイスターのクソ野郎がぶっ壊したがってるこの幻想郷だって俺一人で潰すことが出来る。唯一無二であり無限の力。それが俺の未元物質(ダークマター)だ」

 

チルノ「本当にそうか?」

 

垣根「はぁ?そりゃあどういう意味だ?」

 

チルノ「確かに、お前はあたいが1段階1段階冷気の威力を上げる度それに打ち勝てる熱を生み出していた。だけどそれは一瞬で、じゃなかったよな?対応するまでに時間差があった。やっぱり今まで出会ったことがない冷気にお前は戸惑ってるように見えたが?上限はない?無限?強がるなよ。お前のその能力、あたい達の世界には存在していない全く新しいものを生み出す未元物質(ダークマター)にだって限界はあるみたいだな。あたいもそうだ。あたいの能力も限界はある。だけど、あたいの限界はお前の限界とは違うぞ。あたいの限界はお前程度のやつがどんなに足掻いたところで絶対に届かない遥か高みにあるからな!!」

 

垣根「それは生物として違うからか?」

 

チルノ「……………お前」

 

垣根「この幻想郷には人間以外も居るんだろ?妖怪、あとは神とか、それ以外も居るって話だったな。お嬢ちゃんはどれなんだ?妖怪か?神か?それともそれ以外なのか?序盤の方から俺はお嬢ちゃんが人間以外の生物だって分かっていた。攻撃を当てた瞬間、人間とは全然違う感触をしてたからな。外見の体の構造は人間に似ているが、質は全然違うものだ」

 

チルノ「どうしてそれを知っている。それは幻想郷に送り込まれた他の暗部のやつらが知ってなかった情報だ」

 

垣根「ハッ。やはりな、いや当然か。あのカスどもじゃ幻想郷の連中相手だったらとっ捕まるか。拷問でもして学園都市の情報でも吐かせたか?だが誰もめぼしい情報は吐かなかっただろ?そりゃあそうだ、あいつらは最初からここで殺されるため送り込まれたんだからな。それを証拠にこの腕輪には片道分のエネルギーしか入ってなかっただろ?」

 

そう言って、垣根帝督は右袖を捲る。

第二位も他の暗部組織のやつら同様その右腕には『シルバーリング』があった。

 

チルノ「お前は違う、って言うのか?」

 

垣根「ああ。俺だけはこれに行きと帰りの分のエネルギーが入っている。そうだ、礼を言っとかなきゃな。あのカスどもを潰してくれて感謝する。俺もそうだが、アレイスターのクソ野郎も大喜びだろうな。あのカスどもを学園都市の方で処分する事もできたが面倒だしな、だったら敵を利用して処分しちまった方が楽ってもんだ」

 

チルノ「どうしてそんなことをする?あいつらはお前達になにかしたのか?」

 

垣根「やつらはいずれ学園都市に牙を剥く反乱分子になるとアレイスターは予測した。危険因子とまではいかないがそれでも面倒なことに学園都市は内側も外側も敵だらけだからな、小物一匹一匹に構ってられる暇は無いってわけだ」

 

チルノ「お前が、お前こそがアレイスターが送った『本物の刺客』だと?」

 

垣根「ああそうだ。あのカスどもが運良く一方通行に辿り着いたところで殺されるしかねえだろう。だが、俺は違う。俺は一方通行を殺すことができる。多くの人間をぶっ殺してその計算式の手に入れているからな。その中にお嬢ちゃんみたいなガキもいたっけな」

 

まぁ、アイツは死を望んでいたけどな。

と、垣根帝督は『暗闇の五月計画』の元被検者の一人の少女のことを思い出していた。

 

チルノ「どうしてそこまでするんだ。お前は無理やりやらされてない、自分からこの件に首を突っ込んだように見える。お前は学園都市の人間だとしてもお前は部外者、関係はないだろ!?これはアレイスターと幻想郷の戦争だ!一方通行がお前になにかしたか!?」

 

