テンプレ転生者の定まらない日常   作:はくぁ

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待たせた・・・のかなぁ・・・(激不安



3話 コンビニは8月の半ばぐらいからおでんを売り始めるけど、流石に時期尚早だと思う

住宅街を抜け、少しすると僕が通う公立高校が見えてくる。校門前から、グラウンドを囲うように咲いた桜は、少し時期を過ぎてしまって淡い桃色のような花弁を散らして、まばらに緑色が見えてしまっている。その名残である、散った花弁がチラホラと僕の歩いている道路にも見受けられる。

 

こうしている今も、桜はその残り少なくなった桃色の花花弁を風に舞わせている。桜は春という季節の始まりを告げ、散っていく。その様は、儚く幻想的・・・なんてありふれた台詞で言い表してみるが、僕としてはどことなくしっくり来ない。

 

確かに、桜の散りゆく様は、なんだか寂しい気持ちになるが、儚いとは思わないし、幻想的とも思わない。精々綺麗だなとか、もう散ったんだな、とかしか思わない。普通はその程度の認識でしかないモノを、誇張気味に語っても、虚しいだけだ。

 

それに、桜は誰に言われるでもなく次の年も、その次の年もこうしてこの季節が来ると桃色の花を無数に咲かせて、僕達に春の始まりを告げてくれる。だから僕は寂しいと思わない。なまじ見えすぎる目を持っている僕は尚更そう思えた。

 

・・・さて、そろそろ僕がなんでこんなどうでも良い桜談義に一人で花を咲かせていたのか?その理由は、この馬鹿げた現実から少しでも気を逸らそうとしての精一杯の努力・・・と言うと良く聞こえないこともないが、要は今日何度目かの現実逃避だ。

 

「私、参上ッ!ですわーーー!」

 

・・・馬鹿げた現実、と言うより、馬鹿なヤツからの逃避だが。

 

ーーー

 

新学期。それは、始まりの季節。新学期。それは、期待と不安が入り交じる新しい生活への第一歩・・・と言うのが、新入生や正常に高校生活を謳歌している者のみが至ることの出来る思考だ。では僕はどうなのか?と言う話だが、転生前は普通にアラサー手前だった僕が、そんな期待や不安なんて感情(モノ)があるわけもなく、淡々と過ごしていた・・・わけでもない。

 

では、自由気ままに高校生活を謳歌していたのかと言われると、それもNOだ。じゃあどうしていたのか?それは・・・

 

「零くん!零くん!おはよーございますですわ!」

 

そう、ブロンドのサイドに付いた二つのドリル(チョココロネ)を揺らして、ブンブンと両手を振って季節外れの向日葵のような満面の笑みを浮かべ、こちらへやってくる女生徒が、僕の高校生活をぶち壊していった張本人であり、僕が現実逃避していた元凶。御城(おじょう) 姫芽(ひめ)。通称おしろちゃん。

 

「テンプレ」通りのお嬢様・・・なのだが、テンションと発想が斜め上にぶっ飛んだ、ヤベー奴である。「ちょっと小腹がすいたのでコンビニ行ってきますわ!」と何故かやたらコンビニを押してくるお嬢様なのだが、別にコンビニをやたら押してくるだけならまぁ「こいつキャラ付け相当苦労してんな」としか思わなかっただろう。

 

だが、なぜだかこいつは、ある一件以来やたら僕に絡んでくるようになったのだ。しかも、いつも間にか御城のお目付け役兼ツッコミ役兼ストッパーという認識が、生徒だけでなく教師にまで浸透しており、僕としては、非常に迷惑しているのだ。

 

「零くん!零くん!聞いてくださいですわ!今日、ロートクでからあげくんさんのいちご練乳味なるものがあって買ってみたのですけど、一緒に食べてみましょう!」

 

いつもこんな調子で、犬猫のように僕のに擦り寄ってくるのだ。・・・と言うかいちご練乳味ってなんだ。どういう発想でその商品を作ったんだと、開発部に小一時間問い詰めたい。

 

「あれでわよね!ゴリガリさんのナポリタン味を彷彿とさせる発想ですわよね!私こう言う見えてる地雷みたいなの結構好きですわよ!」

 

うん僕も好きだけど、食べてみたいかって言われるとそうでもないんだけどな。

 

「わかりますわかります!ですわよねー!」

 

はっはっは。こやつめ。お前にからあげくんさん投げつけんぞ。・・・なんだかんだこの御城(バカ)と一緒にいるのは別に楽しくないわけではないが、時々・・・いや結構な頻度で意味わからん行動を起こす。それがなければ、別に僕だって眉間に皺を寄せて、悩む必要もないのだが。

 

その一端であり、御城との出会うきっかけとなった「KIKW事件」と言うものがある。当時、高校1年の5月序盤の出来事だった。元々、御城は入学してからすぐに「新入生のヤベー奴」としてかなり有名だった頃もあり、僕はその時は「別のクラスだし会うこともないやろ」と高を括って僕は高校生活を過ごしていたある日の事だ。

 

その日は、3限目も中盤に差し掛かって、僕は次の4限のことを考えて少し憂鬱になっていた時だった。授業中、いきなり大きく教室の引き戸が全開まで開いた。そこには御城が居た。そのときの奴の顔はいまだに覚えていている。今と変わらない、季節外れの向日葵のような満面の笑みを浮かべて、こういった。

