幻想郷を一方通行に   作:ポスター

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【第一位と第二位】(後編)

二人の超能力者(レベル5)が幻想郷でその絶大な力を激突させる。

一方通行と垣根帝督はそれぞれ違う少女の姿を思い浮かべていた。

第一位は自分にまた新たな光を見せてくれた自慢の教え子を。
第二位は最後まで守りきることができず最終的に失うことになった哀れな少女を。

出会うべくして出会った超能力者(レベル5)同士の一歩も引けない戦いが始まった。


そして………。
幻想郷に学園都市の暗部達が襲来したことにより起こった異変は幻想郷の歴史の中でも“最悪の姿”で幕を閉じることになる。


※誤字脱字などのミスが必ずあると思います。
それをご了承のうえ読んでいただけると幸いです。
しかし、そういったミスが多いのをご不快に思う方にはブラウザバックをオススメします。


15話

 

日が落ちようとしていた時刻に、であった。

空を高速で飛行する小さな物体があった。もしもそれが見えたとしても地上からだったら小さな点にしか見えないだろう。

 

白い頭に白い肌、そして赤い瞳。

学園都市だけに留まらず幻想郷でも最強と呼ばれている超能力者・一方通行(アクセラレータ)

 

最強の超能力者は自身の能力、ベクトル操作を駆使して背から4つの竜巻を伸ばし上空を飛行していた。

飛行速度は優に時速100Kmは超えていた。

 

一方通行の顔色には焦りが見えた。冷静なんて一ミリもなかったのだ。

天才的な頭脳の持ち主であり最強と呼ばれている一方通行が何故そこまで冷静でないのか?その理由は自慢の教え子である氷の妖精・チルノが現在危機的状況に陥っているからだ。

 

幻想郷に最後に到着した『刺客』と戦いチルノは敗れてしまったらしい………。

そして今はその『刺客』に惨いことをされているのだ。

その事実を知った一方通行は自慢の教え子を救出するため空を高速で飛翔している。

 

だが………、しかし。

一方通行の体は重傷。

頭も体も包帯でグルグル巻き。

体内だって内臓はズタズタのボロボロ。

傷は塞がってない。自身の能力『ベクトル操作』を使用すれば簡易的ではあるが傷を塞ぐことだってできるのだがそれは一方通行が能力を使うのに支障がなければの話だ。

 

現在の一方通行は重傷であり月の一件などで披露もあった。

そんな状況では超能力など少しも使えない。

 

ふかふかのベッドを用意してそこで睡眠を取らなければいけない。

一歩も動いてはいけない。外出するなんて論外だ。

もしも彼が一番やらなければいけないことがあるとしたらそれは“休息”である。

しかし一方通行は拒んだ。寝てなんかいられなかったのだ。

一方通行は自身の体に麻薬を投与して痛みや疲労感などを忘れさせることで一時的にではあるが動けて尚且つ超能力も使えるようにした。が、超能力が使えるようになったとはいえ使える能力は本来の半分にも満たない。

止血。傷を塞ごうと能力を使おうとすれば集中する時間を要するのだ。

一分一秒も無駄に出来ない今の状況で“たかが重症”だからと言ってどこかで休むわけにはいかない。

幻想郷最強の超能力者は我が身を労ることは一切せず、チルノの救出を最優先したのだ。

 

一方通行「クソったれ。どこに居る……ッ!?」

 

チルノがどこに居るのか正確な位置は知らない。

彼を心配して止めようとしていた博麗神社に居る彼女らを振り切り最強の超能力者はチルノの救出に向かった。

ここで少し最後の『刺客』とチルノの居場所くらい聞いてから飛び出せばよかったと後悔する。

しかし。しかし、だ。

 

一方通行「____そこか!!」

 

明らかにそこで大きな戦いがあったであろう痕跡が上空からでも発見できた。

普段ならそこは草木が生い茂る緑が溢れる地帯。

でも一方通行の目に映った光景は大地は荒れてたり抉れていたり、木々達は薙ぎ倒されていた光景だった。

 

一方通行はそこで幻想郷に最後に到着した『刺客』とチルノがそこに居ると踏んで飛翔速度を加速させる。

その途中、自分の服の中に手を突っ込むと体に巻かれている包帯を引きちぎり血で赤く染まった包帯を空中で投げ捨てた。

頭に巻かれている包帯も彼は取ってしまった。

だが、血が流れ出てくることはなかった。

ベクトル操作で傷口から一滴も流れないように血液の流れを操作しているからだ。

 

一方通行(待っていろよチルノ。必ずオマエを助ける!!)

 

そして、見つけた。

巨大な穴の付近で立っている6枚の白い翼を背中から生やす野郎と地面に伏せて踏みつけられている氷の妖精の少女の姿を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これまでのことで歯車が狂ったなんてことは一度もなかった。

 

なにも間違っていない。この物語が始まった最初の時点でこうなることは決定していたのだ。

 

『始まるぞ。楽しい楽しいショータイムが』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

背から4つの竜巻を伸ばして上空を飛行していた一つの影が急速降下して地面に着地する。その時、大地は揺れ轟音が響く。

 

一方通行「離れろよ___」

 

垣根「まさかこっちのお目当ての野郎から俺のところに来てくれるとはな。そうか、そんなに大事かこのガキが」

 

一方通行「___今すぐチルノから離れろってのが聞こえねェのか三下ァ!!」

 

背中から6枚の白い翼を生やす一方通行と同じ超能力者(レベル5)で第二位の垣根帝督。

やつの足元には“普段とは違う色”のチルノが倒れていた。

 

垣根「三下……?この俺に向かって三下だと?ははっ、お前が初めてだぜ学園都市の人間で俺に面と向かってそんな台詞吐いたやつは。どいつもこいつも第二位であるこの俺の顔色伺って地雷踏まないよう言葉選んでよ、裏では見下したり罵倒してるっていうのに。それなのにテメェは俺の顔を見ながら確かに声に出して三下と言った。それはテメェが第一位だからできる立ち振る舞いってやつだ。格下の顔色なんて伺う必要ねえよなー?言葉なんか選ばなくてもいいよなー?でも___」

 

そう続けると、第二位は背中にある6枚の白い翼を大きく広げる。

 

垣根「___この状況じゃあ違うんじゃねえか一方通行?」

 

一方通行「…………ブチ殺してやるメルヘン野郎」

 

垣根「おいおい殺気立つなよ、テメェの殺気にあてられてうっかりこのガキを殺しちまったらどうするんだ?そうなったら困るのはそっちだろうが。テメェはこのガキを助けに来たんだろ?」

 

まだチルノに息はあった。そのことに一方通行は安堵する。

しかし動揺もしていた。

 

氷の妖精の少女は元々肌が白い方だった。でもそれは女の子の健康的な白さであってまるで作りもののような白さではない。

チルノは絵の具かなにかの塗料で塗りたくられたように異様なまでに白い肌に白い髪をしていた。

 

垣根「あ?このガキの変わりように驚いてるな?いいだろう教えてやるよ。まずは感謝しろよな一方通行、俺の慈悲あってこいつはまだこうして生きていられるんだぜ?もしもあのまま瀕死の状態で放置していたらこのガキは確実に死んでいた。だが俺は俺の能力、未元物質(ダークマター)でこのガキの負傷した箇所を治してやったんだ。失った右脚だってそう、俺の未元物質(ダークマター)で新たに脚を創ってやった。でもなこのガキを治してやっている時ちょっとしたサービスをしてな。傷を治してやってる時にこのガキの体全体に未元物質(ダークマター)を流し込み体の構造、細胞の一つ一つまで作り変えてやったんだ。つまりだ、このガキは俺の操る未元物質(ダークマター)そのものになったんだよ!!」

 

一方通行「クッソ野郎が……ッ!!」

 

垣根「だーから言ってんだろ殺気立つなって。落ち着けよ、なあ?」

 

今すぐに教え子を助けてやりたい。捕らえられたチルノをやつから開放してやりたい。

ニヤついてるメルヘン野郎を遥か彼方まで殴り飛ばして、チルノを取り戻し永遠亭まで運ぶ。

そうすればきっとあんな体になってしまっても永琳たちなら以前の元気に太陽のように笑ってくれるイタズラ好きのいつものチルノに戻してくれる。

 

だけど。最強の超能力者の足は動かなった。

 

垣根「俺の操る未元物質(ダークマター)になったってことはこのガキのすべてが俺の手中だ。それがどういう意味か分かるよな?」

 

一方通行「___関係ねェよ」

 

そうやって吐き捨てると一方通行は赤い瞳で垣根帝督を睨みつける。

 

一方通行「___俺は“第一位”だ」

 

垣根「へえ、じゃあテメェのそのご自慢の力で俺という悪党から助けてみせろよヒーロー。なあ!!」

 

ボギッッ!!!!

