ハイスクールD×D ~Pagan Gods from the Old Testament~   作:カイバル峠

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すみません、間が空いてしまいました……


黒翼の救世主と邂逅

黒翼の救世主と邂逅と

 

 

ハア、ハア……

 

クソッ、一体何がどうなってるっていうんだ?!

 

俺、兵藤一誠は混乱していた。

 

あの日―――俺が“夕麻ちゃん”とデートしたと思っている(・・・・・)日を境に俺の体には異変が起きていた。

 

まず、朝起きるのが極端に苦手になったこと、また日光が肌に突き刺さるような感覚に襲われるようになったことだ。

 

そんなことは今までになかった。

 

だがもう一つの異変はその比ではなかった。

 

朝とは対照的に、夜になると異常なほど活発になってしまう。

体の内から得体のしれない力が沸き起こる、強いて言い表すのであればそんな感じだった。

 

実際、闇夜では昼間以上に視界が冴え、周囲の家々や遠くの声が聞こえてくるなど、五感はありえないほどに鋭くなり、夜中にダッシュしたら信じられないほどの速度が出て、スタミナも増強されていた。

 

そんな変化に戸惑いつつ、数日が過ぎた後、悪友二人に誘われてエロDV…じゃなくて、紳士の円盤鑑賞に行ったが気分が乗らず、早々に分かれて家路に着いた時だった。

 

「ッ?!!」

 

体を走る悪寒。

 

背後から殺気を感じて振り返ると、そこにはスーツとトレンチコートに帽子姿の男が。

 

「ほう、これは数奇なものだ。こんな都市部でもない地方の市街で貴様のような存在に会うとはな。」

 

……何言ってやがる?

どう見ても不審者だ。

だが、この感じ、目の前のコイツがヤバいことだけは分かる……

 

「逃げ腰か?主は誰だ?こんな都市部から離れた場所を縄張りにしているような輩だ。階級の低い者か物好きかのどちらかだろう。今一度問おう。貴様の主は誰だ?」

 

わけ分かんねぇっつーの!!

 

気付けば俺は男に背を向けて走り出していた。

幸い今は日が沈んでいる時間帯だから例の如く身体能力が強化されている。

この状態ならなんとか逃げ切れる筈だ!

 

 

 

俺は無我夢中で走り続け、気付くとそこは――――――

 

 

――――――――あの夢に出てきた公園だった。

 

 

なんで……どうしてここへ……?

 

 

夢の中で、俺は夕麻ちゃんにこの噴水の前で光の槍のようなもので刺殺された。

 

その光景がここへ来て鮮烈にフラッシュバックする。

 

そして―――――

 

「羽……?」

 

視界に映ったのはカラスのような黒い羽根。

 

思わず羽が舞い降りてきた方を見遣ると――――

 

「逃がすと思うのか?これだから下級な存在は困る。」

 

「?!」

 

……先程の男が宙を舞い、俺のすぐ頭上を飛んでいた―――――背中から黒い翼を生やして。

 

ウソだろ?!俺はかなりの速度で走っていた筈なのに、こんな短時間でこうも一方的に距離を縮められるなんて?!

 

そして男は俺の頭上を飛び越すと俺の数メートル手前に着地する。

 

ゾクっ

 

男と目が合った瞬間、体がすくんでしまったのか、蛇ににらまれた蛙のように俺は動けなくなった。

 

「貴様の属する主を言え。さもなくば……いや、お前、もしや“はぐれ”か?なるほど。それならその様子にも説明がつく。」

 

さっきから何言ってんのか分かんねぇよ!

 

寧ろ聞きたいのはこっちだ!

 

一人で納得すんな!

 

「主の気配も仲間の気配もなし、消える素振りも見せなければ魔方陣すら展開しない。以上の結果から見て『はぐれ』と見て間違いないな。だが少々妙だな。主の元を逃げたか殺したかにしては魔力が微弱過ぎる上に抵抗する素振りすら見せない……これでは『計画』の足しにも妨げにもなるまい……。まあいい。殺しても問題なかろう。」

 

訳の分からないことを一通り喋った後、一瞬の耳鳴りと共に男は手に槍のようなモノを出現させる。

 

ゾワリ

 

ッ!!!

