魔銃使いは迷宮を駆ける   作:魔法少女()

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第一一一話

 いつにない喧騒に包まれるオラリオの街並み。

 僅か一刻ほどしか経っていないにも拘わらず、娯楽に飢えた神々が盛大に吹聴した影響もあり、すでにヘスティアファミリアとアポロンファミリアの戦争遊戯(ウォーゲーム)についてはオラリオ中に知れ渡る事となっていた。

 

「神ロキ、もっと早く走れませんか」

「無茶、言うな、や……」

 

 ゼェゼェと荒い息を零しながら必死に足を動かすロキ。ぶっちゃけ超遅い。

 仕方がないといえば仕方がない。あくまで地上で過ごす神は仮初の人と同じ器を使っており、そこにはなんら神の力の一片すらも宿す事は許されていない。ただの人と変わらぬ神の仮初の器でしかない神ロキと、恩恵を受けて敏捷を高めた俺では速度に差が出るのも当然。仕方ないか……。

 

「神ロキ、失礼します」

「うぉっ!? ガチロリにお姫様抱っこやとっ!」

「舌噛むんで黙っててもらえませんかねぇ」

 

 喧騒に満ちた北のメインストリート。

 ベルを待たせている事もあって俺の足は羽根のように軽やかで、面倒臭くなって神ロキを抱えたまま跳躍し、屋根の上へと躍り出た。オラリオ北部、市壁に近い場所に立ち並ぶ尖塔群。何度か足を運んだ事もあって道についてはちゃんと覚えていたが、大通りも裏通りも含め人や神がごった返して走り辛かったのだ。

 屋根から屋根へ、数Mはある距離を余裕で飛び越えて進みロキファミリアの本拠、黄昏の館へ通じる正門が見えてきた。そこには門兵らしき二人の冒険者が槍を交差させて侵入は許さないという雰囲気でベルを睨みつけており、ベルはそんな視線に晒されながらもじっと立っていた。

 

「いい加減にしたらどうだ。何を考えているのか知らないが、今の貴様は此処に居て良い立場ではないだろう」

「主神はどうした。戦争遊戯の準備だってあるだろ。いつまでもそこに立たれていては迷惑だ」

「……すいません。もう少し待たせてください」

 

 険悪な雰囲気漂う中、神ロキを抱えたまま一気に門前へ飛び下りる。

 いくら冒険者とはいえ、神を抱えたまま飛び下りた影響か足が若干痺れる。急ぎ神ロキをおろしてベルに駆け寄った。

 

「ごめん、遅くなった」

「ミリア! やっと……その腕は────!?」

 

 一瞬で気付いたのか驚愕の表情を浮かべて俺の腕を見たのち、目を真っ直ぐ見つめられ────目が合った瞬間にくしゃりと表情を歪めた。驚愕から、罪悪感の交じり合った表情。それを気にすることなくベルの手を掴んで横に退いてもらう。

 

「ベル、腕と目に関しての話はあと。今はもっと大事な事があるわ。神ロキ、お願いします」

「おう」

 

 門兵の二人が訝し気な表情どころか、殺気立っていた。思わずたじろいだ所でロキが二人の前に出た。

 

「ロキ様、そいつらは戦争遊戯に参加する────」

「知っとるで。というかその場面をウチも見とったしな」

「じゃあ彼らに関わるのはよくないと────」

「わかっとる。そのうえでや、フィン達を呼んで集めてくれや。あと一時間後に皆には講堂に集まるよう伝えてな。 最低限の警備はそのままにや。それとこの子らは客人として扱う、いや依頼主か」

「はぁ……えぇっと、え? 彼ら、ヘスティアファミリアですよ!?」

 

 戦争遊戯に参加する派閥。その片割れを招き入れようとする主神の行動に驚きを隠せない様子の門兵。しぶしぶといった感じで二人の内一人が屋敷の方へ駆けていく。残る一人が訝し気に俺とベルを睨む中、ロキは「ええからええから」とヘラヘラ笑いながらも俺とベルを手招きした。

 

「ほら主神じきじきに案内したる。さっさとし」

「え? あぁ……その、はい」

「わかりました。お願いします、神ロキ」

 

 困惑した表情のベルの手を引き、神ロキに続いて門をくぐる。門兵も困惑した表情ながら、主神の行いに溜息をついていた。どこの派閥もそうだが、主神の突発的な行動に困らされるのはどこも一緒なのか。主にガネーシャ様の本拠魔改造的な意味でだが。

 

 

 

 

 

