ハイスクールD×D ~Pagan Gods from the Old Testament~ 作:カイバル峠
でも、長い……
一万字超えたのっていつ以来かな…
とくに後半部分はお気を悪くされる方もいらっしゃるかもしれないので、予めご了承ください。
それではどうぞ!
鳳凰幻魔
《ライザー様の『兵士』2名『僧侶』1名、『剣士』2名、リタイア。》
「よっしゃあっっ!!!」
「やったね!イッセー君!」
ゲーム当日、俺たちは順調に相手を撃破し、着実に勝利へと近づいていた。
そして今、俺と木場の連携で、木場の『魔剣創造』に俺の『赤龍帝の籠手』で倍化した力を譲渡して解放、敵の一掃に成功したんだ!
修行の成果が確実に出ていると感じるぜ!!
駒数をフルに活用していた
途中、ライザーの『女王』の不意打ちで俺たちの大切な仲間である子猫ちゃんがリタイアしてしまうという悲しい出来事もあった。
いくらゲームだからって、発育途上な子猫ちゃんのロリボディをあんな乱暴に……じゃなくて、あんな卑怯な手を使って傷つけるなんて絶対に許せねぇ!
でもあんなヤツ、同じく『女王』の朱乃さんがきっと倒してくれるはずだ!!
「木場!これからどうする?」
「そうだね、残っている敵眷属で脅威になりうるのは『王』意外だと『女王』だけだ。決戦となればこの両者も自身の『王』と合流するのはほぼ確実だろう。こちらは子猫ちゃん以外は皆残っているし、今部長にはアーシアさんもついてる。」
「つーことは……」
「ああ。ひとまず朱乃さんと合流して敵『女王』を叩く。速やかに部長たちの下へ向かおう!」
「よし、そうと決まれば早く朱乃さんのところへ行くぞ!」
俺たちが朱乃さんの下へ向かおうとしたちょうどその時だった。
突如として体育館の方から爆音が聞こえた。
だがその次の瞬間、俺たちはさらに信じがたい事実を告げられることになる。
《リアス様の『女王』、リタイア。》
ッ!!
嘘だろ?!朱乃さんが?!!
『…ッセー……ん…イッセーさん!』
ちょうどその時だった。
耳に付けていたインカムから、切羽詰まった様子のアーシアの声が聞こえてきた。
「アーシア!!どうしたんだ?!!」
『大変なんです!私と部長さんとで新校舎に入ったら、そこですでにライザーさんが待ち構えていて…部長さんと一騎打ちをすることになったんです!!』
「なんだって?!」
そんな、俺たちの作戦は読まれてたっていうのかよ?!
まだ敵の『女王』は残っているのに!
アーシアの言う通りに、敵本陣のある新校舎の方を見る。
屋上で赤黒い魔力と炎の塊が激しくぶつかっているのが見えた。
間違いない、あそこに部長が……!