 

本能が警告する。

 

早く逃げろ、と。

 

そして俺はアレを知っている。

 

……もっとも、美少女ではなく男という違いはあるが。

 

話せば皆が夢だと笑った。

 

俺だって受け入れたくはないが現実ではあり得ないことだとは分かっていた。

 

それでも夢でないと信じたかった。

 

でも――――

 

――――今、この時、初めて夢であって欲しいと願った。

 

「ではな。」

 

男が槍を放つ。

 

ようやく体が反応し、回避行動をとる。

 

しかしそれは余りにも遅過ぎた。

 

気付いた時には俺と槍との距離は2メートルを切っていた。

 

プロのアスリートでもそうだが、走り出してからトップスピードに乗るまでは時間を要する。

 

今から走り出していたのでは到底間に合わない!

 

 

 

奴の光の槍が俺を貫く―――――――

 

 

 

 

パキィィン

 

 

「なっ?!」

 

「なんだと?!」

 

突如として横から飛んできた光の一閃により光の槍は儚い音を立てて砕け散る。

 

「これは……天使の、いや、それとも我らと同族のものか……ッ?!何者だ?!」

 

男は自身の槍を破壊した光の主についてあれこれと何か言っていたが、不意に気配を悟ったのか、声を上げる。

 

不意に、周りの空気の重圧が増したように感じた。

 

ふと、視界に黒い羽根。

 

それは深淵の如く深く暗い、夜の闇を凝縮したかのような、漆黒の羽。

 

さっきの男の羽とは比べものにならないくらい美しいものだった。

 

そしてその主が舞い降りる。

 

艶やかな橙色の髪、赤い瞳、そして神が自らの力を注ぎ込んで造り出した至高の造形とさえ言える程に美しい顔立ちをした美少女だった。

少女は白のブラウスに黒のミニスカートという一見今時の女の子風の服装の上から軽装甲(ライトアーマー)を着こみ、頭には角のような飾りのついたカチューシャをしていた。

 

両手には黒の双剣が携えられており、更にその凛とした佇まいは神々しくさえあり、俺には救世主のようにも思えた――――彼女の背の翼が黒くなければ。

 

「貴様ッ、名を名乗れ!何故堕天使でありながらそのような『はぐれ』を庇うような真似をするッ?!」

 

男は少女の姿を認めると激昂して声を張り上げる。

 

……仲間割れか?

 

しかしそこにはもう先程までの余裕な表情は無かった。

 

その時、少女が俺を一瞥する。

 

「!!」

 

目が合った瞬間俺でも分かった。

 

今、俺の目の前にいるこの少女はあの男とは全然強さの次元が違う。

 

殺意や敵意はなくてもその威圧感で分かる。

 

彼女は男と向き直る。

 

「何をボーッとしている?死にたいのか?」

 

「えっ?あ、ああ!」

 

どうやら助けてくれたらしいが、呆気にとられた俺は振り向かずに告げる彼女に間の抜けた返事しかできなかった。

 

「ええい、邪魔をするなッ!」

 

右手にさっきよりも大きな光の槍を創り出す。

 

 

 

 

だが

 

 

「そんなモノで何をするつもりだ?」

 

ジュワッ

 

「ぐ、ぐあぁぁぁぁぁぁっ?!」

 

液体が蒸発するような音の後、男が悲鳴を上げる。

 

見れば男の右腕が二の腕から槍ごと綺麗さっぱり無くなっており、切断面と思しき場所からは血が噴き出す代わりに煙が立ち上っていた。

 

「はぁ、はぁ……、き、貴様ァ!!自分が何をしたか分かっているのか?!我らは『神の子を見張る者』(グリゴリ)の、総督アザゼル様より使命を拝命した身であるぞ?!邪魔立てするとは組織への反ぎゃ…ごふっ?!」

 

「グリゴリ?アザゼル?さぁ、そんなものは知らんな。」

 

いつの間にか彼女と男との距離はほぼゼロに縮まっており、男の胸には深々と少女の黒剣が突き刺さっていた。

 

すげぇ…動きが全く見えなかった……

 

「お、おのれ……わ、我らが、総督まで、愚弄、するか……!」

 

男は息も絶え絶えに、口から血を吐き出しながら憎々し気な目で少女を見据える。

 

「ほう、これはまた奇妙なことを言うものだな?私から見れば総督を愚弄しているのは寧ろ貴様らの方なんだが……おっと、お喋りが過ぎたな。では」

 

そこまで言うと少女の剣の刀身が光り輝く。

 

「や、やめ……」

 

「さらばだ。ドーナシークよ。」

 

 

 

ジュワァァァァァッ

 

 

 

さっきよりも大きな音と共に、ドーナシークと呼ばれた男は完全に消失した。

 

 

 

……凄すぎる。

 

でも俺を狙ってきたのがこの子でなくてホントに良かった……。

 

放心している俺に見向きもせず、彼女は俺の横まで来てくると、徐に騎士の如く膝を着く。

 

「仰せの通りに対象の保護、及び敵の殲滅、完了致しました。ご主人様(マスター)

 

さっきとは打って変わって丁寧な口調で話す彼女に俺は拍子抜けしてしまう。

 

ていうかマ、マスター?!