そして第二位は第一位の目の前で自身の足元で倒れている少女の腕を踏んでへし折ってみせた。

 

チルノ「あ……がぁ………ッ!?」

 

一方通行「チルノォ!!」

 

垣根「あはははははははははははっ!!!!だから言っただろうがこのガキの体は俺の操る未元物質(ダークマター)になったってよ!!体の強弱や痛覚に至るまですべて俺の意識で自在に調整できるんだぜ!?」

 

一方通行「やめろ……」

 

垣根「やめろ?違うだろ?やめさせるんだろうが第一位様よォ!!テメェの力に自信があんならその力で俺からこのガキを救ってみせろォ!!あァ!?」

 

そして、また垣根帝督はチルノの体の踏みつける。

全身の性質が未元物質(ダークマター)に変えられてしまった少女は腕や肋骨が折れてもすぐに治る。

しかし痛覚はあった。

未元物質(ダークマター)を操る第二位が言うには痛覚を上げることができるらしいので、尋常じゃない痛がり方をしているのを見る限り想像を絶する痛みなのだろう。

 

先程まで気絶していた少女を垣根帝督は痛めつける。

その光景を大人しく指をくわえて眺めているなんて第一位はできなかった。

しかし、もしもちょっとでも動けば第二位が何をしでかすか分かったものではない。

一方通行の中では不甲斐ない自分と垣根帝督への怒りが込み上げていた。

 

そして。そして、、、

 

「い、たいよ…………」

 

第二位の笑い声が響くこの空間に小さな声が聞こえた。

 

「怖いよ、たすけて…………一方通行」

 

その小さく弱々しい声の出所は直ぐに分かった。

 

“チルノ”だった。

大切で大切で仕方がない最強の超能力者の大事な生徒。

彼にできた初めての教え子から出た助けを求める声。

 

 

それから……、なにが起きたか一方通行自身わからなかった。

ただ、第一位の眼前には横幅が20メートル以上のそれがどこまで先に続いてるか調べるのが苦労しそうなほど、草木や小石もなんにもない一本の平坦な道ができていた。

 

そして、だ。

一方通行は地面に倒れていた全身が白く染まっていたチルノの体を抱きしめていた。

 

「よかった___」

 

そう呟いたのは“助けた者”ではなく、“助けられた者”。

氷の妖精・チルノだった。

 

少女は続けて、、、

 

チルノ「___“最後に”一方通行に会えて」

 

一方通行「なにバカなことォ言ってやがる。こンなところでオマエは死なせねェ。絶対オマエを元の姿に戻してやる」

 

チルノ「無理だよ。いくら一方通行が強くても、凄くても、不可能だ………」

 

一方通行「へっ、らしくねェなチルノ。気付いてねェのか?オマエの体は完全にやつの未元物質(ダークマター)になっちゃいねェ、まだ微かにだが元の部分が残ってる。微かだがその程度でイイ、少しでも元の部分が残ってりゃあ永琳ならオマエを元の姿に戻せる。まずは永琳のところに届ける前に俺のベクトル操作でオマエからやつ未元物質(ダークマター)を取り除いてやる___」

 

完全に詰みというわけではない。まだ希望はある。

一方通行はそう考えていた。

 

しかし氷の妖精は白い彼の顔を見ながら涙を流す。

 

チルノ「それはあたいが生きていたらの場合。……ごめんね、せっかく助けに来てくれたのに……もうあたいは死んじゃったんだ」

 

一方通行「____ッ!!!!」

 

チルノ「あたいの体だから一番あたいが理解してる。あたいね、やつとの戦いで力を全部使い切っちゃったんだ。もう……あたいにはなんにも残っちゃいない。こうして一方通行と話ができてるのはやつの未元物質(ダークマター)で生かさているから………」

 

チルノの瞳が、、、

 

一方通行の腕の中にいる少女の左目が黒く変色し始めた。

これがなにを意味するのか第一位はわかっていた。

 

時間が経つにつれて第二位の未元物質(ダークマター)の侵食は進んでいく。

一方通行はその侵食していく速度を自身の能力で止めようとした。

しかし遅かった。もう手遅れだったのだ。

チルノの言う通り氷の妖精の少女の肉体は死んでいた………。

 

一方通行「…………ふざけるな」

 

チルノ「………完全にやつの未元物質(ダークマター)になってあたいの意識が無くなり、やつの操り人形になってしまう前に言い残したいことがあるの」

 

一方通行「………ふざっ……けンなよ……」

 

どうにもならない。

叫んだところで状況がいい方向に傾くなんてことは現実では起こらない。

抑えられないその気持ちを周りにぶつけたってそれでチルノが助かるわけでもない。

 

霊夢にやった死者蘇生の魔法。

それには条件がいくつかある。

 

まずは蘇生したい者が死んでから直ぐに行わなくてはならないこと。

そして、次が蘇生したい者の魂を入れる器が必要なこと。

 

1つ目の条件は問題ないだろう。

 

しかし2つ目の条件が問題だった。

 

例え模倣能力でチルノの体を創ったとしても一方通行の模倣能力は本物を創れない。創れるのは偽物だ。

 

あくまで第一位が幻想郷に来て目覚めた第二の能力は本物に限りなく近く模倣する力。

 

 

肉体と魂。

この二つには相性のようなものが存在する。

どちらも液体であるというのに水と油を同じ容器に入れても混ざらないように、別の肉体に他の魂を入れると反発するかのように拒否反応が発生して魂が肉体から飛び出てしまうのだ。

 

本体の部分が8割ほど残っていたら良かったのに………。

 

氷の妖精は体の9割が未元物質(ダークマター)となってしまっていた。

 

チルノ「___一方通行(アクセラレータ)。“ありがとう”」

 

体の感覚もなくなってきた。

視界も狭まってくる。でも少女は口を閉じることはしなかった。

 

一方通行「なにがありがとうだ。俺はオマエを助けられなかった……ッ!!」

 

チルノ「____あたいは既に一方通行に救われていたよ。知っていた、あたいは最強じゃない。あたいは弱い。それを誰よりも知っていたから言葉だけでも、響きだけでも最強になろうとした。強くなりたかった。まるで自分が強者であるかのように演じた。あたいは弱いあたいが嫌いだった。でも変わろうとはしなかった。自分に自信がなかったんだ、誰もあたいが強くなれるなんて思っていないように自分でも強くなれるなんて思えなかった。けど、一人だけ違った。一方通行、お前だけはあたいが強く、最強になれると信じてくれた。でもね、ダメだったよ。あたい、弱いままだった。一方通行は信じてくれたのに、いっぱいあたいが強くなるために手伝ってくれたのに、なに一つ成長もできなかったダメダメで弱いあたいのままだった。ごめんね………」

 