「木場ッ―――え?」
俺が木場の方を振り向いたその時だった。
一瞬世界がスローモーになるのを感じた。その中で、俺は木場の足元に子猫ちゃんの時と同じ、起爆術式の魔法陣が展開しているのを見つけた。
そして――
《リアス様の『騎士』、リタイア》
再びの爆音に続いて聞こえた、二度目のリタイアのアナウンス。
煙の切れ間から見えた、光に包まれ消えつつある、ボロボロな木場の姿が、それが非情にも事実であることを物語っていた。
「ウフフフ……やはり詰めが甘いのね。」
「!!」
聞き覚えのある声がして、空を見上げると、そこには奴の『女王』の姿があった―――しかも全くの無傷で。
「テメェ!よくもッ!!ていうか、なんで、何でお前は無傷なんだよ?!」
「ウフフフ、決まってるじゃない。私があなたたちの『女王』よりも強いからだわ―――――というのは冗談よ。本当はこれを使ったの。」
そういって、ライザーの『女王』は懐から小瓶を取り出して見せた。
「なんだよ……それ?「“フェニックスの涙”。」!!」
俺の疑問は奴ではなく、全く別の人物によって答えられた。
「どんな傷もたちまちのうちに癒すことのできる、わたくしたちフェニックス家のみが製造可能な霊薬ですわ。ちなみにですが、ゲームでの使用も二本までなら認められておりますの。」
代わって答えたのは金髪ドリルヘアーでヨーロッパ貴族のようなドレスを纏った美少女。
こいつは確か焼き鳥の妹で『僧侶』の―――
「お前は―――レイヴェル・フェニックス…!」
「あら?てっきり卑猥で野蛮なだけかと思っていましたけれど、わたくしの名前を覚えるだけの記憶力はありましたのね。」
「う、うるせぇ!バカにしやがって!!もう許さねぇ!!テメェら二人とも降りてきやがれ!二人纏めて倒してやらぁ!!!」
「まあ、聞きまして?ユーベルーナ。わたくしたちに降りてこいですって。」
「ふふふ、まったくおかしいですわね。さっきもわたくしが飛んでいたことを卑怯だなんて言っていましたけれど、ならばご自身も飛べばいいだけの話なのに。それとも、まさか基本中の基本である飛行さえままならないのかしら?」
くっ…!
こいつら、どこまでもバカにしやがって!
だが続く金髪ドリルツインテの言葉で俺の意識は現実に引き戻される。
「でもいいんですの?こんなところで油を売っていて。既にそちらもお兄様とリアス様が一騎打ちをすることは知っているのでしょう?だったらわたくしたちに嚙みつく暇があるなら、さっさと主のところへ向かったらどうです?でないと今頃……」
レイヴェルの含みを持った言い方。俺はその意味を理解することになるのだった。
突然、背後から焼けつくような凄まじい熱を感じる。同時に浴びせられる光で影が前に長く伸び、続いて轟音、遅れて熱風と衝撃波が背中に届く。
「そんなっ?!!」
俺は目を疑った。
さっきまで屋上で部長たちの死闘が繰り広げられていたはずの新校舎は影も形もなく、代わりにそこにあったのは天を焦がすような極太の炎の柱。紅蓮の炎が疑似的に作られた空を真っ赤に染め、ゲームフィールドの結界の上端にまで達していた。
気づいたら俺は走り出していた。
正直あの火柱はなんだか恐怖というか、それ以上のナニか、底知れぬ不安――とにかく嫌な感じがする!
中がどうなっているのかはわからないが、アナウンスがない以上部長もアーシアもあそこにいるはずだ!
今行きますから、どうか待っててください―――
「部長おぉぉぉッッッ!!!」
◇◆ ◆◇
兵藤一誠が火柱に向かっていた頃、リアス・グレモリーはアーシア・アルジェントと共に、ライザー・フェニックスと対峙していた。
余裕な表情を崩さないライザーに対し、リアスの表情は険しい。
それもそのはずだった。
リアスとライザーが新校舎で先頭を始めてから、二人はすでにそれなりの時間、魔力を放ち続けていたのだ。結果、魔力消耗はお互いにほぼ等しい。しかしライザーは先ほどの撃ち合いに加えてこのような巨大な炎の渦まで作り出した上で、なおも余裕の表情を見せている。その事実が、リアスの心中に焦りを生み、苛立たせる。
「ふむ、お互いに残ったのは『王』を入れて3人、うち『僧侶』はともに非戦闘員。となると『王』以外で戦えるのは、俺のところは『女王』、そして君は『兵士』。加えて君は俺よりも遥かに消耗している……一応聞くが、
「っ誰が…するわけないでしょうッ!!」
