魔銃使いは迷宮を駆ける 作:魔法少女()
まず第一に、クラスチェンジについて一通りの実証が終わったために、此処に記録を残す事にする。
『クーシー:アサルト』
固有ガン・マジック『ショットガン・マジック』『デュアル』
固有魔法『
他特筆事項『狼人の様な耳と尻尾が生えてくる』
使用魔法は『ショットガン・マジック』の『
消費が大きく、1回の発射で1マガジン消費するハイコスト仕様。正直言うとそこらのモンスター相手だと威力過多過ぎて魔石は消し飛ばすわ消費は大きすぎるわで使い辛い。
1回目は問題ないが、二回目で眩暈。三回目で吐き気。四回連続で行うともれなく昏倒。連続使用は不可能という結論に至った。一応使い方を工夫すればなんとかと言った感じ。
『クーシー:スナイパー』
固有ガン・マジック『スナイパーライフル・マジック』『アンチマテリアル』
固有魔法『
他特筆事項『狐耳と狐尻尾が生えてくる。他に比べて尻尾が大きすぎる為、尻尾が邪魔になる』
使用魔法は『スナイパーライフル・マジック』。
完全に威力過多なうえ、発動すると移動が一切不可能になる程の負担がかかる。威力は問答無用のトップだが消費も大きく、一発辺り1マガジン消費というハイコスト。
さらに、『アンチマテリアル』の詠唱を追加する事で5つの魔法陣を連ねた砲身が現れ、最大5マガジンを装填しての超威力&長射程の砲撃も可能。『リロード』する度に魔法陣が点灯し、最大数装填時にはきらびやかなエフェクトを放つ砲撃が可能だが、消費デカすぎ、威力高すぎ、移動できないというのが致命的過ぎるので封印指定。
固有魔法の『
だが、活躍の場が限定的過ぎるので悩ましい。
それ以前に尻尾がでかすぎてクラスチェンジ後にローブが裂けそうになったので対策を考える必要あり。獣人用の加工を施す案も出たが、常時尻尾用の穴が開いてるローブを着てると当然ながら尻の辺りに穴の開いた変態チックな見た目になるので却下。
なんか大人用の穴開きパンティを履いた姿を彷彿とさせる、尻の部分に穴開きスタイルはマジ勘弁。
『クーシー:ファクトリー』
固有ガン・マジック『ピストル・マジック』『リボルバー』
固有魔法『
特筆事項『垂れ耳と尻尾が生えてくる。一番邪魔にならない』
使用魔法は『ピストル・マジック』の『
他のクラスと比べるとだいぶ独特な法則な仕様の為、癖が強すぎる。
まず『
装填は単発で『リロード』と詠唱する度に一発ずつ弾を込める為リロードに時間がかかる。威力や貫通性能はニンフ型の『ピストル・マジック』と相違無い為、面倒臭くなった感じ。
『ドリアード:サンクチュアリ』
固有ガン・マジック『サブマシンガン・マジック』『ロウクオリティ』
固有魔法『
特筆事項『見た目上の変化はないが足元に魔法陣展開&移動不可能状態に』
使用魔法は『サブマシンガン・マジック』の『
問答無用の最弱仕様。命中精度が極悪で銃身を限界まで切り詰めたを通り越して銃弾をそのまま暴発させた様な有様。最悪、自身の左右に立つ仲間にも弾丸が命中する事がある。其の上でセミオートではなくフルオートオンリー仕様。『ファイア』の詠唱と共にマガジンを撃ち尽くすまで射撃が止まらない。
威力は極めて低く、リリに直撃しても衝撃で転倒する程度。土下座して謝った。
装弾数は15発固定。マガジン消費無しで発砲可能だが、精度がゴミ。威力もゴミ。むしろ撃たない方がマシレベル。こんなんどうしろと……。
固有魔法の『
『
消費する魔力は俺依存の為、ベルやヴェルフ、リリが被弾しまくってると俺がダウンするが、使い勝手は中々。攻撃魔法が
以上。クラスチェンジ説明終わり。
……正直な感想を言うと『クーシー:アサルト』一択だろうなと思っていたのが完全に覆された感じである。
「ミリア君、クラスはどれにするんだい?」
「ファクトリーで」
ヘスティアファミリア本拠、更新のたびにクラスを変更してダンジョンで試した結果であるのだが、この微妙な性能はなんなのか。
