魔銃使いは迷宮を駆ける 作:魔法少女()
自分のみの手札を2枚、それと卓中央に置かれる
一人当たりの
開幕直後から
「では、手始めに20枚から賭けるとしましょうか」
「私はその倍を」
ふむ、普通の
リューさんの方は真剣な表情で相手の意図を読み取ろうとしているが、無意味だ。
「
初っ端から『駆け引き』で勝負を仕掛けていってるリューさんに若干呆れざるを得ない。まだ相手の手の内も分かっていない状態で勝負に出るのは不味い。
卓をそれとなく見回していると、太っちょの奴が飲み物を
「アルテナワイン三〇年モノを」
…………
リューさんの
それにしても、やる気を感じられない
「では、
「フルハウス、私の勝ちですね」
予測通りの
そんでもって、二巡目でも別の一人が飲み物を
…………そしてリューさんやい、相手の上っ面だけの
彼に逆らうような愚か者には『洗礼』を行い、借金を課し、金と女を奪う。一度でも彼に
『洗礼』の旨味────
何より
もし力で訴えかけてきたとしても、高い金を払って雇った『
これほどの力と地位を手にした彼は、自身を『賭博の楽園の絶対王者』と────否、『
そして、そんな彼の前で『洗礼』を浴びる二組の愚か者が居た。
「
片や真剣な表情を浮かべ、セルバンティスのみせかけだけの
そんなエルフの手元の
「
片や小さく欠伸をしてやる気を感じさせない
派閥に所属する冒険者、
彼の
「……私の勝ちですね」
「マクシミリアン殿はお強いですねぇ~」
「ぐ……」
「また、やりやがった」
取り巻きの
「いやぁ、本当に……お強いですな」
最初の所持
セルバンティスの現在の所持
彼女、ミリア・ノースリスの勝率がおかしい。それに気付いたのはかなり早い段階であった。当然、セルバンティスは
しかし、結果は白。怪しくはあれど証拠がない。
彼女の手は小さすぎて
彼女の背後に立ったまま微動だにしない傭兵が何かしている訳でもなかった。つまり
────だが、例外があった。
「また、マクシミリアン様に負けてしまいましたか」
「…………その様ですね。それと、一人脱落ですか」
激しい
そう、例外だ。彼女はマクシミリアンにだけは負ける。
セルバンティスが周囲の
「では、
「10枚でいきましょう」
「わ、私も10枚で」
セルバンティスを皮切りに、全員が
手札となる二枚の
「んー、
「……
小人族が一気に釣り上げ、エルフが下りる。
この時点では共通
しかし、この
進行していく
「アルテナワイン、三十年モノを頼むよ」
これが彼、テリー・セルバンティスと共謀者が定めた暗号。内容は『フルハウス』。
自身の
単純に人数が多いセルバンティス側は
「
「おや、【魔銃使い】殿と一騎打ちですか……どうします?」
彩光異色の瞳を言葉を投げかけた
「当然、
「だ、だいぶ強気ですな……
「あら? 弱気ですね。最後も
下りてくれ。内心そう叫びながらも四度目の
「フォー・オブ・ア・カインド、私の勝ちですね」
相手が乗ってきたら共謀者の中から最も強い
だというのに、この
「……少し、待っていただけますか?」
既に、我慢の限界であったテリー・セルバンティスが声を上げる。周囲の
「何か?」
「…………ようやく、ですか」
すまし顔を続けるエルフに、呆れの表情を浮かべた小人族。
この二人は
マクシミリアンの所持
「いやはや、【魔銃使い】殿も人が悪い……まさか
「……っ」
「…………はい?」
ほんの僅かにマクシミリアンが目を見開き、ノースリスはきょとんと呆けた表情を浮かべる。
前者の反応から自身の考えが間違っていないと判断したセルバンティスが静かに立ち上がり、ノースリスを指さす。
「お前は
「……私が、
酷く落ち着いた態度で返答する彼女に対し、周囲の黒服が逃げ場を潰す様に囲む。
このまま糾弾して彼女を
「随分と図太い態度ですな。流石冒険者と言ったところですな」
「御託はいりません。率直に、私が
椅子に腰掛けたままセルバンティスを見上げる小人族。生意気な態度だと彼が睨み返すが、彼女に動揺の気配は感じられない。酷く落胆したような、興味を失った様な視線がセルバンティスに向けられる。
「【魔銃使い】殿は勝負に出たとき、必ず勝利していますよね」
「ええ、明らかにおかしい」
「それに、マクシミリアン殿以外に負けていない」
「もしやマクシミリアン殿と
「まさか、私が勝ち過ぎているから
「ええ、その通りですとも。【魔銃使い】殿、貴女の勝ち方はおかしい」
そうでしょう? そうセルバンティスが声をかけると、彼女は目を細めて彼を睨み返した。
「私がどんな
生意気な態度だ。明らかに
「我々の
どのみち、
セルバンティスの嗜虐的な視線で射抜かれた小人族は────盛大な溜息を零した。
「はぁ、なるほど証拠は無いけど状況から
両手を上げて降参を示しながらの、唐突な暴露。これから
「まさか、認めていただけるとは」
「まあ、否定できないし」
興味無さげにグラスを傾ける小人族。己の
流石におかしいと違和感を感じていると、彼女が
「まあ、流石にどうやって
ピンッと弾かれた
「
彼女の言葉に、場の空気が凍り付く。