 案内された客室。ベルと並んで座る正面には【勇者(ブレイバー)】フィン・ディムナ。そのすぐそばに立った【九魔姫(ナイン・ヘル)】リヴェリア・リヨス・アールヴ。窓のあたりに立つ【重傑(エレガルム)】ガレス・ランドロック。そしてフィンの横で腕組をしたまま真剣な表情で此方を見据える神ロキ。

 対するは冷や汗だらっだらのベルと、交渉内容を必死にまとめる俺。

 片や世界に名を轟かせるオラリオ二大派閥の片割れたるロキファミリア。

 片やオラリオにて吹けば消える様な極貧派閥、ヘスティアファミリア。

 普通なら歯牙にもかけられない様な派閥だ。フィンの求める小人族のお嫁さんという例外を除けば、ほぼ関わり合いになる事のない派閥。そんな彼らとの間におかれた契約書。その内容を隅々まで嘗め回すように見る。もし契約漏れでもあろうものなら目も当てられない。

 

「では契約内容を纏めよう」

 

 我々ロキファミリアはヘスティアファミリアの戦争遊戯までにおける、身の安全およびに鍛錬を行う。これに当たりロキファミリア本拠、黄昏の館の一部区画の自由行動を許可する。許可されていない区画への侵入もしくは侵入を匂わせる行為を行った場合、即座に拘束する。

 当面の間は生活上必要な物、およびに戦争遊戯に向けて鍛錬する際に発生する武装の破損等についてはロキファミリアが補填を行う。

 他、ヘスティアファミリアが戦争遊戯で勝利出来るよう、アポロンファミリアおよびにその周辺派閥への調査・情報収集を行い、その情報は逐次ミリア・ノースリスに包み隠さずに引き渡す事。

 アポロンファミリアに対し妨害工作や直接的に危害を加える事は行わない。

 ヘスティアファミリア団員、ベル・クラネルおよびミリア・ノースリスのステイタスについては基本、必要最低限以外は開示を求めない。開示したステイタスに関してロキファミリアの一部の幹部のみが取り扱い、他派閥ならびに他眷属に一切明かさない事。

 そのほか、必要な物資・装備等の発注を代理で行う事。

 

 対するヘスティアファミリア側は、ディアンケヒトファミリアの開発中の未完成の『再生薬』を横流しする事。およびに完成後の『完全再生薬』の取引価格を通常の半額とすること。

 

 ロキファミリアが直接アポロンファミリアに手を出す事はしない。というかできない。

 いくら『再生薬』があるとはいえ、オラリオ全土を巻き込んだ抗争に発展しかねない引き金は引けない。つまり最終手段としてロキファミリアに殲滅依頼を出す事は出来ない訳だ。

 ロキファミリアの体裁としては『戦争遊戯を少しでも()()()()()()に弱すぎるヘスティアファミリアの鍛錬を行う』という形に収めるらしい。あくまでも、弱すぎて一瞬で終わる事を懸念し、少しでも娯楽を長続きさせる為に必死に依頼を持ち込んだヘスティアファミリアを鍛えるという事になるわけだ。

 ただし、直接的なアポロンファミリアへの妨害は行わない。それをすると()()()()()という目的から逸脱し、いちゃもんを付けられる原因になりかねない。

 対するアポロンファミリアの反応がどうなるかだが、神ロキは『たかが一週間鍛えた程度で第二級冒険者倒せるぐらい強うなる思うんか?』と周囲に吹聴して回り、警戒度を下げる積りだそうだ。確かに普通の冒険者なら一週間鍛えた程度でどうにかなるとは思えない。

 

 隅々まで眺めた契約書には不備らしい不備は見当たらない。足を掬われる様な状態には至らない、はずだ。

 

「…………これでいいです」

「だったらエンブレムを……っと、ヘスティアファミリアはエンブレムが決まっていないんだったかな。だったら記名で構わないよ」

 

 エンブレム、そういえばまだ決めてなかったか。

 とりあえず、一応団長であるベルの記名、そして副団長として俺の名前をそれぞれ書き記しておく。二枚の契約書にそれぞれの名前と契約内容。どちらも不備が無い事を完璧に確認し、ベルと共にそれぞれに名を記してフィンに手渡す。

 フィンも舐める様に契約内容を確認し、不備の無い事を確認してからようやくその書面にエンブレムを刻んだ。これで契約成立。渡されたヘスティアファミリア側の契約書を受け取り────保管に困った。本拠は今や瓦礫の山、金庫の様なモノも持ち合わせがない。契約書をどうするか考えつつも、丁重に封筒に収めておく。

 