垣根「アレイスターは複数のプランを同時並行で進めてやがる。それらにはすべて第二候補(スペアプラン)が存在している。俺は一方通行の第二候補(スペアプラン)だ」  

 

チルノ「第二候補(スペアプラン)……?」

 

垣根「第二候補(スペアプラン)のままじゃダメなんだ。第一候補(メインプラン)にならなきゃ俺の目的の達成は不可能だ」

 

チルノ「目的だと?」

 

垣根「おかしい話だと思わねえか?俺より力もなく、そして俺よりも知能が低い野郎がこの俺に偉そうに命令しやがる。どいつもこいつも俺を下に見てやがる、弱いやつが強いやつの上に立ってやがるんだ。俺はこれに我慢ならねえ。だから血を流すことも知らず戦火の中に飛び込む勇気も無いのに戦争を起こし、いいとこで住んでは偉そうに酒を飲んだり、味がいいか悪いかも分からねぇ癖に高級料理を堪能している能無しのバカどもを引きずり下ろし俺が上に立ってやるんだ。もうこれ以上、あのバカどものいいように使われんのは癪に障んだよ。最初の方はあの街そのものをぶっ壊すって考えていたがあの街は利用できる。それに俺は最終目的を学園都市を手中に収めることにした。手に入れようとしてるもんをぶっ壊すってのは矛盾してる」

 

チルノ「学園都市の上層部、いいや学園都市そのものに恨みがあるのは分かったよ。だったら第一候補(メインプラン)だの第二候補(スペアプラン)だの気にしてないで学園都市の上層部を直接叩けばいいだろ!?お前のその力ならできるはずだ!!あたい達、幻想郷の人々や一方通行は関係ないじゃないか!!」

 

垣根「上層部を直接叩いたところでなにも変わらねえ。学園都市統括理事会の誰かを殺したとしても次のバカが補充されるだけだ。統括理事会の席に俺が座れることはない。だから必要なんだ、アレイスターとの『直接交渉権』がな。やつのプランの中枢の核となり俺を無視できねえ状態にしてアレイスターのクソ野郎が作った統括理事会に俺の席を用意してもらう。そして、俺が居なきゃ学園都市が存続できなくさせ学園都市のみならずアレイスターのクソ野郎自体も掌握することで表では学園都市のトップはアレイスターだが、本当に学園都市を操っているのはこの俺とさせる。それが俺の手にしようとしているの新世界だ」

 

チルノ「お前はその最終目的を達成するため、『直接交渉権』とやらを手にする為なら、一方通行を殺害することも幻想郷を目茶苦茶にすることもできるのかよ!?」

 

垣根「ああ」

 

チルノ「分かったよ______」

 

ここら一帯を覆い尽くしていた冷気がチルノのところへ集まっていく。

 

そして、、、

 

チルノ「______お前はここで死ね」

 

生まれて初めて氷の妖精は“人を殺す”覚悟を決めた。

 

チルノ(ここまでするつもりはなかったんだけどな。こいつをこのまま野放しにしとく訳にもいかない。こいつは幻想郷にとって危険な存在だ。ここであたいが確実に殺さなきゃこいつはあたいの友達を傷つける。そんなことさせてたまるか!!)

 

時は来た。

 

刮目して頂こう。

 

これより真なる“覚醒”が始まる。

 

チルノ「全力を持って“オマエ”を殺す。今の内に念仏でも唱えてなァ!!」

 

垣根「………アクセラ、レータ?」

 

氷の妖精の背中の羽に竜巻が発生していて、その竜巻を氷の羽は纏っていた。

その竜巻はチルノの能力により起こったものだ。

 

冷気を操る少女が光っているようにも見えた。

しかし、それは彼女の周りに小さな氷の粒が舞っていてその氷の粒が光を反射していることであたかもチルノが光を纏っているように見えているのだ。

 

垣根帝督はチルノの変わりようを見て無意識に一方通行の名を口にする。

 

チルノ「アハっぎゃはははははははははははッッ!!こォなっちまったら“オレ”は止まンねェぞォ!!」

 

