魔銃使いは迷宮を駆ける 作:魔法少女()
ダンジョン十八階層での激戦。
突如現れた漆黒の
百人を超える冒険者が集っての集団戦闘であったあの戦い。
いくつ命があっても足りないぐらいの危険度を誇る戦闘であったが、なんとか一人も欠ける事無く切り抜ける事が出来た事を喜びつつも、お祭り騒ぎを始めた十八階層の住民を避けて俺達は地上を目指していた。
《それでそれで────》
「あぁ、そうですか。うんうん……お喋りなリザードマンのリドって方が空を見たいと……へぇ」
十八階層の冒険者達は興奮冷めやらぬ様子で俺とベルにそれぞれドロップアイテムを贈呈してきた。
漆黒の
蒼炎纏う結晶竜を捕獲した俺には『結晶の竜瞳』を、とそれぞれかなりの代物を渡された。
冒険者達の猛攻撃を受けてなおほぼ無力化していた巨人の硬皮。間違いなく良質な防具の素材として使えるモノであるし、売りに出せば相応の値段も付くだろう。
俺の受け取った竜の瞳は、文字通り結晶で形作られた瞳そのものであり、非常に高い魔力伝導率がうんたらかんたら。とても希少な深層域でごくわずかしか採掘できない結晶と竜の血が交じり合ったモノであり、それそのものが杖の素材である魔法石として利用できるらしい。
詳しく説明を受けたが、専門用語が多すぎてさっぱりだったとしか言えない。とりあえずこのテニスボールサイズの瞳は
《すごくきれいなうたでね────》
「へぇ、それはすごいですね。……綺麗な歌声のセイレーンのレイという方ですか……へぇ、すごーい……」
それとは別に結晶竜については完全に俺の支配下となったらしく、今は小さな手の平サイズにまで縮んで俺の肩の上で綺麗な音色を響かせている。
《つんでれっていうんだって》
「へぇ、ガーゴイルのグロスという方がツンデレなんですかー」
傍から見ている分には肩に乗った結晶竜が美しい音色を響かせているだけにしか見えないだろう。
彼女────なんとなく女性というか
《半人半鳥の子も居てね────》
「あの、ちょっといったん止めてください……」
《どうしたの?》
この子、すっごいお喋り過ぎる。
周囲の視線が若干生温かいんだよ……。
「ミリア君、大丈夫かい?」
「大丈夫ですよヘスティア様……ちょっと色々とぶっ飛んだ話が飛び出すぎて整理がつかないだけなんで……ベル、モンスターの対処はお願い。暫く考えさせて」
「うん、わかった」
アスフィさんとリューさんは若干の警戒の色合い。ベルとヘスティア様は気にした様子はない。リリとヴェルフは慣れたのかあまり気にしてはいないが距離を置いている。タケミカヅチの面々は完全に距離をとって警戒。
結晶竜と話している内容もぶっ飛んじゃいるが……いや、まぁ、警戒するのも当然だろう。
俺の周囲には蒼炎の欠片が漂っているのだ。
結晶化という凶悪な効力を発揮し、数多くの冒険者を血染めの結晶塊に変えた能力。
その一端である蒼炎が俺の周囲をふわふわと漂っている訳で……俺もちょっと怖いんだが、其処まで危険視するモノでもないっぽい?
