晴れ渡る空の下、一隻の海賊船が海を進んでいた。
「勘弁してくれよ…ガルナ島は呪いの島だ……。噂じゃ人間が悪魔になっちまうって…。」
「興味がない。掟を破った者どもへ仕置きに行く。それだけだ。」
船の行き先は誰も行きたがらない呪いの島。
突如やってきた恐ろしい人物の命によってガルナ島へと向かわねばならなくなってしまった海賊たちは、自分達の船長と緋色の髪の恐ろしい人物、エルザのやりとりを遠巻きに見ていた。
その二人から少し離れた所では、飛んだり喋ったりする不思議すぎる水色の猫のそばで淡い金髪の子供が明らかに船酔いをしてグロッキー状態になっている。
「うう"…まだ、つかない…のかな…?もう…うぷ」
「がんばれ、ラキ!あとちょっとなの。…たぶん。」
「たぶんって…」
「お、おい。大丈夫か?」
「だいじょうぶじゃ…ない…です。」
遠巻きに見ていた船員達の一人が恐る恐るラキスに話しかけてきた。
よっぽどかわいそうに見えたのだろう。
「あのよぉ、そんなにつれーならこれなめてみたらどうだ?少しはマシになると思うぜ。」
「氷?えっと…ありがとう、ございます。」
「かまわねぇよ。ところで坊主、あの島はホントに危険だぜ?」
「そうだぞ~。あ、あのお方はともかく、お前はやめといた方がいいって!」
エルザみたいに恐ろしい人物ではないとわかったからか、他の船員達も近づいて来て口々にやめた方がいいと言ってくる。
ラキスの見た目はまさに年端もいかない子供といった風貌なのだが、同行者があまりにも恐ろしかっただけになかなか近づく気が起きなかったようだ。
「うーん、行きたくはなかったけど、連れ戻さなきゃいけない人達がいるのは確かですから…。」
「そうなの。おバカさんたちがいるの~。」
「そうか…。」
心配そうに気を付けるように言ってくれる船員達にお礼を言い、エルザの方へ歩いていった。
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「それにしても、あの船員さんたち優しかったの~。」
「そうだね。おかげでいつもより気持ち悪くなかった気がするし。しかも帰りも乗せてくれるみたいだよ。」
船を降りてからエルザと別行動をしたラキス達は村の資材置き場にあるテントの中にいた。
「どこだ、ここは?」
「あ!おはよう、グレイ。」
「ラキス!?シエラもか!…」
「うん。ここはむらからちょっと離れた資材置き場なんだって。なんでも村は昨日の夜になくなっちゃったからなんだとか。」
「エルザもいるの~。」
同じテントの中で眠っていたグレイが起き、ラキス達がいることに驚いた。
起きたならとエルザのいるテントへ行くようにとグレイは促される。
グレイがテントに入ると、エルザと縄で縛られているルーシィとハッピーがいた。
エルザと一触即発の状態になり、テントを出ていこうとするグレイと入れ違うようにしてラキスとシエラが入ってくる。
「グレイ。新しい包帯を貰ってきたよ、ってあれ?どこ行くの?」
「行っちゃったの~。」
「エルザ、何があったの?なんか怪我が増えてた気がするんたけど…」
「ああ。……。」
たいそう怒っているように見えるエルザはルーシィ達の方へ振り向く。
持っている剣の先には血がしたっているため恐ろしさは倍増だ。
ところが、斬られると思って怯えていたルーシィ達の予想とは違って縛っていた縄を斬った。
そしてラキスはその間、ルーシィのことをじっと見つめていた。
「行くぞ、これでは話にならん。まずは仕事を片付けてからだ。」
喜びを表すルーシィを見た後、ルーシィの服の裾を掴んでラキスがポツリと呟く。
「……ルー姉さん?…だよね?」
「え!?…まさか…ラキス?」
「久しぶりだね。懐かしい匂いがしたからまさか、とは思ってたんだけど…」
「急にいなくなったと思ったら…」
「まぁ、詳しいことはまた今度」
初対面のはずなのに知り合いだったようである二人にハッピーとシエラが驚きの声をあげる。
しかし今は先を急ぐ必要があるため、適当にあしらわれてしまっていた。