アサルトはまぁ、転移酔いのペナルティにさえ気を付ければそれなりだし。スナイパーは威力過多ではあるが決戦用に適切。ファクトリーは癖はあるがそこそこの汎用性。サンクチュアリは補助のみに回るなら良いが、移動不可能ペナルティは中々大きい上、攻撃手段がその場で武器を振り回す事しかできなくなるのがどうにも。
「それで、一通り試したみたいだけどどうだった?」
「……それぞれ、癖が強い上に消費も大きいですね」
ヘスティア様から紙を受け取りつつも返事を返す。なんかなぁ。純粋な強化と喜べるのは『クーシー:スナイパー』ぐらいで、他のはちょっとって感じ。
「うぅん。僕にはなんとも言えないけれど、キューイ君たちと協力すればもっと戦える感じなのかい?」
んー。キューイとヴァンの援護を受けつつ。というよりはキューイとヴァンを支援する形なら『ドリアード:サンクチュアリ』にしといて二匹を回復する形で援護……微妙なんだよなぁ。
ぶっちゃけると『ニンフ型』の基本性能が良すぎると言えばいいのか。他のクラスの性能が尖り過ぎてると言えばいいのか。
「微妙ですかねぇ」
「ふぅん……っと、更新も終わったしベル君を呼んでくるよ。早く服を着なよー」
「はい」
生返事しつつも服に手を伸ばす。現状で言えるのはどのクラスも特化する方向が尖り過ぎて活躍の場が限られ過ぎる。一応、ファクトリーだけは汎用性はあるがそれ以外は……。
悩んでいるとベルとヘスティア様が戻ってきた様で、ベルの手には袋。買い物にでも行ってたのかね?
「ミリア、クラスは何にしたの?」
「ファクトリーですかね。汎用性高いのでそれで」
「スナイパーじゃないんだ……」
どうやらベルのお気に入りは『クーシー:スナイパー』らしい。
俺を中心に足元に展開される魔法陣。そして複数の魔法陣を連ねた砲身が現れ、『リロード』を重ねる度に点灯する魔法陣。最後に放たれる目が眩むほどの砲撃。
ベルの琴線に触れる様な『カッコよさ』の伴うその姿は、ベルの憧れの的となったのだ。まさに『魔砲』という名にピッタリで、英雄譚の中でも『魔法使い』系の英雄と同じ様なモノを使うのが居たらしい。
ダンジョンの八階層でぶっ放してギルドから『何したの? ねぇ何したの?』という追及をされる羽目になったアレである。壁を二枚程ぶち抜いた影響で一部崩落が発生したらしく、ダンジョン内の行きすぎた環境破壊行為として注意された。まぁ罰則はなかったが。
あの魔法に巻き込まれた人が居なくて幸いである。
「そっかぁ」
「スナイパーは消費が大きすぎるんですよ。それにあの威力を放つのはやりすぎですし」
残念そうに言われても、あの一撃はミノタウロスクラスにぶち込むもんであって、そこらのゴブリンやコボルトに撃ち込む代物ではない。小動物に戦車砲ぶっ放してどうすんだって話ね。塵一つ残さずに消し飛ぶんだからさ。
まぁ、緊急時の一撃と考えればって感じだが。汎用性はどうしても欲しいし。
それにファクトリーはなんだかんだ便利な弾丸を作れるからね。
「ほら、二人とも話はその辺にして夕食にしよう」
「はい、わかりました神様」
「はぁい」
なんだかねぇ。
噴水前に集まったメンバーを見回して頭を下げる。今日はちょっと用事があるんだなこれが。
「ミリア様、今日は予定があるとの事ですが。どうしたのですか?」
リリの質問も尤もである。あと少しの金額で
「用事か。なら仕方ないな。っと、そうだ忘れる所だった。ほら、頼まれてた剣だ。これでよかったか?」
「ありがとうございます。ヴェルフ」
ヴェルフから差し出された布で包まれた剣を受け取る。前に使ってた剣と同タイプの銃のストックを思わせる柄の剣。前より少し長めにして長めショートソードぐらいにしてもらった物と、左手に持つ様の短めのナイフ一本。『ピストル・マジック』『デュアル』を意識して両手に剣を持つ事に慣れようと作成を頼んだ代物である。
使いこなせるとは思えないが、一応慣れる為にも練習をしないとなぁ。