 

「ちょっとコンビニ行きますけど、付いて来る人いませんか!」

 

と宣言したのだ。そこに居た全ての人間が唖然としていたが、教師だけはなんとか冷静さを取り戻してこういった。

 

「お、御城。ここらへんコンビニないぞ?」

 

全然冷静じゃなかった。

 

「大丈夫ですわ先生!走って行ってきますから!」

 

そう言って御城はサムズアップしていた。・・・何が大丈夫なのか、小一時間ほど問い詰めたくは・・・ないな。と言うか、走っていくのか。仮にもお嬢様なんだったら、もう少しお淑やかにしろよ。

 

「いやいや。落ち着け御城。一番近いコンビニは自転車でも、10分は掛かるぞ?」

 

先生あんたが一番落ち着け。

 

「問題ありませんわ!体力と足の速さには自身がありますの!3限目が終わるまでには帰って来れますから!」

 

問題だらけじゃないか。主に何故コンビニに今行こうと思ったのとか、自分のクラスではなくうちのクラスに報告に来るのかとか。つーかお前も落ち着け。「この指とまれ!ですわ―!」とかしても誰もいかないから。

 

「あー・・・。なら良いか・・・?でも流石に一人でコンビニまでいかせるのはなぁ・・・。」

 

いや良くないだろ。どう考えても良くないだろ。早く正気に戻ってくれ先生。と言うか、誰かを生贄に出そうとするな。今皆一斉に先生と御城から目を逸らしたぞ。・・・おい。こっちみんな。お前らなんでチラッチラこっち見てんだ。行けってか?行けというのか?

 

「じゃあそこの、奇抜な髪の色をした貴方!ついてきてくださるかしら!」

 

嫌です。初対面で外見のことナチュラルにディスっていく人とはうまくやれる気がしないので。後あなたのブロンドも相当奇抜だと思います。断ろうと、振り向いた瞬間、いつの間にか僕の手を握っていた御城が居た。そして、手を引いて僕を無理矢理立たせると、そのまま手を引いて教室から駆けていった。

 

開け放された教室のドアから見えたのは、無言で無駄にいい笑顔をしてサムズアップしていた先生とクラスメイト達。その時僕は、「帰ったら、お前らにコンビニで買ったグミぶつけてやるからな」と思いながら、御城に引きずられていった。

 

これが、高校生活3週間目の悲劇、「KIKW事件」である。因みに、KIKWは「コンビニ(K)行って(I)きます(K)(W)!」の略称だ。死ぬほどどうでもいい。後日談として、ちゃんと3限目が終わるまでには間に合った。あと、グミはちゃんと投げつけた。その後、グミは拾って洗ってから食べた。

 

・・・と言うのが、僕がこの世界で初めて出会った僕以外の転生者(・・・・・・・)御城 姫芽との邂逅のきっかけとなった始まりの茶番(馬鹿騒ぎ)である。

 

ーーー

 

さて、僕が何故こいつ(御城)との出会いを思い出して(回想して)いたのか。それは、今朝の出来事が未だに引っかかっているからなのだろう。あれから少し考えてみたが、結局結論は出ず、奴が何者なのかはわからずじまいであった。まぁ、視えていた未来からして、今日中にはまた会うことになりそうだが。

 

「零くん!零くん!私、休み中にカバディを覚えたんですの!一緒にやりましょう!」

 

・・・まぁ今はこの馬鹿の相手をしていよう。そう、全力で「カバディ」を連呼しながら高速で横ステップを踏んでいる、御城を見て思うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、結局からあげくんさんはどうしましょうか?」

 

・・・一緒に食べようか。

 

「はい!」

 

その日のからあげくんさんは、とても、よく。空を舞った。

 




どうも、はくぁです。
ここまで見ていただいた方はお疲れ様です。
実に4週ぶりぐらいの投稿です。
4週も会ったのにできたのもは適当な上に、3300文字程度という悲しみと絶望。
ま、まぁエタらなかっただけでもマシか(震え声

さて、話は変わりますが、この物語に出てくる企業名や物の名前は適当にもじっただけだったりのものが多いです。それらがわかりずらいかもしれないので、後書きの方で少し解説おば。

・ロートク(元ネタ ローソン ソン()トク()に変えただけ。)

・からあげくんさん(元ネタ からあげくん さんを付け足しただけ。)
 キャッチコピーは「さんをつけろよデコ助野」。

・ゴリガリさん(元ネタ ガリガリ君 初めのガリをゴリに変えて君をさんに変えただけ。)
 パッケージにはガリガリのゴリラ「ゴリガリくん」がプリントされている。ナポリタン味は言わずもがな。

・カバディ (そのまんま。)
 意外と知られていないかもしれないけど、銀魂で山崎がやっていたやつだったり、某TRPGゆっくりリプレイでお茶っ葉を投げていたあれ。インドの国技。「カバディ」を連呼しているのは、攻め側らしい。

・・・とこんなものでしょうか。
随時、こうして作中の用語を(適当に)解説していきますのでご了承ください。
登場キャラクターについても、作中で開示された情報を少しまとめて乗っけようかと考え中ですがどうなるかは未定。

次の投稿はなるべく早くしたいけど、どうなるかは相変わらず未定。
こんなのでもよろしければ、引き続き見ていただけると幸いです。
では、機会があればまた次の話でお会いしましょう。
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