一方通行「どこが弱い……オマエのどこが弱い!!自分の弱さを知りそして自分と向き合い、弱い自分から強い自分に変わろうとしたオマエはどこも弱くなンてない!!怖かったはずだ、目を背けたかったはずだ、逃げたかったはずだ。もしも努力しても変われなかったら、すべて無駄に終わってしまったらって恐怖したはずだ。でもオマエは恐れることもなく、まったく弱音も吐かず前を見て、前だけを見てこンなにも強くなれたじゃねェか!!オマエは最強だ!最強()が唯一認めた最強だ!!これは誰にも文句は言わせねェ!!」

 

チルノ「…………うん。ありがとう、ありがとう一方通行」

 

意識が遠のく。

 

その時、既にチルノは首から下の感覚はなくなっていた。

 

チルノ「幻想郷に来てくれてありがとう。幻想郷を救ってくれてありがとう。あたいと出会ってくれてありがとう……、生まれてきてくれてありがとう」

 

一方通行「………いやだ。ダメだ逝くな!勝手にこンなところで終わりやがったら許さねェぞチルノ!!オマエにはやり遂げてほしいことがあるンだ!!俺を超えた最強になってほしいンだ!!」

 

チルノ「一方通行、最後にあたいのお願いきいてくれる……?」

 

そして。

氷の妖精・チルノは弱々しく消えてしまいそうな声で言った。

『一方通行の手であたいを終わらせてほしい』と。

 

一方通行「………………………………………チルノ」

 

チルノ「大好き……、大好きだよ一方通行(アクセラレータ)

 

一方通行「ああ。俺もオマエが大好きだ……ッ!!」

 

知っている。

きっと自分の言っている“大好き”と一方通行の言っている“大好き”は違う。

しかし初めて彼の口から聞いたその言葉に、、、、

 

 

 

チルノは“最後に”穏やかに微笑んだ………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この感じは覚えがあった。

過去に同じような経験をした記憶がある。

あれは……そうだ幼い頃、身寄りもない自分を大人達は研究所に放り込みそしてその研究所で研究に取り憑かれた科学者に体のあちこちを弄られていた頃の話だ。

 

そこには“真っ白な子供”と同じように科学者の実験動物にされている同年代の子供が居た。

しかし、他の子供たちと真っ白な子供は違った。

 

まだ幼いというのに髪が真っ白な子供だけ他の子供たちとは違う場所に隔離されていた。

 

それだからか、特別扱いされている真っ白な彼に興味を持ったひとりの子供が現れた。

 

たまにだが真っ白な子供が居る部屋の前を知らない子供が通ることがある。

他の子供達とは違う極めて特別な力を持ち既にこの世に存在する超能力者の頂点、最強の力を持っていた真っ白な子供の居る部屋は全面が戦車で砲弾を何発撃ったとしても破壊を困難とさせる超特別製強化ガラスだった。

全面をガラスにしたのは死角を無くして24時間いつでもどこからでも監視できるようにだろう。そして特別製の強化ガラスにしたのは脱走を防ぐためだろう。

しかしそんな強化ガラスも真っ白な子供の前では普通のガラスと変わらない。

脱走しようとすればいつでも脱走できる。

が、真っ白な子供は脱走なんてしようとも思わず反抗もせずその研究所で大人しく頭のネジが外れた科学者に従っていた。

 

言ってしまえば真っ白な子供はガラスの檻、透明な監獄に閉じ込められているようなもの。

そんなところに近付くやつはイカれた科学者だけだったのにそのガラスの部屋にひとりの子供がやって来た。

 

強化ガラス越しからでも声は聞こえる。

何故か分からないがその子供は真っ白な子供のところまで近づき話しかけてきたのだ。

 

一度だけ白い彼を見かけたことがあり、あまりにも真っ白な彼の姿が印象的だったため興味を持ったらしい。

一方的に話を始める子供は色々なことを話す。

 

自分の好物や趣味。自身の名前。この研究所でできた友達。どんな方法でここまで来たか、など。

 

ペラペラとよく喋るうるさいやつだった。

真っ白な子供は一方的に喋ってくる子供に見向きもせずどこかに消えてほしいと願っていた。

 

すると、だ。白衣を着た科学者がそこにやってきて一方的に話している子供の腕を掴みどこかへと引っ張っていく。

きっと元の居た場所に連れ戻すのだろう。

 

しかし腕を引っ張られながら一方的に話していた子供は笑顔で言った『また来るね』と。

 

そして。また数日経つと真っ白な子供のところにあのうるさい子供がやって来た。

それからも何度も、何度も。

ずっと無視をされているのに飽きずに勝手にやって来ては一方的に喋ってくる。

それが嫌になり真っ白な子供は言った『どっかに行け』と。

すると無視をされても話していた子供は嬉しそうに『初めてボクに話しかけてくれた!』と言った。

変なやつ。変わったやつだとその時、真っ白な子供は思った。

 

けど、、、

 

色んな科学者に体を弄くり回される日々、

 

データを取られる日々の中、白い彼はひとつ楽しみができたのだ。それがあのよく喋るうるさい子供が自分のところに来ること。

『オマエが来るのが楽しみになった』なんて言えば余計うるさくなるだろうから言わないが、誰も信じず自身が怪物であることを自覚して人を遠ざけるようにしていた白い子供はあのうるさい子供に好意を寄せるようになる。

 

しかし………。

 

突如、あのうるさい子供は自分のところに来なくなった。

 

飽きられてしまったのか?

自分よりも興味を持つものが現れたのか?

 

いいや、違う。もしかしたら別の研究所に送られたのかもしれない。

 

真っ白な子供はあのうるさい子供を忘れることにした。

 

だが……、真っ白な子供のところにあのうるさい子供が来なくなってから約半月が過ぎてから二人は再会することになる。

口や目は糸で縫われ声も出せず目も見えず自分がいったいなんなのかも分からなくなり、死んでるのか生きてるかも分からない鼻呼吸以外なにもできなくなった人の形をした肉塊と成り果てた“静かになった子供”と真っ白な子供は再会を果たす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方通行「…………………………………………」

 

人間の殺し方は知っている。命の壊し方は知っている。

 

どうして命とはここまで脆いものなんだろうか?

この手でちょっとでも触れてしまえば簡単に壊れてしまう。

 

これまで何度も殺しをやってきた。

 

しかし、これまでのとは今回は違う。

 

殺意も憎悪も悪意もなく『ただ安らかに眠ってほしい』と純粋に願い優しく抱きしめて自分の大切な教え子を体に一つも傷をつけず痛みも感じさせず殺した。

すると氷の妖精の少女の全身は徐々に崩れていき、淡い光の粒となって消えていった。

 

「なあ、どんな気分だ一方通行(アクセラレータ)?」

 

静寂に包まれた空間に翼の羽ばたく音が響く。

 

“やつ”は生きていた。

 

まるで異世界から持ってきたかのような翼を6枚背中に生やす超能力者(レベル5)第二位の垣根帝督は地面から離れた空中で静止していた。

 

垣根「あ?もしかして壊れちまったか?」

 

刹那。

ズンッッッ!!!!

森全体に衝撃が走る。

 

そして、大地も草も木もそこにあるすべてのものが重力を無視して空へ浮いていく。

 

その光景はまるで世界の終わりのようだった。

 

垣根「はァッ!?オイオイオイ!この世界を守りたいんじゃねえのかよ?テメェの手で幻想郷を壊すつもりか一方通行ッ!?」

 

その現象を起こしてるのが誰か?

