ハイスクールD×D ~Pagan Gods from the Old Testament~ 作:カイバル峠
リメイクとか言っておきながらこの調子で~_~;
本来はもっと長くなる予定だったのですが、あえて次話に回すことにしました。
そのため後半がやや中途半端に感じられるかもしれません。
始まりの夕暮れ
始まりの夕暮れ
「私と付き合って下さい!」
俺の名は兵藤一誠、周囲からはイッセーと呼ばれている。
あの日、俺は唐突に、人生初の告白を受けた。
相手の女の子の名前は
俺とは違う学校に通う子で、艶やかな黒の長髪、整った顔立ち、スレンダーな肢体、そして豊満な胸の膨らみを持った美少女だ。
俺が通う駒王学園は近年共学になったばかりの元女子高で、その為必然的に女子の比率が圧倒的に大きい。
それ故に女子の発言力が強いし、生徒会も会長を始め殆どのメンバーが女子生徒で構成されている。
では何故俺がそんな駒王学園に通っているのか?
答えは一つ。
女子に囲まれて授業が受けたかったからだ!!
女子生徒の比率が大きければ大きい程当然その確率も高くなる。
入学早々に一人目の彼女をゲット、そして出会いと別れを繰り返し、あわゆくばハーレムを…!!
そうなるはずだった。
しかし現実とは往々に無常だ。
実際のところ、この学校でモテているのは一部のイケメンのみで、俺のような奴は女子からすれば眼中にも入っていない、いや、それどころかその辺に落ちてるゴミと同等以下の認識しか持っていないというのに…
お蔭で未だに彼女の一人もできていやしない。
やはり世の中最終的には顔なのか?
クソッ!!
何たる理不尽!!
どうして神様は人間の顔の作りにここまで差を付けたんだ?!
何故だ?!
……それとも原因は俺の嗜好にあるとでもいうのか?
確かに俺自身、自分の性よ…ゴホン、異性に対する興味、とりわけ女性の胸への情熱が人一倍強く、同時にそれを生き甲斐としていることは自覚している。
この前も悪友二人に誘われて女子更衣室を覗こうと試みたくらいだ。
……まあ、結局覗けず、おまけに激昂した女子の報復まで受ける羽目になったが。
そんなこんなで俺の評判は件の悪友二人と共に変態だの性欲の権化だのとすっかり地に落ちてしまっている。
どうしてだ?それのどこがいけないんだ?
だが男が女を求めるのは自然の摂理、健全な男子高校生なら興味があって当然のことだろう?!
なのにどうしてここまで除け者にされないといけないんだ?!
ああ、揉みたい、おっぱいが!!
そんな煩悩に塗れて悶悶と日々過ごしていた俺にとってあの告白は正に人生の転機だった。
やはり天は俺を見捨ててはいなかった!!
あまりの嬉しさに悪友二人を始め、色んな奴に自慢した。
「あの兵藤が?!あり得ない!!」とか「きっと弱みを握って脅してるに違いない!!」だとか失礼なことを言う奴らもいた。
ハハッ、負け犬の遠吠えだな!!
悪友二人なんて血涙流して悔しがってたよ。
誰が何と言おうがこれで俺も晴れてリア充の仲間入りだ!!
そして今日は念願の夕麻ちゃんとの初デート。
念入りに練ったプランに沿って買い物、ランチと順調に進んでいった。
勿論フォローもバッチリだ!
そしていよいよデート終盤。
噴水のある小さな公園に差し掛かると、夕麻ちゃんは少し速足で俺と距離をとる。
そして俺達を祝福するかのように幻想的な色に染まる空をバックに、俺と夕麻ちゃんは向かい合う。
「今日は楽しかったね。ねぇイッセー君、私達の記念すべき初デートってことで、一つ私のお願い聞いてくれる?」
おお、これはッ!!
きっとアレ……キ、キスに違いない!!
「な、何かな、お、お願いって?」
多少声が上ずってしまったが何とか承諾の意を示す俺。
そして彼女の口から出た言葉は……
「死んでくれないかな?」
……はい?
気の所為だろうか?
