魔銃使いは迷宮を駆ける   作:魔法少女()

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第六十六話

 ベルの放った強烈な一撃。『詠唱の存在しない即効魔法』という特性を持つベルの『ファイアボルト』は『詠唱』が存在しないという意味では()()()()()という利点と、()()()()()という欠点が存在した。

 控えめに言って、威力が低いのは発動の速さとのトレードオフになっているわけだ。

 そのはずなのに、それが失われた。と思ったがそうでもなかったらしい?

 俺のコンセントレートした魔法の一撃があっけなく弾かれたインファントドラゴンを一撃で倒すに至った原因は、ベルが新しく習得したスキル【英雄願望(アルゴノウト)】によるものだった訳だ。

 そのスキルの効果は『能動的行動(アクティブアクション)に対するチャージ実行権』というもの。簡単に言うと全ての攻撃に対してチャージ攻撃を追加するスキルだ。要するに()()をする事で威力を増加させるスキルである。

 何が言いたいのかというと俺が『集中詠唱(コンセントレート)』して魔法を発動する事で威力を底上げする様に、ベルも『溜め(チャージ)』をする事で魔法の威力を引き上げられるという事だ。要するに俺と変わらない感じになった訳で、ノータイムで放てる高威力魔法って訳じゃない。

 

 安心できるかと言えば、全くそんな事もないが。早い所ランクアップをしなくては本気で置いて行かれかねない。無論、ベルにその気はないだろうが……。

 

 

 

 

 

 ヘスティアファミリア本拠、ベッドの上でぐったりしつつも愚痴を零せば、くすりとヘスティア様が笑う。

 

「ミリア君、きみは少し焦りすぎだよ。もう少しゆっくりで良いんだ」

 

 ヘスティア様の言葉に耳を傾けつつ、ステイタスの更新を行う。ダンジョンであのトラブルの後、ベルが疲労感を訴えた為に地上へと帰還した後、ヘスティア様に相談した結果が以上の通り。全くもって恥ずかしい話だが、焦り過ぎというのは事実であった訳で。

 

「よし、更新完了っと……んん? ミリア君、召喚魔法の最大召喚数が増えてるけど、何かあったのかい?」

 

 

 召喚数の増大? 不思議に思いつつもシャツを戻してから更新後の紙切れを受け取る。

 

 

 

 


ミリア・ノースリス

 

Lv1

 

力:E445 → E452

耐久:F339 → F341

器用:S902 → S929

敏捷:B778 → B799

魔力:SSS1201 → SSS1229

 

《魔法》

【ガン・マジック】

・詠唱派生魔法

 

・基礎詠唱『ピストル・マジック』

・消費弾薬 1/1

・単発の魔弾を放つ

・特殊詠唱『デュアル』

 

・基礎詠唱『ショットガン・マジック』

・消費弾薬 15/3

・単発の散弾を放つ

・特殊詠唱『ソードオフ』

 

・基礎詠唱『ライフル・マジック』

・消費弾薬 1/10

・高威力の魔弾を放つ

・長射程

・特殊詠唱『スナイプ』

 

・追加詠唱『ファイア』

・共通詠唱『リロード』

 

【サモン・シールワイバーン】

・召喚魔法

・最大召喚数『1→2』

・追加詠唱にて封印解除

 

・基礎詠唱『呼び声に答えよ』

・追加詠唱『解き放て(楔を壊せ)

 

【レッサー・ヒール】

・最下級治癒魔法

・基礎詠唱『癒しの光よ』

 

《スキル》

【タイプ:ニンフ】

 

【マガジン・スロット】

・装弾数『30』

・保有最大数『8→10』

・基礎アビリティ『魔力』により効果増加

 

【マジック・シールド】

・防御効果

・基礎アビリティ『魔力』により効果増大

・自動発動

・精神力消費


 

 

 

 

 

「本当ですね。召喚数が1から2に増えてる?」

 

 最大召喚数が増えた? ……キューイがもう一匹出てくる感じ? それはちょっと疲れるかもしれないんだが。

 

「キューイ、貴女がもう一匹召喚できるっぽいんですけど」

「キュイ? キュイキュイィ?」

 

 はぁ? 馬鹿なのぉ? っておい。

 

「キューイは理由を知ってるので?」

「キュイ」

 

 自信満々にうなずくキューイ。本当に知ってるのか? あんまり信用ならんのだが、というかもう一匹召喚できるってアレじゃね? ガネーシャ様に話通しておく方が良いんでない?

