はじめに『あらすじ』を読まれる事を強くお勧めします。
事案1・整理番号001 『1年13組』
「現時刻より、状況を開始するわ。オペレーションYOBAIスタート!総員配置に付けっ!」
時刻は夜、それも日付が変わった直後の深夜。
総員配置の号令で男子2人と女子4人の6人で固まっていた集団は、一斉に男子は男子、女子は女子とチームを作り分散して行った。
その6人は全員全身黒ずくめの装備で身を包んでいて傍から見ると異様だ。
だが、そんな彼らもれっきとした高校生なのである。
「男子チームの対象アルファーは女子寮602号室にて就寝中、女子チームの対象ブラボーとチャーリーは男子寮209号室で就寝中なのを確認したわ。各員の目標を予定どうり襲撃せよ」
「「了解」」
そして、黒装備の女子高生4人は男子寮209号室へとたどり着く。
ハンドジェスチャーで一人が突入合図すると、もう一人がICカードキーを特殊装備で解除し、突入合図した方がカチャとならないような丁寧さで中の人間を起さないように侵入しようとしたその時ーーー
ドアノブを引いただけなのに、プシューっと白いガスのようなものが209号室を包んだ。
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第三次世界大戦。
かつて無いほど世界に混乱を与えたこの戦争は世界の様々なパワーバランスを変えてしまった。
バランスを変えた主な原因は日本語の台頭である。
なぜ、日本語なのか。
それは人類の暮らしを変えた、次世代プログラミング言語『のぞみ』が今までのプログラミング言語と違い、完全日本語ベースで開発されたからに他ならない。
日本語特有の曖昧な表現や多様な表現が、既存の言語と差をつけた原因とされている。
天才研究者『
世界の人々は外国語として『JAPANESE』を学び、世界共通語もいつの間にかそれに釣られて『英語』から『日本語』へと変化していったのである。
またこれと同時期に治安・経済情勢が悪化していき、世界のバランスは徐々に音を鳴らしながら崩れていき....第三次世界大戦が勃発した。2047年のことだった。
終戦は、2049年。
終戦を迎えても治安が安定しない国は多数存在し、また犯罪組織の国際化も目立ってゆく。
こうした現状に、世界を安定化するべき『国連』が役立たずとバッシングを浴び、存立危機に直面する。
このような経緯を受け、加盟国は総会で一つの条約の採択を決断した。
それは、国際警察力強化による国際治安安定化に関する条約、いわゆる『DIP条約』。
国家が主権の一部である警察権を国連と自主的に共有するというもの。
表向きでは満場一致で可決され、異例の速さで各国が批准し2050年末には本格的に発効される。
これにより、国連は初の常設実権組織『
当然日本もその対象で、海上保安庁の全てと自衛隊の一部、消防と警察の一部と在日米軍の一部を合体する形で国際警察局日本本部を設立。
延べ10万人ほどの人員が国際公務員となり、日本で国連の警察として活動することとなったのである。
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入学おめでとう!
デカデカとそう書かれた横断幕を横目に、俺はこれから入学する高校の門を潜る。
高校と言ってもそこは巨大な要塞。
広さが約93haあり、東京ドーム19個は収まる面積を誇る。
『国際連合国際警察局 名古屋国際警察大学校』
それが俺が今から入学する学校の正式名称。
俺はその付属高等部に入学するんだ。
まあ、内部進学なんだけどね。
周りを見回していながら人の流れに流されていくと、新入生受付のカウンターが姿を現す。
「次の方どうぞ」
数人待ったが、すぐに俺の番が回ってきたみたいだ。
「入学おめでとうございます、お名前よろしいですか?」
「
「お調べします。少々お待ちください」
カウンター事務のお姉さんはPC端末で情報を呼び出し、手続きをして
「お待たせいたしました」
と俺に作業終了を告げてくる。
「木場さんは13組に配属になりました。教室の場所を記した校舎案内図を転送します。タッチしてください」
PC横のNFC近距離無線通信端末へ『ストラップ』のタッチを促してきた。
指示された通りに、腕につけているソニー製ストラップ端末をNFCへタッチする。
すると一瞬で校内図が転送され、ストラップは立体投影で図を表示した。
このストラップと呼ばれている端末、8年前ぐらいに登場した新型携帯電話でそれまでの主流だったスマートフォンを一瞬で駆逐してしまった代物。
形は時計タイプで、重さは20gくらい。めっちゃ軽い。
それでいて、立体投影は空気振動による空間操作でタッチパネルを触ったような感覚があるから違和感がない。
そして、充電要らず。
今や、携帯キャリアが電話の電波と一緒に電気も電波で届けるようになった時代。
だから、バッテリーが搭載されてないのが標準になってたりする。
あれもこれも全て『のぞみ』の恩恵らしい。
「木場さん、図の赤く光っている所があなたの教室です。玄関入ってすぐの階段を利用して3階になります。手続きは終了しましたので、他にご質問がなければ教室に向かってください」
「わかりました、教室に向かいます。ありがとうございました」
そうして、図に従って俺は教室に向かった。
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『多目的ルームA』
うん?おかしいな。図が指示した教室に向かったら、明らかにホームルームではないであろう部屋に到着してしまった。普通、『1-13』とかじゃかいの?