今、何て…
俺は思わず聞き返す。
すると
「死んでくれないかな?」
――――――――――――――――――――
ついさっきと同じ言葉がすぐ耳元で囁かれる。
とても先程までデートしていた人物が発するとは思えない言葉だった。
言葉ばかりではない。
その時の彼女の声音、表情、雰囲気、全てが全くの別人の如く変貌していた。
次の瞬間、彼女の服装は年相応の可愛らしいものからとても人前を歩けたものでないような露出過多なものへと変化する。
下にあのような衣装を着込んでいたというわけではあるまい。
その証拠に、彼女がさっきまで着ていた服は綺麗さっぱり無くなっている。
そう、まさしく変化としか言いようのない現象だった。
このような、他に誰もおらず、何の種も仕掛けもないような公園でそんな手品ができるなど、到底人のなせる業ではない。
そしてその裏付けとなる、先程まで確認できなかったモノが彼女の体より生じていた――――――――人外であることを示す一対の黒翼が。
彼女の変貌を間近で目にした少年―――兵藤一誠は変化の際、一瞬僅かに彼女の胸が見えたことに一度は歓喜するも、それを目にして現実に引き戻される。
「楽しかったわ。アナタと過ごした僅かな日々。初々しいままごとに付き合えて。アナタが買ってくれたコレ、大切にするわね。だから…」
腕に付けたアクセサリーを見せながら、冷淡な声音で告げる彼女。
しかしその目は明らかに言葉通りの思考は微塵も持ち合わせていないことを物語っていた。
そこには最早つい数時間前まで一人の少年に屈託のない笑顔を向けていた少女、天野夕麻の面影はない。
あるのは……冷酷な笑みを浮かべる異形の女の
その表情はどこまでも蠱惑的で、淫靡で、そして美しい。
「死んで頂戴」
口より紡がれる死の宣告。
彼女は手に己が光力を収束させ、光の槍を創り出すと、そのまま目の前の少年に向けて放つ。
今日まで魔法のようなファンタジーとは無縁な世界に生きてきた少年は目の前の余りにも急すぎる、そして非現実的な展開に理解が追い付かず、ただただ動揺し、困惑するばかりで、当然のことながら回避行動にまで思考が回るわけがない。
そして――――
ドスッ
「っ?!」
――――少年の腹部に光の槍が深々と突き刺さる。
槍は躰を貫通しており、その槍が、彼が先程まで天にも昇る気持ちで共に時間を過ごした少女の手より飛来したものであることは、彼女の手からそれが無くなっていることから見ても明らかだった。
彼の躰を穿つその役目を終えると同時に霧散する。
後に残ったのは腹部に空いた大きな風穴と、槍が無くなったことで阻むものがなくなり、思い出したように吹き出す鮮血のみ。
素人眼に見ても致命傷は必至であった。
「ゴメンね。アナタが私達にとって危険因子だったから、早目に始末させてもらったわ。恨むならその身に
既に意識も混濁し、物言わぬ屍となりつつある少年に全く悪びれる様子もなく死の理由を語ると、冷たい笑みを浮かべながら天野夕麻、否、黒翼の異形は飛び去った。
――――――――――――――――――――――――――――――
マジかよ……
こんなちっぽけな公園で、こんなわけ分かんねぇことで俺は死ぬのかよ……
セイ…なんだっけ?そんなわけの分からないモノの所為で……
それにどうせ殺すならおっぱいくらい揉ませてくれたっていいじゃないか……
ハハッ、もうすぐ死ぬってのに、何考えてんだろう、俺……
それにしても薄っぺらな人生だったなぁ……
ふと、俺は血濡れた手を目の前に翳す。
―――紅い―――――
その時、脳裏に一人の美少女の姿が浮かんだ。
紅い髪をした、あのヒトが……
どうせ死ぬのなら、でももしも生まれ変われるのなら、あんな美少女の胸で死にたい……
急速に死が近づく中、そんな場違いなことを考えている時だった。
視界の隅に赤い光が映ったような気がした。
「あなたね、私を呼んだのは。」
誰だ……?
最早視界が霞んでしまって判別できない。
「へぇ…面白いことになっているじゃない。そう、あなたが…」
…一体何を言っている…?