「すいません、契約書の保管に関してなんですけど」

「ん? あぁ、ホームが……そうだね。信頼できるファミリアなんかがあればそちらに預けるのが良いと思う。神ディアンケヒトの所か、確か神ミアハとも親密だと聞くね。彼らに預けるというのはどうだろう」

「……そうですね」

 

 タケミカヅチ様かミアハ様に預かってもらうのが最適だろう。

 ぼんやりと考えつつも契約書を収めて肩の力を抜く。一瞬で意識までもっていかれそうになるが、まだ気絶するには早すぎる。もっと考えるべき事があるし……。

 眉間を押さえ、眩暈を堪える。今まで意識していなかった疲労感を意識した影響か、一気に体が重くなる。もう少しだから待て、これから顔合わせと説明に参加して────あぁ、畜生。

 グラグラと揺れる視界。異変に気付いたらしいリヴェリアが目を見開いて何かを言っている。誰かに肩を支えられるも、視界が一気に暗くなっていく。ぼやける声が遠く遠く離れていき、疲労感がドロの様に纏わりつき、意識が再浮上する事が出来ない。

 誰の言葉かさえわからない。けれど『今は休め』と、うっすらと聞こえた。

 

 

 

 

 

 夏も終わりを迎えようとしているのか日差しの強さは和らぎ、僅かに残る熱気が肌を撫でる。

 デスクに置かれたパソコンおよび周辺機器はそのままに、VR用のヘッドセット等が置かれ、整理整頓は行き届いているのに、どこか雑然とした雰囲気が抜けきらないのは、置かれている物が多すぎるせいだろう。

 懐かしの自室の中、衣装棚から衣類を取り出しては旅行鞄に詰め込み、時折思い出したかのように本棚の本を引き抜いてはぱらぱらと捲る。

 冷房を入れていないせいかじっとりを汗をかきながらも、衣装棚の中身が空っぽになるまで同じ動作を続け、ふと少年が本棚の漫画本を取り出し、呟いた。

 

「あー、アイツに返すの忘れてたな……メッセージ送っとくか」

 

 携帯端末を取り出して操作しながらも、無造作に旅行鞄を入り口横に投げ出し。端末の画面を見ずに部屋を見回して溜息を零す。深々と、重苦しい溜息。表情は暗く、これからこの家を去らねばならぬ事に酷く傷ついている様な、そんな表情を浮かべた少年。

 SNSを通じて友人に返し忘れた漫画を取りに来てくれと伝えたとほぼ同時、友人からのメッセージが飛び込んできたのを見た少年が苦笑を浮かべ、携帯をポケットにしまった。

 

「さて、荷物はこれだけでいいか……ゲームは、親父に任せよう」

 

 部屋に残された大量のゲーム。数え切れないぐらいの数が山積みになっている。

 あの人と共に、面白い神ゲーから、目も当てられない糞ゲーまで片っ端から買い集めた物たち。時間があればいつでもゲーム機の電源を入れて遊び始めるのが日課だった。そんな思い出を浮かべた少年が幾度目か数える事も億劫になる溜息を零し、VRヘッドセットにてを伸ばそうとする。もう一度、あとほんの少しだけミリカンにログインしようとした所で、声が響き渡った。

 

「もう何時まで待たせるの!」

 

 扉が無造作に開かれ、部屋の惨事を見た女が鼻に皺をよせた。

 

「うわ……よくもまぁこんなに集めたもんね。やってる時間勿体無いでしょ」

 

 整理整頓したうえでなお雑然と積みあがるゲームの数々を目に、嫌そうな表情を隠しもしないその女は、無造作に旅行鞄に手を伸ばして片手で持ち上げて少年を睨む。

 

「荷物の整理終わったなら早く来なさい。全く、なんで私がこんな荷物運びを……」

 

 ぶつぶつと文句を零しつつも、衣類の詰め込まれた旅行鞄を奪い去っていった女を呆然と見送り、少年は台の上にヘッドセットを置いた。溜息を零し、自分の部屋を後にする。

 階段を下りる途中に聞こえた、父親と、()()()()()()()()()の会話が聞こえ、少年の表情が苦悶に歪み、息を吸って、吐いて、吸って。笑顔を浮かべた。

 

「ユーノの事頼むぞ」

「わかってるって。アンタみたいなのの所には置いとけないでしょ。というか何あの部屋、ゲーム塗れ過ぎるでしょ、どう考えてもやりすぎだし。勉強できる環境じゃないでしょ」

「うっ……でも、あいつ頭良いし。学校の成績なんていつも一番だったぞ」

「馬鹿でしょ。一番って、頭良いのはその通りだけどもっと上を目指せるのにアンタが邪魔してんのよ」

 

