魔銃使いは迷宮を駆ける 作:魔法少女()
仲間に支えられて瓦礫が散乱する玉座の間を後にする少年と小人族二人の姿、敗北に項垂れるアポロンファミリアの眷属達、引き裂かれた
酒場では世紀に残る惨敗を喫したアポロンファミリアへの罵詈雑言が飛び交い、ヘスティアファミリアへの罵りが響き渡る。負けた腹いせに酒を呷る冒険者や、歓声を上げてヘスティアファミリアを褒め称える
中央に聳え立つバベルに集った神々もまた、喧騒は絶えない。銘々にヘスティアの子を褒め称え、批判し、好き勝手に
「なぁ……が、っ…………?」
喧騒に包まれた会場の中、アポロンは、顔色を悪くして立ち尽くしていた。
己の子供達が瓦礫に埋もれた仲間を掘り起こそうとしていたり、戦争後の悲惨な後始末に心折れて膝を折っていたり。直視する事を戸惑う様な『鏡』の光景が、彼を現実から逃避させる事をよしとしない。
その光景から逃げる様に二歩、三歩と後ずさるアポロンの頭から、彼の象徴たる月桂樹の冠が零れ落ちる。
「ひ、ひぃいっ!!」
かたり、と小さく響いた音を聞いてアポロンは悲鳴を上げて其方を見た。
真っ直ぐ、彼を見据える女神が其処に居る。静かな湖面を思わせる蒼い瞳────澄み渡ったその瞳の奥に隠し切れぬ激情を湛えた、対立相手。
彼女の瞳に怯え、表情を歪ませている男神が映る。静かにアポロンを見据えたヘスティアは、小さく溜息を零して目を細めた。
我が子に消えぬ傷を残され、眷属を虐げられ、
そんな女神を目の前にし、アポロンはがたがたと身を震わせ、さらにその目から涙を零した。
「ま、待ってくれヘスティアッ!? で、出来心だったんだっ、キミの子が余りにも可愛かったから悪戯を……たっ頼む! 慈悲を恵んでくれ、慈愛の女神よ!! 私達は求婚し合った仲では────」
「だ・ま・れ」
言葉を区切り、不快感を露わにしたヘスティアがアポロンの言葉を遮った。
『鏡』の一つに視線を向け、女神はもう一度アポロンを真正面から見据え、『
「キミは、
彼女が指差したその『鏡』には、地面に無造作に並べて寝かされているアポロンの眷属達の姿が映し出されていた。その誰もが、重症。良くて骨折、中には四肢を失った者も居れば、命を落としたのか呼吸すらしていない者の姿すらある。躯に縋り付いて慟哭する子を見たアポロンが目を見開き、ヘスティアを指さし叫んだ。
「ヘスティアッ! キミの子がこの惨劇を生み出したんじゃないか! 私は────」
「ボクは、最初に言ったはずだ。
「だがっ、殺す事はないだろうっ!」
私だって殺す積りは無かった。確かに消えぬ傷は与えたが、命まで取る積りは無かった。そう叫ぶ彼を、女神は深い溜息と共に見下し、睨みつけた。
「ボクら神々にとって、
女神の言葉に息を詰まらせ、アポロンは『鏡』をみて滂沱の如く涙を零した。その端正な美貌は見る影もなくくしゃくしゃに歪み、情けなく泣き続ける。
ただの蹂躙劇にしかならぬはずの
「確か、ボクが勝ったなら何でも要求を呑んでくれるんだっけ?」
「ま……待ってくれ、あれは……言葉の綾で……」
勝利を信じて疑う事の無かったアポロンが犯した失態。確かにその様に豪語してしまった事は、彼の記憶にしっかりと刻み込まれている。序に、
「キミへの要求はあの子達が帰ってから決める事にしようと思ってる。首を洗っておくんだね────」
それだけ言い放ち、女神はアポロンに背を向けた。
期待していた神々がお預けをくらった犬の様にしゅんっとしながらヘスティアを見つめるが、彼女はそれを意に介す事無く歩み去ろうとし────尻もちをついて涙を零すアポロンを肩越しに振り返った。
「────逃げるなよ、アポロン」
力なく項垂れたアポロンが、小さく頷く。
城塞としての体すら失い、完全な廃墟となった『シュリーム古城』。
