幻想郷を一方通行に   作:ポスター

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それをご了承のうえ読んでいただけると幸いです。
しかし、そういったミスが多いのをご不快に思う方にはブラウザバックをオススメします。


弐話

 

 

 

白井「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……ッ!!わたしくの、わたくの隣に幻ではない本物のお姉さまがッ!!お姉さま!お姉さまァッ!!お、ね、い、さ、まァァァァァァあああああああああああああああああああッッッ!!!!」

 

御坂「うるさいわよ黒子ォッ!!こんなところでなに発情してんのよこのド変態がァァァァァァァァァッッ!!」

 

初春「ははは……、相変わらずですね白井さんは」

 

佐天「でもいいんじゃない?この感じ、わたしは大好きだな♪」

 

仲良し中学生4人。

白井黒子、御坂美琴、初春飾利、佐天涙子。

それぞれ通っている学校の制服を着ている彼女たちはいつも集まるファミレスでいつもの席に座っていた。

 

白井「うぅ、申し訳ありません。久し振りにお姉さまと一緒の時が過ごせてわたくし少し舞い上がってしまいましたの」

 

御坂「ったく、次やったらわたし渾身の超電磁砲(レールガン)をアンタの眉間に撃ち込むからね?」

 

猛省している白井黒子の頭にはやたら大きいたんこぶが一つできていた。

そんな彼女の隣に座る常盤台エース、学園都市に7人しか存在しな超能力者(レベル5)の第三位・超電磁砲(レールガン)の御坂美琴は腕を組んで鼻から小さく息を吐く。

 

佐天「…………でも本当に久し振りだよね、こうやっていつもの4人で集まれたのは。白井さんと初春は風紀委員(ジャッジメント)で大忙し、御坂さんも御坂さんで用事があるって言って今日まで全然みんなで集まれなかったから。なんか……、わたしだけだったな、みんな忙しくしているのに暇をしてたのは」

 

その瞬間、あれだけ騒がしかったのに女子中学生4人座る席は一瞬で静かになった。

みんなは知ってしまっているのだ『平穏が無限に続くこと決してない……』と。

風紀委員(ジャッジメント)である白井黒子と初春飾利は現在学園都市が過去最悪の治安になってしまっているから多忙になってしまっていた。

そして。

学園都市に7人しか存在しない超能力者(レベル5)第三位・御坂美琴は3人に全く語ってないが彼女は彼女で、白井黒子、初春飾利、佐天涙子、この3人が想像もできないほどの大きな存在と戦っていた。

 

忘れてはいけない。

才能や特別な力を持っていようと彼女たちは中学生、まだ“子供”である。

それなのにこの街は子供たちに大きな壁をぶち当てる、まるで“そうなるのが当たり前”であるかのように。

それに善意や悪意のようなものはなかった。

 

初春「…………はあ。なに自分だけは暇だったとか嘘を言ってるんですか佐天さん。連日居残りさせられてたくせに」

 

佐天「う、初春っ!?」

 

御坂「えっ?佐天さん居残りさせらてたの?しかも連日で!?」

 

初春「そうなんですよ御坂さん、佐天さん中間テストで驚くほど低い点数を叩き出してしまいまして。それで、かれこれもう一週間は連日で居残りさせられてるんです☆」

 

佐天「初春ッ!!なんでそういうことをペラペラ喋っちゃうかなァッ!?」

 

初春「今日このお二方に勉強会がしたかった理由をちゃんと誤魔化さず言うつもりだって佐天さん自分で仰っていたじゃないですか。それを代わりにわたしが言っただけですよ?そこまで取り乱すことですか?」

 

御坂「へぇ……そうだった。勉強がしたいとかあまり自分から言わない佐天さんが『みんなで勉強会がしたい!!』って急に言ってきたから謎に思ってたんだよね、けどそういうことだったんだ納得」

 

白井「わたくしもなぜ急に勉強会?と思ってましたが初春の話を聞いて疑問だったものが解消されましたの」

 