 

「キュイキュイ、キュイ。キュイキュイ」

 

 ほむほむ。なるほどなるほど。レベル×1+1が俺の最大使()()()であって。って、使役数ってなんだよ。

 

「キューイ、使役数とは?」

「キュイ? キュイキュイ」

 

 何こいつ、いちいち『馬鹿なの?』って言わないと気がすまないのかよ。知らないだけだよ、っつーかなんでお前は知ってんだよ……。

 えっと、おまけ+倒した竜種を召喚できると。へぇ……俺が倒した訳ではないが、もしかしてインファントドラゴンを召喚できるって感じか?

 

「キュイ、キュイキュイ」

 

 ……イルヘェアンドヴァンドゥ? えっと、うん。頭痛くなってきた。とりあえずそのイルヘェアンドヴァンドゥってのが召喚できる訳ね? ……イルヘェアンドヴァンドゥとは何だ?

 

「ミリア君、何かわかったのかい?」

「えーっと、キューイ曰くですけど」

 

 レベル×1+1の数だけ竜種を使役できるっぽい? んで召喚できると。つまり今日倒した……俺が倒した訳ではないが、どうもあのインファントドラゴンを召喚できるらしい? ……インファントドラゴンを召喚できるようになったとして、言う事を聞いてくれるのか? はなはだ疑問である。

 

 

 

 

 

 ヴェルフ・クロッゾの不可思議な話を聞いた上での感想は、まぁ職人気質なんだなぁぐらいな感じ? 魔剣が打てるけど打たないのは、要するになんかの拘りがあるんだろう。他者がとやかく言う事じゃないし、魔剣を打たないだけの理由があるなら別に構わんだろう。

 ベルの方は少し考えこんでいたが。変に関わる必要もないだろうし、打ちたくないならそれでいいだろう。強力な魔剣ってのは少し気になるが。使い捨てな感じだからなんともなぁ。肝心な時に使えないとかなったら目も当てられん。

 エリクサー症候群って言うんだったか? いざという時に使い渋る事をそういった気がする。

 

 早朝のダンジョン前で出会ったヴェルフから新調してくれた鎖帷子を受け取りつつも、今日はリリが休みなのを伝える。

 

「なんだ、今日はリリ助は休みか」

「はい。下宿先のノームの親父さんが病気なので看病してあげたいって」

 

 此処で怒る様なら、今後のパーティ活動について考える必要があるが。

 

「そうか。なら仕方ないな」

 

 割とすんなり頷いてくれたわけだが。まぁ多少癖はあるだろうがそこまで悪い奴ではないだろう。今まで接してきた者とは違う職人気質もちか。ちょっと面倒と言えば面倒か。

 

「とりあえずミリア、その鎖帷子についてはお前から借りた前の奴と同じ様に作ったが、少し改良しておいた。材質もそれなりの物を使ったからだいぶ使いやすくなってるはずだ。問題があったら……そうだ、二人とも、今日は一日俺にくれないか?」

「え?」

「約束しただろう。パーティに入れてくれたら礼をするって。お前たちの装備、全部新調してやるって」

 

 ベルが嬉しそうにしているが。俺はー、うん。ちょっと今日はダメかな。リリが居ないからダンジョン探索するのもアレだし、ガネーシャ様の所に行こうと思ってたんだ。

 

「すいません、それはベルと二人で行ってもらっていいですかね? 今日はちょっとやる事があるので」

「おう? そうか。鎖帷子の調整もしたかったが、用事があるなら仕方ないか」

 

 新しく召喚できるようになったインファントドラゴン? についてガネーシャ様に相談したいからな。すまん。

 

 

 

 

 

「何? もう一匹召喚できるようになった? インファントドラゴンを?」

 

 ガネーシャファミリアを訪ねたら、割と迅速に神ガネーシャが出迎えてくれた。暇してる訳ではないだろうに、対応早いなぁ。驚きの表情を浮かべたガネーシャ様に深くうなずく。

 

「ふむ? 今召喚できるのか?」

「まぁ、一応」

 

