何歳なのか、そもそもどうしてヒーローになりたいのか。ヒロアカの世界ではヒーローになるってそこまで複雑でも特別な事でもないんですよね。ヒーローが職業として在る時点で、ヒーローというだけで持て囃され、人気商売として確立しているその世界。それに憧れるのはただ誰かを助けたいから、悪を倒したいから、そんな理由じゃなくても良いんです。ただ憧れただけで、それを目指せる環境。恵まれてますよね。
けど、ヒーローになるのって、誰かのヒーローになるのってとてつもない奇跡の様にも思えます。原作でデクくんがヒーローになれたのだって、洸太くんの時。あれに似た輝きを、幾人ものヒーローが経験するんです。誰かの前で輝くんじゃない。誰かの瞳に、たった一人だけでもいい。誰かが輝いたその光を見てくれた時からあの世界ではヒーローになれるんです。
ちなみに私が初めて聖杯捧げたのメルトなんです。メルトリリスなんです。CCCコラボで飛び立った彼女の姿に、きっと私は恋をした。あの光を、輝きを私はきっと忘れない。
まだ見ぬアルブレヒト
溺れるというのは好きだった。けれど特定の誰かに溺れるなんてあり得る筈がない。少なくともメルトにとっては馬鹿らしいの一言に尽きるような事だったのだ。特に恋だなんて、そんなものに溺れる者は何て愚かな事なのだろうと、ずっとずっと思っていたのだ。
だから、一度助けられただけの、本名すらしらない。もう会う事なんてきっとないだろうに、望み薄が過ぎる相手をずっと想い慕い、その記憶を思い返すだけで蕩けるだなんて、ふわふわとした、曖昧で夢を見ているようにその人について語る妹に愚かな子ね、いつものように呆れていた筈なのに、どうしてだか、今回はその恋心が羨ましかった。他者との関わりがとことん苦手なリップでは今までと同じように一方的なものに終わるだろう事は想像に容易く、それでもそれだけで終わらなければ良いとも思う。
あんなに大きくて凶暴で、繊細さの欠片もない両腕も、鋭く尖った、誰かと触れ合う事すら想定していないようなメルトの足すらも状態も正しく認識できていなかった。精神障害すら疑ってかからなければいけなかった筈の妹が、こんなにもただ純粋に恋をしている。自分に初めて本当の腕を、真実を突き付けてくれた相手。たったそれだけで恋に落ちるだなんて、溺れてしまうだなんて――なんて、羨ましいのだろうか。
こいが、したい。
誰かと、運命のような恋を。
あの子のように、ただ思い、ただ出会いたいの。
あの子が恋をした人みたいに、私だけの王子様を見つけたいの。
リップの事は、多分もう心配いらないだろう。あの子はきっと、頑張れる。怠け癖は治らないかもしれないけど、ちゃんと自分と向き合えて生きていける。
でも、少しは距離を置かなくてはいけない。自分が姉の腕を壊してしまったと泣いているリップの為に、どこか遠くで腕なんて使えなくても気にされず、思わず愛したくなってしまうような、そんな人と出会う為にも。メルトリリスは日本を離れる事を決めたのだ。
ムーンキャンサーBBの娘という色眼鏡は海外に行っても、いや、平和の象徴という圧倒的な存在がいないからこそついて回った。BBの娘だからといって特別扱いをされたくはない。手が不自由だからといって不必要な気遣いはいらない。――他人は、いらない。それらの感情は小さいものだったけれど確かにメルトの心に降り積もっていた。妹のように特別な恋をしてみたいと願っていた先で思うような感情ではないのかもしれない。けれどメルトもリップに負けず劣らず他人と関わるのが苦手なのだ。