「その蒼炎は本当に大丈夫なのですか?」
「……モンスターが一瞬で死んでたぞ」
リリとヴェルフの心配するような視線。まぁ、大丈夫だよ。うん……俺に近づこうとしたハードアーマードが一瞬で水晶塊になって死んだのを見てぶっちゃけチビりそうになったけど、俺には危害を加えないしヘスティア様や仲間に危害を加えようとはしない様に言い含めたのだ。
どうやらこの結晶竜の持つ蒼炎は本人の意思次第で敵対者を内側から食い破る結晶塊にもなれば、ただ周囲を幻想的に照らし出す光源ともなるらしい。
傍から見たら超危ない光景なんだけどね……。
まずは、そう彼女の正体から話すべきか。
彼女の正体は
出生階層は下層の何処か。本竜曰く、結晶の領域である場所で生まれ、時折やってくる冒険者を結晶塊にして殺していたらしい。
胸の内から溢れ出る真っ黒いドロドロした何かに突き動かされ、人を殺す。侵入してきた他のモンスターも殺す。殺して殺して……数え切れないぐらい殺し続けていたある日の事。
いつも通り、日の届かない結晶の領域内で侵入者に目を光らせていると、血塗れのドワーフらしき男性が複数人の冒険者を率いて結晶竜の領域に入り込んできた。
血塗れで息も絶え絶えのそのドワーフと、そのドワーフを庇う様に動く冒険者達。何時も通りに結晶化の蒼炎を吹きかけて殺そうとしたところでその冒険者を追ってくるモンスターの存在に気付いてやめた。
湧き上がる苛立ちと真っ黒なドロドロした殺意。自分の領域に侵入してきた怨敵たる人間と、
『────行けっ、俺を置いてっ!! 神に伝えてくれ。幾世年月が経とうと来世のその先、また会いに行くと』
追ってくるモンスターの前に一人立ち塞がる血塗れのドワーフ。他の冒険者を怒鳴りつけて別の道へ逃がした後、そのドワーフは追ってきたモンスターと争い始め────たった一人で追ってきたモンスターを撃破した。
が、既に死に体だったその人物は結晶に凭れ掛かりながら死を待つのみとなっていた。その頃になって彼女はようやく姿を現した。
死に体のドワーフ。己が何もせずとも死ぬ弱き者。────同胞を守り切った気高き人物。
胸に湧き上がるドロドロとした殺意を抑え込み、彼女は問うた。どうして其処までできたのかと。
勝つ見込み等ありはしない程の戦力差を覆すという偉業を成し遂げ、死に逝くそのドワーフに問うた。彼は言った。
『あぁ、畜生。まだ居やがったか……おぉ、こりゃ……綺麗な竜だな…………ゲホッ……はは、最期に目にするにゃあ綺麗過ぎる……ぐらいだ……』
彼女の言葉は彼に届かなかった。そもそのドワーフは竜の言葉を理解できるはずもない。故に彼女の問いかけに彼は答える事等出来ない。それでも彼女は気になった。
────一人でずっとその場所で憎悪を滾らせる以外にする事を知らない彼女が初めて見た気高い行為のその訳を。
同胞を守ったという、至極シンプルでわかりやすい事。敗北する事がわかってなお挑む意思。その瞳に映し出された美しい決意の色合い。彼女はそれに心惹かれた。
『殺さないのか…………? まあ、いい……頼みがある。皆を……殺さないでやってくれねえか?』
瀕死の重傷を負い、それでもなお仲間を想うその言葉。
いつもなら、彼女は自分の領域を犯した愚か者を逃しはしない。決して────それが彼女が未調査領域に潜む未確認モンスターとしての立場を維持し続けた原因であるのだが。
その在り方を変えた。彼女は彼の仲間を見逃した。
それ以降、ずっとずっと、考えて、考えて、考え続けて、そして自分の欲しいものを
ドワーフの様に想い合える
守られる必要もなければ、守る必要も無い。結晶の領域の守護者であり、それ以外の何者でもなく、彼女が殺すべき対象は
例え同じ竜種であろうと────領域を犯す者を生かしはしないから。
だから領域を捨て、新たな同胞を求めて動き出した。領域の守護者であっては何も得られぬと、故に彼女は領域を捨て新たな地へと旅立ち────人とモンスター達に殺された。
声をかける度。視線が合う度。そしてただ出会っただけで、彼女の事を見た者は人も、モンスターも例外なく襲い掛かってくる。