「こんな変なもん作ったのは初めてだ」
背負っていた長さ1.2M程の代物も渡されたので布を少しめくって確かめる。
「ミリア、ヴェルフに何を作ってもらったの? 槍?」
「変な形……いえ、ミリア様、なんですかその……槍? 変な突起が付いていますが」
ちらりと覗き込んできたベルとリリの言葉に曖昧に微笑んでおく。この槍の様な代物は簡単に言えば『銃剣装備の小銃』である。
見た目は旧式の木製ストック小銃の下部に刃渡り20C程の銃剣を装着した様な形。当然ながらレシーバー部分はただの飾りで引き金も無く。銃を彷彿とさせる握り部分や形状をしているだけで、『銃器』として銃弾を放つ機構は一切ない。見た目が銃っぽいだけ。俺のイメージに合わせた事で魔法の精度上昇を狙った効果を持つ。はずである。
オラリオでの分類は、一応『戟』にでもなるのだろうか? 長柄武器というには、見た目が珍妙だとヴェルフが眉を顰めている。
制作する上で、俺が絵を書いて柄の部分をこうしてほしいと頼みこんだのだ。理由はー、狙撃時に姿勢安定させる為の代物である。ただの棒杖でガン・マジックを使うのがなかなか面倒だと感じたので、あの鉄の長杖を銃身に使い、魔力伝導率をそのままに狙撃しやすい形状にしてもらった。
「私の魔法に合わせた……一応
「杖? 変な形だね」
「こんな変なもん頼まれたのは初めてだぞ」
一通りいじくりまわした感想としては、十二分な感じ。銃剣として振り回すもよし。狙撃用の杖として使うもよし。良い仕事をしてくれた。
「んじゃ、他になんか必要なもんとかは無いのか?」
「今の所はこれで十分ですかね。ありがとうございますヴェルフ」
「こっちこそ、キューイの鱗なんか貰ったからな。調整が必要ならまたあとで教えてくれ」
専属契約してはいないが、いろいろと無茶な要求に軽く答えてくれるヴェルフには感謝しかない。
特殊な杖ではあるが、性能が上がったというよりは使い心地が良くなっただけなので、アレだが。
「それでは、私は用事の方済ませてきますね」
「じゃあ昼頃に一度ギルドの方に戻るね」
午前中はディアンケヒトファミリアを訪ねて、午後から探索。今日の稼ぎ次第ではあるが、明日には中層に挑む事が出来るはずなので気合を入れてるベルの様子が微笑ましい。
北西のメインストリートの通称『冒険者通り』、オラリオの中でも特に冒険者の往来が激しい。少しずれた時間帯だと思うんだが、それでもダンジョン探索を休んで物資類の補給の為に歩き回っている冒険者が数多い。
そんな冒険者通りの通り沿い、光玉と薬草のエンブレムが飾られた清潔な白一色の建物。ディアンケヒトファミリアの治療院を見て溜息がこぼれかける。
何度もガネーシャ様に『
「キューイ、大人しくしていてくださいね? ヴァンは、言わなくてもわかると思いますけど」
「キュイキュイ」
《わかっている》
二匹のワイバーンを従えて歩いていると、冒険者が左右に割れてまるで『モーセの十戒』を彷彿させる光景に気分が沈みまくっていく。ヒソヒソと囁かれる内容は『あれがあの……』『竜が居なきゃなんもできない小人族だろ』『ガネーシャファミリアが居なけりゃランクアップなんて……』だの。
良い噂は一つも無く。簡単に纏めりゃ『竜を従えたのは偶然』『ガネーシャファミリアの援護がなけりゃ死んでた』『生意気な糞パルゥム』である。
パルゥムの評価低すぎぃ。なんでこんなに不当な評価されてんだよ……。あ、フィンってもしかしてコレをどうにかしたいのか? なるほど。うん、なんていうかね、パルゥムってだけで見下されるこの環境は確かにどうにかすべきだと思う。頑張れフィン。応援してるぞフィン。協力するのは……ちょっと無理だけど。
しっかし、ガネーシャファミリアの援護がなけりゃ死んでた。ねぇ、その通り過ぎて笑えないわ。後偶然従えたってのもその通りだと思う。
まあ、
清潔な白一色の建物の前に立ち。後ろを着いてきていた二匹を振り返る。店の前で待たせるべき? 中に連れ込むの不味くね?
