あ、ちなみにこの(R2)っていうのは話数では無いです。
魔法
その単語を聞くと俺の頭はズキズキ痛む。
頭というよりは心が痛い、若き頃の青苦い思い出というヤツだ。
魔法だけにとどまらず、マンガやアニメ、ゲーム、ラノベなどに出てくる不思議な力に憧れを抱き、自分にもそうしたものがあるのかのように振る舞う。
いや、もう本当思い出しただけで赤面モノ。
何故、そんなことをするのか。
カッコイイからだ。
まぁ、中学2年生くらいなら誰もがそれに近い妄想を一度はしたことがあると思う。『カウントダウンTVをご覧の皆様、こんばんは。えーっと今回の新曲はズバリ愛をテーマに僕が詩を書いて、』みたいなことを鏡の前で練習したこと、あるだろ?
しかも、人間、嫌なことほどよく覚えているもので、今でも夜中に思い出すたび、布団ひっかぶって「うわあああー!!」ってしたくなる。
そんな魔法な単語『魔法』
実際そんな物は空想でそれこそ先程述べたようにアニメやマンガの中だけのモノで良かったのだが、現実は違う。
正確な年数までは覚えていないが、20世紀末頃から人類の滅亡だの、核兵器テロだのが頻発し、それを阻止するために『超能力』的なソレを使う警察官が現れたり、その能力を研究する機関が現れたりと『魔法』が非現実的なモノから現実的なモノへと切り替わってしまっていた。
その過程で東西の有力国家が『魔法』の研究を進めていき、ついに魔法は一般的な共有・普及可能な技術となった。
…まあ、要するに今までは特殊な人間にしか使えなかった超能力的なソレを一般ピーポーが使えるようにしたのだ…それが魔法。
勿論、勉強やスポーツ、芸術のように先天的な才能は必要だ。素養ともいう。
だが、才能を必要としているのは何も魔法のみではないし、先程上げたように芸術やスポーツ、知性なんかも同じこと。
こうして超能力者は魔法によって技術体系化され、『超能力者』は『
核兵器すらねじ伏せる強力な魔法技能師は、国家にとって兵器であり、力そのものだ。
21世紀末を迎えても未だ統一される気配すら見せぬ世界の各国は、魔法技能師の育成を競いあっているらしい。
さて、では今度はその魔法技能師の育成機関の一例を挙げてみよう。
国立魔法大学付属第一高校
毎年、国立魔法大学へ最も多くの卒業生を送り込んでいる高等魔法教育機関として知られている学校がある。
つまり、優秀な魔法師を最も多く排出しているエリート校ということでもあるのだ。
魔法教育に教育の均等などない。
非常にシビアな魔法界現在において、徹底した才能主義。残酷なまでの実力主義を貫いており、入学を許された時点でもはやエリート、その中でも優等生と劣等生に分けられている。
同じ新入生でも平等ではない。
例え、魔法実技試験以外の全てにおいて天と地ほどの差がある相手だったとしても。
・
・
・
「…何でいるの?」
「?何でも何も今年からこの魔法科学校に通うからだが…??」
第一高校の入学式の日、だが、まだ開会2時間半前の早朝。
新生活とそれらがもたらす未来予想図に胸を躍らせる新入生も、彼ら以上に舞い上がっている父兄の姿も、ちらほら見受けられる。
その入学式の会場となる講堂付近のベンチに真新しい制服に身を包んだ2人組の男子生徒がいる。
片方は心底うんざりそうに、そっぽを向いていて、もう片方は何処かの自販機ででも買ったのか缶コーヒーを片手に話していた。
同じ新入生、だがその制服には微妙に、しかし明確に異なる。
片方の男子生徒の胸には八枚の花弁をデザインした第一高校のエンブレム。
もう片方の男子のブレザーには、それが無かった。
「…いや、そんなことは知ってるんだけどな?そうじゃなくて、何故、こんなに早くにいるのかって聞いたつもりだったんだけど…」
片方の男子がうんざりとした、それでいてどろっと濁った目でもう片方の男子を睨みながらボソボソと口を開く。
しかし、もう片方の男子はそんな視線を飄々と流しケロッとしていた。
「ん?何か言ったか?」
「…いや、だから何でお前が今ここにいるのかって…」
この距離で、この声のトーンで、聞こえていないはずがない。
飄々としたこの男、司波達也は、はぁーっとでかくて長いため息を吐く。
そんなに嫌ならここに来なければいいのに、というかそんなロングブレス吐いていると、痩せ型の司波がさらに痩せちゃう…などと心配していると、司波は手元にある缶コーヒーに口をつける。
「…別に大した理由はない、ただ深雪の答辞があるからな」
「…ああ、そういう」