最強。第一位。白い怪物。“一方通行(アクセラレータ)”だった。

 

垣根「チッ、こんなのに巻き込まれるのはごめんだ。つか、そもそも最初から俺の目的はテメェを殺すことだしな。絶望に押し潰されたまま死ねよ一方通行ァッ!!」

 

背中の6枚の白い翼を撓らせると次に烈風を放った。

その烈風の威力は台風を遥かに超えるものだった。

 

垣根「なっ、く……ッ!?」

 

垣根帝督は当たると確信していた攻撃を躱されたことに驚く。

が、しかしそれだけでは終わらない。

 

瞬間移動したみたいに第二位の前に真っ白の怪物が音を置き去りにして現れた。

そして、怪物はその剛腕から拳を放つ。

もしもその拳をまともに受けてしまえば怪我をするだけでは済まない。一撃であの世へ直行だ。

 

そうだ。第一位から繰り出された攻撃は一つ一つが必殺クラス。

 

第二位の垣根帝督は一方通行の攻撃に反応できた。咄嗟に背中の翼を前面に展開して翼の防壁を作り一方通行から放たれた拳から身を防ぐ。

未元物質(ダークマター)で形成された白い翼にはいくら視力が良くても肉眼ではハッキリと捉えることができない隙間がいくつもあってそこから衝撃を散らす。

だがしかし、一方通行のその腕から放たれた攻撃の衝撃すべてを散らすことはできず垣根帝督の体は背後に吹っ飛んていく。

 

が、第二位は背中の翼を大きく広げて吹っ飛んでいく勢いを止め遠くまで吹っ飛ぶことはなかった。

 

そして、だ。

 

垣根帝督は背中の翼から烈風を放つと同時に白い羽根を100枚以上も飛ばす。

そしてその羽根たちは光を帯び始めたと思ったら次の瞬間には光弾に変化した。

ビルもまるで紙のように吹き飛ばす烈風と装甲車すら簡単に破壊できる威力の光弾。

この二つが一方通行を襲う。

 

しかし………。

 

たった“一振り”だった。

 

手を鉤爪のように開いて一回右腕を振る。

そんな小さな動作一つで第一位は自分に向かってきたものすべてを消し飛ばした。

 

垣根「へっ。やっぱりこの程度じゃあテメェには通用しねえか」

 

____じゃあこっからは本気でいくぜ?

第二位はそう宣言すると第一位に向かって突進する。

相手は自分に向かって飛んできたものすべてを反射して少しでも手で人に触れれば人を簡単に殺すことができる学園都市最強の怪物。

しかし垣根帝督は恐れも迷いもせず一方通行に向かって突進した。

すると第一位も第一位でそれに迎え撃つかのように第二位に向かって突進した。

 

ノーブレーキの衝突。

天高い空で激しく正面から打つかった超能力者(レベル5)はどちらも後方へ吹っ飛ぶことはなかった。

 

垣根「俺の未元物質(ダークマター)でテメェを完膚なきまでにぶっ殺し俺は目的を達成してみせる。覚えておけ!テメェは俺にとってただの通過点に過ぎねえ!!驕るなよ一方通行!!テメェのようなカス野郎なんかに価値なんてもんは微塵もねえんだよ!!」

 

第二位の能力は第一位の反射を突破して攻撃を一方通行に届かせることが可能。

垣根帝督は攻撃のいくつかに何万通りのベクトルを注入していた。

そして。一方通行が無意識の内に受け入れているベクトル方向を探り当てることに成功している。

 

一方通行「……………………………………」

 

未元物質(ダークマター)。6枚の白い翼を受け止めている第一位は心の中で何度も呟いていた『コロス』と。

 

一方通行の強烈な殺意。それに彼の能力が応えた。

それで起こったのは一つの暴走。

第一位は自我のない殺意だけで動く怪物と成り果てる。

 

そして。

一方通行は人知れず自分の中で溜めに溜めていた力を解き放つ!!

 

一方通行「ォォォォおおおおおおおおおおおおおおおあああああああああああああああああッッッ!!!」

 

目に見えない攻撃。

ベクトルを完全に掌握している一方通行は垣根帝督に対してその場の空間を歪めてしまうほどの威力を秘めた衝撃波を打つ。

すると第二位の背中から生えた6枚の白い翼は亀裂が入ったと思ったら次の瞬間には砕けていた。

 

垣根「…………やるじゃねえか」

 

遠くまで体が吹っ飛ぶことはなかった。

しかし確実にダメージを負っていた。

垣根帝督は直ぐ様背中から6枚の白い翼は生やすと口端から血を流しながらも笑っていた。

 

垣根「だがいい気になるなよ。最後に勝利を掴み取るのはこの俺だァッ!!」

 

 

大きな力と力が衝突して、衝突する。

怪物同士の戦いは地上から離れた空で行われていた。

 

一撃で人を殺す攻撃を何発も繰り出す。

空中ではその場の空間を震撼させるほどの爆音が轟く。

二人の超能力者(レベル5)の激しい攻防は誰にも止めることはできない。

 

が。そのまま激しい攻防が続くかと思ったが一方通行の動きが突如として止まる。

 

すると、、、

 

垣根「どうだ?スッキリしたか一方通行?」

 

一方通行「…………………………」

 

垣根「俺も同じだった。過去に目の前で大切なやつが死んだ時、俺は俺の中で爆発した感情を抑えきれず力が暴走して周りのもんを片っ端からぶっ壊したことがある」

 

それからも第二位は淡々と話し始めた。

 

垣根「結局テメェも俺と同じだ。なにも守れやしない」

 

一方通行「………違うな。オマエがどンな悲劇で壊されたか知らねェが俺は守る。守りきってみせる。あいつらを、この幻想郷を」

 

垣根「はぁ?なに都合よく忘れてんだ?守れなかっただろがあの冷気を操る能力者のガキを」

 

一方通行「チルノは完全に死ンじゃいねェ。まだ生きてる、この俺の中で」

 

垣根「じゃあ完全に殺してやる、あのガキもオマエも。俺の未元物質(ダークマター)で幻想郷諸共(もろとも)殺し尽くしてやるよ!!」

 

第二位はズボンのポケットに両手を突っ込んだ状態で不敵な笑みを浮かべながら背中の6枚の白い翼を動かした。

目にも留まらぬ神速の風の斬撃を6つ一方通行に向かって飛ばす。

しかし。次の瞬間、垣根帝督は目を疑うことを目撃することになる。

なんと第二位が放った風の斬撃が『反射』されたのだ。

 

垣根「………ど、どうなってやがる?」

 

全力で右に回避行動を取り『反射』された風の斬撃を躱した。

 

さっき垣根帝督は放った攻撃は防御不可能。不可避にして必中の攻撃だったはすだ。

しかし放った攻撃がそのまま返ってきたのだ。

一方通行の『反射』を無効化できる攻撃が、だ。

 

垣根「……なにを、なにをしやがった一方通行ァッ!!」

 

一方通行「この程度で一々吠えるなよ犬野郎。紫の話を勝手に聞いててなァ、オマエの能力は戦う前から知っていた。オマエの操る未元物質(ダークマター)は確かにこの世に存在しない物質だ。存在しない物質には存在しない法則があり、存在しないベクトルがある。この世界の(ことわり)に従ってベクトル演算式を組み立てたンじゃ穴があるのも無理はねェ。だったらだ、この世界はオマエの未元物質(ダークマター)を含む素粒子で構成されていると再定義してオマエの公式を暴けばチェックメイトだ」

 

垣根「俺の底を掴み、俺の未元物質(ダークマター)を操ったっていうのか……?」

 

一方通行「そンな難しいことじゃねェ。オマエのような三下の底を掴むなンてな」

 

垣根「ッッ!!!!!」

 

一体いつから?そんな疑問が浮かぶがそんな疑問が吹っ飛ぶほどの怒りが垣根帝督の中で爆発する。

第二位は自分の背中にある白い翼を最大まで強化して第一位に向かって放った。

 

しかし無駄だった。もう能力は通用しない。

一方通行は自分に向かって飛んできた翼に手を伸ばしベクトルを操作して、まずはやつの未元物質(ダークマター)でできた白い翼を粉砕するとその次は重力の向きを操り第二位の体を地面に落下させた。

 

一方通行「チッ。運のイイ野郎だ、まだ意識がありやがる」

 