全然4人で集まれなかったから……、という理由もあったのが本命は違った。そう、実はいつもの仲良し4人組が集まったのはみんなで勉強をするためだったのだ。

 

佐天「…………はあ。まっ、そうなんです。自分のせいなんですが本当に、本当に、わたしの成績が酷くなってしまいまして。それで担任の先生には頻繁に職員室に呼び出されるし、みんなが下校している時間に寂しくひとりで教室で勉強させられるしで……。もうこんな毎日は嫌なんです!!なので、なのでどうか二人の力を貸してください!!わたしに勉強を教えてくださいお願いしますッ!!」

 

ドガッ!!と、額をテーブルに思いきりぶつけて深く頭を下げる佐天涙子を見た御坂美琴と白井黒子は、、、

 

御坂「そんな全力でお願いしなくても大切な友達の頼みだもん、勉強くらい教えてあげるって」

 

白井「わたくしも構いませんわよ」

 

佐天「本当ですか!!ありがとうございますッ!!」

 

御坂美琴と白井黒子の言葉を聞いて佐天涙子は明るい表情をして顔を上げる。

 

御坂「じゃあ早速─────」

 

白井「─────お待ち下さいお姉さま、こういのはまず形から入るのが大事だと黒子は思いますの。なのでこちらをおかけ下さいまし」

 

ゴソゴソ……、と白井黒子は背中と椅子の背もたれの間に挟んでいた常盤台中学で使っている自分のカバンの中を探ると“とあるもの”を取り出した。

それを隣に座る御坂美琴に両手の平に置いて差し出した。

 

その、“とあるもの”とは……?

 

御坂「それじゃあ気を取り直して美琴先生と黒子先生の確実に学力がアップする勉強会を始めるよッ☆」

 

白井「ちゃんとわたくしたちについてきてくださいねッ☆」

 

佐天「はいっ!よろしくお願いします先生!!」

 

初春「すごいノリノリじゃないですかお二人とも………。まっ、楽しそうなのでいいんですけどね」

 

御坂美琴はフレームがブラウン色のレンズの入っていないメガネを、そして白井黒子はフレームか赤色のレンズの入っていないメガネをかけていた。

 

 

そして。それから仲のいい4人で行う勉強会が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

御坂「あー、楽しかった。人に勉強教えるってこんなに楽しいことだったんだ」

 

白井「でしたらお姉さま、次はわたくしにお勉強を教えて下さいまし!そう、夜に行う甘くとろけるような大人の勉強を────」

 

バシンッ!!!!

息を吐いてかけていたメガネを外す御坂美琴に頬を染めて接吻を迫る白井黒子に超能力者(レベル5)・第三位は少量ではあるが電撃を帯びた強烈なビンタをお見舞いする。

 

初春「佐天さ〜ん、大丈夫ですか〜?」

 

佐天「うん、なんとかね……。頭使いすぎて脳が少しショートしてるだけ………」

 

初春「甘いもの食べます?」

 

そう言うとテーブルに顔をつけて動かない佐天涙子は小さく『うん……』と、言葉を返す。

 

そして、そして。

御坂美琴も白井黒子もショートケーキなどの甘い食べ物を注文し始める。

 

結局、4人全員スイーツを注文した。

 

そして。

注文してから数分が経過すると、ファミレスの定員さんがそれぞれが頼んだスイーツをテーブルに持ってきた。

 

御坂「初春さんと一緒にこのファミレスに来ると毎度見ることになるけど、やっぱり何度見てもここのパフェはすごいわね………」

 

初春「値段もお手頃で尚且つ量も多い。ホント、ここは最高ですっ!」

 

白井「しかし初春、だからと言って食べ過ぎれば太りますわよ?」

 

初春「スイーツは別腹なので大丈夫ですッ☆」

 

とても満面な笑みでそう答える初春を見て御坂と白井は『はははっ……』と乾いたような笑いをする。

 

そしてそして。

それから、4人は自分が頼んだスイーツを食べる。

 

初春「ん〜!美味しい♪………あっ、そうでした。そういえば今日、佐天さんに聞きたいことがあるんでした」

 