アポロンファミリアに与した冒険者が瓦礫に埋もれた仲間を救出せんと動き回る彼らを尻目に、片翼を失い、鱗の殆どが剥げ落ちて痛々しい姿を晒す飛竜が瓦礫を咥えては放り投げ、その下に埋まっていた男の肩を咥えて引っ張り出す。
「いてててっ……おい、もう少し優しくしてくれたって良いだろ……」
「キュイ? キュイキュイ」
土埃に塗れた防具や着流しを払いながら立ち上がったヴェルフが文句を言うが、キューイは意に介す気はないのかまた無造作に瓦礫を咥えては放り投げ、その下のエルフの足を咥えて引っ張りだした。
べしゃっと地面に投げ出されたエルフが無言で顔を上げ、赤くなった鼻を抑えてヴェルフを見上げる。
「どうも、私は嫌われている様ですね」
「……あー、ありゃキューイの平常運転だ。嫌われてる訳じゃないと思うぞ?」
魔剣の砲火を浴びて戦闘不能になっていたキューイが復帰したのか、鱗が剥げて痛々しい姿を晒しながらも次々に崩落した空中廊下の瓦礫の中からヘスティアファミリアの眷属達を掘り出していく。荒々しく瓦礫の山から放り出されていく彼らは、文句有り気に瀕死の傷を負っている様に見える飛竜を睨みながら言葉を交わす。
「勝ったんだよね?」
「ああ……アポロンの連中は皆項垂れてるみたいだしな」
「これでアポロンの勝ち、って事はないでしょ……ん?」
散らばる瓦礫を乗り越え、北門の方面からボロボロになった灰色の外套を纏ったヒューマンが顔を出し、仲間を掘り起こしている赤飛竜を見て眉を顰めた。
「おー……頭良いなあ……あ、おーい皆を見つけー……ありゃ? 団長たちは何処だ?」
彼の横からひょっこりと顔を出した猫人が倒れたまま動かないヴェルフ達を見下ろし、呟く。彼の背には狼人の少女が背負われており、周囲を見回して鼻を鳴らし、上を見上げて呟いた。
「あー、上の方に取り残されてるみたいだ。ほら、
「……あ、マジだ手を振ってる。縄とかあったっけか?」
人を呼ぶ様に鳴き声を上げた彼女の足元に、半ば黒焦げのドワーフが転がっていた。困った様にヴェルフやエルフをちらちらと見る飛竜の姿に猫人が首を傾げ、狼人の少女を近場の瓦礫に放り捨てて駆け寄っていく。
「痛っ……おい、投げんなって!」
「わりぃ、なんかヤバそ……っておい、アンタ大丈夫かよっ!」
飛竜が身を退けたそこには、片腕が黒焦げになったドワーフの姿。彼は薄目をあけて眩しそうに眼を細めたのち、無造作に身を起こした────盾を握っていた左腕が肘の辺りで枯れ枝を折る音を響かせて折れる。
顔の前に折れた断面を持ってきた彼は、溜息と共に猫人を見上げて笑った。
「勝ったなら勝利の美酒だって言いたかったが……その前に再生薬が欲しいな」
「……なんだ、その、案外余裕そうだなアンタ」
心配して損した、そう呟いた彼は粉砕された玉座の塔を見上げ、溜息を付いて呟いた。
「団長たちをあそこから降ろさないとなぁ……使えそうな
「あれ以上崩れたらまずいんじゃないか?」
「…………誰かが下で受け止めるか?」
「ギルドの調整員が……来ても無駄そうなんだけど」
崩れた玉座の塔を見上げた彼らは深い溜息を零した。
「
「……あっ、俺用事思い出した。団長たちの救出は任せる」
猫人の青年がぱっと片手をあげて背を向けて駆け出そうとするのをエルフの少女が非難の視線を向ける。
「最低です」
「……いや、その目はやめてくれ。功労者迎えに行ってくるだけだっての」
ほぼ真上に太陽。
吹き飛んだ玉座の間から崩れた空中廊下の端っこに腰掛けて、ベルとリリと俺の三人は途方に暮れていた。
「どうやって降りましょう……」
「あ、はは……」
勝利の余韻に浸る事数分。皆と勝利を分かち合おうと急ぎ向かおうとした先には、崩れて通れなくなった空中廊下。下を見下ろせば瀕死っぽい見た目のキューイが瓦礫の中からヴェルフやロキファミリアからの増援の者達を掘り起こして並べていた。彼らがわちゃわちゃ動いて此方に手を振ってくるのに応えつつ、三人で座り込んで雲の少ない晴れ渡る空を眺める。