部屋に入るのを、少し躊躇していたらいきなり背後から
「おい、早く部屋の中に入らないか」
と声をかけられた。
「13組の教室ってここであっていますか?」
「ああ、そうだ。そして私は残念なことに13組のの担任だ。早く入室して席につけ。座席表は黒板に表示してあるから」
残念なこと?どういう事だ?さっぱり分からん。
考えてもしかたがないので、指示されたとおりに俺は座席表を確認して自席に着席した。
どうやら俺がラストだったようで、他は全員着席している。
全部で9人?随分少ないな・・・中等部の頃は普通に1クラス30人はいたのに。
そんなの事を考えていたら、先程の残念担任が教室を見回してから生徒に向けて喋り始めた。
「では、新入生の諸君。これより、名古屋国際警察大学校高等部1年13組配属生徒に対する新入生オリエンテーションを開始する。
まずは、担任紹介から始めよう。私は本年から卒業まで君達の
ーーーこのクラスにいる俺達新入生は、残念担任改め中野大尉が言ったとおり『早期教育幹部候補生、通称・早期幹』という枠で国際警察局に入局している。
早期幹は常に人材不足で自転車操業状態の国際警察局に1日でも早く・たくさんの即戦力幹部を投入しようとして創設された制度で、小学校卒業後の児童を採用し、世界9箇所にある国際警察大学校の付属中等部に入学させて一般教養と並行して国際警察官としての基礎教養を叩き込む制度のこと。
小学校卒業後という、しっかり自分の今後を考えられないかもしれない年齢の子供を採用するのは、各界からかなりの反対も受けているが、各々入学したい理由がかなり厚いので(両親失ってたりとか、お金無くて進学できないとか、超超軍事マニアとか)世界中で2700人を毎年採用しているが、それでも毎年かなり高い倍率の入試となり、それを勝ち抜くのは容易ではない。
そんな試験戦争を勝ち抜いた俺たちは、育った国の最寄りの国に設置されている国際警察大学校の中等部でそれぞれ基礎習得の為の勉強をし、今日高等部に進学した。進学すると専門知識習得の為に普通捜査科や陸上戦闘科など各専門学科に振り分けられる。
学科によってはいくつもの高等部に設置されているものもあるので、そのまま中等部と同じ敷地にある高等部に進学する者も多いが、俺のように配属学科が中等部と同じ敷地にある高等部に設置されていなかった場合は、その学科がある国の高等部に飛ばされるケースがある。
俺は両親の都合でヨーロッパに住んでいたのでドイツにある中等部に在籍していたが、つい三日前『お前の学科は名古屋にある学科になった。はよ行け』と言われてドイツの学校を追い出され、はるばる日本にやってきた。
移動準備とかあるのだから、もうちょい早く言って欲しいがこれが早期幹の教育スタイルらしい。
ちなみに、俺がどの学科になったかは今も知らない・・・・。
知らされていない。
謎の伝統で、初日に担任から伝達されることとなっているらしい。
だから、クラスみんな待っている。
中野教官が学科を発表するのを。
「みな、この13組が何の学科クラスだか気になっているようだな」
「はいっ気になります〜」
教官に元気よく応答したのは俺の前の座席に座っていた、女子。
いわゆる金髪ロリという言葉がピッタリあてはまるであろう容姿。
碧眼で、サラサラ金髪で、背が低い。
電車を小児運賃で乗ってもバレなさそうな感じ。
「君は..アリス ウィルソン君か。では、逆に問おう。なんの学科だと思う?」
「えっ..学科って新学期になったら教えて貰えるんじゃないのですか〜?」
「普通はそうだな。しかし、この学科は
「課題ですか・・・?」
期待した返答をもらえず、意外な返しをうけたウィルソンさんは『?』顔をしている。
「ああ、そうだ。しっかり課題をこなした者には良いことがあるかもしれないから、しっかりやるように。では、学科のことはここまでとしてーーー」
「君達は本日をもって、高等部の学生となったわけだが、中等部とは違うのは基礎訓練を修了し、専門学科に別れて勉強する事だけじゃない。中等部では君達は単なる学生としての学業と基礎訓練をこなしていけばよかっただけだが、高等部ではそうはいかない」
