Fate/Others Order 残されし世界の記憶 作:生姜ねる
どれほどの時が経ったのだろうか
意識は混濁し、最早自分が何者かすらも気を張らねば分からなくなる
周囲に生物の気配は無く、空は赤く、周囲一体は火に包まれている。
何故こうなったかはもう既に分かりそうにない。
ただ一つ、分かって…いや、課せられた責務は
…私は何をすれば良いのだ…?私は…
ああ…思い出した…。かの地に迫る害悪を排除せねば…
…本当に、それだけだったか…?彼処には確か…確か
…誰だ…確か…彼女は…
彼女とは…誰だ…?
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「一応自己紹介をしておきます。私はオルガマリー・アニムスフィア。
人理継続保障機関フィニス・カルデアの現所長にして、
今回の調査では臨時的にこの調査チームを率います。
戦闘時以外、原則指示には従いなさい、
分かったかしら?英霊ジークフリート、マシュ・キリエライト。」
「ああ、それで構わない」
「了解です、所長」
「では、キリエライトはジークフリートと戦闘時の確認をして。
私は一度カルデアと連絡を取ります。」
これまでは戦闘の数自体少なく、遭遇しても基本的に少数だった為にジークフリートさんが攻撃を、私が所長の護衛を務めていたので、対サーヴァント戦を想定して対策を練る事になりました。
「ジークフリートさん、マシュ・キリエライトです。
先程は挨拶が出来なかったので…。改めて、どうか宜しくお願いします。」
「ああ、こちらこそ宜しく頼む」
「では早速なのですが、対サーヴァント戦の対策方法等教えて頂けますでしょうか…?」
「ああ、俺が教えられる範囲での事は全て話そう」
「では、サーヴァント戦に置ける基礎的な立ち回りについて---
「---だが実戦では、容易くその状況は崩れる、その立ち回りはもっと---」
一方、所長とカルデアとの通信内容は現在の状況の酷さを表す物だった。」
「外との通信が繋がらないですって?」
「ああ、復旧作業と並行して様々な機関に連絡をかけてるのだけれど…
一切連絡が取れないんだ。魔術的な連絡にも、科学的な連絡にもなんだ。
それに、周辺の磁場や魔力も測定出来ない、あの磁場の強く観測が困難な麓はもちろんだが、カルデアの周囲500m以上から先に、何の反応もないんだ、
最初は機械系統の故障を疑ったんだけど、現在カルデア周辺の管理システムの三割は復旧している…。機械系統の異常とは少し考えにくい。」
「残りの三割の復旧予定は?連絡異常は爆発の際に連絡用設備に異常が生じたのが原因でしょう。復旧作業と並行して修理をし、外部と常に連絡を取り続けなさい。周辺の異常についても恐らく爆発による設備故障だと思われます、そちらは優先度を低くし、今は外部との通信回復に努めなさい。他に何か通達事項は?」
「ああ…実は…いや。何でもない、報告は以上だ。引き続きコチラは探索チームのバックアッブと設備の復旧に務める。…分かっているとは思うけど、
絶対に無茶をせずに、危険を感じたら必ず逃げるんだ、いいかい?」
「そんな事は分かっているわ。…この調査が終わるまで、私は死ぬわけにはいかないもの。」
「…。」
「ロマニ、目的地までの経路案内を始めなさい」
「…ああ、とりあえず、南西に向かって進んでほしい、現段階では
目的地のおおよその位置しか把握出来ていないんだ。接近すれば
詳しい案内も出来るようになる思う。」
「…分かったわ。南西へ向かいます。常に観測を続け、把握次第伝えなさい。
また外部との連絡も取り続けること。では引き続きこちらの班は異常地点の調査に向かいます。そちらも出来る限りの行動を取りなさい。いいわね?」
「ああ、常にこちらからも観測を続け、最大限のバックアップをする。
…気をつけてくれ」
「…通信を切ります。」
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「…ドクター…なぜ所長に言わなかったのですか」
「駄目だ。少なくとも今の所長には伝えられない。所長の精神的、肉体的な負担を考えると、これ以上彼女に重荷を背負わすことは出来ない…こうするしかなかったんだ…しないよりは多くの命が助かるだろう、だけども…」
「…彼らの多くは歴史ある魔術師の家系で、中には時計塔で強い権力を持つ家柄も居ます。確実に強い追求に逢います。今回の一件で…カルデアは一気に窮地に立たされます。」
「…分かっているよ…だけども、今はチームの精神面に負荷をかけるわけにはいかない、少なくとも今、伝えるべきではないんだ。」
「…分かりました。マスター候補生の事はこれで…」
本当は伝えるべきなんだろう、だが僕はしなかった。…いや、出来なかった。
彼女の消えるような声の呟きを聞いてしまったのに、更に彼女に重圧を掛けるなんて…もう彼女は限界だ、一人で亡くなった父親の後を継ぎ、この人理を守る為の組織の長になった。仕事の重責、周囲からの反発、様々な事を抱えていたのに、彼女は誰にも相談しなかった。…いや、できなかったのかも知れない。
日頃から多大な負荷がかかっていた彼女は今回のレイシフト事故、彼の消失によって限界に達している。既にいつ彼女が負担に耐えきれなくなるか分からない。
考えながらも、観測は続けている。これが今僕にできる最大限だ
…所長が帰ってきたら、彼女と話さなければ…
そんなことを思いながら作業を進めた。