魔銃使いは迷宮を駆ける 作:魔法少女()
魔法とは何か?
俺の知る魔法ってのは、空想上の産物であり、科学的に説明できない摩訶不思議な事と言う程度なんだが。
んでこの世界の魔法は大雑把に言って二種類に分けられる。
片や『先天系』、もう一方は『後天系』。
先天系の魔法と言うのは対象の素質、種族などの根本を成す部分が大きく関わる物である。
古よりの魔法種族はその潜在的長所から修行・儀式による魔法の早期習得が見込め、属性には偏りが見られる分、総じて強力かつ規模の高い効果が多い。
魔法種族って言うのは言ってしまえば『エルフ』の事であるらしい。
後天系の魔法が、
俺の覚えてる魔法は素質、種族などの根本にかかわるものっぽいので、先天系の魔法っぽい?
其れとは別に、ファルナによって発現する魔法ってのは決められた文言を口にする事で発動する。要するに『詠唱』と言う動作が必要になる。
んでこの詠唱ってのがかなり曲者っぽい。と言うのも、魔法の基礎中の基礎、詠唱ってのはただ口にするだけでは本来の力が発揮されないのだ。
炎の魔法を扱うのであれば、炎に関するイメージと理解が重要なのだと言う。
例えるなら『焼き払え』と言う詠唱があったとしたら、どの様に焼き払うのかと言うイメージを固め、どの様な効果が発揮されるのかをしっかり理解する事が重要とかどうとか。
基本的に魔法と言うのは詠唱が長くなれば長くなるほど威力が増し、詠唱が短い程発動が早い利点がある。
んで威力マシマシにする為に魔法使いは基本的にその場にとどまって詠唱を行う。
と言うか詠唱と言うのはイメージを作り出し、そのイメージを対象の理解によって論理的に説明し、それを詠唱と言う文言の中に納めて発動させるものである。
炎の魔法であれば『どのように燃えるのか』と言った感じか? それを論理的に、炎の原理に従って論理的に説明する……。
頭痛くなってきた。
基本的に詠唱はひと連なりなのが多いが、詠唱が二段階ある物もあるのだと言う。俺の魔法がだいたいそんな感じ。一段階目で発動準備、二段階目で威力調整、三段階目で効力発動って感じ。
イメージとしては一段階目の『ピストル・マジック』で銃本体の選別。どんな銃器を使うのかを選び取り、二段階目『リロード』によって使用する弾薬を選択。弾薬によって威力が多少増減する感じ?
んで三段階目の『ファイア』で効果発動、簡単に言えば引き金を引く動作。
つまり、『ピストル・マジック』と詠唱するときにより威力の高い銃を想像して詠唱すれば多少は強い威力が出せるっぽい?
ただ、それもなんか違うっぽくてなぁ。
簡単に言うと『詠唱が長い=容量が大きい』で、『詠唱が短い=容量が小さい』って事だろ。多分、きっと、メイビー。
容量ってのは込められる情報量の事、この情報を込めれば込めるだけ魔法の威力・精度があがるっぽい? ただ、その分魔力の消費も大きくなるらしいが。
俺の魔法は基本的に短文詠唱なのでそこまで劇的な効果は無い。はずなのだがどうにも俺の魔法認識が曖昧な所為で今まで俺が使ってた魔法は『中身の無いスカスカな魔法』と言う感じだったらしい?
ちゃんと魔法への理解を深めれば威力は今以上に引き上げられるとかどうとか。
まぁ、それも限界があるっぽいけど。
例え話ではあるが俺の魔法の容量が4MBぐらいだとしよう。長文詠唱で有名なのは【
マジか……。リヴェリアって凄く凄い奴だったんだな。と言うか俺の魔法ショボ過ぎ? いや、リヴェリアの魔法の方が凄すぎるだけか。なんか比べると心が折れそうだから考えるのやめとこ。
其れとは別に、どうやら俺には『並行詠唱』の才能があるっぽい?