 

この子を従えられるような奴が俺の後ろにいるってことか?!

 

マジかよ……なんか冷や汗出てきた……

 

その時

 

「ご苦労、よくやってくれた。オリヴィア」

 

「お疲れ様~」

 

なっ?!

 

呆気にとられていたところ背後から突如として聞こえてきた馴染みのある声に思わず振り向いてしまった。

 

そこにいたのは――――

 

「お、お前、崇哉?!それに……咲桐杏奈ちゃん?!」

 

俺のクラスメートの有馬崇哉とその従妹の咲桐杏奈ちゃんだった。

 

「うわ最悪!アンタにちゃん付けされるとかマジキモいんだけど?!」

 

開口一番に拒絶の反応を示す彼女。

 

うぅ、確かに良く思われてないのは分かってるけどここまで明確に拒絶されると流石に凹むぜ……それに比べてコイツは……!!

 

俺は美少女二人と何やら話し込んでいる同級生に視線を向ける。

 

二人とも俺に対する時と全然態度違うじゃねーか!!

 

クソッ!!コイツやイケメン王子の木場の野郎ばっかりモテやがって!!

 

あーあー、相変わらず見れば見る程にキレイな顔してやがるな、畜生めっ!!

 

俺の中で延々と嫉妬の炎が渦巻いていると、俺はあることを思い出す。

 

「お、おい崇哉、これは一体どうなってるんだよ?!」

 

すると三人の注意がこちらに向く。

 

「ん?おお、すまんすまん。こっちも色々と事情があったからな。因みに混乱しているだろうがコレは―――――夢じゃないぞ。」

 

?!

 

……待てよ?

 

それじゃあ……

 

「お前、もしかして夕麻ちゃんのことも……」

 

アイツは少し言いにくそうな様子を示したが、徐に口を開く。

 

「ああ、全部覚えてるよ。」

 

ッ……!

 

そうか、やっぱりアレは夢なんかじゃなかったのか……

 

「話せば色々長くなるし、それに話すに話せない事情があってな。例えば、そうだな……」

 

そこで一度息を吐き、続ける。

 

「……案外、通りすがりの赤の他人が一番良く知っているのかもしれないな?」

 

?!

 

崇哉は俺から視線を外すと脇の茂みへと視線を向ける。

 

すると

 

「へぇ、気付いていたの。」

 

「リ、リアス、先輩……?」

 

凛とした声と共に現れたのは美しい紅色の髪をした学園のアイドル、リアス・グレモリー先輩だった。

 

 

 

 

 

 

 

私、リアス・グレモリーは駒王学園3年で北欧からの留学生としてオカルト研究部の部長を務めている。

しかしそれは人間社会に溶け込むための仮の姿。

本当は冥界に住む悪魔であり、その中でも古くから続く純血の上級悪魔の家系であるグレモリー家の次期当主、今は眷属らと学園を拠点に周辺一帯を縄張りとして活動している。

因みにオカルト研究部の部員は皆私の眷属、下僕悪魔だ。

 

そしてつい先日、新たに眷属に加わった少年――――確か同じ学園の2年生で名前は兵藤一誠と言ったかしら?――――がいる。

 

この前の週末、私は彼に夕暮れの公園に呼び出された。

 

普通人間に召喚される際は他の眷属――――私の下僕たちが呼び出される筈なのに、余程強い願いだったのか、主である私が直々に赴くこととなった。

 

そしてそこで私が見たもの、それは血だまりの中に倒れた、命尽きる寸前の彼の姿だった。

致命傷は恐らく腹部に空いた穴。

直前に微かに堕天使の魔力の残滓が感じられたことから恐らくは堕天使の仕業と見て間違いなかった。

以前から彼には少々違和感を覚えて調べてみたものの、両親は平凡なサラリーマンと主婦という極々一般的な家庭に育った普通の人間であった。

 