悩まし気に二匹を睨むと、キューイが睨み返してきた。熱い視線の応酬。なんだやんのか?
「ノースリス様、お待ちしていました」
睨み合いのさ中、治療院から颯爽と現れたのは【
「中へどうぞ。其方の二匹の飛竜もご一緒に」
丁重に頭を下げて歓迎の意を示す彼女。アミッドさんの指示に従ってキューイとヴァンも引き連れて店の中へ。
入り口の部分でキューイが『窮屈』と文句を垂れていたが、そのまま奥の応接室まで案内された。
キューイとヴァンが座る用にか、綺麗なシーツが床に敷かれており、其処にどうぞと声をかけられたのでとりあえず二匹に指示をだして其処に座らせる。座るというよりはとぐろを巻く様に体を丸めて休み始めるキューイ。
ちょっと緊張感も何もない行動に若干呆れ返る程である。
「ようこそおいでくださいました。お久しぶりですノースリス様」
応接室のテーブルに腰かければ、対面に丁重に腰かけて深々と頭を下げるアミッドさん。様付けはちょっと……。
「お久振りです。先日はお世話になりました」
「あれ以降、何かしら体に異常はありませんでしたか? 魔法を使う際に違和感を感じたりだとかは」
「いえ、特にはありませんね」
それはよかったと零し、表情を引き締めてアミッドさんはテーブルの上に契約書類を並べ。ついでに医療品の詰ったバッグを置いて再度軽く頭を下げてきたので、此方も頭を下げ返す。
「では、交渉の方を始めさせていただきます」
「……あの、神ディアンケヒトは?」
「今回の交渉は私の方に全て任されていますのでご安心を」
丁重に、今回の治療行為における発生した金額についてはガネーシャファミリアが負担している事や、医療品関係の説明。キューイの素材に関する個々の金額の事等。様々な説明を聞きつつも時折質問だけはしておく。
契約する前提で話しているが、契約するかは此方の意思を尊重する事なんかもしっかりと確認するさ中、アミッドさんは真っすぐと此方を見つめてくる。
「それで、契約の内容といたしましては以上となります。何かしらの追加要求や内容の変更等ありましたらどうぞ」
主にキューイとヴァンの素材。主に鱗、爪、涙、血。採取に手間取らず、量も一日でとれる量を加減した量を提示されており、ここ等は大分考えこまれている様子である。
対する対価が『ヒーラーバッグ』の提供。
オラリオの
基本的な
『魔法』の発現自体が希少である為、
そして、その
『ヒーラーバッグ』とは簡単に説明すると、ディアンケヒトファミリアが誇る治療用の薬、道具類一式がまとめられたバッグであり。ディアンケヒトファミリアの主力商品の一つである。
契約を簡単に纏めると『一週間に一度、竜の素材と引き換えに、ヒーラーバッグの内容物の補充』という形になる。んで、こまごまとした内容としては『タイミングはヘスティアファミリア側が決める』『問題発生時はガネーシャファミリアが仲裁に入る』『素材の品質次第で追加で
正直言えば条件だけ見ると此方が優位過ぎる気はする。特に
「此方が優位過ぎる気がしますが」
「いえ、そんな事はありません」
アミッドさん曰く。
竜系の素材は上層、中層においては
結果としてその希少価値は説明が不要。鱗一枚の取引金額は数万ヴァリスから数十万ヴァリス。先月ロキファミリアが入手してきたカドモスと呼ばれるモンスターのドロップ品。『カドモスの皮膜』については数百万ヴァリスの金額が付いたらしい。
其の上でその素材から作れる医療品の金額は数千万ヴァリスを超える収入が見込める。
以上の事から実際の所はディアンケヒトファミリアの儲けの方が圧倒的に多く、ヘスティアファミリアからぼっているとの事。いや、其処まで話して良いのかよ……。
「その上で、彼女。キューイの素材についていくつかの検証をさせて頂いたのですが」
検証という言葉に眉を顰める。何かされたのか? と危惧すればアミッドさんが丁重に説明してくれた。
どうやら俺が重傷を負った際にその場でキューイから素材をいくつか採取させてもらって、その素材を使って治療を行ったらしい?