リアスは拒絶の意の証明といわんばかりに、残り少ない魔力を練り込んだ渾身の一撃を放つ。しかしそれもあえなく、ライザーの足元から噴き出した炎の壁によって防がれてしまう。
「くっ…」
「部長さんっ!!」
リアスはその場に崩れ落ち、片膝をつく。回復役として付き添っていたアーシアはすぐさま駆け寄り、治癒を試みる。その時アーシアは改めて、リアスがひどい状態であることに気づく。
服はところどころ破れて肌が露わになり、鮮やかで美しい紅色の髪も乱れ、艶やかな肌も細かな擦り傷が目立ち、埃で汚れてしまっている。
「なるほど。キミならばそう言うと思ったよ。だから……」
「「!」」
リアスとアーシアの足元から炎の渦が現れ、瞬く間に二人をすっぽりと覆う球状の形に変わる。
「な、何なのよ、コレ?!出しなさいッ!!」
「少しの間そこでおとなしくしていてもらおう。キミはすでに戦える状態じゃない……戦えぬ者に戦場に立つ資格はない。」
「このッ!!」
リアスは脱出を試みて魔力を放つ。
しかし全てを滅するはずの彼女の魔力は炎に飲まれて消える。
「無駄だ、その火球は魔力を糧に燃え続ける。魔力を撃てば吸収してさらに燃え上がる。」
万事休す。リアスは歯噛みする。
そんな中、ライザーの『女王』であるユーベルーナが現れ、彼に何かを告げる。
「そうか。クククク……なあリアス、いい知らせか、悪い知らせかはわからないが、赤龍帝がこちらに向かってきているそうだ。」
「「イッセー(さん)が?!」」
リアスとアーシアは目を見開き、顔を見合わせて微笑みあう。
唯一残っている戦闘要員であり、この状況を覆す切り札となりうる『赤龍帝の籠手』を持つイッセーは、彼女たちにとってただ一つ残された希望に他ならなかった。
「だが、これまでの戦いで奴もそれなりに疲弊しているはずだ。そんな状態でここへ入ってこられるかな?」
「ライザー、私の下僕を甘く見ないことね。イッセーは必ず来るわ。」
憔悴しながらも胸を張ってリアスは答えた。その表情は起死回生の一手をまだあきらめていないことをありありと物語っていた。リアスは確信しているのだ、イッセーが必ず自分手地に勝利をもたらしてくれると。だが、当のライザーはそれを見て、ますます不敵な笑みを深める。
「そうか、それを聞いて安心したよ。」
「?どういうことから?」
「すぐにわかる……おっと、噂をすれば」
『ドラゴンショットォォッッ!!!』
壁の外側から声が響く。
それは間違いなくリアスたちが待ち望んでいた人物のもの。
炎の壁の一部が眩い光を放つと同時に、轟音が鼓膜を揺らす。
そして空いた穴から一人の人影が飛び込む。
「来たな……兵藤一誠!!」
入ってきた人物、兵藤一誠の姿を目にした途端、リアスとアーシアは顔を輝かせる。
だがこの時彼女たちは気づいていなかった―――ライザーの顔が狂喜を孕んだ笑みに歪んでいたことに。
それは待ち望んだ獲物が思惑通りに目の前に転がり込んできた姿を見る肉食獣のごとく、どこまでも獰猛で好戦的な笑みだった。
◇◆ ◆◇
俺が火柱のふもとまでたどり着いたとき、改めてとんでもないものだと気づかされた。
周りには瓦礫で小高い丘ができていて、未だに炎が燃え続けている。おそらく、消えた校舎の残骸だ。そればかりでなく、辺りに生えていた草木も熱で自然発火して燃え、灰と火の粉が雪のように降り注ぐ。
「やっぱりデカいな……」
真っ赤に燃える炎の壁、これを何とかしないと中に入れない仕掛けなんだろう。だが恐らくただ突っ込むだけでは丸焼きになるのがオチだ。
どうすれば……
「何をグズグズしていますの?さっさと中にお入りなさいな。」
「!」
どう中に入るか俺が逡巡していると、いつの間にかさっきの焼き鳥の妹のレイヴェルが背後に現れていた。だがさっきまでの俺たちをおちょくったような態度は微塵もなく、代わりに徹底して無表情、それが逆に得体のしれない恐怖を感じさせる。
「お前……」
「リアス様たちはこの中にいますわ。兄はあなたが来るまでリアス様に手を出すことはありませんし、私もあなたが中に入るまで手を出さないよう言われています。ですがこの炎熱の中に長くとどまれば体力を消耗するのは必至。長引けば長引くほどあなた方が一層不利になるだけですわ。」
くそっ、嵌められたのはこっちだったってわけか。
もしかすると、この向こうで、相手が何か仕掛けているのかもしれない。
でもこいつの言う通り、ぐずぐずしている時間はない。
なら……!