激しい戦闘の後で荒れに荒れた大地に高速で落下した垣根帝督。

背中から落ちたからか仰向けの状態で第二位は倒れていた。

そして。その近くに学園都市最強の超能力者・一方通行は着地する。

 

垣根「………やはりな。こうなることは分かっていた……」

 

腕も脚も動かない。というか感覚がない。

強く地面に激突させられたが打ち所が相当悪かったかのか、体の所々が麻痺してしまっている。

どう考えても一刻も早く病院に行き医者に診てもらわなきゃ今後の生活に支障をきたす後遺症が残ってしまうかもしれないほど垣根帝督は重傷だった。

 

が、第二位はうっすらと笑っていたのだ。

 

垣根「例えテメェの『反射』を無効化する術を取得したところでテメェの一方通行(アクセラレータ)と俺の未元物質(ダークマター)の差は全然埋まらねえ」

 

一方通行「………………………………………」

 

垣根「今こう思っただろ?『じゃあこいつはなんで最初から敗けると分かっていたのに挑んできたんだ?』ってな」

 

確かに追い詰められた状態だった。

誰が見たって勝者と敗者が決まっていた。

 

誰が思う?立ってるだけでフラフラで拳に力も乗せられない顔や体はアザだらけの人間が銃器を持ってる人間に勝てると。

誰が考える?限界まで疲弊した人間がウォーミングアップを完了した万全のボクシング選手にKOできると。

 

誰も思わない。夢にも思わない。

『不可能』という言葉が真っ先に浮かぶことだろう。

その場で静かに立つ一方通行は勝利を確信していた。

 

だが…………、、、

 

垣根「そうだ、誰も最初から敗けると分かってる戦いなんてしない。どうせ戦うなら俺だって勝ちにいくぜ。俺が言ったこと覚えてるか?しょうがねえからもう一度言ってやるよ“最後に勝利を掴み取るのはこの俺だ”」

 

一方通行(こいつ……ッ!?)

 

地面に倒れていた第二位の背中に再び6枚の白い翼が生える。

そして風圧を発した。

 

垣根「ここからだぜェ!!俺とテメェの本当の戦いはなァ!!」

 

第二位の上着の内側のポケットから20枚くらい紙が飛び出てきた。

その紙は光を纏うと垣根帝督の白い翼に吸い込まれていく。

 

すると、だった。

未元物質(ダークマター)でできた白い翼は虹色の輝きを帯びたのだ。

が、それだけでは終わらない。次はあれだけ重症だった第二位が一度と翼で包まれ翼を広げたらあの一瞬のうちに傷が治っていたのだ。

 

垣根「こいつは想像以上だ。まさかこれだけの力になるとはな」

 

ゆったりと起き上がり翼を羽ばたかせた垣根帝督。

一方通行は危険を感じて咄嗟に後ろに飛んでいた。

第二位から感じる異質な力。それに第一位である一方通行は警戒していた。

 

垣根「あっ、そういえば思い出したぜ。アレイスターの野郎からテメェに贈り物があるんだと」

 

自身の上着の内側にあるポケットに手をやりポケットの中にあったものを掴むと『ホラ、受け取れ』と言って一方通行に向かって投げる。

一方通行はその投げられたものを受け取らず垣根帝督が投げたものは第一位の前に落ちた。

 

垣根「ちゃんと受け取れよ。態々持ってきてやったんだからよ」

 

一方通行「黙れカス」

 

垣根「ハッ。まっ、敵からの贈り物なんて気色悪くて受け取らねえか」

 

一方通行の前に落ちているものは革製の巾着袋だった。

その巾着袋の膨らみ方でどんなものが入っているのかは大体予想できる。

だから、という訳でもないがアレイスターからの贈り物など学園都市統括理事長を憎んでいる一方通行が受け取るはずもない。

 

垣根「一応渡したっちゃ渡したしこれでアレイスターのクソ野郎からの依頼事の一つは済んだ。さて、続きだ一方通行。新たに手に入れたこの力で殺してやる」

 

虹色の輝きを帯びた白い翼から紫色の雷が放つ。

今までやってこなかった攻撃だったが一方通行はその紫色の雷攻撃を回避しようと動こうした。

 

が。

 

垣根「遅いな」

 

いつの間にか一方通行の背後には垣根帝督が立っていた。

そして第二位は背中の虹色の輝きを帯びた白い翼を鞭のよう振るい第一位の体にその翼を“直撃”させたのだ。

 

翼でぶっ飛ばされた一方通行の体は紫色の雷に向かって飛んできい雷の中に飛び込む形となった。

 

一方通行「…………ぐ………が…………ァ……」

 

垣根「チッ、死んでねえのか。確実に殺すにはもうちょっと威力を上げた方がいいな。まだこの力に慣れてねえから調整が難しいぜ」

 

翼で殴られ雷もまともに受けてしまった。

ただでさえ無理して体を動かしてる一方通行にとってちょっとのダメージでも命に関わる。

なんとかまだ立っていられている一方通行は、、、

 

一方通行「…………この感じは魔力だな。オマエ、オカルトの力に手を出したな」

 

垣根「ハハッ、知っていやがったか。幻想郷には魔法ってのがあるらしいし知っていてもなんも不思議じゃねえか。だが俺が使用しているのは魔法じゃねえ、“魔術”だ」

 

一方通行「………………」

 

垣根「さっき翼に吸収させたのは魔導書と呼ばれているもんだ。確かアレイスターのクソ野郎は『原典』とか呼んでいたっけな。俺は『原典』の一部を未元物質(ダークマター)に吸収させることで自分だけの現実(パーソナルリアリティ)の拡大に成功した。そうしたことにより俺の能力には新たな可能性が生まれ新たな力を得た。俺はずっと勘違いしていたんだ。未元物質(ダークマター)は創るだけの能力じゃなかった。未元物質(ダークマター)は他のものを取り入れ全く別のものへと生まれ変える力、この世に存在するすべてを自分色に塗り替える力だったんだ」

 

『原典』の一部。膨大な魔術の知恵の一部を取り入れただけだというのに、垣根帝督は得た知恵をもとに未元物質(ダークマター)と混ぜた全く新しい魔術を何十万と生み出したのだ。

 

一方通行「オカルトの力をもう少し調べてからやるべきだったなメルヘン野郎。親切で教えてやるよ、俺達のような超能力(科学)の力を持つ者が魔力を使用するオカルトの力を使うと肉体に過負荷がかかンだよ」

 

垣根「げ……はぁ……ッ!?」

 

一方通行「形勢逆転できてもそれはちょっとだけだったよォだなァ三下」

 

吐血をしたら次は全身から流血して垣根帝督は鮮血に染まる。

せっかく傷を治したのに第二位は前よりも酷い重傷を負うことになった。

 

吐いた血と体から流れた血で垣根帝督の足元には血の水たまりができていた。

 

垣根「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッ!!!???」

 

次は背中の翼が消えると頭を抱えて発狂した。

第二位の垣根帝督が自身の能力に取り入れたのは『原典』。

それはとても危険なものなのだ。

優れた魔術師であっても『原典』を安易に読もうとしない。

 

『原典』には簡単に人の自我や脳を破壊する毒素が多くあるのだ。

 

一方通行「この世には大きな力を持っていたとしても触れちゃいけねェ危ないモンが多くある。オマエは触れちゃいけねェモンに触れただけじゃなく自分の中に取り込ンだ。軽率な行動の結果がそれだ。そのまま苦しンで死ね」

 

全身から大量の出血。

まるでそれは真っ赤な噴水ようだった。

頭を抱え発狂しながらのたうち回る垣根帝督に一方通行は冷たい目を向ける。

 

そして。そして。

 

静かになった。止まった。動かなくなったのだ。

 

血の水たまりの中心には真っ赤に染まった人間が……。

 

一方通行「チルノ……。終わったぜ」

 

倒れて動かなくなった第二位に背を向けるとアレイスターからの贈り物をぶっ壊すためアレイスターからの贈り物が落ちてる場所に歩み始めた。

 

終わった。これで本当に終わったのだ………。

 

一方通行「………しぶとい野郎だな、大人しく死ンでろよ」

 

第一位は足を止めた。

 

垣根「あー、あっちこって痛えー。頭も重いしベッドの上で横になりてえ」

 

一方通行「じゃあ俺がベッドより寝心地がイイ棺桶の中で寝かせてやるよォ!!」

 

振り返ると同時に脚を大きく振るう。

すると垣根帝督に向かって暴風が吹き荒れた。

 

一方通行「ッ!?」

 

今までのように垣根帝督は世中に顕現させた6枚の翼で防御したら、だった。

なんと第二位に向かって放った暴風が第一位にところにそっくりそのまま返ってきたのだ。

それは一方通行が何百回も何千回も何万回も見た現象。

 

『反射』だ。

 

一方通行(このパワーは!?)

