吹雪達が鎮守府から出て行って数刻、鎮守府に打電が入る。どうやら接敵したようだ。
「来たな。吹雪達に無線を繋げ、さぁやるぞ!」
鎮守府近海・・・
吹雪達四人は鎮守府周辺に居た深海イ級を発見していた。
「一発で沈めてあげる!」
夕立の赤い目に殺意が混じりイ級に向けて砲を構えるが、慌てて吹雪が夕立に抱きつき攻撃を強制的に止めさせる。
「わーっ! ダメだよ夕立ちゃん!」
『そうだぞー。今回は殲滅キラ付けじゃなくて、捕獲だからな』
吹雪の持っている通信機から提督の声が響く。それを聞いた夕立は砲を下ろし頬を膨らませる。
「じゃあ、どうすれば良いっぽいー?」
『はいはーい。その辺の説明はアタシがしますよ』
通信機から今度は、明石の声が響く。吹雪は全員に聞こえるように胸の前に通信機を持ってくる。
『フルトンは本来眠らせたり、気絶させたり、資材を空に飛ばして回収する装置なんですが・・・深海棲艦にそれは厳しいので、相手を大破に追い込んで下さい。それだけ弱らせればフルトンの釣糸を切られずに済みますので』
説明を聞き終わるやいなや、暁が「そんなのレディにはかんたんよ!」と言いイ級の前に飛び出し砲撃をする。
青葉のカメラ越しに状況を見ている提督達は、殺ってしまったか? と焦る。・・・が煙が晴れると瀕死とはいえまだ沈んでいないイ級が姿を現す。
『今です! 吹雪ちゃんフルトン砲を!!』
吹雪がフルトン砲を構えイ級に狙いを定める。イ級は沈められると悟ったのか、逃げようとするが大破しているせいでノロノロとその場を震えるだけだ。
「いっけー!!」
フルトン砲から発射された弾頭はイ級に当たると、ワイヤーが飛び出し身体に絡み付く。そして、どこからともかく大きめのバルーンが現れるとイ級を宙に浮かせる。
「!?!!?!?」
イ級は訳が分からず足をバタつかせる。
それを画面越しに見ている提督は苦い顔をする。
「そりゃあ訳が分からんだろうな。船が空を飛ぶなんて普通はありえないからな・・・」
「あの敵の事は私に任せて下さい。確実に【説得】してみます」
いつもの眼鏡ではなく、レイバンのティアドロップ形のサングラスを付けた大淀が提督に提言をする。その見た目に対して決してツッコミを入れまいと彼は心に思う。
現場では、四人が浮いているイ級を見上げていた。ここからどうなるのか全員興味があるのだ。
そして、その時はくる。気球が少し下に下がったのかと思ったらもうスピードで空へと飛んでいく。
『提督。無事に回収しました。営倉の準備をしておきます』
ポカーンとしている四人だが、一人だけ目がキラキラしていた。