「プロモーション『女王』!!」
部長が言っていた、敵陣地のみで発動できる能力、『兵士』の駒の奥の手……!
プロモーションした『女王』は『王』を除く眷属の中で最強の駒。
全身に力がみなぎるのを感じる!
「来い、『赤龍帝の籠手』!!」
『Boost!』
『女王』の能力で底上げされた力を神器で倍化して―――撃つ!!
「ドラゴンショットォォッッ!!!」
さっきライザーの『戦車』を倒した時以上の出力で赤い光が迸り、炎の壁に直撃する!
その直後、すさまじい爆発が起こる。
煙が収まった後、注視してみると炎の壁にぽっかりと穴が開いている。
「やった……!」
俺はそのまま穴に飛び込んだ。
「「イッセー(さん)!!」」
「!!」
最初に聞こえたのは部長とアーシアの声だった。
「部長!アーシア!」
声がした方を見上げると、そこには火の玉の中に閉じ込められた二人の姿が……!
「これはッ……待っててください!今助けますから!!」
俺が二人を助けるために再び倍化しようとしたその時だった。
「イッセー!!危ない!!」
二人に気を取られていたのがいけなかった。
俺が後ろを振り向いたその瞬間、何者かによって顔を掴まれて視界が塞がれ、そのまま体が持ち上げられるのを感じた。
「よくここまで来れたな、誉めてやろう。転生したての下級悪魔にしてはよく戦ったよ。だが、ここまでだ。」
「イッセー!!」
何だ?!
頭の辺りが急に熱くなってきやがった!
それだけじゃない、熱に混じって何かが俺の頭の中に入ろうとしている?!
『そうだ、お前はこれから地獄を見るのだ。』
これは、野郎の声か!!
俺は何とかして奴の手を放そうとしてもがく、だが奴の手はびくともしない!
『フハハハハ!無駄だ、もはやお前に逃れる術はない!!おとなしく我が術の前に沈め!!』
ちくしょう…!
視界を塞がれ、熱で意識が朦朧とする中、頭の中で奴の声だけがいやに大きく響きやがる……
俺を呼ぶ部長とアーシアの声は段々と遠のいていく。
俺は、ここまでなのか……?!
くそっ……
部…長……すみま…せん……
俺の意識はそこで途絶えた―――
◇◆ ◇◆
―――ここは、どこだ?
『おはよう、イッセー。』
?!
そんな、こんなことが、本当にありうるのか?!
