魔銃使いは迷宮を駆ける 作:魔法少女()
さて、まずは何を話すべきだろうか。
あの魔力の過剰充填による決死の一撃は、ちゃんとインファントドラゴンを仕留めた。
其の上で俺は死にかけた。インファントドラゴンを“過剰な魔力を込めた一撃”で仕留めた際、俺は瀕死の重傷を負った。というか半分死んでたらしい。
俺の状態を端的に言うと、裂傷、打撲、火傷、凍傷、骨折、etc. 人類が今まで負ってきた怪我の種類を全部網羅する勢いの数の怪我の数々。当然、それぞれの怪我に対する治療行為を行わなくてはならない訳でー、エリクサーで一発解決じゃね? と軽く考えていたが、どうもそうはならなかったらしい。
特に酷かったのが魔力による自損、体内組織の半分が機能不全状態がどうのこうの。つまり死んでたって事だ。
詳しくは知らん。ディアンケヒトファミリアのアミッドさんが全部なんとかしてくれた。らしい?
状況を説明すると、俺が瀕死の重傷を負った直後、ガネーシャファミリアの団員が最低限の応急処置を済ませて医療関係のファミリアに俺を担ぎこもうとしていたのだが、其処にちょうど神ディアンケヒトとアミッド・テアナサーレが神ガネーシャに話をつける為に訪ねてきたらしい。
話の内容は当然『
結果として、俺はその場で即座に治療を施された。
アミッド・テアナサーレはディアンケヒトファミリア製の薬品類を一式持ってきていたらしい。
今まで、
其の為、ディアンケヒトファミリアの顧客リストに俺の名がない事に気付いたアミッドという人物は、俺に対して自分のファミリアの取り扱う薬品類を手渡し、使用して貰う事でディアンケヒトファミリアの薬品を売り込んで竜の素材の取引契約をディアンケヒトファミリアと結んで貰おうと思っていたらしい。
そのための薬品一式は、俺の命を救うのに大層役にたったそうな……ディアンケヒトファミリアに借りが出来てしまった訳で。
まぁ、他にもいろいろである。神ガネーシャの説教、ヘスティア様の涙、ベルとヴェルフが俺が死んだと誤認した事、
一つ一つ、話していくと長くなるだろう。俺の起こした騒動は、まぁ色々あり過ぎてまとめきれない。
まずは息を吹き返した俺に対する神ガネーシャの説教。神妙な面持ちでやってきた神ガネーシャは開口一番でこういった『ミリア・ノースリス。見事な一撃だった』とお褒めの言葉を頂き。その後、説教である。
神ヘスティアを悲しませるなだとかどうとか。めちゃくちゃ怒られた。怒ると怖い神なんだと実感したし。
次いでヘスティア様。俺が半分死んでいた事で、ファルナの繋がりが立ち消えかけて、ダンジョン内で危機的状況に陥っているのではないかと勘違いしたヘファイストスファミリアでバイト中だったヘスティア様が、神ヘファイストスに泣きついてー、主戦力が居ないからと拒否され、神ガネーシャの所まで泣きながらやってきた。んで俺が神ガネーシャからの説教を聞き終えた所にヘスティア様が飛び込んできてー、一連の流れを聞いて泣き出した。それから泣きながら説教された。普通に、一番効いた……うん、まぁ……本当に申し訳ない事をしたと思う。
んでヴェルフとベル。どうにも神ヘファイストスが違和感を覚えてヴェルフの工房に顔を出したらしい。というのも神ヘファイストスはヴェルフがベルと俺と共にパーティを組んでいたのを知っており、ヴェルフが工房でベル・クラネルと共にいる姿を見た団員達からの報告で、ヴェルフがダンジョンに行っていないのを知っていたと。
んでヴェルフとベルが工房で色々と装備新調を行っている所に神ヘファイストスがやってきて『ミリア・ノースリスが死にかけてるみたいだけど、何処に行ったのか知っているかしら?』と質問を飛ばしたと。
慌てた二人は大急ぎでギルドに顔をだしてエイナさんに俺の居場所を聞くもエイナさんは当然知らず、最後にダンジョン前で別れた事からダンジョン内に行ったのではとダンジョンに向かってー、見つからずに『ミリアを見つけられなかった』と嘆きながらダンジョンから出てきた所をガネーシャファミリアの団員が見つけて事情を聴いてこっちに来たと。既に死んだと思っていたらしく二人ともめちゃくちゃ慌ててた。リリも来てくれたが『二人とももっと落ち着いて行動してください。そしてミリア様はもっと自愛の心を持ってください』と呆れ返っていた。
他にも俺の使った魔法の一撃で