3人はケーキなどの小さなスイーツを頼んだのに1人だけ大きなパフェを注文し、そしてそれを少しもペースを落とすことなく食べ進める初春飾利はあることを思い出した。

 

佐天「んー?なにをわたしに聞きたいの?甘いもの食べて糖分補給できたとはいえ、まだまだ全然本調子じゃないから難しいこと聞かれても答えれないよ」

 

初春「いやー、佐天さんが趣味で収集している都市伝説をいくつかお聞きしたかったんですが………」

 

手に持っていたスプーンをテーブルに置いて初春はそう言った。

すると、だった。

たったその一言で力尽きたようにテーブルに顔をつけて前に倒れていた佐天涙子は一瞬で回復したのだった。

 

佐天「えっ?えぇ!?ウッソ!?あの初春が都市伝説に興味を持ってくれたの!?すっごい嬉しい!!いいよいいよなんでも聞いてほしい!!この学園都市で一番わたしが都市伝説の情報を持っていると自負があるからね」

 

白井「珍しいですわね、初春がそんなことを聞くなんて……」

 

佐天涙子は瞳をキラキラさせていた。

そして、初春飾利がとても珍しいことを言うものだから白井黒子と御坂美琴は目を丸くして驚いていた

 

初春「では、佐天さん。最近集めた都市伝説を順に聞かせてください」

 

そう言うと、だ。

佐天涙子はとても嬉しそうに自身の鞄からノートを取り出した。

そのノートには彼女が日々、暇があれば集めていた学園都市の都市伝説がびっしり書き記されていた。

 

そして。

それから佐天涙子は3人に自身が集めた都市伝説をすべて話した。

 

佐天「─────これで全部かな、わたしが最近収集できた都市伝説は」

 

白井「はあ………。相変わらず全くもって全部下らないですわね」

 

御坂「そ、そそそ、そうね…………」

 

大きな息を吐き、優雅に紅茶を一口飲む白井黒子の隣に座る御坂美琴は体を小刻みに震わしていた。

佐天涙子が話した都市伝説の中には怖い系のものあったのだ。

 

初春「………佐天さん、本当に全部話してくれましたか?」

 

佐天「えっ?うん………」

 

そうやって佐天が答えると初春はなにか落胆した様子だった。

それにいち早く気づいた白井黒子は、、、

 

白井「どうしました初春?なにか最近変わったことでもありましたの?」

 

初春「……………もしかしたら佐天さんなら知ってるかも、っと思っていたんですね」

 

真剣な顔つきになった初春飾利を見て驚いた、御坂、白井、佐天は体が一瞬硬直してしまう。

 

初春「皆さん、これからわたしは嘘みたいな話をします。笑わずに聞いてくれますか?」

 

白井「なにを言ってますの?友人が真面目に話をするというのに笑うなんてデリカシーのない人間はここには居ませんわよ?」

 

白井黒子がそう言うと御坂も佐天も真剣な表情で頷いた。

それを見た初春は一つ息を吐くと、今まで誰にも話せなかったことを3人に話す決意をした。

 

初春「実は、わたしこの学園都市で会ってしまったんです………」

 

「「「会った……?」」」

 

3人は口を揃えてそう聞いた。

 

初春「はい。“天使さま”に」

 

すると、すると。

それぞれ違う反応を見せた。

佐天涙子は顔に手をつけて天を仰ぎ、白井黒子はとても大きなため息を吐き、御坂美琴は口を開けたまま固まってしまった。

 

白井「初春……、あなたが幻覚が見えてしまうくらい疲れていたなんてわたくし知りませんでしたの。わたくしはあなたの友人失格ですの」

 

佐天「いやいや、それは違うよ白井さん。多分あの頭にあるお花の髪飾りが原因だよ。きっとあの頭の花が脳まで侵食して、初春に幻覚を見せたんだ」

 

初春「白井さんはともかく佐天さんは完全にわたしをバカにしてますよね?御坂さんもわたしの話を信じてくれますか?」

 

御坂「え、えーっと。そ、そのー。わたしは初春さんことは信用しているし信頼もしている。けど、さすがに“天使さま”っていうのは………」

 