 クドクドと文句を零す女と、尻に敷かれて首を竦める父親。その姿を見て()()()()()()()()()()()少年が声をかけた。

 

「もうやめようぜ。母さん、先行っててくれ」

「……はいはい、じゃあアタシは先に車で待ってるから」

 

 ひらひらと手を振って去っていく女を見送り、父親と向かい合った少年。父親は口ごもりながらも、笑った。

 

「あー、悪い。なんか、その……まぁ、元気でな」

「大丈夫だって。親父こそ、ちゃんと飯は食えよ? あと、洗濯とか洗い物とかもちゃんとしないとだし。部屋の掃除とかも」

「うっ……わかってるって、そこらへんは、頑張る……多分」

 

 子供っぽく視線を逸らした父親に苦笑する少年。仕方ない人だと内心呟きながらも少年は父親の目を真っ直ぐ見て、口を開いた。

 

「じゃあ、俺は行くから」

「……おう」

 

 誤魔化す事が出来ない程に、悲しそうな表情を浮かべたその顔を見て少年の顔が一瞬歪みかけ、表面を取り繕う笑顔浮かべなおした。

 

「そんな悲しそうな顔すんなよ。死んじまう訳じゃないんだし、また会いに来るって」

「ほんとか! じゃあゲーム買って待ってるからな!」

 

 はしゃぐ声で念押しする父親の姿に苦笑の表情を浮かべ。少年は拳を突き出した。

 

「おう、約束だ。母さんの所で生活が安定したら会いに来る。絶対に」

「ああ、約束だ。破ったらお前から預かったゲームのセーブ全部消してやるからな」

 

 互いに拳を打ち付けあい。父親の『セーブを消す』発言に顔を引き攣らせた少年が『マジか』と呟きながらも、心の中で『誓い』を立てた。『絶対に会いに来よう』と……。

 

「……それじゃ、またな

「おう、待ってるからな」

 

 笑顔を浮かべた父親が遠ざかっていく。背を向けて歩き出した少年が玄関を潜り、車に乗り込む所まで見送りにきた父親は、車が見えなくなるまでずっと手を振っていた。車に乗った俺も、あの人に手を振り返していた。

 ────俺が『ユーノ・シラノ』としてあの人と交わした。最後の約束。そして『誓い』。

 

 『絶対に会いに行こう』

 

 その約束は果たせなかった。果たされる事は無かった。少年はその日の夕方、母親が運転する車が山道の急カーブを曲がり損ねて崖下に車ごと転落し、死亡したからだ。

 少年────あの人に嘘をついた最低な奴、『誓い』なんてモノを立てておきながら、約束の一つ守れやしない屑だ。

 

 

 

 

 

 薄らと目を開き、ドッドッと恐ろしい爆音を響かせる心臓の音色に()()()()()()()()()()()()つつも、震える手を顔の前に持ってきて────左右で色合いの違う小さな手である事に安堵した。

 見えた景色は見覚えのあるモノで、まだ駆け出しで怪物を甘く見ていたころにミノタウロスに半殺しにされて保護されたあの時に寝かされていたあの客室だろうと想定できる部屋だ。いつの間にかローブから着替えさせられており、微かに開いた天蓋のカーテンの隙間からテーブルに置かれた俺のポーチが見て取れた。

 

「あぁ、疲労で気絶。笑いも出ないですよ」

 

 独り言のように呟き、身を起こす。頭に纏わりつく疲労感は抜けきっておらず。まだ寝ていたいと全身が訴えかけてくる。あまりにも鬱陶しい訴えに舌打ちを零し、天蓋付きベッドから這い出て立ち上がろうとするも、膝はがくがくと震え、立ち上がる事もままならない。キュルルとお腹が鳴り、空腹感を訴えてくる。

 寝ていたいという欲求に加え、空腹感という食欲が交じり合ってせめぎ合う。くらくらと揺れる視界に、そういえば結構な量の血を流していたし今の俺は貧血気味なんじゃないかなと考え、部屋を見回す。

 どれぐらい時間が経ったのかはわからない。日付が変わっているのか、それとも日付は変わっていないのか、外を見れば夕日が差し込み、部屋を赤く染めていた。

 跳ねる心臓はそのままに、テーブルの方に手を伸ばす。当然、届くわけもない距離で────頭の中で『誓い』がグルグルと回り続けていた。

 

「は、はは……笑えますね」

 

 笑える。本当に笑える、頬を伝う雫の感触を覚えつつ、口から飛び出すのは乾いた、乾ききった笑い声。自分の口から出ている笑い声が、カラカラに乾ききっていて、笑っているのに全然楽しそうじゃない。

 そりゃ当然だ、楽しい気分になんてなれる状況じゃないんだから。頬を伝う雫────ボロボロと溢れ出てくる涙を拭う。

 拭っても拭っても、とめどなく溢れてくる涙。疲労感に空腹感、眠気に吐き気。あと、『約束』と『誓い』。

 

 ────あの人との『約束』も守れなかった馬鹿野郎が、また『誓い』なんて立ててやがる。

 

 ヘスティア様に誓ったんだ。必ず勝利を、と……

 

 ────本当に守れるのか? あの人との『約束』は果たせなかった癖に?