暫くはこのままだろう。生憎と、自らの手で脱出路を潰しているので救助まで時間がかかりそうだ。
「……僕たち、勝ったんだよね」
「えぇ、リリ達は勝ったんです」
勝った。勝利────まるで、夢みたいで、未だに信じ切れない。本当に勝てたのだろうか? 都合の良い夢でも見ているんじゃないだろうか? そんな風に自分を疑ってしまうぐらいには、信じ難い勝利だ。
何せ、敵の人数は此方の三〇倍以上。無双ゲーの様な雑魚をなぎ倒す様な戦いなんてできない現実で、あの戦力差────それも、相手は城砦に籠り、此方は平地。全く勝利への道筋が見えなかったのだ。
「一応、皆さま生きているみたいですね。誰かが欠けた、なんてことにはなっていない様子です」
何人か、死んでしまうと思ってた。けれど、下では皆が困った表情で瓦礫に腰掛けて此方を見上げている。
傷だらけの着流しと防具姿のヴェルフ、片腕がなくなったドワーフ、蚯蚓腫れの様な雷撃の跡が腹に残る赤眼のアマゾネス、顔の半分が血塗れになったエルフの少女、両手を上げて喜びを示すアマゾネス。
片足が無くなって全身傷だらけの狼人の少女、彼女の治療をしているエルフの青年。ボロボロになった灰色の外套のヒューマンが近場に転がっていた大型弩の周囲でごそごそ何かやっている姿がある。
「あ、ミコト様にリュー様です」
「本当だ……リューさん、生きてたんだ……よかった」
猫人の青年に肩を貸されて歩くミコトと、此方を見上げて高々と旗を掲げて示してくれるリューさん。体中包帯で巻かれて
「ミリア、ミリア?」
「ん? どうしたの、ベル?」
心配そうに声をかけられ、そちら見れば赤い瞳で此方を見るベルの姿があった。
どうしたのかと首を傾げれば、リリも同じ様に此方を見て口を開いた。
「大丈夫ですか? その、さっきから余りにも静かで……」
ああ、うん。黙ってたから心配されたのね。
そうだな……なんというか。うん、夢みたいなんだ。
「夢、みたいで」
「夢?」
そう、夢。必死に抗って、抗って……不可能だって何度も、繰り返し否定されたそれが、成就した事が未だに信じられない。ふとした瞬間に聞こえていた、あの女の声はもう聞こえない。脳髄にこびり付く様な、あの声は、もう……何処からも、響いてこない。
「なんか、奇跡的な勝利だったので……」
夢みたいで信じられない。そう呟けば────ぐにぃーっと頬を引っ張られた。
無言で頬を引っ張るリリが、真っ直ぐに俺を見ながら、微笑んだ。
「どうですか、痛いですか? ────夢じゃないんですよ」
「うん、夢じゃない。勝ったんだ」
ベルが立ち上がり、ボロボロになった紅緋の短剣を左手に握り締め、高々と掲げ────歓声が響いた。
数は多くない、けれども確かに響く歓声。下にいる仲間達が手に武器を持ち、振り上げて歓声を上げている。ヴェルフも、ミコトも、増援の者達も、響け轟けと言わんばかりに大声を上げていた。
「ほら、夢じゃありません。リリ達は勝ったんですよ」
リリに手を引かれ、立ち上がる。
不思議と、身体の痛みは無い。回復魔法をかけるだけかけて、応急手当はした。
それでも片腕が動かないベルと、土埃に汚れたリリは笑って武器を掲げる。
「ほら、勝鬨を上げましょうよ」
そう言われ、腰の剣に手を伸ばす。右手に深紅の剣を握って、天高く掲げた。
切っ先の先に眩い太陽。目が眩み、肩が鈍く痛む中────叫んだ。
喉が軽く痛むぐらいに、大きな声で上げる鬨。呼応する様に仲間の鬨が響いて────すとんっ、と腰が抜けた。
「ミリア様、大丈夫ですか!?」
「ミリア!」
「え、えぇ……平気、ただ────勝った、のよね?」
ようやく、と言えばいいだろうか。勝ったという事実がじわりじわりと、勝鬨を引き金に実感を伴って全身に染み渡る。
疲弊しきった体なのに、不思議と力が湧いてくる様な、不愉快ではない感覚。
ふと、強張っていた顔が緩む。自然と、頬は緩み口角は上がる。
