元ウサギの異世界記   作:ラーカー

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元ネタ『僕のヒーローアカデミア』

二種類書き上げました。


ヒーロー研修あるいはヤクザの生きざま

version【HERO】

 

 とある日、俺はとあるヒーローの事務所に向かっていた。

 

「たく、一応俺は学生だぞ?なんで意味もないのバイトなんてしなくちゃいけないんだよ」

 

 ぶつくさ言いながら事務所の扉を開くと

 

「おいジジイ。いきなり呼び出したと思ったらこれはどういうことだ?」

 

 ボコボコにされた少年とグラントリノ(ジジイ)がいた。

 

「よく来たな。さっそく組手の相手をしてやれ」

「あー、実践修行?ジジイがいれば俺なんかいらんだろ。つか、誰そいつ?」

「継承者だ」

「ちょっ!?グラントリノ!?」

 

 それだけでだいたいの事を察した。

 そうかこいつが『ワン・フォー・オール』の継承者か。

 

「問題ない。こいつは見つからなかった時の保険(・・)だからな小僧より詳しいぞ」

「一応、俺も増強型だしな。俺は黒月(くろづき)玄兎(ゲント)。利勝高校3年、ヒーロー名は『ゲント』だ」

「あ、緑谷(みどりや)出久(いずく)です。ヒーロー名は『デク』です。……あの保険って」

「オールマイトが継承者を見つけられなかった時につなぎとして継承し、候補を見つけて育てる予定だったんだ。もっともお前が継承したから役割はなくなったがな」

 

 嘘である。

 こいつがふさわしくないと判定されたり、途中離脱(リタイア)した時の保険でもある。

 こいつに教える気もないし、継ぐつもりもないけどな。

 

「オールマイトが認めたからといって、使いこなせなきゃ意味がない。意味は分かるな?」

「!!」

 

 目を見開いている。

 どうやら俺の見下す目を認める気がないとうまく勘違いさせることが出来たようだ。

 

「ジジイ。ここでやっても?」

「構わん。あまり壊すなよ」

「はいはい」

 

 そう言って半身になり、手招きする。

 

「とりあえず今は組手だけだ。遊んでやるよタマゴちゃん」

「胸をお借りします!」

 

 ふむ、個性を全身に巡らせるのが遅いな。

 最近まで全身につけることがなかったのかな?

 

「先手は譲ってやるよ」

「お言葉に甘えて」

 

 あっちこっち飛び回って後ろを取る。

 誰かの動きの借り物か?

 誰かの動きを参考にしたような動きだ。

 少なくともジジイの動きではないし、妙に洗練されているから近くにいる人間の動きといった所か。

 

「甘い」

 

 不意打ちの拳を避け、腕を取りそのまま投げる。

 

「かはっ」

 

 そのまま追撃で拳を振り下ろすが、避けられた。

 反応は悪くないな。

 

「ブツブツ……グラントリノの動きで翻弄するタイプじゃない……ブツブツ……カウンターで……ブツブツ……」

 

 なんかブツブツ言ってるな。

 なんだこいつ?

 

「なら!」

 

 さっきより激しい動きで動いてからソファを持ち上げ!?

 

「すみません!」

 

 そのソファを俺に投げつけてきた。

 危ないのでソファを掴んで床に置く、ように見せかけそのまま逆立ちして飛びかかってきたタマゴの顎を蹴り上げる。

 

「そこまで!」

「俺の勝ちだな。……これ気絶してね?」

「軟弱だな。お前はこいつをどう見る?」

 

 どう見るって。

 

「オールマイトみたいなとりあえず殴るタイプとは違って解析して戦うタイプだな。『ワン・フォー・オール』を使いこなせてねえのは時間がなかったからいいとして、全体的に動きが借り物っぽい」

「それだけか?」

「個性の併用した戦いをしなかったから元・無個性かな。正直『ワン・フォー・オール』を継承するほどのセンスはなさそうだ」

「……お前は納得できないか?」

 

 ジジイまで騙されてるのかよ。

 面倒くさいなあ。

 

「俺は誰が『ワン・フォー・オール』を継承しようと構わないんだけど。俺は『平和の象徴』なんて称号受け継ぎたくねえから今の立場を選んでるんだけど」

「だろうな。自力でオールマイトの正体を掴んだのはお前だけだ」

 

 『平和の象徴』の正体を暴いたら良い金になると思って、いろいろ調べたらまさかあんな骸骨が正体だとは思わなかった。

 

 

「掴んだせいでここまで道が捻じ曲がるとは思わなかったわ」

 

 俺は金稼ぎするためにしか活動してなかったのに、脅迫したせいでヒーローを目指す破目になるとは思わなかった。

 脳筋だけならうまくいったのにあのリーマン優秀すぎる。

 

「お前また副業してたそうだな」

「別に非合法なことしてないだろ」

 

 せいぜい経営難のヒーロー事務所を買収してほかの事務所と協調させるように仕向け、名を上げたら株の持ってる企業のCMなどに出させて利益を出してるぐらいだ。

 あとは経営指南で指導料貰ってるくらいか?

