ハイスクールD×D ~Pagan Gods from the Old Testament~ 作:カイバル峠
短いですがどうぞ。
シスターと悪魔祓い(2)
「助けに来たよ、兵藤君。」
目を開ける。
そこにいたのは
「……木場?」
見ると、目の前には見覚えのある魔法陣。
あれはグレモリー家のものだ。
ってことは……
「あらあらこれは大変ですわね。」
「……悪魔祓い」
続いて出てきたのは朱乃さんと子猫ちゃん。
「皆……」
皆俺の仲間達だ。
ああ、もう俺感動し過ぎて泣きそう……
「チィッ、弾きやがったか……よりにもよって悪魔の団体さんかよ。クソ目障りなッ!!」
神父はアーシアの袖を壁に縫い付けていた光の剣を抜き去ると、そのまま木場に斬りかかる。
ギィイン
神父の剣と木場の剣とが擦れ合う。
「悪いね。彼らは僕らの仲間なんだ。こんなところで死んでもらう訳にはいかないんだ!」
――っ
木場……
そして木場の剣が黒く染まると黒い靄のようなものが光の剣に纏わりつき、剣の光が弱まったような気がした。
「ゲッ?!神器持ちかよ!!ならコイツはどうかなァ?!」
神父はショットガンを木場に向ける。
「木場、気を付けろ!そいつは光の弾を放つ銃だ!!」
「!やはり祓魔弾か……コレでなければ危なかった。」
「おや、なるほど。光を喰らう魔剣、いいじゃねェかァ!!小賢しい悪魔らしくて反吐が出そうだZE!!」
そう言うが否や神父は撃つと見せかけたショットガンを木場の眼前に放り投げる。
木場は剣でショットガンを切り払うが既に神父の光の凶刃が目前まで迫っていた。
「くっ!」
そして再び木場と切り結ぶ。
両者の力は拮抗していた。
「元とはいえとても神父とは思えないな……君は殺意と憎悪が強過ぎる。」
「ああ、そうさなァ。少なくとも俺は最初っから全知全能の神サマなんて信じちゃいねェ。なんせ本当に全知全能なら天使が堕天することもなく悪魔なんてモノは初めから存在しちゃいねェハズだからなァ!それにしても皮肉だなァ。魔を祓う剣に選ばれるべくして、それだけを生き甲斐にしてきたハズなのによりにもよって敵であるハズの悪魔の為にこうして魔剣振るってンだからよォ!!」
「なッ?!」
神父の言葉に一瞬木場が動揺したように見えた。
そしてその一瞬の隙を狙って神父は躰を引き、対して勢い余った木場は姿勢を崩す。
「戦闘中に他所事考えるとは感心できませんなァ!!」
神父は躰をグッと屈めるとそのまま木場の懐に向かって剣の柄を思い切り叩き込む。
「どしたァ?そんなもんなのかよォ?!」
それから素早く懐からもう一本の光の剣を取り出し、くの字に折れ曲がった木場の利き腕と片足を光の剣で切り付ける。
「ぐああああっ?!」
そして更に回し蹴りを加える。
「かはっ?!」
木場はそのまま吹き飛ばされ、床を転がる。
「木場!!テメェ、よくもっ!!」
「あ~あ、折角別件での標的も見かってラッキーだと思ったのにウジャウジャとお仲間登場たァ俺ついてねェわ~。おまけにアーシアちゃんも連れて帰らないといけねェわけだし。それに、そこで這い蹲ってるクソ悪魔君はウチのアーシアちゃんに随分御執心みたいだからなァ、放っとくと何するか分かんねェときた。まあでも当初の目的は果たせたしここらでバックレるとするかァ。」
!!
この野郎……よくも俺の仲間を……ッ!!
でも今何だって?!
あの野郎、アーシアを連れて行くだと?
冗談じゃねぇ!!
アーシアはあんな連中と一緒にいて良い子じゃないんだ!!
そんなことさせてたまるか!!
「オイ、待て……ぐうっ!!」
クソッ!!
さっき両足を撃たれた所為で力が入らないッ!!
「おやおや、無理しちゃって~。しかし解せませんなァ?キミとこの子は敵同士、決して相容れない間柄なのですぞ?あれ?もしかしてキミ、この子のこと好きなの?そりゃ傑作!でも残念、彼女が愛するのはいと高き天上の神。決してキミのような地べたに這い蹲る欲望塗れの薄汚いクソ悪魔君と結ばれることなどあり得ないのです。んじゃバイちゃ☆……といこうかと思ったけどやっぱりキミだけは消していくことにしよ。見ていてホントにムカつくんで。」
そう言うと神父はさっき仕舞った拳銃を再び取り出すとこちらに銃口を向ける。
ちょうど俺の頭を狙った位置だ。
「今度こそバ~イバイ」
クソッ!
俺はあの子一人守れないまま死ぬってのかよ!!