『どうしたの?そんなにぼんやりして……あ、さてはまたエッチな夢でも見てたのね?』
目の前にいるのは紅色の髪をした女性。紛れもない、あのヒト。
そうだ。
俺はライザーに勝利し、その後も降りかかる様々な強敵を退けてついに、憧れだったリアス部長と結ばれたんだ。
『ううん、なんでもないよ。少し考え事をね。』
『あら、そうなの?おかしなの。』
『おはようございます、リアス様、イッセー様。朝食のご用意ができております。』
『ええ、わかったわ。さあ、行きましょう。』
メイドが朝食の準備を告げると一礼して退出する。
上級悪魔――貴族になるということは、力だけでなく、知性や教養、ふさわしい振る舞いを身に付けなければならないから大変だ。
だが、それ以上に充実している。
今日も、新しい一日が始まる。
『どうだいイッセー君、こちらの生活にも慣れてきたかい?』
『はい!お義父様やお義母様をはじめ、皆さんのお力添えでどうにかやって行けそうです!』
『ははは、それは良かった。何か必要なモノがあれば遠慮なく言ってくれたまえ!』
『うふふ、そうね。イッセーさんが来てからというもの、グレモリー家はいいこと尽くめですものね。こちらこそ、改めてグレモリー家のことをよろしくお願いしますわ。』
『テロリスト、ですか?』
『ああ、そうなんだ。最近また反三大勢力を掲げる不穏分子が世界各地で動き始めていてね、そのうちの一派が北欧のとある寒村に潜伏しているとの情報が入った。』
反三大勢力。俺が悪魔に転生してすぐ、聖書の三大勢力は和平を結んだ。
だが長年敵対してきた者同士、そうそう簡単に納得できるはずもなく、不満を抱く者も少なくなかった。
だが俺たちはやっと実現した平和を守るため、今までもそうした連中と戦い、勝利を収めてきたんだ。
『そんなに危険な相手なんですか?』
『それがね、大半は大したことがないんだが、一人急速な勢いで能力値を変動させることのできる者がいるらしくてね。現地のエージェントが手を焼いているらしいんだ。』
『なるほど、確かにそれはですね。』
『そこで君直々に指名が入った。速やかに現地へ向かって対象を捕縛ないし殲滅してほしい。ああ、ちなみにだが、先に現地入りした天界側のスタッフに△△△君もいるから、彼女たちと協力して事に当たってくれ。』
『本当ですか?わかりました、すぐに向かいます!』
『ぐふっ……ここまでか』
激闘の末、魔王様の言っていた敵の首魁は倒れた。
『やったわね!イッセー君!!』
『ああ!俺たちの勝利だ!!』
残党の捕縛・護送も滞りなく進んでいる。
事が片付くのにそう時間はかからないだろう。
すると、俺と△△△の下へ、村の少年が歩み寄ってきた。
『もう安心だぞ。悪い奴らは全員倒したからな…いっ痛ッ?!』
飛んできたのは……石?
『…消えろよ』
『……え?』
消えろ。
彼ははっきりとそう言った。
俺は一瞬、何を言っているのか分からなかった。
『あいつが言ってたぞ…あいつらが来たのはお前ら三大勢力がいるからだって!!それにこの土地は元々精霊様のご加護で緑豊かな土地だったんだ!なのにお前ら三大勢力がやってきて精霊様を殺して乗っ取った!それからこの土地はずっと不毛で皆飢えに苦しんでるんだ!!俺の家族もみんな、飢えに苦しみながら死んでいった!!だから、お前らなんかさっさと消えろ!!』
『なっ……』
俺は頭に血が上るのを感じた。
こいつ…俺たちが平和を守るためにしてきた努力を否定しやがった……!
『まあまあ、落ち着いてイッセー君。ここは私の出番ね。』
△△△はそう言って俺をなだめると代わりに前に出た。
『ねえ僕、それは辛かったでしょう。でもね、表面的な豊かさに囚われてはダメよ。今はひもじくてもそれは全て主が与えたもうた試練。それを乗り越えることで主とミカエル様がより大きな神の愛をもたらしてくださるわ。それこそが生きとし生ける者の本当の幸せなの。』
『ッ!!……ふ、ふざけるなぁッッ!!』
子供は△△△に掴みかかった。
そしてそれを見た時、俺の中で何かがキレるのを感じた。
そして――
『てめぇ、クソガキ!!!自分が何してるかわかってるのか?!!助けてやった恩をあだで返すのか?!!ああ?!』
――気づけば、おれは子供を殴り飛ばしていた。
『…い、イッセー君。もういいから……』
『っ』
我に返って周囲を見ると、村人たちが戦々恐々とした、怯え切った眼で俺たちを見ていた。
『…行こう、△△△。魔王様に報告しないといけないんだ。』
『え、ええ……』
くそっ、思い出しただけで腹が立つ……!
俺たちは助けてやったのに、平和のためにいくつもの死線を潜り抜けてきたのに……
なんであんな何も知らないガキにあそこまで言われなくちゃならないんだ!
