幻想郷を一方通行に   作:ポスター

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幻想郷から学園都市に帰還した超能力者(レベル5)第二位・垣根帝督。
彼は学園都市に、そして学園都市統括理事長・アレイスター=クロウリーに一矢報いるために闇の中で暗躍していた。

しかし、垣根帝督は学園都市で思いがけない一つの出会いをすることになる。



番外の章 闇を穿つ天使
壱話


 

 

「面倒なことになったな、クソが………」

 

『幻想郷』から帰還した超能力者(レベル5)第二位・垣根帝督。

第二位の彼に課せられた任務は学園都市に7人しか存在しない超能力者(レベル5)第一位・一方通行(アクセラレータ)の抹殺だった。

だがそれは失敗に終わった。

以前より大幅に強くなったというのに腹が立つことに第一位は第二位の何歩先も力を有していた。

 

認めたくないが完敗だった。

手も足も出なかった。

道に転がる石のように一蹴された。

誰も手にすることができない『未知』を完全に我がものにした第二位にでさえ、今の第一位に敵わなかった。

第一位には負けた。それなのに垣根帝督は『幻想郷』から生還できた。

 

第一位を殺そうとした、、、

 

第一位が大切にしている少女を殺した、、、

 

第一位に憎悪と殺気を向けたというのに、、、

 

学園都市に7人しか存在しない超能力者(レベル5)第一位・一方通行(アクセラレータ)は垣根帝督を殺さなかった。

そして、第一位は瀕死の第二位に手を組まないかと言ったのだ。

超能力者(レベル5)第二位・垣根帝督はアレイスターに自分は利用されたのだと知り、命を助けられても一方通行(アクセラレータ)のことは今でも気に入らないが第一位よりも気に入らない学園都市統括理事長・アレイスター=クロウリーがこれからしようとしてること全部を邪魔したい第二位は本当に嫌々だが期間限定で幻想郷サイドに立つことにした。

 

垣根「…………なんだこりゃあ?あのクソ野郎ふざけてんのか?」

 

第二位が現在居る場所は彼が隠れ家にしている高層マンションの一室。

そこは垣根帝督がリーダーの暗部組織『スクール』のメンバーですら知らない場所だった。

部屋の雰囲気はというと、内装はとてもシンプルで最低限生活に必要なものだけが揃えられていた。

 

学園都市に無事帰還できてから第二位はまず隠れ家に身を潜める。

それはそうだろう。垣根帝督は学園都市と学園都市のトップ、学園都市統括理事長アレイスター=クロウリーに復讐を誓っている。

それは恐らくアレイスターにも知られているだろう。

やつは表に出て動くことは決してない。

しかし学園都市で起こった出来事はすべて統括理事長はとある方法で知ることができる。

 

なるべくこちらの動きと目的を悟られぬよう、垣根帝督は身を隠したのだ。

 

垣根「………クソ。とにかく今日は疲れたし寝るか。明日から大仕事だしな」

 

隠れ家に帰ってきてから幻想郷で八雲紫という大妖怪から投げ渡されたスマートフォンを起動した。そして、そのスマートフォンの中にあったファイルを開き一方通行(アクセラレー)が立てた学園都市に大きな打撃となる作戦に垣根帝督は目を通した。そしてそれから一つ大きな息を吐くと第二位はシャワーを浴びてからベッドで眠る。

 

これから“激しい戦い”のために………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テレビでは『学園都市各地にある研究施設で謎の爆発事故が多発している』というニュースか頻繁に流れるようになった。

テレビに出ているそういう事件に詳しい専門家たちが色々な考察を述べていた。

 

そして。

風紀委員(ジャッジメント)の支部して使用されているとある学校の一室では、、、

 

「またこのニュースですの?いい加減聞き飽きましたわ」

 

「でも現在、学園都市で一番問題となってるのがこのニュースなんだから仕方ないじゃないですか」

 

 

大きなテレビの前にあるソファに座る2人の少女。

白井黒子と初春飾利はコンビニ弁当を食べながらテレビを眺めていた。

 

 

白井「第一位様の行方不明というどこから出たかわからない十中八九嘘に決まっている噂が流れてから学園都市の治安は悪くなる一方ですの。まったく、風紀委員(ジャッジメント)の仕事は減ることはなく益々増えていきお姉様と過ごせる時間が減ってわたくし、そろそろ怒りが頂点に達しそうですわ」

 

初春「そうですね、ホント最近わたしたち休みがないですからね………、はぁ」

 