そう思った時
「させると思っているの?」
すぐ横から聞こえた、声高に告げる声。
それと同時に赤黒い魔力の塊が神父目掛けて飛んでいく。
あの力は……間違いない
そして俺の考えが正しいことを証明するように、俺の眼前に紅が広がった。
「私の可愛い下僕を随分と可愛がってくれたみたいね?」
「部長……」
ああ、やっぱり俺の主様……
「うおっと、危ねェ……なるほど、今のが報告にあった滅びの力って奴か。確かにコイツァ当たったらヤベェな。今し方直撃した壁が綺麗さっぱり消し飛んでやがる。それにその血みてェな紅の髪、リアス・グレモリーで間違いねェな。フン、飼い犬が屠殺されかかってたもんで飼い主サマ直々に御登場ってワケか。」
相変わらず挑発的な言動を続ける神父。
見るとその手には拳銃が無かった。
落としたのか或いは部長に消し飛ばされたのかは分からないがこれで神父の遠距離攻撃手段は封じられたハズだ。
そして神父の言葉に一切反応することなく堂々と挑戦的に返す部長。
「へぇ。まさかあなたのような末端の末端にまで知れ渡っているとは、正直驚いたわ。でもあなたのような下卑た輩に私の名を口にされるのは虫唾が走るのよね。」
そこまで言うと部長は俺の方に歩み寄る。
「部長、どうしてここに?」
「ごめんなさい、イッセー。まさかあなたのところにはぐれ神父がいるとは思わなかったの……っ?!イッセー、あなた撃たれたの?!」
「ああ、はい……」
部長は表情を険しくすると立ち上がって再び神父を睨め据える。
「私は自分の所有物を傷付ける輩を絶対に許さないことにしているの。それも二人も。特にあなたのような下品極まりない輩にはね。それに私の領地で契約者を殺すなんて万死に値するわ!!」
紅いオーラを滲ませる部長。
うわぁ、完全に怒ってらっしゃるよ。
でもそれだけ俺達のことを大切に思ってくれてるってことなんだよな。
あ~、俺、やっぱ部長の下僕になれて幸せかも!
一方の神父は部長の怒りを目の当たりにしてもやれやれといった様子で肩を竦めるだけだった。
「そうは仰いますがねぇ、お嬢さん。ここ人間界、冥界じゃないの。アンタの領地でも何でもないの。だから悪魔のルールは僕達には適用できませ~ん、悪しからず。それにお宅ら人間の魂奪って生きてるんでしょ?それって人間の敵ってことじゃん。魂取られた人間って死んじゃうもん。つまりは害獣よ?そんな害獣や自ら害獣に餌やって肥え太らせる裏切り者のゴミクズを始末するンは人として当然のことっしょ?当然俺ら人間には生きる権利がありますからねぇ。それともアレ?まさか俺達人間には自衛の権利すらないとかっていう訳?まぁ勝手に人間界の土地を領有宣言するような野蛮な害獣共に理解できる能があるとは思ってないけど。」
コイツ……さっきから言いたい放題言いやがって!!
何より部長たちを、俺の仲間を害獣呼ばわりしてるのが許せねぇ!!
「……それならあなたたち堕天使側が人間界で好き勝手しているのはどうなのかしら?」
「好き勝手?ハハァ、これはまた随分な言い草ですなァ。別に俺らはどこかの誰か違って他人の土地に居座るような盗人猛々しい真似はいたしておりませんよ?用さえ済めば大人しく帰りますもん。」
「悪魔にだってルールはあります。」
朱乃さんが宣言する。
「ルール?何ですか、そりゃ?ああ、人間を喰うためのルールっスか?実際クソ上級悪魔サマ方が我欲の為に下僕の管理能力がなかったり相手が嫌がってるのに無理矢理下僕にしたりしてくれてるお蔭ではぐれ悪魔なんてモンが出てきて人間界では大迷惑してますからなァ。ハッキリ言ってお宅らの存在自体が世界にとって害悪でしかないの。お分かり?ねぇ、イッセー君!」
ビクッ
突然呼びかけられる。
今度は何を言うつもりだ?
「キミも聞いたっしょ?そこの赤毛のお姉さん、今キミのこと“所有物”、つまりモノって言ったよね?つまりは主のクソ上級悪魔様にとってキミ達下僕は所詮その程度の存在だってコト。口では何と言おうとも上級悪魔の下僕に対する認識はその程度なの。キミは本当に自分のことを道具くらいにしか思ってないような奴の為に尽くせるの?所詮戦いのための捨て駒にされてオシマイよ?だからはぐれなんて連中が出てくるの。おや、納得いかないってカオしてるねェ。ならキミアタマ悪そうだから分かりやすく教えてあげるよ。そうだなァ、もし自分の親や友人がソイツらに襲われたらどうするよ?それに自分達の子供や友達が人間でない、ナニか得体のしれない生きモンになっちまったって知ったらどう思うだろうねェ?」
「そ、そんなワケあるかッ!部長は俺を助けてくれたんだ!!それ以上下らねぇこと言ってみろ!!絶対に許さねぇからなッ!!」
「アハハハハハッ!相変わらず冗談上手いねぇ。出来るの?そんなボロボロのカラダで?強がりならやめといた方が長生きできるよ?ただでさえあんだけ光力を体に注がれたんだもん。一向に消滅の兆しを見せないのがフシギなくらいざんすよ~。それに何を勘違いしてるか分からないけどその女がお前さんを助けたのだってお前さんに神器があったからだヨ?一般ピーポーなら助けたところで一文の得にもなりやしませんものねぇ~。
「黙りなさい!!!」
遂に堪忍袋の緒が切れたのか、部長は再び神父に向けて魔力を放つ。
そのままやっちゃって下さい、部長!