んでその場でキューイから『鱗』『爪』『血液』を貰い、その素材を使って即席の『再生薬』を作り出したらしい。いくつかの薬を組み合わせ、キューイの素材から『再生能力』という効力を引き上げたモノを作って投与。そのおかげで俺が助かったとかどうとか。詳しい説明されても薬師じゃないからわからんけど、キューイの素材。特に『鮮血』の持つ『再生能力を引き上げる効力』というのが凄まじいらしい。
そういえばナァーザさんも『リジェネポーション』とやらを作っていたが、あれも似たようなもんらしい?
首を傾げつつもなんとか理解しようとするが、専門的な説明はちんぷんかんぷん。ダメだこりゃと諦めかけているとそれに気付いたアミッドさんが一つ咳払いをして超かみ砕いて説明してくれた。
「…………そうですね。簡単に言ってしまうと、
ほう……? ……ん?
「えっと、つまりはナァーザさんの腕も元通りになると?」
「いえ、現段階においては其処までの効力はありません」
即席再生薬。俺が重傷を負ったあの日にできた代物は全部で3本分。内1本は俺の治療に使われ。残り2本を解析していってわかったことがいくつか。
後は前に見つかった竜力薬の効力向上実験の方も云々。
「竜力薬ですが。危険性が高すぎるのでウチでは制作を行いません」
「……? 需要はありそうですけど」
どうにも、『力を増強させる』というのは画期的な代物ではあったのだが、効力の引き上げに成功したものの、使うにはリスクが発生する為に販売できる代物ではなくなってしまったらしい。
これは臨床実験の最中に起きた悲劇の話っぽいんだが。
とあるディアンケヒトファミリアのレベル1の団員が効力向上を行って飲んでみたらしい。
力が増強されたか確かめる為に剣を振るった結果。
上昇した力に対し、耐久が低すぎた影響で腕を振るうという行為にすら体が耐え切れなかったらしい。
ちなみに力の上昇具合で言うとレベル3つ分の上昇だそうだ。
んで悲劇はこっから。
折れた右腕の痛みに咄嗟に左腕で肩押さえたのだが……そのまま
加減が出来ず、自身の手で肩を握り潰すという光景に唖然。その後は麻酔の様な物で麻痺させて落ち着かせた後に腕の治療を行ったそうだ。
『力
それに対して再生薬の方は危険性も無く、しかも
冒険者ってのは怪我する確率が非常に高く。それこそ
どうやら
簡単に言うと、千切れた腕を
それが、今回のアミッドさんの作り出した再生薬は
これが完成すれば一本数百万ヴァリスは確実な代物になると。
「へぇ」
「……すいません。専門的でわかりづらいでしょうが。この薬の完成は今までの常識を覆す上、オラリオの冒険者が欲していた代物でもあるのです」
手足を失って冒険者をやめざるをえなくなった冒険者達。本来なら第一級程の能力を持つ者でも、腕を失った、足を失った等の治療不可能な怪我の所為で冒険者として
もしそんな者達の手足を再生できたら? 冒険者として
俺も昔は冒険者だったんだがな。膝に矢を受けてしまってな……ってのが無くなる訳か?
「なるほど」
「なので多少の出費については容認されています。今回の契約はディアンケヒトファミリアとしましてはなんとしても結びたいものなのです」
他のファミリアに素材採取を頼むのはどうなのか?