『イッセー!!大変よ!!』
筒全、リアスが血相を変えて現れた。
『駒王町が……駒王町が何者かの襲撃で壊滅したの…!!』
『なっ……』
その時、俺は世界のすべてが停まったような気がした。
駒王町は周囲の物質を根こそぎ吸い込みながら拡大を続ける漆黒の球体にのみ込まれ、すでに消滅していた。
代わりにその中心部には様々な獣の上半身をつなぎ合わせたような怪物が鎮座しており、そのうちの一体の頭から見覚えのある人物の上半身が突き出していた。
『うひゃひゃひゃひゃ!!やぁやぁ英雄クン!お久しぶりだねぇ!!元気してたかい??』
『お前はッ?!くそ!生きてやがったのか!!』
『世界が存在する限り、邪悪は決して潰えない、なんてな!!つうわけで消えろや!!』
獣の顔の一つが俺に向かってその醜悪な口を大きく開く。
『野郎ッ!!』
俺も神器を出し、ドラゴンショットの構えを取ったその時だった。
《な……ぜ…だ……》
『え?!』
獣の顔のうちに箇所が盛り上がり、変形する。
そして二人の男女の顔になった。
『そんな……父さん、母さん……!』
そう、それは、俺の両親の顔だった。
《イッ…セー……なぜ…だ?なぜ私たちが…こんな目に……》
《すべて…聞いたわ……この化け物は…あなたたちが振りまいた憎しみを……糧にしていると…》
『っ…違う、違うんだ!父さん!母さん!俺たちは世界のためにッ』
『うひゃひゃひゃひゃ!!!こいつは傑作だぜ!!知らねぇなら教えてやるよ。こいつの正体は世界に蔓延る負のエネルギーの総体、つまりは争いの憎しみだの負の事象や感情を司ってんのさ!!本来こいつは世界に一定値以上の負のエネルギーが充満しねえと目覚めないんだが、今の時代は過去最高レベルで憎悪が渦巻いてやがるからなぁ……さぁて問題です!今最も世界にそういった負のエネルギーを輩出してるのは一体全体どこの誰でしょーかっ?!』
『ま、まさか……』
『そう!その通りだよ英雄クン!!君たち三大勢力だ!!テメェらの独り善がりな正義だの平和だのを押し付けられて世界全体がまいってんのさ!!だからよぉ……』
うそだ……
俺たちの行動が、世界を……
『この世界ともども、死☆ね☆』
『嘘だぁあああああああああああッッ!!!!!!』
―――――まだだ、こんなものでは終わらぬぞ……
?!
『ぐ、あぁぁ……』
こ、今度は…何だ……?
『フッ、終わったな……サーゼクス様、私の勝ちです。』
なっ?!焼き鳥?!!
『そんな、イッセー!!』
部長!
『くっ、すぐに治療を……『お待ちください、サーゼクス様。』?!』
『その者は身の程を弁えず、冥界の未来のかかったこの披露宴の場に土足で踏み込んだのです。いわば謀反も同じ。ゆえにしかるべき処置を下さねばならない。その者の身柄は我々に引き渡していただきましょう。』
『なんだって?!』
『そうです!イッセーは私の眷属です!そのような仕打ちは主として認められません!!』
『控えられよ、リアス殿。元はといえば貴女の我儘が招いたことだ。それに、いかに魔王様ご自身で考えられた趣向といえど、これ以上の勝手をなさるならさすがに見逃すわけにはまいりませんな。』
!
それじゃあ、あの紅い髪の部長に似た人が、魔王……
『左様。思うに、魔王様はいささかお身内への御贔屓が過ぎるのではございませんか?此度もライザー殿がゲームにおいて実力で勝ち取った勝利をこのような形で覆そうとなさるとは…悪魔社会の慣習を蔑ろにしていると思われても致し方ありますまい。』
『しかし!』
『そもそも、下僕の管理は主の責任でもある。御両名とも、これ以上抗弁を続けてもお立場が悪くなるだけですぞ。』
『うっ、それは……』
『……』
なっ?!一体どうしたんですか?!!部長!魔王様っ!