「おやおやァ?ここでキレるってことは図星ってことざんすよ?良かったねェキミ達!主様がキミ達のことどう思ってるか知れて!!……おや、そろそろ頃合いですな。」
神父は部長の攻撃を躱しつつもなお挑戦的な言葉を絶やさない。
だが何だ?
頃合いって?
「っ?!部長、この家に堕天使らしき気配が複数接近しています!」
朱乃さんが声を上げる。
まさか頃合いって……
「おやおや?どうやら形成逆転のようですなァ?」
「なんですって?!嵌められたというの?この私がこんな輩に?くっ……祐斗とイッセーが負傷した状態で堕天使とやり合うのは少々厳しいわね……良かったわね、命拾いできて。皆、引くわよ!朱乃、ジャンプの用意を!!子猫はイッセーと祐斗の回収を!!」
「「はい、部長!」」
一時撤退ってワケか……
部長の合図と共に朱乃さんが魔法陣の準備を始め、子猫ちゃんは木場を回収し、次いで俺を担ごうとする。
「逃がすとお思いで?」
「「「「!!」」」」
なっ、あのクソ神父!
いつの間に!!
気付けば神父が光剣を構えて俺達のすぐ目の前にいた。
クソッ!!この状態じゃあ……!!
その時
ダン!!
「ぐあッ?!」
響き渡る銃声、そして聞こえたのは……
神父の悲鳴。
見れば神父の左袖が血に染まってゆく。
確かに銃で撃たれたような跡があった。
……銃?
一体誰が?
この場にいる者の中で銃を使うのはこの神父くらい……っ!!
まさか?!
神父の後ろ、そこに銃を撃った人物それは……
「アー…シア……?」
彼女は大きく息を荒げながら、両手で先程神父が落とした銃を構えていた。
「イッセー、さん、良かった……」
そして緊張が解れたのか彼女は銃を取り落し、その場で座り込む。
「テメェ……このクソビッチがァアア!!」
「きゃあっ!!」
自分を撃った者の正体を知り、キレた神父は凄まじい速度でアーシアに迫り、そのまま蹴り飛ばしやがった!!
「アーシア!!」
俺が彼女の名を呼んだその時
「部長、準備ができました!」
「分かったわ!皆、速く!!」
「待って下さい部長!!あの子も、アーシアも一緒に「無理よ」っ?!」
「この魔法陣は私の眷属しかジャンプすることはできないの。それに彼女は私達の敵。残念だけどあの子を連れて行くことはできないわ。」
そんな……
それじゃあアーシアは……俺を助けてくれたのに……ッッ!!
「行くわよ!!」
部長の声。
魔法陣から放たれる光の量が増す。
転移が始まったのか?!
ふざけるなッ!!
アーシアは敵であるはずの俺の為にッ!!
俺は俺を担いでいる子猫ちゃんの拘束から逃れようと必死で手を伸ばし、身を捩る。
しかし無情にも彼女の腕は微動だにしない。
「……先輩、大人しくしていて下さい。今の先輩にできることは何もありません。」
子猫ちゃんが俺を諭す。
ああ、分かってる。
今の俺にはどうすることもできないってことくらい……
だがそれでも!!
「は、放せっ!!放してくれっ!!俺はアーシアを助けるんだ!!放せ、放せッ!!」
俺は必至でもがく。
「……仕方がない人です。」
子猫ちゃんはただ一言そう言うと徐にしゃがみ、俺とは反対側に担いでいた木場を下す。
子猫ちゃん、もしかして……
「えい」
「がッ……?!」
しかし俺の希望は脆くも崩れ去る。
俺は子猫ちゃんに項に手刀を叩き込まれたみたいだ。
どんどん意識が遠退いていく……
「アー…シア……」
そして俺が最後に見たものは視界一面に広がる魔法陣の光だった。
今回は連投いけましたがこれからは厳しい……
それと……
これも含めて2話ほど主人公が全く出てきておりませんが決して忘れているわけではありませんよ?
ええ、勿論。
そんなことをすれば妹様に……うわ、何をするやめ―――――ギャアアアア!!
――――しばらくお待ちください―――――
ふう、ノリに任せてあとがきでこんな駄文を書き綴ってしまいました。
どうやら深夜を過ぎてテンションがおかしくなってるようです。
それではまた!