魔銃使いは迷宮を駆ける 作:魔法少女()
ガネーシャファミリア本拠の形状についてどう思うか? 本音を言えばもっと普通の形でいいのではないかとは思う。思うが口にはしない。
全ての神々の『本音言っちゃえYO』というコールが聞こえるが無視。俺は目を瞑りすまし顔でこう言い切った。
「とても素晴らしい本拠だと思います」
嘘だろ。そう思うだろう? だが割と本音である。彼の神ガネーシャは素晴らしい神である。その姿を象った本拠なのだから素晴らしくない訳がない。半ば自分に言い聞かせながら言い切ってやった。
それに対する神々の反応は、爆笑。
「嘘と本音が混じりあってる。え? 本音? マジで素晴らしいって思ってんの? 頭大丈夫?」「凄い努力したのは認める。で? 本音は?」「YOU本音言っちゃえYO」
嘘じゃないし。ほんとだし。半分だけだけど。ホントダヨー、ウソジャナイヨー……。やめてそれ以上追及しないで、って頭大丈夫ってなんだよ、大丈夫だよ!?
「ミリア・ノースリスは素晴らしいと言っているだろう! この話は此処で終わりだ」
「ふざけんなガネーシャ」「本拠の改装はよ」「
神ガネーシャに対する批判の声が多数あがってる。もしかしてなんだが、神ガネーシャに反対してる神々って、あの本拠の形が気に食わないだけなんじゃ……?
「話が進まないのでこの話題は此処で終わりだ」
神ガネーシャが強引に話を進めようとしているが、神々が何度も『本拠をどうにかしろ』と野次を飛ばして妨害してる。話が長引きそうだがこっちから注意が逸れてくれたのはありがたい。
「あー、面倒だからガネーシャファミリアの無償奉仕を二ヵ月から六ヵ月に増加。これで話終わりにしよう。
…………? 楽しみたい? なんか背筋がゾワッとした。気のせい……? じゃないぞ、なんかニヤニヤとこっちを眺める神が多い。なんだ、何が起きる……? キューイとヴァンの話し合いがメインな訳で……つまり、狙ってる神か?
ニヤニヤと此方を眺める神をそれとなく睨み返していると、神ガネーシャが大きく両手を広げて口を開いた。
「皆、聞いてほしい。ミリア・ノースリスが支配下に置いた竜種二匹を、オラリオ内で自由に動き回る許可が欲しい。当然、先の通りこの二匹はミリア・ノースリスに完全に従っている。暴れ、被害を出す事はありえないだろう。もし被害を出す様な事があれば、この俺、ガネーシャが責任を取る」
「僕も、責任はとる。どうか認めてほしい。たのむっ」
ヘスティア様も立ち上がって神々に頭を下げている。神ガネーシャとヘスティア様をじろじろと眺める神々。此処で茶々を入れられれば話がこじれる。できれば穏便にいきたいし
そんな風にお祈りしていると、一人の神がおもむろに手を挙げた。
「別にそれはどうでもいいんだけど」
……はい? え?
キューイ&ヴァンについての話し合いは、なんか予想してたよりあっさりと終わった。
神々曰く『言う事聞くという事実よりは、魔法で器を形成して従える形だから』らしい。
わかりづらいが、魔法で
それでも神ヘスティアはそこらへん信用できるし問題があればヘスティア様を天界に強制送還っていう形になるのを承諾できるなら別に構わん、という事らしい。
問題起こしたらヘスティア様と会えなくなる訳で……。キューイ、ヴァン、二人? 二匹とも、問題起こすなよ。絶対だぞ? 振りとかじゃないからな?