ばつの悪そうな顔をして言葉を詰まらせる御坂美琴。

すると、である。

 

佐天「う、い、は、る。あのさ、ここは学園都市だよ?科学の街なの。非科学な存在の天使さま(笑)なんて居るわけないじゃん」

 

初春「佐天さんがそれを言っちゃいますか?佐天さんが集めている都市伝説だって学園都市の人間が信じられないものばかりじゃないですか」

 

佐天「都市伝説のどれもこれも嘘か本当かそのどちらかわからないロマンがあるんだよ。明らかに作り話だとわかる都市伝説にはわたしは飛びついたりしない。わたしは無能力者(レベル0)だけどそこまでバカじゃないもん」

 

白井「初春、あなたは疲れていますわ。最低でもあと3週間は風紀委員(ジャッジメント)の仕事を休んだほうがいいと思いますの。固法(このり)先輩にはわたくしが言っておきますわ。大丈夫安心してくださいまし、あの人ならきっとわかってくれますわ」

 

同じ学校に通う同級生には嘲笑され、同じ風紀委員(ジャッジメント)の白井黒子には本気で心配された。

 

だが1人だけ違った。

 

御坂「ねえ初春さん。もっと話してくれない?その初春さんがこの街で会った“天使さま”の話を」

 

初春「御坂さん…………」

 

誰も信じてくれなかったことに表情を暗くする初春を可哀想に思った御坂美琴は彼女のいう『天使さま』ってやつの話を詳しく聞くことにした。

真面目に聞いてくれた御坂に初春はうっすら涙を浮かべる。

 

御坂「その前に佐天さんと黒子、2人とも初春さんにまず謝りなさい。初春さんが話したところで信じてくれないと思っていたことをわたしたちを信じて真剣に話してくれたのに初春さんを信じてあげられなかったことを」

 

佐天「本気で言ってるんですか?御坂さん天使ですよ?エンジェルですよエンジェル、そんなのが本当に居ると思ってるんですか?」

 

御坂「正直に言うと最初言われた時、信じてなかった。けど初春さんの顔を見ていて初春さんがウソを言ってるようには見えなかったの。だから、初春さんが天使に会ったと言うなら本当に初春さんは天使に会ったんだと思う」

 

そう言われると白井も佐天も初春に頭を下げて謝罪した。

 

御坂「初春さんごめんなさい。偉そうに2人に言っていたけどわたしも初春さんを信じてあげられなかった」

 

初春「いいですよ、わたしも心が通った友達にこんなこと急に言われたら素直に信じるのことは難しいですし」

 

本当は3割程度許せない気持ちがあった。

しかし、その気持ちはここでは一旦忘れることにした。

 

そして。そして。

初春飾利は3人に自分が会った『天使さま』の特徴を話した。

 

佐天「“この世のものとは思えない”天使の羽を6枚生やしていて、茶髪の男性で、高身長で、絶世の美男子だった、と」

 

初春「はい、まあ……そうですね。絶世の美男子とまでわたしは言ってませんけどね、カッコイイ人だったとは言いましたが」

 

佐天「もしかして初春、その男の“天使さま”に恋しちゃった……とか?」

 

初春「…………………………………………」

 

佐天「えっ?初春……!?」

 

初春「佐天さん。この感情は恋……、なんですか?ただ、わたしはずっとあの天使さまが心配なんです。見た感じ体に傷とかはなかったんですが、でも不思議と何故かボロボロに傷ついているように見えたんです。またあの天使さまがわたしのどこか知らないところでまたあの時のように倒れてないかって心配で心配で………。もしもあの時のように倒れていたら助けてあげたいなって」

 

佐天「う〜ん、それは恋なのかな?どう思います白井さん?」

 

白井「大変興味深いですがその話はまたあとでにしましょう。それよりも初春のあった“天使さま”とやらが実際に居るか居ないか、まずはそれを考えましょう」

 

初春「白井さんはまだわたしの話を信じてくれてないんですか?」

 

