人と魔が交わる世界。
通常の世界と程遠い世界。
勇者とか魔王とかが普通にいるファンタジーな世界で俺は
「魔王様が姫様を攫ってきたらしいぞ」
「スヤリス姫だっけ?なんで攫ったんだ?あ、もう少し上だ」
「なんでも勇者と戦うためだとよ。この辺か?」
「ふーん。そこだそこ」
魔王城の修理をしていた。
魔物の一種でムーンラビット(なんか腹立つ種族だ)として魔王の配下として生まれ、金払いが良いので魔王城に就職した。
「今日の仕事はこれくらいで良いだろ。お疲れ」
「そんじゃお疲れー」
同僚の魔物と別れて仕事終わりの惰眠を貪ることにする。
「仕事終わりにはやっぱり隠れ場での惰眠だよなあ」
魔王城の修理をしているうちに見つけた死角に寝床を作り勝手に寝てたりする。
個人部屋はあるが俺がこういう場所で寝るのが好きなだけである。
「問題は……」
「ZZZzzz……」
どう見てもただの人間が勝手に俺の寝床に居るという事だ。
誰だこの女の子?
良い生地の服――人間の中では貴族などの金持ちしか着ない様な服だ。
頭に冠のようなヘアバンドをしている――冠なんかつけれるのは王族だけだと聞く。
傍らに大きなハサミ――これシザーマジシャンの大ばさみじゃね?なんでここに?
姫が脱走したと騒ぎまくる魔物達――話を聞いてみると姫が脱走したらしい。
結論、この子はたぶん攫われた姫だろう。信じたくねえけど。
「君だれ?」
あ、起きた。
「人のベットで寝てる君に言われたくないんだけど?」
「だれ?」
人の話聞かないタイプだ彼女。
「俺はゲント。ムーンラビットって種族だ」
「でも君には人間みたい?」
「そういう風に化けてるだけだ。元の姿が嫌いだからな」
元の姿はただの兎が人のように動くという違和感満載の種族だ。
違和感がすごかったので人型になるために色んなことを試していたら本当に人型になった変な魔物として有名だったりする。
「それでえーと姫様?」
「なに?」
「なんで俺の寝床に居るの?」
「良き眠りを求めて」
それ何の答えにもなってないんだけど。
「いいベッドがあった」
そこ満面の笑み出す場所じゃないと思うんですけど?
いい寝床と言われて悪い気はしないな。
「まあ寝るだけなら別にいいや。他の奴らにバレると撤去されるからばらすなよ?」
「わかった。おやすみ」
すぐに寝やがった。
……それにしても。
「ZZZzzz……」
可愛い寝顔だな。
元・妹の方がかわいいけどな。
「姫ー!どこだー!」
「……騒がしいけど別にいいか」
後日、姫がまた侵入したせいで寝床の存在がバレ、寝床が撤去された。
姫にばれない様に新しい寝床作らねえと……。
ムーンラビット
実力☆☆☆☆☆☆☆
やる気☆☆
月の影と呼ばれる場所に住まう魔獣族の魔物。
ゲントは人型だが兎型を基本とする。
種族としては臆病で戦いを嫌う性格だがキレると体当たりで大柄な男ですら吹き飛ばしてしまう。体当たりをくらった人の感想は『ダンプに轢かれたかと思った』だそう。
ゲント個人の性格は社交的で様々な部署に友人がいる。
魔王城の修復を主な仕事にしてるが壁の修理からトラップの製作設置まで何でもできるタイプなので手伝いとして他の仕事もしてたりする。
やる気はないが仕事はキッチリやるので監督する上司は困っていたり。
寝床のレベルが高かったので姫には良き眠りの先輩だと思われたりする。
少し前までの悩み
『なんか幹部に昇進しないかってウザい』
最近の悩み
『姫のせいで隠れ家的寝床が皆にバレた』