こいつの言う深雪こと司波深雪はこの司波達也の実の妹で、千葉の兄弟がびっくりするほどのブラコン。俺もお兄ちゃん歴は長い方だと思っていたがこいつらは危ない。(主に関わったら自分が)
俺のあまり関わりたくないリストNo.2に該当する人物だ。
勿論No.1は隣でしれぇ…と座っているこいつ。
何しろこの司波兄妹に関わるとロクなことがない、いや、本当にない。
ここは逃げるが勝ち、三十六計なんとやらと言う奴である。
「そうか、まあなら兄妹水入らずな所邪魔しちゃ悪いんでこれで…」
「まあまて、学校施設を利用出来るIDは入学式後まで配られないし、来訪者の為のオープンカフェも今日は営業していない。俺もどう時間を潰すか考えていたところだ、どうせ暇だろう、少し付き合え」
席を立とうとすると肩をガシッと掴まれてしまった…というか俺が暇なこと前提かよ。暇じゃなければどうしてくれるんだ!!暇だけど。
この兄妹に捕まらないためとはいえ、2時間半も早く家を出てしまったのが運のつきである。
とはいえ、ぼっち歴数十年の俺を舐めてもらっては困る。
俺クラスともなると携帯1つあれば時間なんて余裕で潰せるし、なんなら徒手空拳でも時間を浪費出来る。
中学時代よく授業中とか指遊びでカエルとかやって1人口パクでけーろけーろとかやってたし、こんなこと絶対人には言えないけど。
「いや…別に時間潰しには困ってねぇし…」
そんなことを考えながらやんわり断ろうとすると、講堂の中から在校生らしき人がこちらに声をかけてきた。
『おーい、そこのキミ一科の学生かい?もしよければ入学式の会場準備手伝ってくれないか?』
辺りを見渡すとぽつぽつと、校舎から出てきて、中庭を横切る左胸にエンブレムがある在校生達が。
式の運営にでも駆り出されているのだろうか。
その中の1人に呼ばれていた。
「ふむ…ならば仕方ない、俺は読書でもして式の開始まで時間を潰しているから、お前は行ってこい」
「…あん?お前が行けよ、時間潰しに困ってたんだろ?」
コイツ…俺を生贄に自分が楽する気だな、許せない!!俺がする!!
すると司波は自身の胸をトントンと2回程叩く。
「呼ばれたの一科生だ、俺には関係ない」
それだけ言うと自分の持っている端末を開き、書籍サイトにアクセスを始めた。
この野郎…軽く論破の1つでもしてやろうかと思ったが、グッと堪え、小さくため息をついて講堂の方へ足を向ける。
確かに司波の言う通り呼ばれたのは一科生で、この場合の一科生は俺だろう。
二科生たる司波は関係がない。
この一科生と二科生という分け方にも悪意を感じるが、呼び方には悪意しかない。
緑色のブレザーの左胸に八枚の花弁を持つ生徒、つまり一科生は『ブルーム』と呼ばれ、持たない二科生は雑草、『ウィード』と呼ばれる。
この学校の定員は一学年200名。
その内100名が一科、もう半分が二科の生徒で入学する。
国立魔法大学の付属教育機関たる第一高校も、魔法技能師の為の国策機関だ。
国から予算を与えられる代わりに、一定の成果を義務づけられている。
まあ、簡単な話ノルマがあるのだ。
その分減りつつとは言え事故も起こるし、しわ寄せも二科生に行く。
知識や経験のノウハウの蓄積によって、死亡事故や身体に障害が残るような事故はほとんど根絶されたらしいが、心理的要因で使えなくなってしまう生徒もいるらしい。
その穴埋めが『二科生』という認識で、彼らは学校に在籍し、授業に参加し、施設・資料の使用をすることができるが、主な魔法実技の個別指導を受ける権利が無い。
独力で学び、自力で結果を出す。
それが出来なければ、普通科高校卒業資格しか得られない。
魔法科高校の卒業資格は与えられず、魔法科大学には進学出来ないというハンデを与えられている、らしい。
そこを皮肉られると此方としても反論しづらい。
まあ、それを分かって言ったのだろうが…
・
・
・
…人は何故働くのか。
そう問われたなら、多くの人はこう答えるだろう。
金、やりがい、自由だと。
完璧な答え、エクセレント、最高、素晴らしい、ブラボー、ハラショー。
全くもってその通り。この世界においてそれ以上の回答はそうあるまい。
では、今度は違う質問をしよう。
…人は何故働くのか。
すると、殆どの者は少し首を捻りながら、あるいは質問を再度聞き直して、結果、また同じ答えを出すはずだ。
グット。プレサイスリー。グレイトですよこいつは。最高にクールで優れた模範的な回答と言える。真面目な人間、お兄さんは好きだなぁ…。であればこそ、最後にもう一度。
今度は別のクエスチョンを投げかけてみるとする。
…人は何故働くのか。