本来の魔法ってのは情報を込めるのに相当集中力を行使する訳なんだが……俺の場合は今まで『詠唱』に情報を込めずにそのまま魔法を発動させてた訳で、要するに魔法の威力と引き換えに並行詠唱をほぼ無意識に行っていたらしい。
リューさんも目を丸くしてた。下手をすればもっと早い段階で
ちょうざっくり説明だが、俺の今までの詠唱ってのはかなりふんわりとした想像の上で成り立ってたっぽい。
『魔法って摩訶不思議現象でしょ?』のままでは詠唱は不可能と言われたが、俺の場合は『ミリカン』で『当たり前に使ってた』と言う知識がある。その知識に当てはめて『当たり前』として認識していたが故に発動に支障をきたさなかった訳だ。
ただ、割とざっくりとしたもの過ぎて威力はお察し状態まで下がっていたっぽい? まあ、悪い事ではないみたいだが。並行詠唱出来ていたと言う部分は威力が低いのを差し引いてもそこらの魔法使いなんかよりよっぽどすごい事をしていたみたいだ。
ちなみにだが、魔法の知識、そしてハイエルフとして習得した最高峰の魔法の二つを持ち合わせた【
その上で魔力量だけで言えばリヴェリアを超えているとかどうとか……どっからその情報手に入れたんだ?
……飲食店って割と情報の宝庫だよな。多分だが噂話とかから聞いたんかね?
「今日はここまでにしましょうか。お疲れ様でした」
「はい、ありがとうございます」
皿洗いしつつも講義を聞いた訳だが。うん、その、なんだ。魔法って超難しいんだな。
今まで俺がやってた魔法ってのは要するに魔法っぽい何かを使って攻撃してたってだけで
つまり……もっと魔法の威力を引き上げれる?
「ミリアさんが何を考えているのか大体想像がつきますが。気を付けてください。詠唱にイメージや情報を込め過ぎた場合も、容量オーバーで
……マジで?
「魔法の詠唱と言うのはかなり繊細です。ミリアさんが今まで発動出来ていたのが奇跡と言えるレベルで……しっかりと魔法への理解と、込められる容量の限界を探って、少しずつ進歩していってください。焦りは禁物です」
ははぁ、先達の方の有難い助言である。
魔法の道って奥が深いのな。でも、
「今日も神様は帰ってないのか」
「そうみたいですね」
今朝早く、ベッドの上で目覚めてヘスティア様の温もりが無くて少しさみしいとか感じたのは仕方が無いだろう。もう三日、ぶっちゃけ寂しい。ベル君に一緒に寝ようぜと誘ったけど断られちゃうしさ。
既に準備万端で待っているベル君、今日もダンジョンに潜るっぽい。と言うのもここ最近俺が足を引っ張っている所為で焦っているのだろう。なお、俺は例の仮面を付けて
ファミリアの本拠、ボロっちい廃教会を出て大通りへ。あの廃教会も出来れば修繕したいしなぁ。ガネーシャ・ファミリアの報酬が入ったら修繕費に充てるか……それよりもベルの防具とか俺の防具に当てた方が良いのか? あぁ、ベルの武器も新調しないとなぁ。羨ましげに武器を眺めてるベル君を何度も見てるし。
でも武具類って糞高いんだよなぁ。数百万は当たり前の世界である。まぁ、命を守る物でもあり、ダンジョンで活動するのに必要な物で金に糸目は付けないぐらいがちょうどいいんだと思うんだが。
と、もう直ぐ豊穣の女主人の前だな……一応リューさんに挨拶だけして――
「おーい」
ふむ? この声はアホの筆頭、アーニャさんの――
「待つにゃ
…………
ベルと共に立ち止まって其方に視線を向ければ、予想通りアーニャさんがぶんぶん手を振っていた。表通りで掃除してるのって基本シルさんのイメージだったが、今日はアーニャさんなのか。
「あ、おはようございますにゃ」
「え、あぁ、おはようございます」
「……おはようございます」
丁重に頭を下げるアーニャさん。最初の一言目が
つか頼みってなんだ? 一応バイト中に世話になった事もあるし、聞くのは吝かではないが。
アーニャさんの前まで行ったところでアーニャさんが紫色のがま口財布をベルに差し出した。ベルが思わず受け取るとアーニャさんがしっぽをゆらゆらさせながら説明……説明? し始める。
「にゃから、おみゃーはおっちょこちょいのシルにこの財布を渡すのにゃ」
説明になってないぞこれ。予測だがシルさんが財布忘れて買い物に出かけたから渡して来いって話だろ? 買い物って基本二人組で行くって話だったと思うんだが、それに朝一で買い出し? 時間帯的にズレてるんじゃ?