「うん、勝ったんだよ」
「ええ、勝ちました」
二人の言葉に、ようやく感覚が追い付いてきた。
勝った、そう、俺達は勝った。あの絶望的な戦力差を、圧倒的に不利な状況を覆して勝利を掴んだ。
誰に憚る事もなく胸を張って言えるだろう。
「
ああ、早くヘスティア様に会いたい。
ロキファミリア
杯を小さく掲げ、口にする四人分の影。窓から差し込む月明かりと、燭台型の魔石灯にうっすらと照らされた室内。
杯を空にしたロキが真っ先に口を開いた。
「むっちゃ興奮したっ」
「ああ、柄にもなく歓声を上げてしまったよ」
「まあ、そうだな。あの状況からの逆転……まさか勝つとはな」
「なあ、やっぱりあのベル・クラネルとやらとSUMOUとやらをしたいんじゃが」
フィン、リヴェリア、ガレスの言葉が続く。
神々の想定を超えた────超える処か超越した、歴史に名を刻みかねない程の激戦。
昼間に行われたその
「未だに皆騒がしいね」
「だろうな、神々も酒宴の真っ最中だろう」
彼らが視線を向けた先、オラリオの街並みはいつも以上に賑わいを見せている。
どこの酒場も今日の戦争遊戯の話で持ち切り。当然、ロキファミリアの眷属達も彼の戦いの話題一色で染まっている。特にアイズやティオナの二人には団員達が群がり、ベル・クラネルにどんな鍛錬をしたのか等の質問攻めにあっている────ベートは事が終わってすぐにダンジョンに潜り、未だ帰っていない。
「ああ、ヘスティアファミリアが勝ってくれたおかげで、心配事が一つ減った」
「再生薬、か。ありがたい事や」
ロキが歓喜を滲ませながら酒に手を伸ばそうとし、横から伸びたリヴェリアの手が酒瓶をとり、ロキに酌をしはじめる。上機嫌に酌を受けたロキは杯をテーブルに置いた。
ヘスティアファミリアの眷属、ミリア・ノースリスが従える飛竜の血から作り出される、欠損を治療できる道具。万金の価値在りのそれを最優先で────それも半額で────取引する権利。それを手にしたのだ。
「それにしても……彼らには悪いけど、勝てるとは思わなかった」
「あー、まあそうやろなあ」
最期の瞬間。ヒュアキントスがミリアを魔法で攻撃し、ベルがそれを庇った際、ロキファミリアのほぼ全員が失望の声を上げ、あの時点で負けを確信した。ベートが苛立ちのあまり棚を粉砕したりもしていたし、レフィーヤは手にしていた紅茶をぶちまけた。アイズとティオネが固まり、フィンは額に手を当てて今回の損失を計上した上で報復措置としてアポロンファミリアへの襲撃計画を練り始めたのだ。
それは、良い意味で裏切られたのだが。
「しかし、あの土壇場であの魔法の使い方。リヴェリア、同じことが────」
「何度も言わせるな。あんな馬鹿げた魔法の使い方なんか出来る訳がない」
ミリア・ノースリスが使った、魔力の塊を直接相手の武装に捻じ込んでの、爆殺。同じ真似ができる魔術師が居るかという質問にリヴェリアは深い溜息と共に否定の言葉を放つ。たとえ同じ魔法を覚えていたとして、彼女の様に魔力の塊を気楽には扱えない────それこそ一歩間違えば自爆しかねない危険な行為等、考え付いたとしても実行などしようとは思えないだろう。普通なら、だが。
「彼女は
「まあ、そうやろ。あんなん普通やない」
ロキが酒を呷るのを止め、席を立って月を見上げた。
その背にフィンが視線を向け、小さく問いかける。
「ロキ、聞かせてくれ……彼女は何者……いや、
あれは、人か? そう問いかけられたロキは肩を竦め。席に着く三人を振り返った。
「
自嘲気味に笑みを浮かべたロキが、小さく呟く。『最強の眷属計画』と
「概要はー……まあ、胸糞悪くなる話やから省くわ」
碌でもない、神々が考え付いた行為。
神々の思い通りの眷属を生み出す為の、卑劣な計画。
「それの完成形やろなあ」
一人一つしか、神の恩恵は授けられない。一度授けられれば、形を変える事は出来ない。
ガレスが魔術師に成れない様に、リヴェリアが