死んでも死んでも蘇る事が出来るゆえに問題は無く、けれども痛みは感じるが故に怯える事しかできない。反撃として放つ蒼炎の前に沈む者達。声をかけても、訴えかけても、誰も耳を貸さず、殺しにかかってくる。
死なない身を持っても、痛みに屈しかけながら必死に
出会う度に殺される事を知った彼女は自分の領域から外を見る様になった。
結晶の向こう側。鏡の向こう側の世界の様な場所、結晶を通して足を踏み入れる事の出来る自分だけの領域から結晶を通してモンスターを、人を観察する日々。
自分を受け入れてくれる者は何処かに居ないだろうかと求めてさまよう日々の中で、珍しいモノを見た。
モンスターと戦うモンスター。いや、それ自体は珍しくないのだ。モンスター同士で殺し合うなんて日常茶飯事。
しかし、そのモンスター
本来なら慣れ合う事をしない、縄張り争いの過程で殺し合うはずの彼らが互いに互いを守り合い、声を掛け合い、愛しみ合いながら過ごしているのを見た。
自分ももしかしたら仲間に入れるかもしれない────そう思いはしたが、幾度とない
彼らは強い。そして自分は彼らを一瞬で殺し尽くせる力を持っている。もし戦いになってしまえば────彼らを皆殺しにしてしまうかもしれない。恐れと怯えによって彼女は彼らを
陽気に笑う
結晶のある場所ならばどこからでも彼らを見守れる。故に見続けている内に、やはり彼らの輪に加わりたいと思う様になり────どうやったら彼らの内に入れるだろうかと考える様になった。
その内、彼女はある事を聞いたのだ。その
彼らは悪目立ちするが故に常に隠れ潜む様に生活しており、人からもモンスターからも狙われている。地上に出たいという願いも叶うはずもないが、結晶竜である彼女は結晶の向こう側を伝って地上までいけると考えて移動を開始した。
途中のモンスターを無視し、結晶に潜み、目指す途中で彼女の旅路は終わりを迎えた。
第十八階層。其処より上には殆ど結晶が存在しないのだ。それは致命的過ぎる。
結晶の向こう側の世界は、言うなれば水の中の様な場所である。結晶という名の
故にそこら中に結晶の生えている中層中間地点である十八階層までの道のりはよかったのに、十七階層以上の階層には結晶の量が圧倒的に少なくなっており、下手に進めば途中で自分が消えて無くなってしまう事に気付き、十八階層で足止めを食らっていた。
地上に出る為に考え込んだ彼女は、十八階層の最も大きな白水晶の内側に潜り込んで十八階層全域を見回しながら必死に考えていた。
結晶の外側の世界、其処は彼女からすれば脆く儚い自分が幾度となく砕き殺される場所でしかない。絶対の力の蒼炎も無限に使える訳ではないのだ。地上まで力業で突破しようモノなら途中で力尽きて消えてしまう。
白水晶の中で考え込んでいた彼女は、唐突に其処に流れ込む
丁度、黒い
あの黒い
うん、此処までの話を纏めていい?
「モンスターが喋る? 愛称で呼び合う? 知性持つモンスター? それなんてファンタジー……?」
わぁ、すっごいファンタジーだよ。モンスターと仲良しこよし出来るかもねっ!
…………いや無理だろ。
地上の人々のモンスターに対する対応を考えるに、そのモンスター達地上に出ようもんなら問答無用でぶっ殺されるだろ。それになにより、ベルがその事を知ったら不味い。
きっと、優しいベルの事だからモンスターと戦えなくなる。
悪人ですら救おうと考えるあのベルがだぞ? 実は人と仲良くしたいモンスターが居ますなんて言われたらどうなると思う? きっと、モンスターでも仲良くしようとしてしまうだろうし、もしもの時は助けようと動いてしまいかもしれない。それがどういう影響を与えるのか……怪物趣味認定されてヤバいね。
……この事はとりあえず伏せておこう。それにその、リド? とやらと会話した事無いし俺からしたら何とも言えん。家族を殺された人からすればモンスターすべからく死すべしだろうし、俺もヘスティア様がモンスターに殺されてしまったのならきっと、モンスター絶対殺すマン……殺すウーマンになるわ。