予想外のあっさり解決にほっと一息ついてヘスティア様とぐっと親指を立てあっていると、神々が興奮した様に囃し立てるさ中、司会進行を行っていな神がテンション高めに高らかに叫んだ。
「んじゃ、どうでもいい話はここまで。ガネーシャの本拠をどうにか出来なかったのは悔いが残るが、それはもう忘れよう。今から、楽しい楽しい
二つ名命名式? え? 何それは……え? 神会でやるんじゃないの? 前回の神会って一週間前に終わって────
…………今回執り行ってるこの会議ってなんだっけ? 確か、そう
「っ、待ってくれ、僕はそんな話聞いてないぞっ!」
「ヘスティア、二度目の楽しい二つ名命名式なんだからそんなに驚く事無いぞ」「
「ガネーシャッ! 聞いてないぞっ!!」
ヘスティア様が騒いで神ガネーシャに詰め寄っている。ガネーシャ様は困った様に肩を竦めた。
「神々を集めるときに二つ名命名式も執り行う事が決定していてな……」
「なんで言ってくれなかったんだっ!」
「……其方よりも重要な事があってだな」
「あのー」
「どうした?」
「私の二つ名を決めるのであれば、私が此処に居ない方が良いですよね?」
俺の発言を聞いた神々の反応は、『何言ってんだこいつ』という呆れ顔。なんだその顔、待ておかしいだろ。
「普段、眷属の反応見ながら二つ名命名なんて
思わねーよ。逃げさせろよ、なんで回り込んでくるんだよ。ラスボスかよ……。
「安心しろ。
その、【絶†影】とか【†
「ミリア君……安心するんだ。僕がついてる」
ヘスティア様ぁ……。そうだ、俺には心強い味方がいる。ヘスティア様もそうだし、ミアハ様だって……ミアハ様居眠りしてね? ……いつも忙しそうだもんね。寝ちゃうよね。うん、そっとしといてあげよう。
他にも心強い味方が何人もいるんだ。神ガネーシャもそうだし。そうだよね?
「うむ。この俺ガネーシャもついているぞ」
うっし。これで味方が二人。後はー……にやけ顔の神ロキ。味方? カウントして良いのか不明であるが味方であってほしい。
他にはー……こちらに笑みを浮かべる古風な和の神。えっと、角髪? っていう髪型の和装の神。ぐっと親指を立ててくれてるし、味方?
「タケも味方してくれてるっ!」
ぐっとヘスティア様が親指を立て返してるし、味方だろう。タケ、タケ……神タケミカヅチの事か。なるほど、初めて見たが良い人そうだ。
その神タケミカヅチはミアハ様を揺り起こして耳元で何かを囁く。するとミアハ様がこっちを見て笑みを浮かべた。なんか女神達が黄色い歓声を上げてたのは気のせいだろう。『タケミカヅチ様が攻めで~』とか、神でも腐るのか……。
後は? もっと味方がいた方が安心感が……。神デメテル? 柔らかなほほ笑みを向けてくださる巨乳神。味方カウントでよさそう? もう味方でいいよね。
ヘスティア様、神ガネーシャ、神タケミカヅチ、神ミアハ、神ロキ(?)、神デメテル(?)。そう6柱もの神が俺についてる。ヤッター。もう負ける気しませんね。帰って寝たい。
「ちなみに、二つ名命名の際には多数決だから、安心して良いぞ」
ふざけんなそこの司会進行役っ! なんでさっきから俺の心を読んだ様に先回りして希望を潰してくるんだよっ!!
此処に居る神々の数は総勢60人、対して味方の数は6人。1割しかいませんね……? 勝てなくね?
「さぁて、お待ちかねの二つ名命名式ぃぃっ!!
おい待ってくれ、タイムアウト。作戦タイムくださいお願いします。
「【
「【
おい、おいおい……。どっからそんな二つ名が出てくるんだよ。なんでそうなる。おかしい、絶対おかしい。
「【竜使い】等はどうだろうか」
ミアハ様ぁ……。
「つまらん」「却下で」「面白くない」
面白くないってなんだ!! 面白くないってっ!! そんな理由で平凡な二つ名却下すんなっ!!
「さぁて、ここでミリア・ノースリスの反応を見てみよう。どうだ、神々が考案した
おい笑ってんじゃねぇぞ。糞、なんて答えりゃいいんだこれ……。ん? ヘスティア様がなんか慌ててる? どうしt────神々の視線がこっちに集まってる。なんか驚いた表情を浮かべてる?
「…………もしかしてなんだが」「ミリア・ノースリスって」「
あ、そうか。うん、挙げられた痛々しい二つ名の数々。普通の冒険者なら『かっこいいっ!!』って飛び上がって喜ぶもんだもんな。俺の反応がおかしいって驚かれるのもわかる。
……あれ? もしかして普通に『痛いので嫌です』って言えば回避できるかも?
「そうですね。派手なのはちょっと……」
「なるほど、嫌なのか」「そうかぁ、嫌かぁ」「痛い二つ名だもんな、名乗りたくないよなぁ」
待って、なんで神々はニヤニヤしてんの? おかしいよね? 普通に嫌なんだけど……?
背筋を這い上がるこの嫌な感覚。なんでこんなに悪寒がするのか……。
「じゃあ、
「っ!? 待ってくださいっ!! その反応おかしいですよねっ!? 私、派手なのは遠慮したいんですけどぉっ!?」
まずい、なんであの流れでもっと痛々しい二つ名をつけようなんてするんだ。
「…………だってよ」「でもさぁ」「だってねぇ?」
「「「
こいつら最低だぁぁぁぁぁあっ!!??