白井「信じていますわよ。あなたは“天使さま”とやらに確かに会ったのでしょう。ですが、あなたが会った“天使さま”が実際に現実に居たかはまた別の話ですの」

 

初春「どういうことですか……?」

 

白井「初春、その“天使さま”とはどういうところでどういう感じに会ったんですの?」

 

初春「風紀委員(ジャッジメント)のパトロールをしていたらわたしたちのような学生たちが多く行き交うお店が並ぶ場所をふらついて歩いている男の人がいて、それを見たわたしはその男の人がとても心配になりあとを追っていたらわたしがあとを追っている男の人が薄暗い路地に入るのを見てわたしもその路地に入ったんです。そしたらわたしがあとを追っていた男の人は薄暗い路地の入口から少し進んだ場所で倒れていました。そして、わたしが声をかけたら倒れていた男の人はわたしに水が欲しいと言ってきたのでそこから一番近い自動販売機で水を急いで買ってきてそれをあげました。そしたらまだふらついてましたが先程まで倒れていた男の人は立ち上がったんです。その直後です、背中から6枚の白い羽を生やし天使さまが真の姿を現したのは。それからは声をかける間もなく白い羽を大きく広げ大空に飛んでいってしまいました」

 

白井「なるほど……。それで初春、これだけはハッキリしておきたいのだけれどあなたが会ったという天使さまが心配なのはわかりましたが本当にそれだけですの?佐天さんに都市伝説を聞いた時、あなたは言いましたよね?『もしかしたら佐天さんなら知ってるかも………』と。あなたはもしかして知りたいんじゃありませんの自分が会った天使さまの正体を」

 

初春「…………………はい、そうです」

 

白井「だったら、まずわたくしの考えから言わせてもらいますの。初春の話を聞いてわたくしは初春が会った天使さまはやはり幻覚だったと思いますわ。ですが幻覚を見たのは初春が疲れていたからだとはもう言いませんの。“幻覚を見せられた”のですわ」

 

佐天「幻覚を、見せられた………?」

 

首を傾げながら佐天はそう口を開く。

すると白井黒子は続けて話す。

 

白井「精神操作系の超能力を持つ者であれば洗脳や催眠などで幻覚を見せることが可能ですわ」

 

佐天「あー、なるほど。超能力者が初春に幻覚を見せたのか。いや、でもなんで?」

 

白井「恐らく軽いイタズラでしょうね。風紀委員(ジャッジメント)という存在を嫌っている生徒はこの街に多く居ますからね。それで、でしょう」

 

佐天「そっか、初春はパトロールをしてる時に天使さんに会ったんだよね」

 

初春「はい。ですが、わたしは天使さまは幻覚じゃなかったと思います。最初わたしはあの不思議な出来事は夢だったんじゃないかって思いましたが、でも天使さまは疲弊したわたしの体を治してくれたんです。ちょっと荒っぽいやり方でしたが……」

 

御坂「荒っぽいやり方だった?どんな感じだったの?」

 

気になった様子の御坂にそう聞かれたので初春は素直に答えた。

 

初春「羽でお腹を刺されました。でも刺されたところはなんともなかったですし不思議と痛みもなかったんです、だからわたしも今まで見たものはすべて夢だったんじゃないかって思ってました。けど、わたしの財布からはお水1本分のお金は減っていたんです。それに天使さまに真っ白な羽でお腹を刺されてからあまり疲れないようになったんです。なので、わたしは天使さまは実際に居たんだと信じてます」

 

初春がそう言うと、だ。

3人は黙ってしまう。

 

が、しかし。

 

白井「……………………そこまでのことをできる精神操作系の超能力者なんて、わたくしが咄嗟に思い浮かべることのできる人物は“1人しかいません”。しかし、“女王”と呼ばているあの女ならこの街で誰よりも完璧に洗脳して幻覚を見せることもできると思いますが、わざわざ初春に超能力を使います?いや、あの女は本当になにを考えているかわかりませんし暇潰しで人を弄びそうですしそういうこともしそうですが、いや、やっぱり…………」

 