「普通なら、な」
魂そのものの形を変える。それは出来なくはない。
しかし、その過程において大半の人は壊れてしまう。罅割れた魂から感情という名の中身が零れ落ち、空っぽになってしまう。廃人に成り果ててしまうのだ。
「けどなあ……理論上の話なんやけどな?」
魂に罅を入れても、強い感情なら零れ落ちる事はない。壊れて果てても、それこそ魂という名の器が無くても維持できるぐらいに強い感情を持ってさえいれば、廃人にはならない。
「強い、感情……」
「想い、か」
「せや、ミリアにはそれがあった」
家族への想い。強く抱かれたその想いだけは歪まず、消えず、壊れた魂でありながら、彼女を彼女として維持し続ける要因となっていた。
そのおかげで、本来なら廃人一直線の環境に置かれてなお、彼女は廃人にならずに自我を保っていた。
「歪な在り方やっちゅうんは、最初に一目見たときにわかったわ」
ロキがミリアと出会ったのは、酒場が初めてだった。まじまじと彼女を見つめたとき────彼女の内側の魂を見たとき、酷い有様であった。
限界まで罅割れ、それを隠す様に泥の様なモノに覆われた、壊れかけ────壊れた魂。
泥は、彼女が自ら生み出して纏ったモノだろう。自分は、薄汚れた人間だと自己暗示に近しい様な、魂すら汚す其れ。女神フレイヤが目にした瞬間、殺意を以て対応してしまう程に完璧な汚泥。
「あれは駄目やなって思った。絶対、壊れるっちゅうか……どうにもならんなぁって」
どうにか手を差し伸べようとも、彼女はその手を取らないだろう。汚泥で自らを穢して誰の手を取るでもなくただ自滅するだけの魂。よくもあそこまで壊れて尚、自我が残っていたモノだと思える程に、壊れていた。
破滅する事しかできない、そんな哀れな子だった。
「予想外やったんは、それはドチビ────ヘスティアが救った事や」
女神ヘスティアが、壊れたソレを救った。救い上げた、どんな手品を使ったのか────否、彼女を知るロキは断言できるが、ヘスティアはあるがままにミリアを受け入れたのだろう。結果的に、それがミリアを救った。
「壊れて汚れて、それでもその奥底にあったもんは何一つ変わらんかった」
「……家族への想いか」
「そう、それだけは、どれだけ汚れても、壊れても…………消えなかった」
自身の全てよりも、家族への想いを優先する。酷く歪んだ考え方しかできない、純粋な魂だ。
フレイヤが気に入る理由もわかる。そう呟いたロキは自嘲した。
「あれは、ウチやフレイヤではどうにもならん。腹になんか抱えたまま接したら、そのまま信頼される事なく壊れていくだけの子やったしな」
ミリア・ノースリスが、ミリア・ノースリスとして在れるのは、女神ヘスティアの元だけ。
そして、彼女があの歪な魔法・スキル構成になった理由も、説明が付く。
「簡単やろ、あれがミリアの在り方や」
壊れて形の無い彼女は、自らの意思で魂の形から変化をしていく。不定形な魂なのだから。
「……待ってくれ、だとするなら……彼女は
前線で敵の猛攻を止める
「ないない、そりゃないわ……言ったやろ、中身は変わらんって」
あくまで変化するのは、魂の形────スキルや魔法の構成のみ。
その中身、内側を形成する
「せやな、スキルと魔法の構成は変わる……っちゅうてもアレには法則がある」
具体的に言えば、性質だろう。
彼女が持ち得る特質からして、本当になろうと思えばなんにでもなれる。けれど、それは有り得ない。
一定の法則の上に自らを置いているからこそ、彼女は破滅せずにその特質を生かしているのだから。
「アレは、せやな。多分やけど最もミリアが強い想いを抱いとるモンの性質に寄っとる」
酒場の話に出た、父親が生み出した
「せやから、いきなりリヴェリアとかレフィーヤの魔法を写し取ってきて使ってきたりはせえへん」
「……それだと、