まだ中学生だというのに2人は少女には似つかわしくない憔悴した顔をしていた。

2人は最近は寮に帰れてない。

白井黒子も初春飾利もここ二週間ベッドで眠れた記憶はなかった。

この二週間、彼女たちの寝床は風紀委員(ジャッジメント)の支部の一室にあるソファだった……。

 

初春「………あっ、でもそろそろ寮に戻れるみたいですよ」

 

白井「それは本当ですの初春!?」

 

初春「はい。あの書類を片付けられたら、ですがね」

 

そう言って初春飾利が指をさす。

白井黒子は初春が指をさしたところへ首を向ける。

 

そこには並べたれたテーブルの上に書類の山が“複数”あった。

しかも書類の山の上にはUSBメモリのいくつかあった。

そのUSBメモリは紙の書類の山の数倍の量をデジタル化された書類である。

 

白井「は、はははっ、ははははハハハハハハハハハハハッ!!ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

 

壊れた。

それはそうだろう。過度な披露でもう限界だというのに大量の書類の山を見てしまったのだから。

 

そして。

白井黒子は手に持っていたコンビ二弁当を地面に落とし前のめりに倒れソファの前にあったロングテーブルに顔面を激突させた。

 

しかし、痛がる様子も見せなかった。

 

 

初春「………遂に白井さんも電池が切れちゃいましたか」

 

白井黒子は気を失ったのだ。

だが初春は冷静だった。白井黒子のように限界に到達して倒れる風紀委員(ジャッジメント)の同僚を数多く見てきたのだ。

 

初春飾利は地面に散らばってしまったコンビニ弁当の中身を箒なので片付ける。

そして、泡を吹いて白目で倒れている白井黒子をさきほど彼女と一緒に座っていたソファに寝かせる。もちろん、そのままでは体を冷やしてしまうので布団をかけてあげた。

それから別の場所で食事を続け、終えると空になった弁当の容器をゴミ箱に捨てる。

 

初春「………さて、行きますか。では当番の見回りに行ってきますね白井さん、帰ってきた時には目を覚ましていてくださいよ?」

 

風紀委員(ジャッジメント)の支部として使われるとある学校の一室。そこにある冷蔵庫を開け中で冷やされていた小さなビンを取り出す。

それは社畜のガソリンとして重宝されている栄養ドリンクだった。

 

初春飾利は栄養ドリンクを一気に飲み干すと空になったビンをそこら辺のテーブルに置いた。

そしてソファで倒れている大切な友人に小さく手を振ってから、風紀委員(ジャッジメント)の支部から外に出る。

 

パトロールである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────暗黒の扉は開かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初春(あー………、今日は休日でしたっけ)

 

まだ日は高い。

時刻は13時21分。それなのに街中には学生が多く居た。

それでわかったのだ今日は休日なのだと。

 

友人同士で仲良くお買いもの。

恋人同士でラブラブデート。

 

学生は学生らしく青春を謳歌している者を初春飾利は光のない目で見ていた。

 

彼女の見ている光景は平和そのもの。

もしもその光景を写真に収め、そして撮った写真を世界にばら撒いたら、そのばら撒かれた写真を見た者はそこはとても平和な場所なのだと思うだろう。

 

しかし、現実は残酷だ。

当たり前のように平和を過ごせている者達は知らない自分たちのために犠牲となっている者は多く居ることを………。

 

 

初春飾利のパトロールはまだ始まったばかりである。

風紀委員(ジャッジメント)警備員(アンチスキル)は深刻な人手不足に悩まされている。

それは辞める者と過労で倒れた者や、なにかの物騒な事件に巻き込まれて入院する者が後を絶えないからである。

だからパトロール範囲はいつもの倍となってしまっている。

 

 

悶々と考えながら街中をパトロールしていると初春飾利はひとりの“男性”に注目した。

 

とても目立つ格好をした茶髪の青年は人にぶつかりながらが街中を進んていた。

 

そして、茶髪の青年がフラフラしたまま薄暗い路地に消えていくのを見て風紀委員(ジャッジメント)の初春飾利は走って茶髪の青年が消えた路地へと向かった。

 

 

すると、、、

 

初春「大丈夫ですか!?大丈夫ですか!?具合が悪いのですか!?わたしの声は聞こえてますか!?」

 

薄暗い路地を少し進んだ場所で街中をフラフラしたまま歩いていた茶髪の青年がうつ伏せで倒れていたのだ。

初春飾利は慌てて彼のもとまで駆け寄り声をかける。

 

「……………うる、せえ、な。なんでもないからどっか行け」

 

弱々しいが話せるようだった。

そのことにとりあえず初春飾利は安堵していた。

 

初春「そうはいきません。わたしは風紀委員(ジャッジメント)です。困っている人を助けるのも風紀委員(ジャッジメント)のお仕事ですので」

 