「えぇっと、とりあえず、貴女は私の言う事を聞くという事でオッケーですよね?」
《いいよ! なにをすればいい!》
テンション高いよ……。後張り付いてこないでくれ、ひんやりとしててちべたい……。
前方を歩くミリア・ノースリス。
十八階層への道中と十八階層での戦いで武装の全てを損失した今現在の彼女の持つ装備は戦闘の後に礼として受け取った古びたショートソードのみ。
服装も無数の切れ込みを応急処置としてヴェルフが縫っただけの縫い跡まみれのローブに左手の竜鱗の朱手甲。擦り切れたブーツ。見た目の幼さもあってか、今の彼女は強そうには見えない。
その肩に留まる結晶竜がミリアの頬に頬擦りしては美しい音色を響かせている。
「ヘルメス様、彼女についてなのですが」
「何か気になる事でもあったのかい?」
パーティの前方でモンスターの警戒に当たるリュー。その後ろに続くベルの左右をリリとヘスティアが固め、そのすぐ後ろでタケミカヅチファミリアとヴェルフが呆れた様な視線をベルに向けている。
そこから距離を開けた後ろに、ミリアが歩いている。足音が響く度に蒼炎がはらはらとミリアの周囲に舞い散り、触れたモンスターを問答無用で死に至らしめる確殺の攻撃。結晶竜の生み出す凶悪な攻撃領域の中心でミリアがブツブツと呟いていた。
「そのリドって奴はおっさんかなんかですか……。グロスって人はツンデレ過ぎるでしょう、レイが唯一常識人……いえ訂正します。そのレイって方もなかなかぶっ飛んでますよね。いや、空を飛ぶって意味じゃなくてですね」
頬擦りをしてくる結晶竜と会話を交わす彼女を眺めた神ヘルメスは改めてすぐ横を歩くアスフィに微笑みかけた。
「それで? なんだい?」
「……彼女、少なくとも五つの魔法を使っていた様な気がします」
モルド達に向かって使用した直線的な軌道を描く魔弾を放つ魔法。
それの高威力版。
竜を従えるらしき魔法。
広域を回復させる治癒魔法。
アスフィが確認しただけでも五つという、本来の冒険者ならあり得ない数の魔法を使いこなす彼女。
小さく、弱っちい小人族等と罵られる事の多いパルゥムだが、その枠組みどころか神の定めた恩恵のルールすらぶち抜く勢いの魔法にアスフィは眉を顰めていた。
「どう言う事でしょうか」
「あぁ、それかぁ」
ヘルメスの納得いったような表情にアスフィが目を見張って詰め寄った。
「まってください、ヘルメス様はあの理由がわかると?」
普通の冒険者なら魔法は三つまでしか習得できない。その原則を無視する彼女について知っているのかとアスフィが問えばヘルメスは口元に笑みを浮かべてアスフィを抱き寄せた。
「ヘルメス様、なにを────」
「『リセマラ』って聞いたことあるだろう?」
「それは……、かつて神々が行っていた違法行為の事ですか?」
「そうそう。
ヘルメスの言葉にアスフィが眉を顰める。それを楽し気に見つつもヘルメスは口元に笑みを浮かべてアスフィの耳にささやいた。
「概要を知らないだろうから説明するけど────本来なら一人の人間が持つ
「えぇ、そうですね」
「リセマラってのは言ってしまえば眷属に恩恵を与え、それを
「……そんな事が可能なので?」
もしそれが出来るのなら眷属の方から望むのではないかとアスフィがヘルメスを伺えば、ヘルメスは小さく肩を竦めた。
「いやいや、そんな甘いもんじゃない。一度恩恵を与えて発現した魔法やスキルは変化する事はまずない。そもそも、だ。魔法やスキルはどうやって発現する?」
「恩恵を受けた眷属の素質……では?」
「
ヘルメスのもったいぶる言い方にアスフィが首を傾げれば、ヘルメスは指を立てて口に当てて静かにする様にジェスチャーしてから口を開いた。
「いいかアスフィ、魔法やスキルは才能のほかに、
才能の無い子は、残念だけどどれだけ想いを積み上げても下地がなってなきゃ魔法やスキルにまでは至らない。逆に才能のある子っていうのは小さな想いでも魔法やスキルとして発現するのさ」
「……はぁ」
「そこで
「まさか……」
ヘルメスの言葉にアスフィが考え込み始め、目を見開いて驚く。