 

回避なんでできるスピードではなかった。

だったらこっちも『反射』してやろうとしたがそれもできなかった。

暴風をまともに受けてしまい一方通行の体は後方へ吹っ飛びまだ倒れていなった一本の木に打つかる。

 

垣根「テメェだけの専売特許だと思ったら大間違えだぜ一方通行、俺もやろうと思えば『反射』くらいできんだよ。しかもだ。俺の場合は反射した攻撃を何倍にもして返すことが可能だ」

 

一方通行「………オマエ、どォして魔力を体内で生成してるのに無事でいられる?」

 

垣根「俺の体はさっきからずっと壊れ続けている。が、俺は自分の体内に未元物質(ダークマター)を流し込み未元物質(ダークマター)と一体になることで負傷しても再生できるようにした。その再生の精度や速度は今までと非にならねえほどだぜ?」

 

一方通行「オマエはオマエの能力で自分自身を作り変えたのか」

 

垣根「ああそうだ。これで問題なく魔術も使用できるようになった」

 

一方通行(こいつ、正真正銘本物のバケモノになりやがった………)

 

垣根「あの冷気を操るガキには感謝してるぜ。あのガキのお陰で俺は自分の能力を本質に気づけたし、自分の体を未元物質(ダークマター)と一体とさせたらどうなるかってのも分かった」

 

『原典』の毒はもう効かない。

魔力を大量に体内で生成して魔術を使用しても死ぬことはない。

『反射』に対しても小難しいことも考えなくていいし小細工をする必要もない。

一方通行の『反射』を正面突破できる莫大な力を得たのだ。

 

超能力者(レベル5)第二位の垣根帝督。

やつは魔術と科学の二つを組み合わせ、誰も到達していない“未知”を我がものとした全てに適応できる過去一度も現れてない新しい存在となったのだ。

 

垣根「付き合ってもらうぜ一方通行。この力がどこまでのものか試してみてえんだ」

 

魔術(オカルト)超能力(科学)が融合した全く新しい力。

それを全力で一方通行に向ける。

 

斬撃。打撃。砲撃。剣撃。銃撃。狙撃。爆撃。雷撃。衝撃。

考え()る限りのありとあらゆる攻撃を第二位は放つ。

なんと一度に放った攻撃の数は300を軽く超えていた。

 

垣根「アハハハハハハハハハハハッ!!ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッッ!!!!」

 

なにが起きたか分からない。

しかし、周辺に存在していたものは形もなく消えていた。

 

そして。空に体が打ち上がった一方通行に向けて、、、

 

垣根「未元物質(ダークマター)ァァァァァァッ!!!」

 

ボトボトボト、と第二位の背中にある翼から地面に落とされていく真っ白な液体が垣根帝督の足元から広がっていく。

そしてその液体達は一方通行に向かって飛んでいった。

 

すると。すると、である。

 

自由に形を変えれる真っ白な液体は全長150メートルは超える柱となった。

ブクブクブクブクッ!!!

と次はその柱に気泡がいくつが発生するとその気泡はどんどん大きくなっていき最後は大爆発を起こした。

 

遠くに居ても聞こえる爆発音がした。

 

垣根「綺麗サッパリなにもかも跡形もなく木っ端微塵だ」

 

キノコ雲が発生してしまうほどの大爆発が起きた現場は元々あった緑が全部消えていた。

 

丸丸一つの森が無くなる大爆発を起こした垣根帝督の下には最深はなんと418メートルもある巨大過ぎる穴があった。

 

垣根「野郎との差が埋まったどころかこれじゃあ差が開き過ぎちまったな。まあ良いか。一方通行は死んだ。これで俺が第一位となったわけだ。野郎の死体を回収するか?“元第一位”だしな、なにかしら使い道があるかもしれねえ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勝てない。

 

やつには勝てない。

 

麻薬で疲れや痛みを忘れさせて無理やり体を動かしている今の状態では絶対にやつには勝てない。

 

森が一つ消えるほどの大爆発が起きた場所には大きな穴しかない。

その穴の中層辺りには全身大火傷を負った一方通行(アクセラレータ)が倒れていた。

皮膚はただれ、焼けた体からは湯気が立っていた。

これでも彼の能力、ベクトル操作で防御できた方なのだ。

防御できてこの有り様なのだから、垣根帝督はどれだけ恐ろしい存在になったのかよく解る。

 

一方通行「………ゔゥ、あ……………ァ……………」

 

唸り声を出してモゾモゾと動く姿はまるで地面を這う虫のようだった。

今の一方通行の状態は危険なレベルではない。

 

不思議と痛みはなかった。

が、しかし分かっていた。“このままだと確実に死ぬ”と。

 

一方通行(……………………あン?)

 

なにかを手に掴んだ。

一方通行はなにかを掴んだ手をゆっくり開き目をそこにやると、、、、

 

彼が掴んだものとは、、、、、

 

一方通行(…………あァ……そォか……)

 

あんな大爆発の中にあったというのにそれは無事だった。

それを包んでいた革製の巾着袋は燃え焦げてしまったのだろう。

 

一方通行(最初からこォなることもすべてオマエの計画通りだったのか。“アレイスター=クロウリー”)

 

全身大火傷を負い数分で命を落としてしまう状態の一方通行が掴んでいたものはあの“黒い玉”だった。

 

一方通行(クソったれのクソったれのクソったれが……ッ!!)

 

やつからのこの『贈り物』はどういうものかなんて嫌ってぐらい知っている。

 

一方通行は心の中で叫んだ。

『アレイスターッ!!ここまではオマエの計画通りだろォがなァ!!ここからだ。ここからはオマエの思い通りに事が進むと思うなよォォォォォォッ!!!!』

 

と。

 

 

そして。そして。そして………だ。

 

一方通行は最悪な手段を“選ばされたのだった”。

 

他の誰でもないアレイスター=クロウリーに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ォォォォォォォォォォォォォォォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!!!」

 

 

穴の奥から轟く絶叫があった…………。

 

それが最悪が始まる予兆。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「起きてしまったのね………始まってしまうのね。“終わり”が」

 

 

大妖怪は静かにそう呟く。

 

こうなることは避けたかった。

 

しかしこれから始まってしまうのだ。どうしようもない“最悪”が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒。黒くて黒い真っ黒な翼。

それは天高く伸び空を覆うように広がっていく。

 

その翼の出所は深い穴から。

もっと詳しく目を向けるのならば“白い怪物”からである。

 

垣根「あれで死んでなかったのか。しぶといのはどっちだよ。チッ!今度こそ地獄に送ってやるよ“一方通行(アクセラレータ)”!!」

 

マッハに到達した速度で背中に虹色の輝きを帯びた6枚の白い翼を生やす垣根帝督は黒い翼を生やす怪物に突進する。

 

垣根「死に損ないがァッ!!くたばりやがれェェッッ!!!!」

 