海外のヒーロー科を目指し、プリマドンナとしても輝きたい。蕩けるような、恋もしたい。あれもこれも欲しいだなんて贅沢で我がままだとはメルト自身も理解しているのだ。けれどそれら全て、どれを諦めてもなりたいものにはなれないと理解しているから。他人への干渉が苦手でも、誰かに関わりたい。関わりたいと思えるだけの誰かを求める気持ちは失ってはいないのだ。
例えそれが妹が恋をする姿に抱いた羨望だったとしても、美しく輝くという自身の目標の為に恋というただ美しく甘やかな夢を知らないだなんていう事が許せないのだ。だからこそ、BBの娘というだけで近付いてくる輩も、それに対し反発してくる輩も、メルトが求める美しさに到底到達しえないのだから、来る場所を間違えたか、自分の運命の相手は余程、そう。余程誰かを見るという余裕すらないような相手なのか。
造形美というものをメルトは殊更好んでいるし、小さいものは普段とは考えられないような偏り方で愛でてみたりもする。妹が、リップが恋をした相手も少し小汚い気はしたが造形そのものは整っていて、磨けば光るし、何よりリップを見てくれた。たったそれだけで好みとか見た目だけの美しさなんて恋の前では無力だと語っているのだ。
リップがあのプロヒーローに恋をしていたとしても、相手もそう思っているとは限らない。それは何度も何度も口酸っぱく、姉妹揃って母に言われ続けていた。メルトもリップも自分たちが少し偏り過ぎている事は理解している。だからどれだけ素敵な恋に出会ったとしても、どれだけ運命だと思ったとしても相手にとって自分は運命ではない可能性はいくらだって考えられるのだ。
少し前のメルトならそんな事考えもしなかった。それが何?と鼻で笑う程度には誰を好きになったとしても相手から向けられるものにそれ程価値を感じてはいなかったのだから。
自分が好きなら相手の意思なんてどうでも良くて、相手に気持ちを伝える事なんて無意味だと思っていた。けれどそれはヒーローが持つべき感情ではないと、それは怪物の感情だといつになく真剣に告げてくる母の言葉がどうしても忘れられなかったのだ。
こいが、したかった。
誰かと恋を、したい。
誰でもいい訳でもなく自分にとって運命と言えるような、そんな相手と恋がしたい。そんな自分の感情を見透かしたようにそれでもいいなら、せめて自分が怪物だと言う自覚は持ちなさいとハッキリと言われてしまった。
だから、尊敬出来ると自分でも分かるような相手には積極的に教えを乞うた。ヒーローとしてもプリマドンナとしても自分は輝きたい。慢心などしてやるものか。いくら吸収という個性があっても、下地がなければ出来ない事なんていくらだってある。
ストイックに、美しく。可憐に、無慈悲に。容赦なんて言葉は邪魔なだけ。
せめて、せめて恋が出来ないのなら怪物らしく圧倒的な美しさが欲しくて、そんな自分が求めるものと真逆の、尊敬出来る人を見つけてしまった。
「貴方がメルトリリスちゃん?かわいいわぁー、うんうん。ごうかくー。今日からうちの事務所のヒーローとして歓迎するわ!」
虚ろな月のような瞳を持つ女神がいた。ふわふわと地に足を着けず、際どい衣装でどんなになってない構えをしようが百発百中の神がかった弓の腕を持ち、誰よりメルトが求める美しさを持っていて、それなのに全く理解できない行動をとる、アルテミスというヒーロー。
アルテミスを見つけたメルトは持ち前の素早さを活かし彼女の事務所へのアポイントを取ってすぐさま面接に行ったのだ。海外と日本ではヒーローに関する法律が違う。国によって一律ではないが飛び級も分野によってヒーロー資格も日常での個性の使用許可証もまだ未成年のメルトには多少他より制限が付いても能力さえあれば簡単に取れる。