神ガネーシャ曰く『流石に半分しか出せない』との事なんだが、全額こっちで払うといっても聞き入れて貰えなかった。『この俺、ガネーシャが許可を出した事だ。むしろ半分しか出せない事について申し訳なく思っている』だとさ。うん、良い神過ぎて顔を合わせづらい……。
それからあの一撃が引き起こした騒動があった。簡単に言うと、
神ガネーシャは『気にするな、この俺ガネーシャに全て任せておけ』と胸を張っていたんだが。本当に申し訳なさすぎる。
様々な事があったが。とりあえずは俺は生きていて、インファントドラゴンを従える事には成功した。
「全く、ミリア君も無茶をし過ぎだよ。どれだけ心配したと思っているのさ」
「本当にごめんなさい」
ガネーシャファミリアの本拠の一室。客室として用意された部屋のベッドの上で土下座をして謝る。目の前にはヘスティア様。そして同室のテーブルを囲むベル、ヴェルフ、リリの三人。
神ガネーシャや団員は俺の起こした騒動の火消しをしている。俺も手伝いたいがアミッド・テアナサーレから『今日一日は絶対安静、ベッドの上から動く事は禁止。食事、薬は他の人に世話になるように』だとさ。下の世話とか前世でもして貰った事無いよ……。
結局、ヴェルフにも俺が
「はぁ、ミリア様はもう少し考えて動ける方だと思っていたのですが」
「ははは、生きてたならよかったじゃないか」
「ヴェルフ様、そんな風に甘やかしていたらミリア様はまたどこかでやらかしますよ」
「それはー、僕もそう思うかな。ミリア、一人で無茶しちゃダメだよ」
俺の評価が下がっていくー……。無茶の代償だね。もういろいろと大事な物も含めてなんかなくしてしまった気がする。
「ガネーシャにも沢山迷惑をかけたし。ディアンケヒトの所にも世話になってしまったんだろう?」
そうだよ。神ガネーシャには返しきれない恩が出来てしまった。神ディアンケヒトの方はノーコメント、といきたいが俺の命を救ってくれた事に代わりはなく、一週間後にファミリアの本拠を訪ねる約束が取り決められた。俺の意識がない間にである。まぁ、命救ってもらっておいて断るとかできんよなぁ?
「それで、結局ランクアップはできたのですか?」
「あー、まだ更新してないのでなんとも」
「むしろそれだけしでかしといてランクアップできなかったってなったら流石に不味くないか?」
「…………不吉な事言わないでくれませんかね?」
こんだけ盛大にやらかしておいて『ランクアップできなかったよ(てへぺろ☆』なんてやったら普通に殺されても文句言えんだろ。…………ランクアップできるよな?
「まぁ、それも今から更新すればわかりますし」
「更新するのかい?」
「しちゃだめですか……?」
「絶対安静なんだから今日は大人しくしていなよ。ガネーシャも今日は宿泊を許可してくれたし」
えぇー……。
「そんな悲しそうな顔しないでくれ……はぁ、じゃあもしランクアップしててもランクアップ更新は行わない。通常の更新のみだけやるっていうならいいよ」
やったー!
「……ミリアちゃん、何か良いことでもあった?」
ギルドに顔を出せば開口一番でエイナさんにそう尋ねられた。ただし、般若の様な表情で、であるが。
結果として、俺はちゃんとランクアップできる状態であった。其のことがうれしくてうれしくて、とりあえずヴェルフやリリ、ベル、ヘスティア様なんかにどれだけ嬉しいかを語った。それで鬱陶しがられた。
『流石に浮かれすぎだろ』とか『ミリア様、その話は十五回目です』だとか『あはは、アイズさんの話をしてる僕ってこんな感じなのか……』とか『ミリア君、いい加減寝ないと怒るよ』とか言われた。うん、わかってるけど嬉しすぎてね?
で、次の日には動いていい許可が出たのでエイナさんに自慢しに来たわけだよ。まあ、結果はお察しというかなんというか。
「また、無茶したの?」
あっ、はい。絶賛説教中。個室に連れ込まれるのはベルだけだと思ってた。個室、エイナさんと二人きり、エッチな事がー……
「ミリアちゃん? 何を考えているのかな?」
ごめんなさい、ちゃんと説教は聞くんで許してください……。
神ガネーシャにも昨日説教を食らって、ヘスティア様から泣きながら説教を食らい。エイナさんは本気の説教である。どうやら昨日の一件についてギルドにも説明が届いたらしい。ガネーシャファミリアの謝罪文。
その関係に俺が関与しているのはどうやらバレている。というか、昨日の一連の流れの中でディアンケヒトファミリアがかかわったのがまずかったらしい?