「気付いたか。そう、才能という名の下地の上に想いというなの形を築く。築かれたモノが魔法であれスキルであれ、少なからず
もし、もしもだ。その魔法やスキルとして発現する程の
もしかしたら狙い通りの魔法やスキルを発現してくれるかもしれない。
「そう、
「歪んだ想いから、別の魔法やスキルの発現を狙う……」
「そう言う事。其の為に────目の前で親族や恋人、仲の良い友人を惨殺してみたり、拷問にかけてみたりして想いを歪ませて再度恩恵を授けるなんて真似を仕出かしてたんだ」
地上の人々の事を無視した神々の横暴なその行為は直ぐにギルドから禁止される事となったが、今も
「僕の考えた最強の眷属計画」
「……神は碌な事しませんね」
「まあ、そういう一面もあるからね。他にもいくつかあるけど────複数のステイタスを持つ眷属を生み出す計画とか」
「可能なんですか?」
神の恩恵を与えられて発現するステイタスは一人一つのみ。二つ目は在り得ない。
何故なら、ステイタスとは眷属の人生を、心の内を、その人となりを映し出す鏡だからだ。言ってしまえば
「例えばアスフィ、君は今日から『ミリア・ノースリス』だなんていわれて、ミリアちゃんになり切れるかい?」
「言葉遣いだけならまだなんとか」
「違うよ、心の底から、自らの全てを『ミリア・ノースリス』にするのさ。そう────魂の形さえもね」
「は?」
ヘルメスの言葉にアスフィがわけがわからないと目を瞬かせるなか、ヘルメスはにやりと笑った。
「ミリアちゃんはそれが出来るのさ」
「……どう言う事ですか?」
「本来なら、
自分はアスフィ・アル・アンドロメダである。
どうしてか? 今までそうであったから。自分がその人物であると証明できるから。記憶が、感情が、そして何より自分自身がそれを肯定するからこそ、自分はアスフィ・アル・アンドロメダであり、神ヘルメスの眷属であり、【
そうやって自分の在り方を示すのが
神の恩恵はそれを映し出す鏡であり、アスフィ・アル・アンドロメダの姿を恩恵で映し出せば彼女のステイタス以外は映らない。
では、もしも、もしも、だ、
自分は『ユーノ・シラノ』である。
それは何故かといえば『シラノ父の息子』であり『父が己を息子として扱うから』であり『自分がそれを肯定するから』である。
では、それら全てが嘘だったら?
彼の人物の息子ではなく、息子として扱われていたのもただの勘違いで、自分自身がそれを肯定できなくなったら。『ユーノ・シラノ』という
自分は『ミリア・ノースリス』である。
それは何故かといえば『自分がそう名乗ったから』であり『自分がそうありたいと願ったから』であり……。
全部が嘘で塗り固められていて『本人だと肯定もできない』
そうなると、恩恵によって映し出されるステイタスはどうなってしまう?
「どうもならない。本来なら
「……というと?」
「簡単な話さ、バラバラのグチャグチャ、
「では彼女が魔法やスキルを使うのはおかしいと?」
「それは違う」
ミリア・ノースリスは神ヘスティアによって『肯定』されている。
自分は『ミリア・ノースリス』である。
それは何故かといえば神ヘスティアがそれを肯定しているから。ただそれだけだ。
「その上で言えるのは、彼女は未だにぐちゃぐちゃの滅茶苦茶さ」
「……? どういう事ですか」
「だからね、
「つまり……」
「ヘスティアが一声かける、いや、ヘスティアが彼女の背を一押しするだけで彼女は
「そう、ミリア・ノースリスはヘスティアの一声でなんにでもなれる。ヘスティアの肯定一つで自分を壊せるのさ」
「……神ヘスティアの思い通りにですか」
「ああ、勘違いするなよ。ヘスティアは彼女の意思に合わせて背中を押す以外にはしない。
「…………」
沈黙したアスフィに微笑みかけるヘルメス。暫くしてからアスフィは静かに顔を上げた。
「
「…………
「…………所で、話は変わるのですが」
「なんだい?」
「ヘルメス様は彼女をどうするおつもりで?」
アスフィの確信を突く問いかけにヘルメスはニコリと笑みを浮かべた。
「決まってるだろ。俺の、
あるぇ……? 水着回はどこ? ここ?