『どうやら、ご納得いただけたようですな……その者を連れていけ。』
『『『はっ』』』
お、おい!どうなっているんだ?!
『イッセー……』
え……
嘘だろ……?
こんなことって……
お願いします、嘘だと言ってください……!
『う、ぅう……部…長……』
『グうッ?!!グヴブブブブブブッッッ?!!!』
痛いッ?!!なんだこれは?!!
まるで全身が火で炙られた上に刃物で斬りつけられたように痛いッ……!!
『ふむ、やはり拒絶反応を起こしたか。魔力増加量も倍化限界値も予想値を下回っている……鎮静剤を投与した後増魔剤を5%増しで継続して投与、それから予定通り再生力実験を行う。』
『了解しました。』
おい、ちょっと待て?!
俺は実験台にされているのか?!!
『…なあ赤龍帝、今の君は己の意思も力も制御することができない、つまりは世界の害悪でしかない。ゆえに、君はこれから伝説のドラゴンの力をも完璧に支配できるだけの強靭な精神と肉体を手に入れなければならないんだ。そして我々にはそれができる。辛いかもしれないが我々を信じるんだ……もっとも、聞こえていないかもしれないがね。』
信じろだって?ふざけるなッ!!
『ドクター、補肉剤の準備ができました。』
『わかった、では早速取り掛かろう。手はず通り、まずは右手を指先から1㎝ずつ切断だ。くれぐれも慎重にな。』
お、おい…!やめ……
『いきます。』
『グぶッ?!グブブブブブッッ!!!!』
イィッぐ?!ぐああああああああっっっ!!!!!!!
《グ、ガガガガ(くそっ、痛ェ)……》
『これが、こんなのが俺のライバルだと……?ふざけるなッ!!おいサーゼクス・ルシファー!!これはどういうことなんだ?!誇り高き天龍をこんな獣に堕すとはどういう了見だ?!』
…ライ…バル……?
一体、何を言っているんだ。こいつは……?
『そうれについては本当に取り返しのつかないことをしたと思っている……リアスもずっと悔やみ続けて、可哀そうに、すっかり窶れてしまった…だから頼む_________!もう頼めるのは君しかいないんだ……彼を元に戻してやってはくれまいか?』
『元に戻せ?ハッ、お前はそこまで耄碌してやがったのか?諦めろ。こいつはもう手遅れだ。そもそも、こういうことになるから俺は部下に殺害命令を出したんだ!なのにお前の妹は力欲しさに転生させたあげく俺の部下を殺しやがって……!だが、次の宿主がまたろくでもない奴なのは面倒だからな。悪いことは言わない―――摘出しろ』
殺害…宿主……摘出……っ!
まさか、こいつは……
『そんな……!何か方法はないのか?!』
『だから!!何度も言っているだろうがッ!そいつはもう元の姿には戻れないんだ!!それにお前と、お前の妹がそいつを見捨てたからこうなったんだろうが!今更都合よく縋るんじゃねぇよこの偽善者が!』
『ッ……そうか、そうだな……ならば致し方ない。』
ッ!!
『……キミには本当に申し訳のないことをしたと思っている。だが、私は兄として、魔王として、家族と、そして悪魔を守らなければならない。キミはリアスに本当によく尽くしてくれた。もし、まだリアスのことを思ってくれているのなら……』
やめろ……
やめてくれよ、魔王様……
お願いだ、それ以上言わないでくれ!
その先は……
『君の命を差し出してはくれないだろうか』
《グルルグガアアアアアアアア(やめろおおおおおおッッッ)ッッッ!!!!!》
―――――『Over Burst, Break the Limit. Mode: Devastator』―――――
はい、後半部分は今まででも最大級にやらかした部分かなー、と自分でも思います。
ちなみに△△△とか_________に当てはまる人物名はお分かりですよね…?