ARMORED CORE VERDICT DAY ユーラヌスの人形たち 作:D-delta
後レインボーシックスシージたーのしいー!
お気に入りはエコー君とトゥイッチ(で合ってるのか?)ちゃんです♪
ドローン大好きだったりします♪
夕日が落ち、代わりに月が空に現れる。
夜が訪れた。
アルバとプリンは奪ったばかりの第18支部防衛基地に指揮車両とユーラヌスたちを乗せた輸送用の大型トラックを移動させており、今は簡易的なブリーフィングルームでシリウスの女部隊長と報酬の交渉をしていた。
「貴様らの働きに応じて最初に設定した報酬は払う。だが、敵ACや通常兵器撃墜による追加報酬や残骸パーツは一切やらん」
「最初に立案した作戦通り進めなかった隊長さんはどこのどいつだ?」
「あれは状況が状況だ、だからああいう風にしたのだ」
「それでは納得出来ない。俺たちはお前たちシリウスの尻拭いをしたようなもんだからな」
プリンとシリウスの女部隊長は報酬のことに関して言い争っていた。アルバはプリンの横で言い争う様子を見ていた。
夕方から長く続く言い争いにシリウスの女部隊長は遂に机を叩き、プリンの胸倉を掴んだ。
プリンは胸倉を掴まれようとも平然とした態度で報酬の交渉を続けようとしていた。
「貴様……! 傭兵の分際でシリウスの貴公子とも呼ばれたこの私にたて突く気か!」
「そんな肩書きはどうでもいい、とにかく今は仕事と金の話だ」
「どうでも良くないわ!!」
シリウスの女部隊長はプリンを突き放して、イライラしているせいか最初に設定した分の報酬である価値のある通貨の入った袋をプリンに投げ渡した。
プリンは難なくキャッチして報酬を受け取る。
シリウスの女部隊長は不機嫌な様子でブリーフィングルームのイスに座った。
「それだけもらって出て行け! もう貴様らガキ傭兵に用はない!!」
「はぁ……分かった、これだけもらって出て行く」
これ以上続けると相手の銃口がこちらに向くと悟ったプリンはこれ以上追及せず、最初に設定した報酬分だけもらって簡易的なブリーフィングルームから出た。
アルバは出て行くプリンの後ろをトコトコと付いていく。
「報酬の話はあれで良かったの? 僕たちは敵ACを全部撃墜したんだよ?」
「あの状況で追及すればシリウスと事を構えることになるからこれで良いんだよ」
「平和的にってやつ?」
「そうそう、荒立てる必要なんてないからね」
そう言いながら二人は指揮車両の後ろにある作戦室の扉を開き、戻った。
プリンは作戦室の机に報酬を置き、イスに深く腰を掛けた。
「報酬を数えるかな」
「はーい」
返事をしたアルバはベッドに寝転がり、端末を操作する。
端末上には各ユーラヌスの機体状況が映し出されており、それぞれの損傷度や残り弾薬を確認出来るようになっている。
アルバはその端末を操作して各ユーラヌスの機体状況を確認していく。
「やっぱりユーラヌス1の損傷が酷い……他はそうでもないけど」
一通り全機機体チェックをし終え、一番損傷の酷いユーラヌス1の細かい機体状況を確認した。
今回特に損傷が酷かった箇所は脚周りだ。端末の表示上では脚周りが真っ赤になっている。
アルバはユーラヌス1の脚周りを確認する。
損傷状況は脚の装甲のほとんどが剥げてしまい、脚部に付いている展開シールドは原型を残しているが、穴だらけになっている。これではシールドとして機能しない。
しかし装甲がいくらボロボロになっていようと駆動系の方は大きな異常はなかった。それほどACの機体フレームの強度は高いのだ。
「おばあちゃん呼んでパーツ交換しなきゃ」
「うん? それほど損傷が酷いのか?」
「駆動系は異常ないけど、装甲が酷いやられようなんだ。これで戦闘に出したらいつ駆動系が壊れてもおかしくないよ」
「確かにそうだな。ババァを呼ぶか」