暗号を読み解いた。彼女はそう口にしたのだ。暗号、そう言われて真っ先に反応したのは、セルバンティス本人。僅かに目を見開き、彼女が口にしようとしている内容に思い至る。
「手札が出揃う度に飲み物を頼む人が最低でも一人以上居て、なおかつその人物以外が勝負を降りる。そしてその人だけが勝負に出てくる────飲み物の種類が暗号となっている」
この場に至って、テリー・セルバンティスは気付いた。
彼女はいつからか気付いていたのだ。セルバンティス達が使っていた暗号────
「アルテナワイン三〇年モノが『フルハウス』、
逆に、利用していたのだ。
何故、彼女はセルバンティス達との勝負に負ける事は無かったのか。
何故、彼女はマクシミリアン相手にだけ負ける事があったのか。
何故、彼女は自らの
────暴かれても、痛くも痒くも無いからだ。
「で、どう? 貴方たちがやっていた
わざわざ
そして、
「正直呆れるわ。わざわざ
ミリアの
嵌められたのに気付き、『駆け引き』や『
このまま負ければ何をされるか────シルに向けられた下種な視線から想像は容易い。
焦燥しながらも勝負していたリューに対して助け舟を出したのは、ミリアだった。
全ての
それがなっていたからこそ、勝負にならずに潰されるはずだったリュー・リオンは勝負を続けられた。
だが、やはりその不自然な行動はセルバンティスの目に留まり、
暴れて有耶無耶にすべきかと身を強張らせるリューに対し、ミリアの方は驚く事に自らの
セルバンティス達に必ず勝利していた理由。暗号でのやり取りに気付いてそれで勝つ時だけ賭けた。
リューにわざと負けて
己の
「すごい……」
傍らのシルが口元を扇子で隠して呟く。
リューもまたシルと同様に感心し、納得していた。
「これが、彼女のやり方か……」
よほどの事が無ければ発覚しない記憶と予測と言う禁じ手に近い技能。それを使って荒々しく稼ぐ姿は若干らしくない。最初の方は大人しかった彼女が途中で急変した様に荒い勝ち方で目立ちだしたのだ。
当然、指摘される事を予測しきっていたのだろう。
事を起こす前に、それに対して反撃の手札を用意しておく。事前に
「な、わ、我々が
「証拠はほら、貴方たちの暗号を読み解いて勝ち続けたこの
「ぐ、偶然ではないですかな?」
獣人の貴族の言葉にミリアの口角が歪む。ニィと擬音が着きそうな程に凶悪な笑みを浮かべた彼女は、ゆっくりとした仕草で卓を撫でる。
「偶然、そうですか偶然でしたか────でしたら私の
「なっ────何を、言って!」
「だってそうでしょう? 貴方たちの暗号がただの偶然だったって言うのなら、それを読み解いたと思い込んだ私の読みもまた偶然そうでしょう?」
上手い返しだ。リューは内心舌を巻いた。
相手が
もし認めなければ、彼女が自身で語った
どちらに転んだとしても、自身の利にしかなり得ない。たとえ此処で彼女が大暴れして
ただ暴れてアンナを連れ戻す事しか考えていなかったリューと違い、たとえギルドやガネーシャファミリアに拘束されても何事も無いように手を打っているのだ。
「で? セルバンティス様…………コレは偶然? それとも、必然?」
手元の山となった
「いやー、参りましたな。
そういって、セルバンティスは静かに椅子に座り直した。うわ、この状況で偶然って言い張りやがったよコイツ。
下らない暗号なんて使って数で袋叩きとか、やり方が下手糞過ぎんだよ……つか、滅茶苦茶警戒してたのに出てくるのこれだけ? ちょっとしょっぱすぎない?
他の
黒服共も下がり、シャクティさんが小さく『凄いな』とか呟いてる。確かにすごいわ。
「それで、
「お、おお、そうですな勘違いされても困りますしな」
「そうしましょう。それが良い」
セルバンティスの言葉に即座に反応する
まあ、もう暗号は使ってこないだろうし、リューさんが切り返していけるはずだ。彼女に目配せすると、小さく頷いてくれた。
今まで『駆け引き』とか
わざわざ相手から噛み付かせたのは警告兼様子見だったんだが、予想以上に嵌ったというか、勝手にはまってくれた。
「私は10枚賭けましょう。【魔銃使い】殿はどうします?」
「…………はぁ、じゃあ10枚で」
いや、なんかもうやる気失せたわ。
一応、予測は続けていくが今まで通りにド派手な勝ち方はしない様にしよう。
二度、三度と
基本、
まあそうだよな。暗号についてどつかれて動揺してる状態の
やっちゃえリューさん。勝ってアンナさん引き取って帰ってくれ。
『ボーダーランズ3』『State of Decay 2』『The Surge 2』『ダーケストダンジョン』
やばい、やりたいゲーム一杯あって作品書くのきっつい。
平均評価下がったのを理由に更新速度を下げますーとか適当に
……わかってる。大丈夫、週一更新は絶対だからね、此処で更新速度落としたら戻ってこれないだろうし、頑張るよ……でもゲームさせて()
ダーケストダンジョン、ずっと積みゲーにしてたけど日本語化入ってたのに気付いてやりだしたら止まんねぇ!
奇襲……強撃ランバー……クリティカル………即デスブロー……うぅ頭が……
ちょっと樹海にブライト・ジャイアントぶち殺しに行ってくる。ディスマスの仇討しないといけないんだ(鋼の意思)