垣根「こいつからどうしてAIM拡散力場が感知できてんだ。幻想郷の能力は学園都市の超能力とはまた別のものなんじゃねえのかよアレイスター!!」

 

チル丿「ォォォォアアッッ!!」

 

垣根「チィッ!!」

 

二人の間にあった開いた距離。

それが一瞬で縮まる。

 

裂いたような笑みを浮かべる氷の妖精は固く握られた鉄拳を第二位に放つ。

 

垣根「そうか、一方通行のヤロウ。このガキに学園都市の超能力の開発、そしてテメェの自分だけの現実(パーソナルリアリティ)を植え付けやがったのか」

 

チルノの拳を背中の白い翼で防御するが、彼女の手から直接送られてくる冷気はあまりにも強力過ぎて彼女が変化する前の冷気までなら無効化できるほどの熱を宿していた白い翼が一瞬で凍り付く。

もしもこのままだと、垣根帝督本体にまで冷気が届いてしまう。

第二位はすぐに背中の白い翼を切り離し、そしてまた新たに白い翼を背中から生やすとチルノから距離を取るように後方へ飛行を開始した。

 

垣根「一方通行のクソ野郎。ただ第一位の王座でふんぞり返ってるだけのクソ野郎かと思いきや、ちゃんと第一位としての特権を存分に使ってやがったのか。この俺じゃ他人に能力開発なんてできねえ。できたとしても未元物質(ダークマター)を植え付けることだけだ。だがそれをやったところで俺の能力に耐えきれずそいつは自我を失い一分も経たずに廃人となる。クソったれ、俺はいつも学園都市が行ってきた重要の実験には参加させられなかった。これが第一候補(メインプラン)か。第二候補(スペアプラン)の俺じゃできねえことだ。第二候補(スペアプラン)じゃ知り得ない情報、それと自身のベクトル操作という能力を使って、このガキに学園都市の超能力開発をした。しかも超能力開発だけじゃなく元々持っていた能力の向上もさせてやがる」

 

幻想郷の能力者に学園都市の超能力開発を行うとどうなるか?

新たな能力に目覚める?

元々持っていた能力が更に強力なものに強化される?

 

どうやらその答えは後者だったようだ。

 

チルノ「どォしたどォしたァ!?鬼ごっこかァ!?」

 

垣根「クソ。一方通行の攻撃性だけじゃなく、やつの防御性もしっかり植え付けられてやがる」

 

背中の白い翼の形をした未元物質(ダークマター)を巨大化させて、左右から挟み潰すように6枚の翼を大きく振るった。

が、しかし。その翼はチルノの近くまで行くと凍り付き、凍った翼はひとりでに砕け散った。

 

氷の妖精が変貌する前から来た攻撃を凍らせる冷気は彼女の周りに貼られていたが、それは今までのとまるで違う。

 

そう。その目に見えぬ冷気のバリアは演算式があった。

一方通行の『反射』。その演算式を応用してチルノの冷気バリアが作られている。

しかもその冷気バリアは自動。

五感のどれかで感じずとも勝手に攻撃を凍らし防ぐことが可能である。

 

垣根「だが嬢ちゃん、失敗だったな。一方通行と同じってならやつは反射、嬢ちゃん凍結だか仕組みは一緒だ。無意識の内に有害と無害のフィルタを組み上げて必要のないものだけを選んで凍らせている。嬢ちゃんは人間ではなくても、周り全てのものを凍らせたら困るのは嬢ちゃんの方だ」

 

チルノ「あン?」

 

再び垣根帝督の背中に白い6枚の翼が顕現する。

 

垣根「さっき翼で攻撃をしたが、それぞれ翼1枚1枚に25000通りのベクトルを注入しておいた。後は凍結の具合から嬢ちゃんが無意識に受け入れているところから攻撃を加えればいい。ここはもう異物の混ざった空間。嬢ちゃんの知る場所じゃなくなっちまってんだよ!!」