「出来ません。特に『竜の血』の入手がほぼ不可能なのです」
鮮度抜群の『竜の血』。それを手に入れる方法? 竜を
深層にたどり着くまでにかかる期間は『最短で五日』である。ロキファミリアの記録っぽい?
んで、帰ってくるのにかかる期間は『最短で三日』。『竜の血』のみを抱え、それ以外のすべてを破棄し、モンスターを無視し、休まず走り続けて三日。
『竜の血』が劣化するのは半日程度。当然ながら間に合うはずもない。
其の上でガネーシャファミリアのワイバーンであるヴィルヘルムから少量仕入れているが、竜の種類が違うのかキューイの血程の再生能力はないのだ。つまり『キューイの血』限定の効果らしく、素材の希少性は抜群。鮮度についてはその場で採取できるので文句無し。と
「つまり、もう少し要求しても問題ないと?」
エリクサーを一ダースとか頼んじゃうぞ?
「それでも構いません。追加しますね」
さっとペンを走らせ、契約書の内容に『エリクサー 一ダース』と追記される。
『キューイの血』一瓶から三ダース半ぐらいの再生薬が作れるらしい。一本数百万は確実にするっぽいので損はしないと。へぇ……。
「その再生薬、私にも一本くれません?」
「……何に使用するのでしょうか」
「ナァーザさんにあげようかと」
ナァーザさんも腕が元通りになればー。
「…………ナァーザ、というのはミアハファミリアのナァーザ・エリスイスの事でしょうか?」
「はい」
「申し訳ありません。現状の再生薬では彼女の腕を再生させる事はできません」
はい?
失ってから時間が経ち過ぎている場合は再生できないらしい。とはいえそれは現在の再生薬の話であって、研究を進めていけばいずれ『完全再生薬』。過去に失われた手足も再生できる薬に仕上げる積りなので是非契約をしてほしいと。
「必ず、この再生薬を完成させますので。協力をお願いしたいのです」
少しでも悲しむ冒険者達を少しでも減らす為に、かぁ。志の高い人である。
とはいえ、契約自体に損はない。少しでも早く『完全再生薬』とやらが完成すれば、ナァーザさんの腕も元通りになるだろうし。他にも手足が無くなっても時間が経ち過ぎなければなんとかなるっていうのは大きいだろうしなぁ。
エリクサーを一ダースはガネーシャ様に渡そう。色々と迷惑かけてるし、お詫びにもなるだろう。ちょうど良いと言えば良いか。
「契約内容の再確認をします」
「はい」
契約する際に契約書をしっかりと読むべし。騙されてからじゃ遅いしね。分からないとか不鮮明な部分は徹底的につつき回してからでないと面倒な事になるしなぁ。
……気が付けば昼過ぎてるし。ベル達待たせてしまってるな。とはいえ契約に関して手抜きはできんし。
キューイ、腹減ったじゃねぇ。ちょっと黙ってろ。
アサルトの弱点『連続使用できない』
スナイパーの弱点『移動できない』
ファクトリーの弱点『リロード遅い』
サンクチュアリの弱点『ガンマジックがゴミ』
サンクチュアリの『サブマシンガン・マジック』について。
・命中精度がゴミ。10Mの距離の的に対して1マガジン15発中1発当てたら幸運。2発当てたら奇跡。3発当てたらチート
・威力がゴミ。至近距離掃射で全弾HITしても体力最低値の
ミリカン内の最弱武装にして『撃たない方がマシ』と言われる産廃。どれだけ改造を施しても悲しみしか生まれない魔法。
なおドリアード:サンクチュアリ型には他に使えるガン・マジックは存在しないので、回復魔法ぶっぱしつつも近接攻撃をその場で振り回す事しかできない模様。回復能力は非常に高いので戦場に一人居るだけで仲間の生存率が段違い。だけど使いたがる人は殆ど居ない。
本作品内の好きなオリ主・オリキャラは?(オリ主以外人外しか居ない件)
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TS魔法幼女『ミリア・ノースリス』
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恋するポンコツワイバーン『キューイ』
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真面目な紳士系ワイバーン『ヴィルヘルム』
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竜種追加希望枠