 

「保護者代理の俺に連絡来たからな。やるなら学校にバレないようにやれ」

「はいはい。養父のジジイには感謝してるよ。『無個性』な俺を見捨てないでよ」

 

 少なくとも孤児の俺がこんな金稼ぎできたのはジジイのおかげだ。

 リーマンとは趣味が合わないので引き取られることを拒否しまくって最悪の事態だけは避けれた。

 増強系に見せかけるために無理矢理火事場の馬鹿力で誤魔化すのも結構大変だがうまく誤魔化せている。

 

「ん?起きたか?」

「やり過ぎだ!脳を揺らす程度にしとけ!」

「それ今更じゃね?」

 

 こいつが『平和の象徴』となるのなら、いい金蔓になりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

version【Villain】

 

 無個性として生まれた俺は親に捨てられたらしい。

 らしいというのは昔の記憶なんぞほとんど覚えてないし、気がついたら死穢八斎會とか言う組織に拾われた。

 同時期に拾われた治崎とは兄弟みたいに育った。

 もっとも俺は舎弟頭なんて役職だが、治崎は若頭だだいぶ格が違う。

 

「それで壊理(エリ)だったかの個性はわかったのか?」

「ああ。組長(オヤジ)は俺の個性に似てるとか言ってたがとんでもない。時代すら変えかねない個性だ」

「時代すら?『平和の象徴』みたいな?」

 

 (ヴィラン)が跋扈していた個性を持つ人間が多数派になってからの騒乱期を終わらせた傑物にして、新たな時代を築いた化け物である。

 

「違うね。個性がなかった時代まで巻き戻せる」

 

 巻き戻せる(・・・・・)

 治崎らしくない比喩だ。

 いくら個性でもそんなでたらめな個性はあり得ない。

 

「個性因子のキラー細胞みたいなものか?」

「やはり理解できないか。エリの個性は『巻き戻す』個性だ」

「『巻き戻す』?時間をか?」

「ある意味そうだ。エリの個性は人を受精卵にも人を猿にまで巻き戻せる」

 

 ……マジか。

 無茶苦茶な個性だ。

 だが、確認しておくことがある。

 

「それは空間に干渉できるか?」

「可能だ。角を起点に何らかの波長を出し、物体に作用する。一応言っとくがタイムマシンみたいなことは不可能だ」

「それは残念だ。だが、それが本当ならエリの個性制御は必須だな」

 

 そういった時、治崎が不気味な笑いをした。

 いや、口元を隠してるからそんな雰囲気を感じたというのが正しいが。

 

「それはしない」

「なんでだ?」

 

 どうせろくでもない理由だろうけど。

 

「エリの肉片を使って瞬間的にに個性が消せるのがわかった」

「それが事実なら世界がひっくり返るな……いや、無理か」

 

 どのくらいの肉片が必要なのかは知らんが、たとえごく少数でも時代を変えるほどにはならない。

 使い方によっては大儲けできそうだが、人間由来だからあまり母数が用意できない。

 いや、治崎の個性なら可能か?

 

「賢いなゲント。病気に罹ってないだけはある。確かに今のままなら不可能だ。だが、研究していけば永久的に個性を消せる」

「それができれば裏社会で成り上がれるだろうがそんだけだな。出来れば対になるものが欲しい」

「対?」

「個性を消せる薬――仮に『デリート薬』とするなら、個性を復活させる『特効薬』だな」

「それは俺も考えていた。ヴィランに『デリート薬』・ヒーロー共に『特効薬』を売り捌く――マッチポンプを利用して世界を牛耳る」

 

 大儲けできるだろうがそれも一時的だろうなあ。

 対策されない自身でもあるのだろうか?

 ……あるんだろうなあ。

 組長(オヤジ)に心酔してるが、思想は対極に等しい二人は良く対立していた。頭はいいけど視野が広いとは言えないし、組長(オヤジ)を眠らせてやらかしそう(・・・・・・)ではある。

 まあ治崎が仕切ってくれた方が金稼ぎとしては楽な部類だけど。

 思想としては組長(オヤジ)よりの俺は治崎との折衷が主な活動だったりする。

 

「治崎。100%組長(オヤジ)の許可はおりねえぞ。俺も反対だしな」

「ほう?」

 

 想定内なのかいつでも動けるように重心を移動させる。

 マズいな。

 俺が消されかねない。

 

「早まるな。このまま(・・・・)なら俺も反対だが、もっと効率的な方法はある」

「話せ」

 

 よし、食いついた。

 

「個性の影響で移植なんかの技術がかなり進んでいる。エリの個性因子を動物に移植して増やす。お前の個性を使えば比較的楽にできるだろう。人由来であろうと動物から使ってるなら文句は出にくいし、増やすのも比較的楽だ。オリジナル(エリ)を押さえておけば品質は維持できるし、盗めてもオリジナル(エリ)がないから劣化品が限界だろう」

「なるほど。劣化品をあえて出回らせれば俺たちの使用する『デリート薬』と『特効薬』がプレミア効果がつくと言った所か。『特効薬』だけはオリジナルから作ることにすれば問題はないか」

 

 元々は臓器移植のための臓器を動物から作ろうという技術の応用だ。

 交配させても劣化していくだけでオリジナルには届かない。

 それどころか詳しくなければ個性因子を見失う可能性だってある。

 

「使える程度に個性因子を弱らせれば暴走もしにくいな。組長(オヤジ)には個性を調べるための実験の一環で移植してみたとでも言っておくか」

「まだ話してないのか?」

「当然だ。そういう事には厳しいし、もう少し研究がしたかったからな」

 

 それならそれでいいけどよ。

 口止めにはやはり酒かな。

 樽で貰っとけば後でいろいろ使えるし。

 

「あとで奢れよ?」

「後でクロノに持っていかせる」

「そらどうも。エリの個性制御は?かわいい孫なんだ説得するなら必要だろう」

「エリに知識を与えるのはマズい」

「そうでもねえよ。組織への帰属意識を精神安定につかうとかよくある手口だしな」

「……一段落着いたらお前に任す」

「了解」




893とバイオ関連の知識はあまりありませんが、これくらいはあり得そうだと思います。
自身じゃ組長よりとか言ってるけど実際には若頭より

このルートだと死穢八斎會編は凶悪かつ最悪な組織になってそうですね
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