 キューイは今現在、ヴィルヘルムの元に行って求愛しているから居ない。

 

「ふむ……大丈夫なのか?」

 

 大丈夫っていうのは、ちゃんと言う事を聞くかって意味か。どうだろうなぁ。

 

「それが少しわからないんですよね。ダンジョン内での言動を見る限りだと、危ないかもしれないです」

「それは……そうだな。今日は円形闘技場(アンフィテアトルム)でモンスターのテイム練習を行う申請をしていたのだ。そこでその召喚を試す、というのはどうだろうか。安全の為にこの俺、ガネーシャの団員が見守る中で、だが」

 

 どうやら円形闘技場(アンフィテアトルム)を貸し切りにして、下級団員達のモンスターテイム練習を行うことになっていた、らしい?

 テイム済みのモンスターに手加減してもらいつつも、下級の調教師達にテイムの練習をさせると。ダンジョンでやろうとすると死ぬ可能性が高いのでテイム済みモンスターでまず練習から入るらしい。テイム技術のあるファミリアらしい活動だが。

 ……ふぅむ? 好待遇過ぎる気もするが。いいのだろうか?

 

「いいのですか?」

 

 ガネーシャファミリアの団員が護衛に入ってくれるって、かなりいい環境だろう。多分、俺一人だと手に負えなくなる可能性もあるしなぁ。

 

「構わない。もし友好的なモンスターであれば来年の怪物祭(モンスターフィリア)の目玉にもできるからな」

 

 怪物祭(モンスターフィリア)ねぇ。今年の一件からガネーシャファミリアの株が大暴落してるから、来年が危ぶまれてるんだが、そこらへんは何とかするのかね。

 

 

 

 

 

 

 円形闘技場(アンフィテアトルム)中央部。大きく広がった舞台の上に立つ俺と、観客席に一定間隔で立っている20人近いガネーシャファミリアの団員。そして特等席から神ガネーシャが見下ろしてきている。

 キューイは、入り口の一つに待機しているヴィルヘルムの足元で求愛してる。あいつマジで蹴っ飛ばそうかな。

 

「では、始めてくれ」

 

 神ガネーシャの合図と共に、両手を前に突き出して想像を固める。召喚するインファントドラゴンのイメージをしっかりと固め、詠唱を開始した。

 

「『呼び声に答えよ』」

 

 詠唱を終え、魔法名を呟くだけになった途端に、目の前が揺らぐ。眩暈とは違う感覚に一瞬戸惑い、動きを止めてしまった。

 数秒、その揺らぎが続く。しかしそれ以上の変化は一切見られない。イグニスファトゥスしそうになってるわけでもない。意味がわからんが、とりあえず発動を促してみた。

 

「『サモン:シールワイバーン』っ」

 

 キューイを召喚した時をなぞらえる様な光景。ダンジョン内ではなく日の光降り注ぐ地上で行っているという差異はあれど、その複雑怪奇な魔法陣はあの時の光景を思い浮かばせた。

 次の瞬間には響く竜の咆哮がー、聞こえてこない。静かに、水面が揺らぐ様に魔法陣が揺らめき、そしてその中からゆっくりと灰色の翼が現れた。

 

 翼? インファントドラゴンは翼のない地竜だったはずだが。そんな疑問を他所に、その全貌が魔法陣から這い出てきた。

 

 キューイ召喚の時ほどの迫力は一切無い。現れ出でたのはキューイを二回り程大きくした様な体格の、灰色のワイバーン。キューイが子猫というなら、灰色のワイバーンは子犬だろうか?

 静かに目を閉じたまま俯く姿には、憤怒の雰囲気は一切なく、いっそ死んでいるのではないかと思える程の静けさを孕んでいる。魔法陣は既に消え去っているにも拘わらず、動く気配は見えない。

 

「あー、こんにちは。私はミリア・ノースリスと言います」

 

 挨拶は大事。とりあえず動かない相手に対して挨拶を飛ばしてみると、その灰色のワイバーンはすっと顔を上げた。キューイとは違い、黄土色っぽい瞳は、色は違えど宿す光は同じだ。落ち着いた、凪いだ水面を思わせるような透き通る輝きに目を奪われる。

 

《貴様は……。此処は何処だ。俺様に何を────ふむ? そうか。あの穴倉から引き上げたのか。力を封じる楔は忌々しいが、あの不愉快な穴倉から出した事は褒めてやる。特別に()()()()()()()()()()()

 

 輝きに目を奪われていたら、超絶物騒な事を言い出した。え? 殺さないでおいてやる? すっごい上から目線なんだけど、なんで?