そう言うとプリンは作戦室内にある通信機器の周波数を〝おばあちゃん〟宛に合わせ、マイクから〝おばあちゃん〟に呼びかける。が、しばらく通信機器のスピーカーからノイズが響く。応答が全くない。
「あのババァ……トイレにでも行っているのか? ババァのトイレは長いからな」
「きっとお仕事の最中でしょ」
「かもな」
二人は微笑みながら言う。二人は〝おばあちゃん〟からの応答を待ち続けた。
待って五分ほど経ち、ようやく年配の女性の声が通信機器のスピーカーから聞こえてきた。
≪誰だい!?≫
「繋がった繋がった! おばあちゃんだ!」
「お? マジで?」
通信機器から離れようとしていたプリンは通信機器の近くではしゃぐアルバに近付き、通信機器に顔を近付けた。
そして二人はマイクから〝おばあちゃん〟に話しかける。
「おばあちゃん、僕だよ! アルバだよ!」
≪あら、アルちゃんじゃないか! アタシを呼び出してどうしたんだい?≫
「僕のUNACの脚が壊れてきちゃって……それでおばあちゃんに交換を頼みたいの」
≪良いよ良いよー!座標データをすぐに寄越しな、アルちゃんの場所にすぐに飛んで行ってやるよ!≫
〝おばあちゃん〟は上機嫌にアルバと話しており、すぐ来てくれることに喜んでいるアルバは早速座標データを〝おばあちゃん〟へ飛ばした。
≪よーし、確認出来た! 今からすぐにそっちに向かってやる!≫
「ありがとう、おばあちゃん!」
≪アルちゃんの頼みだから別に構わんさね、着くのは明日頃だ。通信終了!≫
〝おばあちゃん〟の通信終了の旨と大型ヘリの特徴的なローター音が聞こえたのと同時に通信が切れた。
アルバと〝おばあちゃん〟のやり取りを見ていたプリンはあまり良い表情をしていない。それもそのはず、プリンは〝おばあちゃん〟が嫌いなのだ。
〝おばあちゃん〟と顔を合わすたびに腕を試されるようなことをされては敗北して「まだまだだね、それじゃあいつまで経っても大事な人を守れないよ」とプリンは言われているのだ。未だ認めてもらえず、言われる度にプリンはイライラしている。その上アルバは〝おばあちゃん〟とかなり仲が良いため、アルバを取られるんじゃないかと常日頃心配しているのだ。
「あー、ババァが来るのは良いけど……顔を合わせたくないな」
プリンは愚痴りながら通信機器の周波数をシリウスのものに変えた後に電源を落として、ベッドに横になった。
端末の電源を切ったアルバは、おばあちゃんと会えることにニコニコしながらベッドで寝ているプリンの横に寝転がった。
「おやすみな、アルバ」
「うん! おやすみ!」
二人は寝静まった。
※※
朝日が昇る。
昇ったばかりの太陽の光りは指揮車両とその周りの輸送用の大型トラックを照らす。
そうして新しい朝がやってきて、一日が始まった。
「……ん」
不意に目を覚ましたプリンはベッドから起き上がった。すると複数の大型ヘリのローター音がプリンの耳に届いてきた。
「あの女部隊長が言っていたシリウスの後方部隊が到着したのか?」
眠気が覚めないプリンは身体をフラフラさせながら作戦室の扉を開いた。汚れた大地の乾いた風がプリンの肌に当たった。無論それは心地良い風ではない。むしろ汚れていて肌に悪い風だ。
ヘリのローター音が近付いてくる。
プリンはその騒音で完全に目を覚まし、騒音のする方を見た。プリンの目に映ったのは青いカラーを施した大型ヘリの集団。シリウスの後方部隊だ。
「ずいぶん早いな……」
プリンがシリウスの後方部隊が飛んでいる姿を見上げていると、シリウスの後方部隊は昨日奪った第18支部防衛基地に次々と到着した。
到着したシリウスの後方部隊は固定用のハンガーに吊り下げているACを安全に投下させ、下部に荷物を無くしたことによって着陸出来るようになった後方部隊の大型ヘリは第18支部防衛基地に着陸した。
投下されたACたちのコックピットハッチが開き、次々とパイロットがACを降りた。