「どの学科でも専門学科の履修のために、実際に現場に赴いて活動する。そうなった時に必要なのが、この警察手帳だ」
中野教官は制服の内ポケットからスっと自分の警察手帳を取り出し、みんなに見せながら話を続けた。
「今から君達にこれと同じ物を貸与する。これを手にしたら、君たちは晴れて高校生でありながら、正規の権限を持った国際警察官の一等保安士に任官する。そこからは毎年進級する事に階級がひとつずつエスカレーター式で上がっていって、大学校を卒業できれば晴れて幹部だ。まぁ、そんなに簡単には進級できるカリキュラムではないがな」
「ーーだが、ここまで中等部で訓練を耐えてきた君達なら、高等部もドロップアウトせず卒業できると私は信じている。邁進するように」
その後、警察手帳の配布とストラップで今日のこれからの指示が書かれた手紙を一斉送信メールで受け取って、新入生オリエンテーションはお開きとなった。
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俺は校舎を後にし、先ほど受信した指示書に従い宿舎に向かった。宿舎はわりかし校舎と近い位置にあり、マンションのような建物が2つ並んで建っている。俺から向かって左が女子用・右が男子用らしい。
「えっと俺の部屋は209か..」
部屋の鍵は先ほど教官からもらった警察手帳。
刑事ドラマにでてくる縦開きのヤツとは違い、横開きのタイプで開くと左側にIDカード、右側に局章(国際警察局のマークが描かれた金バッチ)がついている。
一見アナログな代物だが、高密度暗号化非接触ICと生体情報記録が内蔵されているらしく偽造は不可能らしい。
大切な警察手帳を失くすとクビになるとか、ならないとか。
そんな事を考えながら、ドア横の電子キーに警察手帳をタッチすると『pi』と電子音がして開錠される。
ドアを開けると靴が一組。
相部屋なのかな?
あまり深く考えずに部屋の方向に短めの廊下を進むと、いきなり....
『お兄ちゃん...私たちは特別だよね?』
と甲高い声が聞こえてきた。
は?お兄ちゃん?
カチ・カチ・カチ
マウスのクリック音らしき音も聴こえてくる。
『私のぜんぶ...もらってくださいお兄ちゃん//』
全部ってなんだ。そもそもあんた、誰?
その不思議な声の方向(というか、209号室のメインルーム)に進むとーーー
「あぁ〜ナギサたんの全部もらったるぅ〜」
と叫んでいる変態が一人ノートパソコンとおしゃべりしていた。
☆お久しぶりですの方。
『鎮守府のつくりかた』の更新が遅れていてすみません。
年内更新を目指しております。もう少々お待ちください。
☆それから、遅れましたが『コミケ92』でさーくる*にじいろへお越しいただいた方。
ありがとうございました。処女本で右も左もわからず大変でしたが、同人誌製作は楽しかったです。
巻末四コマについてはpixiv掲載予定でしたが、都合により次回の巻末に回そうと考えています。
次回はキャラ中心に『暁』本をだそうかと思います。いつになるかはわかりませんが、決まり次第お知らせ予定です。
☆はじめの方。
初めまして。更新激遅の素人nanayuと申します。ハーメルン書いたり、同人サークルで艦これ本出したりしました。これからも少しずつ書いていくので、少しでも気に入って頂ければ幸いです。
(艦これ二次創作『鎮守府の作り方』→ https://novel.syosetu.org/106189)
(Twitter→ https://twitter.com/anitaku7yu)
(サークルのpixiv→ https://pixiv.me/nijiiro_doujin)
☆『俺たち戦いはこれからもつづく。』第二話もよんでくれるやさしい方。
次回更新はなんと本日午前六時三十分です。
激遅更新人間ですが、今回は頑張りました!
現在、最終フェーズ中です。六時三十分までお待ちください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!