 

《しかし、こうも力を封じられては何も出来ん。んむ? あれは──太陽か。久しいな……ふむ》

 

 感慨深い様子で空を見上げ、太陽を眩し気に眺める姿は、小さくとも威風堂々とした威厳溢れる姿をしている。

 

「えっと、質問よろしいでしょうか?」

《構わん。俺様が許そう。何が聞きたい。小さき者よ》

 

 お前の方が小せえだろ。小さい小さい言いやがって……。まぁなんか友好的とは言い難いけど、敵対的じゃないから話を聞こうじゃないか。周りのガネーシャファミリアの団員と、ガネーシャ様に『話が通じそうだ』というサインだけ出してから、灰色のワイバーンと向き合う。

 

「貴方はどちら様でしょうか?」

《……? 誰かだと? それはー、む? 貴様はあの時の()()()か。なら何故覚えておらんのだ》

 

 ……()()()

 

「えっと、弱き者とは?」

《ちんけな抵抗を試みようとした、愚かで矮小な弱き者。貴様、俺様をこの身に封じる力を持ちつつも、それを自覚すらしていないのか。哀れだな》

 

 ……………………。

 

「すいません、端的に言います。貴方はインファントドラゴンで間違いないですか?」

《イルヘェアンドヴァンドゥ? それは小さき者共が俺様を呼ぶ名だ。弱き者、お前がそう思うのならそうなのだろう。俺様に名は無い》

 

 あははは、こいつも竜種独自の変な呼び方かよ…………。いい加減にしてくれないか。

 

「それで、貴方は私の言う事を聞く気はありますか?」

《…………弱き者、なぜ俺様がお前に従わねばならん。あの穴倉より出してくれた事には感謝してやる。だがな────お前の様な弱き者に従う気はない》

 

 ………………。

 

《いいか、お前があの穴倉から出した事を踏まえ、今の無礼な発言は許そう》

 

 …………。

 

《だが、次そんなふざけたことを口にしたら》

 

 ……。

 

《殺すぞ、弱き者よ。俺様を従えたくば、お前の手で俺様を殺して見せろ》

 

 あぁ、くっそ。畜生、弱い弱い言いやがって。どいつもこいつも──むかつく。

 

 

 

 

「話し合いはどうなった?」

「……友好的とは言えないですね。敵対的ともいえないですが」

 

 一度神ガネーシャの元に戻って報告。肝心のインファントドラゴンの方は円形闘技場の中央で空をジーっと眺めている。時折、《懐かしい》だとか《もう思い出せない》だとか呟いてるが。

 

「ふむ? どういうことだ?」

 

 現状を説明してみる。言う事聞かせたかったら俺様を殺して見せろってのが端的に言い表しているが。インファントドラゴンを倒したのは、俺ではない。ベル・クラネルだ。

 

「なるほど……力を示さねば従わぬか。道理だな」

 

 大体のモンスターが弱い奴に従う気はこれっぽっちも無い訳で、つまりインファントドラゴンも同様。俺がとどめを刺すなりなんなりしてりゃ可能性があった。だが、俺の魔法はあっけなく弾かれた訳で。

 

《ミゥリゥ・ノゥシュルス。何かあったのか?》

 

 神ガネーシャと話していると、頭の上にキューイを乗っけたヴィルヘルムがのしのしと歩いてきた。自由に動き回ってるみたいだが、大丈夫なのだろうか?