「えっと……ごめんなさい、まだ話がよくわからないんですけど」
ベル君、アホのアーニャさんの話を理解できない模様。むしろここでベル君が即答で「はいわかりました。任せてください」とか言い出したらどうしようかと思ったぐらいだし別に構わんが。
つかアーニャさんはなんでわかんないんだコイツみたいな表情やめてあげてくれよ。間違いなく貴女の説明が悪い。と言うかさっきのは説明か?
「アーニャ、それでは説明不足です」
おーリューさん登場。今日も凛々しい立ち姿、洗濯物の入った籠を持っているが背筋が伸びてて雰囲気的に『強い人』って感じがするなぁ。
「クラネルさんも困っています。ノースリスさんは……あの説明で理解できたのですか。凄いですね」
いいえ、大雑把にしか理解できてません。多分シルが財布忘れて買い物に行ったから届けてくれって話だろうし。アーニャさん達は忙しいから誰かに頼みたいって感じだろう。多分。
「リューはアホにゃ。店番サボって
すっげぇ得意げな顔だけど、普通わかんねぇよ……いや、予測は出来るか。
「と言う訳です」
つか流石リューさんだな。なんか困り事があったらとりあえずリューさんに相談すればなんとかなりそうな気になる。後ミアさんも頼りになるし。この店の常連に……いや、今の稼ぎで常連は無理だな。週一でも厳しい。
「なるほど」
「シルは無論、サボった訳では無く、休暇をとっての祭り見物です」
あぁ、なるほど。流石にサボりは無いなと思ったが、ちゃんと休暇を届け出てた訳か。
じゃあアーニャさんはなんでサボりなんて言ったんだ? ……まぁ、
「今頃財布が無くて困っているでしょう、おねがいしますクラネルさん」
「しますにゃ」
「わかりました、任せてください」
良いのか? 俺が――とも思ったが、俺が財布持ってくのは普通に危ないな。後人探しするのに俺は向いてないだろうし。
「ところで、
ありゃ? ベル君には説明した積りだったんだがな。
「ミリアから聞いた限りだとガネーシャ・ファミリアが主催の
……あ、割とざっくりしか説明してなかったか。
「闘技場でダンジョンから連れてきたモンスターを調教すると言うものですね」
「ま、要するにえらくハードな見世物って事にゃ」
「なるほど……え? ミリアも参加するんだよね?」
うん、まぁ、
「大丈夫なの?」
「にゃ? おみゃーも参加するにゃ?」
「ノースリスさんも参加ですか……?」
あぁ、違う。そっちじゃない。勘違いさせてるか。と言うかベル君には説明したはず。キューイを見世物にって……あぁ、闘技場の方にも参加するのかって思った訳か。そっちに参加しろって言われたら土下座して断るわ。
ざっくりと、今までの経緯を話せば割と理解して貰えた。
「にゃ? にゃるほど、にゃからおみゃーはモンスターの臭いぷんぷんさせてたにゃ。しっかりお風呂入ってこないからモンスター臭かったのかと思ってたにゃ」
アーニャさんよぉ……それさぁ、もっと早くに言って欲しかったんだけど。