そうなれば理由は一つ、彼に堕天使側が危惧するモノ、恐らくは神器の類が備わっているということなのだろう。

 

そして私を呼び出した彼の願いは“死にたくない、生きたい”というもの。

 

 

――――――面白い

 

 

私が第一に抱いた感想はそれ。

 

私の取るべき道はそこで決まった。

 

私はポケットから紅いチェスの駒のような形をした『悪魔の駒』(イーヴィル・ピース)、その中の『兵士』(ポーン)の駒を取り出し、彼に近づけた。

 

するとどうだろうか。

信じられないことに、8つの『兵士』の駒全てを消費してしまった。

 

以前彼を見かけた時は何の変哲もない人間だったところを考えると、未覚醒であっただけで、彼の中には絶大な力が眠っていたということなのだろう。

 

かくして転生の儀式は成功、思わずほくそ笑んでしまったのを覚えている。

 

彼は私の下僕悪魔となった。

 

本来ならすぐにでも事情を説明すべきではあるけれども、裏とは無縁の世界で生きてきた彼はいきなり悪魔だのと言われても恐らく困惑するだけだと思い、しばらくは彼に接触せずに様子を見ることにしていたのだけれど……

 

 

 

 

 

「この反応……まさか堕天使?!」

 

「なんですって?!」

 

私は同じ3年でオカルト研究部の副部長、そして『女王』(クイーン)でもある姫島朱乃の言葉に思わす声を上げる。

 

通称『雷の巫女』、気配に敏い彼女はいち早く反応した。

 

堕天使の気配が感じたのは彼を下僕に加えて以来、数日振りだ。

 

一度ならず二度までも……

 

他人(ヒト)の縄張りに土足で入り込むなんて堕天使というのは随分と礼儀がなっていないようね。

 

普通なら争いを避けるために接触は避けるべきだけれど流石にそう何度も入り込まれていては私の面目は丸潰れ。

 

加えて今は新たな下僕となった彼は未だ何も知らずに日々を過ごしている。

 

おまけに反応があったのが

 

もしかしたら……

 

「行くわよ、皆!!」

 

「「「はい!!」」」

 

朱乃を含め、彼と同じ2年で『騎士』(ナイト)の木場祐斗、1年で『戦車』(ルーク)の搭城子猫と、部員全員に声を掛け現場に急行する。

 

 

 

 

 

私達が公園に転移すると、丁度堕天使の男が彼、兵藤一誠に向かって光の槍を放ったところだった。

 

こんなところで死んでもらうわけにはいかない。

 

私が滅びの魔力を撃ち出そうとするがその時、

 

「「「「っ?!」」」」

 

突如、周りの空気が重くなる。

 

刹那

 

パキィィィン

 

横からの光の一閃により男の放った槍は儚い音と共に砕かれる。

 

「あれは……光力?」

 

紛れもない、今のは光力。

 

私達悪魔の宿敵である天使や堕天使が使う力で、悪魔にとっては猛毒、触れるだけでたちまちその身を焦がすことになり、濃度が濃いものになれば最悪消滅する。

 

それが何故悪魔である彼を?

 

それにどこから……

 

「部長、あれを!」

 

朱乃の言葉によって我に返る。

 

すると空から彼と堕天使の間にもう一人、少女が舞い降りてきた。

 

悪魔の私から見ても美しいと思えるほどの容姿をしているけれど、背中から生えた漆黒の翼―――――あれは堕天使の証。

 

外見年齢は私達とあまり変わらないくらいで、両手に剣を携えているところを見ると双剣使いなのかしら。

 

でも、

 

「冗談でしょう?」

 

気付けば私はそう呟いていた。

 

突然舞い降りてきた彼女から感じられる力は軽く見積もっても上級以上、さっき彼を狙った男とは全く格が違う。

 

新手の敵?!

 

どうしてよりにもよってこんな時にっ!

 

しかし、

 

「貴様ッ、名を名乗れ!何故堕天使でありながらそのような『はぐれ』を庇うような真似をするッ?!」

 

?!

 

木霊する男の声。

それには明らかに正体不明の闖入者に対する怒りの色が現れている。

 

どういうこと?!仲間じゃないの?!

 

おまけに少女の方至っては私の下僕の方を一瞥しただけで更に警告までする始末。

 

一体どうなっているというの?!

