ハイスクールD×D ~Pagan Gods from the Old Testament~   作:カイバル峠

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済みません、またダラダラと書き続けてしまいました。

本当はもう少し続く予定だったのですが、余りに長くなっても読みにくいだけなので2話に分けることに致しました。

それではどうぞ。


黒き陰謀

黒き陰謀

 

 

悪魔共との邂逅から数日。

俺達三人はオカルト研究部に仮入部という形になった。

勿論グレモリーの独断だ。

それも「あなたたちを放っておくことはできないからここで監視させてもらうわ」とかなんとか言って。

どう見ても負けたことへの腹いせだったが。

だがアイツの妹もいることだからまあ良しとしよう。

 

そんなこんなで面倒だとは思うが(仕方なく)部室には顔を出している。

 

 

そして

 

 

 

「いい?二度と教会に近づいては駄目よ?」

 

 

グレモリーがいつになく真剣な表情でイッセーに説教をしていた。

なんでもイッセーが登校中に偶然道に迷った外国人シスターに出会い、教会まで道案内してきたと言うのだ。

 

「教会は私達悪魔にとって敵地、踏み込めばそれだけで神側と悪魔側との間で問題になるわ。今回は向こうもあなたの厚意を素直に受け取ってくれたみたいだけれど天使達はいつも監視しているわ。いつ、光の槍が飛んでくるかわかったものじゃないのよ?」

 

イッセーも相当堪えてる様子だな。

まあこればかりはどうしようもない話だが。

 

「それから教会の関係者にも関わっては駄目よ?特に『悪魔祓い』(エクソシスト)は神の祝福を受けていて私達悪魔を滅ぼせる力を有しているし、更にいえばその中には神器所有者もいるわ。故に教会関係者と関わることは正しく死と隣り合わせなのよ?」

 

イッセーを見据え、語気を強めながら言い聞かせるグレモリー。

確かに奴ら『悪魔祓い』(エクソシスト)は聖剣使いのように直接悪魔を滅する力を持った者もいるし、十字架や聖水だけでも悪魔にとってはダメージになる。

因みに天使や堕天使の光の攻撃を受けても消滅する。

……よくよく考えたら弱点だらけだな、悪魔は。

本当に、どうしてこうなったのか疑問で仕方がない……

 

しかし『悪魔祓い』(エクソシスト)が機能している以上『システム』が動作していることは確かなわけだが……

聖書の神が消えた今、それを動かせる者となると自ずと限られてくる。

 

恐らくは神の如きもの(ミカエル)……

 

クククク……文字通りの神の真似事か。

 

果たしてどちらが“偽の神”なのやら……

 

 

 

それにしてもその教会というのはどこのだ?

 

この近辺で教会と言うと町外れの廃れたのくらいしか思い当たる節がないんだが。

 

それにあそこは……

 

「人間としての死は悪魔への転生で免れるかもしれないけれど悪魔祓いを受けた悪魔は完全に消滅する。つまり、無に帰すのよ?“無”。何もない、何も感じない。それがどれだけのことかあなたには分かる?」

 

イッセーに詰め寄るグレモリー。

一方、当のイッセーの方は対応に困って困惑するばかりのようだ。

 

“無”ねぇ。

 

厳密にいえば少し違うな。

悪魔祓い、または強い光を受けた悪魔はまず次元の狭間へと飛ばされる。

人間界と冥界、天界といった異なる世界間に広がる何もない、“無”の空間。

今は赤龍神帝グレートレッドが支配する領域。

そして厄介なアイツの生まれ故郷でもある。

次元の狭間は文字通りの無。

そこを漂うものは次第に次元の狭間の無にあてられてやがて本当の無に帰ることとなる。

余程の力がない限りはな。

 

「ごめんなさい、少し熱くなり過ぎたわ。兎に角、今後は気を付けて頂戴。」

 

「はい。」

 

……おっと、そろそろ時間だな。

 

「取り込み中すまないが今日はこれで失礼するよ。」

 

イッセーとグレモリーの視線がこちらを向く。

 

「どうしたの?」

 

グレモリーが訝しげな瞳を向けて来る。

 

「少々約束があってな。」

 

「そう。」

 

返答は至って簡素なものだった。

 

「……珍しいな、追及しないとは。」

 

「あら、あなたに聞いてもどうせ皮肉しか返って来ないでしょう?無理に口をこじ開けようとしても疲れるだけだって何となくだけど分かって来たし。それに悔しいけど力ずくで喋らせるのは尚更無理っぽいもの。」

 

その言葉には幾分諦めたような響きがあった。

この前アスタルテに散々にやられたこともあってか最近はそこまで突っかかってこなくなったな。

 