 神ガネーシャ曰く、他のモンスターと違って理性的で理知的。体格や構造から出来ない事も多いが積極的に手助けをしてくれる()()()なので自由にしているらしい。暴れられたら手に負えないが、イブリー・アチャーに絶対服従を誓っているので、彼にある程度制限してもらってはいるらしいが、それでも自由にさせすぎな気がしなくもない。

 

 とはいえ同じ竜種として、話が通じるかもしれない。神ガネーシャに許可をもらいヴィルヘルムと少し話し込むか。

 

「という感じなのですが。私はどうすれば良いでしょうか?」

 

 目の前にどっかりと腰を下ろしている深紅のワイバーンに現状を粗方説明し尽くせば、彼はゆっくりと数度頷いて口を開いた。

 

《竜とは、誇り高き生き物である》

 

 本来、竜種というのは誇り高い生き物であり。他の種と比べ物にならない力と知性を宿している。ゆえに他の種族を見下す様な態度をとることが多い。

 だが、竜種は決して見下している訳ではない。というよりは()()()()()()()というのは他のモンスターと変わりはしない。ただ、プライド高いが故に、他のモンスターであれば()()()()()()()()()となるが。竜種の場合は()()()()()()()()のだという。

 

 竜種の調教(テイム)は非常に難易度が高い。理由は簡単。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだという。ただ、()()()()()()と一口に言えど、実際に()()()()()()()()()()()()

 つまり、()()()()()()()()()()()()という事だ。

 当然、死んだ後に忠誠を誓われてもしゃーない訳で……。

 

 ここで一つ発覚した事がある。キューイについてだ。

 キューイは()()()()()()()()()()()()。では、キューイと俺の関係は何かと言えば『友達』である。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。シンプルでいて、わかりやすい。

 キューイが俺の指示に従わないのは、面倒だったり、やりたくない事だったりする事ばかりであって、本当に危ない場面なんかになった場合には()()()()()()()()()()()

 なんというか、今まで俺の指示に従うモノだと勘違いしていたが。キューイはあくまでも()()()()()()()()()()()()感覚であったのだ。

 

 此処まで言えば分かる奴も多いかもしれんが。要するにインファントドラゴンもキューイも一度殺せば、後は従順に従ってくれるという事だ。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 どういうことかと言えば、『解き放て(楔を壊せ)』という追加詠唱を行い、俺の付けた枷を壊して本来の力を開放した状態でなければ、意味がないのだという。

 枷とは何かと言えば、俺の使役状態に陥った竜種が反旗を翻した際、俺が殺されない様にする為の安全装置(セーフティー)であり、俺が倒せる程度にまで弱くなっているのだ。

 これがあるおかげで、俺はインファントドラゴンに唐突に踏み潰されずに済んでいる訳で、なかったら……。

 

《私だったら迷わず殺していた》

 

 思わずぞっとした。ヴィルヘルムはレベル4相当のワイバーンである。敵うはずもない相手の殺気に、思わず膝が笑った。

 力なき者に()()()()()()()()状態というのは、誇り高い竜種として許せる状態ではないとかどうか。()()()()って何かと、次々に疑問が生まれる。なんか面倒だが、キューイが()()()らしい。何時っていうとインファントドラゴンを倒した時。レベル1だからこれ以上食べられないらしいが、ランクアップすればレベルの数分だけ食べてあげれるとかどうとかキューイが言ってた。ちょっとこの話は置いておこう。話が進まない。

 

 だが、誇り高い竜種が大人しくしているのは()()()()()()()()()()()が大きいらしい。なければたとえ力を封じられていたとしても殺しにきていたのだという。

 

 ともかくとし、インファントドラゴンを従える為には『本来の力を持つインファントドラゴン』を殺す必要があるらしい。無理だろそれ……。

 

 …………………………。

 

 もし、もしもあのインファントドラゴンを単独討伐すれば────ベルに追いつけるだろうか?




 本来のインファントドラゴンとの一騎打ち。死にたいのかな……?

 原作だとベル君の一撃で即死しているので、ぶっちゃけどんだけ強いのかわからんモンスターですが。とりあえず上層の迷宮の孤王(モンスターレックス)ともいわれる希少種(レア)モンスターという話なので、相応に強いのでしょう。

 具体的には適正階層レベル+2ぐらい?
 中層上部(適正レベル2)のゴライアス(レベル4相応)
 下層(適正レベル2~3)のアンフィスバエナ(レベル4(水中で5?)相応)
 深層(適正レベル4~)のウダイオス(レベル5~6相当?)
 なので、多分レベル3相応のモンスターになるんでしょうかね。


 まぁ、手はあります。というかとある場面で既に行っています。何処で使っているのか気付く人は居ないだろうなと思います。というか気付いた人が居たら怖いよ……。

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