Fate/Others Order 残されし世界の記憶   作:生姜ねる

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弱き者

ー  ー  ー  ー  ー  ー  ー  ー  ー  ー

 

 

 

 先程までと同じように二人は所長の前後に付き移動を開始した。

 

深刻な問題を発見をしたのだろうか。オルガマリーの目は険しい。

 

その後もスケルトン等の襲撃を受けていたが、危なげなく退けた。

二人の連携は様になってきており、下位エネミー如きでは相手にならない。

基本的にジークフリートはマシュを主軸として立ち回る。

自らが全てしてしまうのではなく、彼女の成長を目的とした動き。

それによってマシュも大きな盾を利用した動きを独流で身に着けて行った。

 

「…二人とも、共有事項として先程の調べた結果を伝えます。

 

 一つ目は、あの場所に魔術的な隠匿は無かった。よってあの場所に

 

 藤丸立香は居ないと現段階では仮定します。」

 

 

 

 分かっていた事だったが、キリエライトは落胆する。

 

 

 

「それと、あの場所にあった強い反応。…正直、わからない。

ですが先程の場所は恐らく魔術師の工房。

クレーターの下辺り、地下室だったようですが、その付近に書がありました。

ほとんど読めた物では無いけど、中身は宝石学の指南書があったわ。

掛けた術者とその血筋以外の者が触った場合、瞬時に内容を消去する術が施されていたようです。」

 

 

 

「でもそれは発動しなかった。何故か分からないわ。確かに、陣の内容は正しかった。けれど、何度魔力を流しても反応は無かった…まるで何かに書き換えられたかのような、効果そのものを奪われたような…中身をズタズタ(・・・・)にされたような…。」

 

 

 

 所長は話している最中、額に汗を流していた。

 

それに気付いていても気にする事が出来ないほど、余裕が無いのだろう。

 

俯いて話していた所長は一度足を止め呼吸を整え、二人にまた話し始めた。

 

 

 

「…本に組まれた魔術のレベルは高度な物だったわ。

普通の魔術師が何日も掛けて取り組むような物よ…

時計塔のロード達なら簡単に解除されてしまうかもしれないけど…

それでも解除の際、陣は乱れる。そんなものの効力を一切の痕跡を残さず

消す方法が普通ある筈はない…でも、此処は特異点、加えてこの時代では

聖杯戦争が行われていた…サーヴァントなら、あるいは…」

 

 

 

「…止まってくれ。」

 

 

 

 突然先行していたジークフリートが剣を取った。

 

何かを感じ取ったのか、周囲の音を聞き漏らさないようにしている。

一つ一つの瓦礫を確認するような、精密さ。

相手を威圧し、行動を鈍らせる、判断を遅らせ、こちらが優位を取る為の動き。

 

 

 逸話通りの英雄の姿がそこに在った。

 

 

ー  ー  ー  ー  ー  ー  ー  ー 

 

 

 

 私もそれに習い、盾を構え周囲を見渡します。

 

辺りは瓦礫が散乱し、燃えた跡の煙が視界を阻害します。

 

私が背後から所長に視線を戻した瞬間、何かが視界の隅で光りました。

 

 

 

 「っ!」

 

 

 

 ジークフリートさんは所長の背中近くに向かって勢い良く剣を振り上げました。

 

その剣は何か金属を弾いたような甲高い音を立て、飛来物は地面に落ちました。

 

 

 

「キャッ…!」

 

 

 

「所長!大丈夫ですか!」

 

 

 私は所長を庇うようにダガーが飛んできた方向へと盾を構える。

 

そしてそばに転がっている飛来物を確認する。

 

 

 

「あれは…ナイフでしょうか?」

 

 

 

周囲の炎の淡い光によって鈍く刃物が光る。

それは全長20cmにも満たない、投擲用の…恐らく、ダガーでした。

 

 

「貴女はマシュの近くを離れないでくれ。

 

 マシュ、君には彼女を守って貰いたい。頼めるか?」

 

 

 

「は、はい!」

 

 

 

ジークフリートさんの指示に従い、盾を構え敵の攻撃に備える。

 

 

 

「…相手は恐らく、サーヴァントだ。

 

  …大丈夫だ。必ず勝てる。」

 

 

 「…ありがとうございます。」

 

 

ジークフリートさんのおかげで、少し落ち着きを取り戻せました。

少し私は気負いすぎていたようです…英雄の力を借りることができるのですから。

私はジークフリートさんに頼まれた所長も守る事…。

今だけはそれに専念するのが得策です。

 

 

 

 

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