後ろから女の娘に声をかけられたことがあるだろうか?
前世では、後ろでヒソヒソ話ぐらいの体験しかない。
こんな俺に、そんなことは無いと思っていた。
無いと思っていた。だがしかし、「現実は小説より奇なり」と、言うが実際そうだ。
まさか、声をかけられるとは。だが、いかんせん。声をかけてきた相手は、転生者と言っていた。
これは、非常に不味い。どれぐらい不味いかと言うと、好きな人に「好きです」と自分では言えているけど、全く言えてず。しかも、キョドリ気味で不気味がられて、後でネタにされて学校中の笑い話になるぐらい不味い。それぐらい不味い。どうしよう……
公園で声をかけられて、振り向いたら幼女がいた。
簡単に説明すると早いけど、今この状況は不味い。
しかも、返事がないから、どうしたの?って感じで、幼女が首を傾げていて可愛いけど。
可愛いけども。今は、その可愛さに浸っている場合じゃない。
何か、何か答えなければ
「考えてるこ所悪いんだけどさ。僕の質問に答えてくれないかな?」
答えられて……ん? この娘、女の娘だよな?
まさか、男の娘ってやつですかね。いやいや、それはないか。
だがしかし、もし女の娘だったら失礼に値するな。こうゆう時は、証明すればいい。
“男の娘=女の娘”を証明すれば。
「あのさ、僕の声聞こえてる?」
おや、不機嫌になってしまった。そりゃそうか、無視してしまったのだから。
ここは、早く答えなければ。慎重にハキハキと。そして、
「ごめん、ごめん。ちょっと、考え事に夢中になりすぎたね」
「こちらこそ、考え中にごめんね。でね、転生者かどうか教えて欲しいだけど」
まじか、すぐに質問し直してくるとは、侮れん。嘘はよくないよな。
「あぁ、そうだよ。転生者であってるよ」
「……やっぱりか」
何ですか。小声でやっぱりか、って何ですか。
なんか不吉な予感しかしないのは気のせい? てか、気のせいであって欲しいんだけど。
こうゆう時は、親密度を上げるべきか? そうしたら、生存率は上がる、はず。
どこぞの、妹兼王女様も「生存戦略」って言ってるしね。
てか、今度はむこうが考え中になっている。こんどは
「あのさ、僕の名前は翔太、佐々木翔太。よろしく」
「あ、うん」
お、反応した。俺とは違うらしい。スペックの差を思い知らされた気がする。
だがしかし、俺は止まらない。
「君の名前を教えてくれるかな? 君と。
「えっと・・・立花陽菜です」
「そう言えば、転生者って言ってたけど、君もそうなの?」
「うん、そうだよ。僕は転生者だよ」
まじかよ。てことは、他にもいる可能性が出てきたな。
「貴方は、どこかの組織に入ってますか? 入ってないなら、私たちの組織に入りませんか?」
おいおい、組織ってどうゆうこと。まさか、他にも転生者は大勢居るってことか?
そこはおいといて、組織に入るのはどうしようか? 組織に入れば、動きが制限される可能性があるが、困ったときは組織に頼れるのは有難いな。これから先、殺すことが好きな転生者が現れる可能性もあるからな。そうなったら俺は、そいつ相手に手こずる可能性があるし、何より複数で襲われたら、さすがに勝てないしな。ここはさっきの事もあるし、即決で決めるか。
「あぁ、願ってもないことだよ。よろしくね、陽菜」
「はい、こちらこそ宜しくお願いします」
なっ、なんて笑顔。なんて純粋無垢な笑顔なんだ。
て、ん? 突然魔力が地面に流れたと思ったら、男の娘の下に魔法陣が出てきた。
どうした? なんか、数字を言ってるし……転移魔法か?
「こちらに、来てください」
しかし、綺麗だな。魔方陣から溢れ出す魔力。その奔流の中、右手を差し出す陽菜。
まさしく、ファンタジーに出てくるお姫様みたいだった。
そして、俺がここに来て初めて話した転生者との出会いだった。
こんなのが出会いとは、他の転生者にもなんか期待しちまうじゃないか。
「転移」