「……そうかい、それならまた明日。」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

道行く雑踏の絶えない表通りの喧騒を他所に、裏路地の奥の奥、ひっそりと佇むバーがあった。

この一帯は『裏』に通じる者でも極僅か、知る人ぞ知る隠れ場とでも言うべき場所で、その所為か人々の往来は日中であっても極めて少ない。

相応の実力を持たぬ者が足を踏み入れれば生きて出られる保証はないという不文律の支配する無法地帯でもあった。

 

そんな中、月夜にそのような危険地帯をバーに向かって歩みを進める人物が一人。

 

月明りに照らされる肌は新雪に喩えるもおこがましいほどに白く、肩甲骨の下、背の中ほどまで伸びた緋色の髪は純銀に赤色を溶かし込んだかのように見えるほどの艶と輝きを有し、流れるように風に靡いていた。

髪と同色の、長い睫に縁取られた切れ長の目から覗く金色の瞳は日輪を思わせ、相対する者に全てを見透かされるような印象を与える。

それに加え細い鼻梁は高過ぎず低過ぎず、絶妙な反り具合が至高のラインを描き、思わず吸い付いてしまいたくなるほどの艶やかでみずみずしい口元が細めの輪郭を浮かび上がらせ、長身痩躯の体型も相まってどれほど才に恵まれた芸術家の手を以てしても再現することは叶わぬであろう、美の極致とさえいえる造形美を体現していた。

 

一見、この人物が男性とは夢にも思わないだろう。

 

「ここか」

 

彼は一言呟くと、ところどころ切れかかったネオンサインが彩る看板の下、中へと続く扉を押し開ける。

 

中に入ると幸いなことに客は少なく、彼はすぐに目的の人物を探し出す。

 

奥のカウンターに腰掛ける人物。

 

彼はその人物のすぐ隣まで行き、隣の席に腰を下ろす。

 

「遅かったじゃないか」

 

如何なる鈴の音も掠れて聞こえる程に凛とした、澄み切った声。

 

声と共に彼の隣に腰掛けていた人物は振り向く。

 

座っていたのは純白のパンツスーツに身を包んだ絶世と形容するもなお足りぬ程の美女。

背は女性としてはやや高めでスレンダーな体躯をしていた。

肌は着ているスーツよりなお白く、輝いてさえ見える程で、腰まで伸ばした髪は純銀より一層無色に近い、眩いばかりの白金色。

長い睫が縁取る切れ長の目は眦がスッと上がり、シャープな印象を与え、瞳は男性と同じく金色だが、彼の瞳が日輪だとすれば彼女の瞳は宵の明星を連想させる色彩であった。

通った鼻筋は細く、描き出すラインも筆舌に尽くしがたい程に美しく、朱の引かれた口元は瑞々しく、妖艶であるもその線は理想の具現化と呼べるほどの極上の造形であった。

凡そ美の完成型。

神も二つとして同じものを作れぬであろうほどの造形美がそこにあった。

 

「すまないな。少し立て込んでしまって。」

(首尾はどうだ?)

 

「またお守りか?」

(いきなりだな。まあまあ、と言いたいところだがそうも言ってられなくなってきた。)

 

二人は表面上は取り止めのない会話を演じつつ、言外の部分で念話による意思疎通で必要な情報のやり取りを行う。

この裏の裏ともいえる世界ではふとした一言から素性がバレることも珍しくない。

特に彼らのように存在自体がトップシークレットのような者達に限っては尚更警戒せねばなるまい。

なれば口に出す会話は自ずとこのようなものに限り、本当に重要なことは他人に五感で察知されることのない形式で行う、それが暗黙のルール。

もっといえば今の二人の意思疎通のやり方でさえも安全面からすればギリギリであるが、店内の客の少なさと彼ら自身、心を覗ける者はこの世界で10人いるかどうかというレベルであることから念話という方法をとっているに過ぎない。

 

「そんなところだ。」

(……動き出したのか?)

 

「フフッ、嘗ての貴殿からは想像もできんな。」

(ああ。それも近頃急速にな。時に貴殿は『改造変異悪魔』(ミュータント)というのを御存知か?)

 

「年月は人を変える。お前さんこそ昔に比べれば随分丸くなったじゃないか。」

『改造変異悪魔』(ミュータント)?初耳だな。)

 

「私といえど年月をへれば多少はどこか変わるさ。この世に何一つとして不変なものなどない、と常々仰っていたのは貴殿であろう?」

(最近人間界を単独でうろつくお尋ね者……いわゆるはぐれ悪魔だが、そいつらが最後に姿を確認された場所から一時的に姿を消したかと思いきや奇妙なことにまた戻って来るんだよ。それも力を何倍にも増してね。)

 

暫しの沈黙。

 

「しかし、こうしてお前さんと会うのはいつ以来だろうか?」

(そいつらが『改造悪魔』(ミュータント)……力の倍増というのはどれくらいになる?)