 

チルノ「だからどォしたァ!!」

 

もう一度、垣根は白い翼を放つ。

チルノはそれをギリギリで躱すが頬を掠めた。

 

第二位の翼は氷の妖精に近付いても凍ることはなかった。

 

垣根「俺の未元物質(ダークマター)が混ざったこの世界の中で死んでいけ」

 

チルノ「なンだなンだァ?攻撃が届いてそンなに嬉しいかよ三下ァ。“オレ”の冷気のバリアをこンな短時間で突破できたのはスゲェよ、素直に感心しちまったぜ。だけどよォ、“オマエ”は“オレ”に触れられたら一撃死ってのは変わらねェンだよ。“オレ”の冷気は“オレ”から離れれば離れていくほど弱まっていく、が。“オレ”が直接相手に触れ冷気を送り込めばイイだけのことだ。今さっき体験したはずだ。そして知っただろ?“オレ”のこの手から直接送り込まれる冷気を無効化、もしくは押し返せる熱はオマエの未元物質(ダークマター)じゃ生み出せないってァ。だからオマエはずっと“オレ”から一定の距離を保っている」

 

垣根「当たらなきゃいい話だろうが……ッ!!」

 

チルノ「“オレ”のバリアだけ解析できただけじゃあ、まだ勝利には近付けてねェよ。バリアなンてあくまでオマケ程度のモンだからなァ!!」

 

垣根(チッ!確かにこのガキの言っている通りだ。さっきからあのガギがやっている瞬間移動。それがどういう原理でやっているのかさっぱり解らねぇ)

 

現れては消えて、また現れたと思ったら消える。

本当に少女の言っている通り、バリアなんてオマケ程度のものだったのだろう。

垣根帝督がバリアを突破する術を身につけたと知ると、氷の妖精は飛翔速度を加速させた。

それは視界情報の撹乱を狙ってである。

 

やつの能力は一つ。それは分かっているが、冷気を操る能力だけでどうやって瞬間移動を可能とさせている?

ただ速く移動している。だけじゃ説明できない移動速度だ。

 

それはまるで空間移動(テレポート)のようだった。

 

チルノ「オマエの能力は想像力と直結している。想像力が乏しけれりゃァ、“オレ”に攻撃を当てることはもう不可能だ!!まァ、ただの人間じゃァその程度で当たり前だろォがなァ!!」

 

垣根「チッ」

 

空で繰り広げられている高速戦闘。

槍の形や剣の形をした氷と白い翼から放たれた白い複数枚羽根が飛び交う。

垣根帝督はなるべくチルノを近付かせないように戦い、チルノはちょっとでも意識を逸らさせるように氷の攻撃を放ち垣根帝督が距離を縮まらせられる隙を見せると接近する。

 

が、

 

チルノ「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははッ!!ぎゃははははハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハーッ!!!!」

 

それはもう、一方通行と瓜二つのところまで達していた。

チルノの背中の氷は羽は全て無くなり、白い怪物と同じ噴射に近い二本の翼が氷の妖精の背中から伸びていた。

背中から飛び出て翼の形を作る冷気は勢いは凄まじい。

 

チルノ「イイねェイイねェ最っ高だねェ!!最っ高に気分がイイぜェ!!あはぎゃはハハハッッ!!!!」

 

垣根「制御が効いてねえ、能力が独りでに暴走をしてやがる。能力に意識が、脳が、体が追いつけてねえのか」

 

理性と自我。その2つ彼女の中から消えていく。

そして、自分の能力で自分自身が凍りついていっていた。

 

垣根「正気を失ってんな。まだ完全にものにできてねぇ力を使うからそうなんだよ。ここまで戦ったんだ、俺の能力でトドメを刺してやる」

 

ああなってしまったら一方通行の居場所は吐かせられないだろう。

 

垣根帝督は6枚の翼を一斉に放つ。

氷の妖精はもう自我は完全に失ってしまっている。

冷気を操る少女はその場で静止し狂ったように笑っているだけだで、こちらの攻撃には無反応だった。

 

垣根「これでお別れだ」

 

放たれた翼は少女の体を串刺しにして、垣根帝督のその白い翼は真っ赤に染まる。

 

………………そのはずだった。

 

 

垣根「なに……ッ!?」

 

ビキビキビキビキ!!