どうにもドラゴンテイマーの正体が既にオラリオ中に広まっている。神ディアンケヒトが神ミアハに『我がファミリアは件のドラゴンテイマーと取引が決まった』と自慢しにいってー、神ミアハが『ミリアはディアンケヒトの所と取引をするのか。ディアンケヒトの所ならあの素材の効力を正しく引き出せるだろう。うむ、良い事だ』と受け流してー。
その後、ミアハファミリアとドラゴンテイマーが取引していたのがバレてどうの。
結果としてヘスティアファミリアのミリア・ノースリス=ドラゴンテイマーの構図が広まったらしい。それとランクアップの話も広がってるっぽい? こっちについては神ガネーシャが早急に『ランクアップ可能なら即座に更新してくれ』と要請してきたわけだが。
所属ファミリアが割れて、ついでに其のファミリアが最短記録を大幅に塗り替えたベル・クラネルの所属と同等。そして竜を従えるという他にない特徴を持つ上、あの強大な一撃も放てるとなると、神々が押しかけてくるだろうとの事。
今日、明日は平気でも、明後日以降は完全に裏取りを済ませたファミリアの主神が訪ねてくるだろうし、もしランクアップが真実だと知れ渡れば数多くの冒険者がヘスティアの眷属になりたがると。
まぁ、当然っちゃ当然の話か。なんたって1か月半でのランクアップと、その数日後にもう一人ランクアップ者を出したファミリア。同じファミリアに所属しており、人数は二人のみ。その二人があり得ないぐらい早いランクアップかませば、ファミリアの方に押しかける冒険者もいるよなぁ。
「わかった?」
「わかりました。ご心配おかけして申し訳ありませんでした」
わかった? 何が? なんて返したら再度説教が初めからになってしまう。そんなの冗談ではない。
「はぁ……まったく、ベル君もミリアちゃんも無茶しすぎっ! 特にミリアちゃん、インファントドラゴンと戦うなんて……ミノタウロスの時とは事情が違い過ぎるよ」
……。あの場で、逃げる事が出来なかった強化種のミノタウロスに対し、今回のインファントドラゴンは、無理に戦う必要はなかった。それはその通りである。その通りなんだが、俺が納得できなかった。
「……ミリアちゃんは、いつか無茶して死んじゃいそうだから、怖いわ」
「大丈夫ですよ。そうやすやすと死ぬつもりはありませんって」
「本当にわかっているのかしら」
わかってるさ。とりあえずはランクアップもして焦りはー、薄れた。無くなった訳ではないが、それでもランクアップで心に余裕もできるというもんだ。つまり問題はない。のーぷろぶれむってやつだよ? 本当だよ?
「それで、ミリアちゃんも発展アビリティが三つとか言わないよね?」
「…………」
「ミリアちゃん?」
人が、気にしている所をぶっ刺してきやがった……。
「《魔導》が出ましたね」
「へぇ、《魔導》かぁ。魔法使うミリアちゃんにはぴったりね。他には?」
「……ないですよ?」
発展アビリティは、一つだけ。ベルは三つも発現したのに、俺は一つだけだった。正直、もっと、こう、俺にはなにか才能があるもんだと思ってたが、違うらしい。
いや、発展アビリティ一つとはいえ、魔法使い垂涎物の《魔導》がでただけでも、十二分に過ぎる事である。
それでもなぁ……。
いや、やっぱまだ焦りはある。ベルの才能に嫉妬する訳じゃあないが、それでも追いつくのにかかる苦労がどれ程のものか想像できないぐらいには。
「ミリアちゃん、もう無茶しないでね?」
………………。出来ない約束だなぁ。ヘスティア様にも直接伝えたけど。
必要とあらば、無理を通そう。道理を引っ込ませよう。そうしなきゃ、ベルに追いつけないだろうし。其の上で約束しよう。
「大丈夫です。絶対に死にませんので」
死なない。無茶もする、無理もしよう、その上で約束する。俺は絶対に死なない。必ず帰ってくるし、必ず『ただいま』と口にする。
『更新しようと頑張っていたら、わけのわからない話が出来ていた』
作者渾身の白目()
なんか、この、何? もう飛ばしてよくね? 3行ぐらいにまとめてさ。
『死にかけたけどインファントドラゴン倒したよ』
『色々と問題はあったけどね☆ミ』
『わーい、ランクアップだぁー』
以上。他に? ガネーシャ様って素晴らしい(尊敬の眼差し)