 

「さあ?でも、昨日振りでも十年振りでも一万年振りでも大差は無いよ。我々にとっては時の経過の概念はあまり意味を持たないからね。」

(一概には言えないが仮に素体が下級悪魔であっても上級悪魔クラスの力を得られるようだ。だが強制的に心身の限界以上に力を底上げする分当然リスクも大きい。改造されたが最後、知性も心も失いただただ破壊本能に任せて暴れ回る、命尽きるその時までね。事実多くの個体が討伐隊との交戦中、或いはそれ以前に“自壊”しているそうだ。)

 

「それもそうだな。」

(なるほど。確かにきな臭いことこの上ないな。生物の改造など連中なら好んでやりそうだ。)

 

(これは飽くまで私の私見だがはぐれの改造はまだ序の口だ。ソイツらを生み出したのも何か事を起こす為の一過程に過ぎない。近々また厄介なことが起きるかもしれないな。)

 

耳に聞こえる会話は途絶えても念話による水面下のやりとりは絶えない。

 

(厄介事、ね……しかしその技術を連中が独自に開発したものなのかそれとも外部から齎されたものなのかが気になるな。)

 

(まあ奴らと三大勢力との関わりを意識するのであれば自ずと漏洩元は絞られるが……まさか貴殿、あの子の復讐に加担するつもりか?)

 

不意に女性の視線が彼の方を向く。

 

(復讐、ね。確かに本人から見ればそうなるか。だがしかしそれは彼女自身が乗り越えるべき問題。結果復讐という形になったとしてもそれで本人が先に進めるというのなら助力は惜しまないさ。)

 

彼女の訝しげな視線に男性はグラスを呷ると答える。

 

(ハァ……私としては元とはいえ同胞間の殺し合い、共喰いを見ているようで些か気分が優れないがそれもまた真理か……。その相手にしても野放しにしておけば害にしかならないだろうからその形で締めくくるのが確かに最善だな。)

 

(意外だな。お前さんならてっきり反対するものかと思ってたが。)

 

(貴殿が保護者でなければそうしたよ。復讐者にとって本当に大切なのは復讐を成し遂げた後だ。自らの唯一ともいえる生き甲斐を喪失し、新たな生の意味を見いだせずに命を投げ出す者も多い。だがあの子は貴殿を好いているようだからな。フフフ、この女たらしが。)

 

彼女は笑った。

 

(おいおい、好かれていることに悪い気はしないが流石にたらしとまで言われれば凹むぞ?)

 

彼もまた苦笑する。

 

(事実だろう?二柱もの女神を妻にしておきながらそれ以外の種族の娘も侍らせているじゃないか。聞けば魔王レヴィアタンとその妹とも懇意にしているというし。)

 

(別に意図してハーレムなど囲ったわけではないが?)

 

(そんな顔をしておいてどの口で言うのだ?美の女神さえ虜にしたほどの男が。)

 

彼女は少々からかい交じりの笑みを送る。

 

(ほう?顔ならお前さんも他人のことは言えんだろうに。お前さんの前では花も月も、女神さえも恥じらうとさえ謳われた身であろう?)

 

(ん?ああ、そんなこともあったようななかったような……ところで貴殿が子守をしているという現ルシファーの妹というのはどのような輩だ?仮にも赤龍帝を拾ったのだろう?)

 

(ああ……一言で言えばかなりのじゃじゃ馬だね。優秀な方ではあるし血気盛んなのはいいが些か王としての自覚が足りない部分もあるのでな。)

 

(おや?良かったじゃないか。どうやら血気に逸る部分は確かに遺伝しているみたいで。グレモリー兄妹の母親は貴殿の末裔を称する一族の出であるし従兄弟に当たる次期当主も中々に血気盛んな男子であると聞き及んでいるからな。)

 

(正確には俺の分霊の、だけどな。それを言うなら初代のグレモリー、確か名前はレヴェナだったか?あれも相当お転婆だったと思うが。)

 

(これは随分と懐かしい名前が出たものだ。死んだアイツとかなり懇意にしていたようだったが……おや、いつの間にか話し込んでしまったな。)

 

(ああ、あまりこの場に長いするのも良くないだろう。)

 

二人は立ち上がると会計を済ませ、店の外へと出る。

 

「では、私はお先に失礼するよ。奥方らによろしく。」

(ではな、バアル・ハダド(カナンの神王)。)

 

「ああ、またいつか、な。」

(息災でな、ルシフェル(暁の子)よ。)

 

 

簡素な挨拶を交わした後、二人は別れる。

夜の闇が深まる中、緋色と白金の姿は闇に溶けるように消えていった。

 

 

 

 

 




ああ、遂に今日で休みが終わってしまいます。
明日からまた学校です、はい。
長期休暇でさえこんな更新ペースなのに新学期始まったらどうなるんだ?と思わずにはいられない駄作者です。

次話は途中まで出来上がっている状態なので恐らくもう少し早目に仕上がると思います。

こんな駄作と駄作者ですがこれからもどうか宜しくお願い致します。
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