北上達が任務を終えて一週間。鎮守府では、提督が町の大工達と、ある話を進めていた。
「では、そろそろ完成しそうなんですね」
「おうよ! お前さん所には漁師やガキ共が世話になってるしな。それに、あの大淀とかいう姉さんの指示は完璧だ。俺たちの棟梁として迎えいれたいもんだ!」
筋肉粒々の男達が違えねぇやと言い笑い出す。提督もとりあえず笑って輪の中にいる感を出しておく。
ツーツーと提督のズボンのポケットから連絡音が響き、笑うのを止めてイヤホンを耳に付ける。
『提督。彼女達三名の説得が完全に終わりました。至急、鎮守府にお戻りください』
「はいよ。うし・・・」
犬笛のような笛を取りだして、大きい息を吸って吹く。プシュ~と笛からは、間抜けな音が鳴り大工達が疑問の眼を向ける。
そして、彼方から全身をメタリック装備に身を固めヘルメットを装着した何かが提督に向かって近づいて来た。
謎のメタル装備を着けた生物だか機械なんだか分からない何かに提督が何の躊躇いもなく飛び乗った為、大工達は眼を点としたがその中の一人が提督に向かって質問をする。
「あの~、それは・・・?」
「コレは、海軍の新型移動兵器【D-Walker】だ。なかなかカッコイでしょう? それでは!」
質問がくる事は予測ずみだったらしく彼はソレに股がり笑いながら答えて去って行く。
「なんか凄いな海軍。未来に生きてるなぁ」
その場の全員がウンウンと無言で頷いた。
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ガシャガシャっと喧しい音を立てながら、提督が鎮守府に戻って来ると駆逐艦達が不満そうな顔をしながらD-Walkerに乗った提督に集まってくる。
「あー! やっぱり乗ってるー!」
島風がいち早く提督の下に駆けつけ開口一番に不満を漏らす。後々集まってきたメンバーもぶーぶーと文句を言っている。
「朝潮型と吹雪型勢揃いときたか・・・」
「司令官すみません! 朝潮、皆を止められず・・・」
集まってきたメンバーの文句を止められなかったのを気にして、悲しい顔をする朝潮。
「いやいや、気にしなくていいよ。それよりも・・・今回乗ってみて思ったけど、これが元々イ級とは思えない位外装が離れていくなぁ」
D-Walkerを撫でると中身のイ級がグウゥとこちらに身をよせる。
「ふっふっふ。今回は【深雪式メタルスペシャル加工】をしてみたんだぜ」
ドヤ顔で深雪と初雪がグーサインを出してアピールをする。
元々は誰が言い出したのか分からない。
北上達が帰還して三日後に大本営から届いたUSAの技術映像を鎮守府で見てる時に、Walker-gearの映像が流れた。
その時にイ級でも似たような事が出来るんじゃないか? と考えたのが始まりである。
で、出来上がったのがイ級に張り付けた深海棲艦型のWalker-gear。
このままでは、パクりになるので【歩く深海】を英語表記に変えてDeepBlue-Walker略してD-Walkerの誕生である。
今では、駆逐艦達が自分の好みに好き勝手に改造をしており、さっき文句を言われたのも何かしたかったけど提督が笛を使ってD-Walkerを呼んだからだ。
「イ級が嫌がらないからいいものの、限度は考えろよ」
だが、この生物とロボの境目のような改造を施された為、街中にまで深海棲艦を呼べたのは事実である。
いずれは、この事を街の方々にも言わねばなと彼は思考する。
「・・・と、こんな所でノンビリしてる場合じゃなかったんだった。じゃあなー」
駆逐艦達にイ級を渡して彼は手を降って小走りで営倉へ向かって行った。
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「ん。来ましたね」
営倉の前では、大淀が腕を組んで待っていた。
サングラスを着けているから表情は読めないが、別に待ちぼうけて怒ってはいないようで提督は安心をする。
「提督、コレを渡しておきます。お時間のある時にでも聞いて下さい」
大淀が手渡したのはテープレコーダーであり、今の時代には中々珍しい物だ。提督の通信機にはテープレコーダーを聞く事が出来る装置が明石の手で内臓されている。
彼は頷いてソレを受け取りポケットに入れる。
「では、行きますよ」
大淀が鍵を使い扉を開く。中は薄暗く地下に続く階段を降りて行きやがて、開けた部屋にたどり着く。
そこには、先日フルトン回収をした三名の深海棲艦がこちらに向かって敬礼をして立っていた。
「「「コレヨリ、カンタイノイチイントシテクワエテイタダキコウエイデス!!!」
三名の一糸乱れぬ宣誓に驚く提督。
まだ宣誓には続きがあるようで、
「「「ナンナリトゴメイレイシテクダサイ、ボス!!!」」」
見事に言い切った三名は少し安心したような顔を向けてくる。だが、提督はある単語に疑問を持った。
「ボス・・・?」
「えぇ。あなたは今日から【提督】改め【ボス】です」