 

 勝たなきゃ。今度は、失敗は許されな……

 

 ────あの時だって、失敗は許されなかっただろ。

 

 …………。

 

 ────無駄な抵抗は止せ。被害が広がるだけだ。

 

 ………………。

 

 ────本当に、お前は勝てるのか? たった一週間鍛えた程度で、あの派閥に勝利を得られるのか?

 

 出来る。

 

 ────そうだな。確かに勝てるだろうな。()()()()()()()()()()()

 

 吐き気と眩暈が眠気と空腹を打ち消した。立ち上がろうという気力が削り取られ、『誓い』が頭の中に響く。

 『ミリカン』の公式大会。あの人との再会の為に欲した『ミリカン最強』の称号。

 

 俺は勝てた。決勝戦、何度も何度も何度も、響く重低音と共に撃ち抜かれて倒されたあの『最強の狙撃手』を下し、見事勝利を飾った。『最強の竜人』という称号を手にし、意気揚々と上がった表彰台。

 あの人がやってきて、表彰状を手渡し。そして『願い』を聞かれる。その場面を想像して期待を胸に、意気揚々と表彰台に上がった。上がって────あの人とは違う人がやってきて、あの人がつい数週間前に亡くなっていた事を知らされた。

 

 年に4回行われる公式大会。前回、後3%を削りきれなかった、あの戦い。

 

 あれに勝利していれば、あの人に会えた。あれに敗北したから、あの人に会えなかった。

 優勝はできたのに、『最強』の称号は手に入れたのに。なのに────俺は『約束』を守れず、『誓い』を叶える事叶わなかった。

 

 そんな俺が、また『誓った』。勝利を────女神に勝利を。

 

 ()()()()()()()()()()()()って、誰かが囁きかけてくるんだ。




 自らが立てた『誓い』を果たす事できず、状況がよく似ている事から、あの頃と今を重ね、トラウマに精神力を再度削られ出したミリアちゃん。明日はどっちだ。



 恋愛√の短編小説を書き上げ、投降しました。現在は『ヘスティア√』のみとなっております。今後、『ベル√』当たりの執筆予定ですがしばらくは本編を優先します。
 タイトルは『魔銃使いは恋に堕ちた』です。よろしければどうぞ。



 本作の三次に当たる作品が投降されていました。
 タイトルは『元帝国兵は迷宮を駆ける』です。
 本作オリ主の『ミリア』も登場予定らしく、元帝国兵でミリアの公式大会の決勝戦の中継を見て魔道国に転属したロリ狼娘オリ主モノっぽいです。
 評価・感想についてはしばらく様子見とさせていただきます。『魔法少女()』という名での感想投降は行いません。本人確認ができないのでもしその名で感想が投降されていた場合は私ではない第三者が書き込んだものと思ってください。

 とりあえず『元帝国兵は迷宮を駆ける』のオリ主『アリシア』さんについて。
 『ミリア』との強さ関係は────まず『ミリア』に勝ち目が無い件。
 近接戦弱いから距離とって一方的に遠距離射撃で戦うミリアに対して、一気に距離を詰められる『アサルトステップ』持ちをぶつけるとは……ぐぬぬ……。
 しかも元帝国兵だから間違いなく白兵戦が得意。一方的に空から撃ち下すならまだしも接近されたら負けな状況で一気に距離詰められる魔法持ちとか相性の時点で勝ち目ないじゃないですかヤダー!
 ミリア特攻すぎて笑える……わらえる(震え声)

 元帝国兵ってことだし戦場でガトリング掃射しながらギュンギュン飛行するミリアちゃんとエンカウントしてそうだなとは思いました。戦場で軽装歩兵といえば数も多いし一気に数十から数百単位でガトリングで消し飛ばしてたミリア側からすると絶対覚えてないでしょうが……。

 あとはミリアの容姿が『ミリカン』のデフォルトの『ミリア・ノースリス』まんまなので出会ったら一発で「あ、ミリカンのドラゴニュートだ!」ってなりそうですねぇ。

 楽しみが増えてやる気が漲りますね!
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