佐天「あのー、御坂さん。白井さんが頭に思い浮かべている人ならできそうなんですか?」

 

ブツブツと周りの声など聞こえなくなるくらい集中して考え込む白井黒子を見た佐天涙子は御坂美琴に質問する。

 

御坂「もしかしたら……、いや絶対に黒子が思い浮かべてる“あの女”なら誰よりも強力な洗脳することも人の記憶とかも自由にできる。精神に関することならなんでもできる十徳ナイフのような能力を持つ常盤台で“女王”って呼ばてるあの女なら可能だけど、人をオモチャにして遊んでそうなやつだし、軽いイタズラで他人に超能力を使ってそうな性格をしてるやつなんだけど、面倒なことにあいつ本当に掴めない性格をしてるのよ。だから直接本人に聞いてみなきゃわからないけど、あいつが私たちの質問に素直に答えてくれるとは思えないし………」

 

佐天と初春は常盤台中学に通っている御坂と白井が腕を組んでその頭の中で思い浮かべている“女王”とやらがどんなやつわからなかった。

 

御坂「…………あいつの超能力は本当にすごいと思う。わたしでも思いつかないこともできる力を持ってる超能力者(レベル5)よあいつは。けど洗脳して幻覚を見せることができたとしても人から疲れを取り、尚且つ疲れがあまりでないよう身体を改造、みたいなことまで可能なの?いや、あいつが『そういうこともわたしの超能力ならできちゃうわぁ☆』って言われたら素直に信じちゃうけど……。どう思う黒子?」

 

白井「………どうでしょう?しかし、人は強い思い込みで時には信じられない効果を体に生み出すことがあるそうですわお姉さま。なのであの女の超能力で強力な洗脳をすれば可能かと黒子は思いますの」

 

御坂「でもさでもさ、あいつがそんなことすると思う?」

 

白井「やりそうですし、やらなそう………ですわね」

 

御坂「だよね〜」

 

なんか深く考え始めてしまった常盤台の女子中学生の2人。

 

そして。

白井黒子と御坂美琴が思い浮かべている“女王”のことはまず保留にしておいた。

が、しかし。

そこからも初春が見た“天使さま”は現実に居たのか、またはなにか特別な条件から見た幻だったのか、それともやはり精神操作系の能力者から見せられた幻覚だったのかと議論は続いた。

 

すると、すると。

初春飾利、佐天涙子、白井黒子の3人が議論している中、御坂美琴は突如、黙って深く考えていた。

 

御坂(…………なんか、変だ。なんでなの?なんでわたしは初春さんが会ったという天使はなんだったのか、その答えは“すぐ近い”と思っているの……?)

 

それは自分でもわからなかった。

 

 

最初、初春飾利が学園都市で天使に会ったと言われた時は超能力者(レベル5)・第三位の彼女の頭の中は『?????』となっていた。

しかし。

“この世のものとは思えない”真っ白な羽を6枚背中から生やす茶髪で高身長の男、と初春飾利は自分が会った天使さまの特徴を言った時に御坂美琴は『ああ……、そういうヤツなら学園都市に居るかも』と思ってしまっていたのだ。

そして。もしや食蜂操祈の仕業か?と疑っている時、あの女の仕業だと確信が不思議と全然持てずそれは違うと思っていた。

 

それもどうしてか、わからない。

 

 

 

御坂(もしかしてヒントはもう出揃ってる……?)

 

そこから御坂美琴は学園都市で第三位とまで言われている優秀な頭脳をフル回転させる。

 

御坂(天使。茶髪で高身長の男。この世のものとは思えない6枚の白い羽。痛みすら感じさせずに背中の羽で人を刺す。疲れを取りそして疲れをあまり感じさせないように身体の改造。食蜂操祈。精神操作。超能力者(レベル5)─────)

 

刹那。

頭からつま先まで強烈な電気が走るような感覚を御坂美琴は味わう。

 

御坂「────まさかッッ!!!!」

 

「「「ッ!?」」」

 

 

ガタッ!!!!