「いいわ。どうせ死ぬなら、私が拾ってあげる。あなたの命―――――私
の為に生きなさい。」
気の所為だろうか……
意識が途絶える寸前、視界に紅と羽のようなものが映ったような気がした……
「ふぅ…いいねぇ、何事もないって言うのは。」
俺の名は有馬崇哉、今はそう名乗ってる。
“そう名乗ってる”というのは冗談じゃなく、本当の名は別にあるからだ――――――今となってはもう名乗る必要さえない真名が。
今は色々事情があって極々ありふれた高校生をやってる。
さて、授業も終わったことだしいつもの通りに約束の場所へ行くか。
そう思って席を立とうとした時だった。
「なァ!おい、崇哉!」
「んぁ?」
尋常じゃない様子で一人の男子生徒が俺に掴み掛ってくる。
コイツの名は兵藤一誠。
俺が通うこの学校、駒王学園ではその名を知らぬ者はいない――――悪い意味で。
年中発情期のような奴で、常に女の胸を求めてやまず、口を開けば卑猥な単語がマシンガンの如く次から次へと飛び出す、一言で表すのなら救いようのない変態なのだ。
おまけに性質の悪いことに松田、元浜というこれまた本能に任せて生きるているような連中とつるんで日々下品且つ卑猥なこと極まりない言動を繰り広げているのだから手に負えない。
だが何の因果かは知らないが、俺はそんな変態とクラスメートなのである。
……甚だ不本意だが。
思えば初めてコイツと話したのは、コイツが悪友二人と共に俺の連れ二人に色眼鏡使っていたので殺意が湧いて少々O☆HA☆NA☆SHIしたのが最初だったか……。
全く、彼女が欲しいとか言うのであれば少しは欲望を抑える術を学べというんだ。
話してみれば根は良い奴だし顔も別に悪くないんだからその卑猥な言動を慎めばモテなくもない…気がしないでもない、多分だが。
ハァ、仕方がない。
いつもだったら無視してやるところだが、いつになく真剣だから答えてやるか。
「それで、俺に何の用なんだ?常日頃から欲情し、女子更衣室を覗くような性犯罪者予備軍のイッセー?」
「ちょっ?!いくらなんでも早々にその発言は酷いだろ!!つーか何でそのこと知ってるんだよ?!」
「なんだ、本当にやってたのか。因みに今のはカマ掛けただけだぞ。」
「なっ?!」
まあ、からかうのはこの辺にしておこう。
「それは兎も角……結局何の用だ?」
取り敢えず話を聞くという姿勢を示すと再び真剣な表情に戻る。
「ああ、実は……お前、天野夕麻ちゃんて覚えてるか?」
天野夕麻……ああ、そういやコイツこの前彼女が出来たって自慢してきたっけ。
となると……やはりか。
「それで?その子がどうかしたのか?」
「それが……皆、誰一人として夕麻ちゃんのこと覚えてないって言うんだよ。松田も、元浜も、確かに紹介したはずなのに、デートだってしたはずなのに……。そればかりか写真もメアドも消えてるし夕麻ちゃんが着てた制服の学校にも行ってみたけどそんな子いないって言われたんだ。それでもしかしたら、お前なら覚えてるんじゃないかと思って。」
……ああ、確かに実在していたよ。
正直コイツに紹介された時は驚いた。
本人は上手く気配を誤魔化していたつもりだったんだろうが。
だが見たところコイツは真相を知らないようだな。
それどころかこの様子だと今自分がどういう存在になったのか知っているのかすら怪しい。
……いや、“主”が敢えて教えていないという可能性もアリだな。
なればここで覚えていると答えるのは得策ではない、か。
「いや、悪いがそんな子は知らない。」
「そうか、悪かったな……」
納得のいかなさそうな様子でイッセーは去っていく。
……さて、俺は当初の通り所定の場所に向かうとしよう。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
屋上に行くとそこには二人の少女がいた。
「あっ、お兄ちゃん!」
そのうちの一人が俺に気付いて声を上げる。
「すまないな、遅くなって。」