同様に着陸した大型ヘリのハッチも開き、次々にヘリのパイロットも降りた。
降りたパイロットたちは皆で集まり、無線を片手に持って話していた。しばらくして、話し終えた様子のパイロットたちは簡易ブリーフィングルームに向かって行った。
「報告しに行ったのかな、だけど今の女部隊長は機嫌が悪いから大変そうだな」
そう言うとプリンはアルバをまだぐっすり眠っているアルバを起こしに、指揮車両に戻った。
指揮車両の作戦室の扉を開き、作戦室にプリンは入る。
アルバは寝息を立てて眠っている。
アルバがベッドの中で丸まっているその姿は子猫が寝ているようにも見える。寝息はとても小さくまるで赤子の呼吸のようにも聞こえる。
「起こすにはもったいないくらいだな」
プリンはぐっすり眠っているアルバを下手に起こさず、そのまま寝かせ続けた。
アルバが寝ている故に暇になってきたプリンは作戦室のイスを持ってベッドの近くに置き、座った。そのままプリンはアルバに顔を近付けてニコニコしながら寝顔を観察し、寝息を静かに聴いていた。
「大好きだよ、アルバ。癒される……このまま襲いたいくらいだ」
幼い子供の顔をしているアルバをじっと見つめていたプリンはアルバの匂いを嗅いでいる。
その行為をやっていれば危ない人間と見て取れる。しかし人前では出すことがなく、この危ない一面はアルバしか知らない。
「アルバ……アルバ……出したい」
「ふぇ?」
ベッドで寝ているアルバの上にプリンが
そしてたった今起きたアルバは跨ろうとしているプリンと目を合わせた。
「変態プリン最低」
「もう少しぐらい寝ていても良かったのに」
「このまま僕が寝ていたら顔にぶっかけるつもりだったんでしょう?」
「ダメかい?」
「ダメ!!」
アルバはプリンを跳ね除けて、逃げるようにベッドから飛び起きた。
そのままアルバは作戦室のイスに座り、頬を膨らませて怒った表情を作った。
「はぁ……」
「うーむ、悪かったよ」
二人がしょうもないやり取りをしているとまたも大型ヘリのローター音が響いてきた。
今度は複数ではなく、単体のローター音しか聞こえない。つまり一機だけでこの基地に迫ってきているということだ。
≪敵襲か!?≫
≪接近してくる機影は一機だけです!≫
通信機器のスピーカーから慌てた様子のシリウス兵士の声が響く。指揮車両の周りも騒然としているようでシリウス兵士たちの走る音が二人の耳に聞こえた。
そしてその迫ってくる機影にアルバとプリンは心当たりがあった。
その機影がなにかに気付いたアルバは通信機器の周波数を〝おばあちゃん〟のものに変え、マイクに向かって呼びかける。
「おばあちゃん!」
≪おぉ、アルちゃん! 今来たよ≫
アルバの予想が当たった。予想通り近付いてくる機影は〝おばあちゃん〟のものだ。
しかし周りのシリウス兵はアルバの味方であることに知らず、ACを起動させていた。
ACの起動音が耳に入ったプリンは急いでアルバのマイクを奪い取った。
シリウス兵は知らずにACで〝おばあちゃん〟を攻撃するだろう。そう悟ってプリンは通信機器の周波数をシリウスのものに変えた。
「おい、シリウス。あれはこちらの仲間だ、攻撃はしないでくれ」
≪それは本当のことだろうな?≫
「あぁ、本当のことだ。だから攻撃はしないでくれ」
起動したばかりのACは基地の上空に漂う一機の大型ヘリに向けていた火器を下ろした。
プリンはマイクを持ったまま作戦室の扉を開けて外を出る。
そのままプリンは上空を見上げて、上空を漂う大型ヘリに軽く手を振った。
≪プリン、久しぶりさね≫
「ババァこそ久しぶりだな」
軽いやり取りを終えると、上空を漂っていた大型ヘリは指揮車両の近くに着陸した。
着陸した大型ヘリのハッチが開き、ゴーグルを掛けた年配の女性が顔を見せた。その顔にはしわがたくさんあり、所々にシミがある。髪はピンクに染めているが、白髪は隠し通せていない。身体は完全に年寄のもので、あまり激しい動きは出来ないくらいヨボヨボだ。