バリバリバリバリ!!

 

チルノは全身が完全に凍りついていた。

しかし、彼女の凍った体に亀裂が入っていく。

するとその亀裂から青い光が漏れ出ていた。

 

垣根「あのガキになにが起きてんだ!?」

 

白い翼の攻撃は氷の盾に防がれていた。

 

正体不明。理解不能の力を前に垣根帝督は動揺を隠せずにいた。

 

そして。そして。

 

氷の妖精の最終形態。真なる覚醒が完成する。

 

「万物は我が下にある。跪け!怯ろ!(あたい)の世界で凍え死ね!!」

 

垣根「なんなんだよ。テメェは誰なんだ!!」

 

「我は絶対の力を有する神を超えた神。氷の神の女帝。“神帝”である」

 

そこには“少女”は居なかった。

髪は腰まで伸びていた。

色は水色。しかし、髪の毛先の色は深みのある青色があった。

背丈もあり胸にも膨らみがあって、それは大人の女性と言えるほどである。

 

服装も変化している。

足が全体隠れるほどの淡い色の青いロングドレスを身に纏っていた。

胸の部分には小さな赤いリボンあり、腰にも赤いリボンが巻かれていて、右腰のところで大きく結ばれている。

ドレスのスカートの部分には氷の結晶のデザインが施されていた。

 

チルノ「絶対零度の世界では(あたい)の許しがなれば呼吸ことすら叶わない。さあ築こう、絶対零度の世界を。我が氷の城を。そこをオマエの墓標としよう」

 

氷の神帝の頭上には氷の輪があり背中にはこの世のものとは思えないほど幻想的な美しさのある2枚の氷の翼はあった。

 

彼女は動かない。

そこから指一本も動かさなかった。

 

が、しかし。瞬きする間に彼女の前に絶対零度の世界が広がっていた。

その場の気温はなんと−273℃。

 

能力を覚醒させたチルノは妖精から神以上の存在と進化した。

今の状態なら魔界の唯一神、神綺と純粋の戦いをしたとしても互角の勝負ができるだろう。

 

チルノ「フン」

 

高さはなんと百メートルを優に超える氷の城。

その前に優雅に着地する氷の神帝。

 

氷の城の巨大な扉を手を使わず開く。

 

4階まである城。

 

その城の3階まで中にある階段で登っていく。

 

到着した3階。

 

氷の城の3階は全体がなんとダンスホールとなっている。

その中心となる位置に氷漬けの人間が“一つ”。

 

チルノ「(あたい)の能力は防御不可能、完全で絶対の力だ。もし、そこから出れるとするなら(あたい)が力を解くしか無い。しかし、生憎そのつもりはない」

 

そして。

氷の神帝はダンスホールを一望すると、、、

 

チルノ「命以外を凍らした。殺そうとしたけど、ここまですればもうなにもできまい。こいつは悪人だが学園都市の上の連中に恨みがあり頑張って説得すればこちら側に立ってくれるだろう。それか力で言うことに聞かせればいい。さて、あとはこの絶対零度の世界が溶けていくのを見送るとするか。一気に溶かしてやりたいが、力が強力過ぎて自分でやったくせに溶かすのに時間が必要なんだよね」

 

勝敗は決した。

垣根帝督の能力と意識、そして時間が凍っている。

チルノの能力は目に見えぬものすらも凍らせる。

 

チルノは3階のバルコニーまで移動してゆっくりと氷の世界を眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだ俺は終わっちゃいねえぞ」

 

絶対零度の世界は蒸発した。

そして森全体が蒸気によって包まれた。

 

チルノ「ばか、な。バカなバカなバカな!!どうして!?」

 