 

「……部長、少し様子を見た方が宜しいのでは?」

 

朱乃が耳打ちしてくる。

 

「……その方がよさそうね。」

 

状況が分からない以上そうするよりほかない。

 

何よりあの少女が彼に危害を加える様子がないこと、加えて彼女の力が未知数である以上下手に介入しない方が良い。

 

私達は気配を消し、更に念のために自分たちの周りに認識阻害を張り巡らした後物陰に隠れ、事の成り行きを見守る。

 

男が槍を右手に形成し、少女に向かう。

 

「?!」

 

しかし次の瞬間、男の右腕はまるで蒸発するかのように消失する。

 

一体何をしたのか全く分からない……

 

ほんの一瞬にも満たない、刹那の出来事。

 

そして彼女は私達が気付いた時にはもう距離をゼロに縮めており、男の胸には深々と彼女の剣が突き刺されていた。

彼女が一言二言発したのち、剣が眩い光を放ち始め、余りの眩しさに私達は思わず目を閉じてしまう。

先程と同じように液体が蒸発するような音が聞こえ、目を開けるとそこにはもうあの堕天使の男の姿はなかった。

 

「……祐斗、彼女の動きは見えた?」

 

「いえ……正直早すぎて全く見えませんでした。」

 

祐斗は申し訳なさそうに答える。

眷属中最速を誇る『騎士』の彼でさえ全く彼女の動きを追えないなんて……。

 

「!……部長、誰か来ます。数は二人。でもこの気配は……人間?」

 

朱乃と同じく勘の鋭い子猫が新たな来訪者を察知する。

 

次から次へと……一体何なのよ?

 

どうやらさっきの少女のいる方に向かってきているみたい。

 

でも人間?

 

ここにはさっきの堕天使が残した人払いの結界がある以上、私達のような人ならざる者でもなければ、特殊な力を持つ人間でない限りは入ってこれないはずなのに……

 

そしてふと、彼と少女がいる方に視線を戻す。

 

やがて浮かび上がる二つのシルエット。

その正体は―――――

 

「あの二人、まさかうちの生徒?」

 

闇より現れたのは二人の男女。

 

見る者全てに最早畏怖の念さえ思い起こさせるほどの比類なき美貌。

 

私達と同じ駒王学園の制服に身を包んだその二人には見覚えがあった。

 

2年生の有馬崇哉と咲桐杏奈。

 

現れた二人ともう一人、咲桐明日香の三人はいずれもその類まれなる容姿と、外見とは裏腹に気さくな人柄、さらに成績優秀で運動能力も高いということで学園の生徒の間でも男女問わずにかなり人気がある。

 

三人共気配は(・・・)普通の人間のものであったからそこまで気にかけてはいなかったのだけれど……。

 

 

 

 

 

 

「仰せの通りに対象の保護、及び敵の殲滅、完了致しました。ご主人様(マスター)

 

 

 

 

「「「「?!」」」」

 

 

う、嘘……でしょ……?

 

圧倒的な強さを見せた堕天使の少女がたかが人間(・・・・・)でしかない彼らを主と呼び、王に仕える騎士の如く膝を着いて臣下の礼をとるなんて……

 

どうしてさっきの戦いで圧倒的な強さを見せ付けた彼女が?

 

分からない。

 

私はもう一度彼らを見遣る。

 

二人とも彼女に親しげに声を掛けている。

 

一体彼らは何者なの?

 

彼らにはあの少女を従えるだけの何かがあるというの?

 

……それとも私達の目を欺けるほどの力を持つ者なの?

 

見れば見る程、目の前の状況が理解できなくなる。

 

でも

 

 

 

 

 

「……興味深いわね」

 

そう、私はいつの間にか二人――――正確にはもう一人加えて三人だけれど―――――に興味が湧いていた。

 

堕天使との関係上警戒しないわけにはいかないけれど、それ以上にとある思いが私の心を支配していた――――― “彼らが欲しい”と。

 

 

 

 

「案外、通りすがりの赤の他人が一番良く知っているのかもしれないな?」

 

不意にそう言い、こちらに視線を向けてくる

 

「「「「!!」」」」

 

……気付かれているわね。

 

やはり彼らは只者じゃない。

 

「部長、如何なさいます?」

 

「……これ以上隠れていても無駄みたいね。」

 

私達は意を決して姿を見せることとした。

 




リメイクということでオリ主陣営にオリキャラ追加致しました。
因みに容姿の設定だけですが、とあるソーシャルゲームより拝借しております。

感想or御指摘等ありましたらよろしくお願いいたします。
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