一点集中。渾身の一撃。

一枚の翼にすべての力を収束させて空間を歪めてしまうほどの速度でその翼を放つ。

 

が、しかし。

 

相手が悪かった。

 

もう“やつ”は瀕死状態ではない。

傷なんてない。疲れなんてない。痛みなんてない。

 

本物の暴走。

垣根帝督なんかじゃ相手にもなれない最強の怪物。

幻想郷の空を真っ黒にするほど噴射に近い大きな黒い翼を生やしている“やつ”は唯一無二の“絶対者”。

 

自分に向かって放たれた翼を怪物は根本から破壊する。

突進してきた垣根帝督は自分がなにがなにか分からず地面に黒い翼に叩き落とされた。

 

垣根「は、はは。そうか……その力………___」

 

ゆっくりと一歩一歩確実に迫ってくる“白い怪物”。

垣根帝督は恐怖していた。

体が震える。

 

しかし怒りもあった。

 

垣根「_____わかった。テメェの役割は、そして俺の役割は……ッ!!」

 

第一位を覚醒させるためにアレイスターに仕向けられたのだ。

それを知った垣根帝督は激怒するが、もう何もかもが遅い。

『俺は今からこいつに殺される………』と第二位の彼は静かに覚悟を決めた。

 

これまで何人も何人も殺してきた。

しかも自覚していたのだ『俺は外道でクソ野郎だ』と。

善人なんかじゃない真っ暗闇にしか行き場所がない極悪人。

そんなやつが普通に死ねるわけがない。

 

誰かに殺される覚悟もあった。

自分の最後が見るも無残になると覚悟していた。

垣根帝督は体の震えを自分の意志で止めた。

 

逃げない。

 

目も瞑らない。

 

ただ、、、

 

彼女に謝らなければいけない。

 

(ゆずりは)林檎(りんご)。彼女に近付いた理由は彼女が『暗闇の五月計画』の被験者だったから。

一方通行の演算パターンを植え付けられた杠林檎という少女から一方通行の演算パターンを得ようとしたのだ。

 

最初はどうでもよかった。

無愛想で無表情。そして口数も少ない。

 

こっちの用事が済んだら適当に捨ててやるつもりだった。

しかしどうしてだろう。一緒に行動していくなか、垣根帝督は杠林檎に対して今まで抱いたこともない感情を抱く。

あれは林檎が食事をしている時だ。

普段は無口で無表情なのに、食事をしている時はあんなにも明るい表情で美味しそうに食べている姿を見て垣根帝督は分からないがじんわりと胸の辺りがあったかくなっていたのだ。

 

一体それがなんなのかは分からない。分かろうともしなかった。

だがこの少女の笑顔を『守りたい』を思った。

 

しかし守れなかった。

 

林檎は死んだ。死なせてしまった。

 

 

統括理事会の席を手に入れる。そして学園都市のすべてを手に入れる。

 

これは垣根帝督の目的。しかしもう一つの目的があったのだ。

 

それが一番達成したいもの。誰にも言えない自分でどうかしてる思う心底くだらないと吐き捨ててしまう目的。

 

それは『林檎が安心して眠れる場所を作る』だった。

 

優しくて、穏やかで、静かで、平和な土地を手に入れる。

そこに林檎の墓を建てる。

 

だがそれもすべて達成できずに幻想郷という異世界で死ぬ。

林檎が自分の命を捨てでも渡してくれたものを無駄にして死ぬ。

 

一方通行に殺されるのだ。

 

垣根(林檎、今からテメェところに……いや違うか。同じ地獄でも俺が堕ちるところはテメェのようなクソガキは来れないもっと過酷な場所なんだろうな)

 

死が近付く。

 

垣根帝督は最後にこう願った『また林檎が飯を食ってる姿を見たい』と。

 

そして。そして。

 

荒れ狂う勢いが衰えることのない噴射に近い黒い翼を背中から生やす白い怪物は、、、

 

垣根「…………………………は?」

 

なんと、なんと。

白い怪物は垣根帝督の顔の前で腰を下ろす。

自分が予測していた行動とは違うことをしたことに驚き第二位の彼はあっけらかんな顔をしていた。

 

垣根「どうした俺を殺さねえのかよ一方通行。テメェの大切な人を殺した、テメェが大切にしてる世界も滅茶苦茶にした。俺が憎いだろ?殺したくて堪らねえだろ?殺せよ。認めてやる俺の敗けだ。チッ、こうなることもアレイスターのクソ野郎の計画通りってのはムカつくがテメェの大切なもんを奪い壊したのは紛れもないこの俺だ」

 

一方通行「………イイのか、オマエはそれで」

 

垣根「いいわけ……ねえだろうが!!高い場所から見物して人を見下してるクソ野郎を今すぐぶっ殺してやりてえよ!!林檎が死んだのはテメェみてえな能力者が生まれてきたからだ!!テメェが生まれてこなければ『暗闇の五月計画』なんてものはなかった。林檎があんなのに巻き込まれることもなかったんだ!!だがそれだけじゃねえ、あんなカスな実験をやりやがった学園都市の統括理事長であるアレイスターのクソ野郎のせいでもある。あのクソ野郎は林檎が普通に生活して普通に死ねる未来をぶっ壊したやがったんだ許せるかよあんなクソ野郎ォォォッ!!」

 

一方通行「じゃあ俺と手を組むか?三下」

 

垣根「本気かよ?俺はテメェの大切なガキを殺したんだぞ?」

 

一方通行「あァ、憎くてオマエの頭をトマトのように潰してやりてェよ」

 

垣根「だったらやれよ第一位。同情なんてすんじゃねえ、これ以上俺を惨めな思いさせるなら自分で舌を噛んで死んでやる」

 

一方通行「もしもオマエが舌を噛ンで死のうとしたら俺はそれを全力で止める」

 

垣根「………………………………」

 

一方通行「オマエはチルノを殺した。幻想郷を滅茶苦茶にした。その罪は償ってもらう。だがオマエのその罪はオマエのくだらねェ命一つじゃ償えるモンじゃあねェ。だから苦しめ。苦しンで苦しンで苦しみ続けろ。罪悪感に押し潰されながらオマエが殺した人間やこれまでで壊してきたモン思い出して何度も何度も謝り続けるンだ。死ぬまで罪に押し潰され続けやがれ」

 

垣根「………俺のような極悪外道で最低な野郎に罪悪感なんてものがあると本当に思ってんのかよ?」

 

一方通行「ねェなら芽生えさせるまでだ」

 

垣根「…………………殺して終わらせるんじゃなく生かして死ぬまで苦しめる、か」

 

なら、と第二位は口を開く。

 

垣根「テメェもそうしろよ悪党。苦しめ。テメェのせいで未来を奪われた人間は大勢居る。そいつらの(ツラ)と名前を一生忘れずに記憶しろ。これは義務だ。そしてどれだけテメェが殺してきたか理解しろ」

 

一方通行「(はな)からそのつもりだメルヘン野郎」

 

垣根「ホント、テメェは殺したくなるほどムカつく野郎だな」

 

倒れている垣根帝督に白い手が伸ばされ第二位は第一位の手を掴んだ。

 

一方通行「……………なにやってンだよ、立てよゴミ」

 

垣根「立てるわけねェだろクソボケ。ダメージを負いすぎて能力もまともに使えねえし、再生もできねえから体はズタボロのままなんだよ」

 

一度二人の間で交わされた握手。

が、しかし相当嫌だったのか直ぐに二人は掴んだ手を離した。

 

一方通行「チッ。手のかかるゴミだ」

 

舌打ちをしたら、だった。

一方通行をスキマを開きあるものを取り出した。

それは中に液体が入った小さな瓶だった。

 

一方通行「これを飲め」

 

垣根「ハイ分かったって飲むかクソボケ!!ドクロマークがあるもんを渡されて明らかに危険なもんだって頭で理解しながらも飲むバカがどこに居る!?」

 