垣根「俺の能力は創り、創ったものを操る能力だ。肉眼じゃ見ねぇくらい小さいマイクロサイズの未元物質(ダークマター)。それに命令したんだ、未元物質(ダークマター)がまた使用可能になるくらいに凍った本体を溶かせってな」

 

チルノ「まだ完全に凍らせられてなかったのか!?」

 

垣根「俺自体は完全に凍らせられたよ。いやぁ、ここまでとは予想できてなかった。あのままなにもしていなかったら俺は確実に死んでいたな。だが俺がテメェの冷気で凍らせられるのは計算通りだった。俺の未元物質(ダークマター)とお前の冷気らその二つを正面からぶつかれば俺の能力が負けるのは分かっていた。だから俺本体が凍らせられてもいいうようにって備えをしていたんだよ。テメェは言ったな?自分の能力は自分の体から離れれば離れていくほど弱くなると」

 

氷の城も蒸発して消えてしまった。

チルノと、垣根帝督は空に浮いた状態だった。

 

チルノ「オマエ……、(あたい)の冷気が届かないところ、(あたい)の絶対零度の世界の外側にまでオマエは未元物質(ダークマター)を撒いていたのか」

 

垣根「俺の未元物質(ダークマター)はお前の冷気と違い俺からいくら離れたところで能力が弱くなることはない」

 

チルノ「だからどうした、また凍らせてやればいいだけのこと!!」

 

油断をし過ぎた。

そう反省をしたいがそれは後だ。

絶対零度の世界に侵入できたとしても、それで凍った垣根帝督本体の周りの氷を溶かせられるはずがない。 

 

この変身は初めてだった。

変身するだけにも力を消耗する。

疲れが出てしまったのだろう。

ずっと気を張り詰めていたつもりだが、どこか気を緩めた瞬間がありそこを第二位に突かれてしまったのだ。

 

垣根「この俺がただ本体の氷だけを溶かしただけだと思うか?」

 

ニヤリ、と垣根帝督は笑う。

そして白い6枚の翼の大きさを変化させる。大きさは20メートル。

それはただ大きさを変えただけじゃない。

垣根帝督はこの戦いのなかで自身の能力を更に理解することができて、より強力なものと『未元物質(ダークマター)』を進化させた。

 

チルノ「ぐぁああああああああああああああああああッッッ!!??」

 

垣根「テメェの能力の解析は既に完了している。何度も言うがテメェの能力の弱点は熱だ。能力そのものや、人の時間を凍らせられてもその冷気を打ち消せる熱をぶつければお前の能力は無効にできる。その変身も例外じゃねぇだろ」

 

チルノ「………ハァ……、ハァ………ハァ………」

 

垣根帝督から放たれた熱が込められた波動。

それを浴びたチルノの体が蒸発していき、、、

 

そして、姿形が氷の妖精に戻っていた。

 

垣根「そう、時間な。常識外れな力だ。時間なんてものを凍らせられる力がこの世にあったとは」

 

余裕のある態度だった。

しかし垣根帝督は氷の妖精に恐怖していた。

もしもあのまま絶対零度の世界を解かなかったら、いくらその絶対零度の届かない場所に未元物質(ダークマター)があったとろこで本体の救出は無理だっただろう。

勝ったと油断して、力を緩めてくれたからこうやって形勢逆転できたのだ。

 

垣根(チッ。やつの油断あってこそのこの状況。認めたくねぇなクソボケが…………)

 

あのままなら死んでいた。

そう軽く言っていたが、この初めて味わう敗北感。

それは垣根帝督のプライドを大きく傷つけた。

 

垣根「殺す……ッ!!」

 

チルノ「クソったれが!!」

 

全身全霊で相手する。徹底的に、とことん最後まで、だ。

もうあんな思いをしたくないと、ここでこいつを生かして返せばもしかしたら次は殺されてしまうかもと、垣根帝督は能力を全力でチルノに向ける。

 

 

