「ドクトール反応はどうでしたか?」
「……いや良かったですよ。あとは順次作って夜戦の基本装備としていくことになりましたので」
「そうですか、それは良かったのですが……なぜそんなしかめっ面なのですか?」
確かに新しい補助装備である暗視ゴーグルの評価は良かった。この国では航空魔導師を夜戦に使おうという未来的な発想で俺に頼んできた……俺じゃなくても頼める所があるだろうと丁寧な言葉で言ったら、そういう未来的な物は俺に頼めと言ってきたらしい。まぁそれが俺の仕事でもあるから作ったのは作った……しかしこの国は発想が未来過ぎやしないか? どこの国も航空魔導師を夜戦に使おうなんて発想ないし、というか夜戦という概念がないような世界…いや帝国なら考えてる奴はいそうだな、あそこ戦争バカだし
いやそんな話がしているんじゃない! 問題はそのあとだ、補助装備の話が終わったから帰ろうとしたら次の話が始まった。その話は元はといえば俺がポロっと漏らしてしまった話を何故か本当にやってしまった軍部もとい政府がやってしまった事だ…………それは見た目麗しい働く女性の写真集と様々なタイプの男性の写真集を売るという事。何がおかしいかって殆ど一般人な所だ! 俺が子供が将来どんな職業に就きたいか考えさせる事もできて、大人には麗しい女性や様々なタイプの男性を見ることが出来るから売れるんじゃねって漏らしたからって本当に作るバカがいるか‼ 軍部はそれで格好いい男性や綺麗な女性の軍人の写真を出してたら大人になった子供が入ってくれる可能性がある、政府は回りの国に如何に自分の国が平和で未来があるか知らしめる事ができる……という理由でOKしたらしいけどな、そんなに上手くいってたまるか!
「前に売った写真集が恐ろしいほど売れたらしい……それも他国にも売れたらしいから第2弾を作ることになったという報告だ。しかもそれに出ることになりまして」
「あ~ドクトール、そういうの苦手でおられますしね。それでお断りになったの「断れると思ってるんですか!」無理ですね」
そう何故か俺が写真集に出ることになった! ふざけんなよと言いたくなったが相手は上司、そんな事いってタダでは済まないのは分かってるからOKするしかなかった。良かったと思える点は何時も通りの格好で良いという事だけだ……着飾ったキラキラの子供服を着ろと言われたら涙を流しながら撮影することになりそうだ
「あっここで失礼します……少し疲れましたのでゆっくり休みたいので」
「確かにドクトールはお疲れになったことでしょう……仕事も一段落した事ですしゆっくりお休みになられてください」
「……お気遣いありがとうございます」
俺専用の部屋、ハビエル自由製作部に入ってようやくゆっくりできる……紅茶を用意して、自作した冷蔵庫から俺が作ったショートケーキを出して優雅な時間を
「って何で特殊部隊アルコイリスの隊長ロベルタさんがいるんですか? 勝手に紅茶注いでるし」
「ふふ、そんなに他人行儀にしなくてもいいじゃないかハービー。それよりそのお菓子を分けてくれないかな、私も食べたいんだけど」
「……ロベルタさん良いんですか? 貴女一応航空魔導師のネームド達を集めた部隊の隊長ですよ。そんな人が俺の部屋に来…おい勝手にケーキ切り分けて食べるな!」
「んぐっこれは美味しいなハービー、商品化してほしいくらい……これは?」
勝手に紅茶とケーキを優雅に飲み食いしているストロベリーブロンドの美女、軍服の一部がそれぞれ違う原色になっているネームド部隊の隊長、それがロベルタさん。何故か俺によくしてくれて笑顔をよく浮かべる人であまり人の話を聞かない……訓練の時は冷たい目で怖い。昔一部の軍人が反旗を翻したとき問答無用で軍服の赤い染みに変え、血に染められたストロベリーブロンドの髪から苺髪というやった事とあっていない異名がつけられた女魔導師……本当に何でよくしてくれるのかわからない
そのロベルタさんが手に取ったのは俺が書いた落書き、他の国なら本当に落書きとして処分されるような物なんだが
「それは潜水魔導師の構想ですよ……まぁ提出するつもりはないですけどね。あとケーキ食べ過ぎです、俺の分残してください」
「なら速く食べたら良い、これが美味しいのが悪い…私は悪くない。潜水魔導師か……提出したら即OK出しそうだからだな。それにしてもよくこんな物を考え付く、アイデアとしては恐らく何処の国も考え付かないものだ」
「だからですよ……それに人員割くくらいなら軍は他の方に回すで「しかし考え付いた時点で理由があるのだろう?」まぁそれなりには」
「ぜひとも聞きたいな……あとハービーの皿の上のケーキ貰っても「駄目です」中々厳しいな」
勿論理由はある……前の世界では船同士の戦いは縮小、替わりに空母やミサイルを撃ち落とす為のイージス艦などが出てきた。さらに水中では潜水艦が船を沈没させたり、潜水艦を海の藻屑にしたりしていた…………しかしこの世界では潜水艦はあるが空母はない、戦闘機はいつも陸から飛び立って陸にいる敵を殺している。航空魔導師は海にいる船を倒すために態々行くことはない、となれば船の敵は潜水艦……となるはずだがそうではない。何故か潜水艦の相手は潜水艦、船の相手は船というおかしい事になっている……勿論相手に潜水艦がいなければ船を狙うが、そんな世界だ…そこで思い付くのが水中で戦う魔導師
「船を沈める方法などいくらでもあります……が飛行適性のない魔導師を陸で使い潰すくらいなら、海で船を沈めた方が良いと思いますし。あと船の砲台は下には向きませんから、例え兵士が撃ってきてもこっちは水中なので当たりません……安全な場所で安心して船を沈める事ができるという利点はあります」
「……なるほどそういう考えもあるのか。私的にはいくらでもある方法の方が知りたいが……そろそろ時間のようだ。ハービー、ケーキ美味しかった…また食べに来るぞ皆でな」
「それは止めてください……俺死んじゃうじゃないですか、働きすぎで‼」
「ふふ……今でも働きすぎだと思うがな」