フルトン鹵獲作戦・・・?   作:ショックラン

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敵の安全を確認せよ!

提督が空へと誘拐されてから二週間後の午後。執務室では、あのサングラスを付けた大淀と【反省】と書かれたプラカードを首から下げた明石がバリバリ仕事をこなしていた。

 

「もう、嫌だぁ!! 機械弄りたーい!」

 

書類を投げたし地面へと倒れる明石。

 

「ア・ホ・か! 上官を無許可で空へ飛ばしておいてこの程度で済んだ事に感謝しろ!」

 

「でもでもー、提督が飛んでくれたから【人間】も安心安全に回収出来るようになったんですしー」

 

「そもそも、このご時世で海上に人間がいるかぁ!!」

 

提督と明石が隣り合わせの机で言い合いをしている間に仕事を終えた大淀が書類を机にトントンと叩いて整えるとサングラスを直す。

 

「提督。イ級の様子はいかがですか? 監視は付けていますが、限界がありますので」

 

二人のアホな喧嘩に水を差すように大淀が質問をする。提督もその質問に対して首を横に振る。

 

「あ、あぁ特に問題はないぞ。一部の艦娘からはいまだに「頭大丈夫ですか?」って目で見られるがな」

 

ははは、と乾いた笑いで応える実際の所問題がないのは確かだ。

その理由は、今から5日前に戻る。

 

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ーー

 

営倉から連日聞こえる色々な音が混じりあった騒音が止み、館内放送で提督に営倉に来てほしいという大淀の声が響く。

呼ばれた提督は勿論のこと、好奇心や監視など様々な理由でかなり多くの艦娘が営倉の前に集まっていた。

 

提督・明石・吹雪・白雪・初雪・深雪・暁・雷・電・響・夕立・白露・時雨・青葉・赤城・加賀・飛龍・蒼龍・大和・長門・睦月・如月・弥生・卯月・北上・大井・間宮・伊良湖・雪風・島風・川内・那加・神通・阿武隈・金剛・榛名・比叡・霧島・鈴谷・熊野

 

「この中に敵が?」

「あぁ。大淀の【説得】が完了したみたいだからな、こうして見に来たが・・・ずいぶん来たな!!」

 

長門の質問に答えて流れるようにツッコミを入れる。彼は精々数人だろうと踏んでいた、だが想像を遥かに越える人混みに困惑を示す。

明石やあの回収に関わった四人はともかく、ほぼこの鎮守府全戦力がこの場にいるのだ。

 

「つーか、君たち仕事は!? 大規模ボイコットか!?」

 

ほぼ全員が眼を提督から逸らす。仕事よりも好奇心が勝ってしまった為、そういう風にツッコミを入れられると誰も反論できない。

 

「丙提督。そんな細かい事を気にするのはナッシングねー! それよりも今は敵の事デース」

 

「金剛さん!? 君も海域攻略の仕事を与えてたはず何だけどね! それとシレっと一番傷付く煽りをするんじゃない!」

 

皆の間に後ろめたさの気まずい空気が流れる。そんな中にギイィと扉の開閉音がし、中から大淀が出てくる。

 

「あら、随分集まりましたね。・・・サボリ組は次の給与査定楽しみにしていてくださいね」

 

サングラスのせいで表情は伺えないが、きっと良い笑顔で言っている。

 

「では、イ級出てきなさい」

 

大淀が手を叩くとノソノソと提督と同じくらいの大きさのイ級が灰色の二本の足で出てくる。

イ級の姿を見た瞬間、大淀以外の全員に緊張がはしる。今は艤装がない上に、今まで殺し合いをしてきた相手だ無理もない。

イ級は営倉から完全に出ると、辺りを見回すようにキョロキョロとし始め何かを探す素振りを見せる。

 

「ん?」

 

提督と目が合うイ級。その瞬間その場から跳躍し提督に口を開けて飛びかかかる。

とっさの事態とはいえ皆無意識なのか、戦闘勘なのかスッと提督の周りを半歩下がりキレイな空間が出来る。

 

「うわぁ!? 提督が食べられたー!」

 

誰かの叫びで一同に戦慄がはしる。

 

「いや、もんだなぶぶぶぶ・・・」

 

イ級の口の中から頭を引き抜き大丈夫と告げるが、それを邪魔するように舌で顔舐められて言葉が途切れる。

ガアアッと吠えてはいるが襲うというよりは、じゃれあっているように見える。

 

「犬みたい・・・」

 

明石の言葉に関心を示すように大淀がサングラスを直して「ええ」と短く答える。

 

「だああっっしゃぁ!! 抜けたわぁ!!」

 

舐められるのを阻止するように口をアームロックで固めてまだハッハッハッと興奮気味のイ級を押さえつけるように周りの艦娘に指示をとばす。

 

「・・・大淀さん。何がどうなったらこんな事に?」

 

加賀の質問に応えるように大淀が答える。

 

「そうですね。私としては、上手く洗nんんっ【説得】できたとは思います。まぁ犬のようになるとは予測していませんでしたが」

 

「うへぇ・・・。イ級のヨダレ? か何かでベトベトだ」

 

全身がベトベトの提督は袖で無理やり視界を確保する。再びイ級を見ると艦娘達が押さえているとはいえ、まだまだ飛び付く気満々である。

 

「うわぁ・・・提督何かヌメヌメしてキモーイ」

 

「やかましい!」

 

鈴谷とお約束のようなやり取りをして、提督は大淀に話しかける。

 

「とにかく、様子見だな」

 

「ええ。監視付きで、ここしばらく様子をみます」

 

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「で、今じゃあ」

 

執務室の外を見ると駆逐艦とイ級が戯れていた。

 

「イケイケー! 白露がイッチバーン!!」

 

「島風だって負けないよー」

 

「ガアアッ♪」

 

イ級の上に白露が跨がり、島風とかけっこをしている。次は睦月にゃしい! やら、スパシーバやら楽しそうな声が聴こえてくる。

 

「駆逐艦皆のペットのポジションに落ち着きましたねー」

 

「見た目はアレだが、乗ると楽しいんだよなぁ。俺を見るたびに全力で頭を食べにくることさえなければ・・・・」

 

駆逐艦を見てのほほんとする提督と明石。

 

「イ級も特に問題なし。そろそろこの【フルトン鹵獲作戦】の本題に入りますか?」

 

大淀の言葉に提督は薄く笑みを浮かべ決意を固める。

 

「やるぞ。和平と謎の解明を!!」

 

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