そして。

変身を解かれ、能力の余力も残り少なく絶体絶命の大ピンチ。

しかし少女の目から闘志は尽きていない

 

両方の手に冷気の竜巻を作り、それを垣根帝督に放つ。

 

 

垣根「威力が落ちているな。この翼で簡単に防げたぜ、しかも全然凍らせられずにな」

 

チルノ「く、クソ。だァァァァァ!!!」

 

真正面からの突進。

弾幕を撃つ力も残ってない。

 

最後の武器。

己の肉体。それを砲弾のようにしての突撃攻撃。

 

だが悲しいことにそんな攻撃では第二位に届くことはない。

 

向かってくる氷の妖精に白い翼の連撃を浴びせる。

後ろに吹っ飛ぶことはない。

もうこの場は垣根帝督の思うがままにできるのだ。

 

垣根「これは痛えぞ?」

 

チルノ「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああーっ!!!???」

 

白い翼、その1枚でチルノの右足を掴む。

そして力を更に入れることで氷の妖精の右足を粉砕骨折させた。

しかし、それだけで終わらせない。

 

冷気を操る少女の足を掴む翼に300℃以上の熱を纏わせる。

 

垣根「はははははははっ!!散々やってくれたんだ、たっぷりお返ししてやるよ!右足がこんがり焼き上がったら次は左足だ。そして右手、左手って順を追って全身を焼いてやる。まぁ最後までテメェが意識を飛んでなかったらだがなァッ!!」

 

幼い容姿の少女相手だというのに容赦がない。

チルノは涙が目に浮かぶほどの痛みに絶叫をする。

 

垣根「氷の剣?そんなんで俺の未元物質(ダークマター)は斬れねえぜ」

 

チルノ「だ、けど。あたいの斬りたいものは斬れる!!」

 

氷の剣を作ると、その剣を両手で握り狙いを定めた場所に思いっきり振り下ろす。

 

………………、そして、だ。

 

チルノは垣根の白い翼から脱出を成功させた。

 

 

垣根「イカれてんのか、テメェ」

 

チルノ「正気だっつの。死ぬよりかは安いもんだろ、足の一本くらい」

 

声は震えていたし、涙は大量に流していた。

 

“片足の氷の妖精”。

失った右足があったところには赤い氷柱(つらら)があった。

多くの流血を防ぐため傷口と血を凍らせたのだ。

 

垣根「もう足は作ったか。じゃあこの足は要らねえな?」

 

チルノ「冷気の出力、全開ッッッ!!」

 

掴んでいた足をどうやってかは解らないが、垣根は白い6枚の翼を大きく広げるとそこにはチルノの右足はなくなっていた。

 

痛くなかった。と、言えば嘘になる。

傷口を凍らし感覚を麻痺させることで今は痛みがないが、自身の足を斬った時は激痛がした。

 

凍らしている場所は足以外にもある。

ここまで垣根帝督の攻撃を一発を受けてないと、いうわけではなかった。

彼女の服によって隠された場所にも傷が多くある。

チルノは、傷を負った場所全てを凍らせて感覚を麻痺させている。

痛みにより動きが鈍ることを避けるためだ。

 

背中から冷気が勢いよく飛び出す。

 

そして。そして、

 

垣根「速ぇな。まだそんな力が残っていたか」

 

不規則な動きで空を高速に飛ぶ氷の妖精。

背中の氷の羽も消え、力も残りわずか。

瀕死の状態でなにができるというのだろうか。

 

しかし、垣根帝督は全神経を研ぎ澄ませ次に来る攻撃に備える。

追い詰められたやつの捨て身覚悟の攻撃は一番警戒しなくてはならない。

暗部として活動して仕事をこなす日々の中、一つの仕事で追い詰められたやつが自分の命を顧みず敵を道連れにしようとしてきたやつが居たのだが、結果は垣根帝督は傷一つ負わなかった。

しかし、追い詰められたやつが一番危ないと思い知らされた。

 

垣根(読めねぇな。なにをしてきやがる)

 

この大空を存分に利用して、飛び回る氷の妖精。

 

垣根(撃ち落とすか?いや、無駄に能力を使わせることが狙いか?)