次々と上がる二つ名の数々。ヘスティア様達も頑張ってる様子だが、他の神々に埋もれてしまっている。上げるたびに一瞬で『つまらん』『却下』と打ち消されているっぽい……。
心がガリガリと削られる音がする。すまし顔で、椅子に深く腰掛けて反応しない事だけに意識を集中させる。反応してはいけない。神々はそれを面白がっているのだから、無視してしまえばいいのだ。
【
反応しなければ……。
「【
「「「それだぁっ!!」」」
「やめろぉぉっ!! 僕の眷属になんて二つ名を着ける気だっ!!」
ヘスティア様……。
「流石に、酷いだろ」
「【絶†影】ちゃんの主神の言う事は違いますねぇ」
「ぐはっ……」
神タケミカヅチが死んだっ! この人でなしぃっ!!
「私は【
「おぉ、それも良いかもしれんなぁ」「流石デメテル様だぁ」
神デメテルは敵だった。
「ウチは【幼女聖水】とかええと思うんやけど」
「ロキ、その二つ名は何でつけようと思った?」「何? 常習犯?」「世界地図書いちゃう感じ?」
ロォォォキィィィッ!! テメェはあの時の事蒸し返す積りかぁっ!! やめろぉっ!!
「これまで広まっていた【
「パンチが足りない」
足りなくていいです。むしろもう【
がやがやと最悪な二つ名が数多く上げられ、最終選考に残ったのは以下の通り。
【
【
【
以上の三つとなりまぁーす。……死ね。神々絶対許すまじ……。
このままだと本当に俺の二つ名がどれかになりそうである。というか
なんだよ『神々視線で見ると痛々しいけど、眷属が嬉しそうにしているのを見て胸を痛める主神の姿を見て爆笑する』のが目的って……。
しかも今回は『眷属と揃って痛々しい二つ名で悶絶する
「では、最終投票を行う」
「キター」「もう勝ち確ですね」「やめろぉぉぉっ!!」「ヘスティアはしまっちゃおうねぇ」「待て、酷すぎる。やりなおしを」「【絶†影】ちゃんの主神もしまっちゃおうねぇ」「可哀相ではないか?」「ミアハの言う通りだ、確かに可哀相だ」「そうだよな、流石に可哀相過ぎるよなぁ」
おっ、ミアハ様の一言で流れ変わった? これは、いけそうな────
「ミリア・ノースリスの瞳に希望の光がっ!」「だが、ダメぇ」「幼女を絶望に落とすこの瞬間、堪らないなぁ」
ふざけんな! 後幼女じゃねぇっ!!
やばい絶望的状況だ。ヘスティア様の言葉は主神故に無視され、神タケミカヅチは自身の眷属の痛々しい二つ名を上げられてダメージを負って動けない。神ミアハは疲労がたまりすぎて船漕いでるし、ガネーシャ様は……よくわからんフード被った人物が耳元でささやいた瞬間に黙ってしまった。
というかなんであの外套の人物は室内でしっかりフードまで被って顔隠してんだ……? 一声も発してないし。
「じゃあ、最終投票しちゃおうねぇ」
神々の歓声が響き渡る。もう絶望しかないこの場で頼れる神は全員死んだ。そう
「ちょっと、待ってちょうだい」
騒がしい神々の歓声の中であっても、
「流石に、そんな二つ名はかわいそうよ」
声を聞いただけで、思わず惚れてしまいそうになる。美声というのはこの声の事で──どこかで聞いた事がある気がする。
神ガネーシャの横に寄り添う様に座っている外套姿の人物。声からして女神らしきその不思議な神。室内でありながらフードをしっかりと被って顔を隠しているその女神。
背中に氷柱をぶち込まれたのかと思えるような寒気がした。キューイが『見ない方が良いよ』と忠告してくれているが、視線を外せない。
その女神がゆっくりとした動作で立ち上がり、フードを取り払った。
美しい銀糸の髪、美を体現したその女神。ふと聞こえたのは神ロキの呟き。納得し、震えた。
「フレイヤ」
女神フレイヤ。かの
そして、俺に魅了をかけて記憶を弄った奴。
美しい。語彙力を喪失してしまう程に、その女神は美しかった。ゾクゾクと背筋が震えるほどに、美しいその女神。
だが、今はレベル2だ。
「そうね。ミリア・ノースリスと言ったかしら? 貴女、初めまして」
「はじめまして……」
「三つの中で、貴女が望む二つ名はあったかしら」
「無いです」
即答。美しい女神に嘘など言えるはずもない。心の底から言える本音を引き出される。
