異世界に冒険を求めるのは間違っているだろうか   作:ヘヴン

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2話 ファミリア

職人や武器を求める冒険者達で賑わう北東メインストリートを歩き続けるギンジ。

彼の瞳は光り輝いていた。

 

ドワーフ・エルフ・獣人。

 

己が作り出したARMではない。

地球では空想の種族とされている人々が冒険者や魔法使いの恰好をして目の前を歩いているのだ。

まさにギンジにとってファンタジーに溢れた理想の光景だった。

 

田舎者の様なギンジの反応に笑う者達や微笑ましく見る者達も居たが、ギンジには関係ない。

ギンジはこの世界を存分に楽しんでいた。

 

……。

 

ゆっくりと景色を楽しみながら《ヘファイストス・ファミリア》ホームのすぐそばへとたどり着いたギンジ。

その表情はとても満足したものであり、仮にファミリアに入れなくても彼は嫌な顔をせずにギルドに向かって新しいファミリア探しをするだろう。

 

ワクワクとした気持ちでホームの前に辿り着いたギンジは、ホームの門をノック……。

 

ポヨン♪

 

裏拳に伝わるのは木製で出来た門からは考えられない柔らかな感触。

それはそうだ、ギンジがノックしたのは門ではなく……

 

「え?」

 

「ん?客か?」

 

眼帯と褐色肌が目立つ巨乳の美女だったのだから。

どうやら、彼女が扉を引いて開けた事でノックの目標が門から彼女の豊かな胸に強制変更されたらしい。

まるで、ラブコメ主人公の様な奇跡である。

 

そして、柔らかな感触にフリーズしたギンジだったが、現状を理解し勢いよく美女から離れて頭を下げる。

 

「すみません!!」

 

痴漢やセクハラは犯罪である。

異世界に来て早々に牢屋で過ごしたくないギンジは必至で頭を下げた。

 

「よいよい、気にするな。

人が居る事を確認せずに門を開けた手前にも責任はある」

 

頭を下げ続けるギンジにカラカラと笑いながらその胸と同じくらいデカイ心の広さを見せつける美女。

ギンジにはその姿が女神か聖人の様に見えた。

 

「ところでお主は何をしに来た?武器と防具の注文か?それとも入信か?」

 

「はい、ここに入信に来ました」

 

「そうか、そうか。

主神様も丁度、暇をしているから話をしてもらうといい」

 

「本当ですか!?ありがとうございます!!」

 

いろんな意味で美女に感謝しながら、ギンジはヘファイストス・ファミリアのホームへと足を踏み入れたのだった。

 

――――。

 

館の中に入り、応接室に案内されたギンジは主神が来るまで一人で待たされていた。

応接室は清潔感に溢れており、壁には鍛冶のファミリアらしく、剣や防具が飾られている。

 

ソファーもふかふかでとても気持ちがいい。

 

柔らかなソファーに体を預けながら、やって来る主神がどんな女神なのか?

ギンジは期待に胸を膨らませながら待ち続ける。

彼の祖父の日記には主神ヘファイストに関する記述はあまりにも少なく、分かっているのは巨乳で美人という事だ。

 

時間にして十分だろうか?

ギンジが部屋で一人でいると、応接室の扉が開かれる。

もしかして女神様か!?

 

瞬時に姿勢を正し、扉を見るとそこには……。

 

「おや?僕のお昼寝スポットにお客さんが居るみたいだね……」

 

謎のカリスマを放つツインテールの巨乳美少女がいた。

この世界の人々で初めて感じる謎のカリスマにもしかしたらロリに目覚めてしまったのかと、不安になるギンジ。

 

「君。悪いんだけど、そのソファーは女神である僕のお気に入りなんだ。

変わってくれないかい?」

 

「え?」

 

女神……だと?