メルトが異形型で手が不自由というのもあって日常生活の為の許可も思ったよりも簡単に降りた訳だが、それは日本でも多少面倒ではあるが同じ事は簡単に出来る。個性の影響で人の多様性が進み、そもそも個性を使わなければ日常生活が成り立たない者の為の許可証。個性とて身体能力。何かに秀でていれば何かを欠く事は当たり前で、秀で過ぎていれば他の何もかもが生活のバランスを欠く。
例えば異形型で水中で暮らせる程度にエラ呼吸が発達しており、地上でも行動は出来るが水中での生活を基本としているヒーローがいる。水難救助では他に髄をなさない迅速さで他の誰が救助に向かうより彼に向って貰るのなら彼に頼むという認識を誰もが持っていた。
地上では大きく弱体化してしまう彼の為にヒーロー科のある学校が彼と合う教師をほぼマンツーマンの形でヒーローとしても、学校で教えられる基本的な授業を行ってくれた。そういう手厚いケアがこのギリシャの名物エーゲ海を人から、人から海を守るヒーローを産んだのだ。
メルトはあの純粋に美しいと思えるエーゲ海を、演劇の始まりと言えるこの国を、街を守ってくれた。それだけでメルトはあの人魚姫の様にただの献身で彼は全てを守っているのではないか、そんな事をしていたら、きっと、いつか本当に泡になって消えてしまうのではないかと不安になったのだ。
「大丈夫だって、お嬢ちゃん。コイツ人魚もどきの魚もどき。海で生きてる方が楽なんだって。そう簡単に消えたりしないし、海に溶けても泡になって消えたりなんてしないから安心しな」
不思議なぬいぐるみが声をかけてきた。腰布と申し訳程度の棍棒があるからまだ人類だと、そういう個性を持った人間なのだと理解できたが、なんだかとっても馴れ馴れしいのだ。
「あー、ダーリンいたー!!」
天真爛漫というか、無邪気が過ぎて時に恐ろしいとも思えるアルテミスがそのぬいぐるみに勢いよく抱き着き、その豊満な胸に抱きしめ沈めさせているのを見てしまいなんだか居た堪れないものがあるが、アルテミスの後ろで待機しているアルテミスのサイドキック、メルトにとっての先輩にあたる二人の女性ヒーローはそっと諦めろ、という表情でこちらを見てきた。
「ダーリン、まさか私たちの事務所に入ってくれた新人ちゃんにちょっかい出したりとか……」
「しーてーまーせーん!いたた、おま、綿が出るだろうがッ!中身出ちゃうっ」
乱暴にしないでっ!と叫ぶぬいぐるみ。水気を含んだ雑巾を引き絞るかの如く容赦のないアルテミス。そもそも中身は綿で良いのか。綿の前に腹という字が付いていない、普通にただの綿なのだろうか。少しの好奇心と嗜虐心を煽られながらも獣耳としっぽの生えた、これまた弓の使い手であるアタランテにあれはアルテミス様の伴侶、オリオンだ。と語られ、諸事情により真名を明かせぬアマゾネスCEOからは戦闘時のバーサーク状態とはかけ離れたインテリジェンス溢れる眼鏡姿にろくろを回す例のジェスチャーでオリオンには海上を歩く個性があり、弓の腕前もアルテミスに勝る程の優れた狩人であると教えられた。
つまりはあの不思議なぬいぐるみはメルトを元気づけようとしていたのだろう。アルテミスの癇癪を綿が出ると騒ぎながらも受け止め、それを周りから心配もされず、先程までメルトが遠目で眺めていた例のエラ呼吸のヒーローもまたやってる。と笑いながら彼らを見守っていた。
恋をしたいという気持ちは変わらない。けれど、どういう人と恋がしたいのか。そんな事ばかりに囚われていたようにも思える。自分が恋をする相手なのだ。特別でない訳がない。少なくとも、メルトリリスという個人にとっては何より特別な相手であるだろう。だから、きっとこのよく分からない気持ちは――どう、恋をしたいか。