突然に声を上げて席から立つ御坂美琴に初春飾利、佐天涙子、白井黒子の3人は驚く。

 

白井「お、お姉さま?なにかわかったのですか?」

 

そうやって質問するが御坂美琴はなにも返事をしなかった。

ただ、顔は青ざめていたのだ。

 

御坂(間違いない。初春さんが会ったのは幻じゃない“本物”だ……ッ!!)

 

御坂美琴はひとり天使の正体を知る。

 

御坂美琴と同じく超能力者(レベル5)で第五位の食蜂操祈。

彼女の力なら現実に居る“やつ”の姿を見せることもできるし“やつ”の超能力を自分に使われたと思い込ませることも可能だろう。

しかしそれは“やつ”のことを知ってる前提の話である。

 

だが初春飾利は会った“天使さま”は初めて会ったと言っていたし初めて見たとも言っていた。

そう、初春飾利は“やつ”のことなど全く知らないのだ。

 

食蜂操祈の力なら記憶の操作も可能。だからまず最初に“やつ”の情報を初春飾利の頭にインプットとして“やつ”のことを知っている状態にさせてから、初春飾利に“やつ”の姿の幻覚を見せて自分は“やつ”の超能力を使われたと思い込ませて、そしてその後“やつ”と出会ったことだけは記憶に残したままそれ以外の記憶は消去したら身体に変化は起こらない。

自分にどういう超能力を使われたか、それも忘れてしまっているからだ。

 

ならば。と、なる。

 

“本物のやつ”なら背中からこの世のものとは思えない白い羽を6枚生やすことも人の体に何らかの変化を及ぼすこと可能だ。

 

それに“やつ”の仕業だとするなら合点がいく。

 

 

 

白井「お姉さま!お姉さま!!どうかなさいましたの!?」

 

御坂「……………………初春さん」

 

初春「あ、はい」

 

大きく息を吐いて落ち着くと静かに席に座った御坂美琴は自分のことを心配する白井黒子を無視する。そして、、、

 

御坂「できればこのあとすぐに病院に行って身体検査をしてもらったほうがいい」

 

初春「どうして、ですか?」

 

御坂「ハッキリ言って披露をあまり感じない体なんて異常よ。なにかしら体の内部で変化が起きてるかもしれない。それがもし今後、悪影響を及ぼすものだったら最悪でしょ?何もなければいいのだけれど、もしもがあるかしれないから。面倒なのはわかる、けどお願い友達からの頼みだと思って」

 

初春「……………わかりました。御坂さんがそう言うなら」

 

佐天「御坂さん、初春をひとりで行かせるのは心配なのでわたしも一緒に行きます!」

 

白井「お姉さま、初春が見た天使についてなにか存じておりますの?」

 

御坂「ごめんね黒子。今はなにも言えない………。大丈夫、言える日が来たら皆に言うわ約束する」

 

 

とても悲しそうな顔をしていた。

とても辛そうな顔をしていた。

 

その日に見た御坂美琴の顔を初春飾利、佐天涙子、白井黒子の3人は絶対に忘れないと心に誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

御坂「嗚呼……。神様お願い、伏してお願い申し上げます。あの子たちにはこの街の闇を見せないでください。あの子たちにはこの街の闇に触れることのない平和な毎日を過ごさせてあげてください。その分、わたしがこの街の闇を引き受けますから………」

 

 

 

学園都市。

そのにある人があまり立ち寄ることのない科学の街には似つかわしくない教会。

 

静寂が漂う夜の教会の中で大きな十字架の前で地面に跪き額を地面につけて科学の寵愛を受ける申し子はロザリオを震えた両手で強く握って祈っていた。

 

 

涙を堪えながら………。

 

 

 

 

 

 






次回・【闇を穿つ天使】参話。

目を背けたくなるような悪行を平気で行う善意を捨てて狂人となった者達が終夜その身を喰い合う世界。

そこに、初春飾利は足を踏み入れる。

大きな拍手をして心から歓迎しよう。
ようこそ、これが“悪の世界”だ。




────ごめんなさい、御坂さん⋯⋯。
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