 

ここまで冷気を操る少女には何度も驚かされ、そして何度も負けるかもしれないと思わされた。

慎重になり過ぎとはならない。

 

それに第二位は見た。

あの氷の妖精は勝ちにきている。

やつの頭の中には自分を倒すイメージができているのだろう。

 

チルノ「冷気の出力を最大にしてその冷気を推進力に変化させることにより可能とする高速移動ッ!!この速度にやつの未元物質(ダークマター)は追いつけてない。あたいもそうだが、やつもこの戦いで疲れている。これなら、いける!!」

 

これが、最後の一撃。

残された武器はこの肉体一つ。

 

チルノ「絶対勝つ!!」

 

垣根「テメェは絶対に俺の未元物質(ダークマター)で殺してやる!!」

 

勝負は一瞬。

チルノは高速に第二位に向かって突撃する。

 

垣根「どこに_______」 

 

チルノ「だりゃァァァァァァァァああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!!」

 

肉眼でも、能力でも捉えられない速度。

そんな動きをしてしまえば体にはとてもつもない重力の負荷がかかるだろう。

 

 

一直線に突撃してきたかと思ったが、チルノの姿が消える。

もう時間を凍らせられることはない。

垣根帝督は氷の妖精の時間を凍らせる力を無効にする対抗策を手に入れている。

あの変身さえなくなれば正面から戦えるのだ。

 

しかし、だが。

 

未元物質(ダークマター)の反応速度を超える一撃。

チルノは垣根帝督の背後に回ると体を縦に回転させてやつの頭に蹴りを食らわせてやる。

 

咄嗟に白い6枚の翼で防御に移るが、それよりも先にチルノが攻撃を食らわせたのだ。

 

そして。

 

第二位はそのまま地面に向かって蹴り飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チルノ「ぐ…………やった」

 

ふらふらと地面に着地する。

そこには巨大な穴があり、その奥底にはやつが倒れていることだろう。

 

チルノ「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。もうなんも力が残ってない。あたい………ここで、死ぬのかな………」

 

糸が切れたように地面に倒れ込む。

全ての氷が溶けていった。

足の血の氷柱も溶け、彼女から流れた血は地面の土に吸わていく。

 

チルノ(なんだろう、視界も……だんだん狭く………ああ、これは本当に死んじゃうな、あたい)

 

目蓋が重く、目がゆっくりと閉じていく。

 

が。

目が閉じていくなかで見えたものがあった。

 

それは最悪なもの、、、、、

 

チルノ「……………………まじ、か。あれを耐えるかよ。ってかせめて意識ぐらい失ってろよ。あたいが蹴ったのは頭だぞ…………?バケモノが……」

 

垣根「……………………………」

 

生気は抜けていき、重症の体で地面に倒れる少女の前に立つのは頭から血を流している第二位だった。

 

垣根「死ぬ前に負けを認め、一方通行の居場所を吐け」

 

チルノ「あたい、は……お前に負けてない…………」

 

垣根「………残念だ。だったら約束通りお前を絶望させてやる。この誰も助けも来ない状況でしかも瀕死の状態でテメェは俺の能力にどこまで耐えれるんだろうな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして。

激戦が繰り広げられた森から少女の絶叫が響き渡る。

 

 

 

 

 

 

 

 






次回・第四章・第十四話

【第一位と第二位】


もうそろそろだ。もうそろそろで“彼”が目覚める。

おはよう“私の希望”。“やつらにとって絶望”。

私からのお願いだ、忌々しい幻想郷を破壊してくれ。

跡形もなく、存在ごと抹消してくれ。


やつらはきっと泣き叫び、絶望することになるだろう。

今まで戦ったこともない絶対的な強者を前にして。


……………『最終計画』も近い。









幻想郷が崩壊するまで、、、、、『2』
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