そうでありながら、視線をそらさないとまずいと頭の中で警鐘が鳴り響く。インファントドラゴンが不愉快そうに檻をガリガリと引っかき始め、キューイが呆れ顔で『またぁ?』と呟いてる。
そう、俺は至って冷静に
ランクアップしたおかげだろう。完全に
「そう、じゃあ私から一つ、貴女に二つ名を────」
「反対だっ!!」
ぴしゃりと、響き渡ったのはヘスティア様の声。魅了が、解けた。何かが弾けた様な感覚と共に、心を縛っていた見えない縄が解ける。神フレイヤから視線を外せば、ヘスティア様が神フレイヤを睨んでいた。
「フレイヤ、僕は君の事が苦手だ。嫌いじゃないけど、苦手だ」
「……そう」
「だから、反対だ」
苦虫を噛み潰した表情を浮かべたまま、ヘスティア様が神フレイヤに突っかかっている。美の女神に逆らうべきではない、そう口にしそうになり、歯を食いしばる。
視線を外せたが、完全に魅了が解けた訳ではない。自覚できるだけマシだが、耳元で囁かれたら戻ってこれる気がしない。堕ちる寸前で踏みとどまっている様な不安感がする。
美の女神の魅了、ヤバすぎるだろ。こんなん
姿を見ずとも、近くに居るだけでファルナを持たぬ者らを雰囲気だけで周囲を魅了してしまう。
姿を見せれば、
その声は、第三級冒険者を一瞬で虜にする。
耳元で囁かれれば第二級冒険者すらも一瞬で堕とす。
もし、もしその肢体を味わってしまえば、第一級冒険者ですら、
つまるところ、めちゃくちゃやばい相手である。同性相手でも関係ない。異性であればなおの事。
「ミアハ、タケ、ガネーシャ、君たちも反対を────」
「いつみても美しいな」
「あぁ、そうだな」
「うむ、美しい」
「ミアハっ!? タケッ!! ガネーシャッ!!」
俺の味方だったはずの男神三人が一瞬で落とされてる。ダメっぽいですね……。かくいう俺ももうダメっぽい。何あの美しさ、もっと見ていたい。でも痛々しい二つ名付けられるのは……。
────この美しい女神様に二つ名を授けて頂けるなら、痛々しいのでも別に良いのでは?
「ミリア君っ、君も反対を──ミリア君っ!?」
もういいよね。だってあの美しい女神様に二つ名付けて貰えるんだよ? 皆嬉しいよね? 俺も嬉しいよ。
「しっかりするんだっ!」
「ヘスティア様?」
「魅了されちゃダメだミリア君っ!! フレイヤを見ちゃいけないっ!!」
いつの間にか席を飛び出してきて俺の両肩を揺さぶるヘスティア様が目の前に居た。なんであのお方を見てはいけないのだろうか?
「悲しいわヘスティア。意見も聞かずに反対するだなんて」
「っ! それ以上ミリア君に近づかないでくれっ!」
彼の美しい女神様が檻の傍に立っている。ヴァンが苛立つ様に檻を引っかいている。耳障りな金属音に視線を吸われ、ヴァンが俺を睨んで呟いた『下らん魅了に囚われるな
下らん魅了? くだらない? 何処が? こんなに美しい女神なのだから、魅了されて当然だろう?
「キュイキュイ……」
やっぱこうなった。どういう事だキューイ。
「そんなに怒らないでちょうだい。私はその子にお礼をしたいの」
「お礼、だって? フレイヤが? ミリア君に?」
「そうよ。見てたわ、見てしまったの。その子の、闘いを」
俺に? お礼? 闘い、インファントドラゴンとの一騎打ちの事か?
「だから、そのお礼。二つ名を貴女にあげたいの」
「…………一応、聞いてあげるよ」
その場にいる全ての神が、フレイヤに魅了されてる。神ロキはつまらなそうに欠伸しているが、それ以外の神々はヘスティア様を除いて全員が魅了にやられているのか、口を閉ざしている。
そんな中、美しい女神様がゆっくりとした動作で、流し目を送りながら口を開いた。
「私が考えた二つ名は────
二つ名、命名。きちゃいましたね(白目)
何にしようか、どうするか。吐きそう。二つ名浮かばないから変な所でぶった切ったし。激おこ待ったなしじゃない……?
もう本作のタイトルにもなってるし【魔銃使い】を二つ名にしても許される気がしてきた。だってタイトルだよ?
伏線回収って理由付けもできるし、それでいいよね(考えるの面倒感)
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