彼女が家族に強く依存しているのならば、家族の魔法をその身に写し取って使ってくるのではないか。そうガレスが懸念を示す。それにフィンが答えた。
「それはない。家族に成り替わろうなんて考えないだろうしね」
あくまで
「ともかく、あの性質変化は他にも何種類かあると考えた方が良いだろうね」
「長距離砲撃は、脅威だが他にも……厄介だな」
「おいおい、勘弁してほしいもんじゃが」
無限に魔法が使えるのなら厄介過ぎる。レフィーヤの様に自分の魔法の詠唱文に加えて発動したい魔法の詠唱文を唱えねば使えない、等と言う制約が無い。それの厄介さにリヴェリアが小さく呟くとロキが肩を竦めた。
「一回に変化できるんは一種類やろ」
自らの意思のみで性質変化するのではなく、女神の力添えを受けての性質変化である。
無限の変質を可能とするわけではない。ミリアの性質上、制限が一切無いとは考えづらい。
「つまり……」
「基本の
基本に加えて、不明なもう一つの隠し玉を持つ。
敵対した際のリスクを考えるとあまりにも恐ろしい性質にフィンが困った様に頬を掻き、ガレスが唸る。
「どのみち、基礎の状態ですらありゃ手に負えんぞ」
空中を飛ぶ小さな金属矢を撃って、敵の攻撃を妨害する。
連続して放たれた金属矢を撃って、敵のマントを地面に縫い留める。
ベル・クラネルが落としたナイフを弾き、ヒュアキントスに命中させる。
あの一瞬の間に彼女が起こした
「────あんな絶技を持ってる上に、隠し玉まで……となるとね」
敵対だけは絶対に避けたい。フィンがそう呟く。
ロキ、リヴェリア、ガレスの三人も同意見なのか深く頷いた。
と言う訳でロキファミリアからの印象……種類不明ないくつかの隠し玉持ってる上に、基本的な性能も高く、耐久の低さも『マジックシールド』でカバーされてて……魔力切れにならない限り戦場を搔き乱しまくる事間違いなしの厄介な奴。飛竜も含めるとぶっちぎりで最優先抹殺対象。
あらかじめ潰しておきたいタイプの戦力ですよ。戦術にも通じてるのは割れてますし、指揮官として動かれても面倒だし。
三六〇度何処から見ても厄介な奴過ぎてね()
流石にクラスの数までは割れてないですが、勘とかいうチートで見抜いてきそうなフィンとか、頭脳戦となると化け物なロキが相手なので、その内全部暴かれそう。
ドラゴニュート実装が待たれる(白目)
オリキャラ関連……増援の5人と3人、彼らに名前つけようと思った。
書いてて面倒臭いんですよ……いやマジで、名無しで押し通すのきっつい。今後、登場回数減らすにしても名前が無いとちょろっと出すだけでも面倒過ぎてね……ツイッターの方で募集します。
『レイントード@P38_Lightning_L』で調べりゃ出てくる、と思う。
ロキファミリアからの増援5人。
・赤眼のアマゾネス Lv.3
5人の中ではリーダー的立ち位置。
武装:素手、双剣
二つ名【双拳乱舞】
・ドワーフの男性 Lv.3
5人の中で唯一の黒一点。
武装:
二つ名【不動城塞】
・エルフの少女 Lv.2
微弱な強化魔法を使える
武装:弓、短剣
二つ名未決定
・狼人の少女 Lv.2
肝が据わってる。自爆特攻も止む無し。
武装:剣、足具
二つ名未決定
・アマゾネスの少女 Lv.2
ランクアップしたて、ステイタスが低め。
武装:大型両手武器ならなんでも
二つ名未決定
ガネーシャファミリアからの増援
・猫人の青年 Lv.2
ミリアに対して複雑な感情。普段は飄々とした態度をとっている
武装:半月刀
二つ名未決定
・ヒューマンの青年 Lv.2
灰色の外套を身に着けている。牽引時に補正のかかるスキル有り
武装:未決定
二つ名未決定
・エルフの青年 Lv.2
優男風。
武装:弓・剣
二つ名未決定
二つ名も決めてくれると作者が楽できる
ツイッターの方でお願いします。一人……何個でもいいや。適当に採用します。期限? 来週の日曜日までで。
感想じゃなくて、ツイッターでお願いします。