一方通行「じゃあオマエがバカ第一号だ」

 

垣根「ふざけ_______」

 

体が全く動かすことが出来ない垣根帝督が抵抗できるはずもなく、一方通行に無理やり口の中に瓶を突っ込まれ中に入っていた液体を飲まされた。

 

垣根「ぐ、ゴホッ……ブハッ!!テメェぶん殴って…………あ?」

 

難なく立てるまで体が回復していたのだ。

 

一方通行「……マジで治りやがった。てっきり毒薬だと思ってたンだかなァ」

 

垣根「あァ!?テメェ俺で実験しやがったな!!」

 

一方通行が垣根帝督に飲ませたのは前に一方通行が宴会の時に永琳から渡された液体の飲み薬だ。

 

永琳は『良い薬』と言っていたがやはりただの酔い覚ますだけの薬じゃなかったらしい。

どういう効果の薬かは知らないが、まあ第二位が動けるようになったしそれでいいだろう。

 

一方通行「………………………………」

 

垣根「一方通行、テメェ………」

 

背中の黒い翼は引っ込んでいない。

なんなら時間が進むにつれて力が大きくなっていっている。

 

それを必死に一方通行は抑えていたのだ。

 

一方通行「ここから離れろメルヘン野郎。オマエ以外の暗部の連中もそろそろ学園都市に送り返していると思う。アレイスターの計画をすべてぶっ壊すその作戦は既にある。幻想郷で作ったスマホを八雲紫から受け取れ、スマホの中にその作戦の内容は入ってる」

 

垣根「チッ。この俺がテメェような無価値なカス野郎と手を組んでやったんだ、そっちで勝手に自滅なんてしやがったら絶対許さねえからな。あと、俺の名前は垣根帝督だ。特別に俺の名前を呼べる権利をくれてやる!!」

 

そう言い残すと垣根帝督は背中に6枚の白い翼を展開させて一方通行から離れるように遠くに飛んでいった。

 

深い深い穴の中に残った“白い怪物”。

 

彼は戦っていた。

 

自分の力と。

 

一方通行(こっからは俺達の番だ。アレイスターの計画はすべてぶっ壊す。そして手に入れる、俺達の求める世界を。安心して生活できる幻想郷を。そのための第一歩を踏み出したばかりなンだ!!)

 

しかし。

 

しかし。

 

ベクトル操作。この能力一つだけで人の身に余る力なのだ。

だがもう一つ彼は能力がある。それが模倣能力。

 

どっちも強大な力だ。

それに加えて模倣能力でコピーした能力の数々。

 

それらすべてがあの黒い玉、“贈り物(イヴ)”の効果で強化されている。

大きく膨れ過ぎた力。

自我なんて保てるはずもない。

 

どれだけ強い意志があろうと無理なのだ。

 

 

 

一方通行の中で暴走が再び始まる。

 

最悪の暴走はまだ始まったばかりだったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あはぎゃはハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハーッ!!なにもかも壊してェ!!片っ端から薙ぎ払いてェ!!どォせ最終的に全部壊れるンだ!!最後はなにも残らねェンだ!!いつ壊れてもイイだろォ!?ギャハハハハハハハ!!!!」

 

理性は無い。

 

あるのは破壊衝動のみだ。

 

それはまさに破壊の権化。

 

 

 

 

 

 

 

 

(頼む。誰か……俺を止めて(助けて)くれ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『目覚め(リバース)』は問題なく完遂できた。では次の“最終計画”を発動させよう。と、なると私の右腕の出番かな?いや彼の場合“右手”と言うのが正しいか」

 

窓の無いビルの中。

ビーカー型の生命維持装置の中に満たされた培養液に逆さになって浸かる人間、アレイスター=クロウリーは自身の前に浮かぶ映像の中に映るひとりのどこにでも居るツンツン頭の普通の男子高校生を見て笑っていた。

 

そして。最終計画の実行に移るのだった。

 

「必ず成し遂げてみせる。誤りは正してみせる。“ヒーロー”は私の味方さ。最後に笑うのは幻想郷(貴様ら)ではなく私だ。私の“ヒーロー”が残さず幻想郷(貴様ら)を必ず“殺すだろう”。消すでもなく、駆除するでもなく、排除するでもなく、消去するでもない。“殺す”のだ」

 

最終計画『幻想殺し(イマジンブレイカー)

 

それが動き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

垣根「この腕輪で帰ろうと思えば帰れるが……。チッ、八雲紫からスマホを受け取れって言われてもその八雲紫はどこに居んだよ」

 

大気の流れが大きく変化していく。

 

そんな中、背中に6枚の白い翼を生やす超能力者(レベル5)第二位の垣根帝督は空を飛び移動していた。

 

すると、である。

 

「こっちよ!早く来なさい垣根帝督!!」

 

声のした方向に首を向けると、そこには空間にスキマを開きまるでそのスキマを公園に置かれているベンチのようにして座っている大妖怪が居た。

 

垣根「テメェが八雲紫か!?」

 

紫「ここはもう危険よ。他の暗部の子たちは学園都市に帰ったわ。後はあなただけよ、早く自分達の世界に帰りなさい!!あなた達には自分の世界でやるべきことがあるでしょ!!」

 

そう言うと八雲紫は持っていたスマートフォンを投げ渡した。

投げ渡したのは一方通行が大量生産したスマートフォンである。

 

垣根帝督は紫のところに向かって高速で飛行しながら自分に向かって投げられたスマートフォンを見事キャッチする。

 

垣根「あれをどうにかするのは俺じゃあねえ、せいぜい頑張りやがれ幻想郷!!」

 

そして。

八雲紫がもう一つ開いたスキマ。

学園都市に通づるスキマの中に垣根帝督は飛び込んだ。

 

紫「言われなくても分かってるわよ…………」

 

白い怪物を中心にして巨大で真っ黒な渦が発生していた。

 

その巨大な渦を眺めながら大妖怪は、、、

 

紫「終末特異点。幾千万の世界の壊滅者。絶対の頂点。唯一無二の絶対の存在。開闢の導き手。新世界の扉を開く者。無限虚無。今の一方通行を表す言葉はいくらでもある。今日が数多ある予言の日。旧世界が床に就き、新たな世界が起床する。終末の神が目覚め世界に降臨してしまったその瞬間をもって今存在している全てが古きものとなった。我々は決して今から起こることに怒りも悲しみも抱いてはいけない。これは遠い遠い遥か遠い昔、幾千万の宇宙が、遍く銀河が誕生する前から続いてきた神聖な儀式。創世の前に滅亡を。暴虐という名の神からの最後の贈り物。だけど私は………、それでも許せない。善人悪人問わず誰もこれ以上傷付けたくないと思い、一万以上の十字架を背負うことで誰も傷付けないようになろうと思ったがそれは失敗して真っ赤に染まった手と一生を使っても償うことが不可能な罪だけが残った。けどこれからも犯した罪から逃げず立ち向かおうとした一人の子供にこんなことをさせるなんて。許せない許せない許せない赦せないッッッ!!一方通行が最も望んでない力を持ってしまうようにしたこの世界がッ!!!_____」

 

 

 

_____嗚呼……、世界は終わる。

 

 

 

 

 

 

 

 





次回予告。

アレイスター=クロウリーの計画『目覚め(リバース)』はなに一つ弊害もなくやつの思惑通りに成就した。

誰もこれから起こることに抗うことはできない。
これはどこにでも溢れていて、誰にでも起こることなのだ。

その特異点の目覚めは終わりの到来を意味する。

最強。頂点。唯一無二の絶対者。

“アレ”が目覚めた時、世界は終焉に覆われる。


次回。

『幻想郷を一方通行に』第四章・純黒に生きる侵略者

最終話【終末特異点】

避けられぬ悲劇。逃れられぬ運命。

……………幻想郷は最後の時を迎えたのだ。
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