聞かれて、また同じ答えを口にする者は、どれくらいいるだろうか。三度繰り返されたその問いに、寸分違わず回答出来る者がどれほど存在するだろう。馬鹿馬鹿しいと怒り出すものはや何か意図があるのではと勘繰る者、呆れて無視する者だっているだろう。仮に、先ほどの答えを口にしたとして、全く同じトーン、同じ意図で言える者は少ないのではないか。
『…人は何故働くのか』と、一言一句変わらない言葉であっても、何度も繰り返されれば、それを受け取る者は勝手に解釈を始める。
どれだけ機械的に無機質的に言ったとしても、その文字面の意味はそのままではいられない。
三度四度と繰り返せば、その言葉の意味は変質していく。
だから、きっと問われた者は考えた末に違う答えを出すだろう。
学生時代、あるいは在学中のテストの時などで経験は無いだろうか?記号を塗りつぶしていく時に同じ記号が連続して塗られていくと不安になったりしない?しないか。
要するに、自分だけの解釈を口にし、どれだけその質問について語ったところで、いづれも正解であり、正しいのだ。
けれど、誰も根本には気がついていない。
『…人は何故働くのか』
そんな質問に俺なら違う答えを出す。
それは…仕事を押し付けてくる奴がいるからだ。
そう、仮に定時で自身が片付けるべき全ての仕事を終えてもサービス残業という新たな仕事が湧いてくる、勿論それを押し付けてくる存在がいることによって本来自分の範囲を大幅に上回る量の仕事が増えること増えること…。
…本当、何で人は働いているんでしょうねぇ…
『そこの1年!!この機材向こうの教室に運んでおいて!!』
あれから馬車馬のようにこき使われていた俺の腕にさらに重そうな機材が加わる。
壁に掛けてある時計をみると入学式開始まで後30分と言ったところだろうか。
そこでようやく現実逃避気味になっていた思考が現実に戻される。
ふぇぇ…ここ働かせすぎたよぉ…初日からこんな働かせるとか、どこぞのゲームクリエイト会社もビックリだよ。…流石にぞいぞい出来ない。
「ふふ、八幡、頑張っているわね」
機材の運搬を終え、ようやく一仕事終わったかと教室を出たところで声をかけられた。
まず目に付いたのは制服のスカート。それに加えて流れるような黒髪がさらっと空を舞う。
そしてその人間離れした美貌が嫌という程存在感を放っている。
「…うへぇ」
ちょっと嫌そうな声が出てしまった。しかし、それも致し方あるまい。相手が相手である。
そんな俺の心情など露程も伝わらなかったのか
その人物は此方にやって来た。
「さっきから見ていたけど、あなたがこういう行事の準備を手伝っているなんて、驚いたわ」
「…見てたのかよ」
なんなの、俺のファンなのかよ…。俺を見ている暇があるなら答辞の練習でもしてろよ…
「…ま、成り行き上な」
「まぁ、それはそうでしょうね、貴方が積極的に入学式の準備の手伝いなんて想像もつかないもの」
クスクスと目の前の少女が軽く笑みを浮かべる。
その光景はとても絵になっており、周りの時間が止まってしまったかのように、ある種神々しさが出ているようだった。
「それで?何か用か、司波妹」
「いえ?別段用があったワケでは無いのだけれど、八幡が働いているなんて珍しいモノを見たからつい…」
おい、その本気で意外そうなモノを見る目やめろ。すっごい恥ずかしいから、今までの人生改めてまっとうに生きようとか改心しちゃいそうになるから。
そんな事を考えていると時刻は既に開会10分前、そろそろ持ち場についた方がいい頃合いになっていた。
「それじゃあ、俺こっちだから…まあ、その何?答辞なんだろ、そろそろおまえも行った方がいいんじゃねえの?」
「本当、もうこんな時間…それじゃあ八幡、また後で」
俺の言葉に同意したのか、司波妹は軽く会釈すると反対の方向へ向かって歩いて行く。
後で…か、出来ればあんまり関わりたくないんだけど、そうもいかないんだよなぁ…。
小さく出た溜息にそんな感情を乗せ、俺もゆっくりと会場の方向に足を向けた。
お付き合い頂き有難うございました!!
初めて読んでくれた方!こんな拙い文章でもここまでお付き合い頂き有難うございました。
以前別の何処かで読んでくれた方!お久しぶりです。
え?覚えてない?というかそもそも知らない??
SO!!以前はとある投稿サイトで一時期書いていたクソ駄作者ことラ●●ー●●じゃ。
…え、本当知らない??引っ込めクソ作者??…是非も無いネ!!
茶番はともかく、もし、少しでもここで需要があるとおっしゃってくれる方がいらっしゃれば、もう暫く書かせて貰いたいなと思っています。
え?何で元の場所で書き始めないでここで1話から書き始めた理由?…そりゃ、最新話の