ここは居心地がいい。この場所で、アルテミスのサイドキックとしてヒーロー活動をするのは嫌ではないし、少し誇らしい。だから、多分こんな風にこんな時間を過ごせる誰かと恋がしたくなったのだ。
ああ、まだ見ぬアルブレヒト。私だけの、アルブレヒト――。
例え手を繋ぐ事が叶わずとも、既に
アルテミス ギリシャでヒーローしてます。恋人であるオリオンとはまだ籍は入れてない。意味の分からない体勢で百発百中。個性は謎だけど常に物理的に地に足が付いていない。天真爛漫、無邪気。人とは明らかに何かが違うそれを理解して尚彼女を特別に愛しているオリオンは明らかに凄いと思う。――そのヒーローはスイーツだった。
アタランテ 赤子の頃アルテミスに救われサイドキックとして独立するつもりはなく働いているが、そのスイーツ具合に自分の中の憧れやら感謝やら一旦崩されて再構成された。泣いていいよ。全ての子供が愛される世界が欲しい。ヴィラン二世とか子供がヴィランになった場合彼女に任せると良い。目下の悩みは自分を姐さんと呼ぶ男を見ると同僚が我を忘れてバーサークする事。
アマゾネスCEO 諸事情により真名を伏せている彼女は自分が美しい事を知っている。けれど美しい事と戦士の矜持は別である。鉄球を振り回し強く気高い咆哮で敵を潰して爆ぜる。どこかの才能マンとは波長的な意味で合いそうな感じ。コスチュームのセンスも、どうしても目障り(無視できない)相手がいる所なんて、ほらそっくり。どうでもいい事だがアマゾネスドットコムのCEOを副業としておりヒーローコスチュームでない時はやたらインテリジェンスに溢れる眼鏡姿にろくろをよく回すジェスチャーをするステレオタイプの意識高い経営者でもある。どこでもいつでも誰も場所を知らない敵のアジトにだって荷物を即配達。――そう、アマゾネスならね。
オリオン どう見てもクマのぬいぐるみ。人型ではイケメンらしいが誰もその姿は見事がなく、明らかに戦闘に向いてなさそうな姿なのに綿が出そうな程に捩じられても脳天に弓矢が直撃しても生きているので防御面では優れているのだろう。水面を歩けるだけの個性に不満はあるようだが、神がかってるの言葉以外例えようがないアルテミスの弓の腕前を上回る程の狩人。多分弓矢の扱いはギリシャ随一。
エラ呼吸の個性の彼 多分ギリシャ神話系列で似たような感じの神を見た気がするけど眠かったから元ネタが思い出せない人。普通にヒロアカ世界では日常生活に支障が出るのなら個性を大っぴらに使っても問題ないようになってるでしょう。っていうかなってなかったら異形系とか特に困るからね。オリオンと一緒に出動する事が多いが、どこの事務所にも属してない人。まあ、ギリシャ最大ヒーロー事務所アルゴノーツの船が見えたら逃げてる。オリオンを介して会うならともかく、単身で会ってギリシャ男の匂いを濃くしたらCEOに潰される。
もうすぐクリスマス復刻来ますけど、皆さん三代目は誰だと思います?私は今回のハロウィンみたいにどっちか選んでね。みたいにエミヤオルタリリィとクー・フーリンオルタリリィ出されたら耐えきれない。あえての二代目トナカイorトナカイの相棒募集とかでも楽しそうですよね。
ヒロアカの方は、相澤先生が……ああ、いえ。やめておきましょう。単行本派なので本誌の動きはあまり分かりませんし。そうですね。CCC今やってるんですけど、序盤も序盤、BBちゃんからSG貰ったばっかりなんですけど、エリちゃんあれ、私も庇えない。ハロウィンで毎年あそこまでされるだけの事はしでかしてますね。ハロウィンも本人がやらかしてますけど。実際問題カーミラさんしかダメージいってないですね。可哀そう。
CCC楽しい。