二人の言う〝おばあちゃん〟はそんなみすぼらしい恰好をしている。しかし、その目と彼女の魂はみすぼらしいという言葉を忘れさせるほど強く、頼もしい。
アルバとプリンはそれ故〝おばあちゃん〟を強く信頼している。
「二十歳になっても見た目どこも変わりないね、やっぱりアタシのバカ息子だ」
「うるせぇババァ。俺とババァは血の繋がりなんてないんだから、息子って言い方はやめてくれ」
「よく言ったもんだねー。ヘリの操縦もACの操縦も出来ない癖して」
「黙れババァ」
大型ヘリから降りた〝おばあちゃん〟とプリンは
嫌いも好きの内である。
「なんだかんだ言って仲良いじゃん」
指揮車両から降りたアルバは当の本人たちを見て、クスクスと笑った。
アルバの声に気付いた〝おばあちゃん〟は「アルちゃん!」と言ってアルバを抱きしめた。
「元気にしていたかい? アルちゃん」
「うん! 元気にしてたよ!」
「そうかいそうかい、元気でなによりだよ」
〝おばあちゃん〟はアルバの頭を撫でた。アルバはニコニコと喜んでその撫でを受け入れた。撫でられているアルバの様子はまさに子犬のよう。
「一度抱きしめちゃったら、中々離せないねー。こりゃ」
〝おばあちゃん〟がそう言ってアルバを抱きしめ続けていると、プリンが横から奪うようにアルバを取った。
プリンは自分のものだと主張するように目を鋭くさせる。
〝おばあちゃん〟はプリンのその様子に腹を抱えて笑い始めた。
「ババァ……!」
「分かっているさね、いつも一緒にいるのはあんたの方だからさ」
睨み続けるプリンを余所に笑いが収まった〝おばあちゃん〟は輸送用の大型トラックに向かった。
そして大型トラックのハンガーに固定されているユーラヌスたちを見た。
「まず先にあの中量二脚だね」
そう呟くと〝おばあちゃん〟はユーラヌス1の損傷が激しい脚をよく観察した。
ユーラヌス1の脚の損傷具合を一通り見て回って、端末から大型ヘリに載せている脚部パーツの中で同じ型番の脚部パーツがあるかどうか確認した。
端末からの検索で見事にヒット。同じユーラヌス1の脚部パーツと同じ型番の脚部パーツが端末上に表示された。
「あったあった」
確認出来た〝おばあちゃん〟は早速自身の大型ヘリに戻り、左右のコンテナを開いた。
コンテナの中身は武器やパーツで敷き詰められている。
そして端末上から操作して、大型ヘリに載せられている同じ型番の脚部パーツを地面に降ろした。
「ほら、二人とも用意出来たよ」
「やったー!」
「これでユーラヌス1は元通りだな」
プリンは早速遠隔で端末から輸送用の大型トラックを操作して、二本の作業用アームを動かした。
ユーラヌス1のコアパーツと腕部パーツを大型トラックのハンガーによって完全に固定し、脚部を強制パージ。
プリンが動かしている作業用アームは新品の脚部パーツを持ち、ユーラヌス1の損傷した脚部パーツと交換を始めた。
アルバは自身の作ったユーラヌス1が元通りになっていく様子をニコニコして見つめている。
「ふふん、運び屋であるこのアタシ――サリア=ハップならまたいつでも運んできてやるよ、アルちゃん。まぁここしばらく働き詰めだったからここで少しゆっくりしていくけどさ」
サリア=ハップは昔から有名な運び屋だ。
丁寧な対応と適切な取引、そしてその気前の良さでサリアを頼りにする人間は多い。
「やったー! おばあちゃんと一緒だー!」
「ババァ……テメェ」
アルバは大喜びでサリアを歓迎して、プリンは嫌そうな口調で話すもその表情は笑っていた。
「とにかくパーツの交換を終わらせよう。これから先また戦いが起こるんだからな」
「うん!」
「機体のチェックはアタシに任せな。完璧にチェックしてやるからさ」
そう言って彼らはユーラヌス1のパーツ交換の作業を継続した。
もっと執筆する時間が欲しい……。