「いえ、全然問題ないわよ。でもどうしたの?兄さんが時間に遅れるなんて珍しいじゃない。」
最初に俺に気付いた方が咲桐杏奈で、次に俺に声を掛けてきた方が咲桐明日香。
二人は姉妹だ。
因みにこの二人は
この二人との付き合いは非常に長い。
ついでに言っておくと二人とも俺と同じく本名ではない。
「いや、ちょいとどこぞの変態に絡まれてな。」
すると杏奈の表情が一変する。
「はぁ?!あのケダモノ共が邪魔してきたの?!……ますます許せないわね。
杏奈の体から怒りのオーラが立ち上る。
頼むからここでキレるのだけは辞めてくれ……
「まあ落ち着きなさい。それで、その変態のことなんだけど」
そう言って杏奈を宥めつつも俺がついさっき言った変態について尋ねてくる明日香。
「……間違いないだろうな。“悪魔”になっていたからほぼ確実だ。」
「そう、やっぱり“堕天使”の仕業なのね。すると兄さんの言っていた通り…」
「ああ……
俺は頷きつつ答える。
そう、俺が変態―――イッセーと敢えて付かず離れずの関係を保っていた理由の一つはアイツがその身に厄介なモノを宿している可能性があったからだ。
「でも確かお兄ちゃんが言うにはアイツに宿ってるのってドラゴン系のなんだよね?それだと赤白くらいしか思いつかないんだけど……よかったの?」
明日香に宥められ、怒りの解けた杏奈が聞いてくる。
確かに彼女の言うことは尤もだ。
仮にイッセーの神器がドラゴン系の神滅具――――
神滅具とは文字通りに極めれば神や魔王……一部例外はいるが……を滅ぼせるとさえ言われるものなのだから。
そしてアイツが悪魔へ転生したことはその神滅具を悪魔側が手にしたことを意味する。
「確かに、もし神滅具ならその戦力を悪魔側が保有したという点で三勢力間の均衡のみならず世界そのものに影響を及ぼすかもしれない。だが正直なところアイツのスペックでは現状、とてもじゃないが使いこなすのは不可能。それでも何かのはずみで暴走する可能性もゼロじゃない。」
『赤龍帝の籠手』と『白龍皇の光翼』はそれぞれ神や魔王をも凌ぐと称された二天龍、
しかしこれは『禁手』と違い一種の暴走に近く、生命力を対価に発動する。
事実、歴代所有者達はその多くが『覇龍』によりその命を散らしたというほどだ。
「つまるところ堕天使側が危惧したのは神滅具が他勢力の手に渡ること、及び神器の暴走なのだろう。それで始末した……しかし結果として悪魔の手に渡るという皮肉な結果になったわけだがな。だがまあそれはそれだ。結果として悪魔という
「なるほどね、暴走すれば抑えるのは主……でも『覇龍』の力は余りにも絶大、今のこの町を管理する悪魔っ娘二人とその眷属では到底手に負えないから必然的に魔王の役目となるわけだものね。けれど兄さんの言う通りであるなら、もし堕天使側が彼が悪魔として転生したことを知った場合……また彼を狙うでしょうね。」
「問題はそこだよ。どのみちこの町では俺達はあまり自由には動けない。故に今回の件も黙認するしかなかったわけだが。」
「まあ、正直なところ無理して助けて連中に目を付けられるくらいなら助ける必要ないと思うけどね~。パッと見て思ったけどとりわけグレモリーの方はしつこそうだし。」
「確かにな……」
流石に目の前で、ともなれば話は別だが。
正直今あちこちから目を付けられるようなことは避けたい。
だが、
「……が、いづれは……正体を明かさねばならぬのやもしれんな……」
俺の言葉に二人が息を呑むのを感じた。
―――――――やっと見つけた―――――――
つい最近聞いた、あの抑揚のない声が脳裏で再生される。
しかし堕天使か……
俺は空を振り仰ぐ。
ならば“彼女”にももう人働きしてもらうことになるかもな……
休み時間の終わりを告げる予鈴が鳴り響いたのはその後間もなくだった。
一人称、三人称視点混合に挑戦してみましたが、如何だったでしょうか?
感想、御指摘等ありましたらお願いします。