 

まさかのロリ巨乳の正体に戦慄するギンジ。

しかし、落ち着いて目の前の幼い女神をよく見て納得した。

鍛冶に適した服装ではないが、祖父の日記にあった通りの巨乳で美人な女神だ。

ファミリアには鉄則として女神・男神が一人しか存在しない。

つまり、目の前のロリ巨乳な女神こそが鍛冶の女神ヘファイストス(・・・・・・・)なのだろう。

 

ギンジは彼女に言われるままに、ソファーを譲った。

 

「うーん!やっぱりここのソファーは最高だねぇ……仕事の後には癒されるよぉ」

 

大きな胸を揺らしながら、ソファーにダイブする女神ヘファイストス(・・・・・・・)

だらしない女神だが、彼女は世界的に有名な武器ブランドの主神にして最高の鍛冶師。

相当な疲れがあるのだろうと、アポなしで来たことを申し訳なく思いながらもギンジは入信の話をする為に声を掛ける。

 

「あの…女神様?」

 

神であり女性でもある女神に失礼がないように名前ではなく女神様と呼んで声を掛けるギンジ。

 

「ん?なんだい?」

 

「俺、女神様のファミリアに入信する為に来たんですが……」

 

首だけギンジに向け、コロンと寝っ転がっていた女神は『入信』の言葉を聞くと上半身を勢いよく起き上がらせギンジを見る。

ギンジを見るその表情は、驚愕に満ち溢れていた。

どうやら、先ほどの美女から何も聞いていないようだ。

 

探している場所で入れ違いになったのかな?

 

同じ施設で人を探す場合の良くある出来事だと思ったギンジは驚いた表情の女神ヘファイストス(・・・・・・・)にもう一度、声を掛ける。

その時、しっかり伝わるように目の前の女神に目をしっかりと合わせ、ファミリアに入りたい意欲を全面に押し出す.

 

「俺、女神様のファミリアに入信したくて、ここまで来ました。

冒険者としての実績や実力はありませんが……女神様さえ、よろしければ俺を女神様のファミリアに入れてくれませんか?」

 

突然、見ず知らずの男に愛の告白とも取れる入信希望を言われて狼狽える女神。

心なしか、嬉しさかだろうか?女神の顔が赤くなる。

ギンジは目の前の可愛い生き物に心の中で『サンキュー!!』と叫んだ。

 

「か、かまわないけど…ほ…本当かい?本当に僕でいいのかい?例えば他の女神……神匠(しんしょう)と謳われたヘファ―――」

 

「構いません!!俺は、女神様がいいんです!!女神様のファミリアでないと駄目なんです!!」

 

別の女神を紹介され、遠まわしに断られると思ったギンジは思わずヘファイストス(・・・・・・・)の手を握って女性を口説くように入信のお願いをするギンジ。

勿論、女性経験のないギンジにここまでやれる度胸はない。

久々の面接を受けるような緊張と地球では感じた事のない、目の前の女神から放たれる萌えとカリスマの様な力に当てられたことにより、一時的にテンションがおかしくなっているのだ。

 

「ほ、本当に本当だね!!?僕で本当にいいんだね!!」

 

「はい!」

 

ギンジの熱いテンションと言葉に歓喜した女神は喜びの表情を浮かべながらギンジに最後の確認を取り、ギンジは答えた。

 

答えてしまったのだ……。

 

「じゃあ!さっそく神の恩恵(ファルマ)を君に授けよう!!

君の名前は?」

 

「ギンジです!!お願いします!!」

 

見事なお辞儀を決めたギンジはその後、女神に導かれるままに躊躇する事なく上半身の服を脱ぎ捨て、ソファーにうつ伏せとなって寝転がる。

そして、幼い女神が背中にまたがり、生の太ももとプリプリの尻と背中をなぞる女神の指先の感触に背徳感と僅かな興奮を覚えながら、ギンジは女神から恩恵を授かった。

 

これで冒険者になれると、ギンジのテンションは最高潮。

規模の大きいファミリアの入信と美少女な女神にお近づきになれた童貞なギンジは幸せの絶頂にいた。

 

「よし!これで君は僕の初めての眷属!!《ヘスティア・ファミリア》の最初のメンバーだ!!」

 

ん?

 

「ヘスティア……ファミリア?」

 

「そうだよ!さあ、僕たちの輝かしい未来に向かう前にヘファイストス(・・・・・・・)に報告だ!!」

 

テンションが急激に下がったギンジを置き去りにして、ギンジがヘファイストスだと思っていた女神が去って行く。

 

 

…………。

………。

……。

…。

 

 

やっちまったぁああああああああああああ!!!!!!

 

 

 

 




現在のヘスティア

種族・女神

職業・ニート

仕事・寝て起きて飯を求めて徘徊を繰り返す
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