風紀委員(ジャッジメント)………だと?」

 

ゆっくりを目を開き茶髪の青年は花畑みたいな素敵な髪飾りを頭につけている少女を見た。

すると、彼女の右腕には風紀委員(ジャッジメント)の紋章がついていたのだ。

 

初春「安心してください救急車を呼びました。とりあえず今はそのままで居てください」

 

「クソっ………、あの日から厄日だぜ」

 

初春「あっ!ダメです動かないでください!!」

 

プルプルと震える腕で立ち上がろうとしている茶髪の青年を必死に静止させようとしたがそれは無駄に終わる。

倒れていた茶髪の青年は壁に寄りかかるようにして座った。

 

「飲み物、持ってねえか?」

 

初春「えっ?」

 

「困ってる人を助けるのも風紀委員(ジャッジメント)の仕事なんだろ?水でもいいから、飲み物が欲しいんだよ」

 

初春「えっ、えっと、確か近くに自動販売機があったのでそこで買ってきます!」

 

動揺した様子だったが綺麗な花をかたどった髪飾りつけた少女は急いで自動販売機に向かって走っていった。

 

そして1分も経たずに戻ってきた。

 

風紀委員(ジャッジメント)の少女は冷えた水の入った500mlサイズのペットボトルを手に握って持っていた。

 

初春「ど、どうぞ」

 

恐る恐る自動販売機で買ってきた水の入ったペットボトルを差し出す。

すると茶髪の青年は初春から乱暴にペットボトルを取るとキャップを開け水をゴクゴクと喉を鳴らして勢いよく飲んだ。

 

「…………チッ、クソッ!!」

 

初春「わっ!ポイ捨てはダメですよ!!」

 

茶髪の青年は水を飲み干すと空になったペットボトルを投げ捨てたので、それを見ていた初春飾利は投げ捨てられたペットボトルを慌てて拾う。

 

すると、だった。

 

 

初春「────────えっ?」

 

 

初春飾利はペットボトルを拾ってから茶髪の青年のところへ視線を向ける。

 

 

初春「……天使、さま……?」

 

 

この世のものとは思えない6枚の真っ白な翼を背から生やす者がそこに立っていた。

あまりのことに驚いてせっかく拾ったペットボトルを地面に落としてしまったが、それにすら初春飾利は気付いていなかった。

 

「あ?なんだ?テメェよく見たら顔色悪いじゃねえか。悪党の俺が人助けなんて気持ち悪りぃがテメェには助けられたからな、これはその礼だ」

 

そして。

6枚の真っ白な翼を持つ者は1枚の翼を鋭利に尖らして初春飾利の腹部を“突き刺した”。

 

 

初春「─────ッ!?」

 

不思議と“痛みはなかった”。

“刺されたという感覚すらなかった”。

 

 

初春「ど、どうなって……?」

 

先程からわけのわからないことが立て続けに起こって脳が混乱していた。

ただただ初春飾利は白い翼で貫かれた場所もそして制服も穴が空いてなかったことに驚いていた。

 

「それじゃあ、お別れだ風紀委員(ジャッジメント)のカワイイお嬢さん」

 

ビュンッッ!!

まるでホストのような服装の茶髪の青年は白い翼を大きく広げ羽ばたかせると青い空まで高く飛び上がっていった。

 

初春「…………………………………へ?」

 

 

長い沈黙の後に出た声はとてもマヌケだった。

今までの出来事を脳が処理できていなかったのだ。

 

初春飾利はポカンとした顔をしながら天使の翼のような茶髪の青年が飛び上がった空を見上げる。

しかし、もうそこには彼は居なかった。

 

そして、そして。

そのまま呆然としてると彼女が携帯電話で呼んだ救急車がその場に到着する。

だが救急車、救急隊員がそこに到着したところで初春飾利が救急車が呼んだ理由の人物は天使の翼のようなものを背中から生やしそこから消えてしまった。

しかし、そんなことをバカ正直に救急隊員に話したところで頭のおかしなヤツだと思われるのは目に見えている。

花畑のような素敵な髪飾りをつける風紀委員(ジャッジメント)の少女はその場で適当な嘘をついて救急車を帰らせた。

 

 

そしてそれから、である。

 

初春飾利は自分が今日、見たものを思い出しながらポカンとした様子で街のパトロールを続けた………。

 

 






次回、番外の章【闇を穿つ天使】・弐話。


これは幻想郷とは違う世界。科学の街、学園都市で生まれた波乱の物語。



闇を恨み、闇を拒み、闇を飲み込む。

そして……、全身を闇に染めて闇に立ち向かう。
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